JP3313593B2 - 歯科用石膏系鋳造埋没材 - Google Patents

歯科用石膏系鋳造埋没材

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JP3313593B2 JP28936096A JP28936096A JP3313593B2 JP 3313593 B2 JP3313593 B2 JP 3313593B2 JP 28936096 A JP28936096 A JP 28936096A JP 28936096 A JP28936096 A JP 28936096A JP 3313593 B2 JP3313593 B2 JP 3313593B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用石膏系鋳造
埋没材に関し、より具体的には主成分である耐熱材と結
合材としての半水石膏を含み、該耐熱材として特定の成
分を含んでなる耐高温分解性に優れた歯科用石膏系鋳造
埋没材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成樹脂や金属等の鋳造法には各
種のものがあるが、その一種としてロストワックス法が
ある。この方法は精密さが要求される歯科用金属補綴物
(クラウン、ブリッジ、インレー等)の作製にも適用さ
れているが、図1はその一例として人工歯冠を作製する
場合を例としたロストワックス精密鋳造法の概略を示す
図である〔技報堂出版(株)「セラミック工学ハンドブ
ック」1989年、p.1586〕。図1(a)中、符
号1は歯型であり、歯型1は例えば口腔内で採取した印
象母型から採得された模型から印象材により作製され
る。この印象材の材料としては石膏系、金属系、樹脂
系、セメント系などが用いられる。
【0003】上記材料から作製された歯型1の面上にワ
ックスを加熱軟化して注入することにより、ワックスか
らなる鋳造用パターン2が形成され、次いで鋳造用パタ
ーン2は埋没工程に移される。図1(b)はその埋め込
み工程を示すものである。鋳造用パターン2を容器内に
図示のように懸架し、これに鋳型用材料(=埋没材)3
が、好ましくはスラリーとして鋳造用パターン2が埋没
するように流し込まれる。鋳型用材料すなわち埋没材3
は、例えば石英、クリストバライトなどの耐熱材と石
膏、リン酸塩、或いはシリカゲルなどの結合材によって
構成される。
【0004】埋没材3が固結した後、鋳造用パターン2
を構成するワックスを溶融、或いは燃焼させて除去する
工程に移される。図1(c)はそのワックス除去工程前
の状態を示し、図1(d)はワックス除去工程終了時の
状態を示す図である。図1(c)〜(d)中符号4は固
結した埋没材3で形成された鋳型であり、図1(d)中
符号5はワックスが除去されて形成された空洞部分(す
なわち空洞型)を示している。次いで、該空洞型5内に
NiーCr系、プレシャス系、或いはセミプレシャス系
金属などの融液の鋳込みが行われる。
【0005】図1(e)は該融液の鋳込み状態を示すも
ので、この鋳込み工程終了後、冷却され、埋没材(鋳型
用材料)3を除去して(すなわち鋳造成形体を掘り出し
て)鋳造成形体を取り出し、加工研磨工程が行われる。
図1(f)は加工研磨工程前の状態を示し、図1(g)
はその工程終了後に得られた製品、すなわち本説明例の
場合人工歯冠である。以上はいわゆる間接法と称される
方式であるが、口腔内で採取した印象母型に直接埋没材
を注入して埋没材模型を作り、その上にワックス模型を
築造し、そのワックス模型を取り外すことなく、さらに
その上に埋没材を注入してワックス模型を埋設して鋳型
とする直接方式も知られている(特開昭50ー1134
17号)。
【0006】これら何れにしても、上記のようなロスト
ワックス法における鋳型用材料3、すなわち埋没材(=
ワックス除去工程後、鋳型となる)としては大別して結
合材として石膏を用いる石膏系埋没材と結合材としてリ
ン酸塩を用いるリン酸塩系埋没材とがあり、表1に示す
ようにそれぞれ一長一短がある。
【表 1】
【0007】このうち石膏系の結合材を用いる石膏系埋
没材の場合には、操作性(流動性)や堀出性よく、残留
応力による変形や経時変化がないなどの諸点では優れて
いるが、耐熱性に劣り、特に鋳造温度が高い場合には石
膏の熱分解によりガスが発生し、これが焼き付けや鋳巣
の原因となり、目的とする鋳造体が脆化し、或いは汚染
されるなど、どうしても越えられないマイナス面の特性
をもつという問題があった。例えば石膏は、その種類に
より異なるが温度800℃若しくは850℃程度から分
解が起こり、特に減水剤等の存在によりその石膏系複合
体に還元が生じることにより石膏の分解が促進されるこ
とが知られている。
【0008】このため、例えばロストワックス法に適用
し得る埋没材としては、金合金、銀合金などの比較的溶
融点の低い合金(すなわち低溶合金)の場合には石膏系
の埋没材が使用されているが、陶材焼付用の貴金属系合
金、陶材焼付用のセミプレシャス系合金、或いはNiー
Cr合金などの比較的溶融点の高い合金(すなわち高溶
合金)の場合には、リン酸塩系の結合材を用いるリン酸
塩系埋没材が使用されている。
【0009】このように歯科鋳造用に使用される高溶合
金の鋳型材としてリン酸塩系埋没材が使用されている理
由は、表1に示すように、高温鋳造特性すなわち高温鋳
造時にガス発生がなく、また高溶合金でみられる大きな
鋳造収縮をリン酸塩系埋没材の凝結時の大きな膨張で補
償することができるためである。しかしこのリン酸塩系
埋没材は使用時に粘性の高いコロイドシリカ溶液を用い
る必要があり、もともとリン酸塩系は流動性が悪いた
め、その操作性に難があり、また凝結膨張が不均一で、
残留応力によりワックスパターンが変形することや鋳型
強度が大き過ぎて掘り出し時に目的とする鋳造体を破損
するなどの欠点を有している。
【0010】一方、石膏系の結合材を用いる従来の埋没
材では、この埋没材で作製した鋳型は適当な強度を持っ
ているので鋳造体を破損することなく掘り出すことがで
き、また石膏自体の膨張不足は埋没材に含まれる耐熱材
であるクリストバライト、石英等の相変態温度域での均
一な熱膨張により鋳込み合金の鋳造収縮を補償してい
る。しかし高溶合金の鋳型材として石膏系埋没材を用い
る場合、それら耐熱材によるそのような相変態温度域で
の熱膨張だけでは高溶合金の大きな鋳造収縮を補償する
のには不十分であり、また前述のとおり、石膏系では、
高溶合金の溶湯が石膏と接触すると石膏が熱分解してガ
スが発生し、焼き付けや鋳巣の原因となるなど根本的に
越えられない物性を持つという欠点がある。このためこ
の課題を克服する手法としてこれまで各種工夫がなされ
ている。
【0011】例えば、特開昭50ー113417号で
は、半水石膏に添加する石英又はクリストバライトの含
有量を70%以下にした歯科鋳造用埋没材において、加
熱時に高膨張を得るためにグリセリン又はエチレングリ
コール溶液で練和するというものである。また特開昭6
1ー20547号にはクリストバライト及び/又は石英
からなる耐火材に半水石膏を結合材として混合したもの
に天然澱粉を添加することにより、鋳造合金の鋳造加熱
時における鋳造収縮をクリストバライト、石英の相変態
時の熱膨張と天然澱分の熱膨張により補償する方法が提
示されている。
【0012】さらに、特公昭53ー19877号におい
ては、鋳造温度までの膨張を安定させる埋没材として、
超硬石膏粉末45〜55%、珪石粉末45〜55%、塩
化バリウム粉末0.5〜1.5%、第一リン酸アンモン
粉末0.2〜1%を混合した微粉末混合物100gに対
して、20〜30%のシリカゾル液、又は水を24〜3
0%ccの割合とした練和液の適量を加えて練合したス
ラリーより成る歯科用石膏系直接埋没材が提示されてい
る。
【0013】しかし、これらの技術における鋳造温度は
何れも高々750℃以下とし(温度750℃まで触れた
ものは唯一特開昭50ー113417号の場合のみ)、
また埋没材の構成成分としてクリストバライトや石英、
或いは珪石などのSiO2 成分を使用したものであるた
め、これを例えばプレシャス合金のような高溶合金の鋳
造用として適用する場合、鋳造金属とSiO2 系成分と
の反応、石膏成分の分解反応によるガスの発生等により
製品である鋳造物に肌荒れが生じるなどの問題がある。
しかもこの場合、粒径50μm以上のSiO2 系成分を
用いた場合にはその粗粒成分により鋳物の表面状態が著
しく悪くなるだけでなく、鋳造体の寸法が小さくなり、
適合性が不良となるという問題がある。
【0014】さらに特開昭63ー141906号に記載
の埋没材組成物においては、耐火材としてアルミナ等を
用い、膨張剤として天然でんぷん及び周期律表第IV、
V、VI族の遷移金属の炭化物、窒化物、硼化物、珪化
物、硫化物の一種又は二種以上を添加することにより、
膨張が緩やかで冷却時の収縮が小さくなり、合金の鋳造
収縮の補償がさらに改善されたと説明されているが、し
かしこの場合にも、半水石膏を結合材として使用する
と、鋳造時に石膏の熱分解によりガスが発生し、これに
より鋳物の鋳造不良が生じる等の問題がある点に変わり
はない。
【0015】このように、これら何れにしても、高温で
適用される高融点金属の鋳造時において、石膏それ自体
が備える良好な操作性に加え、石膏系埋没材に要求され
る鋳造性、表面粗さ、掘り出し性、鋳造金属の寸法適合
性等をも満足した技術は開示されていない。この点、本
発明者等は、歯科用金属補綴物などに適用される高融点
金属鋳造用の鋳型材(埋没材)において、石膏に対して
石膏ウィスカーを添加することにより、熱収縮を抑制さ
せ(なお、その理由は明らかでないが、石膏の硬化時に
石膏ウィスカーが石膏の微細な結晶と絡み合うことによ
るものと推認される)、高融点金属の鋳造に十分な膨張
を確保させ得ることを見い出し、先に出願している(特
願平5ー310476号)。
【0016】また、同じく特願平8ー29123号で
は、石膏系埋没材に対してコバルト化合物、チタン化合
物、タングステン化合物、ニッケル化合物、クロム化合
物、マンガン化合物、亜鉛化合物、セレン化合物、或い
はスズ化合物を添加することにより、金属鋳造時に生じ
る石膏の分解を抑制し、鋳造不良を防止できる石膏系埋
没材組成物を開発し、出願しており、これにより鋳造体
における寸法変化に関する適合性を満足させることがで
きる。しかし、そのためにはそれら成分の添加量を多く
する必要があるが、その添加量を多くすると鋳造体の表
面が荒れてしまうという不都合も生じ、またZrC等の
金属炭化物の場合は価格が高価である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、石膏
系鋳造埋没材の耐熱材成分として、スピネルに着目し、
これを使用することにより、操作性や堀出性が良好で、
残留応力による変形や経時変化がないなど石膏系埋没材
本来の特性を保持しつつ、高温鋳造特性すなわち熱膨張
の問題を無くし、耐高温分解性等を改善してなる歯科用
石膏系鋳造埋没材を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐熱材と結合
材としての半水石膏を含む歯科用石膏系鋳造埋没材にお
いて、該耐熱材がMgOーAl23スピネルよりなるこ
とを特徴とする歯科用石膏系鋳造埋没材を提供し、また
本発明は、耐熱材としてのMgOーAl23スピネルと
結合材としての半水石膏を含む歯科用石膏系鋳造埋没材
において、該石膏系鋳造埋没材100重量部に対して、
外添加で、収縮抑制剤としての石膏ウィスカーを0.5
〜20重量部、膨張剤としてのZrC又はTiCを0.
5〜5重量部を添加してなることを特徴とする歯科用石
膏系鋳造埋没材を提供するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明によれば、石膏系鋳造埋没
材の耐熱材としてMgOーAl23スピネル(マグネシ
ア/アルミナ系スピネル)を使用することにより、例え
ば700℃、800℃、或いは900℃以上というよう
な高温における鋳造に際しても、鋳造製品に鋳造不良が
生じない石膏系鋳造埋没材を可能とする。このため例え
ば1350℃〜1400℃での高温鋳造に際して焼き付
けや鋳巣が生じず、目的とする鋳造体について鋳造不良
のない(脆化や汚染されることのない)埋没材が可能と
なり、歯科用に使用されるプレシャス(貴金属)系、セ
ミプレシャス系、或いはNiーCr系などの高融点金属
を鋳造するに際し、高温鋳造特性、すなわち鋳込み不良
の防止、鋳物の表面の円滑性などの諸特性を確保するこ
とができる。
【0020】特に、MgOーAl23スピネルの粒度が
平均粒子径10μm以下であり、さらに好ましくは鋳造
性の安定性の観点から平均粒子径4〜10μmであるの
がよい。そして、好ましくは粒径20μm以下のMgO
ーAl23スピネルの粉末を使用することにより、鋳造
金属との反応性を抑制するとともに、鋳造性を良好に
し、鋳造金属の寸法の適合性をきわめて有効に満足させ
ることができる。その粒径が20μm程度を超えると鋳
造面に荒れが生じ、粗粒の例えば粒径30μmのものを
使用すると、そのスピネルフィラーの粗粒性により鋳造
面の表面性状(バリ発生、表面粗さ)に欠陥が生じる。
また、本発明に係るMgOーAl23スピネルは、それ
自体石膏埋没材用耐熱材として優れた特性を有し、金属
化合物等を添加することなしに石膏の分解を抑制するこ
とができ、このため添加成分の量を減らすことができ
る。
【0021】Niーr系合金やプレシャス系合金、或い
はセミプレシャス系合金などの高融点金属の鋳造におい
ては、その鋳型材(=埋没材)には凝固膨張と加熱膨張
とを合わせた総合膨張が少なくとも2〜3%程度必要で
あるが、従来の石膏系鋳型材では1.2〜1.9%程度
が限界であった。図2は石膏に対して石膏ウィスカーを
添加した場合における、石膏ウィスカー添加量と石膏の
膨張率との関係を実測してグラフ化した図である。図2
のとおり、石膏に対して石膏ウィスカー無添加の場合に
は−3.2もの膨張があったものが、石膏100重量に
対する石膏ウィスカー0.5重量部の添加で0%、10
重量部の添加で1.4%の膨張となり、30重量部を超
えると再びマスナスの膨張となることを示している。
【0022】前掲特願平5ー310476号では、本発
明者等は石膏を加熱すると例えば温度800℃で3.0
〜3.5%もの加熱収縮があることを確認し、上記事実
を基にして石膏ウィスカーを添加し、さらに石膏の加熱
収縮を一層抑制するために、膨張材としてZn、Al、
Zr、W、Mg、Ti、Mo、Ni、Cr、Co、或い
はこれら金属の炭化物、窒化物、硼化物、珪化物から選
択される1種又は2種以上の粉末を添加することによ
り、そのような加熱収縮の抑制、制御を有効に行う技術
を先に開発しているが、本発明においても、上記「耐熱
材としてのMgOーAl23スピネルと結合材としての
半水石膏を含む歯科用石膏系鋳造埋没材」に対して、石
膏ウイスカー及び上記粉末のうちZrC又はTiCの粉
末を加えることにより高温域における石膏の加熱収縮を
抑制し、埋没材としての膨張を適正範囲に調整すること
ができる。
【0023】それら添加成分の量的割合は、上記金属鋳
造用石膏埋没材100重量部に対して、外添加で、収縮
抑制剤として石膏ウィスカーについては好ましくは0.
5〜20重量部の範囲であり、膨張剤としてのZrC又
はTiCについては好ましくは0.5〜10重量部の範
囲である。図2によれば総合膨張を2〜3%程度とする
には石膏ウィスカーを約0.5〜30重量部の範囲で加
え得るが、本発明においてはZrC又はTiCの粉末を
も加える関係から、0.5〜20重量部程度の範囲であ
ればその添加目的を達成することができる。この場合に
おける石膏ウイスカーとしては好ましくは直径=約2〜
5μm、平均長さ=50〜100μm、アスペクト比
(=繊維長さ/直径)=約20〜50で無水塩型のもの
が使用される。
【0024】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明がこれら実施例により制限されない
ことはもちろんである。本実施例では、耐熱材としてス
ピネルを、また結合材としてα石膏を用いた組成物(実
施例1〜2)、またこれに石膏ウイスカー(収縮抑制
剤)及びZrC又はTiC(膨張剤)を加えた組成物
(実施例3〜13)を用いて鋳造金属を作製した試験結
果を記載している。
【0025】まず、表2及び表3に示すとおり、各種粒
径のスピネル(MgOーAl23スピネル)とα石膏を
成分とする組成物、並びに、この組成物に対して石膏ウ
イスカー、及び、ZrC(粉末)又はTiC(粉末)を
各種割合で含む各種組成物を調合した。次いで、これら
の各調合物を用いて図1中(b)〜(e)に示すような
工程で高融点金属を鋳造した場合について、鋳造性、寸
法公差及び表面形状を試験した。表2〜表3はこれら試
験の結果である。「鋳造性」の欄中におけるNiーCr
とは鋳造金属としてNiーCr系の合金を用いた場合、
PRとは鋳造金属としてAuーPd系の貴金属合金を用
いた場合を示している。また表2中、耐熱材としてアル
ミナを用いた場合を比較例1〜2として示し、耐熱材と
して粗粒のスピネルを用いた場合を比較例3として示し
ている。
【0026】表2〜表3における各項目の評価基準は以
下のとおりである。まず「鋳造性」については、再現性
の良否及び石膏の熱分解に起因する鋳巣(巣、穴)発生
の有無を観察したもので、再現性がよく、巣、穴等の鋳
造欠陥がない場合を◎印、再現性にやや欠ける場合を○
印、巣、穴等の鋳造不良が多い場合を△印、巣、穴等の
鋳造不良が生じる場合を×印とした。次に、表面形状中
「バリ発生」については再現性が良く、バリの発生がな
い場合を○印、バリの発生がある場合を△印、バリが数
多く発生する場合を×印とし、また、表面形状中「表面
粗さ」については、面荒れがなく、表面が滑らかな場合
を◎印、表面の滑らかさが◎印のもの程ではないが、こ
れに準じるものを○印、部分的に面荒れがある場合を△
印、面荒れが全面にある場合を×印とした。
【0027】表2〜表3における「寸法公差」とは「鋳
造された金属物の寸法−ワックス品の寸法」(符号−は
マイナス、すなわち差し引くの意味)で示されるが、こ
の値は以下(1)〜(6)のとおりの方法により測定
し、判別した。(1)精密な寸法の金型を作製する(長
さ:7mm、幅:3mm、厚さ:3mm)。(2)該金
型からワックス型を取る。(3)該ワックス型を用いて
図1(b)〜(e)に示すようなロストワックス法によ
り金属を鋳造する。(4)該鋳造金属物を一個の精密な
寸法の金型中へ入れる〔該金型は(1)の金型と同じ寸
法〕。
【0028】(5)光学顕微鏡により該鋳造金属物と金
型との間隙を測定する。(6)、(5)における測定基
準は以下のとおりとする。プラス側=鋳造金属物がワッ
クス寸法より小さくなっている場合。マイナス側=鋳造
金属物がワックス寸法より大きくなっている場合。この
手法により−150〜−400±50μmの範囲である
場合を合格値の目安とし、表2〜3の判別欄中、この範
囲内の値であった場合には○印、この範囲からはみ出た
値の場合には×印として示している。
【0029】表2〜表3中、まず比較例1〜2と実施例
1〜2を対比すると、石膏ウィスカー、金属酸化物を添
加しない場合にも、実施例1〜2では、比較例1〜2に
比べて、鋳造性及び表面形状の点で格段に改善されてい
ることが明らかである。次に石膏ウィスカー及び金属酸
化物を添加した場合については、「鋳造性」の点ではN
iーCr系及びプレシャス系ともに実施例3〜13の何
れの実施例でも良好であり、本発明に係るスピネル(M
gOーAl23スピネル)が耐熱材として優れた特性を
有することが分かる。また比較例3は、スピネル粒径−
30μmのものを用いた例であるが、この場合には鋳造
性や寸法公差の性質は良好であるのに、バリが数多く発
生するとともに(表2中×印)、面荒れが全面にみられ
(表2中×印)、そのスピネルフィラーの粗粒性により
鋳造面に欠陥が生じている。
【0030】また表2〜表3のとおり、表面形状中「バ
リ発生」については、実施例1〜13の何れの実施例で
もその発生がなく、良好あることを示している。さらに
表面形状中「表面粗さ」については、唯一実施例6で部
分的に面荒れが認められるが(△印)、これを除く実施
例1〜5、実施例7〜13においては面荒れはないか
(◎印)、或いは僅かに観察されるだけで(実施例4、
12:○印)、滑らかな表面が得られており、この点で
も充分な特性を示している。
【0031】次に、各添加成分の量的割合如何による傾
向についてみると、表2中として示すように(実施例
3)、ZrCの添加量が少ないと、寸法公差が大きい
(すなわち鋳造品の寸法が小さい)。また表2中のよ
うに(実施例4)、ZrCの添加量が多いと、寸法公差
が小さく(すなわち鋳造品の寸法が大きい)、僅かでは
あるが面荒れが認められる(表面粗さ:○印)。さらに
表3中のように(実施例5)、石膏ウィスカーが少な
いと、寸法公差が大きく(すなわち鋳造品の寸法が小さ
い)。
【0032】また表3中、のように(実施例6)、石
膏ウィスカーが多いと、寸表面粗さの点で部分的に面荒
れが観察される(表面粗さ:△印)。このように、本発
明によれば、結合材として石膏を用いる石膏系埋没材に
おいて、耐熱材成分としてスピネル(MgOーAl23
スピネル)を用いることにより、優れた耐熱特性を付与
することができるだけでなく、さらに石膏ウイスカー及
び金属化合物:ZrC又はTiCを所定量添加すること
により、高融点金属の鋳造を可能とし、優れた鋳造成形
物を得ることができる。
【0033】
【表 2】
【0034】
【表 3】
【0035】
【発明の効果】以上のとおり、結合材として石膏を用い
る石膏系埋没材の耐熱材としてMgOーAl23スピネ
ルを用いることにより、石膏系埋没材本来の特性を充分
に保持しつつ、高温鋳造特性に優れた高温鋳造用石膏埋
没材が得られる。すなわち本発明によれば、歯科用石膏
系鋳造埋没材として操作性が良く、鋳造物の寸法変
化に対して適合性を有するとともに、掘り出し性など
の諸特性を充分に満足させ、鋳造物について鋳造不良
が生ずることなく、しかもバリ発生や表面粗さの問題
を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】人工歯冠を作製する場合を例としたロストワッ
クス精密鋳造法の概略を示す図。
【図2】石膏に対して石膏ウィスカーを添加した場合に
おける、石膏ウィスカー添加量と石膏の膨張率との関係
の実測図(温度800℃)。
【符号の説明】
1 型(例:歯型) 2 鋳造用パターン 3 鋳型用材料 4 除去工程前のワックス型 5 ワックスが除去されて形成された空洞部分
フロントページの続き (72)発明者 坂 清子 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (56)参考文献 特開 平7−164096(JP,A) 特開 平6−234612(JP,A) 特開 平6−234613(JP,A) 特開 平8−141694(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 1/00 - 3/00 B22C 9/02 A01C 13/20 A61K 6/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱材と結合材としての半水石膏を含む
    歯科用石膏系鋳造埋没材において、該耐熱材がMgOー
    Al23スピネルよりなり、且つ、該MgOーAl 2 3
    スピネルが粒径20μm以下の粉末であることを特徴と
    する歯科用石膏系鋳造埋没材。
  2. 【請求項2】 耐熱材としてのMgOーAl23スピネ
    ルと結合材としての半水石膏を含む歯科用石膏系鋳造埋
    没材において、該石膏系鋳造埋没材100重量部に対し
    て、外添加で、収縮抑制剤としての石膏ウィスカーを
    0.5〜20重量部、膨張剤としてのZrC又はTiC
    を0.5〜5重量部添加してなり、且つ、該MgOーA
    2 3 スピネルが粒径20μm以下の粉末であることを
    特徴とする歯科用石膏系鋳造埋没材。
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