JPH10113745A - 石膏組成物及び金属鋳造用石膏埋没材 - Google Patents

石膏組成物及び金属鋳造用石膏埋没材

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JPH10113745A
JPH10113745A JP28935996A JP28935996A JPH10113745A JP H10113745 A JPH10113745 A JP H10113745A JP 28935996 A JP28935996 A JP 28935996A JP 28935996 A JP28935996 A JP 28935996A JP H10113745 A JPH10113745 A JP H10113745A
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gypsum
metal
casting
weight
silicon dioxide
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JP28935996A
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Yoichi Fukuda
洋一 福田
Takahiro Ito
貴弘 伊藤
Kiyoko Saka
清子 坂
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Noritake Co Ltd
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Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】石膏の分解温度を上げ、従来の熱分解抑制剤に
比べてその耐熱分解性を大幅に改善してなる石膏組成物
及び金属鋳造用石膏埋没材を得る。 【解決手段】半水石膏に対して含水無晶形二酸化ケイ素
又はMgSO4・7H2Oを石膏の分解抑制剤として添加
してなることを特徴とする石膏組成物、この石膏組成物
と金属酸化物よりなる耐熱材を含んでなることを特徴と
する金属鋳造用石膏埋没材、並びに、この金属鋳造用石
膏埋没材に対して石膏ウィスカー及びZrCの粉末を添
加してなることを特徴とする金属鋳造用石膏埋没材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石膏組成物及び金
属鋳造用石膏埋没材に関し、より具体的には耐高温分解
性に優れ、例えばロストワックス法等における埋没材
(鋳型材)として使用される石膏組成物及び金属鋳造用
石膏埋没材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂
などの合成樹脂や各種金属等の鋳造法には各種のものが
あるが、例えばロストワックス法は精密鋳造法の一種と
して知られ、この方法は精密さが要求される歯科用金属
補綴物(クラウン、ブリッジ、インレー等)の作製など
にも適用されている。図1はその一例として人工歯冠を
作製する場合を例としたロストワックス法の概略を示す
図である〔技報堂出版(株)「セラミック工学ハンドブ
ック」1989年、p.1586〕。図1(a)中、符
号1は歯型であり、歯型1は例えば口腔内で採取した印
象母型から採得された模型から印象材により作製され
る。
【0003】上記印象材の材料としては石膏系、金属
系、樹脂系、セメント系などが用いられる。これら材料
からなる歯型1の面上にワックスを加熱軟化して注入す
ることにより、ワックスからなる鋳造用パターン2が形
成され、次いで鋳造用パターン2は埋没工程に移され
る。図1(b)はその埋め込み工程を示すものである。
鋳造用パターン2を容器内に図示のように懸架し、これ
に鋳型用材料(=埋没材)3が、好ましくはスラリーと
して鋳造用パターン2が埋没する程度に流し込まれる。
鋳型用材料すなわち埋没材3は、例えば石英、クリスト
バライトなどの耐熱材と石膏、リン酸塩、或いはシリカ
ゲルなどの結合材によって構成される。
【0004】埋没材3が固結した後、鋳造用パターン2
を構成するワックスを溶融、或いは燃焼させて除去する
工程に移される。図1(c)はそのワックス除去工程前
の状態を示し、図1(d)はワックス除去工程終了時の
状態を示す図である。図1(c)〜(d)中符号4は固
結した埋没材3で形成された鋳型であり、図1(d)中
符号5はワックスが除去されて形成された空洞部分(す
なわち空洞型)を示している。次いで、上記ワックスの
溶融、或いは燃焼による除去工程により形成された空洞
型5内にNiーCr系もしくはプレシャス系或いはセミ
プレシャス系金属などの融液の鋳込みが行われる。
【0005】図1(e)は該融液の鋳込み状態を示すも
ので、この鋳込み工程終了後、冷却され、鋳型用材料す
なわち埋没材3を除去して(鋳造成形体を掘り出して)
鋳造成形体を取り出し、加工研磨工程が行われる。図1
(f)は加工研磨工程前の状態を示し、図1(g)はそ
の工程終了後に得られた製品、すなわち本説明例の場合
人工歯冠である。以上はいわゆる間接法と称される方式
であるが、口腔内で採取した印象母型に直接埋没材を注
入して埋没材模型を作り、その上にワックス模型を築造
し、そのワックス模型を取り外すことなく、さらにその
上に埋没材を注入してワックス模型を埋設して鋳型とす
る直接方式も行われている。
【0006】例えば、上記のようなロストワックス法の
鋳型用材料3、すなわち埋没材(=ワックス除去工程
後、鋳型となる)として石膏系を使用する場合、石膏自
体は操作性が良好で取り扱いが容易であるが、その反
面、鋳造温度が高いものについては石膏の熱分解により
鋳造体が脆化あるいは汚染されるという問題があり、例
えば石膏は、その種類により異なるが、温度800℃も
しくは850℃程度から分解が起こり、特に減水剤等の
存在によりその石膏系複合体に還元が生じることにより
石膏の分解が促進されることが知られている。
【0007】このため、例えばロストワックス法に適用
し得る埋没材としては、金合金、銀合金など比較的溶融
点の低い合金(すなわち低溶合金)の場合には、石膏系
の埋没材が使用され、陶材焼付用の貴金属系合金、陶材
焼付用のセミプレシャス系合金、或いはNiーCr系合
金(例えばNi:75wt%、Cr:15wt%、M
o:5wt%、その他:Al等)など比較的溶融点の高
い合金(すなわち高溶合金)の場合には、リン酸塩系の
埋没材が使用されている。しかし、高温融点合金用の上
記リン酸塩系の埋没材は使用時に粘性の高いコロイドシ
リカ溶液を用いる必要があるため、その操作性に難があ
り、また凝結膨張が不均一であるためワックスパターン
が変形することや鋳型強度が大き過ぎて掘り出し時に目
的とする鋳造体を破損するなどの欠点を有している。
【0008】一方、石膏系の埋没材の場合には、その操
作性については良好であるが、耐熱性に劣り、高溶合金
の溶湯が石膏と接触すると上述のように石膏が熱分解し
てガスを発生し、これが焼き付けや鋳巣の原因となり、
また目的とする鋳造体が脆化し、或いは汚染されること
になるなど、どうしても越えられないマイナス面の物性
を持つという課題があった。
【0009】本発明者等は、石膏系の埋没材における上
記課題を克服し、改良した埋没材として、金属鋳造時に
生じる石膏の分解を抑制する化合物としてコバルト化合
物、チタン化合物、タングステン化合物、ニッケル化合
物、クロム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、セレ
ン化合物又はスズ化合物を添加してなる石膏系埋没材を
先に開発し出願しているが(特願平8ー29123
号)、本発明においては、さらに石膏の分解抑止上有効
な分解抑制剤として各種化合物について検討、追求した
ところ、特定の含水化合物がその分解抑制剤としてきわ
めて有効であることを見い出し、本発明に到達するに至
ったものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明は、
従来の技術における前記のような諸欠点をなくし、石膏
の分解抑制剤として特定の含水化合物、すなわち含水無
晶形二酸化ケイ素又は硫酸マグネシウム7水和物からな
る含水化合物を添加することにより、石膏の分解温度を
上げ、従来の熱分解抑制剤に比べてその熱分解性を大幅
に改善してなる石膏組成物及び金属鋳造用石膏埋没材を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、半水石膏に対
して、石膏の分解抑制剤として含水無晶形二酸化ケイ素
又はMgSO4・7H2O(硫酸マグネシウム7水和物)
を添加してなることを特徴とする石膏組成物を提供す
る。また、本発明は、半水石膏に含水無晶形二酸化ケイ
素又はMgSO4・7H2Oを石膏の分解抑制剤として添
加してなる石膏組成物と金属酸化物よりなる耐熱材を含
んでなることを特徴とする金属鋳造用石膏埋没材を提供
する。
【0012】さらに、本発明は、半水石膏に含水無晶形
二酸化ケイ素又はMgSO4・7H2Oを石膏の分解抑制
剤として添加してなる石膏組成物と金属酸化物よりなる
耐熱材を含んでなる金属鋳造用石膏埋没材において、該
金属鋳造用石膏埋没材100重量部に対して、石膏ウィ
スカー0.5〜30重量部を外添加し、且つZrCの粉
末0.5〜10重量部を外添加してなることを特徴とす
る金属鋳造用石膏埋没材を提供するものである。なお、
本明細書中「外添加」とは金属鋳造用石膏埋没材100
重量部に加えて、すなわちオンしてという意味であり、
例えば外添加5重量部の場合、全体としては100+5
=105重量部となる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の石膏組成物は、上記特定
の分解抑制剤を使用することにより、例えば温度850
〜900℃、或いは1000℃以上というような高温に
おいても優れた耐熱特性が得られる。このため例えば1
350℃〜1400℃での高温鋳造に際して焼き付けや
鋳巣が生じず、目的とする鋳造体について鋳造不良のな
い(脆化や汚染されることのない)埋没材が可能とな
り、例えば歯科用のプレシャス(貴金属)系、セミプレ
シャス系、或いはNiーCr系などの高融点金属用の石
膏埋没材への使用はもちろん、低融点金属ないし中融点
金属用としても適用でき、また石膏ボード等、耐熱性が
要求される石膏系複合体の主成分又はその添加成分とし
ても使用することができる。
【0014】本発明に係る石膏組成物は、半水石膏に対
して、石膏の分解抑制剤として含水無晶形二酸化ケイ素
又はMgSO4・7H2Oを添加してなるが、このうち含
水無晶形二酸化ケイ素としては無定形二酸化ケイ素、ガ
ラス状二酸化ケイ素又はコロイド状二酸化ケイ素(例え
ばシリカゲル)の何れも使用できるが、水分を含有して
いることが不可欠であり、この点、本発明において該石
膏組成物を金属鋳造用石膏埋没材や耐熱性石膏系複合体
として適用する場合についても同じである。
【0015】また本発明では、上記石膏組成物に対して
金属酸化物からなる耐熱材を添加することにより歯科用
金属補綴物を製造する場合などに適用される高融点金属
用の石膏埋没材を構成するが、この耐熱材、すなわち金
属酸化物としてはアルミナ、電融アルミナ、石英、クリ
ストバライト、マグネシア、ジルコニア、合成珪酸アル
ミニウム、MgOーAl23スピネル及びこれらの混合
物を挙げることができる。このうちMgOーAl23
ピネルについては、本発明者等が本発明と相前後してそ
の有効性を見い出し、開発したものである。
【0016】NiーCr系合金やプレシャス系合金(A
u:70〜80wt%、他にPd、Pt、Ag等を含
む)、或いはセミプレシャス系合金(Au:50wt%
以下、他にPd、Pt、Ag等を含む)などの高融点金
属の鋳造においては、その鋳型材(埋没材)には凝固膨
張と加熱膨張とを合わせた総合膨張が少なくとも2〜3
%程度必要であるが、従来の石膏系鋳型材では1.2〜
1.9%程度が限界であった。図2は石膏に対して石膏
ウィスカーを添加した場合における、石膏ウィスカー添
加量と石膏の膨張率との関係を実測してグラフ化した図
である。図2のとおり、石膏に対して石膏ウィスカー無
添加の場合には−3.2もの膨張があったものが、石膏
100重量に対する石膏ウィスカー0.5重量部の添加
で0%、10重量部の添加で1.4%の膨張となり、3
0重量部を超えると再びマスナスの膨張となることを示
している。
【0017】本発明者等は石膏を加熱すると例えば温度
800℃で3.0〜3.5%もの加熱収縮があることを
確認し、上記事実を基にして石膏ウィスカーを添加し、
さらに特定金属の炭化物、窒化物、硼化物、珪化物から
選択される1種又は2種以上の粉末を添加することによ
り、そのような加熱収縮の抑制、制御を有効に行う技術
を先に開発しているが(特願平5ー310476号)、
本発明においても、上記「半水石膏に含水無晶形二酸化
ケイ素又はMgSO4・7H2Oを石膏の分解抑制剤とし
て添加してなる石膏組成物と金属酸化物よりなる耐熱材
を含んでなる金属鋳造用石膏埋没材」に対して、石膏ウ
イスカー及びZrCの粉末を加えることにより高温域に
おける加熱収縮を抑制し、適正範囲に制御することがで
きる。
【0018】それら添加成分の量的割合としては、上記
金属鋳造用石膏埋没材100重量部に対して、外添加
で、石膏ウィスカーについては好ましくは0.5〜20
重量部の範囲であり、ZrCの粉末については好ましく
は0.5〜10重量部の範囲である。図2によれば総合
膨張を2〜3%程度とするには石膏ウィスカーを約0.
5〜30重量部の範囲で加え得るが、本発明においては
ZrCの粉末をも加える関係から、0.5〜20重量部
程度の範囲であればその添加目的を達成することができ
る。この場合における石膏ウイスカーとしては好ましく
は直径=約2〜5μm、平均長さ=50〜100μm、
アスペクト比(=繊維長さ/直径)=約20〜50で無
水塩型のものが使用される。
【0019】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明がこれら実施例により制限されない
ことはもちろんである。試験1(実施例1〜7、比較例
1〜14)では、石膏に対して各種成分を添加した場合
における石膏の高温分解に対する抑制効果を試験し、ま
た試験2(実施例8〜11、比較例15〜18)では、
石膏組成物に対して、耐熱材の一例としてMgOーAl
23スピネルを添加し、膨張剤及び収縮抑制剤の一方又
は両方を加えた石膏埋没材を用いて鋳造金属を作製した
各種試料についての試験結果を記載している。
【0020】《試験1》本試験1では、まずα石膏に対
してCaSO4・2H2O、SiO2・nH2O、CoO、
TiO2、WO3、NiO、Cr23、ZnO又はMgS
4・7H2Oを添加し、表1〜表2に示すとおりの量的
割合の石膏組成物を調合した。次いで、これらの調合物
の各試料のそれぞれについて、温度700℃及びそれ以
上の温度800℃、850℃、900℃、1000℃の
各温度に加熱して1時間保持した後、冷却した。これら
各試料について熱分解の有無及び程度を調べた。表1〜
表2はこれらの試験の結果を示すものである。なお表1
〜表2中、比較例1はα石膏単独の場合の結果であり、
またSiO2 ・nH2O 成分としてはコロイドシリカ
(ホワイトカーボン)を用いたが、比較例8ではpH値
10.6〔強熱減量(H2O):5.0%〕のものを使用
し、実施例1及び実施例2においては、それぞれpH値
7.0〔強熱減量(H2O):6.2%〕及び5.8〔強
熱減量(H2O):4.4%〕のものを使用している。
【0021】表1〜表2中、○印はフェノールフタレイ
ン反応により赤色発色全くなし、△印はフェノールフタ
レイン反応により僅かな赤色発色有り、×印はフェノー
ルフタレイン反応により強い赤色発色有りの場合を示し
ている。石膏が分解する場合には、下記式に示されるよ
うに酸化カルシウム:CaOを生成し、冷却後も残存す
るので、本試験においてはこのCaOを水和してフェノ
ールフタレイン溶液でとらえて測定したものである。
【化 1】4CaSO4 + 4C → 4CaO
+ 4CO↑ + 4SO2
【0022】表1〜表2から明らかなとおり、α石膏単
独の場合(比較例1)では、既に温度850℃で赤色発
色が観察され、その温度を超えると急速に分解されるこ
とを示している。そしてこの点は、比較例11(α石膏
100重量部+WO3 5部)や比較例12(α石膏10
0重量部+NiO5重量部)の場合にも僅かの改善はあ
るがほぼ同様である。また、α石膏100重量部に対し
てZnO5重量部を添加した場合では、700℃で赤色
発色が観察され、返って熱分解温度を低下させてしまう
ことを示している(比較例14)。さらにα石膏100
重量部に対してCaSO4・2H2Oを添加したものでは
(比較例2〜7)、温度850℃において僅かではある
が赤色発色が観察され、900℃程度まではほぼ同様で
あるが、1000℃では強い赤色発色が認められ、α石
膏100重量部に対してCr23を5重量部添加したも
のでもほぼ同様の傾向を示している(比較例13)。
【0023】これに対して、α石膏に対してSiO2
nH2O又はMgSO4・7H2Oを添加した場合には、
分解温度が高温側に大幅にシフトしていることが分か
る。例えば実施例1(α石膏100重量部+SiO2
nH2O5重量部、pH=7、強熱減量=6.2%)や
実施例2(α石膏 100重量部+SiO2・nH2O 5
重量部、pH=5.8、強熱減量=4.4%)の場合に
は、温度900℃でも赤色発色は全くなく、また実施例
4〜7のようにα石膏に対してMgSO4・7H2Oを添
加した場合には、温度1000℃でも僅かな分解が認め
られるだけである。このように本発明による高温におけ
る石膏分解の抑制効果は明らかである。
【0024】また実施例1〜2を比較例8と対比する
と、同じSiO2・nH2Oでも、pH値の如何により格
段の差異があることが分かる。pH値10.6のSiO2
・nH2Oを用いた場合である比較例8では、α石膏単独
の場合である比較例1よりさらに劣り、返って石膏の熱
分解が促進されていることを示している。この点からし
て、SiO2・nH2Oを用いる場合には、pH=7前後
以下である必要があり、この点に関してさらに補足実験
をしたところ、少なくともpH値8以下でないと所期の
石膏分解抑制効果が得られないことが分かった。
【0025】《試験2》本試験2では、まず−20μm
のスピネル(MgOーAl23スピネル)、α石膏及び
SiO2・nH2O(pH=7、強熱減量=6.2%)を
含む組成物に対して、石膏ウイスカー又はZrCを含む
各種組成物、或いは石膏ウイスカー及びZrCの両者を
含む各種組成物を調合したが、ZrCは粉末として添加
した。これらの各調合物を用いて図1中(b)〜(e)
に示すような工程で高融点金属を鋳造した場合につい
て、鋳造性、寸法公差及び表面形状を試験した。表3は
これら試験の結果である。表3中、「鋳造性」及び「表
面形状」については、良好である場合を○印とし、また
「鋳造性」の欄中におけるNiーCrとは鋳造金属とし
てNiーCr系の合金を用いた場合、PRとは鋳造金属
としてPdーAg系のセミプレシャス合金(Pd:60
wt%、Ag:28wt%、In、Sn:12wt%、
Ga:微量)を用いた場合を示している。
【0026】表3中における「寸法公差」とは「鋳造さ
れた金属物の寸法−ワックス品の寸法」(符号−はマイ
ナス、すなわち差し引くの意味)で示されるが、この値
は以下のとおりの測定方法により計測した。(1)精密
な寸法の金型を作製する(長さ:7mm)。(2)該金
型からワックス型を取る。(3)該ワックス型を用い
て、図1(b)〜(e)に示すようなロストワックス法
により金属を鋳造する。(4)該鋳造金属物を一個の精
密な寸法の金型中へ入れる。(5)光学顕微鏡により該
鋳造金属物と金型との間隙を測定する。(6)、(5)
における測定基準は以下のとおりとする。プラス側=鋳
造金属物がワックス寸法より小さくなっている場合。マ
イナス側=鋳造金属物がワックス寸法より大きくなって
いる場合(寸法公差が大きくなる)。この手法により−
150〜−400±50μmの範囲の値を合格値の目安
とし、表3中、この範囲内の値であった場合には○印、
この範囲からはみ出た値の場合には×印として示してい
る。
【0027】表3から明らかなとおり、「鋳造性」及び
「表面形状」については何れの実験例でも良好あるが、
「寸法公差」については明白な差異が認められる。表3
中比較例15は膨張剤としてZrCを添加していない例
であるが、この場合には寸法公差が小さく(+で示され
る、表3中参照)、一方、膨張剤としてのZrCの添
加が多い場合には寸法公差が大きくなっていた(−で示
される、表3中比較例16、ZrC量=12重量部、
参照)。また表3中比較例17は収縮抑制剤としての石
膏ウイスカーを添加していない例であるが、この場合に
は寸法公差が小さく(表3中参照)、一方、収縮抑制
剤としての石膏ウイスカーの添加量が多い場合には寸法
公差が小さくなっていた(表3中比較例18、石膏ウイ
スカー量=30重量部、参照)。
【0028】これに対して、表3中実施例8〜11のと
おり、石膏ウイスカー及びZrCの両成分を適正量加え
た場合には、鋳造性及び表面形状が良好であることに加
え、寸法公差についても許容範囲内であった。また、各
実施例で得られた鋳造成形物を目視により観察したとこ
ろ、何れにも焼き付けや汚染は認められなかった。この
ように本発明によれば、本発明に係る石膏の分解抑制剤
に加え、所定の膨張剤及び収縮抑制剤を加えた埋没材を
用いることにより、優れた鋳造成形物が得られる。
【0029】
【表 1】
【0030】
【表 2】
【0031】
【表 3】
【0032】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の石膏組成物は、
石膏に対して分解抑制の効果のある分解抑制剤として含
水無晶形二酸化ケイ素又は硫酸マグネシウム7水和物か
ら選ばれた含水化合物を添加することにより、石膏の分
解温度を従来の熱分解抑制剤と比べて大幅に改善するこ
とができ、例えば温度850〜900℃、或いは100
0℃以上というような高温においても優れた耐熱特性が
得られる。このため、例えば歯科用のプレシャス(貴金
属)系、セミプレシャス系、或いはNiーCr系などの
高融点金属用の石膏埋没材への適用はもちろん、低融点
金属ないし中融点金属用としても適用でき、また石膏ボ
ード等、耐熱性が要求される石膏系複合体の主成分又は
その添加成分としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一例として人工歯冠を作製する場合を例とした
ロストワックス精密鋳造法の概略を示す図。
【図2】石膏に対して石膏ウィスカーを添加した場合に
おける、石膏ウィスカー添加量と石膏の膨張率との関係
の実測図(温度800℃)。
【符号の説明】
1 型(例:歯型) 2 鋳造用パターン 3 鋳型用材料 4 除去工程前のワックス型 5 ワックスが除去されて形成された空洞部分
フロントページの続き (72)発明者 坂 清子 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半水石膏に対して、含水無晶形二酸化ケイ
    素又はMgSO4・7H2Oを石膏の分解抑制剤として添
    加してなることを特徴とする石膏組成物。
  2. 【請求項2】上記含水無晶形二酸化ケイ素が、pH8以
    下の含水無晶形二酸化ケイ素である請求項1記載の石膏
    組成物。
  3. 【請求項3】半水石膏に含水無晶形二酸化ケイ素又はM
    gSO4・7H2Oを石膏の分解抑制剤として添加してな
    る石膏組成物と金属酸化物よりなる耐熱材を含んでなる
    ことを特徴とする金属鋳造用石膏埋没材。
  4. 【請求項4】半水石膏に含水無晶形二酸化ケイ素又はM
    gSO4・7H2Oを石膏の分解抑制剤として添加してな
    る石膏組成物と金属酸化物よりなる耐熱材を含んでなる
    金属鋳造用石膏埋没材において、該金属鋳造用石膏埋没
    材100重量部に対して、石膏ウィスカー0.5〜30
    重量部を外添加し、且つZrCの粉末0.5〜10重量
    部を外添加してなることを特徴とする金属鋳造用石膏埋
    没材。
JP28935996A 1996-10-11 1996-10-11 石膏組成物及び金属鋳造用石膏埋没材 Pending JPH10113745A (ja)

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