JP4089798B2 - 表面検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、表面に存在する異物の位置を高精度に測定する表面検査装置に関するものである
【0002】
【従来の技術】
従来の表面検査装置は、検査対象物表面を照射光束で螺旋スキャン又は直線状のラスタスキャンを行い、表面からの反射光による各受光信号のレベルに応じて反射表面にある異物を検出する装置は知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来装置において、ビームを連続的に移動する方向を主走査方向と呼び、ビームを離散的に移動する方向を副走査方向と呼ぶとすると、副走査方向の異物の検出対象の位置を高い分解能で測定しようとする場合、走査方向のビームの移動ピッチを細かくする必要が生じる。
【0004】
しかし、副走査方向のビームの移動ピッチを細かくすると、タクトタイムが長くなり、長い測定時間を要するという欠点が生じる。
【0005】
本発明は、副走査方向のビームの移動ピッチを細かくせず、タクトタイムを長くしなくても、副走査方向の異物の検出対象の位置を高い分解能で測定しうる表面検査装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の好適な解決手段は、前述の各請求項に記載の表面検査装置である。
【0007】
本発明による表面検査装置は、半導体ウェーハその他の表面に存在する異物(ゴミやキズその他を含む広義の異物)の位置を高精度に測定する表面検査装置である。
【0008】
例えば、本発明による表面検査装置は、光源と、この光源からの照明光を検査対象物の表面に所定のビーム径で照射する照射光学系と、照射光学系で照射された、上記検査対象物の表面に存在する異物から散乱光を受光する受光光学系と、該受光光学系で受光された上記散乱光から表面データ信号を形成する受光部と、上記検査対象物の表面と、上記照射光学系及び上記受光光学系とを相対的に主走査方向に連続的に、副走査方向に上記照明光のビーム径以下の所定のピッチで離散的に変位させる変位部と、上記表面データ信号から上記検査対象物の表面に存在する異物を、スタート位置、ピークレベル及びエンド位置を含む異物データとして特定し、かつ副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物データのピークレベルと上記所定のピッチと上記所定のビーム径のデータ少なくとも用い、上記検査対象物の表面に存在する異物が2回以上のスキャンでデータ検出された際の、該異物の副走査方向の真の位置を求める異物検出部を備えていることを特徴とする表面検査装置である。
【0009】
好ましくは、上記異物検出部は、副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物データピークレベルにガウシャン補正を施し、上記検査対象物の表面に存在する異物が2回以上のスキャンでデータ検出された際の、該異物の副走査方向真の位置を求めるように構成する。
【0010】
また、上記異物検出部は、上記照射光学系の照射光束の強度分布を所定曲線と仮定し、副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物データの前記ピークレベル、上記所定のピッチ、および上記所定のビーム径のデータに基づき、上記検査対象物の表面に存在する異物の副走査方向の真の位置を求めるように構成する。
【0011】
また、上記異物検出部は、上記照射光学系の照射光束の強度分布をガウス曲線と仮定して、副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物表面データの前記ピークレベルに基づき、上記検査対象物の表面に存在する異物の副走査方向の位置を下記式1により求めるように構成する。
【0012】
【数1】
Figure 0004089798
式1において、xはn番目のスキャンの中心ビームの位置から異物の位置を引いた副走査方向の距離、Dはビーム径、pは走査間隔、nはビームの走査番号、Inはn番目受光信号のピークレベル、In+1は、n+1番目の受光信号のピークレベルである。
【0013】
上記異物検出部は、副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物データのピークレベル、スタート位置エンド位置、上記所定のピッチ、および上記所定のビーム径のデータを用い、上記検査対象物の表面に存在する異物中心の主走査方向及び副走査方向の真の位置を求めるように構成するものである。
【0014】
また、上記異物検出部は、副走査方向で隣接した少なくとも2つの表面データ信号の開始位置、終了位置から検出対象物の重心位置を求め、上記検査対象物の表面に存在する異物の主走査方向及び副走査方向の位置を求めることが可能である。
【0015】
好ましくは、上記異物検出部は、さらに異物データのスタート位置およびエンド位置のデータを用い、上記検査対象物の表面に存在する異物中心の主走査方向及び副走査方向の真の位置を求めるように構成したものである。
【0016】
好ましくは、上記異物検出部は、異物データのピークレベル、スタート位置およびエンド位置のデータを用い、表面データ信号中で異物により形成される断面積を求め、上記所定のピッチおよび所定のビーム径のデータより副走査方向で隣接した少なくとも2つの前記断面積に三次元的にガウシャンフィットを施し、上記検査対象物の表面に存在する異物中心の主走査方向及び副走査方向の真の位置を求めるように構成する。
【0017】
【発明の実施の形態】
半導体ウェーハの表面検査装置を例にとって説明すると、半導体ウェーハの表面に存在するゴミやキズその他の異物の位置を測定するとき、ビームスキャンの方法はいろいろなものがあるが、いれの走査方法であっても、異物の散乱光がスレッショルドを超えたら、その点をスタートと記憶し、さらにスレッショルドを下回た点をエンドと記録し、それらのスタートとエンドの間で異物散乱光のピークを記録し、それらのスタート、エンド及びピークを1つの異物のデータとして扱う。例えば、異物の散乱光を分解能の高いA/Dセンサーで捕らえ、スレッショルド以上の点をスタートと記憶し、異物散乱光のピークを記録し、スレッショルドを下回た点をエンドと記録し、それらを1つの異物のデータとして扱う。
【0018】
好ましくは、A/Dクロックカウンタを利用し、各ポイント(スタート、ピーク、エンド)の正確な座標をデータとして記録する。さらに、1データとして、スキャン方向の座標と現在のスキャン回数を保有する。
【0019】
一つの異物が2回以上のスキャンでデータ検出された場合、そのスキャン時のピークデータ(データの最大値)を利用し、ガウシャン補正(詳細は後述する)を行い、その異物が有する理想のピーク位置を計算して求める。そして、求められたピーク位置の座標をその異物の真の座標として記録する。さらに、求められたピーク位置のデータ値をその異物の真のピークデータとして記録する。
【0020】
これとは別の方法は、次のとおりである。すなわち、一つの異物が2回以上のスキャンでデータ検出された場合、その異物データのスタート及びエンドにより構成される面積の重心位置を求め、それを異物の真の座標位置とする。
【0021】
さらに別の方法は、次のとおりである。すなわち、一つの異物が2回以上のスキャンでデータ検出された場合、その異物データのスタート、エンド及びピークの位置データよりガウシャン補正を行い、2次元の断面積を算出する。各スキャン毎に断面積を求め、その断面積の形状から、さらにガウシャン補正を3次元的に施し、真の中心座標を求める。つまり、ビームを連続的に移動する方向(主走査方向)とビームを離散的に移動する方向(副走査方向)の両方向においてガウシャン補正を行なうのである。また、求めた真の座標のデータをピークとして記録する。
【0022】
以上のように処理すれば、ビームを離散的に移動する方向(副走査方向)において粗いスキャンピッチ(スキャンの間隔)で走査しても、異物の座標精度を向上させる事が可能になる。また、真のピークデータが計算されることになるので、スキャンビーム形が補正され、同一の光パワーで走査された事と等価になり、異物の散乱光のバラツキを抑えることになる。その結果、より正確な異物検査が可能になる。
【0023】
また、前述のようにガウシャン補正されたビーム形と機械的精度が得られれば、粗いスキャンピッチで得られたデータから精度の高い座標位置とピークデータを求めることができる。
【0024】
ガウシャン補正について説明する。
【0025】
(A)まず、走査方向でのピークデータのガウシャン補正について説明する。
【0026】
1.粗いピッチで走査したデータ(スタート、ピーク、エンド、スキャン回数)がーつ以上の場合、各スキャン位置でのピークデータ(座標を含む)にガウシャンフィットを施す。
【0027】
2.一つ以上のデータのピークを結ぶガウシャン曲線が求められると、その曲線のピーク座標位置とピークデータが求められる。
【0028】
3.そのデータを真の異物の座標とピークデータとする。
【0029】
(B)次は、スタート、エンドによって囲まれた面積より求める方法を説明する。
【0030】
1.粗いピッチで走査して得たデータ(スタート、ピーク、エンド、スキャン回数)が一つ以上の場合、各スキャン位置でのスタート、エンドで囲まれた面積を求める。
【0031】
2.この面積に対し、重心を求める。
【0032】
3.この重心位置を真の異物の座標とする。
【0033】
(C)一スキャン毎のガウシャン断面積から求める方法を説明する。
【0034】
1.スキャン毎に得られたデータ(スタート、ピーク、エンド)を用い、ガウシャンフィットを施す。
【0035】
2.一つ以上のスキャンデータがある場合、異物からのスキャン毎の断面積が得られる。
【0036】
3.この断面積を用い、三次元的にガウシャンフィットを施し、真の座標とピークデータを求める。
4.そのデータを真の異物の座標とピークデータとする。
【0038】
この発明により次の事が可能になる。
【0039】
粗いスキャンピッチでも十分精度の良い座標を得られる。また、走査光の形状に左右されることなく、均一なパワーで走査したことと等価になり、データのバラツキが減少する。
【0040】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0041】
図1を参照して、走査方向でのピークデータのガウシャン補正方法を説明する。
【0042】
図1において、主走査方向にレーザビームを連続的に移動する。しかも、レーザビームは副走査方向に離散的に移動する。走査方式として、ウエーハを回転させ、これにレーザビームを照射し、回転されたウエハとレーザビームとの間の相対位置を変化させて、レーザビームがウエハ表面をらせん状に走査するタイプと、ウエーハに対してレーザビームを直線状に移動させて主走査を行い、そのウエハとレーザビームとを主走査方向と直行する方向(副走査方向に)離散的に移動させ副走査を行う、レーザビームがウエハ表面を直線状に走査するタイプとがある。らせん状走査の例としては、特願平9−345736号が挙げられる。たとえば、図1の(A)に示すように、ウェーハ表面で矢印1の方向(主走査方向)にレーザビーム4を連続的に走査したあと、矢印2の方向(主走査方向)にレーザビーム5を連続的に走査する。このとき、異物3がウェーハ表面に存在すると、レーザビーム4及び5の両方とも、走査時に、その異物3の散乱光が分解能の高いA/Dセンサーで捕らえられる。このように一つの異物3が2回以上のスキャンでデータ検出された場合、ガウシャン補正を行う。
【0043】
粗いピッチで走査したデータ(スタート、ピーク、エンド、スキャン回数)が一つ以上の場合、図1の(B)に細い破線で示すように、各スキャン位置でのピークデータ(座標を含む)にガウシャンフィットを施し、一つ以上のデータのピークを結ぶガウシャン曲線6を求め、図1の(C)に太い破線7で示すように、その曲線6のピーク座標位置とピークデータを求める。そして、そのデータを真の異物の座標とピークデータとする。
【0044】
つぎは、ガウスビームの2点の測定値とピーク位置との関係について具体的に説明する。
【0045】
図10は、ビーム径200μmのガウスビームにおけるピーク値と強度比の関係を示している。実線は、ピッチ100μmの場合を示し、破線は、ピッチ50μmの場合を示す。
【0046】
中心強度L0 、ビーム径D(1/e2 )のレーザビームでウェーハ表面上を走査する表面検査装置において、あるパーティクル(異物)からの検出光量が、最初のスキャン時にI1 となり、副走査方向に離散的に移動したピッチpでの次のスキャン時にI2 となった場合に、最初のスキャンの中心ビームからパーティクルの位置までの距離xを計算する。ここで、距離xは、最初のスキャンの中心ビームの位置からパーティクルの位置を引いた値である。
【0047】
パーティクルからの散乱と検出効率を掛け合わせた検出効率をaとする。またrはビーム半径(D/2)である。
【0048】
【数2】
Figure 0004089798
以上の結果、最初のスキャンの中心ビーム位置からパーティクルの位置を引いた値である距離xは以下の通りになる。
【0049】
【数3】
Figure 0004089798
また、ビーム中心がパーティクル中心と一致した場合の検出光量I0は、以下のようになる。
【0050】
【数4】
Figure 0004089798
3個以上のピークデータを使用する場合は、各2個の組み合わせで求めた値の平均値あるいは、最小二乗法で近似する等の統計的方法を用いることができる。図11,12を参照して、スタート、エンドによる囲まれた面積より異物の座標を求める方法を説明する。
【0051】
図11に示すように、粗いピッチ(副走査方向つまり図11の上下方向)で主走査方向(図11の左右方向)に走査したスタート、ピーク、エンド、スキャン回数が一つ以上の場合、各スキャン位置でのスタート、エンドで囲まれた面積(図11の6個の長方形の面積の和)を求める。
【0052】
図12に示すように、この面積に対し、重心(Xの位置)を求める。この重心位置を真の異物の座標とする。
【0053】
図13〜15を参照して、面積より求める方法で重み付けをしない方法を説明する。
【0054】
一つ一つのデータ毎に処理をする。例えば、図13に示すように、スタート、エンドの情報により一つのスキャンデータを求める。
【0055】
図14に示すように、一つの面積の重心は単純に各辺の中央の交点となる。
【0056】
これらより考慮し、図15に示すモデルを計算する。
【0057】
このモデルの場合、3点なので、次のように求める事ができる。
【0058】
重心を求める。
【0059】
ABC(X)=(X1+X2+X3)/3
ABC(Y)=(Y1+Y2+Y3)/3
となる。
【0060】
このモデルより多い2個以上は次の式で求まる。
【0061】
【数5】
Figure 0004089798
精度を上げるために、座標に重みを付けて計算することも可能である。例えば、面積とピークデータ値について、重みを位置スキャン毎の面積とする場合、またピークデータ値とする場合がある。
【0062】
ここでは重みをKとして考えて、図16に示すモデルを想定するする。
【0063】
各重みをK1、K2……Knとすると、次の式で求まる。
【0064】
【数6】
Figure 0004089798
図17を参照して、位置スキャン毎のガウシャン断面積から求める方法を説明する。
【0065】
1)スキャンごとに得られたデータ(スタート、ピーク、エンド)を用いて、ガウシャンフィットを施す。
【0066】
2)一つ以上のスキャンデータがある場合、異物からのスキャン毎の断面積が得られる。
【0067】
3)この断面積を用い、三次元的にガウシャンフィットを施し、真の座標とピークデータを求める。
【0068】
4)そのデータを真の異物の座標とピークデータとする。
【0069】
次は、ガウスビームのスレッシュレベル位置とビーム中心について具体的に説明する。
【0070】
通例、断面が楕円形のガウスビームが使用される。そのビームは、ビーム中心の座標中心として、以下の式で表すことができる。
【0071】
【数7】
Figure 0004089798
ここで、L0 は中心強度、rx はx方向のビームのe-2の半径、ry はy方向のビームのe-2の半径である。
【0072】
パーティクル(異物)の散乱係数と受光効率の積をaとすると、受光強度Iは以下の通りになる。
【0073】
【数8】
Figure 0004089798
あるスレッシュレベルIsで、エッジは以下の式を満たす座標となる。
【0074】
【数9】
Figure 0004089798
この式を変形すると、式10,11,12が得られる。
【0075】
【数10】
Figure 0004089798
【0076】
【数11】
Figure 0004089798
【0077】
【数12】
Figure 0004089798
これにより、半径がkrx とkry の楕円になることが分かる。
【0078】
また、Isでの座標(x1,y1)と(x2,y1+p)が測定できたとすると、式10より、以下の式13,14が成立する。
【0079】
【数13】
Figure 0004089798
【0080】
【数14】
Figure 0004089798
実際には、最初のスキャンのスタートとエンドの幅の半分をxとし、ピッチp離れたスキャンのスタートとエンドの幅の半分をxとすると、最初のスキャンの中心から副走査方向にy離れた位置にパーティクル中心がある。
【0081】
中心の信号強度I0 は以下の式で表すことが出来る。
【0082】
【数15】
Figure 0004089798
この式を式9に代入して変形すると、以下の式が求められる。
【0083】
【数16】
Figure 0004089798
この式にx1 と先ほど求めたyを代入することで、中心信号強度が求まる。
【0084】
また、式12からスレッシュレベル面での楕円の面積Sは、以下の式になる。
【0085】
【数17】
Figure 0004089798
重心法で、重心計算時に面積Sを求めておけば、中心強度は以下の式で求められる。
【0086】
【数18】
Figure 0004089798
図2〜5の実施例
図2は、本発明の好適な一つの実施例を示すブロック図である。
【0087】
図2においては、2つの光電変換素子は、それぞれ順にAMP回路およびA/D変換回路を介してピーク検出回路部に接続されている。これらのピーク検出回路部はデータ処理回路部に接続されている。データ処理回路部はメモリ部に接続されている。エンコーダ信号は、ピーク検出回路部とデータ処理回路部に送られる。
【0088】
図3は、本発明方法による処理のしかたを示している。
【0089】
本発明方法においては、検出光を所定方向に走査させていくとき、異物の散乱信号(測定データ Sn がスレッショルド信号(スライスレベル SL とも言う。図3に水平方向に実線で示されている)を越えたら、そこをスタート点(Start)として記憶し、その後、異物散乱信号がスレッショルド信号(スライスレベル SL を下回ったら、そこをエンド点(End)として記憶し、スタート点とエンド点との間で異物散乱信号が最も大きかったところをピーク(Peak)として記憶する。異物散乱信号の位置データとしてスタート点(Start)、ピーク(Peak)およびエンド点(End)からなる位置情報に基いて検査対象物の表面上の異物を特定する。
【0090】
図3においては、異物は、Da,Db,Dcが特定されるので、異物の個数は3になる。この場合、区間A、Bのデータは異物の個数に無関係になり、異物の個数は3個とカウントされるのである。
【0091】
図4は、一つの異物として判断する概念図である。特に異物Dbについて説明すると、異物Dbは、図4に示すように一度途中でスレッショルド信号(図3に水平方向に実線で示されている)を下回るが、隣接区間が近いので、一つの異物として特定される。
【0092】
図5は、本発明方法のフローチャートの一例を示す。
【0093】
図5において、まず測定が開始されると、ステップ1において、測定データが入力され、ステップ2に進む。
【0094】
ステップ2において、得られた測定データSn(異物の散乱信号)がスライスレベルSL(スレッショルド信号)よりも大きいかどうかが判断され、小さい場合はステップ3に進み、大きい場合は、ステップ7に進む。
【0095】
ステップ3において、異物の幅を示す幅カウントSWcnt の計数が0かどうか、即ち既に測定データSnがスライスレベルSLを越えたかどうかを判断する。
言い換えると、直前に異物のデータを測定をしたかどうかを判断する。
ここで直前とは、ステップ13で判断される所定値SEset のカウント以内を意味する。
【0096】
SWcnt の計数が0である場合、即ち直前に異物データがない場合、ステップ1に戻り次の測定データの処理に移る。SWcnt の計数が0でない場合、即ち直前に異物データがある場合には、ステップ4に進み、得られた測定データSnがスライスレベルSLよりも小さい期間を計数するSEcnt カウント(無信号期間カウント)を計数する処理が行われる。
【0097】
ステップ4において、SEcnt =0の場合、エンド信号計数が0であるかどうかが判断され、SEcnt =0の場合はステップ5に進み、それ以外はステップ1に進む。
【0098】
ステップ5において、即ち得られた測定データSnがスライスレベルSLを越えていた状態からスライスレベルSL下回った時に、その時の座標値X 、Y 座標をXend, Yendとして記憶し、ステップ6に進む。ステップ6において、SEcnt 計数値に1が加えられ、ステップ1へ戻り次の測定データ処理に移る。
ステップ2において、得られた測定データSnがスライスレベルSLよりも大きいかどうかが判断されたときには、ステップ7に進む。ステップ7において、SWcnt の計数が0かどうか、即ち測定データSnがスライスレベルSLを越えたかどうかが判断され、初めて越えたときにはステップ8に進み、初めてでないときには、ステップ10に進む。
【0099】
ステップ8においては、この時の座標値を異物の開始座標(スタート点の座標値)Xstart, Ystartとして記憶し、ステップ9に進む。
【0100】
一方、ステップ7において、異物の開始からの計数値SWcnt の計数が0でない、即ち最初に測定データSnがスライスレベルSLを越えたものでないと判断したときには、ステップ10に進み、
無信号期間カウントSEcnt の計数値が0でないかどうかを判断する。
無信号期間カウントSEcnt の計数値が0でないときは、ステップ11で、、SEcnt の計数値を0とし、ステップ9に進む。無信号期間カウントSEcnt の計数値が0のときは直接ステップ9に進む。
【0101】
ステップ9においては、今回の測定データが以前の測定データより大きいかどうかを判断し、大きい方をピークデータとして記憶するピーク処理がなされ、ステップ12に進む。
【0102】
ステップ12においては、異物の開始座標の点(スタート点、異物の前端に相当)からの計数値SWcnt に1を加え、ステップ1に戻る。
【0103】
ステップ4において、SEcnt =0でない場合、即ち無信号期間カウントSEcnt の計数値が0でない場合は、ステップ13に進む。ここでは、無信号期間カウントSEcnt が予め定めた計数値SEset より大きいかどうかが判断される。無信号期間カウントSEcnt が予め定めた計数値SEset より小さい場合は、ステップ6へ進み次の測定データ処理が行われる。
【0104】
また無信号期間カウントSEcnt が予め定めた計数値SEset より大きい場合は、ステップ14へ進み、次の測定データ処理が行われる。
【0105】
ステップ14においては、ステップ8で記憶された異物のスタート点の座標値Xstart, Ystartを、ステップ5で記憶された座標値Xend, Yendを、メモリに記憶されているピーク値を、それぞれ今回測定対象となっている異物のスタート点の座標値、異物のエンド点の座標値及びピーク値としてデータ転送し、メモリに記憶し、ステップ15に進む。
【0106】
ステップ15において、測定終了かどうかが判断され、測定終了であればそのまま測定を終了し、そうでなければステップ16に進む。
【0107】
ステップ16において、初期設定が行われ、として異物の開始座標値Xstart, Ystart、終了座標値Xend, Yend及びピーク値P、無信号期間カウントSEcnt 並びに異物の開始からの計数値SWcnt を0として、ステップ1に戻る。
【0108】
図6〜9の実施例
図6は、本発明の第2実施例のブロック図を示す。
【0109】
図6においては、光電変換素子は、順にAMP回路およびA/D変換回路を介してピーク検出回路部および連続判断回路部に接続されている。これらのピーク検出回路部および連続判断回路部はデータ処理回路部に接続されている。データ処理回路部はメモリに接続されている。エンコーダ信号は、ピーク検出回路部とデータ処理回路部に送られる。また、CPUからの信号はメモリに送られる。
【0110】
図7は、本発明の第2実施例による表面検査方法を示す。
【0111】
図7の検査状況においては、区間データは異物の個数に無関係になるので、異物Da,Db,Dcの3個と判断される。
【0112】
この点をさらに説明すると、検出光を所定方向に走査させていくとき、異物の散乱信号(スライスレベルSL)がスレッショルド信号(スライスレベルSLとも言う。図7に水平方向に実線で示されている。)を越えたら、そこをスタート点(Start)として記憶し、その後、異物散乱信号がスレッショルド信号(スライスレベルSL)を下回ったら、そこをエンド点(End)として記憶し、スタート点とエンド点との間で異物散乱信号が最も大きかったところをピーク(Peak)として記憶する。異物散乱信号の位置データとしてスタート点(Start)、ピーク(Peak)およびエンド点(End)からなる位置情報に基づいて検査対象物の表面上の異物を特定する。図3においては、異物は、DA/Db,Dcが特定され、異物の個数は3になる。この場合、区間A、Bのデータは異物の個数に無関係になり、異物の個数は3個とカウントされるのである。
【0113】
図8は、異物の連続性を判断する概念図である。
【0114】
図8において、検出光の走査方向はスキャン方向と送り方向の組み合わせからなり、1データのスタート点およびエンド点の位置情報が送り方向で重なっている場合は、送り方向で異物散乱信号の連続性があると判断する。スタート点からエンド点までは連続している異物と判定し、スタート点とエンド点との間は常にピークデータを検出する処理を行なう。1つのデータがスレッショルド信号に対し初めて下回った時点で、エンド点を記憶し、かつ、そのエンド点の時点からサンプリングクロックをカウンタし、設定データ以内にそのデータが再びスレッショルド信号を上回った時、先のエンド点をクリアし、さらにピークデータの処理を続ける。特にデータ処理にあたって連続性の判断は次のように行う。
【0115】
(1)スキャン方向の連続処理はデータのスタート点からエンド点までの差が一定以上になった場合、キズと判断し、それ以外はゴミと判断する。
【0116】
(2)送り方向については、そのデータの持つスタート点とエンド点の位置情報に重なりがあるかどうかを判断し、重なりがあれば送り方向の連続性があると判断する。送り方向の連続するデータ数が一定以上になったときはキズと判断し、それ以外はごみと判断する。
【0117】
図8の例では、上の2つの位置情報は互いに重なり部分がなく連続性がないので、2個の異物があると判断し、下の3つの位置情報は互いに重なり部分があって連続性があるので、1個と判断する。
【0118】
図9は、本発明方法のフローチャートの一例を示す。
【0119】
図9において、測定が開始されると、ステップ1において、測定対象の走査線Snラインが指定され、ステップ2に進む。ステップ2では、測定対象の走査線Snラインのデータが呼び出され、ステップ3に進む。ステップ3では、走査線中に異物データがあるかどうか、即ちスライスレベルSL(スレッショルド信号)を越えた信号が含まれているかどうかを判断する。異物データがあればステップ4に進み、異物データがなければステップ2に戻り、異物データが出る間で繰り返す。ステップ4では、測定対象の走査線Snライン中に異物データを発見すると、一つ前の走査線Sn-1ラインでの異物データを呼び出し、ステップ5に進む。
【0120】
ステップ5では、今回の測定対象の走査線Snラインの異物データと、前回対象の走査線Sn-1ライン中の異物データとにオーバーラップがあるかどうかを判断し、オーバーラップがあればステップ6に進み、オーバーラップがなければステップ2に戻る。
【0121】
ここでオーバーラップの一例とは、スキャン方向の異物の開始座標と終了座標間で重なりがある場合を意味する。ステップ6では、連続性処理が行われ、ステップ7に進む。
【0122】
連続性処理とは、今回の測定対象の走査線Snラインの異物データと、前回対象の走査線Sn-1ライン中の異物データとにオーバーラップがある場合には、両者は同じ異物を測定していると判断し、異物の計数に関しては一単位として扱うために、両データを関連づける様々な処理が該当する。例えば、連続性が認められたデータを一群として扱ったり、連続性が認められるごとに補正値を1加算していき、各走査線ごとの異物信号の総計数値からその補正値を減算して、正しい異物数を求めるものなどを含む。
【0123】
ステップ7では、測定対象となる全ての走査線の測定が終了したか否かを判断し、終了していなければステップ1に戻り次の走査線の測定が行われる。
【0124】
他方、ステップ6とステップ7との間でオーバーラップの終了を判定し、Noのときは始めのステップ1のところに戻り、Yesのときは異物ピーク演算を行って、ステップ7にいく。
【0125】
測定対象となる全ての走査線の測定が終了した場合には、ステップ8において、連続性が認められた異物を一単位として計数した異物の個数及び連続性が認められた異物同士がグラフィク表示上で見分けが付くように表示などが行われ、測定は終了する。
【0126】
なお、本発明は、特願平9−336572号の明細書及び図面とくにその図12に記載の表面検査装置を基本的に利用することができる。それゆえ、必要に応じて、その記載内容を本発明の構成の一部として引用する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 A、B、Cは、本発明による処理手順の1つの概念を示す説明図である。
【図2】 本発明の第1実施例を示すブロック図である。
【図3】 図2の実施例による方法の処理のしかたを示している。
【図4】 図3の方法における異物の連続性を判断する概念図である。
【図5】 本発明の第1実施例による方法のフローチャートを示す。
【図6】 本発明の第2実施例を示すブロック図である。
【図7】 本発明の第1実施例による方法の処理のしかたを示している。
【図8】 図7における送り方向における連続性の判断の仕方を示す。
【図9】 本発明の第1実施例による方法のフローチャートの一例を示す。
【図10】 本発明による表面検査装置で使用するガウスビームのピーク値と強度比の関係の一例を示すグラフである。
【図11】 1つの異物のスタート、エンドで囲まれた面積の1つの例を示す。
【図12】 1つの異物のスタート、エンドで囲まれた面積から重心を求める1つの例を示す。
【図13】 1つの異物のスタート、エンドで囲まれた面積の別の例を示す。
【図14】 図13の面積から重心を求める例を示す。
【図15】 図13,14の面積及び重心を考慮して3点から重心を求める例を示す。
【図16】 1つの異物のスタート、エンドで囲まれた面積を、座標に重みを付けて求める別の例を示す。
【図17】 1つのスキャン毎のガウシャン断面積より推測される散乱外形を示す。
【符号の説明】
1 ビームの走査方向
2 ビームの走査方向
3 異物
4 ビーム
5 ビーム

Claims (5)

  1. 光源と、
    この光源からの照明光を検査対象物の表面に所定のビーム径で照射する照射光学系と、
    照射光学系で照射された、上記検査対象物の表面に存在する異物から散乱光を受光する受光光学系と、
    該受光光学系で受光された上記散乱光から表面データ信号を形成する受光部と、
    上記検査対象物の表面と、上記照射光学系及び上記受光光学系とを相対的に主走査方向に連続的に、副走査方向に上記照明光のビーム径以下の所定のピッチで離散的に変位させる変位部と、
    上記表面データ信号から上記検査対象物の表面に存在する異物を、スタート位置、ピークレベル及びエンド位置を含む異物データとして特定し、かつ副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物データのピークレベルと上記所定のピッチと上記所定のビーム径のデータ少なくとも用い、上記検査対象物の表面に存在する異物が2回以上のスキャンでデータ検出された際の、該異物の副走査方向の真の位置を求める異物検出部
    を備えていることを特徴とする表面検査装置。
  2. 上記異物検出部は、上記照射光学系の照射光束の強度分布を所定曲線と仮定し、副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物データの前記ピークレベル、上記所定のピッチ、および上記所定のビーム径のデータに基づき、上記検査対象物の表面に存在する異物の副走査方向の真の位置を求めるように構成したことを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
  3. 上記異物検出部は、上記照射光学系の照射光束の強度分布をガウス曲線と仮定して、副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物データの前記ピークレベルに基づき、上記検査対象物の表面に存在する異物の副走査方向の真の位置を下記式により求めるように構成したことを特徴とする請求項記載の表面検査装置。
    【数1】x=[(D/8)ln{In/(In+1)}−p]/2p
    x :n番目のスキャンの中心ビームの位置から異物の位置を引いた副走査方向の距離
    D :ビーム径
    p :走査間隔
    n :ビームの走査番号
    In :n番目受光信号のピークレベル
    In+1:n+1番目の受光信号のピークレベル
  4. 上記異物検出部は、副走査方向で隣接した少なくとも2つの異物データのピークレベル、スタート位置エンド位置、上記所定のピッチ、および上記所定のビーム径のデータを用い、上記検査対象物の表面に存在する異物中心の主走査方向及び副走査方向の真の位置を求めるように構成したことを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
  5. 上記異物検出部は、異物データのピークレベル、スタート位置およびエンド位置のデータを用い、表面データ信号中で異物により形成される断面積を求め、上記所定のピッチおよび所定のビーム径のデータより副走査方向で隣接した少なくとも2つの前記断面積に三次元的にガウシャンフィットを施し、上記検査対象物の表面に存在する異物中心の主走査方向及び副走査方向の真の位置を求めるように構成したことを特徴とする請求項記載の表面検査装置。
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