JP4089402B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高周波信号を伝達するための高周波信号配線を含む再配線を有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高周波回路で構成した半導体装置には、半導体基板の表面に形成された集積回路と、半導体基板の裏面に形成された裏面接地電極とを、半導体基板の表面に形成された接地電極と半導体基板に貫通して形成されたスルーホールとで接続したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−124593号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の半導体装置では、半導体基板にスルーホールを貫通して形成する構造であった。また、上記従来の半導体装置では、半導体基板の裏面に形成された裏面接地電極を外部回路基板に接続するほかに、上記特許文献1には記載はないが、半導体基板の表面に形成された集積回路に接続される信号線を何らかの方法で外部回路基板に接続する必要があり、この場合、高周波信号を信号線に伝達した場合の信号の減衰が比較的大きく生じるものであった。
そこで、この発明は、高周波信号を信号線に伝達した場合の信号の減衰を比較的小さくすることができる半導体装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、接続パッドを有する半導体基板上にグラウンド層が設けられ、該グラウンド層上に絶縁膜を介して端部が前記接続パッドに接続された高周波信号を伝達するための高周波信号配線を含む再配線が設けられ、前記再配線は、全体が同一の材料で形成され、前記接続パッドに接続された接続部と、他端部に設けられた外部接続用パッド部と、前記接続部と前記外部接続用パッド部との間に設けられた円形状のダミーパッド部と、前記接続部と前記ダミーパッド部および前記ダミーパッド部と前記外部接続用パッド部を接続する引き回し部を有し、前記ダミーパッド部の円形部の直径は前記引き回し部の幅よりも大きく形成されているものであり、前記高周波信号配線の前記外部接続用パッド部上にポストが形成され、前記ダミーパッド部上にはダミーポストが形成されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記再配線のダミーパッド部下の前記グラウンド層に開口部が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記グラウンド層の開口部のサイズは前記高周波信号配線のパッド部のサイズと同じであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記グラウンド層の開口部のサイズは前記高周波信号配線のパッド部のサイズよりも大きくなっていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記グラウンド層の開口部のサイズは前記高周波信号配線のパッド部のサイズよりも小さくなっていることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記再配線は屈曲部を有し、前記ダミーパッド部は当該屈曲部に設けられていることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ダミーパッド部は、1つの高周波信号配線上に、前記所定の間隔で、複数個設けられていることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記絶縁膜上に外部接続用のグラウンドポストが前記グラウンド層に接続されて設けられているものである。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記高周波信号配線に沿ってグラウンド線が設けられていることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記グラウンド線は前記高周波信号配線の両側に設けられていることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態としての半導体装置の要部の透過平面図を示し、図2は図1のA−A線に沿う一部の断面図を示し、図3は図1のB−B線に沿う一部の断面図を示し、図4は図1のC−C線に沿う一部の断面図を示したものである。この半導体装置は、CSP(chip size package)と呼ばれるものであり、例えば、ブルートゥースの送受信信号回路を内蔵し、携帯電話などの電子機器に組み込まれるものである。
【0007】
この半導体装置は平面正方形状のシリコン基板(半導体基板)1を備えている。シリコン基板1の上面周辺部にはアルミニウムからなる複数の接続パッド2が、シリコン基板1の上面中央部に設けられた集積回路(図示せず)に接続されて設けられている。接続パッド2の中央部を除くシリコン基板1の上面には酸化シリコンからなる絶縁膜3およびポリイミドからなる保護膜4が設けられている。接続パッド2の中央部は、絶縁膜3および保護膜4に設けられた開口部5を介して露出されている。
【0008】
絶縁膜3の上面中央部において保護膜4の下側にはグラウンド層6が設けられている。グラウンド層6は、銅からなる下地金属層6Aと該下地金属層6A上に設けられた銅からなる上層金属層6Bとからなっている。開口部5を介して露出された接続パッド2の上面から保護膜4の上面の所定の箇所にかけて第1〜第3の再配線7、8、9が設けられている。第1〜第3の再配線7、8、9も、銅からなる下地金属層7A、8A、9Aと該下地金属層7A、8A、9A上に設けられた銅からなる上層金属層7B、8B、9Bとからなっている。第1〜第3の再配線7、8、9は、めっきなどにより同時に形成されるものである。
【0009】
第1の再配線(高周波信号配線)7は、ブルートゥースに組み込まれた高周波処理回路に接続される送受信信号線であり、接続パッド2に接続された部分からなる正方形状の接続部7aと、円形状のダミーパッド部7bと、接続部7aとダミーパッド部7bとを接続する引き回し線7cと、円形状の外部接続用パッド部7dと、両パッド部7b、7dを接続する引き回し線7eとからなっている。この場合、第1の再配線7を送受信信号線として1本のみ図示しているが、送信信号線と受信信号線とを別々に形成してもよい。
【0010】
第2の再配線8は、グラウンド線であり、接続パッド2に接続された部分からなる正方形状の接続部8aと、円形状の外部接続用パッド部8bと、接続部8aと外部接続用パッド部8bとを接続する引き回し線8cとからなっている。第3の再配線9は、送受信配線以外の回路用配線であり、接続パッド2に接続された部分からなる正方形状の接続部9aと、円形状の先端パッド部8bと、接続部8aと外部接続用パッド8bとを接続する引き回し線8cとからなっている。ここで、図1に示すように、送受信信号線としての第1の再配線7の両側にはグラウンド線としての第2の再配線8が第1の再配線7に沿って設けられている。
【0011】
第1の再配線7の外部接続用パッド部7dの上面には銅からなる円柱形状の外部接続用ポストS0が設けられている。第1の再配線7のダミーパッド部7bの上面には銅からなるダミーポストDが設けられている。第2の再配線8の外部接続用パッド部8bには銅からなる円柱形状の外部接続用のグラウンドポストGが設けられている。第3の再配線9の外部接続用パッド9bの上面には銅からなる円柱形状の外部接続用ポストS1が設けられている。
【0012】
すべてのポストS0、S1、G、Dは、図1に示すように、グラウンド層6上に配置され、めっきなどにより同時に形成されるものであり、実質的に同一の高さを有する。また、ダミーポストDとそれ以外のポストS0、S1、Gsとは、同一の直径であっても、あるいは、異なる直径であってもよい。
【0013】
そして、図2に示すように、第1の再配線7のダミーパッド部7bおよび外部接続用パッド部7d下のグラウンド層6には当該バッド部7b、7dとほぼ同じサイズの開口部11、12が設けられている。また、図3に示すように、グラウンドポストG下のパッド部8bは、保護膜4に設けられた開口部13を介してグラウンド層6に接続されている。なお、グラウンドポストGには、図1および図3に示すように、島状のパッド部8bを介してグラウンド層6にのみ接続されているものもある。
【0014】
すべてのポストS0、S1、G、Dを除いて第1〜第3の再配線7、8、9を含む保護膜4の上面にはエポキシ系樹脂からなる封止膜14がその上面がすべてのポストS0、S1、G、Dの上面とほぼ面一となるように設けられている。
【0015】
ここで、ダミーパッド部およびダミーポストなる用語は、本発明においては、当該回路の終端に位置し、他の回路に接続されることのないパッド部およびポストと定義付けされる。ダミーパッド部7bおよびダミーポストDの役目については後で説明する。
【0016】
以上のように、この半導体装置では、シリコン基板1上にグラウンド層6を設け、該グラウンド層6上に保護膜(絶縁膜)4を介して高周波信号を伝達するための高周波信号配線を含む第1〜第3の再配線7、8、9を設けているので、高周波信号配線を含む第1〜第3の再配線7、8、9およびグラウンド層6をシリコン基板1の上面側にのみ設ければよく、したがって製造工程を簡略化することができる。
【0017】
また、第1〜第3の再配線7、8、9の先端パッド部7d、8b(図3に示す島状のパッド部8bを含む。)、9b上に設けられたポストS0、S1、Gを外部回路基板(図示せず)に一括して接続すればよいので、これまた製造工程を簡略化することができる。
【0018】
次に、ダミーパッド部7bおよびダミーポストDの役目について、実験結果と併せて説明する。まず、第1の実験のために、図5(A)、(B)に示す半導体装置を用意した。この半導体装置は平面正方形状のシリコン基板21を備えている。シリコン基板21の上面には酸化シリコンからなる絶縁膜22、アルミニウムからなるグラウンド層23およびポリイミドからなる保護膜24が設けられている。
【0019】
保護膜24の上面の図5(A)において上下方向の中央部には銅からなる再配線25が左右方向に延びて設けられている。再配線25の中央部には円形状のダミーパッド部26が設けられている。再配線25の両端部には正方形状の接続端子27、28が設けられている。ダミーパッド部26の上面には銅からなる円柱形状のダミーポスト29が設けられている。
【0020】
保護膜24の上面において接続端子27、28の各上下方向両側には銅からなる長方形状の接続端子30が再配線25と平行に設けられている。接続端子30は、保護膜24に設けられた円形状の開口部31を介してグラウンド層23に接続されている。
【0021】
ここで、再配線25は、図1に示す第1の再配線7に対応する。ダミーパッド部25は、図1に示すダミーパッド部7bに対応する。ダミーポスト28は、図1に示すダミーポストDに対応する。グラウンド層23は、図1に示すグラウンド層6に対応する。
【0022】
次に、上記構成の半導体装置の寸法の一例について説明する。シリコン基板21の平面サイズは2400×2400μm、厚さは600μmである。絶縁膜22の厚さは0.5μmである。グラウンド層23の厚さは1μmである。保護膜24の厚さは6μmである。接続端子27、28およびダミーパッド部26を含む再配線25の厚さは5μmである。再配線25の幅は10μmである。ダミーパッド部26を含む再配線25の長さは1800μmである。
【0023】
接続端子27、28の平面サイズは170×170μmである。ダミーパッド部26およびダミーポスト29の直径は300μmである。ダミーポスト29の高さは100μmである。接続端子30の平面サイズは340×170μmである。接続端子30と接続端子27、28との間隔は130μmである。開口部31の直径は130μmである。
【0024】
次に、上記構成の半導体装置の高周波信号の透過特性S21について、ネットワークアナライザ等の測定器具を用いて調べた。この場合、接続端子27、28、40に測定用のプローブを接触させた。また、本発明の半導体装置は、ダミーパッド部25上にダミーポスト28を有するもの(以下、ポスト有りCSPという。)と、ダミーパッド部25は有するが、その上にダミーポスト28が形成されていないもの(以下、ポスト無しCSPという。)とを用意し、また、比較のために、図6に示すように、ダミーポスト29およびダミーパッド部26を有せず、再配線25のみを有する半導体装置(以下、再配線のみCSPという。)を用意した。
【0025】
そして、各CSPの高周波信号の透過特性S21を測定したところ、図7に示す結果が得られた。図7において、実線はポスト有りCSPの透過特性S21を示し、一点鎖線は再配線のみCSPの透過特性S21を示す。この場合、ポスト無しCSPの透過特性S21は、実線で示すポスト有りCSPの透過特性S21とほぼ同じであるので、当該実線で示すこととする。
【0026】
さて、図7から明らかなように、高周波信号の減衰量は、約19GHzまでは、一点鎖線で示す再配線のみCSPの方が実線で示すポスト有りCSPおよびポスト無しCSPよりも小さいが、約19GHzを越えると、逆転し、実線で示すポスト有りCSPおよびポスト無しCSPの方が一点鎖線で示す再配線のみCSPよりも小さくなる。
【0027】
したがって、約19GHz以上の周波数帯域では、ポスト有りCSPおよびポスト無しCSPでの高周波信号の減衰は再配線のみCSPの場合と比較して抑制することができる。また、ポスト有りCSPの透過特性S21とポスト無しCSPの透過特性S21とはほぼ同じであるので、ポスト29の有無による差はほとんど見られない。
【0028】
ここで、図5(A)において、ダミーパッド部26の左側の再配線25および接続端子27(つまり、図1においてダミーパッド部7bの下側の再配線7cおよび接続部7a)の部分の特性インピーダンスをZ1とし、ダミーパッド部26およびダミーポスト29(つまり、図1においてダミーパッド部7bおよびダミーポストD)の部分の特性インピーダンスをZ2とし、ダミーパッド部26の左側の再配線25および接続端子28(つまり、図1においてダミーパッド部7bの上側の再配線7e、外部接続用パッド部7dおよび外部接続用ポストS0)の部分の特性インピーダンスをZ3としたとき、伝送特性を良くするために、Z1≒Z2≒Z3であることが望ましい。
【0029】
なお、上記第1の実験では、再配線25を直線としたが、次に、第2の実験として、再配線が屈曲部を有する場合について説明する。この場合、図8に示す半導体装置を用意した。この図8に示す半導体装置において、図5(A)に示す半導体装置と同一名称部分には同一の符号を付して説明する。なお、この半導体装置の断面形状は、基本的には、図5(B)に示す場合と同じである。ただし、この場合、ダミーパッド部26のみを有し、その上にはダミーポストは設けられていない。
【0030】
この半導体装置では、再配線25の中央部はほぼ90°に折り曲げられ、その屈曲部となる部分に円形状のダミーパッド部26が設けられている。この場合、ダミーパッド部26の中心は、シリコン基板21の中心で、再配線25の屈曲部となる点に配置されている。
【0031】
次に、上記構成の半導体装置の高周波信号の透過特性S21について、ネットワークアナライザ等の測定器具を用いて調べた。この場合、比較のために、図9(A)、(B)にそれぞれ示す半導体装置を用意した。すなわち、図9(A)に示す半導体装置では、ダミーパッド部26は再配線25の屈曲部の内側に配置され、図9(B)に示す半導体装置では、ダミーパッド部26は再配線25の屈曲部の外側に配置されている。
【0032】
なお、ここでは、1つの高周波信号配線の2本の線分が交差する点を屈曲部とし、ダミーパッドの中心が前記屈曲部を中心とする2本の線分の交差角の小さい側に位置する場合を屈曲部の内側に位置するとし、前記屈曲部を中心とする2本の線分の交差角の大きい側に位置する場合を屈曲部の外側に位置するとする。
【0033】
次に、図8および図9(A)、(B)にそれぞれ示す半導体装置の高周波信号の透過特性S21を測定したところ、図10に示す結果が得られた。図10において、実線は図9(A)に示す半導体装置(以下、パッド内側CSPという。)の透過特性S21を示し、点線は図8に示す半導体装置(以下、パッド中心CSPという。)の透過特性S21を示し、一点鎖線は図9(B)に示す半導体装置(以下、パッド外側CSPという。)の透過特性S21を示す。
【0034】
さて、図10から明らかなように、約6GHzまでは、各CSPとも高周波信号がほぼ同じように減衰するが、約6GHz〜約19GHzまでの範囲では、実線で示すパッド内側CSPの高周波信号の減衰が一番大きく、次いで点線で示すパッド中心CSPの高周波信号の減衰が大きく、一点鎖線で示すパッド外側CSPの高周波信号の減衰が一番小さい。しかし、高周波信号が約19GHzを越えると、実線で示すパッド内側CSPの高周波信号の減衰が一番小さく、次いで点線で示すパッド中心CSPの高周波信号の減衰が小さいが、一点鎖線で示すパッド外側CSPの高周波信号の減衰は急激に大きくなる。
【0035】
つまり、高周波信号が約6GHz〜約19GHzの場合と、高周波信号が約19GHzを越える場合とでは、減衰の大きさが全く逆になる。したがって、ダミーパッド部26は、再配線25の屈曲部となる点に配置するか、再配線25の屈曲部の内側に配置するか、あるいは再配線25の屈曲部の外側に配置かは、再配線25に伝送される高周波信号の周波数により適切なものを選択することが好ましい。仮に、伝送される高周波信号の周波数が約19GHzより小さい場合と、約19GHzを越える場合があれば、その屈曲点を点線で示す如くパッド中心に位置させるのが最も好ましいことになる。
【0036】
次に、図2に示すダミーパッド部7b下のグラウンド層6の開口部11の役目について、実験結果と併せ説明する。まず、図5(A)、(B)に示す半導体装置とほぼ同様の半導体装置を用意した。ただし、この場合、ダミーパッド部26およびダミーポスト29の直径は150μmとし、その他の寸法は上記の場合と同じとした。
【0037】
また、ダミーパッド部26下のグラウンド層23に直径150μm(ダミーパッド部26直径と同じ)の開口部を形成した第1の半導体装置、直径170μmの開口部を形成した第2の半導体装置、直径190μmの開口部を形成した第3の半導体装置、直径130μmの開口部を形成した第4の半導体装置、開口部を形成しない第5の半導体装置を用意した。上記において、各半導体装置は、ダミーパッド部26上にダミーポスト29を設けないものと、ダミーポスト29を設けたものとを用意した。
【0038】
そして、第1〜第5の半導体装置の高周波信号の透過特性S21を測定したところ、図11に示す結果が得られた。すなわち、第1〜第3の半導体装置の場合には、図11において実線で示すように、ほぼ同一の透過特性S21が得られ、第4および第5の半導体装置の場合には、図11において点線で示すように、ほぼ同一の透過特性S21が得られた。また、ダミーパッド部26上にダミーポスト29を設けないものと、ダミーポスト29を設けたものとは、ほぼ同一の透過特性S21を示したので、図11では、同一の特性曲線として図示されている。
【0039】
さて、図11から明らかなように、高周波信号の減衰は、約26GHz〜約42GHzの周波数帯域においては、実線で示す第1〜第3の半導体装置の方が点線で示す第4および第5の半導体装置よりも小さいが、それ以外の周波数帯域、すなわち、約26GHzより小さい周波数帯域および約42GHzより大きい周波数帯域においては、逆転し、点線で示す第4および第5の半導体装置の方が実線で示す第1〜第3の半導体装置よりも小さくなる。但し、約26GHzより小さい周波数帯域では、実線で示す第1〜第3の半導体装置と点線で示す第4および第5の半導体装置との差違はそれほど大きいものではない。
【0040】
なお、上述の実験は、ダミーパッド部26のサイズおよび保護膜24の厚さ等につき一例を採用しただけであるから、各パラメータを変化させた場合にはグラウンド層23の開口部のサイズと周波数帯域の減衰率との相関は変化することが推測されるが、ここで重要なことは、ダミーパッド部26下のグラウンド層23に形成する開口部のサイズにより、再配線に伝送される周波数に対して透過特性S21を最適にするよう選択することができるということである。
【0041】
以上のことを考察するに、上述の如く、高周波信号の減衰を抑制するために、第1の再配線7の途中に第1の再配線7よりも幅広の円形状のダミーパッド部7bを設けているため、ダミーパッド部7bを含む第1の再配線7全体としての形状がダミーパッド部7bの部分において大きく異なってしまう。
【0042】
この結果、グラウンド層6に開口部11を設けない場合には、ダミーパッド部7bの部分における浮遊容量が増大し、特性インピーダンスが大きく変化し、伝送特性が低下する。そこで、ダミーパッド部7b下のグラウンド層6にダミーパッド部7bの直径とほぼ同じかそれよりも大径の開口部11を設けると、ダミーパッド部7bの部分における浮遊容量が減少し、特性インピーダンスの変化が抑制され、伝送特性を良くすることができる。
【0043】
なお、図2に示す外部接続用パッド部7d下のグラウンド層6の開口部12も同様の理由から設けられている。また、図8および図9に示すように、再配線が屈曲部を有する場合も同様である。
【0044】
ところで、図11において、実線と点線とは互いに左右方向にシフトしている関係にあると言える。この点から、グラウンド層6の開口部11、12の直径を周波数に応じて変えると、透過特性S21の良好な範囲をシフトすることが可能であると言える。
【0045】
なお、上記実施形態では、ダミーパッド部およびダミーポストを高周波信号配線に1個のみ形成しているが、高周波信号配線が長い場合には、所定の間隔、例えば、1mm程度の間隔で、複数個設けるようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、半導体基板上にグラウンド層を設け、該グラウンド層上に絶縁膜を介して高周波信号を伝達するための高周波信号配線を含む再配線を設け、該再配線に外部接続用パッド部と前記ダミーパッド部を設け、前記外部接続用パッド部上にポストを、前記ダミーパッド部上にはダミーポストを設けることにより高周波信号配線に高周波信号を伝達した場合の信号の減衰を比較的小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態としての半導体装置の要部の透過平面図。
【図2】図1のA−A線に沿う一部の断面図。
【図3】図1のB−B線に沿う一部の断面図。
【図4】図1のC−C線に沿う一部の断面図。
【図5】第1の実験で用いた半導体装置の平面図。
【図6】第1の実験で用いた他の半導体装置の平面図。
【図7】第1の実験による高周波信号の透過特性を示す図。
【図8】第2の実験で用いた半導体装置の平面図。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ第2の実験で用いた他の半導体装置の平面図。
【図10】第2の実験による高周波信号の透過特性を示す図。
【図11】その他の実験による高周波信号の透過特性を示す図。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 接続パッド
3 絶縁膜
4 保護膜
6 グラウンド層
7、8、9 再配線
11、12 開口部
S0 外部接続用ポスト
S1 外部接続用ポスト
G グラウンドポスト
D ダミーポスト
21 シリコン基板
22 絶縁膜
23 グラウンド層
24 保護膜
25 再配線
26 ダミーパッド部
29 ダミーポスト
Claims (10)
- 接続パッドを有する半導体基板上にグラウンド層が設けられ、該グラウンド層上に絶縁膜を介して端部が前記接続パッドに接続された高周波信号を伝達するための高周波信号配線を含む再配線が設けられ、前記再配線は、全体が同一の材料で形成され、前記接続パッドに接続された接続部と、他端部に設けられた外部接続用パッド部と、前記接続部と前記外部接続用パッド部との間に設けられた円形状のダミーパッド部と、前記接続部と前記ダミーパッド部および前記ダミーパッド部と前記外部接続用パッド部を接続する引き回し部を有し、前記ダミーパッド部の円形部の直径は前記引き回し部の幅よりも大きく形成されているものであり、前記高周波信号配線の前記外部接続用パッド部上にポストが形成され、前記ダミーパッド部上にはダミーポストが形成されていることを特徴とする高周波信号用回路基板。
- 請求項1に記載の発明において、前記再配線のダミーパッド部下の前記グラウンド層に開口部が設けられていることを特徴とする半導体装置。
- 請求項2に記載の発明において、前記グラウンド層の開口部のサイズは前記高周波信号配線のパッド部のサイズと同じであることを特徴とする半導体装置。
- 請求項2に記載の発明において、前記グラウンド層の開口部のサイズは前記高周波信号配線のパッド部のサイズよりも大きくなっていることを特徴とする半導体装置。
- 請求項2に記載の発明において、前記グラウンド層の開口部のサイズは前記高周波信号配線のパッド部のサイズよりも小さくなっていることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1に記載の発明において、前記再配線は屈曲部を有し、前記ダミーパッド部は当該屈曲部に設けられていることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1に記載の発明において、前記ダミーパッド部は、1つの高周波信号配線上に、前記所定の間隔で、複数個設けられていることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1に記載の発明において、前記絶縁膜上に外部接続用のグラウンドポストが前記グラウンド層に接続されて設けられていることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1に記載の発明において、前記高周波信号配線に沿ってグラウンド線が設けられていることを特徴とする半導体装置。
- 請求項9に記載の発明において、前記グラウンド線は前記高周波信号配線の両側に設けられていることを特徴とする半導体装置。
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