JP4089391B2 - 小型軸流ファンモータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OA機器、制御機器、電子機器、工作機械、AV機器、移動体通信機器等、特に小型機器に使用される小型軸流ファンモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、小型軸流ファンモータの動的バランスの補正としては、特許文献1に記載されたものが知られている。図6に従来の小型軸流ファンモータの構造を示す。図6においてインペラ6の天面側に切削部18を設けて、動的バランスを補正している。
【0003】
また慣用の方法として、図7に示すようにロータ組立7の反天面側にウエイト19を接着固定する場合や、図8に示すようにロータ組立7の側面側に切削部18を設けてロータ組立7の動的バランスを補正する場合がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−223195号公報(第2−3頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、樹脂製のインペラを切削する時に発生する切削バリが残り、異物混入・異音の原因になる恐れがあり、また旋盤などの加工設備で切削部を切削する場合に、その切削量の微調整に工数がかかるという課題があった。またウエイトを接着固定する場合には、ロータ組立に振動・衝撃が加わった際ウエイトが剥離する恐れがあり、さらに質量の違うウエイトを数種類も準備しておく必要があり、部品点数の増加、並びに接着剤を乾燥させるのに工数がかかるという課題があった。
【0006】
また補正する量を微調整することが困難であるため、補正が不十分となってファンモータの振動が大きいという課題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡単かつ正確に動的バランスを補正して、低振動な小型軸流ファンモータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、カップ状のバックヨークと、このバックヨークの内側に固定され、内周を多極着磁された永久磁石と、前記バックヨークの中央に固定されたシャフトと、前記バックヨークの外側に被着され、外周に複数個の羽根を備えるカップ状のインペラとを有するロータ組立と、前記永久磁石の内周と対向して配置され、マグネットワイヤが巻回されたコアと前記シャフトを回転自在に支持する軸受と少なくとも前記マグネットワイヤに供給する電流を切り替える回路を搭載した回路基板と前記コア及び軸受並びに回路基板を保持するハウジングとこのハウジングに固定され、前記シャフトをスラスト方向に支承するカバーとを有するステータ組立を備える小型軸流ファンにおいて、前記インペラの天面の外周部に複数個の開口部を形成し、この開口部から弾性を有する板状のウエイトを前記バックヨークと前記インペラとの間に挿入固定したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、カップ状のバックヨークと、このバックヨークの内側に固定され、内周を多極着磁された永久磁石と、前記バックヨークの中央に固定されたシャフトと、前記バックヨークの外側に被着され、外周に複数個の羽根を備えるカップ状のインペラとを有するロータ組立と、前記永久磁石の内周と対向して配置され、マグネットワイヤが巻回されたコアと前記シャフトを回転自在に支持する軸受と少なくとも前記マグネットワイヤに供給する電流を切り替える回路を搭載した回路基板と前記コア及び軸受並びに回路基板を保持するハウジングとこのハウジングに固定され、前記シャフトをスラスト方向に支承するカバーとを有するステータ組立を備える小型軸流ファンにおいて、前記インペラの天面の外周部に複数個の開口部を形成し、この開口部から弾性を有する板状のウエイトを前記バックヨークと前記インペラとの間に挿入固定してなる小型軸流ファンモータであり、この構成によりインペラを切削しないので切削バリによる異物混入・異音の発生を防止でき、また接着剤を使わずにバックヨークと前記インペラとの間にウエイトを挿入固定するので、ウエイトの弾性力により確実に固定でき、簡単な工程で確実に動的バランスを補正できるという作用を有する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記ウエイトに複数個の切り欠き部を設けて折り曲げた請求項1記載の小型軸流ファンモータであり、補正したい動的バランス量に応じて、予めウエイトの曲げる位置を決めることにより、ウエイトを数種類も準備することなく1つのウエイトで正確に動的バランス量の補正が可能となり、組立工数を削減するという作用を有する。
【0011】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0012】
(実施例1)
図1〜図3に本発明の第一の実施例を示す。図1〜図3において、カップ状のバックヨーク1の中央にはシャフト2が固着され、そのバックヨーク1の内側には内周を多極着磁された永久磁石3が固着され、前記バックヨーク1の外側には、複数個の羽根4を外周部5に形成したインペラ6がバックヨーク1を覆うように固着され、上記バックヨーク1、シャフト2、永久磁石3、インペラ6によりロータ組立7を構成している。そして、マグネットワイヤ9が巻回されたコア10と少なくとも前記マグネットワイヤに供給する電流を切り替える回路を搭載した回路基板11とがハウジング13に保持され、さらにこのハウジング13の中央に突設した筒状部の内周側には前記ロータ組立7のシャフト2を回転自在に支承する軸受12が圧入固定され、またハウジング13の底面裏側からカバー14が圧入等により固定され、前記シャフト2をスラスト方向に支持している。以上のマグネットワイヤ9、コア10、回路基板11、軸受12、ハウジング13、カバー14によりステータ組立15を構成している。上記ロータ組立7とステータ組立15により小型軸流ファンモータが構成されている。この小型軸流ファンモータにおいて、前記インペラ6の天面側の縁には複数個の開口部8を形成し、この開口部8から例えばSUS631、SUS304、リン青銅等の弾性を有し、耐食性及び加工性に優れた材料からなる板バネウエイト16を略90°に折り曲げて、前記バックヨーク1と前記インペラ6との天面側の隙間A及び外周部5側との隙間Bに挿入してロータ組立7の動的バランスを補正している。
【0013】
上記構成により、板バネウエイト16は一つの部品の折り曲げる位置により、前記インペラ6との天面側の隙間A及び外周部5側との隙間Bのそれぞれに挿入する部分の質量の比率を自在に変えて動的バランス量を補正できる。また略90°に曲げた板バネウエイト16は残留応力により90°以上に広がる方向に荷重が発生し、バックヨーク1とインペラ6の隙間A及び隙間Bに挿入された場合、板バネウエイト16は接着剤を塗布することなく圧入固定され、部品点数及び工数を削減しつつ信頼性の高い低振動な小型軸流ファンモータを提供することができる。
【0014】
(実施例2)
本発明の第2の実施例について図4〜図5を参照しながらその動作を説明する。図4〜図5において、板バネウエイト16を装着する点は実施例1と同様なものである。
【0015】
本発明は板バネウエイト16に複数個の切り欠き部17を設けた構成であり、予め板バネウエイト16の折り曲げる位置を切り欠き部17に定めたものである。この構成により、前記インペラ6との天面側の隙間A及び外周部5側との隙間Bのそれぞれに挿入する部分の質量の比率は離散的な値となるが、折り曲げる位置が切り欠き部17に定まり折り曲げ作業が短時間で可能となるので、工数を削減しつつ正確に動的バランス量が補正できるという作用を有し、また切り欠き部17が樹脂製のインペラ6に食い込んで抜け止めとなり、板バネウエイト16をより確実に固定できる作用を有し、さらに工数を削減しつつ信頼性の高い低振動な小型軸流ファンモータを提供することができる。
【0016】
なお、以上の説明では、板バネウエイト16をアウターロータタイプ軸流ファンのロータに装着して動的バランスを補正した例で説明したが、その他のインナーロータタイプやシロッコファンについても同様に実施可能である。
【0017】
【発明の効果】
上記実施例の記載から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、インペラを切削しないので、切削バリによる異物混入・異音の発生を防止でき、また接着剤を使わずにバックヨークと前記インペラとの間にウエイトを挿入固定するので、ウエイトの弾性力により確実に固定でき、簡単な工程で確実に動的バランスを補正できるという効果を有する。
【0018】
また、請求項2記載の発明によれば、ウエイトに切り欠き部を設けてこの切り欠き部で折り曲げて装着することにより、補正したい動的バランス量に応じて、予めウエイトの曲げる位置を決めることができるので、ウエイトを数種類も準備することなく1つのウエイトで正確に動的バランス量の補正が可能となり、部品点数及び組立工数が削減できるという効果を有する。また、正確に動的バランス量が補正でき、また切り欠き部が樹脂製のインペラに食い込んで抜け止めとなるので、ウエイトをより確実に固定できる作用を有し、工数を削減しつつ信頼性の高い低振動な小型軸流ファンモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における小型軸流ファンモータの断面図
【図2】本発明の実施例1における小型軸流ファンモータの斜視図
【図3】本発明の実施例1における小型軸流ファンモータのロータ組立の斜視図
【図4】本発明の実施例2におけるウエイトの斜視図
【図5】本発明の実施例2におけるウエイトの斜視図
【図6】従来の小型軸流ファンモータの断面図
【図7】従来の小型軸流ファンモータの断面図
【図8】従来の小型軸流ファンモータのロータ組立の斜視図
【符号の説明】
1 バックヨーク
2 シャフト
3 永久磁石
4 羽根
5 外周部
6 インペラ
7 ロータ組立
8 開口部
9 マグネットワイヤ
10 コア
11 回路基板
12 軸受
13 ハウジング
14 カバー
15 ステータ組立
16 板バネウエイト
17 切り欠き部
18 切削部
19 ウエイト
A 隙間
B 隙間

Claims (2)

  1. カップ状のバックヨークと、このバックヨークの内側に固定され、内周を多極着磁された永久磁石と、前記バックヨークの中央に固定されたシャフトと、前記バックヨークの外側に被着され、外周に複数個の羽根を備えるカップ状のインペラとを有するロータ組立と、前記永久磁石の内周と対向して配置され、マグネットワイヤが巻回されたコアと前記シャフトを回転自在に支持する軸受と少なくとも前記マグネットワイヤに供給する電流を切り替える回路を搭載した回路基板と前記コア及び軸受並びに回路基板を保持するハウジングとこのハウジングに固定され、前記シャフトをスラスト方向に支承するカバーとを有するステータ組立を備える小型軸流ファンにおいて、前記インペラの天面の外周部に複数個の開口部を形成し、この開口部から弾性を有する板状のウエイトを前記バックヨークと前記インペラとの間に挿入固定してなる小型軸流ファンモータ。
  2. 上記ウエイトに複数個の切り欠き部を設けて折り曲げた請求項1記載の小型軸流ファンモータ。
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