JP4089015B2 - ボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はボイラ火炉壁の内面に形成されている溶射被膜の亀裂を遠隔にて検出することができるようにしたボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発電用ボイラの火炉壁の内面には、耐摩耗性等を向上させるために、通常、金属による溶射被膜が施工される。
【0003】
上記溶射被膜は、経年変化により劣化すると、亀裂(割れ)が発生するので、定期的に検査を行う必要がある。そのため、従来では、カラーチェック(浸色探傷検査)や目視による検査が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、カラーチェックの場合、それのみにて検査が完了するものではなく、最終的な判断としては、結局、火炉壁の内面全体を目視により行っているのが実状である。そのため、時間及び手間を要し、莫大な費用がかかる問題があり、又、目視による検査は火炉内に作業員が入って行う悪環境作業となるため、健康上や精神衛生上も好ましくないものである。
【0005】
そこで、本発明は、作業員が火炉内に殆ど入ることなく溶射被膜の亀裂検出を容易に行うことができるようなボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、ボイラ火炉壁の内面におけるボイラチューブの表面に沿わせて延びていて該ボイラチューブの表面に直接着脱可能としてあるレール台と、該レール台の長手方向に移動可能に係合支持させて走査用モータにより走査移動できるようにしてある走査台車と、該走査台車に該走査台車の移動方向と直角な方向に配して該走査台車の移動方向と直角な方向へ移動できるように支持させたアームの先端に、上記レール台を所要のボイラチューブの表面に取り付けたとき該レール台を取り付けたボイラチューブの隣りのボイラチューブの表面に向くように取り付けた無線式CCDカメラと、該CCDカメラからの映像信号を受ける映像受信器と、該映像受信器にて受けた映像信号を映像として表示する映像表示器と、該映像表示器にて表示された映像を処理して溶射被膜の亀裂を検出する映像処理装置とからなる構成とする。
【0007】
ボイラ火炉壁の内面におけるボイラチューブの表面に沿わせてレール台を取り付け、走査台車をレール台に沿わせて移動させつつCCDカメラにて火炉壁内面を撮影させるようにする。撮影された映像は映像受信器を介し映像表示器に表示され、映像処理装置にて解析される。したがって、火炉壁内面の溶射被膜の亀裂が火炉外部にて検出される。
【0008】
又、先端面にCCDカメラを取り付けて走査台車の移動方向と直角な方向に配したアームの基端を、上記走査台車に、該走査台車の移動方向と直角な方向へ位置調整用モータにより移動調整できるように支持させ、CCDカメラの位置を隣接するボイラチューブの表面に向くよう調整できるようにした構成とすると、レール台をその都度付け替えることなく広範囲に亘る検査が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1及び図2は本発明の実施の一形態を示すもので、平行に配した多数のボイラチューブ1aと、隣接するチューブ10間を連結するフインプレート1bとからなるボイラ火炉壁1の内面に着脱可能に取り付けるためのレール台2と、該レール台2に移動可能に係合支持させた走査台車3と、該走査台車3に装備させた拡大、望遠可能な無線式CCDカメラ4と、該CCDカメラ4からの映像信号を受ける映像受信器5と、該映像受信器5にて受けた映像信号を映像(画像)として表示する映像表示器6と、該映像表示器6に表示された映像を白黒2値化解析して異常部を検出させるようにする映像処理装置7を備えた構成とする。
【0011】
上記レール台2は、前面に、長手方向に沿うようにラック8を設け、後面に、電磁石の如きマグネット9を取り付け、左右両側面に、長手方向に沿うレール溝10を有する構成とし、ボイラ火炉壁1のボイラチューブ1aの表面にマグネット9により着脱可能にセットできるようにしてある。
【0012】
上記走査台車3は、前後に重ねて配置したフレーム3aと3bとを有する。後部フレーム3bは、後面部に、レール台2の左右のレール溝10に嵌入させるようにした車輪11を設け、内部に、レール台2のラック8に噛合させるようにしたピニオン12と、該ピニオン12を駆動するブレーキ付きの走査用モータ13とを備えた構成としてある。
【0013】
一方、前部フレーム3aは、内部に、外側部に設置した位置調整用モータ14の駆動で回転できるようにしたねじロッド15を、レール台2と直角な方向となる左右方向に沿うよう配置し、且つ該ねじロッド15に、ねじロッド15と平行に固定した回転規制部材16によって回転が規制されるようにしたナット17を螺合させ、更に、該ナット17に、先端側が前部フレーム3aの側壁を貫通するように左右方向に配したアーム18の基端を支持させて、該アーム18の先端に、ホルダー部材19を介してCCDカメラ4を取り付けた構成としてある。
【0014】
ボイラ火炉壁1の内面の溶射被膜を検査する場合には、予め、レール台2を、所要のボイラチューブ1aの表面に、マグネット9の吸着力で上下方向にセットし、且つレール台2をセットした隣りのボイラチューブ1aの表面に向くようにCCDカメラ4の位置を調整しておくようにする。
【0015】
上記の状態において、CCDカメラ4のスイッチを入れ、レール台2のたとえば上端に位置させておいた走査台車3を、下端へ向けて移動させるようにする。この場合、後部フレーム3bの走査用モータ13を駆動すると、レール台2側のラック8と噛合しているピニオン12が回転させられるため、ピニオン12の転動力で走査台車3全体が走査移動させられる。
【0016】
上記のように走査台車3が移動させられているときに、CCDカメラ4は、レール台2がセットされているボイラチューブ1aの隣りのボイラチューブ1aの表面を撮影することになる。
【0017】
走査台車3がレール台2の下端位置まで達すると、次に、前部フレーム3aに設置してある位置調整用モータ14を所要方向へ駆動し、ねじロッド15の回転でナット17を移動させることによりアーム18を前部フレーム3aの側壁から所要量突出させるようにする。これにより、図2において二点鎖線で示す如く、CCDカメラ4は更に隣りのボイラチューブ1aの位置へ移動させられる。しかる後、上記走査用モータ13を逆転させ、走査台車3をレール台2の下端から上端へ向けて移動させるようにし、このとき、上記と同様に、CCDカメラ4にてボイラチューブ1aの表面を撮影させるようにする。
【0018】
走査台車3がレール台2の上端に達すると、次に、レール台2のセット場所を移動し、上述した手順と同じ手順で走査台車3を移動させつつCCDカメラ4による撮影を、必要回数繰り返し行わせるようにする。
【0019】
上記において、CCDカメラ4により撮影された映像は、外部の映像受信器5に無線によって送られ、映像表示器6にて表示され、監視される。次に、この映像は映像処理装置7に送られ、ここで、2値化されて解析されることにより溶射被膜の亀裂が検出される。
【0020】
このように、無線式CCDカメラ4を走査台車3に搭載して移動させながら撮影を行うようにするので、作業員がボイラ火炉内に入って悪環境下で実質作業を行う時間を激減でき、トータルな検査時間も大幅に短縮することができる。又、CCDカメラ4がコードレスであることから、走査範囲も広がり、たとえば、コードと足場との干渉等に気をとられることなく円滑に検査作業を進めることができる。
【0021】
なお、本発明は上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、走査台車3を移動させる機構としては、ラックとピニオンによる他、図2に示すCCDカメラの位置調整機構の如きねじロッドとナットとの組み合わせ等、あらゆる機構を採用し得ること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0022】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明のボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置によれば、ボイラ火炉壁の内面におけるボイラチューブの表面に沿わせて延びていて該ボイラチューブの表面に直接着脱可能としてあるレール台と、該レール台の長手方向に移動可能に係合支持させて走査用モータにより走査移動できるようにしてある走査台車と、該走査台車に該走査台車の移動方向と直角な方向に配して該走査台車の移動方向と直角な方向へ移動できるように支持させたアームの先端に、上記レール台を所要のボイラチューブの表面に取り付けたとき該レール台を取り付けたボイラチューブの隣りのボイラチューブの表面に向くように取り付けた無線式CCDカメラと、該CCDカメラからの映像信号を受ける映像受信器と、該映像受信器にて受けた映像信号を映像として表示する映像表示器と、該映像表示器にて表示された映像を処理して溶射被膜の亀裂を検出する映像処理装置とからなる構成としてあるので、ボイラ火炉内に作業員が入って悪環境下で行う実質作業をほとんどなくすことができて、溶射被膜の亀裂検出を容易に行うことができると共に、検査時間を大幅に短縮することができ、又、先端面にCCDカメラを取り付けて走査台車の移動方向と直角な方向に配したアームの基端を、上記走査台車に、該走査台車の移動方向と直角な方向へ位置調整用モータにより移動調整できるように支持させ、CCDカメラの位置を隣接するボイラチューブの表面に向くよう調整できるようにした構成とすることにより、レール台をその都度付け替えることなく広い範囲に適用することができる、という優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置の実施の一形態を示す概略図である。
【図2】図1のA−A線拡大矢視図である。
【符号の説明】
1 ボイラ火炉壁
1a ボイラチューブ
2 レール台
3 走査台車
4 CCDカメラ
5 映像受信器
6 映像表示器
7 映像処理装置
9 マグネット
13 走査用モータ
14 位置調整用モータ
15 ねじロッド
16 回転規制部材
17 ナット
18 アーム
Claims (2)
- ボイラ火炉壁の内面におけるボイラチューブの表面に沿わせて延びていて該ボイラチューブの表面に直接着脱可能としてあるレール台と、該レール台の長手方向に移動可能に係合支持させて走査用モータにより走査移動できるようにしてある走査台車と、該走査台車に該走査台車の移動方向と直角な方向に配して該走査台車の移動方向と直角な方向へ移動できるように支持させたアームの先端に、上記レール台を所要のボイラチューブの表面に取り付けたとき該レール台を取り付けたボイラチューブの隣りのボイラチューブの表面に向くように取り付けた無線式CCDカメラと、該CCDカメラからの映像信号を受ける映像受信器と、該映像受信器にて受けた映像信号を映像として表示する映像表示器と、該映像表示器にて表示された映像を処理して溶射被膜の亀裂を検出する映像処理装置とからなる構成を有することを特徴とするボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置。
- 先端面にCCDカメラを取り付けて走査台車の移動方向と直角な方向に配したアームの基端を、上記走査台車に、該走査台車の移動方向と直角な方向へ位置調整用モータにより移動調整できるように支持させ、CCDカメラの位置を隣接するボイラチューブの表面に向くよう調整できるようにした請求項1記載のボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置。
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JP17720498A JP4089015B2 (ja) | 1998-06-24 | 1998-06-24 | ボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置 |
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JP17720498A Expired - Lifetime JP4089015B2 (ja) | 1998-06-24 | 1998-06-24 | ボイラ火炉壁の溶射被膜亀裂検出装置 |
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1998
- 1998-06-24 JP JP17720498A patent/JP4089015B2/ja not_active Expired - Lifetime
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