JP3920985B2 - 位置決め方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体上に2台のカメラと2分割映像装置を一組として設置して、移動体を対象物の所定の位置に位置決めする、位置決め方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クレーン等の移動体を鋼片(スラブ)等の対象物に対して、遠隔操作で位置決めを行う際、クレーンにカメラを設置して、該カメラの映像をモニタに提示し、作業者がその映像を見て、クレーンの把持爪とスラブの相対位置関係を把握しながら、位置決めを行っている。また、高い位置決め精度(例えば、長さ12mの対象物に対して、±100mm以下)を要求される場合においては、クレーンにレザー式計測装置や画像処理装置により、対象物との相対位置を測定して、遠隔操作する場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
鋼片スラブ(以下スラブ)を搬送するクレーンを自動化する上での1つの課題として、貨車を利用したスラブのヤードへの受け入れ時の貨車停止精度(±1000mm程度)、または、ローラーテーブルを利用したヤード内のスラブの隣接ヤード間への置換する際のローラー上のスラブのスラブ中心に対するクレーンの位置決め方法がある。
【0004】
クレーンでスラブを把持する場合、クレーン上にカメラを設置して、そのカメラからの映像をモニタで見ながら行う位置決めでは、クレーンの把持爪で、スラブの任意の箇所を把持することは出来ても、スラブの長手方向におけるセンターに対して±100mm以内でクレーンを位置決めして把持することは、非常に困難である。
【0005】
また、クレーンにレザー式計測装置や画像処理装置により、対象物との相対位置を定量的に測定する方法においては、スラブが1000℃以上の高温である場合、スラブの輻射熱に対して、センサー及び画像処理用のカメラに空冷等の耐熱対策を実施する必要があり、設備的に高価となったり、また、屋外で、雨により、水蒸気が発生した場合は、測定不可となる場合が多い。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記のような過酷な条件でも、熟練を必要とせず、容易にかつ精度良く移動体を対象物の所定の位置に位置決めできる方法とその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第一の発明は、移動体を対象物に位置決めを行う際、移動体の基準点から点対称となる2箇所に配置する2台のカメラを少なくとも一組は設置して、該2台のカメラからの映像を1台のモニタ上に上下または左右方向に2分割映像とするとともに、モニタ上の該2分割映像の向きが、移動体の基準点からカメラ設置位置に向かう方向が一致し、且つ、映像の2分割ラインに平行になるように、モニタ上に映像を提示し、2分割映像上に映った対象物の各々の基準点の位置を、映像の2分割ラインと直行するモニタ端面の同一側からの距離が一致するように、移動体を移動することによって、移動体を対象物の所定の位置に位置決めする位置決め方法である。
【0008】
また、第二の発明は、移動体の基準点から点対称となる2箇所に配置する2台のカメラと、該2台のカメラからの2つの映像信号を取り込んで2分割映像信号として出力する2分割映像装置を少なくとも一組は移動体上に設置するとともに遠隔操作場所に、移動体の遠隔操作手段と前記2分割映像装置からの映像信号を取り込んでモニタ上の該2分割映像の向きと、移動体の基準点からカメラ設置位置に向かう方向とが一致し、且つ、映像の2分割ラインに平行になるように提示するモニタを設けたことを特徴とする位置決め装置である。
【0009】
第三の発明は、移動体の位置検出装置と移動体の基準点から点対称となる2箇所に配置する2台のカメラと、該2台のカメラからの2つの映像信号を取り込んで2分割信号として出力する2分割映像装置を少なくとも1組は移動体上に設置するとともに、移動体上の操作場所に、前記位置検出装置からの位置表示装置と前記2分割映像装置からの映像信号を取り込んでモニタ上の該2分割映像の向きと、移動体の基準点からカメラ設置位置に向かう方向とが一致し、且つ、映像の2分割ラインに平行になるように提示するモニタを設けたことを特徴とする位置決め装置である。
【0010】
第四の発明は、移動体の基準点から点対称となる2箇所に配置する2台のカメラが自動アイリス機能と手動アイリス機能を有し、遠隔操作場所、移動体上の操作場所の少なくとも一方に、自動アイリス機能と手動アイリス機能を選択する切換装置を設け、さらに、手動アイリス機能のアイリス調整装置を設けた位置決め装置である。
【0011】
第一および第二の発明の構成によれば、移動体をクレーンとした場合、クレーンの二組の把持爪のセンターから点対称となる2箇所にカメラを配置し、該クレーンを用いて、矩形であるスラブを長手方向のセンターで把持している場合、該カメラから得られる2つのスラブの映像の形状は、同一となることは容易にわかる。つまり、2つのスラブの映像が、同一形状である場合は、クレーンは、スラブのセンターに位置することになる。
【0012】
また、本発明のモニタへの提示方法では、クレーンがセンターにある場合に、2分割映像でモニタに提示されたスラブの長手方向の最端面が、一直線上になるため、この2つのスラブの映像が同一であるか、すなわち、クレーンがスラブのセンターに位置決めされているが、一目瞭然となる。
【0013】
ところで、この端面の一直線からのズレ量が、スラブのセンター位置に対するクレーンの位置決め誤差、すなわち、位置決め精度となる。
【0014】
第三の発明の構成によれば、クレーンの機上の運転室にも位置決め用のモニタを設置しているため、クレーンを機上で運転する場合でも、スラブのセンターを精度よく把持することができ、さらに、クレーンの現在位置を表示する位置表示装置を有しているため、スラブを積載する所定の番地に対して、スラブの中心を精度よく配置することができる。
【0015】
すなわち、クレーン自動運転が何らかの原因で、システムがダウンした場合でも、人手運転で、クレーンを使用しても、クレーン稼動効率を低下することなく、クレーン自動運転と同等の精度で、スラブを精度よく配置且つ積載することができるため、自動クレーン復旧後において、スラブの配置且つ積載を修正することなく、直ちに、自動クレーン操業が実施することができる。
【0016】
また、第四の発明の構成によれば、2台のカメラが自動アイリス機能を有しているために、通常は、自動アイリス機能を使用することにより、一切、アイリスを調整することなく朝、昼、夜において、鮮明なスラブの映像が得られる。また、高いスラブ山立ての影となる低いスラブの映像が、自動アイリス機能の照度調整限界により、スラブの端面が暗くて認識出来ない場合が、しばしばあるが、その場合は、手動アイリス機能に切り換え、暗くて認識できない映像を提示しているカメラのみ、アイリスを映像を見ながら調整することにより、鮮明なスラブ端面映像を得ることが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施例であるスラブ搬送用のクレーンの正面から見た構成図である。
【0019】
図2は図1の構成図のA−Aから見た側面図である。
【0020】
図3は図1の構成図のB−Bから見た上面図である。
【0021】
図4は位置決めする前の位置決め用カメラのモニタ上の映像である。
【0022】
図5は位置決めする後の位置決め用カメラのモニタ上の映像である。
【0023】
図1に示す、本発明の位置決め方法が非常に有効である、スラブ搬送用のクレーンを遠隔で操作する場合について説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、水平視野角95゜の超広角レンズをカメラ1に装着し、このカメラをパン、チルト首振り可能な電動雲台2に設置している。
【0025】
また、二組の把持爪5a、5b、5c、5dが備わっているトング4のセンタを基準として、等間隔に、且つ、フロアー(地面)からの高さも同じ位置のクレーンクラブ6上に、同じ仕様のレンズ(f=8mm)及びCCDカメラを使用した位置決め用カメラ7a、7bを設置している。該位置決め用カメラ7a、7bの設置に際しては、予め、スラブの中心とクレーンのトングの中心とを±20mm以内に合うように、クレーンを移動させた後に、カメラのフォーカス及び角度を微調整しながら、モニタ上の2分割映像のスラブ端面が一直線上に揃うようにする。
【0026】
該カメラ7a、7bによって撮影した映像信号は、クレーン上の運転室17内に設置した映像2分割装置を介して、光信号に変換して、光ケーブル14により、遠隔操作手段10が設けられている遠隔操作運転室8に設置した32型ワイド型カラーモニター9bによって作業者に提示される。
【0027】
本実施例では、長さ12m以上のスラブに対しては、スラブと設備的な干渉の問題で、センタリングの位置決め精度として、±100mmが要求されている。
【0028】
その為、まず初めに、モニタ9bに超広角レンズを装着したカメラ1の映像提示し、それを基にして、スラブ3とトング4の相対位置を確認しながら、粗位置決めを行う。
【0029】
次に、モニタ9b上の映像を2台のカメラ7a、7bからの2分割映像に切り換える。この映像は図3のA、B部分の映像を図4に示すような2分割映像として提示してあるので、スラブ3の長さ方向についてはモニタ画面にてスラブ3の端面が一直線上に揃うようにクレーンを移動させることでスラブに対するセンタリングを行う。
【0030】
ここで、幅方向については、トング4に幅方向のセンターに目印が設置されているので、モニタ上の該目印が、スラブ3の幅方向の中心に位置するようにクレーンを移動させて行う。
【0031】
このような本実施例によれば、スラブ両端部分の映像を、モニタ画面を上下2分割し、一方向にスラブの端部が同方向になるように提示することにより、モニタ上でスラブ端面が一直線上に揃うようにすることだけでセンタリングができるだけでなく、本実施例の場合、12mの長さのスラブに対し、位置決め精度±80mm以下を28秒以下の位置決め時間(試行回数65回の平均値)でセンタリングできるという結果を得ることができる。
【0032】
また、本実施例では長さ方向のセンタリング用カメラ2台7a、7bをクレーンに設置した実施例を説明したが、幅方向のセンタリングも目測が困難であれば、幅方向にも同様なカメラ及び映像2分割装置を設置することでセンタリングは可能となる。また、位置決め用カメラ7a、7bからの映像は、位置決めする場合のみ有効ではなく、スラブを真上より撮影しているため、該映像をモニタに常時、提示することにより、スラブヤード内のスラブの積載形状を監視することもできる。
【0033】
また、クレーン上の運転室17に設置したモニタ9aを使用する場合でも、前記と同様な手順で、カメラ1の映像と2台のカメラ7a、7bからの2分割映像を利用して、スラブに対するセンタリングを実施した後、スラブをトング4で把持して、ビジネスコンピュータの指令と位置検出装置15a、15bによるクレーンの位置表示装置13に基づいて、積載すべき番地に移動することにより、クレーン自動運転と同等な精度でスラブを積載することが出来た。
【0034】
さらに、また、遠隔操作場所8から、クレーンを操作している時に、高いスラブ山立ての影となる低いスラブの片側のスラブの端面の映像のみが、暗くて認識出来ない場合があったが、その際に、自動アイリス機能から、手動アイリス機能に切換装置11bにより切り換え、対象のカメラのみ、映像を見ながらアイリス調整装置12bを操作することにより鮮明なスラブ端面映像を得られ、スラブのセンタリング位置決めを確実且つ迅速に実施することが出来た。ガーダー柱16a、16bの影で、スラブの端面が認識出来ない場合もあったが、同様な手順によりセンタリングは可能であった。なお、クレーン上の運転室17からも同様な操作は可能であった。
【0035】
なお、本発明の適用は、本実施例で示したクレーンに限らず、クローラー式の重機及び他のマニュピレータ等の移動装置にも適用可能であり、対象物体もスラブ等の矩形に限るものではなく、どのような形状に対しても適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、モニタ上で対象物の端面が一直線上に揃うようにすることだけでセンタリングができるために、位置決めに関する作業者の高い習熟度を必要とせず、さらには、精度の良い位置決めが短時間で行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるスラブ搬送用のクレーンの正面から見た構成図である。
【図2】図1の構成図のA−Aから見た側面図である。
【図3】図1の構成図のB−Bから見た上面図である。
【図4】位置決めする前の位置決め用カメラのモニタ上の映像を示す図である。
【図5】位置決めする後の位置決め用カメラのモニタ上の映像を示す図である。
【符号の説明】
1 カメラ
2 電動雲台
3 スラブ
4 トング
5a、5b、5c、5d 把持爪
6 クレーンクラブ
7a、7b 位置決め用カメラ
8 遠隔操作場所
9a、9b モニタ
10 遠隔操作手段
11a、11b 切換装置
12a、12b アイリス調整装置
13 位置表示装置
14 光ケーブル
15a、15b 位置検出装置
16a、16b ガーダー柱
17 クレーン上の運転室

Claims (4)

  1. 移動体を対象物に位置決めを行う際、移動体の基準点から点対称となる2箇所に配置する2台のカメラを少なくとも一組は設置して、該2台のカメラからの映像を1台のモニタ上に上下または左右方向に2分割映像とするとともに、モニタ上の該2分割映像の向きが、移動体の基準点からカメラ設置位置に向かう方向が一致し、且つ、映像の2分割ラインに平行になるように、モニタ上に映像を提示し、2分割映像上に映った対象物の各々の基準点の位置を、映像の2分割ラインと直行するモニタ端面の同一側からの距離が一致するように、移動体を移動することによって、移動体を対象物の所定の位置に位置決めすることを特徴とした位置決め方法。
  2. 移動体の基準点から点対称となる2箇所に配置する2台のカメラと、該2台のカメラからの2つの映像信号を取り込んで2分割映像信号として出力する2分割映像装置を少なくとも一組は移動体上に設置するとともに遠隔操作場所に、移動体の遠隔操作手段と前記2分割映像装置からの映像信号を取り込んでモニタ上の該2分割映像の向きと、移動体の基準点からカメラ設置位置に向かう方向とが一致し、且つ、映像の2分割ラインに平行になるように提示するモニタを設けたことを特徴とする位置決め装置。
  3. 移動体の位置検出装置と移動体の基準点から点対称となる2箇所に配置する2台のカメラと、該2台のカメラからの2つの映像信号を取り込んで2分割信号として出力する2分割映像装置を少なくとも1組は移動体上に設置するとともに、移動体上の操作場所に、前記位置検出装置からの位置表示装置と前記2分割映像装置からの映像信号を取り込んでモニタ上の該2分割映像の向きと、移動体の基準点からカメラ設置位置に向かう方向とが一致し、且つ、映像の2分割ラインに平行になるように提示するモニタを設けたことを特徴とする位置決め装置。
  4. 移動体の基準点から点対称となる2箇所に配置する2台のカメラが自動アイリス機能と手動アイリス機能を有し、遠隔操作場所、移動体上の操作場所の少なくとも一方に、自動アイリス機能と手動アイリス機能を選択する切換装置を設け、さらに、手動アイリス機能のアイリス調整装置を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の位置決め装置。
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