JPH0941182A - 電解槽内の異常電極検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 撮影視野を広くとることができ、短時間での
撮影を可能とし、しかも撮影位置検出のための検知手段
等を必要とせず、撮影が容易で確実であり、設備費も安
価にできる異常電極検出装置を提供すること。 【解決手段】 電解槽内の短絡が生じた電極板２を補修
時に電解槽から吊り上げる懸吊装置８を有し、該電解槽
が直列に複数個接続された電解槽群１の上方を移動可能
な台車３と、この台車に搭載された広角レンズ付き赤外
線カメラ12、解析装置13、モニターテレビと、電解槽群
中の電解槽を識別するナンバープレートとを具えてい
る。赤外線カメラ12は広角レンズにより電解槽内に収納
された一槽分全ての電極板をナンバープレートを含み同
時に平面的に俯瞰撮影可能になっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、銅などの金属を
電解精錬するのに用いる電解槽内の電極板が短絡電流に
より異常発熱しているのを迅速かつ確実に検出すること
ができる異常電極検出装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】銅などの金属を電解精錬するには、一般
に金属塩溶液を電解液として粗金属のアノード又は不溶
性金属のアノードを用いて電解することによりカソード
上に目的の純金属を析出させている。この金属電解精錬
においては多大の電力を消費するため、電流効率が当該
電解精錬の効率の是非を決定する大きなファクターとな
っている。一方、この電解精錬においてカソードの表面
に樹枝状の金属突起が発生することがあり、これが成長
してカソードとアノードとの間を短絡し過大な短絡電流
が流れる。また、カソードの曲がりなどでも短絡電流が
生ずることもある。この短絡電流は目的金属の析出には
何ら有効に作用しないから該短絡は電流効率を低下させ
る最大の原因となる。したがって、該短絡を起こさせな
いこと、及び短絡を早期に検出し、短絡原因を除去する
ことが電解精錬の効率を向上させるために必須の条件と
なっている。

【０００３】従来、前記のような短絡を検出する装置と
して、例えば特開昭６１−１７９８８８号公報に開示さ
れた技術を挙げることができる。この検出装置は金属電
解槽の上に移動自在に設けられた主台車（天井走行クレ
ーン）と、主台車に設備され金属電解槽に配設された複
数の電極やデイストリビュータ等を同時に平面的に俯瞰
撮影する赤外線カメラと、金属電解槽の一側方に沿って
等間隔に設けられ等間隔毎に赤外線カメラを作動させる
撮影位置指示手段（リミットスイッチ）と、金属電解槽
の他側方に沿って設けられ赤外線カメラの位置を検出す
る規準ポイントと、赤外線カメラによって撮影された金
属電解槽の熱画像を解析する解析装置とを具えてなるも
のである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
な従来の検出装置は、撮影視野が狭く、１回で金属電解
槽の長さの１／３しか撮影できないため、撮影の終了ま
でに時間がかかる。また、主台車、補助台車と２つの台
車が必要である。また、赤外線カメラを作動させるとき
撮影位置検出のためリミットスイッチ等の検知手段を必
要とし、さらに、カメラの位置を検出するため電解槽の
側方に沿って規準ポイントを設置しなければならないな
どの問題があった。

【０００５】そこでこの発明は、前記のような従来の問
題点を解決し、撮影視野を広くとることができ、短時間
での撮影を可能とし、しかも撮影位置検出のための前記
のような検知手段等を必要とせず、撮影が容易で確実で
あり、設備費も安価にできる異常電極検出装置を提供す
ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項１の発明は、電解槽内の短絡が生じた電極板
を異常修正作業時に電解槽から吊り上げる懸吊装置を有
し、該電解槽が直列に複数個接続された電解槽群の上方
を移動可能な台車と、この台車に搭載された広角レンズ
付き赤外線カメラ、解析装置、モニターテレビと、電解
槽群中の電解槽を識別するナンバープレートとを具えて
いる。赤外線カメラは広角レンズにより電解槽内に収納
された一槽分全ての電極板をナンバープレートを含み同
時に平面的に俯瞰撮影する。解析装置は赤外線カメラに
よって撮影された電解槽内の電極板の熱画像を解析して
カラー信号化する。モニターテレビは解析装置によって
カラー信号化された熱画像を映し出す。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１はこの発明の最も好ましい実
施の形態を示す異常電極検出装置の概略平面図、図２は
その拡大概略正面図である。図１において１は電解槽群
で、電解槽１Ａ，１Ｂ，１Ｃ，１Ｄ，１Ｅ，１Ｆ…が直
列に複数個接続されて構成されている。各電解槽内には
電極板２が、図２に示すようにアノード２ａとカソード
２ｂが交互に配列されて収納されている。電解槽群１の
上方には台車３がその下端の車輪４を電解槽群１の両側
に設けたレール５に載せ、図示しない駆動モータにより
矢印Ｘ方向へ移動可能に設置されている。台車３上には
支持フレーム７が設置され、該フレームには懸吊装置と
してのホイスト８が走行車輪９を支持フレーム７に設け
たガイドレール10上に載せて矢印Ｙ方向へ走行可能に設
けられている。

【０００８】台車３には広角レンズ付き赤外線カメラ1
2、解析装置13、作業者用モニターテレビ14、ＶＴＲ
（ビデオテープレコーディング）15、運転者用モニター
テレビ16が搭載されている。図１において18は電解槽１
群中の電解槽を識別するナンバープレートで、図３に示
すようにボール紙に数字を繰り抜いて作られている。

【０００９】前記の装置において電極板２が、例えばカ
ソード２ｂとアノード２ａとの間で過大な短絡電流が流
れて短絡すると、短絡した部分が他の部分より温度が高
くなる。そこでこのような短絡を検出して異常を見出す
べく、作業者等は定期的に電解槽群１の電解槽に対して
異常検査作業を行う。すなわち、この異常検査作業に際
しては、まず電解槽群１の電解槽内に収納された電極板
２の上に図１に示すように電解槽を識別するためにナン
バープレート18を例えば予め定めた順番通りに置く。こ
の実施の形態では図３に示すように電解槽１ＤをNo.７
と定めている。次に、台車３を電解槽群１の上方の一側
から他側に向けて高速（0.4ｍ/秒）で移動させ、この移
動中に台車３に搭載された赤外線カメラ12の広角レンズ
により電解槽内に収納された一槽分全ての電極板２・デ
ストリビュータ等をナンバープレート18を含み同時に平
面的に俯瞰撮影する。図２でＺは広角レンズによる赤外
線カメラ12の撮影可能範囲を示している。

【００１０】赤外線カメラ12によって撮影された電解槽
内の電極板２の熱画像は解析装置13により解析され、カ
ラー信号化される。すなわち、熱画像の温度の違いによ
り、例えば正常なカソード２ｂは緑色、短絡しているカ
ソード２ｂは鮮やかなオレンジ色で表示され、この表示
がそのまま作業者用のモニターテレビ14及び運転者用モ
ニターテレビ16に映し出され、作業者等に目視される。
これにより作業者等はカソード２ｂの温度の違いを視覚
的に観測することができ、短絡カソードの発見が可能と
なる。また、このカラー表示はデータ記録用としてＶＴ
Ｒ15にも収録される。

【００１１】しかして、作業者等は前記異常検査作業の
後、再度、該台車３を電解槽群１の上方を移動させると
ともに、広角レンズ付き赤外線カメラ12、解析装置13、
作業者用モニターテレビ14，16を起動させ、モニターテ
レビ14又は16を見ながら異常電極板である短絡カソード
２ｂに対する異常修正作業を行う。すなわち、この異常
修正作業に際しては、まず台車３を異常修正すべきカソ
ード２ｂがある電解槽の上方まで低速（0.2ｍ/秒）で移
動させる。そして台車３上のホイスト８をガイドレール
10に沿って電解槽内の電極板２の配列方向へ走行させ、
異常修正すべきカソード２ｂの直上の所定位置に停止さ
せる。次に、ホイスト８で異常修正すべきカソード２ｂ
をその全体が槽内から露出する程度の高さまで吊り上
げ、該吊り上げた状態で作業者等は異常修正すべきカソ
ード２ｂの表面に発生した樹枝状の金属突起を手等で取
り除く。これにより異常修正作業が終了するので、吊り
上げていた異常修正済みカソード２ｂをホイスト８で降
ろして再び電解槽内の所定位置に戻す。

【００１２】発生した金属突起が微小で多数の場合はそ
のままの状態で金属突起付着側と反対側の対向するアノ
ード２ａ側にカソード２ｂを寄せて電解槽内に戻す。ま
た、電極板２とディストリビュータの接触不良が原因で
ディストリビュータが発熱しているときは、カソード２
ｂの場合はカソードを吊り上げて接触部を清掃する。ア
ノード２ａの場合はアノードを吊り上げるとアノード表
面に生成したスライムが電解槽内に落下して電解液を汚
すので、そのままにしておき、アノード取替時に接触部
を清掃する。さらに、電極板（カソード）の変形が原因
で異常が発生している場合は、その電極板２を電解槽内
から吊り上げて系外に搬出する。

【００１３】この実施の形態において台車３上のホイス
ト８の配設位置等は任意である。また、ホイスト８を異
常修正すべきカソード２ｂの吊り上げ用として説明した
が、異常修正不能として系外に搬出する用途にも用いる
ことができるし、あるいは搬出用として別のホイストを
設けてもよい等、その設計は実施に際し適宜変更するこ
とができる。

【００１４】

【発明の効果】請求項１の発明は前記のような構成から
なり、赤外線カメラの広角レンズにより電解槽内に収納
された一槽分全ての電極板を撮影してモニターテレビ等
で見れるから、従来に比し撮影視野がきわめて広く、従
来のように１つの電解槽の上を何回も走行する必要がな
い。したがって、撮影が短時間ですみ、電極板の異常検
出作業を従来に比し迅速に行うことができる。また、台
車に懸吊装置を設けているので、天井クレーン等の懸吊
装置を別に必要とせず、電解槽内の電極板に短絡が生
じ、それが異常検出作業により検出されたときは該短絡
電極板を電解槽内から吊り上げ迅速に異常修正作業をす
ることができる。さらに、撮影位置の検出にリミットス
イッチや光電素子等の検知手段を必要とせず、電解槽ナ
ンバープレートにより槽番号を熱画像として短絡検出の
モニターテレビの画面上に同時に表示させて行うことが
可能なので、撮影位置の判別も容易であるのに加え、異
常修正作業はモニターテレビを見ながら行うことができ
るので、異常修正すべき極板の選定ミスもなくなり、ま
た異常修正作業がうまくいったかどうかもすぐにわか
り、設備費も安価に抑えることができる、等の優れた効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の最も好ましい実施の形態を示す異常
電極検出装置の概略平面図である。

【図２】図１の拡大概略正面図である。

【図３】電解槽ナンバープレートの載置状態を示す拡大
概略平面図である。

【符号の説明】

１ 電解槽群 １Ａ，１Ｂ… 電解槽 ２ 電極板 ２Ａ アノード ２Ｂ カソード ３ 台車 ５ レール ８ ホイスト（懸吊装置） 12 広角レンズ付き赤外線カメラ 13 解析装置 14 作業者用モニターテレビ 15 ＶＴＲ 16 運転者用モニターテレビ 18 電解槽ナンバープレート

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電解槽内の短絡が生じた電極板を異常修
   正作業時に電解槽から吊り上げる懸吊装置を有し、該電
   解槽が直列に複数個接続された電解槽群の上方を移動可
   能な台車と、この台車に搭載された広角レンズ付き赤外
   線カメラ、解析装置、モニターテレビと、前記電解槽群
   中の電解槽を識別するナンバープレートとを具え、前記
   赤外線カメラは広角レンズにより電解槽内に収納された
   一槽分全ての電極板をナンバープレートを含み同時に平
   面的に俯瞰撮影し、前記解析装置は赤外線カメラによっ
   て撮影された電解槽内の電極板の熱画像を解析してカラ
   ー信号化し、モニターテレビは解析装置によってカラー
   信号化された熱画像を映し出すようになっていることを
   特徴とする電解槽内の異常電極検出装置。