以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例に係る用紙後処理装置の概略構成を示す図、図2及び図3は図1に示した用紙後処理装置を備えた画像形成システムの概略構成を示す図である。図2に示した形態は複写機としてのシステムの概略を示しており、画像形成装置PR、用紙を前記画像形成装置に供給する給紙装置PF、画像を読み込むためのスキャナSC及び循環式自動原稿給送装置ARDFからなる。前記画像形成装置PRにより画像形成された用紙は中継ユニットCUを経由して、フィニッシャFRの入口ガイド板に搬送されることになる。図3はスキャナSC及び循環式自動原稿給送装置ARDFのないプリンタ形態のシステムの概略で、その他の構成は、上記複写機と同様である。
フィニッシャFRとして示した用紙後処理装置は、前記に示すように画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出された用紙は用紙後処理装置FRに導かれ、用紙後処理装置FRの持つ機能により各種の後処理が施される。なお、画像形成装置PRは、例えば電子写真方式の画像形成プロセスの装置やインクジェット方式の印字ヘッドを持った装置など、公知の画像形成機能を有する装置であればよいので、詳細な説明は省略する。
用紙処理装置としての用紙後処理装置FR(以下、参照符号2で示す)では、図1に示すように画像形成装置PRから受け入れられた用紙は、1枚の用紙に後処理を施す後処理手段(実施例では穿孔手段としてパンチユニット3)を有する入口搬送路Aを通り、プルーフトレイ18へ導く上搬送路B、シフトコロ9へ導く中間搬送路C、整合及びスティプル綴じ等を行うスティプルトレイ10へ導く下搬送路Dへ、分岐爪24、ターンガイド36及び分岐爪25、ターンガイド37によって振り分けられるように構成される。搬送ローラ33,34,35によってスティプルトレイ10上に搬送された用紙はスティプルトレイ10上で、ジョガーフェンス12により用紙搬送方向と垂直な方向に整合され、搬送方向は叩きコロ8により後端フェンス27を基準に整合される。
その後、スティプル排紙コロ対35の一方の軸を中心として回動する束搬送ガイド板28に支持された束搬送ローラ13bが、束搬送ガイド板28の回動によって束搬送ローラ13a側に寄り、用紙束を挟んで保持し、後端フェンス27が破線の位置へ退避する。そして、端面綴じの場合は所定位置でのスティプル処理が行われ、放出爪11により上方へ搬送され、放出ローラ15によって排紙トレイ17に排紙され、積載される。図8は、前記放出爪11の駆動部の概略を示したものであるが、放出ベルト14が巻回されたタイミングプーリ101,102の駆動側のタイミングプーリ101には、駆動軸103が連結され、当該駆動軸103に設けられたギヤ列104,105を介してステッピングモータ106から駆動力を得ている。
一方、中綴じの場合には、用紙束が揃えられ、束搬送ガイド板28と、束搬送ローラ対13a,13bにより用紙束が挟まれた後に下方へ束搬送され、中綴じ位置まで搬送されて保持され、綴じ処理が行われる。そして、中綴じ処理が終了すると、束搬送ローラ26a,26bにより折り位置までの搬送が実施され、折りプレート19と折りローラ対20によって中折り処理がなされ、中折り排紙ローラ22によって中折り排紙トレイ23に排紙され、積載される。
上搬送路B、中間搬送路C、下搬送路Dの上流で各々に対し共通な入口搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れる用紙を検出する入口センサ301、その下流に搬送ローラ31、パンチユニット3、その下流に分岐爪24、ターンガイド36が順次配置されている。
分岐爪24は図示しないバネにより図1の実線の状態に保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより、図示反時計方向に回動し、下搬送路D方向へ用紙を振り分け、ソレノイドOFFならば上搬送路Bへ用紙を振り分ける。分岐爪25は図示しないバネにより図1の実線の状態に保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより、時計方向に回動し、中間搬送路Cへ用紙を振り分ける。ソレノイドOFFならば、用紙はそのまま下搬送路Dへ送られ、搬送ローラ33,34により搬送される。ターンガイド36,37はそれぞれ分岐爪24,25による用紙の振り分けを助ける働きを有する。これらのターンガイド36,37は、分岐爪24,25によって搬送方向を曲げられた用紙が当たって連れ回りし、小径の分岐部での用紙の搬送抵抗を低減する機能を有する。
中間搬送路Cには用紙を搬送方向と直角方向に一定量だけ移動可能なシフトコロ9が備えられている。シフトコロ9は、図示しない駆動手段により搬送方向と直角方向に移動させることによりシフト機能を発揮する。搬送ローラ32及びターンローラ37を経て中間搬送路Cへ送られて来た用紙をシフトコロ9で搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動させることによって、用紙が搬送方向と直角方向に一定量ずれ、その状態のまま放出ローラ15によって排紙され、排紙トレイ17に積載される。なお、前記タイミングは、コロシフトセンサ303の用紙検知情報及び用紙のサイズ情報等に基づき決定される。
下搬送路Dにはスティプルトレイ排紙センサ305が設けられ、この排紙センサ305によって搬送路中の用紙の有無を検出するとともに、用紙検出信号がスティプルトレイ10へ用紙を排出する際の揃え動作のトリガとして使用される。搬送路Dに送られた用紙は、搬送ローラ33,34,35によって順次搬送され、スティプルトレイ10に積載後、整合される。
スティプルトレイ10に排紙された用紙の後端は、第1の用紙束規制手段としての後端フェンス27を基準に整合が行われる。
後端フェンス27は、図12に示すように束搬送ローラ13aの中心軸を中心に回動可能な構成となっており、通常は引張スプリング71によって用紙搬送路から退避しており、用紙束を積載する際にソレノイド70により後端フェンス27のソレノイド側の端部27aが駆動され、先端部27bが搬送路へ突出する。
これにより、用紙束の積載が可能になる。
スティプルトレイ10に積載された用紙は、叩きコロ8によって随時下に落とされて下端が揃えられる。叩きコロ8は支点8aを中心に、スティプルトレイ10回りの機構を示す斜視図である図4に示すように、叩きソレノイド8sによって振り子運動を与えられ、スティプルトレイ10へ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙を後端フェンス27に突き当てる。なお、叩きコロ8はタイミングベルト8tにより反時計回りの用紙を後端フェンス27へ移動させる方向に回転している。スティプルトレイ10に積載された用紙の搬送方向と直角方向の揃えは、ジョガーフェンス12によって行なわれる。ジョガーフェンス12は図4に示す正逆転可能なジョガーモータ12mによりタイミングベルト12bを介して駆動され、用紙の搬送方向と直角方向に往復移動する。この運動で用紙の端面を押さえる動作を行うことにより、搬送方向と直角方向の用紙の揃えを行う。この動作は用紙積載中及び最終用紙の積載後の随時に行なわれる。スティプルトレイ10に備えられたセンサ306は、スティプルトレイ10上の用紙の有無を検知する所謂用紙検知センサである。これら叩きコロ8、後端フェンス27及びジョガーフェンス12が用紙束を用紙搬送方向に対して平行な方向と直交する方向に整合させる整合手段を構成している。
束搬送ローラ13a,13b及び26a,26bは、図11に示す機構により、加圧、解放動作が可能であり、解放した状態で用紙束を間に通した後、加圧して用紙束を搬送する。束搬送ローラ13a,13b及び26a,26bは圧解除モータ63により圧接離間移動が自在になっている。前記搬送コロ13a,13b及び26a,26bはステッピングモータ50により回転駆動され、このステッピングモータ50の回転数を制御することにより用紙束の搬送量が制御される。束搬送ローラ13a,13b及び26a,26bの両者はそれぞれ別個独立して設けられ、両者間の圧接離間移動が自在になっている。
各束搬送ローラの圧解除機構は、同様となっているので束搬送ローラ13a,13bについて詳細に説明する。
図11に示すように束搬送ローラ13a,13bは、回転方向が反対でかつ同速度で回転するように駆動系が連結されている。駆動は、ステッピングモータ50を駆動源として束搬送ローラ13aに同軸に配されたタイミングプーリ53およびギアプーリ54に伝達される。さらにギアプーリ54から、アイドラプーリ55を経て、アーム56を介して束搬送ローラ13bと同軸上に配されたタイミングプーリ58に駆動が伝達され、束搬送ローラ13bが回転することになる。アーム56は、ギアプーリ55を中心に回動可能となっており、束搬送ローラ13b軸に設けられた引張スプリング64により用紙へ圧接する方向に作用している。また、束搬送ローラ13b軸にはリンク59が連結されており、前記リンクの他方側には長穴59aが設けられ、ギヤ60の円周上に設けられた凸部60pに回動自在に遊嵌されている。また、前記ギア60の一端には束搬送ローラ13a,13bの開放状態をフィラー60aによって検知するためのセンサ61が設けられ、ステッピングモータ63を反時計回り及び時計回りに回転させることにより、圧接及び圧解除を行う。図11(a)が圧解除の状態、図11(b)が圧接の状態である。ステッピングモータ63が励磁されていない場合には引張スプリング64の力で圧接位置まで戻る。束搬送ローラ13a,13bは上記の圧接、圧解除の動作を用紙束を搬送するときのみならずスティプルトレイ10に用紙をスタックする際にも随時実行することにより、用紙の下端部のカールや撓みによる膨らみを押さえ、スタック時の用紙束下端の揃え精度を向上させることができる。この動作を各用紙がスタックされる度、あるいは数枚毎に実行し、スタック性を良好な状態になるように制御できる。さらに、多数枚をスタックする際は、束搬送ローラ13a,13b間の間隔をスタック初期には狭く保持しておき、スタック枚数が増えるに従って次第に間隔を広げてゆくことによって、用紙下端部の丸まりや膨らみの発生を防止しつつ揃え精度を向上させることも可能である。
図1に示すようにスティプルユニット5は針を打ち出すステッチャ(ステッチャはドライバとも称すが、本明細書ではステッチャと称す)5aと用紙束に打ち込まれた針の先端を曲げるクリンチャ5bから構成されている。本実施例におけるスティプルユニット5では、これらステッチャ5aとクリンチャ5bが別体に構成され、スティプラ移動ガイド6によって用紙束搬送方向と直角方向に移動可能となっており、ステッチャ5aとクリンチャ5bは図示しない相対的位置決め機構と移動機構を備えている。用紙束の搬送方向のスティプル位置は、束搬送ローラ13a,13bにより用紙束を搬送することによって行う。これらにより、用紙束の様々な位置にスティプル止めを行うことができる。
図1においてスティプルユニット5の用紙搬送方向下流側(用紙を折る場合の下流側、位置的には下側)にあるのが、中折り機構部である。この機構は、折りローラ対20、折りプレート19、ストッパ21などから成り、上流のスティプルユニット5で、用紙の搬送方向中央にスティプル止めした用紙束を束搬送ローラ13a,13bによりストッパ21に突き当るまで搬送し、一旦、束搬送ローラ13bのニップ圧を解除することにより、用紙束の折り基準位置が決められる。その後、束搬送ローラ26a,26bのニップ圧をかけて用紙束を保持し、ストッパ21が後退して用紙束後端から外れ、画像形成装置本体から送られた用紙サイズ信号により、必要な距離を搬送されて折りの位置が出される。折りの位置(通常は用紙束搬送方向の中央)まで搬送され、停止した用紙束は、折りプレート19によって折りローラ対20のニップに押し込まれ、折りローラ対20が用紙束を加圧、回転することより中折りされる。その際、用紙サイズが大きいと前記ストッパ21よりも用紙搬送方向下流側に用紙束が送られる。そこで、この実施例では、ストッパ21配設位置より下流側の搬送経路を湾曲させて用紙束の端部を水平方向に導いている。このように構成することにより、大きな用紙サイズのものであっても、用紙の搬送が可能となり、用紙後処理装置2の高さ方向のサイズをコンパクトにすることが可能となる。
なお、図13に示すように第2の用紙束規制手段としてのストッパ21は束搬送ローラ26aの中心軸を中心に回動可能な構成となっており、ソレノイド72によりソレノイド側の端部21aが駆動され、先端部21bが搬送路から待避する構成となっている。折られた用紙束は中折り排紙ローラ22によって、中折り排紙トレイ23に排紙され、積載される。中折り部のセンサ310,311は用紙の有無を検知する。また、中折り排紙トレイ23のセンサ313は、中折り排紙トレイ23上の用紙束の有無を検知し、用紙束無しの状態から排紙した用紙束の数をカウントすることにより、中折り排紙トレイ23の満杯検知を擬似的に行うために用いられる。また、折りエンドストッパ位置検知センサ312は、ストッパ21の作動及びストッパが解除されたときの用紙束の端部位置を検出する。
図14は本実施例に係る用紙後処理装置の制御回路を画像形成装置とともに示すもので、制御装置350は、CPU360、I/Oインターフェース370等を有するマイクロコンピュータからなり、画像形成装置PR本体のコントロールパネルの各スイッチ等、および入口センサ301、上排紙センサ302、コロシフトセンサ303、スティプル排紙センサ305、スティプルトレイ紙有無センサ306、放出爪位置検知センサ307、排紙センサ308、紙面検知センサ309、折りユニット紙有無検知センサ310、折りローラ配置検知センサ311、折りエンドストッパ位置検知センサ312、紙有無検知センサ313等の各センサからの信号がI/Oインターフェース370を介してCPU360へ入力される。CPU360は、入力された信号に基づいて、各種モータやソレノイドなどの制御を司る。また、パンチユニット3もクラッチやモータを制御することによりCPU360の指示によって穴明けを実行する。
なお、用紙後処理装置2の制御は前記CPU360が図示しないROMに書き込まれたプログラムを、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら実行することにより行われる。
ここで、本実施例に係る用紙処理装置の綴じ装置についてさらに詳しく説明する。
図15及び図16はスティプルユニットにおけるスティプル移動部の概略を示すもので、図15はスティプル移動部の正面図、図16はその斜視図である。
スティプルユニットの構造体としては図16に示すように前側板214と後側板215、前後側板214,215にネジにより固定されたスティプラ移動ガイド6としての一対のガイド軸200a,200b、及び前後の側板214,215間に固定された一対のステー204,205から構成され、前記ガイド軸200a,200bは強度とコストを勘案して断面略円形の丸棒によって構成されている。なお、前記ガイド軸200a,200bはステーとしての機能も有する。すなわち、ステーは、符号204,204で示されるステーに加えてガイド軸200a,200bも含む。用紙束を綴じる綴じ部Tを挟んでステッチャ5a及びクリンチャ5bが配設され、ステッチャ5a及びクリンチャ5bはそれぞれの背面側に位置する前記一対のガイド軸200a,200bにそれぞれ移動可能に支持されている。そして、前記ガイド軸200a,200bの中心を結ぶ中心線Mの線上に沿ってステッチャ5aのスティプル針が進出するようにステッチャ5a及びクリンチャ5bが設けられている。ステッチャ5aの針進出部はこのように前記中心線Mの線上が最も好ましいが、機械的誤差、用紙の厚さ、及び使用による経年劣化などにより前記線上に常に一致させることは難しいので、前記中心線Mの近傍であれば十分である。この位置は、スティプル動作時の反力によって生じるモーメント(ガイド軸200a,200bを中心とした回転力)が小さい位置であればよく、線上に配置されれば、モーメントが生じることはなく、近傍であれば微小となる。なお、モーメントを考慮すると、前記対となるガイド軸200a,200bを軸方向から見たときに図15に示すような外形を結ぶ線Nの範囲内に位置しておればよい。
前記ステー204,205は、長手方向に直交する方向で断面したときに断面略コの字形になるような形状を基本に金属製の薄板材によって形成され、一部平面部を、後述する位置(回転)規制手段として、また内部空間A,Bがスティプラモータ・センサハーネス用を這い回す際の取り付け通路として利用する。これにより、フレームのステー材としての剛性確保と同時に、ハーネス用通路、スティプラ5の回転を規制する手段として機能させることが可能となり、部品点数の削減に寄与することができる。また、前述したようにスティプル動作した際のモーメントも最小となっているので、スティプラ5の姿勢を維持できる最小の強度があればよく、薄板(0.8〜1.2)でも問題なく強度を確保することができる。これにより軽量なスティプラ5用の筐体を構成することができる。
また、ステー204,205の配置についての自由度が高くなっており,ステッチャ5a側は、スティプラ5背面部に横方向に寝かせた状態(側板214,215の長手方向に平行な状態)で、クリンチャ側5bは、背面部に立てた状態(側板214,215の長手方向に直交する方向)で組み合わせており、この側板214,215とステー204,205だけでスティプラ5の筐体としての強度をねじり強度も含めて確保することができる。さらに、ステー204,205の取り付け位置や寸法を考慮することにより、スティプラ5の形態(針補給方向、針ジャム操作ノブの位置等)に合わせて、容易に設計することができ、用紙処理装置に合わせた綴じ装置を構成することができる。その際、前述のようにステー204,205の取り付けの自由度が高いので、小型に構成することも簡単であり、省スペース化を促進することが可能となり、綴じ部Tに用紙束を導きステッチャ5a及びクリンチャ5bが移動し、また、用紙が通り抜けるための空間をガイド軸200a,200b間及びステー204,205間に十分に取ることができる。
なお、本実施例では、図17及び図18のステッチャ5aを背面側から見た要部斜視図に示すようにスティプルカートリッジ220の取っ手221がステッチャ5aの背面側に位置しているので、この背面側が露出するような空間Vが確保されるようにステー204を配置している。
前記ガイド軸200a,200bには、用紙搬送方向に対して垂直方向にスライド可能に軸受け201a,201bが取り付けられている。ステッチャ5aは、固定ブラケット202を介して前記軸受け201aと連結され、ガイド軸200aに沿ってスライド可能な構成となっている。また、固定ブラケット202の他端(前記軸受201a配設側とは反対側の端部)には、ステッチャ5aのガイド軸200aの円周方向の動きを規制するための規制手段としてのコロ202aが設けられており、前述したステー204の一部に形成された平面部204aを挟み込むことにより、ステッチャ5aの回転が規制され、ステッチャ5aはガイド軸5a中心線に沿って平行に移動することができる。
クリンチャ5bもステッチャ5aとほぼ同様に構成され、固定ブラケット203を介して前記軸受201bと連結されている。ただし、ステー205が側板214,215の長手方向と直交する方向に設けられているので、クリンチャ5bのガイド軸200bの円周方向の動きを規制するための規制手段としてのコロ203aが、ステー205の一部に位置規制用に形成された平面部を挟み込むことにより、クリンチャ5bの回転を規制している。これによりクリンチャ5bもガイド軸5bの中心線に沿って平行に移動することができる。
ステッチャ5a及びクリンチャ5bを移動させる移動機構は、タイミングプーリ206,207、タイミングベルト208,209、前記タイミングプーリ206,207の駆動側を駆動する駆動軸210、減速機構211及びステッピングモータ212から基本的に構成されている。
タイミングプーリ206,207は、ステッチャ5a及びクリンチャ5bに対応したガイド軸200a,200b近傍に対称に設けられ、前記ガイド軸200a,200bの軸線方向に沿ってそれぞれ1組ずつ配置されている。このうち206a,207aが駆動側、206b,207bが従動側であり、タイミングベルト208はタイミングプーリ206a,206b間に、タイミングベルト209はタイミングプーリ207a,207b間にそれぞれ調節されている。なお、従動側のタイミングプーリ206b,207bはそれぞれガイド軸200a,200bに設けられている。また、タイミングベルト208,209は、ガイド軸200a,200bを挟んで、ステッチャ5a側とクリンチャ5b側の対称な位置(ここでは、綴じ部Tに対して反対側の位置)にそれぞれ設けられている。タイミングプーリ207aと206aは、図16に示すように駆動軸210により連結され、ステッピングモータ212から減速機構(減速歯車列)211と駆動軸210を介して駆動力が伝達される。
このようにガイド軸200a,200bに平行にタイミングベルト208,209を設けることにより、移動のための駆動抵抗を最小に収めることができ、かつガイド軸200a,200bに対して対称に設けることにより駆動系をシンプルかつ安価に構成することができる。さらに、ステッチャ5a及びクリンチャ5bの背面、ガイド軸200a,200b近傍のデッドスペースを利用しているので、針補給時の操作性(カートリッジ補給時の操作性)に対しても有利な構成とすることができる。
前記タイミングベルト208は、固定材213により、スティプラ固定ブラケット202と連結され、タイミングベルトの移動に伴って、ドライバ部5aはガイド軸200aに沿って移動を行なう。また、クリンチャ5bも図示していないが同様の構成となっている。
このように構成することにより、ステッチャ5a及びクリンチャ5bは、ガイド軸200a,200bに沿って同期し、かつ、図16矢印方向に平行に移動させることができる。なお、ステッチャ5aのホームポジションは、図18に示すようにセンサ216により検出され、この位置を基準にしてCPU360によって所定パルス数ステッピングモータ212を駆動することにより、ステッチャ5a及びクリンチャ5bを所定位置に移動させ、綴じ動作を行うことが可能になる。
このスティプルユニット5には、図15に示すようにステー204,205のそれぞれにローラ222,223が設けられ、記録紙後処理装置(用紙処理装置)2本体に設けられた図示しないレール上を転動し、綴じ位置と針交換位置との間をスライド移動できるようになっている。これにより、綴じ動作を行う通常使用時には、記録紙後処理装置2本体内に収容されて、画像形成装置1側からの指示に応じて綴じ動作を実行し、針を交換する必要がある場合には、スティプルユニット5を引き出してガイド軸200aとステー204との間の空間Vから前述のように取っ手221を掴んでスティプルカートリッジ220を引き出し、新たなスティプルカートリッジ220を取り付けることができる。その際、ステー204はスティプルカートリッジ220の取り付け、取り外し方向と平行(スティプル針打ち出し方向と平行)に設けられているので、前記空間Vを大きくとることができ、交換時の作業性に優れたスティプルユニット5とすることができる。なお、図17において符号223aはローラ223の軸の取付孔を、図18において符号222aはローラ222の軸の取付孔をそれぞれ示す。
以下、具体的な後処理モードを例に、スティプル処理を含む後処理動作について説明する。
(1)無処理モード(プルーフ排紙)
画像形成装置1から出力された用紙は入口搬送路Aを通り、第1分岐爪24によって上搬送路Bに案内され、必要であればパンチ処理が実施され、排紙ローラ7によってプルーフトレイ18に排紙される。
(2)シフト積載モード
部単位で用紙束を出力する場合でもスティプル綴じを行なわない際には、部毎にシフトさせて積載し、部単位の判別を分かりやすくすることができる。このモードでは、画像形成装置1から出力された用紙は入口搬送路Aを通り、第1分岐爪24によって下搬送路D方向に案内される。この際、ユーザーの選択によってパンチユニット3で用紙端部にパンチ穴が開けられる。その後、用紙は第2分岐爪25により中間搬送路Cへ案内され、シフトコロ9によって搬送方向と直角方向にシフトされながら搬送され、排紙ガイド板16に案内されて放出ローラ15によって排紙トレイ17に排紙され積載される。パンチユニット3によってパンチ穴が開けられた後のパンチカスは、ホッパ4に収容される。
(3)端面綴じモード
端面綴じモードは部単位に用紙束の端面にスティプル綴じを施すモードである。図19は端面綴じモードにおける動作手順を示すフローチャートである。
画像形成装置から出力された用紙は入口搬送路Aを通り、第1分岐爪24をオンすること(ステップS101)によって下搬送路D方向に案内され、各搬送ローラ、排紙ローラ35を駆動し(ステップS102,S103)、搬送路Dに沿って移動する。この際、スティプルトレイ10に積載される用紙をカウントする積載枚数カウンタをクリアし(ステップS104)、ユーザの選択によってパンチユニット3で用紙端部にパンチ穴が開けられる(ステップS105)。その後、用紙はそのまま下搬送路Dを通ってスティプルトレイ10に積載される。スティプルトレイ10に排出された用紙は、叩きコロ8によって後端フェンス27を基準に揃えられる(用紙束は図4の位置−ステップS106,S107)。
用紙束の搬送方向と直角方向の揃えはジョガーフェンス12によりスティプルトレイ10の用紙積載部の幅を狭める動作によって行なわれる(用紙束は図4の位置−ステップS108)。この動作と併用し、束搬送ローラ13a,13bによる用紙束を挟む動作を随時実行し、用紙束下端部の揃え精度を向上させる。この束搬送ローラ13a,13bのローラ間隔は、用紙積載初期には狭く、積載枚数が増えてゆくに従って広くしてゆくように制御することも可能であり、これは用紙のサイズ等によって動作をプログラムすることにより設定される。揃え動作が終了すると、積載枚数カウンタをカウントアップし(ステップS109)、スティプルトレイ10に必要な枚数分用紙が積載された後(ステップS110)、束搬送ローラ13a,13bが用紙束下端部を銜え、用紙を保持し(ステップS111)、後端フェンス27が用紙積載面から後退する(ステップS112)。
用紙束はスティプルユニット5による綴じ位置(通常の端部綴じは、用紙搬送方向に5mm)にてスティプル綴じされる(ステップS113)。端部綴じモードでのスティプラの綴じ位置は主に手前、2ヶ所、奥の選択が可能であるが、選択された綴じ位置に応じてステッチャ5aとクリンチャ5bはスティプラ移動ガイド6によって互いの相対位置を保ったまま用紙搬送方向と直角方向に移動してスティプラ綴じを行う。このスティプルユニット5は上下分離タイプと呼ばれる形式で、針を打ち出すステッチャ5aと用紙束を貫通した針を曲げる処理を行うクリンチャ5bに分けられており、ステッチャ5aとクリンチャ5b間を用紙が通過可能なことが特徴である。
このようにして端面綴じが終了すると、放出爪11が用紙排出方向に移動し(ステップS114)、用紙端部と接触すると同時に束搬送ローラ13a,13bの圧接状態を解除する(ステップS115)。綴じ処理が終了すると、排紙ガイド板16が所定角開放され(ステップS116)、綴じられた用紙束は、放出ベルト14と一体に移動する放出爪11によって上方へ持ち上げられる。放出爪11は放出ベルト14でスティプルトレイ10の上端まで用紙束を持ち上げることができ、排紙ガイド板16間に用紙束が進入すると、排紙ガイド板16は閉鎖され、用紙束は放出ローラ15から駆動力を得て(ステップS117)排紙トレイ17に排紙され積載される(ステップS118)。なお、排紙ガイド板16は用紙束の厚さに応じて放出ローラとの間隔を調整可能となっている。
排紙が完了すると放出ローラ15を停止し(ステップS119)、放出位置検知センサがオンになるまで、すなわち、放出爪11がホームポジションに位置するまで放出ベルト14を駆動し(ステップS120)、ホームポジションに位置した時点で停止させる(ステップS121)。この動作をステップS104から所定部数終了するまで繰り返す。
端面綴じの動作を図9に示す。図9(a)では、用紙搬送方向後端部と用紙搬送方向に直交する方向とが揃えられ(ステップS107,S108)、1部の用紙の必要枚数が揃った(ステップS110)状態である。この状態から図9(b)に示すように束搬送ローラ13a,13bに銜え込まれ(ステップS111)、図9(c)に示すように後端フェンス27が後退して(ステップS112)スティプルユニット5が綴じ位置に移動し、図9(d)に示すように綴じ位置で綴じ動作が行われる(ステップS113)。
(4)中綴じモード
中綴じモードは用紙束の中央部にスティプル綴じを施すモードである。図20は中綴じモードにおける動作手順を示すフローチャートである。以下の説明で端面綴じモードと同等な動作には、同一の参照符号を付してある。なお、この中綴じモードでは、ステップS101からステップS112まで、及びステップS114からステップS121までは端面綴じモードと同様であるので説明は省略し、異なる点のみ説明する。
ステップS101で第1分岐爪24をオンすることによって下搬送路D方向に案内され、ステップS111で束搬送ローラ13a,13bが用紙束下端部を銜え、ステップS112で後端フェンス27が用紙積載面より後退し、束搬送ローラ13a,13bが用紙束を下方へ搬送する(ステップS122)。用紙束はスティプルユニット5による綴じ位置(中綴じ時は用紙束の搬送方向長さの中央)で止められ(ステップS123,S124)、スティプルユニット5によってスティプル綴じされる(ステップS125)。
中綴じモードでのスティプラの綴じ位置は通常2ヶ所であるが、この綴じ位置に応じてステッチャ5aとクリンチャ5bはスティプラ移動ガイド6によって互いの相対位置を保ったまま用紙搬送方向と直角な方向に移動してスティプラ綴じを行う。綴じ処理が終了した用紙束は、束搬送ローラ13a,13bによって上方向に搬送され(ステップS126)、用紙束揃え位置まで戻すと(ステップS127)、束搬送ローラ13a,13bを停止し(ステップS128)、放出爪11により上方向に排紙する(ステップS114)。そして、ステップS115以降の処理を実行する。
(5)中綴じ製本モード
中綴じ製本モードは用紙束の中央部をスティプル綴じし、中央で2つ折りして、いわゆる週刊誌のような簡易製本を行うモードである。図21は中綴じ製本モードにおける動作手順を示すフローチャートである。以下の説明で端面綴じモードど同等な動作には、同一の参照符号を付してある。なお、この中綴じ製本モードでは、ステップS101からステップS112までは端面綴じモードと同様であるので説明は省略し、異なる点のみ説明する。
ステップS101で第1分岐爪24をオンすることによって下搬送路D方向に案内され、ステップS111で束搬送ローラ13a,13bが用紙束下端部を銜え、ステップS112で後端フェンス27が用紙積載面より後退し、束搬送ローラ13a,13bが用紙束を下方へ搬送する(ステップS131)。用紙束はスティプルユニット5による綴じ位置(中綴じ時は用紙束の搬送方向長さの中央)で止められ(ステップS132,S133)、スティプルユニット5によってスティプル綴じされる(ステップS134)。
中綴じモードでのスティプラの綴じ位置は通常2ヶ所であるが、この綴じ位置に応じてステッチャ5aとクリンチャ5bはスティプラ移動ガイド6によって互いの相対位置を保ったまま用紙搬送方向と直角方向に移動してスティプラ綴じを行う。
用紙束はストッパ21によって一旦、後端位置が突き当てされて位置決めされた後(ステップS135,S136)、再び束搬送ローラ26a,26bによって用紙束の搬送方向長さの中央が、折りプレート19に当接する位置まで送られる(ステップS137−ステップS143)。その後、折りプレート19が中折りローラ対20のニップに向かって用紙束を押し込み(ステップS144、S145)、用紙束は中折りローラ対20にかけられた図示しないスプリングの力でニップ間で加圧され(ステップS146)、2つ折りされ、直後の中折り排紙ローラ22によって中折り排紙トレイ23に排紙され積載される(ステップS147)。そして、中折りローラ20を停止し(ステップS148)、後端フェンス27を揃え位置に戻す(ステップS149)。この動作をステップS104から所定部数終了するまで繰り返す。
中綴じ製本の動作を図10に示す。図10(a)では、用紙搬送方向後端部と用紙搬送方向に直交する方向とが揃えられ(ステップS107,S108)、1部の用紙の必要枚数が揃った(ステップS110)状態である。この状態から図10(b)に示すように束搬送ローラ13a,13bに銜え込まれ(ステップS111)、後端フェンス27が後退し(ステップS112)、用紙束を折りプレート19方向(下方)に搬送する。そして、用紙束はスティプルユニット5による綴じ位置である用紙束の搬送方向長さの中央で止められ、中綴じされる。
中綴じされた用紙束は、図10(c)に示すようにさらに下方に搬送され、ストッパ21に当接させて位置決めした後(ステップS135,S136)、綴じ位置が折りプレート19の位置(折り位置)に達するまで、さらに搬送される。そして、図10(d)に示すように前記位置で用紙束を停止させ、折りプレート10を突出させて折りローラ20にニップに押し込む(ステップS144−S146)。このようにして、綴じ位置で2つ折りすることが可能になる。なお、折りプレート19の先端が用紙束に接触する程度突出させておけば、前記折り位置に達するとスティプル針が折りプレート19に当接するので、折り位置の位置精度が確保できる。
(6)綴じなし・中折りモード
綴じなし・中折りモードは、用紙束に対して綴じ動作を行うことなく中央部で折り処理を行うモードである。図22は綴じなし・中折りモードにおける動作手順を示すフローチャートである。
このモードは、中綴じ製本モードから中綴じの動作を削除したものと等価である。そのため、図21に示した中綴じ製本モードにおけるステップS131からステップS134の処理を省略し、ステップS112で後端フェンス27が用紙載置面から後退した後、直ぐに用紙束を下方向に搬送し、ストッパ21によって一旦、後端位置を突き当てて位置決めした後(ステップS135,S136)折り動作を行うようになっている(ステップS137−S149)。
その他、特に説明しない各部の動作は中綴じ製本モードの場合と同様である。
ここで、各モードにおけるパンチ制御、叩きコロ8制御、スティプルユニット5制御及び折りプレート9制御のサブルーチンについて触れておく。
図23はステップS105のパンチ制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理では、まず、用紙がパンチ位置に達すると(ステップS201)、パンチ要求の有無をチェックし(ステップS202)、パンチ要求があるときのみパンチを実行する(ステップS203)。
図24はステップS107の叩きコロ8制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理では、まず、用紙が叩き位置に達すると(ステップS301)、叩きコロ8を所定時間駆動して用紙を後端フェンス27側に移動させ(ステップS302、S303)、動作を停止する(ステップS304)というものである。
図25はステップS113,S124,S134のスティプルユニット5制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理では、まず、綴じ位置にスティプラユニット5を移動させ(ステップS401)、指定された綴じ位置にスティプラユニット5が位置すると(ステップS402)、スティプラユニット5を停止させ(ステップS403)、スティプル動作を実行する(ステップS404)。指定個所のスティプルが終了すると(ステップS405)、次のスティプル位置に移動し、全てのスティプル位置のスティプルが終了すると、スティプラユニット5を退避させてこの処理を終了する。
図26はステップS144の折りプレート19制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理では、まず、折りプレート19を折りローラ20のニップ方向に移動させ(ステップS501)、折りプレート19の先端部が折りローラ20のニップ位置に達すると(ステップS502)、折りプレート19の移動を停止させて(ステップS503)この処理を終了する。
ここで、前記スティプルユニット5制御のサブルーチンでスティプルを移動させるので、スティプルユニットの移動動作について触れておく。
図5は綴じ動作に入る前のスティプルユニット5の位置を示す図である。スティプルユニット5は後端フェンス27に接触しない位置で、且つ次の綴じ位置に最も近い位置で待機する。この位置を実線又は2点鎖線で示す。
図6は端面2個所綴じのスティプルユニット5の位置を示す図である。前述したように、端面綴じモードの場合、用紙束はスティプルユニット5による綴じ位置(通常の端部綴じは、用紙搬送方向に5mm)でスティプル綴じされる。端部綴じモードでのスティプラの綴じ位置は主に手前、2ヶ所、奥の選択が可能であるが、選択された綴じ位置に応じてステッチャ5aとクリンチャ5bはスティプラ移動ガイド6によって互いの相対位置を保ったまま用紙搬送方向と直角な方向に移動してスティプラ綴じを行う。このとき、スティプルユニット5と後端フェンス27が接触するような綴じ位置の場合(小サイズ1ヶ所綴じ、2ヶ所綴じ、中綴じ)には、後端フェンス27が用紙積載面より後退し、その後、スティプルユニット5が用紙搬送方向と直角方向に移動してスティプラ綴じを行う。この動作は図7に示した中綴じの場合でも同様である。なお、綴じモードが2ヶ所綴じ(端面2ヶ所綴じ及び中綴じ)の時は、1束の綴じ毎に、用紙搬送方向と直角方向に反対側の待機位置で待機する。この待機位置は、図5の実線位置及び2点鎖線の位置であり、これらの位置が交互に待機位置となる。これによって、2回目の綴じ動作から最短距離で待機位置に移動することができる。