JP4251835B2 - 用紙後処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等に適用される用紙後処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置から排出される用紙に製本等の後処理を行う装置については、同一サイズの用紙束の端面を1箇所あるいは2箇所、スティプル処理(綴じ処理)する製本装置や、同一サイズの用紙束の中央に2箇所スティプル処理を行い、そのスティプル位置に沿って半分に折り曲げる中綴じ製本装置が知られている。
【0003】
また、用紙を出力する画像形成装置においてもカラー画像によるコピーやプリントが増加してきており、その後処理を行う製本装置においても、より製本後の見栄えがきれいなものが好まれるようになってきている。
【0004】
用紙束の端面を綴じる製本方式の場合、製本された冊子の表紙にスティプル針が見え、見栄えが良くないという印象がある。また用紙束の中央を綴じる中綴じ製本方式の場合は綴じ枚数が多くなると中央部の折り目が弱くなり、用紙端面も内側の用紙になるほど外側に端面がはみ出すという問題があった。そのため、用紙端部をカットする等の処理が必要になり、定型サイズの用紙で製本を行うと仕上がり時の冊子のサイズが定型サイズより少し小さいサイズになってしまうという不具合があった。
【0005】
そこで、特開平5―591号公報(第1の従来技術)に開示された従来技術では、用紙をスタックして束にした後、用紙の搬送方向長さに対して略2倍以上の長さを有する表紙用の用紙(カバーシート)を、その長手方向中央部が用紙の短手方向の一端と重なるようにスタックし、この状態で用紙束の一端でカバーシートの裏用紙部から用紙束に向かって針を打ち込んで綴じ合わせを行い、その後綴じ合わせた表紙用のカバーシートを中央部で略半分に折り曲げて綴じ合わせ部分をカバーシートの表用紙部で覆うような簡易製本が行われている。この従来技術によれば、綴じ合わせ部分がカバーシートで覆われるので、綴じ針の先端部が露出して見栄えが悪くなるなどの不具合を解消することができる。
【0006】
一方、特開2000−198612号公報(第2の従来技術)に開示された従来技術では、製本された用紙束のファイリングができるように、同一サイズの用紙束に対して、綴じ処理とパンチ穴の処理が同時にできる技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第1の従来技術のように、束ねる用紙とカバーシートとでサイズの異なる用紙を使って製本するので、第2の従来技術のようにパンチ穴を開ける場合に、用紙束の厚み分でカバーシートの穴開け位置がずれるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は仕上がり時の見栄えがきれいな製本を行うとともに、用紙束の厚みに関係なくパンチ穴を精度よく形成できる用紙後処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、用紙にパンチ穴を開ける穿孔処理手段と、穿孔処理後の用紙を整合しスティプル処理を施すスティプル処理手段と、スティプルされた用紙束に搬送方向の長さが用紙の略2倍以上のサイズを有するカバーシートを被せてカバーシートに表表紙部と裏表紙部を形成するように折り目を付する折り手段とを備えた用紙後処理装置であって、穿孔処理手段は最終紙でない各用紙の端部の同じ位置にパンチ穴を開けた後に、最終紙のカバーシートの表表紙部と裏表紙部との夫々に用紙束の枚数又は用紙の紙厚に応じて穴位置を調整してパンチ穴を開け、用紙束にカバーシートを被せて用紙束の端部とカバーシートの少なくとも裏表紙部にスティプル処理することにより中綴じ製本を行うことを特徴とする。
【0010】
この請求項1に記載の発明では、用紙後処理装置内に順次、用紙が搬送されると、穿孔処理手段により用紙の端部にパンチ穴が開けられた後、スティプル処理手段に搬送される。これらの動作が繰り返されてスティプル処理手段に複数枚の用紙が束ねられる。用紙束のスティプル処理手段への搬送が終了すると、用紙束の表紙となるカバーシートが用紙後処理装置内に案内される。用紙後処理装置にカバーシートが案内されると、穿孔処理手段により表表紙部と裏表紙部との所定の位置にパンチ穴が開けられる。パンチ穴が開けられたカバーシートはスティプル処理手段に搬送される。スティプル処理手段においては用紙束の端部とカバーシートの裏表紙部がスティプル処理される。スティプル処理された用紙束とカバーシートは折り手段に搬送され、カバーシートは略中央で2つ折りにされて用紙束を覆うように製本が行われる。製本が行われた用紙束は、排紙トレイに排紙される。
【0011】
このように、用紙と用紙とはサイズの異なるカバーシートを表紙として製本すべく、用紙とカバーシートに対して綴じ処理及び穿孔処理する場合において、冊子の中身部分である用紙束については、従来の端面綴じ製本と同じ端部位置にパンチ穴をあけ、表紙となるカバーシートに対してのみ中央付近で二つ折りしたときに、調整により用紙束のパンチ穴位置と同じ位置に穴が開けられるようにすることで、仕上がり時の見栄えがきれいな製本を行うとともに、用紙束の厚みに関係なくパンチ穴を精度よく形成できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の用紙後処理装置と、前記用紙後処理装置によって処理される用紙に画像を形成する画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、前記画像形成装置は前記用紙束の枚数又は用紙の紙厚に応じて調整される穴位置の調整量を設定するための操作部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏するとともに、カバーシートに形成するパンチ穴の位置は用紙束の枚数に応じて調整可能であるので、束ねる用紙の枚数が多い場合には、カバーシートに形成するパンチ穴の位置を、その略中央から離れた位置にそれぞれ形成し、逆に用紙の枚数が少ない場合には、カバーシートに形成するパンチ穴の位置をそれぞれ近づく位置に形成する。このように、用紙束の枚数によって穴位置を調整することで、用紙束の枚数の多少に関わらず、パンチ穴を精度良く形成できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態に係る用紙後処理装置PDの概略断面図である。用紙後処理装置PDは、画像形成装置の側部に取り付けられており、画像形成装置より排出された用紙は用紙後処理装置PDに導かれる。用紙は後処理を施す後処理手段(実施例では穿孔手段としてパンチユニット)を有する搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路B、シフトトレイ202へ導く搬送路C、整合及びスティプル綴じ等を行うスティプル処理トレイFへ導く搬送路Dへ、分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成される。
【0017】
スティプル処理トレイFで整合及びスティプル等を施された用紙は、偏向手段である分岐ガイド板54と可動ガイド55により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す処理トレイGへ振り分けられるように構成され、処理トレイGで折り等を施された用紙は搬送路Hを通って下トレイ203へ導かれる。
【0018】
搬送路D内には分岐爪17が配置されており、分岐爪17は図示しない低荷重バネにより保持されている。用紙後端が分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9、10、スティプル排紙ローラ11の内、少なくとも搬送ローラ9を逆転させることで用紙後端を用紙収容部Eへ導き滞留させ、次用紙と重ねて搬送するようになっている。
【0019】
搬送路Aは、画像形成装置から搬送された用紙を検出する入口センサ301と、その下流に入口ローラ1、パンチユニット100、搬送ローラ2、分岐爪15、16が順次配置されている。分岐爪15、16は図示しないバネにより保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方に、各々回動する事で、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへ用紙を振り分ける。
【0020】
搬送路Aから搬送路Bへ用紙を導く場合は、分岐爪15が図1で示す位置からソレノイドをOFFすることで上方に、また搬送路Cへ用紙を導く場合は、図1で示す位置からソレノイドをONすることにより、分岐爪16が下方に回動する。搬送路Dへ用紙を導く場合は、分岐爪16は図1の位置でソレノイドをOFF、分岐爪15は図1の状態から前記ソレノイドをONする事により、上方に回動した状態となる。
【0021】
用紙後処理装置PDの最下流部に位置する排紙部は、シフト排紙ローラ6と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、図2に示すシフト機構と図3に示すその昇降機構等により構成される。図3において、符号13はスポンジ製のコロを示しており、シフト排紙ローラ6から排出された用紙と接して用紙の後端を図示しないエンドフェンス32に突き当てて揃えるようにしている。
【0022】
戻しコロ13は、シフト排紙ローラ6の回転力で回転するようになっている。戻しコロ13の近傍にはトレイ上昇リミットスイッチ333が設けられており、シフトトレイ202が上昇して戻しコロ13を押し上げると、トレイ上昇リミットスイッチ333がオンしてトレイ昇降モータ168が停止する。これによりシフトトレイ202のオーバーランが防止される。また戻しコロ13の近傍には、シフトトレイ202の紙面位置を検知する紙面位置検知手段としての紙面検知センサ330が設けられている。
【0023】
紙面検知センサ330は、紙面検知レバー30と、スティプル用の紙面検知センサ330aと、ノンスティプル用の紙面検知センサ330bとで構成されている。紙面検知レバー30は軸部を中心に回動可能に設けられており、シフトトレイ202に積載された用紙の後端上面に接触する接触部30aと扇形の遮蔽部30bを有している。
【0024】
紙面検知センサ(スティプル用)330aは、主にスティプル排紙制御に用いられ、ノンスティプル用の紙面検知センサ330bは、主にシフト排紙制御に用いられる。本実施形態では、紙面検知センサ(スティプル用)330aおよび紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bは、遮蔽部30bによって遮られたときにオンするようになっている。シフトトレイ202が上昇して紙面検知レバー30の接触部30aが上方に回動すると、紙面検知センサ(スティプル用)330aがオフし、更に回動すると紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bがオンする。用紙の積載量が所定の高さに達したことが紙面検知センサ(スティプル用)330aと紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bにより検知されると、シフトトレイ202は所定量だけ下降する。これにより、シフトトレイ202の紙面位置は略一定に保たれる。
【0025】
次に、シフトトレイ202の昇降機構を詳細に説明する。図3に示すようにシフトトレイ202は駆動軸21を駆動ユニットにより駆動されることにより昇降する。駆動軸21と従動軸22との間にはタイミングプーリを介してタイミングベルト23がテンションをもって掛けられている。このタイミングベルト23にシフトトレイ202を支持する側板24が固定されており、かかる構成によってシフトトレイ202を含むユニットが昇降可能にタイミングベルト23に吊り下げられている。
【0026】
駆動ユニットは、トレイ昇降モータ168とウォームギヤ25とからなり、駆動源としての正逆転可能なトレイ昇降モータ168で発生した動力が、ウォームギヤ25を介して駆動軸21に固定されたギヤ列の最終ギヤに伝達され、シフトトレイ202を上下方向に移動させるようになっている。途中ウォームギヤ25を介しているため、シフトトレイ202を一定位置に保持することで、シフトトレイ202の不意の落下事故等を防止するようになっている。
【0027】
シフトトレイ202の側板24には、遮蔽板24aが一体に形成されており、下方には積載用紙の満載を検出する満杯検知センサ334と下限位置を検出する下限センサ335が配置されており、遮蔽板24aによって満杯検知センサ334と下限センサ335とがオン・オフされるようになっている。満杯検知センサ334と下限センサ335はフォトセンサであり、遮蔽板24aによって遮られたときにオンするようになっている。なお、図3において、シフト排紙ローラ6は省略している。
【0028】
シフトトレイ202の揺動機構は図2に示すように、シフトモータ169を駆動源にシフトカム31を回転させる。そのシフトカム31には回転軸中心から一定量離れた位置にピンが立っておりそのピンと、シフトトレイ202上の積載紙の後端をガイドし用紙排紙方向と直交方向に勘合されているエンドフェンス32の長穴部とは勘合しており、シフトカム31の回転により前記ピンと勘合しているエンドフェンスは用紙排紙方向と直交方向に移動しそれに伴いシフトトレイ202も移動する。前記シフトトレイ202は手前と奥の2つの位置で停止しその停止位置はシフトセンサ336により検出されシフトモータ169のON、OFFにより成される。
【0029】
シフト排紙ローラ6は、駆動ローラ6aと従動ローラ6bを有し、図1及び図4に示すように、従動ローラ6bは用紙排出方向上流側を支持され上下方向に回動自在設けられた開閉ガイド板33の自由端部に回転自在に支持されている。従動ローラは6b自重又は付勢力により駆動ローラ6aに当接し用紙は両ローラ間に挟持されて排出される。綴じ処理された用紙束PBが排出される時は、開閉ガイド板33が上方に回動され、所定のタイミングで戻されるようになっており、このタイミングはシフト排紙センサ303の検知信号に基づいて決定さる。その停止位置は排紙ガイド板開閉センサ331の検知信号に基づいて決定され、排紙ガイド板開閉モータ167により駆動される。
【0030】
次にスティプル処理を施すスティプル処理トレイFの構成を詳細に説明する。図5はスティプル処理トレイFを用紙搬送面に垂直な方向から見た平面図、図6はスティプル処理トレイFとその駆動機構を示す斜視図、図7は用紙束の放出機構を示す斜視図である。図6に示すように、スティプル排紙ローラ11によりスティプル処理トレイFへ導かれた用紙は、順次積載される。この場合、用紙ごとに叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53にて横方向(用紙搬送方向と直交する用紙幅方向)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束PBの最終紙から次の用紙束PBの先頭紙までの間で、制御手段350(図23参照)からのスティプル信号により端面綴じスティプラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われた用紙束PBは、ただちに放出爪52aを有する放出ベルト52によりシフト排紙ローラ6へ送られ、受取り位置にセットされているシフトトレイ202に排出される。
【0031】
次に用紙の放出機構について説明する。図7に示すように、放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりそのホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。この放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置されており、スティプル処理トレイFに収容された用紙束PBを交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転し、これから用紙束PBを移動するように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52a′の背面で、スティプル処理トレイFに収容された用紙束PBの搬送方向先端を揃えても良い。
【0032】
また、図5に示すように、放出モータ157により駆動される放出ベルト52の駆動軸には、用紙幅方向の整合中心に放出ベルト52とその駆動プーリ62とが配置され、駆動プーリ62に対して対称に放出ローラ56が配置、固定されている。さらに、放出ローラ56の周速は放出ベルト52の周速より速くなるように設定されている。
【0033】
図6に示すように、叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL(ソレノイド)170によって振り子運動を与えられ、スティプル処理トレイFへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙を後端フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12は反時計回りに回転する。
【0034】
ジョガーフェンス53は、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙幅方向に往復移動する。端面綴じスティプラS1は、図8に示すように、正逆転可能なスティプラ移動モータ159によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙端部の所定位置を綴じるために用紙幅方向に移動する。その移動範囲の一側端には、端面綴じスティプラS1のホームポジションを検出するスティプラ移動HPセンサ312が設けられており、用紙幅方向の綴じ位置は、ホームポジションからの端面綴じスティプラS1の移動量により制御される。端面綴じスティプラS1は、図9に示すように、針の打ち込み角度を用紙端部と平行あるいは斜めに変更できるように、さらにはホームポジション位置でスティプラS1の綴じ機構部だけを所定角度斜めに回転させ、スティプル針の交換が容易にできるように構成されている。スティプラS1は斜めモータ160によって斜め回転し、針交換位置センサ313によって所定の斜めの角度に、あるいは、針の交換位置まで達したことが検出されると、斜めモータ160は停止する。斜め打ちが終了し、あるいは針交換が終了すると元の位置まで回転して次のスティプルに備える。
【0035】
中綴じスティプラS2は、図1及び図5に示すように、後端フェンス51から中綴じスティプラS2の針打ち位置までの距離が、中綴じ可能な最大用紙サイズの搬送方向長の半分に相当する距離以上となるように配置され。且つ、用紙幅方向の整合中心に対して対称に2つ配置され、ステー63に固定されている。
【0036】
次に、用紙束偏向手段として、分岐ガイド板54と可動ガイド55の構成を説明する。図10に示すように、分岐ガイド板54は支点54aを中心に上下方向に回動自在に設けられ、その下流側に回転自在な加圧コロ57を有しており、スプリング58により放出ローラ56に加圧される。また、分岐ガイド板54の位置は、束分岐駆動モータ161より駆動を得て回転するカム61のカム面61aと当接することにより決められる。
【0037】
可動ガイド55は放出ローラ56の回転軸に回動自在に支持され、可動ガイド55には回動自在に連結されたリンクアーム60が設けられている。リンクアーム60は図5に示す側板64に固定された軸と長穴部60aで勘合されており、これにより可動ガイド55の回動範囲は規制される。また、スプリング59により下方に付勢される事で図10の位置に保持される。さらに、束分岐駆動モータ161より駆動を得て回転するカム61のカム面61bによりリンクアーム60が押されると連結されている可動ガイド55は上方へ回動する。
【0038】
カム61は束分岐ガイドHPセンサをその遮蔽部61cにより検知させることで、そのホームポジションを得て、束分岐駆動モータ161の駆動パルスによりその停止位置を制御する。図10は、カム61がホームポジション時の分岐ガイド板54と可動ガイド55の位置関係を示す。可動ガイド55のガイド面55aはシフト排紙ローラ6への経路において、用紙をガイドする機能を有している。
【0039】
図11は、カム61が回転することにより、分岐ガイド板54が支点54aを中心として図において下方へ回動し加圧コロ57が放出ローラ56に接触して加圧している状態を示す動作説明図である。図12は、カム61が更に回転することにより、可動ガイド55が図において上方に回動し、スティプル処理トレイFから中折り処理トレイGに導く経路を、分岐ガイド板54と可動ガイド55とで形成した状態を示す動作説明図である。
【0040】
また、図5には奥行き方向の位置関係を示す。この実施形態では、分岐ガイド板54と可動ガイド55は1つの駆動モータにより動作するが、個々に駆動モータを設けて、用紙サイズや綴じ枚数に応じて、移動タイミングや停止位置を制御可能に構成しても良い。
【0041】
図13は、用紙の中折りを行うための折りプレート74の移動機構を示している。折りプレート74は前後側板に立てられた各2本の軸に長穴部74aが勘合することで支持され、その軸部74bとリンクアーム76の長穴部76bは勘合されており、リンクアーム76が支点76aを中心に揺動することで折りプレート74は左右に往復移動する。このリンクアーム76の長穴部76cと折りプレート駆動カム75の軸部75bは勘合されており、折りプレート駆動カム75の回転運動によりリンクアーム76は揺動する。
【0042】
折りプレート駆動カム75は折りプレート駆動モータ166により矢印方向に回転する。その停止位置は半月形状の遮蔽部75a両端部を折りプレートHPセンサ325により検知することで決定される。
【0043】
図13は、中折り処理トレイGの用紙束収容領域から完全に退避したホームポジション位置を示す図である。折りプレート駆動カム75を矢印方向に回転させると折りプレート74は矢印方向に移動し、処理トレイGの用紙束収容領域に突出する。図14は、処理トレイGの用紙束中央を折りローラ81のニップに押し込む位置を示す。折りプレート駆動カム75を矢印方向に回転させると折りプレート74は矢印方向に移動し、処理トレイGの用紙束収容領域から退避する。
【0044】
制御手段350は、図23に示すように、CPU360、I/Oインターフェース370等を有するマイクロコンピュータからなり、図示しない画像形成装置本体のコントロールパネルの各スイッチ等、及び紙面検知センサ330等の各センサからの信号がI/Oインターフェース370を介してCPU360へ入力される。
【0045】
CPU360は、入力された信号に基づいて、シフトトレイ202用のトレイ昇降モータ168、開閉ガイド板を開閉する排紙ガイド板開閉モータ167、シフトトレイ202を移動するシフトモータ169、叩きコロ12を駆動する叩きコロモータ156、叩きSOL170等の各ソレノイド、各搬送ローラを駆動する搬送モータ、各排紙ローラを駆動する排紙モータ、放出ベルト52を駆動する放出モータ157、端面綴じスティプラS1を移動するスティプラ移動モータ159、端面綴じスティプラS1を斜めに回転する斜めモータ160、ジョガーフェンス53を移動するジョガーモータ158、分岐ガイド板54及び可動ガイド55を回動する束分岐駆動モータ161、その束を搬送する搬送ローラを駆動する束搬送モータ162、可動後端フェンス73を移動する後端フェンス移動モータ163、折りプレート74を移動する折りプレート駆動モータ166、折りローラ81を駆動する折りローラ駆動モータ164等の駆動を制御する。スティプル排紙ローラを駆動する図示しないスティプル搬送モータ155のパルス信号はCPU360に入力されてカウントされ、このカウントに応じて叩きSOL170及びジョガーモータ158が制御される。また、パンチユニット100もクラッチやモータを制御することにより、CPU360の指示によって穴あけを実行する。
【0046】
次に、CPU360の指示によって実行される本実施の形態に係る用紙後処理装置PDの動作について説明する。本実施の形態では、後処理モードに応じて下記の排出形態をとる。
▲1▼ノンスティプルモードA
▲2▼ノンスティプルモードB
▲3▼ソート、スタックモード
▲4▼スティプルモード
▲5▼中綴じ製本モード
▲6▼簡易中綴じ製本モード
▲7▼パンチモード
以下に各モードについて説明する。
【0047】
▲1▼ノンスティプルモードAの動作を以下に説明する。このモードでは、搬送路Aから搬送路Bを通り、上トレイ201へ用紙を綴じないで排出するモードである。このモードでは、搬送路Aから分岐爪15で振り分けられた用紙は、搬送路Bに導かれ搬送ローラ3と上排紙ローラ4によって上トレイ201へ排出される。また上排紙ローラ4の近傍に配置され用紙の排出を検出する上排紙センサ302によって排紙の状態を監視する。
【0048】
▲2▼ノンスティプルモードBの動作を以下に説明する。このモードは、用紙を綴じることなく搬送路Aから搬送路Cを通り、シフトトレイ202へ排出するモードである。このモードは、搬送路Aから分岐爪15、16で振り分けられた用紙は、搬送路Cに導かれ搬送ローラ5、シフト排紙ローラ6によってシフトトレイ202へ排出される。またシフト排紙ローラ6の近傍に配置され用紙の排出を検出するシフト排紙センサ303によって排紙の状態を監視する。
【0049】
▲3▼ソート、スタックモードの動作を以下に説明する。このモードは、用紙を搬送路Aから搬送路Cを経てシフトトレイ202へ排出するモードである。その際、シフトトレイ202を部の区切れ毎に排紙方向と直向方向に揺動させ、シフトトレイ202上に排出される用紙を仕分けるモードである。
【0050】
▲4▼スティプルモードの動作を以下に説明する。このモードは用紙を搬送路Aと搬送路Dを経てスティプル処理トレイFに搬送し、スティプル処理トレイFで整合及び綴じ処理を行った後、搬送路Cを通ってシフトトレイ202へ排出するモードである。搬送路Aから分岐爪15、16で振り分けられた用紙は、搬送路Dに導かれ、搬送ローラ7、9、10及びスティプル排紙ローラ11により処理トレイFに排出される。前記処理トレイFでは、排紙ローラ11により順次排出される用紙を整合し所定枚数に達すると端面綴じスティプラS1により綴じ処理を行う。その後、綴じられた用紙束PBは放出爪52aにより下流へ搬送されシフト排紙ローラ6によりシフトトレイ202へ排出される。またシフト排紙ローラ6の近傍に配置され用紙の排出を検出するシフト排紙センサ303によって排紙の状態を監視する。
【0051】
スティプルモード時のスティプル処理トレイFの動作について説明する。スティプルモードが選択されると、図6に示すように、ジョガーフェンス53はホームポジションより移動し、スティプル処理トレイFに排出される用紙幅より片側に7mm離れた待機位置で待機する。用紙がスティプル排紙ローラ11によって搬送され、用紙後端がスティプル排紙センサ305を通過すると、ジョガーフェンス53が待機位置から5mm内側に移動して停止する。
【0052】
また、スティプル排紙センサ305は用紙後端通過時点にそれを検知し、その信号がCPU360に入力される(図23参照)。CPU360ではこの信号の受信時点からスティプル排紙ローラ11を駆動する図示しないスティプル搬送モータ155からの発信パルス数をカウントし、所定パルス発信後に叩きSOL170をオンさせる。叩きコロ12は、叩きSOL170のオン・オフにより振り子運動をし、オン時には用紙を叩いて下方向に戻し、後端フェンス51に突き当てて紙揃えを行う。このとき、処理トレイFに収容される用紙が入口センサ101あるいはスティプル排紙センサ305を通過するたびにその信号がCPU360に入力され、用紙枚数がカウントされる。
【0053】
叩きSOL170がオフされて所定時間経過後、ジョガーフェンス53は、ジョガーモータ158によってさらに2.6mm内側に移動して一旦停止し、横揃えが終了する。ジョガーフェンス53はその後7.6mm外側に移動して待機位置に戻り、次の用紙を待つ。この動作を最終頁まで行う。その後再び7mm内側に移動して停止し、用紙束PBの両側端を押えてスティプル動作に備える。その後所定時間後に図示しないスティプルモータにより端面綴じスティプラS1が作動し、綴じ処理が行われる。このとき2ヶ所以上の綴じが指定されていれば、1ヶ所の綴じ処理が終了した後、スティプル移動モータ159が駆動され、端面綴じスティプラS1が用紙後端に沿って適正位置まで移動され、2ヶ所目の綴じ処理が行なわれる。また、3ヶ所目以降が指定されている場合は、これらの動作を繰り返す。
【0054】
綴じ処理が終了すると、放出モータ157が駆動され、放出ベルト52が駆動される。このとき、排紙モータも駆動され、放出爪52aにより持ち上げられた用紙束PBを受け入れるべくシフト排紙ローラ6が回転し始める。このとき、ジョガーフェンス53は用紙サイズ及び綴じ枚数により異なるように制御される。例えば、綴じ枚数が設定枚数より少ない、あるいは設定サイズより小さい場合には、ジョガーフェンス53により用紙束PBを押えながら放出爪52aにより用紙束後端を引っかけ搬送する。
【0055】
そして、紙有無センサ310あるいは放出ベルトHPセンサ311による検知より所定パルス後にジョガーフェンス53を2mm退避させジョガーフェンス53による用紙への拘束を解除する。この所定パルスは、放出爪52aが用紙後端と接触してからジョガーフェンス53の先端を抜ける間で設定されている。
【0056】
また、綴じ枚数が設定枚数より多い、あるいは設定サイズより大きい場合には、予めジョガーフェンス53を2mm退避させ、放出を行う。いずれの場合も用紙束PBがジョガーフェンス53を抜けると、ジョガーフェンス53は、更に5mm外側に移動して待機位置に復帰し、次の用紙に備える。なお、用紙に対するジョガーフェンス53の距離により拘束力を調整することも可能である。
【0057】
▲5▼中綴じ製本モードの動作を以下に説明する。このモードは、用紙を搬送路Aと搬送路Dを経てスティプル処理トレイFに搬送し、スティプル処理トレイFで整合及び綴じ処理を行った後、さらに中折り処理トレイGで中折りし、中折りされた用紙束PBが搬送路Hを通って下トレイ203へ排出するモードである。このモードでは、用紙を搬送路Aから分岐爪15、16で振り分けられた用紙は、搬送路Dに導かれ、搬送ローラ7、9、10及びスティプル排紙ローラ11によりスティプル処理トレイFに排出される。スティプル処理トレイFでは、スティプルモード時と同様に排紙ローラ11により順次排出される用紙を整合し、スティプルする直前までは同様の動作をする(図16参照)。その後、図17の位置に、用紙束PBは放出爪52aにより用紙サイズ毎に設定された所定距離下流へ運ばれ、その中央を中綴じスティプラS2により綴じ処理される。図18の位置に、綴じられた用紙束PBは放出爪52aにより下流へ用紙サイズ毎に設定された所定距離搬送され一旦停止する。この移動距離は放出モータ157の駆動パルスにより管理される。
【0058】
その後、図18に示すように、用紙束PBの先端部は放出ローラ56と加圧コロ57により挟持され、分岐ガイド板54と可動ガイド55とが回動することで形成され中折り処理トレイGへ導かれる経路を通過するべく、再度放出爪52aと放出ローラ56により下流へ搬送される。この放出ローラ56は放出ベルト52の駆動軸に設けられており放出ベルト52と同期して駆動される。
【0059】
そして、図19に示すように、用紙束PBは束搬送ローラ上71と束搬送ローラ下72により、予めその用紙サイズに応じた位置にホームポジションから移動し下側の端面をガイドすべく停止している可動後端フェンス73まで搬送される。このとき、放出爪52aは、放出ベルト52の外周上に対向する位置に配置されたもう1つの放出爪52a′が後端フェンス51近傍に達した位置で停止し、分岐ガイド板54と可動ガイド55はホームポジションへ復帰し、次の用紙に備える。
【0060】
図20に示すように、可動後端フェンス73に突き当てられた用紙束PBは、束搬送ローラ下72の加圧を解除される。その後、図21に示すように、綴じられた針部近傍は略直角方向に折りプレート74により押され、その対向する折りローラ81のニップへと導かれる。予め回転していた折りローラ81はその用紙束PBを加圧搬送することで、用紙束PB中央に折りを施す。
【0061】
図22に示すように、折りを施された用紙束PBは第2の折りローラ82により折りぐせを強化され、下排紙ローラ83により下トレイ203へ排出される。このとき、用紙束後端が折り部通過センサ323に検知されると、折りプレート74可動後端フェンス73はホームポジションに復帰し、束搬送ローラ下72の加圧は復帰され、次の用紙に備える。また、次のジョブが同用紙サイズ同枚数であれば、可動後端フェンス73はその位置で待機しても良い。
【0062】
▲6▼簡易製本モードの動作を以下に説明する。簡易製本モードは、前記中綴じ製本モードのように同一サイズの用紙束PBを中央部で綴じ、綴じた位置で2つに折るのでなく、用紙サイズの2倍以上のカバーシートPAを一方の端部に揃えて綴じ、その略中央で2つに折って表紙とするモードである。このモードでは、搬送路Aから分岐爪15、16で振り分けられた用紙は、搬送路Dに導かれ、搬送ローラ7、9、10及びスティプル排紙ローラ11によりスティプル処理トレイFに排出される。スティプル処理トレイFでは、スティプルモード時及び中綴じ製本モード時と同様に排紙ローラ11により順次排出される用紙を整合し、スティプルする1枚前の用紙までは同様の動作をする(図24参照)。その後、図25に示すように、カバーシートPAをスティプル処理トレイFに搬送して整合する。
【0063】
図26に示すように、用紙束PBは放出爪52aにより用紙サイズ毎に設定された所定距離だけ下流へ運ばれ、その中央よりわずかに(5〜10mm程度)下側で中綴じスティプラS2により同サイズの用紙束PBとラスト紙(カバーシートPA)が同時に綴じ処理される。図27に示すように、綴じられた用紙束PBは放出爪52aにより下流へ用紙サイズ毎に設定された所定距離搬送され一旦停止する。この移動距離は放出モータ157の駆動パルスにより管理される。
【0064】
その後、図28に示すように、用紙束先端部は放出ローラ56と加圧コロ57により挟持され、分岐ガイド板54と可動ガイド55とが回動することで形成され中折り処理トレイGへ導かれる経路を通過するべく、再度放出爪52aと放出ローラ56により下流へ搬送される。この放出ローラ56は放出ベルト52の駆動軸に設けられており放出ベルト52と同期して駆動される。
【0065】
そして、図28に示すように、用紙束PBは束搬送ローラ上71と束搬送ローラ下72により、予めその用紙サイズに応じた位置にホームポジションから移動し下側の端面をガイドすべく停止している可動後端フェンス73まで搬送される。このとき、折りプレート74は搬送路上に押し出され綴じられた同サイズの用紙束端面が折りプレート74に突き当たり図29の位置で停止する。
【0066】
また、放出爪52aは、放出ベルト52の外周上に対向する位置に配置されたもう1つの放出爪52a′が後端フェンス51近傍に達した位置で停止し、分岐ガイド板54と可動ガイド55はホームポジションへ復帰し、次の用紙に備える。
折りプレート74に突き当てられた用紙束PBは、図29に示すように、綴じられた用紙中央部近傍は略直角方向に折りプレート74により押され、また束搬送ローラ下72もわずかに回転させながら用紙束PBをその対向する折りローラ81のニップへと導く。予め回転していた折りローラ81はその用紙束PBを加圧搬送することで、用紙束PBの表紙にのみ中央に折りを施す。
【0067】
図30に示すように、折りを施された用紙束PBは第2の折りローラ82により折りぐせを強化され、下排紙ローラ83により下トレイ203へ排出される。このとき、用紙束後端が折り部通過センサ323に検知されると、折りプレート74可動後端フェンス73はホームポジションに復帰し、束搬送ローラ下72の加圧は復帰され、次の用紙に備える。また、次のジョブが同じ用紙サイズで同じ枚数であれば、可動後端フェンス73はその位置で待機しても良い。このようにして行われる用紙束PBの簡易的な製本の工程を図33で説明する。
【0068】
図33に示すように、端部にパンチ穴が開けられた用紙束PBをスティプル処理トレイFで整合し(図33(a))、その上に用紙束PBの少なくとも2倍以上の大きさのカバーシートPA(図33(b))を表紙として排紙して整合し((図33(c))、表紙の中央部に当たる用紙束PBの端部側から所定距離だけ中央側に寄った位置に綴じ処理が行われる((図33(d))。その後、折りプレート74の先端部で用紙束PBの端部を受け、そのままつきだして折りローラ81、82で表紙のみ折り返して折り癖を付け、簡易的な表紙となる。
【0069】
▲7▼パンチモードの動作を以下に説明する。パンチユニット100は図31、図32に示すような構成になっており、その穿孔方式はパンチ穴ユニット100のパンチ刃の上下動、すなわち、用紙に穿孔するための動作モータ171の駆動によって行われる。1回転クラッチ172の起動は、搬送されてきた用紙後端が入口センサ301を通過して一定パルス経過後(パルスA:図34(a))に行われる。軸400が回転すると、軸400に偏心して係合しているカム401が回転して、ホルダ402を上下動(図32の矢印方向を参照)させる。ホルダ402の上下動によってパンチ刃403が上下動し、その動作によって、用紙にパンチ穴が開けられる。
【0070】
また、簡易中綴じモードにおいて、パンチ穴を開ける場合には、カバーシートPAに対してパンチ穴を開ける必要があり、この場合はカバーシートPAの先端が入口センサ301を通過して一定パルス経過後(パルスB:図34(b))に用紙の中央付近で1回目の穿孔処理が行われ、さらに一定パルス経過した後(パルスC:図34(c))に2回目の穿孔処理が行われる。
【0071】
次に上述した簡易中綴じモードで製本された冊子のファイリングができるように、用紙とカバーシートPAに対してパンチ穴を開ける動作について説明する。図37のフローチャートに示すように、簡易中綴じモードの場合に、同時にパンチ穴を穿孔するモードが選択されると(ステップS101)、画像形成装置で画像形成された用紙が本実施の形態に係る用紙後処理装置PDに搬送される(ステップS102)。入口センサ301においては、搬送された用紙の枚数がカウントされ(ステップS103)、センサを通過した用紙が最終紙であるか否か判断される(ステップS104)。用紙が最終紙でないと判断された場合には、用紙の後端が入口センサ301を通過して一定パルス経過後(パルスA:図34(a))に停止する(ステップS112)。そして、パンチユニット100においては、パンチ刃403が駆動し、その動作によって、用紙にパンチ穴が開けられる(ステップS113)。パンチ穴が開けられた用紙は、スティプル処理トレイFまで搬送される(ステップS114)。上記の一連の動作は、通常の用紙が搬送される間繰り返し行われる。
【0072】
ステップS104において、入口センサ301を通過した用紙が最終紙である場合、即ちカバーシートPAが搬送されたときには、ステップS105からの動作が行われる。まず、スティプル処理トレイFに搬送された用紙の枚数が多いか否かが判断され、用紙の多少に応じてカバーシートPAに形成するパンチ穴の位置の設定が行われる(ステップS105)。詳しく説明すると、入口センサ301において、センサを通過した用紙の枚数をカウントし、用紙枚数が多い場合には、カバーシートPAの表表紙部及び裏表紙部に夫々穿孔される穴を用紙中央の折り目から遠ざかる方向へ移動させるようにする。ここで、移動させる調整量をαとすると、最初に穿孔する穴位置のパルス数はB−αの式で示され、用紙束PBの枚数が多くなるほど、αの値を大きくする(ステップS106)。また、2つ目の穿孔位置はパルス数がC+2αの式で示され、枚数が多くなるほどαの値が大きくなる。すなわち、用紙束PBが多いほど穿孔する穴の位置は、用紙の中央から離れた位置に形成されることになる。一方、用紙束PBの枚数が少なくなるほど、上記αの値を小さくする(ステップS115)。すなわち、用紙束PBが少ないほど穿孔する夫々の穴の位置は、用紙の中央を挟んで互いに接近した位置に形成されることになる。なお、調整量αは0mm〜5又は6mmである。
【0073】
ここで、調整量αは操作パネル上で操作が可能である。図35に示すように、操作パネルは、ソート/スタックモード、端面綴じ製本モード、中綴じ製本モード、簡易中綴じ製本モード等の各モードを選択できるようになっており、各モードにおける用紙束PBの綴じ位置を調整できるようになっている。また、パンチ穴の位置を調整する場合には、図35に示す操作パネル上で、パンチモードを選択すると、図36で示すパネル画面が表示され、この画面において、簡易中綴じモードにおいてパンチ穴の位置を調整する場合には、プラスキーおよびマイナスキーを操作することにより、パンチ穴を開ける位置の調整が可能となる。
【0074】
カバーシートPAの先端が入口センサ301を通過後、最初に穿孔する穴位置(B−αの式で示されたパルス数)まで用紙が搬送され、パンチ穴が形成される(ステップS108)。次いで、2つ目の穿孔位置(C+2αの式で示されのパルス数)まで用紙が搬送され、パンチ穴が形成される。パンチ穴が開けられたカバーシートPAは上述の簡易製本モードで説明したように、スティプル処理トレイFに搬送されて、用紙束PBと共にスティプル処理が施され、中折り処理トレイGへ導かれて、折り処理が行われて製本された後、下排紙ローラ83により下トレイ203へ排出される。
【0075】
このように、用紙とカバーシートPAを揃えて綴じ処理及び穿孔処理する製本において、冊子の中身部分である用紙束PBについては、従来の端面綴じ製本と同じ端部位置にパンチ穴をあけ、表紙となるカバーシートPAに対してのみ中央付近で二つ折りしたときに、用紙束PBのパンチ穴位置と同じ位置にパンチ穴をあけられるようにすることで、簡易製本による冊子に対してもファイリングすることが可能となる。
【0076】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。パンチユニット100は、用紙の搬送を一旦停止させて、パンチ穴を穿孔するプレスパンチ方式について説明しているが、本発明では、パンチ刃とダイを回転体に設けて、その回転によってパンチ刃とダイをあわせて用紙を搬送させながらパンチ穴を穿孔するロータリーパンチでも良い。
【0077】
用紙束PBの表面を覆うカバーシートPAの材料は、用紙と同一の材料であっても良いし、樹脂フィルムシートのような用紙とは異なる材料であっても良い。
【0078】
上述の実施形態は本発明の用紙後処理装置PDを画像形成装置の側部に取り付ける場合について説明したが、プリンタ、FAXなどに係るものでも良い。また、用紙後処理装置は単独で使用するようにしても良い。
【0079】
【発明の効果】
発明によれば、簡単な制御で、仕上がり時の見栄えがきれいな製本を行うとともに、用紙束の厚みに関係なくパンチ穴を精度よく形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の概略断面図である。
【図2】図1に係る用紙後処理装置のシフト機構の要部を拡大した斜視図である。
【図3】図1に係る用紙後処理装置のシフトトレイ昇降機構の要部を拡大した斜視図である。
【図4】図1に係る用紙後処理装置のシフトトレイの排紙部を示す斜視図である。
【図5】図1に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイを用紙搬送面に垂直な方向から見た平面図である。
【図6】図1に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイとその駆動機構を示す斜視図である。
【図7】図1に係る用紙後処理装置の用紙束の放出機構を示す斜視図である。
【図8】図1に係る用紙後処理装置の端面綴じスティプラを移動機構とともに示す斜視図である。
【図9】図8に係る端面綴じスティプラの斜め回動機構を示す斜視図である。
【図10】図1に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、用紙束をシフトトレイに排紙するときの状態を示す図である。
【図11】図1に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、図10の状態から分岐ガイド板が放出ローラ側に回動した状態を示す図である。
【図12】図1に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、図11の状態から可動ガイドが分岐ガイド板側に回動し、中折り処理トレイ側に用紙束を偏向する経路を形成した状態を示す図である。
【図13】図1に係る用紙後処理装置において折りプレートの移動機構の動作説明図で中折り動作に入る前の状態を示す図である。
【図14】図1に係る用紙後処理装置の折りプレートの移動機構の動作説明図で、中折り後、初期位置に戻るときの状態を示す図である。
【図15】図1に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイと中折り処理トレイの詳細を示す図である。
【図16】中綴じ製本モードにおいてスティプル処理トレイでスタックされた用紙束の状態を示す動作説明図である。
【図17】中綴じ製本モードにおいてスティプル処理トレイでスタックされ、中綴じされるときの状態を示す動作説明図である。
【図18】中綴じ製本モードにおいてスティプル処理トレイで中綴じされた用紙束を用紙束偏向機構によって偏向させる初期状態を示す動作説明図である。
【図19】中綴じ製本モードにおいてスティプル処理トレイで中綴じされた用紙束を用紙束偏向機構によって偏向させ、中折り処理トレイに送り込んだときの状態を示す動作説明図である。
【図20】中綴じ製本モードにおいて中折り処理トレイで用紙束を中折り位置に送り込んだときの状態を示す動作説明図である。
【図21】中綴じ製本モードにおいて中折り処理トレイで中折りプレートを作動させて用紙束の中折り動作を開始したときの状態を示す動作説明図である。
【図22】中綴じ製本モードにおいて中折り処理トレイで中折りプレートを作動させて用紙束の中折り動作を開始した後、2段目の折りローラで折られているときの状態を示す動作説明図である。
【図23】図1に係る用紙後処理装置の制御回路を示すブロック図である。
【図24】簡易製本モードにおいてスティプル処理トレイ内に用紙束が収納された状態を示す動作説明図である。
【図25】簡易製本モードにおいてスティプル処理トレイ内にカバーシートが搬送されて用紙束とスティプルされる状態を示す動作説明図である。
【図26】簡易製本モードにおいてスティプル処理トレイで中綴じされた用紙束を用紙束偏向機構によって偏向させ、中折り処理トレイに送り込むときの状態を示す動作説明図である。
【図27】簡易製本モードにおいてスティプル処理トレイで中綴じされた用紙束を用紙束偏向機構によって偏向させ、中折り処理トレイに送り込んだときの状態を示す動作説明図である。
【図28】簡易製本モードにおいて中折り処理トレイで用紙束を中折り位置に位置させたときの状態を示す動作説明図である。
【図29】簡易製本モードにおいて中折り処理トレイで中折りプレートを作動させて用紙束の中折り動作を開始したときの状態を示す動作説明図である。
【図30】簡易製本モードにおいて中折り処理トレイで中折りプレートを作動させて用紙束の中折り動作を開始した後、2段目の折りローラで折られているときの状態を示す動作説明図である。
【図31】図1に係る用紙後処理装置のパンチ穴ユニットの構成図である。
【図32】図31に係るパンチ穴ユニットの平面図である。
【図33】本実施の形態に係る簡易製本モードの一連の動作を説明する図である。
【図34】本実施の形態に係る簡易製本モードにおいて、入口センサからパンチ穴ユニットまでの用紙のタイミング動作を示す動作説明図である。
【図35】本実施の形態に係る簡易製本モードにおける操作パネルの画面を示す図であり、モード選択の画面を示す図である。
【図36】本実施の形態に係る簡易製本モードにおける操作パネルの画面を示す図であり、パンチ位置調整を行う画面を示す図である。
【図37】簡易中綴じモード時においてパンチ穴を穿孔する場合の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
74 折りプレート(折り手段)
100 パンチ穴ユニット(穿孔処理手段)
F スティプル処理トレイ(スティプル処理手段)
PB 用紙束
PA カバーシート
PD 用紙後処理装置

Claims (2)

  1. 用紙にパンチ穴を開ける穿孔処理手段と、
    穿孔処理後の用紙を整合しスティプル処理を施すスティプル処理手段と、
    スティプルされた用紙束に搬送方向の長さが用紙の略2倍以上のサイズを有するカバーシートを被せてカバーシートに表表紙部と裏表紙部を形成するように折り目を付する折り手段とを備えた用紙後処理装置であって、
    穿孔処理手段は最終紙でない各用紙の端部の同じ位置にパンチ穴を開けた後に、最終紙のカバーシートの表表紙部と裏表紙部との夫々に用紙束の枚数又は用紙の紙厚に応じて穴位置を調整してパンチ穴を開け、用紙束にカバーシートを被せて用紙束の端部とカバーシートの少なくとも裏表紙部にスティプル処理することにより中綴じ製本を行うことを特徴とする用紙後処理装置。
  2. 請求項1記載の用紙後処理装置と、
    前記用紙後処理装置によって処理される用紙に画像を形成する画像形成装置と、
    を備えた画像形成システムであって、
    前記画像形成装置は前記用紙束の枚数又は用紙の紙厚に応じて調整される穴位置の調整量を設定するための操作部を有することを特徴とする画像形成システム
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