JP4086656B2 - 電気自動車のバッテリ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車のバッテリを制御する装置に関し、とくにバッテリを管理するバッテリECUの暴走を検出して、メインリレーを制御するバッテリの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッドカーは、走行モーターを駆動するバッテリをバッテリECUで管理している。バッテリECUは、バッテリの充放電電流やバッテリ電圧から残容量を演算して過充電や過放電を防止し、さらにバッテリの温度が設定温度よりも高くならないように充放電電流やファンの運転を制御している。バッテリECUは、検出した残容量等のバッテリ情報を車両ECUに出力する。車両ECUは、アクセルやブレーキから入力される信号と、バッテリECUから入力されるバッテリ情報から、バッテリの充放電をコントロールするインバータを制御して、エンジンと走行モーターの出力を制御して自動車を走行させ、あるいは回生ブレーキで制動する。すなわち、車両ECUは、バッテリの状態をバッテリECUからの信号で管理しながら、いいかえるとバッテリを過充電や過放電から保護しながら、走行モーターとエンジンの出力を制御して自動車を走行させる。
【0003】
たとえば自動車を加速するときに、バッテリから走行モーターに電力が供給されてモーターの出力で自動車を加速する。バッテリを放電して、バッテリの残容量が設定された容量範囲よりも少なくなると、インバータを制御してバッテリを充電し、バッテリの残容量が設定された容量範囲よりも大きくなると、インバータを制御してバッテリの充電を停止させる。
【0004】
バッテリECUは、バッテリの残容量等を演算するマイコンを内蔵している。このマイコンが雑音等の影響で暴走すると、バッテリの残容量を正確に演算できなくなる。残容量が正確に演算できなくなると、バッテリの残容量が設定された容量範囲にあるかどうか正しく演算できず、その結果、充電や放電の制御が正しく行われずに、バッテリが過充電や過放電されることがある。バッテリが過充電や過放電されると、電気的な特性を急激に低下させる。この弊害を避けるために、従来のハイブリッドカーは、バッテリECUの暴走を検出すると、バッテリの出力側、すなわちバッテリとインバータとの間に接続しているメインリレーをオフに切り換えてバッテリの充放電を停止させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの方式のハイブリッドカーは、走行中にマイコンが暴走してメインリレーをオフに切り換えると、切り換えた瞬間に自動車の走行状態が急変して安全に走行するのが難しくなる欠点がある。たとえば、自動車を加速しているときにマイコンが暴走して、メインリレーがオフに切り換えられて走行モーターが停止されると、自動車の加速状態が急激に低下する弊害がある。この状態は、たとえば他の自動車を追い越ししている途中で、メインリレーが遮断されて加速が悪くなると、速やかに追い越しできなくる。また、下りの坂道を走行しているときに、マイコンが暴走してメインリレーが遮断されると、回生制動が瞬時にきかなくなって自動車の制動が急激に少なくなる弊害が発生する。
【0006】
本発明は、このような弊害を解消することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、マイコンが暴走した瞬時に自動車の走行状態が急変するのを防止して安全に走行できる電気自動車のバッテリ制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気自動車のバッテリ制御装置は、走行モーター4に電力を供給するバッテリ1と、このバッテリ1の電気的状態または温度状態を管理するマイコン13を備えるバッテリECU2と、バッテリ1の出力側に接続されて、かつバッテリECU2でオンオフに制御されて、バッテリ1の電力を走行モーター4へ供給または遮断するメインリレー5とを備える。バッテリECU2は、マイコン13の暴走監視回路14と、暴走監視回路14の出力信号を時間制御するタイマー回路19とを備える。このバッテリ制御装置は、暴走監視回路14がマイコン13の暴走を検出すると、タイマー回路19が暴走監視回路14の出力信号を設定時間遅らせてメインリレー5に出力し、メインリレー5がマイコン13の暴走から設定時間遅れてバッテリ1の電力を遮断する。
【0008】
さらに、本発明の請求項2のバッテリ制御装置は、バッテリECU2がバッテリ1の電圧を検出するバッテリセンサ15を備え、暴走監視回路14がマイコン13の暴走を検出すると共に、バッテリセンサ15がバッテリ1の電圧が設定範囲にないことを検出して、メインリレー5をオフに切り換える。このバッテリ制御装置は、バッテリECU2の暴走監視回路14がマイコン13の暴走を検出する状態において、バッテリセンサ15で検出されるバッテリ電圧が設定範囲にあると、バッテリECU2がバッテリ1の充放電電流を制限する電流制限信号を車両ECU3に出力することができる。
【0009】
さらに、本発明の請求項4のバッテリ制御装置は、バッテリECU2がバッテリ1の温度を検出するバッテリセンサ15を備え、暴走監視回路14がマイコン13の暴走を検出すると共に、バッテリセンサ15がバッテリ1の温度が設定範囲にないことを検出して、メインリレー5をオフに切り換える。このバッテリ制御装置は、バッテリECU2の暴走監視回路14がマイコン13の暴走を検出する状態において、バッテリセンサ15で検出されるバッテリ1の温度が設定範囲にあると、バッテリECU2がバッテリ1の充放電電流を制限する電流制限信号を車両ECU3に出力することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのハイブリッドカーのバッテリ制御装置を例示するものであって、本発明はバッテリ制御装置を以下のものに特定しない。
【0011】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0012】
本発明のバッテリ制御装置は、電気自動車のバッテリを管理するバッテリECUのマイコンの暴走を検出して、バッテリから走行モーターに電力を供給するメインリレーを制御する。本明細書において、電気自動車とは、エンジンと走行モーターの両方で走行するハイブリッドカー、及び走行モーターのみで走行する電動自動車を含む広い意味で使用する。さらに、走行モーターに電力を供給するバッテリは、充電するタイプの二次電池、または燃料電池が使用できる。以下、本発明の実施例として、ハイブリッドカーである電気自動車について説明する。
【0013】
図1と図2はハイブリッドカーに搭載されるバッテリ制御装置のブロック図を示す。これ等の図に示すハイブリッドカーは、車両ECU3と、この車両ECU3にバッテリ情報を供給するバッテリECU2と、走行モーター4を駆動するバッテリ1と、バッテリ1の出力側に接続しているメインリレー5と、このメインリレー5を介してバッテリ1に接続されるインバータ6と、このインバータ6に接続している走行モーター4及び発電機7と、車両ECU3に制御されるエンジン8と、エンジン8と走行モーター4の駆動力を車輪10に伝達する動力伝達機構9とを備えている。
【0014】
図のハイブリッドカーは、車両ECU3でエンジン8と走行モーター4を制御して走行する。ハイブリッドカーの走行パターンは、
(1) エンジン8のみで走行する状態。
(2) 走行モーター4のみで走行する状態。
(3) エンジン8と走行モーター4の両方で走行する状態とがある。
ただ、ハイブリッドカーは、(1)と(3)のみ状態で走行するパターンとすることもできる。エンジン8と走行モーター4の出力は、動力伝達機構9を介して車輪10に伝達される。
【0015】
さらに、ハイブリッドカーは、バッテリ1の残容量を設定された範囲となるように、バッテリ1を充放電しながら走行する。バッテリ1の残容量が設定容量よりも少なくなると、エンジン8で発電機7を駆動してバッテリ1を充電する。バッテリ1は、ブレーキ11が踏まれて、自動車を減速するときの回生ブレーキでも充電される。回生ブレーキは、車輪10が発電機7を駆動してバッテリ1を充電する。ハイブリッドカーは、バッテリ1を充電する発電機7を備えているが、この発電機7は走行モーター4とは別に設けられ、あるいは走行モーターを発電機に併用する。
【0016】
バッテリECU2は、バッテリ1の状態を検出して、バッテリ情報を車両ECU3に出力する。車両ECU3は、バッテリ情報を考慮しながら、すなわち、バッテリ1が放電できる状態にあるかどうかを判定して、インバータ6を介して走行モーター4の出力を制御する。また、バッテリ情報を考慮して、バッテリ1の残容量が設定された範囲となるように、インバータ6を介して走行モーター4と発電機7を制御する。たとえば、アクセル12が踏まれて自動車を加速するとき、車両ECU3は走行モーター4を駆動して、エンジン8と走行モーター4の両方で車輪10を駆動する。このとき、バッテリ情報からバッテリ1を放電できるかどうかを確認する。バッテリ1を放電できる状態にあると、インバータ6を制御して走行モーター4を駆動して、バッテリ1と走行モーター4の両方の出力で車輪10を駆動する。バッテリ1の残容量が設定容量よりも少なくなって放電できない状態になると、走行モーター4を停止する。その後、バッテリ1を充電して設定された容量範囲とする。また、バッテリECU2のマイコン13が暴走して放電電流を制限する状態にあると、放電電流を制限しながら走行モーター4を駆動する。
【0017】
車両ECU3は、バッテリECU2から供給されるバッテリ情報と、アクセル12やブレーキ11から入力される信号から、エンジン8の出力と、バッテリ1の充放電をコントロールして、エンジン8と走行モーター4のいずれかまたは両方で走行し、また、バッテリ1の残容量を設定された範囲に制御する。
【0018】
図2に示すバッテリECU2は、バッテリ1の残容量を演算して車両ECU3と通信するマイコン13と、このマイコン13の暴走を検出する暴走監視回路14と、この暴走監視回路14からの出力信号を時間制御するタイマー回路19と、バッテリ1の電圧と温度を検出するバッテリセンサ15と、マイコン13とバッテリセンサ15からの入力信号で出力するパルスの周波数を変化させて車両ECU3に出力するパルス回路16と、メインリレー5をオンオフに制御するリレー制御回路17と、このリレー制御回路17とタイマー回路19との間に接続しているOR回路18とを備える。
【0019】
マイコン13は、バッテリ1の充放電を積算して残容量を演算する。また、マイコン13は、バッテリセンサ15から入力されるバッテリ電圧で残容量を補正することもできる。演算されたバッテリ1の残容量は、バッテリ情報として車両ECU3に出力される。マイコン13は、バッテリ1の状態を検出して、バッテリ情報として車両ECU3に出力する。バッテリ情報から車両ECU3に出力されるバッテリ情報は残容量に特定されない。たとえば、バッテリECU2は、バッテリ温度が設定温度よりも高くなり、あるいは設定温度よりも低くなったことを示す情報をバッテリ情報として車両ECU3に出力することもできる。マイコン13は、正常に動作するときに、図3に示すように特定の周波数のパルスをマイコン正常パルスとして出力している。図3は、正常パルスを10Hzに設定している。マイコン13は、暴走するとマイコン正常パルスを出力しなくなるので、マイコン正常パルスを検出してマイコン13の暴走を検出できる。ただし、マイコン13の暴走は、マイコン正常パルスを検出することなく、マイコン13に特定の信号を入力して応答信号が出力されないことを検出して暴走を検出することもできる。したがって、マイコン13の暴走を検出する方式をマイコン正常パルスに特定しない。
【0020】
バッテリセンサ15は、バッテリ1の電圧又は温度、あるいは電圧と温度の両方を検出して、バッテリ1の電圧と温度等が、バッテリ1を充放電できる設定範囲にあるかどうかを検出する。バッテリ1の電圧や温度が充放電できる設定範囲にあると、VT正常パルスを出力する。電圧のみを検出するバッテリセンサ15は、バッテリ電圧が充放電できる範囲にあるとVT正常パルスを出力する。VT正常パルスは、たとえば15Hzに設定される。温度のみを検出するバッテリセンサ15は、バッテリ温度が充放電できる範囲にあるとVT正常パルスを出力する。電圧と温度を検出するバッテリセンサ15は、バッテリ電圧と温度の両方が充放電できる範囲にあるとVT正常パルスを出力する。
【0021】
パルス回路16は、マイコン13からマイコン正常パルスが入力されると、マイコン正常パルスを車両ECU3に出力し、マイコン13が暴走してマイコン正常パルスが入力されない状態で、バッテリセンサ15からVT正常パルスが入力されるとVT正常パルスを車両ECU3に出力する。マイコン正常パルスとVT正常パルスが入力されないときに、異常パルスを車両ECU3に出力する。異常パルスは、例えば図3に示すように20Hzに設定される。
【0022】
車両ECU3は、パルス回路16から入力されるパルス信号で、マイコン13が暴走したかどうか、マイコン13が暴走する状態でバッテリ1を充放電できる状態にあるか、あるいはマイコン13が暴走してバッテリ1を充放電できない状態にあるかを判定する。車両ECU3は、マイコン13が暴走しても、バッテリ1が充放電できる状態にあると、メインリレー5をオフに切り換えることなく、バッテリ1の充放電する最大電流を制限しながら、バッテリ1を充放電させる。たとえば、バッテリ1を充放電させる電流を30A以下に制限しながら、バッテリ1を充放電させる。車両ECU3は、マイコン13が暴走する状態でバッテリ1を充放電できるかどうかをマイコン正常パルスとVT正常パルスとで検出するので、VT正常パルスを電流制限信号として、バッテリ1の充放電電流を制限する。すなわち、図3に示すように、VT正常パルスが入力される状態では、VT正常パルスを電流制限信号として、車両ECU3はバッテリ1の充放電電流を制限しながら充放電させる。
【0023】
以上のように、マイコン13が暴走する状態において、バッテリ1が充放電できる状態にあるかどうかを判定して、バッテリ1の充放電電流を制限して走行されるハイブリッドカーは、マイコン13が暴走する状態においても、バッテリ1で走行できるので、安全に走行できる特長がある。ただ、マイコン13が暴走する状態では、バッテリ1を充放電できる状態にあっても、メインリレー5をオフに切り換えて、バッテリ1を充放電しないようにすることもできる。
【0024】
マイコン13が暴走して、バッテリ1を充放電できる状態にあることを確認して、バッテリ1の充放電電流を制限ながら走行させるハイブリッドカーは、バッテリ残容量の変化が少なくなるように、バッテリ1の充放電を制御する。このようにすると、バッテリ1の過充電と過放電を防止してバッテリ1の劣化を防止できる。バッテリ1の残容量は、充電電流と放電電流の積算値で演算されるので、充電電流と放電電流の積算値がほぼ等しくなるように、インバータ6を制御して、バッテリ残容量の変化を少なくする。
【0025】
暴走監視回路14は、マイコン13の暴走とバッテリ1の異常を検出し、このことを出力する。暴走監視回路14は、マイコン13から入力される信号からマイコン13が暴走したかどうかを検出し、マイコン13の暴走を検出すると、このことを第1の信号として出力する。さらに、暴走監視回路14は、パルス回路16から入力されるパルス信号からマイコン13が暴走する状態でバッテリ1を充放電できる状態にあるか、あるいはマイコン13が暴走してバッテリ1を充放電できない状態にあるかを検出し、マイコン13が暴走し、かつバッテリ1を充放電できない状態にあることを検出すると、このことを第2の信号として出力する。
【0026】
タイマー回路19は、暴走監視回路14の出力側に設けられており、マイコン13が暴走したときにメインリレー5をオンからオフに切り換える時間を遅らせる。タイマー回路19は、暴走監視回路14から入力される第1の信号と第2の信号をそれぞれ設定時間遅らせて出力する。第1の信号は、図3のタイミングチャートに示すように、マイコン13が暴走してからタイマー回路19の設定時間経過すると、”High”から”Low”に切り換えて出力される。図のタイミングチャートに示すように、タイマー回路19は、マイコン正常パルスの最後の立ち上がりからカウントを開始して、マイコン13が暴走してから設定時間経過するとタイムアップして、出力を”High”から”Low”に切り換える。第2の信号は、マイコン13が暴走し、かつバッテリ1を充放電できない状態になってからタイマー回路19の設定時間経過すると、”High”から”Low”に切り換えて出力される。このとき、タイマー回路19は、VT正常パルスの最後の立ち上がりでカウントを開始し、タイムアップして設定時間経過すると、出力を”High”から”Low”に切り換える。
【0027】
タイマー回路19のふたつの出力は、OR回路18に入力される。OR回路18は、両方の入力が”Low”のときに出力を”Low”とし、この”Low”信号をリレー制御回路17に入力する。
【0028】
リレー制御回路17は、OR回路18から”Low”が入力されると、メインリレー5をオンからオフに切り換えて、バッテリ1の充放電電流を遮断する。図2のリレー制御回路17は、マイコン13からセット信号が入力され、この信号でメインリレー5をオンに切り換える。さらに、図2のバッテリECU2は、マイコン13からCNTa信号をリレー制御回路17に入力して、マイコン13が暴走したことをリレー制御回路17に入力している。ただ、リレー制御回路17は、マイコン13が暴走した後、ただちにメインリレー5をオフに切り換えることなく、バッテリ1を充放電できるかどうかを判定し、バッテリ1を充放電できない状態となってから、タイマー回路19の設定時間経過して、メインリレー5をオンからオフに切り換える。リレー制御回路は、マイコンが暴走した後、タイマー回路の設定時間経過すると、バッテリが充放電できる状態にあるかどうかを判定することなく、メインリレーをオンからオフに切り換えることもできる。このバッテリECUは、暴走監視回路の第1の信号が”High”から”Low”に切り換えられることを検出して、すなわち暴走監視回路からタイマー回路を通過してリレー制御回路に入力される信号が”Low”になるとメインリレーをオンからオフに切り換える。このバッテリECUは、OR回路を必要とせず、暴走監視回路の出力をリレー制御回路に入力する。
【0029】
以上のバッテリECU2は、暴走監視回路14の出力側にタイマー回路19を設けて、暴走監視回路14から出力される出力信号をタイマー回路19で所定時間遅らせて出力し、メインリレー5をオフにする時間を設定時間遅らせている。ただ、タイマー回路は、暴走監視回路に内蔵させることもできる。この暴走監視回路は、内蔵されるタイマー回路で出力信号を所定時間遅らせて出力し、メインリレーをオフにする時間を設定時間遅らせる。
【0030】
図1と図2に示す制御装置は、図4と図5のフローチャートでバッテリ1の充放電を制御する。図4はバッテリECU側のフローチャートを示し、図5は車両ECU側のフローチャートを示している。
(1) バッテリECU側のフローチャート
[n=1のステップ]
バッテリECU2のマイコン13が正常に動作しているとき、マイコン13からマイコン正常パルスである10Hzのパルスが出力される。マイコン正常パルスは、暴走監視回路14とパルス回路16とに出力され、パルス回路16から車両ECU3に出力される。
[n=2のステップ]
マイコン13が暴走したかどうかが判定される。マイコン13が暴走していないとき、n=1と2のステップでループされる。
[n=3のステップ]
マイコン13が暴走すると、マイコン13からマイコン正常パルスである10Hzのパルスが出力されなくなり、バッテリセンサ15から出力しているVT正常パルスである15Hzのパルス信号が、パルス回路16から車両ECU3に出力される。マイコン13と車両ECU3との通信は停止され、マイコン13から車両ECU3に残容量等のバッテリ情報は出力されなくする。暴走したマイコン13が正常に残容量等を演算できなくなるからである。
[n=4のステップ]
バッテリ1の電圧や温度から、充放電できるかどうかを検出して、バッテリ1を充放電できる状態にあると、n=2〜4のステップをループする。
[n=5のステップ]
バッテリ1が充放電できる状態にないと、パルス回路16は異常パルスである20Hzのパルスを、暴走監視回路14と車両ECU3に出力する。
[n=6のステップ]
マイコン13が暴走して、バッテリ1を充放電できない状態になると、異常パルスである20Hzのパルスが暴走監視回路14に入力される。暴走監視回路14からの出力信号がタイマー回路19で設定時間が経過した後、出力され、リレー制御回路17を介してメインリレー5をオンからオフに切り換える。
【0031】
以上のフローチャートは、マイコン13が暴走した後、バッテリ1を充放電できない状態を検出して、メインリレー5をオンからオフに切り換えているが、バッテリ1の充放電を検出することなく、すなわちn=3と4のステップを省略して、メインリレー5をオンからオフに切り換えることもできる。
【0032】
(2) 車両ECU側のフローチャート
[n=1のステップ]
車両ECU3は、マイコン13が正常に動作する状態で、エラー表示を解除して通常走行させる。
[n=2のステップ]
車両ECU3は、マイコン13が暴走して、VT正常パルスが入力されるかどうかを判定し、VT正常パルスが入力されないときは、マイコン13が暴走していないとして、n=1と2のステップをループする。この状態で、車両ECU3は、バッテリ1の充放電電流を制限することなく、正常な状態で充放電させてハイブリッドカーを走行させる。
[n=3のステップ]
車両ECU3にVT正常パルスが入力されると、マイコン13が暴走したと判定して、ダッシュボードにエラー表示をする。そして、マイコン13が暴走しているので、車両ECU3は、バッテリ1の充放電電流を制限しながらハイブリッドカーを走行させる。
[n=4のステップ]
車両ECU3は、異常パルスである20Hzのパルス信号が入力されるかどうかを判定する。異常パルスが入力されないと、n=2〜3のステップをループする。
[n=5のステップ]
車両ECU3に異常パルスが入力されると、警告等を表示すると共に、タイマー回路19にカウントを開始させ、このタイマー回路19の設定時間が経過してタイムアップすると、リレー制御回路17を介してメインリレー5をオンからオフに切り換えて、バッテリ1の充放電を停止させる。メインリレー5がオンからオフに切り換えられると、車両は停止され、あるいは、エンジン8のみによって走行される。タイマー回路19の設定時間は、1分に設定している。ただ、タイマー回路の設定時間は、15秒〜3分に設定することもできる。タイマー回路19の設定時間を長くすると、マイコン13が暴走した後、より長い時間にわたってハイブリッドカーの走行状態をスムーズにできるが、バッテリ1が過放電や過充電になりやすく、バッテリ1を劣化させる危険性が高くなる。反対にタイマー回路19の設定時間を短くすると、マイコン13が暴走してから短い時間でバッテリ1による走行ができなくなるが、バッテリ1の過放電と過充電を防止して、バッテリ1の劣化を少なくできる。
【0033】
図5のフローチャートも、マイコン13が暴走して、バッテリ1の電圧や温度等を検出して、メインリレー5をオンからオフに切り換えているが、n=3と4のステップを省略して、マイコン13が暴走すると設定時間経過した後にメインリレー5をオンからオフに切り換えることもできる。
【0034】
以上の実施例は、ハイブリッドカーにおける、マイコンが暴走したときにメインリレーをオフに切り換える時間を設定時間遅らせて走行状態が急変するのを防止するバッテリ制御装置を示している。ただ、本発明のバッテリ制御装置は、ハイブリッドカー以外の電気自動車においても、以上の実施例と同様にしてバッテリの使用状態を制御できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の電気自動車のバッテリ制御装置は、マイコンが暴走した瞬時に自動車の走行状態が急変するのを防止して安全に走行できる特長がある。それは、本発明のバッテリ制御装置が、バッテリECUに、マイコンの暴走を検出する状態でメインリレーをオフに切り換える暴走監視回路と、この暴走監視回路がマイコンの暴走を検出してメインリレーをオフに切り換える時間遅れを設定するタイマー回路とを備えており、タイマー回路でもってメインリレーをオフにする時間を設定時間遅らせているからである。このため、本発明のバッテリ制御装置は、マイコンが暴走しても、瞬時にメインリレーがオフに切り換えられることがなく、自動車の走行状態が急変するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる電気自動車のバッテリ制御装置のブロック図
【図2】図1に示す電気自動車のバッテリ制御装置の詳細なブロック図
【図3】図1に示す電気自動車のバッテリ制御装置のタイミングチャート図
【図4】バッテリECUがバッテリの充放電を制御するフローチャート
【図5】車両ECUがバッテリの充放電を制御するフローチャート
【符号の説明】
1…バッテリ
2…バッテリECU
3…車両ECU
4…走行モーター
5…メインリレー
6…インバータ
7…発電機
8…エンジン
9…動力伝達機構
10…車輪
11…ブレーキ
12…アクセル
13…マイコン
14…暴走監視回路
15…バッテリセンサ
16…パルス回路
17…リレー制御回路
18…OR回路
19…タイマー回路
Claims (5)
- 電気自動車の走行モーター(4)に電力を供給するバッテリ(1)と、このバッテリ(1)の電気的状態または温度状態を管理するマイコン(13)を備えるバッテリECU(2)と、バッテリ(1)の出力側に接続されて、かつバッテリECU(2)でオンオフに制御されてバッテリ(1)の電力を走行モーター(4)へ供給または遮断するメインリレー(5)とを備え、
バッテリECU(2)が、マイコン(13)の暴走監視回路(14)と、暴走監視回路(14)の出力信号を時間制御するするタイマー回路(19)とを備え、暴走監視回路(14)がマイコン(13)の暴走を検出したときに、タイマー回路(19)が暴走監視回路(14)の出力信号を設定時間遅らせてメインリレー(5)に出力し、メインリレー(5)がマイコン(13)の暴走から設定時間遅れてバッテリ(1)の電力を遮断するようにしてなる電気自動車のバッテリ制御装置。 - バッテリECU(2)が、バッテリ(1)の電圧を検出するバッテリセンサ(15)を備えており、暴走監視回路(14)がマイコン(13)の暴走を検出すると共に、バッテリセンサ(15)がバッテリ(1)の電圧が設定範囲にないことを検出して、メインリレー(5)をオフに切り換える請求項1に記載される電気自動車のバッテリ制御装置。
- バッテリECU(2)の暴走監視回路(14)がマイコン(13)の暴走を検出する状態において、バッテリセンサ(15)で検出されるバッテリ電圧が設定範囲にあると、バッテリECU(2)がバッテリ(1)の充放電電流を制限する電流制限信号を車両ECU(3)に出力する請求項2に記載される電気自動車のバッテリ制御装置。
- バッテリECU(2)が、バッテリ(1)の温度を検出するバッテリセンサ(15)を備えており、暴走監視回路(14)がマイコン(13)の暴走を検出すると共に、バッテリセンサ(15)がバッテリ(1)の温度が設定範囲にないことを検出して、メインリレー(5)をオフに切り換える請求項1に記載される電気自動車のバッテリ制御装置。
- バッテリECU(2)の暴走監視回路(14)がマイコン(13)の暴走を検出する状態において、バッテリセンサ(15)で検出されるバッテリ(1)の温度が設定範囲にあると、バッテリECU(2)がバッテリ(1)の充放電電流を制限する電流制限信号を車両ECU(3)に出力する請求項4に記載される電気自動車のバッテリ制御装置。
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