JP4086170B2 - ブーム伸縮装置のガイド部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクレーン車、ショベルカー及び高所作業車等のブームの伸縮装置のガイド部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来クレーン車などの多段式伸縮ブームを伸縮するために先端ブームの内部に油圧シリンダが設けられている。3段以上のブームを油圧シリンダで伸縮させる場合、先端ブーム内を油圧シリンダ先端が移動するタイプのものがある。このタイプには、油圧シリンダのみによってブームを伸縮させるものがある。また、油圧シリンダの代わりにワイヤ等を用いて先端ブームを伸縮させるタイプのものもあり、用いる油圧シリンダの数を減らして限られた先端ブーム内部の空間を有効に利用することができる。
【0003】
後者の場合について、先端ブームがどのように伸縮するかを図4を基に説明する。図4に示す多段式ブームは3段式であり、基端ブームの先に2段目のブーム200及び先端ブーム100が収納されるようになっている。
図4(a)はブームが収縮した状態を示し、図4(b)はブームが伸長した状態を示している。
図4において2段目のブーム200を伸縮するために油圧シリンダ110は、そのロッドの端部が基端ブーム内部の図4に示すA点に、そのチューブの後端部が2段目のブーム200内部の図4に示すB点に、それぞれ取り付けられている。また、油圧シリンダ110の先端には滑車111が設けられており、この滑車にはワイヤ120が係合されていて、そのワイヤ120の1端は基端ブーム内部の図4に示すC点に、他の1端は先端ブーム100内部の図4に示すD点にそれぞれ連結されている。そして2段目のブームの後端にも滑車が設けられており、該滑車を介してD点と基端ブーム内部の図4に示すE点とがワイヤ121で連結されている。
【0004】
多段ブームが収縮した状態から伸長するときには油圧シリンダ110のロッドが伸び、基端ブームに対して2段目のブーム200が前方に押し出される。そして油圧シリンダ110が基端ブームに対して前方に伸びると、ワイヤ120の長さが一定であるので、図4(b)に示すように先端ブーム100は二段目のブーム200に対して前方に押し出される。
逆に多段ブームが伸長した状態から収縮するときには、油圧シリンダ110のロッドが縮まると、2段目のブームが基端ブームに後端に引き寄せられ、2段目のブームの後端に設けられた滑車がワイヤ121を後方に引っ張るので先端ブームが基端ブーム側に引き寄せられる。
このように2段目のブームは油圧シリンダ110によって、また先端ブームは油圧シリンダ110とワイヤ120によって伸縮される。
【0005】
このようなタイプの伸縮装置では油圧シリンダ110の先端に図5に示すようにローラー112,及びガイド113a,113bが設けられていて油圧シリンダが上下左右に振れないでスムースに移動できるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように油圧シリンダの先端にガイドを設けると、その取付作業に時間を要し、また重量が重くなるという問題や、ガイドが先端ブーム内の空間を狭めるので先端ブーム内部の配管や油圧シリンダ等の配置が難しくなるという問題があった。そこで本発明はその先端にガイドを要しないブーム伸縮装置のガイド部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、本発明は次のようなブーム伸縮装置のガイド部材を採用した。すなわち請求項1記載の発明に係るガイド部材は、先端ブーム内を油圧シリンダ先端が移動するタイプの3段以上のブーム伸縮装置のガイド部材であって、油圧シリンダ先端下面に設けられ、その下部が先端ブーム内側の下板と接地しているスライド板と、先端ブームの下板内側中央部の前記油圧シリンダ先端が移動する範囲に設けられたガイドレールとからなり、前記スライド板の横断面形状が前記ガイドレールの横断面形状と適合するような形状を有すると共に、前記スライド板が前記下板と接地した状態で前記ガイドレール上面と前記油圧シリンダ先端下面との間に間隙を有し、油圧シリンダが伸縮すると、前記スライド板が先端ブーム内側の下板上をスライドし、油圧シリンダ先端部が前記ガイドレールに案内されて先端ブーム内を移動することを特徴とするものである。
次に請求項2の発明に係るガイド部材は、請求項1のガイド部材において、そのガイドレールの横断面形状がT字型、逆台形型のように下端部の幅より幅の大きい部分が存在する形状であることを特徴とするものであり、請求項3記載のガイド部材は、そのガイドレールの横断面形状がI字型であることを特徴とするものである。
【0008】
そして請求項4記載の発明に係るガイド部材は、先端ブーム内を油圧シリンダ先端が移動するタイプの3段以上のブーム伸縮装置のガイド部材であって、油圧シリンダ先端に設けられ、その下部が先端ブーム内側の下板と接地している1個のローラーと、油圧シリンダ先端部上面と先端ブーム上板の間に設けられた垂直ガイドと、先端ブームの下板内側の前記油圧シリンダ先端が移動する範囲に設けられた2個のガイドレールとからなり、前記ローラーが2個の前記ガイドレールの間に挟まれて設置され、かつ前記ローラーが前記下板と接地した状態でガイドレール上面と前記ローラーの支持部材下面との間に間隙を有し、油圧シリンダが伸縮すると、油圧シリンダ先端に設けられた前記ローラーが回転し、油圧シリンダ先端部が前記ガイドレールに案内されて先端ブーム内を移動することを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明に係るブーム伸縮装置のガイド部材は、先端ブームの下板内側にガイドレールが設けられており、そのガイドレールの断面形状と適合する形状を有しているスライド板あるいはローラーが油圧シリンダの先端に設けられている。したがって、先端ブームが伸縮する際に油圧シリンダ先端に設置されたスライド板あるいはローラーが前記ガイドレールに案内されて先端ブームの下板に接地して左右方向や上下方向に振れないで移動することができるので、従来必要であった油圧シリンダをガイドするためのガイド板が不要となる。
またガイドレールは吊り荷重が作用するときに大きい撓みが生じる部材である先端ブームの下板に設けられていて曲げ剛性が増すので、先端ブームの曲げ強度が増大する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態として水平ガイドを不要とした実施例1、及び水平ガイド、垂直ガイド供不要とした実施例2について以下図面を基に説明する。
【0011】
(実施例1)
実施例1のガイド部材を図2(a)、(b)に示す。図2(a)は側面図、図2(b)は横断面図である。
図2に示すように実施例1の油圧シリンダの先端には左右一対のスライド板116aおよび垂直ガイド113bが設けられ、先端ブーム100の下板118の内部の中心線上にI型ガイドレール115aが設けられており、I型ガイドレール115aが左右のスライド板116aの間の空間に位置するようになっている。
実施例1のガイド部材においては、油圧シリンダ110はスライド板116aが先端ブームの下板118の内部を滑って移動するが、下板118の中心線上にはI型ガイドレール115aが設けられているため、これによって左右の振れが防止できるので従来取り付けられていた水平ガイド113aは不要となる。
またガイドレール115aは先端ブームの下板中央に設けられており曲げ荷重により生ずる撓みを少なくするので、先端ブームの曲げ強度が増大する。
【0012】
(実施例2)
実施例2のガイド部材を図1(a)、(b)に示す。図1(a)は側面図、図2(b)は横断面図である。実施例2のガイド部材は図1に示すようにその先端部に左右一対のL型スライド板116bが設けられていて、左右のスライド板116bの間の空間に、先端ブーム下板118の中心線に設けられていたT型ガイドレール115bが位置するようになっている。
実施例2の装置では図1に示すように左右のスライド板116bの断面がL字型をしており、ガイドレール115bの断面がT字型のために油圧シリンダの左右方向の振れのみならず、上下方向の振れも拘束されるため、従来の必要であった水平ガイド、垂直ガイド供に不要である。
また実施例1と同様にガイドレール115bが先端ブームの下板中央に設けられており、先端ブームの曲げ強度が増大する。
【0013】
(他の実施例)
図3にガイド部材の他の実施例を示す(図3(a)、(b)は共に横断面図である)。図3(a)はガイドレール115cの断面形状が逆台形をしており、スライド板116cがこれに適合した形状をしている。このタイプではスライド板116cがガイドレール115cによって左右方向、上下方向とも拘束されているため、油圧シリンダ110先端が左右、上下方向に振れることはなく、従来必要であった水平ガイド、垂直ガイドとも不要である。
【0014】
図3(b)に示す実施例では左右一対のI型ガイドレール115dの間にローラー120が適合するように納められており、油圧シリンダ先端が左右方向に振れないので、従来必要であった水平ガイドが不要となる。I型ガイドレールを中央に設け、それを挟む形で2個のローラーを配置してもよい。
【0015】
この他に垂直ガイドを有する図2に示す実施例1や図3(b)に示すガイド部材において、垂直ガイドを薄くして、上板にもガイドレールを設けて、垂直ガイドの上端部をガイドするようにしてもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明に係るブーム伸縮装置のガイド部材は、従来必要であった先端部のガイドが不要となるため、その製作コストが安価であり、重量も軽減される。またガイドがなくなるので、先端ブーム内の空間を有効に利用でき、ブーム内部に設置される油圧シリンダの配置や配管が容易となる。
さらにガイドレールが吊り荷重が作用したときに大きい撓みが生じる先端ブームの下板に設けられているので、先端ブームの曲げ強度が増大するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例2のガイド部材を示す図である。
【図2】本発明に係る実施例1のガイド部材を示す図である。
【図3】本発明に係る他の実施例のガイド部材を示す図である。
【図4】多段式伸縮ブームの伸縮機構を説明するための図である。
【図5】従来のブーム伸縮装置のガイド部材を示す図である。
【符号の説明】
100 先端ブーム
110 油圧シリンダ
111 滑車
112 ローラー
113a 水平ガイド
113b 垂直ガイド
115a I型ガイドレール
115b T型ガイドレール
115c 逆台形型ガイドレール
115d 左右一対のI型ガイドレール
116a I型ガイドレールに適合するスライド板
116b L型スライド板
116c 逆台形型ガイドレールと適合するスライド板
118 先端ブームの下板
120、121 ワイヤ
200 2段目のブーム

Claims (4)

  1. 先端ブーム内を油圧シリンダ先端が移動するタイプの3段以上のブーム伸縮装置のガイド部材であって、油圧シリンダ先端下面に設けられ、その下部が先端ブーム内側の下板と接地しているスライド板と、先端ブームの下板内側中央部の前記油圧シリンダ先端が移動する範囲に設けられたガイドレールとからなり、前記スライド板の横断面形状が前記ガイドレールの横断面形状と適合するような形状を有すると共に、前記スライド板が前記下板と接地した状態で前記ガイドレール上面と前記油圧シリンダ先端下面との間に間隙を有し、油圧シリンダが伸縮すると、前記スライド板が先端ブーム内側の下板上をスライドし、油圧シリンダ先端部が前記ガイドレールに案内されて先端ブーム内を移動することを特徴とするブーム伸縮装置のガイド部材。
  2. 前記ガイドレールの横断面形状がT字型、逆台形型のように下端部の幅より幅の大きい部分が存在する形状であることを特徴とする請求項1記載のブーム伸縮装置のガイド部材。
  3. 前記ガイドレールの横断面形状がI字型であることを特徴とする請求項1記載のブーム伸縮装置のガイド部材。
  4. 先端ブーム内を油圧シリンダ先端が移動するタイプの3段以上のブーム伸縮装置のガイド部材であって、油圧シリンダ先端に設けられ、その下部が先端ブーム内側の下板と接地している1個のローラーと、油圧シリンダ先端部上面と先端ブーム上板の間に設けられた垂直ガイドと、先端ブームの下板内側の前記油圧シリンダ先端が移動する範囲に設けられた2個のガイドレールとからなり、前記ローラーが2個の前記ガイドレールの間に挟まれて設置され、かつ前記ローラーが前記下板と接地した状態でガイドレール上面と前記ローラーの支持部材下面との間に間隙を有し、油圧シリンダが伸縮すると、油圧シリンダ先端に設けられた前記ローラーが回転し、油圧シリンダ先端部が前記ガイドレールに案内されて先端ブーム内を移動することを特徴とするブーム伸縮装置のガイド部材。
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