JP4085961B2 - 繊維ボード - Google Patents

繊維ボード Download PDF

Info

Publication number
JP4085961B2
JP4085961B2 JP2003390637A JP2003390637A JP4085961B2 JP 4085961 B2 JP4085961 B2 JP 4085961B2 JP 2003390637 A JP2003390637 A JP 2003390637A JP 2003390637 A JP2003390637 A JP 2003390637A JP 4085961 B2 JP4085961 B2 JP 4085961B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
kenaf
fiber board
weight
adhesive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003390637A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004314592A (ja
Inventor
兼司 大西
将行 奥澤
有三 奥平
秀行 安藤
一哲 梅岡
亮 菅原
文海 劉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP2003390637A priority Critical patent/JP4085961B2/ja
Publication of JP2004314592A publication Critical patent/JP2004314592A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4085961B2 publication Critical patent/JP4085961B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)

Description

本発明は、ケナフ繊維を原料として作製される繊維ボードに関するものである。
住宅等の壁を形成する壁材としては、透湿性(通気性)を有する繊維ボードが用いられている。一般的に室内の水蒸気圧は室外の水蒸気圧よりも高いので、上記のように透湿性繊維ボードによって壁を形成してあると、室内の湿気(水分)を壁を通して室外へ移動させることができるものである。
従来、上記のような透湿性繊維ボードとしては、アブラヤシ繊維及びジュート繊維等の植物性天然繊維を主原料とする成型ボードが知られている(例えば、特許文献1等参照)。この成型ボードは通気性を具備する上に、剛直性をも所望する場合には、接着剤の種類及びその使用量率を設定することによって達成できるというものである。
特開平6−285819号公報(段落番号[0011]等)
しかし、上記成型ボードにおいて、接着剤の種類等を設定することによって得られる剛直性や強度には限界がある。かりにこの限界を超えて剛直性や強度を高めることができたとしても、この場合にはもはや十分な透湿性を確保できないものとなっている場合が多く、この場合には以下のような問題が生じる。
すなわち、透湿性が不十分な成型ボードによって壁を形成すると、室内の湿気が壁内に浸入し難くなるのはもちろん、一旦、壁内に浸入した湿気は室外へ出難くもなるので壁内に滞留することとなる。そうすると壁の強度をある程度高めていても、やがては壁内で結露が生じ、この結露により壁内の柱や断熱材が腐朽するほか、壁自体の強度も弱められるおそれがある。逆に、透湿性が十分な成型ボードでは、当初から十分な強度を確保することができず、壁材として用いることができない。
このように、アブラヤシ繊維等の植物性天然繊維を主原料とする成型ボードでは、住宅等の壁を形成する壁材に要求される透湿性及び強度を満足させることは難しいものであり、また、壁材と同様に透湿性及び強度が要求される床材、天井材、下地材等の建築材料として上記成型ボードを利用するのも困難である。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、高い透湿性を有しながら、強度が十分に高められた繊維ボードを提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る繊維ボードは、ケナフを解繊して得られるケナフ繊維を熱硬化性接着剤で接着して作製される繊維ボードであって、ケナフ繊維として平均長さが10〜200mm及び平均径が10〜300μmであるものを用い、このケナフ繊維を集合させた繊維マットに熱硬化性接着剤を含浸させることによって、密度が600〜900kg/mとなるように作製され、熱硬化性接着剤が、単量体を10〜40重量%と、分子量200〜2000の多量体を60〜90重量%含み、平均分子量が400〜700のフェノール樹脂であることを特徴とするものである。
また請求項の発明は、請求項1において、熱硬化性接着剤のpHが、10以下であることを特徴とするものである。
また請求項の発明は、請求項1又は2において、ケナフ繊維として長さの標準偏差が20mm以下で且つ径の標準偏差が50μm以下のものを用いることを特徴とするものである。
本発明によれば、高い透湿性を有しながら、強度を十分に高めることができるものであり、住宅等の壁を形成する壁材として上記繊維ボードを利用することができるほか、壁材と同様に透湿性及び強度が要求される床材、天井材、下地材等の建築材料として利用することもできるものである。
また請求項の発明によれば、10〜40重量%含まれる単量体は主としてケナフ繊維内に浸透し、また60〜90重量%含まれる分子量200〜2000の多量体はケナフ繊維内への浸透性が低く主としてケナフ繊維の表面に付着する。そして、ケナフ繊維の内部に浸透した成分が硬化することによって、ケナフ繊維内への水分の吸収を抑制することができ、水分の吸収によるケナフ繊維の膨潤、変形を抑制して繊維ボードの寸法安定性を高めることができるものであり、またケナフ繊維の表面に付着した成分が硬化することによってケナフ繊維同士を強固に接着・結合させることができ、繊維ボードの剥離強度を高めることができるものである。この結果、寸法安定性に優れると共に高い剥離強度を有する繊維ボードを得ることができるものである。
また請求項の発明によれば、剥離強度が高く、また厚さ膨潤率の低い繊維ボードを得ることができるものである。
また請求項の発明によれば、透湿性や強度等の特性が安定した繊維ボードを得ることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に係る繊維ボードは、ケナフ(アオイ科の一年草)を解繊して得られるケナフ繊維を熱硬化性接着剤で接着して作製されるものである。
ケナフ繊維は、ケナフの茎の靭皮部から得られる長繊維束(幅:1〜2cm、長さ:2〜4m)を機械的に解繊処理することによって得ることができる。解繊処理は、ケナフ繊維の平均長さが10〜200mmに、より好ましくは15〜80mmに、且つ平均径が10〜300μmに、より好ましくは70〜150μmになるまで行なう。本発明は繊維ボードを作製するにあたって、このように解繊した後のケナフ繊維を用いるものである。ここで図1(a)はケナフ繊維1の断面を顕微鏡で観察した模式図であり、一本のケナフ繊維1は直径10〜30μmの多数の単繊維2が結合して成り立っており、単繊維2の細胞壁3は中央に導管4を形成している。5は繊維表面を示すものである。
ケナフ繊維の平均長さが上記の範囲より短いと、ケナフ繊維同士の絡み合いが不十分となり、繊維ボードの強度を十分に高めることができない。逆に、ケナフ繊維の平均長さが上記の範囲より長いと、後述する繊維マットを均一な構造となるように作製するのが困難となり、加熱加圧成形により得られる繊維ボードの密度のバラツキが大きくなることによって、強度面において欠陥となる部分が生じるおそれがある。また、ケナフ繊維の平均径が上記の範囲より小さいと、強度面においては、ケナフ繊維の接触点が多くなり、ケナフ繊維同士の絡み合いが強まることによって、繊維ボードの強度を高めることができる反面、ケナフ繊維間の空隙が小さくなるために透湿性が低くなるおそれがある。逆に、ケナフ繊維の平均径が上記の範囲より大きいと、透湿性を有する繊維ボードを得ることはできるが、アブラヤシ繊維等と同様に平均径が太すぎるために、上記繊維ボードの強度が弱くなる。
そして、上記のケナフ繊維を集合させた繊維マットに熱硬化性接着剤を含浸させることによって、繊維ボードを作製することができる。具体的な作製方法の一例は、以下の通りである。すなわち、上記の繊維マットは、解繊処理後のケナフを積層し、これに必要に応じてニードルパンチング等を行い、ケナフ繊維を絡めることによって得ることができる。また、熱硬化性接着剤としては、フェノール樹脂接着剤を用いることができる。
次に、上記のようにして得た繊維マットを熱硬化性接着剤中に浸漬させることによって、繊維マットに熱硬化性接着剤を含浸させ、熱硬化性接着剤を含浸した繊維マットを絞りローラーに通すことによって、熱硬化性接着剤の付着量が所定の範囲となるように調整する。繊維マットに対する熱硬化性接着剤の付着量が樹脂成分に換算して固形分で5〜40重量%の範囲になるように調整するのが好ましく、より好ましくは15〜30重量%である。15重量%より少ない場合、特に5重量%より少ない場合は、得られる繊維ボードの剥離強度が低下し、逆に30重量%より多い場合、特に40重量%より多い場合には、得られる繊維ボードの耐衝撃性が低下するおそれがある。ここで、熱硬化性接着剤を含浸させる前に、繊維マットを乾燥し、繊維マットの含水率を25重量%以下に調整するようにしてもよい。繊維マットの含水率の下限は特に設定されないが、5重量%以下にまで含水率を下げる必要はない。このように繊維マットを乾燥して含水率を低下させた後に、熱硬化性接着剤を含浸することによって、ケナフ繊維内に樹脂分を効率良く浸透させることができ、寸法安定性の高い繊維ボードを得ることができるものである。
上記のように繊維マットに熱硬化性樹脂を含浸させた後、乾燥させることによって所定の含水率となるように調整する。乾燥は繊維マットに常温風や熱風を送風したり、繊維マットを加熱炉に導入して加熱したりすることによって行なうことができるものであり、繊維マット中の水分が15重量%以下になるように乾燥を行なうのが望ましい。そしてこの後に、繊維マットを加熱加圧成形して熱硬化性接着剤を硬化させることによって、繊維ボードを作製することができるものである。加熱加圧成形の条件は、特に限定されるものではないが、温度120〜190℃、圧力1〜4MPaの範囲が好ましく、時間については板厚や加熱温度に応じて適宜設定されるものである。
本発明において、上記のようにして得た繊維ボードの密度は600〜900kg/m、より好ましくは700〜850kg/mに設定されるものである。このような密度の設定は、繊維ボードの作製時において熱硬化性接着剤の含有量を調整することや、繊維マットの面重量の調整等によって行なうことができる。繊維ボードの密度が上記の範囲より小さいと、繊維ボードにおける空隙の割合が増加することにより、透湿抵抗が小さくなって透湿性が高くなる反面、ケナフ繊維同士の絡み合いが繊維ボードの強度向上に十分に寄与しなくなる。このような繊維ボードは透湿性はあるものの強度がないので、壁材等として用いるのは不適当である。逆に繊維ボードの密度が上記の範囲より大きいと、繊維ボードにおける空隙の割合が減少することにより、ケナフ繊維同士の絡み合いが繊維ボードの強度向上に寄与する反面、透湿抵抗が大きくなって透湿性が低くなる。このような繊維ボードは強度はあるものの透湿性が不十分であり、結露を生じさせやすいので、壁材等として用いるのは不適当である。ちなみに、アブラヤシ繊維は、繊維径が太いものであるため、透湿性と強度の両者を満足するボードを得ることができない。また床材に用いた場合には、アブラヤシ繊維等の繊維径が太いものであれば、キャスターの耐久性に要求される表面硬度を満足するボードを得ることができない。
既述のように本発明に係る繊維ボードは、所定のケナフ繊維を集合させた繊維マットに熱硬化性接着剤を含浸させることによって、密度が600〜900kg/mとなるように作製されているので、高い透湿性を有しながら、強度を十分に高めることができるものである。そのため、住宅等の壁を形成する壁材として上記繊維ボードを利用することができるほか、壁材と同様に透湿性及び強度が要求される床材、天井材、下地材等の建築材料として利用することもできるものである。
特に、密度が700〜850kg/mである繊維ボードは、密度が700kg/mより小さい繊維ボードに比べて強度がさらに高く、密度が850kg/mより大きい繊維ボードに比べて透湿性がさらに高いものであり、透湿性と強度のバランスを一層良好に保つことができるものである。
ここで、本発明においてケナフ繊維としては、長さの標準偏差が20mm以下で且つ径の標準偏差が50μm以下のものを用いるのが好ましい。長さのばらつきが大きいケナフ繊維や、繊維径のばらつきが大きいケナフ繊維を用いると、上記のような透湿性や強度等の特性が安定しないが、このように長さの標準偏差が20mm以下で且つ径の標準偏差が50μm以下のケナフ繊維は、繊維長さや繊維径のばらつきが小さく、透湿性や強度等の特性が安定した繊維ボードを容易に得ることができるものである。ケナフ繊維は長さや径の標準偏差は小さければ小さいほど好ましいのはいうまでもない。
図3(a)と(b)は、ケナフ長繊維束の開繊処理及び繊維マット形成を、2種類の装置を用いて行なったときの、繊維径と長さの関係を示すグラフであり、表1の(a)と(b)はこのケナフ繊維の繊維径と長さを測定したデータを示す。これらのケナフ繊維は長さの標準偏差が20mm以下で且つ径の標準偏差が50μm以下であり、本発明において用いて好ましいものである。
Figure 0004085961
また本発明において、ケナフ繊維を接着する熱硬化性接着剤としては、フェノール樹脂のなかでも、水溶性のレゾール型フェノール樹脂を用いるのが好ましいものであり、レゾール型フェノール樹脂は次のようにして調製することができる。すなわち、蒸留したフェノールと、ホルムアルデヒド水溶液と、アルカリ触媒とを秤量して反応容器にとり、オイルバスなどで加熱しながら攪拌することによって反応させ、硫酸を適量加えてpH調整することによって、過剰のアルカリ触媒を中和して沈殿させる。この後に、アスピレータで減圧しながら蒸留・脱水することによって、不揮発成分(樹脂成分)の重量比が50%程度のフェノール樹脂水溶液を得ることができるものであり、これを接着剤として使用することができるものである。
上記のアルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア、アミン類などを用いることができるものであり、また反応条件は、温度条件が60〜95℃の範囲、反応時間が数十分から2時間程度の範囲が一般的である。そしてレゾール型フェノール樹脂は、フェノール、モノメチロールフェノール、ジメチロールフェノール、トリメチロールフェノールなどの単量体と、これらの単量体が2以上結合した多量体の混合物として調製されるものである。このようにフェノール樹脂は、分子量が90以上、200未満の単量体と、分子量が200以上、2000以下の多量体を含有しており、フェノール樹脂の分子量分布は例えば図2に示すような分布になっている。そして上記のようにフェノール樹脂を調製する際に、反応条件を制御したり、フェノールとアルデヒドのモル比を制御したり、アルカリ触媒の種類や量を選定したりすることによって、粘度の異なる様々な分子量をもつフェノール樹脂を得ることができるものであり、フェノール樹脂の分子量分布を自在に制御することができるものである。
そして本発明では、フェノール樹脂接着剤として、樹脂成分において、分子量90〜200の単量体を10〜40重量%と、分子量200〜2000の多量体を60〜90重量%含み(両者の合計100重量%)、平均分子量(重量平均分子量:Mw)が400〜700になるように調整したフェノール樹脂を用いるのが好ましい。単量体は分子サイズが小さいので、ケナフ繊維1内への浸透性が高く、図1(b)のように単量体mは主としてケナフ繊維1内に浸透し、また多量体は分子サイズが大きいので、ケナフ繊維1内への浸透性が低く、図1(c)のように多量体pは主としてケナフ繊維1の表面に付着する。従って、成形工程でフェノール樹脂接着剤を硬化させると、単量体はケナフ繊維1の内部で硬化し、繊維ボードが吸水してもケナフ繊維1内への水分の吸収が抑制され、水分の吸収によるケナフ繊維1の膨潤、変形を抑制して、繊維ボードの寸法安定性を高めることができるものである。また多量体はケナフ繊維1の表面で硬化し、ケナフ繊維1同士を強固に接着・結合させることができ、繊維ボードの剥離強度を高めることができるものである。このようにして、寸法安定性に優れると共に高い剥離強度を有する繊維ボードを得ることができるものである。
フェノール樹脂中の単量体の含有量が10重量%未満で、多量体の含有量が90重量%を超えると、ケナフ繊維1の内部へ浸透する樹脂分の量が少なくなって、寸法安定性が不十分になり、またフェノール樹脂中の単量体の含有量が40重量%を超え、多量体の含有量が60重量%を未満であると、ケナフ繊維1の表面に付着する樹脂分の量が少なくなって、繊維ボードの剥離強度が不十分になる。さらに、フェノール樹脂の平均分子量が400未満であると、ケナフ繊維1の表面に付着する樹脂分の量が少なくなって、繊維ボードの剥離強度が不十分になり、またフェノール樹脂の平均分子量が700を超えると、ケナフ繊維1の内部へ浸透する樹脂分の量が少なくなって、寸法安定性が不十分になる。従って、寸法安定性と剥離強度の両方の特性を高く得るには、単量体や多量体の含有率、平均分子量が上記の範囲であるフェノール樹脂を用いる必要がある。
また、ケナフ繊維を接着する熱硬化性接着剤としては、pHが10以下のものが好ましい。表2及び図4(a)はフェノール樹脂接着剤のpHと繊維ボードの剥離強度との関係を示すものであり、また表2及び図4(b)はフェノール樹脂接着剤のpHと繊維ボードの厚さ膨潤率との関係を示すものであり、熱硬化性接着剤としてpHが10以下のものを用いることによって、剥離強度が高く、厚さ膨潤率が小さい繊維ボードを得ることができるものである。pHの下限は特に設定されるものではないが、実用的にはpH8程度が下限である。尚、厚さ膨潤率の測定は、JIS A 5905(繊維板)で規定された方法に準拠して行なった。
Figure 0004085961
また、ケナフ繊維を接着する熱硬化性接着剤としては、遊離フェノールの含有率が3重量%以下のものが好ましく、また遊離ホルムアルデヒドの含有率が0.07重量%以下のものが好ましい。
フェノール樹脂はフェノールとホルムアルデヒドを原料として合成することができるが、この合成時に、反応時間、反応温度、反応速度等を制御することによって、遊離フェノールの含有率が低いフェノール樹脂からなる熱硬化性接着剤を得ることができるものである。そして図5(a)は熱硬化性接着剤中の遊離フェノールの含有率と、この熱硬化性接着剤を用いて作製した繊維ボード中のフェノールの残存率との関係を示すものであり、熱硬化性接着剤中の遊離フェノールの含有率が3重量%以下であると、繊維ボード中の残存フェノール量が少なくなっており、繊維ボード成形の後に臭気の大きな原因になる残存フェノールを低減することができる。従って、繊維ボードを成形した後に、特に処理等を行なう必要なく、ボード物性を維持したまま、臭気を低減することができるものである。熱硬化性接着剤中の遊離フェノールの含有率はより小さいことが望ましく、0%であることが理想的である。
また同様に反応時間、反応温度、反応速度等を制御することによって、遊離ホルムアルデヒドの含有率が低いフェノール樹脂からなる熱硬化性接着剤を得ることができる。そして図5(b)は熱硬化性接着剤中の遊離ホルムアルデヒドの含有率と、この熱硬化性接着剤を用いて作製した繊維ボードからのホルムアルデヒド放散量との関係を示すものであり、熱硬化性接着剤中の遊離ホルムアルデヒドの含有率が0.07重量%以下であると、繊維ボードからのホルムアルデヒドの放散量が少なくなっており、シックハウス症候群の大きな原因となるホルムアルデヒドの放散を低減することができる。従って、繊維ボードを成形した後に、特に処理等を行なう必要なく、ボード物性を維持したまま、低ホルムアルデヒドレベルを達成することができるものである。熱硬化性接着剤中の遊離ホルムアルデヒドの含有率はより小さいことが望ましく、0%であることが理想的である。
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。尚、分子量の測定は、東ソー社製GPC測定装置「HLC802A」を用いて、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により行なった。このとき、分子量測定に用いる接着剤溶液をTHF溶液で溶解後、フィルターで濾過して分析に用い、分子量計算はポリエチレン換算で行ない、重量平均値を接着剤の分子量とした。
(実施例1)
ケナフの茎の靭皮部から得られる長繊維束(幅:1〜2cm、長さ:2〜4m)を機械的に解繊処理することによって、平均長さが25mm及び平均径が100μmであるケナフ繊維(繊維長の標準偏差16mm、繊維径の標準偏差41μm)を得た。次にこのケナフ繊維を積層し、ニードルパンチングすることによって繊維マットを得た。次にこの繊維マットをフェノール樹脂接着剤中に浸漬した後、絞りローラーに通して絞ることによって、フェノール樹脂接着剤の含有量が25質量%となるように調整した。ここで、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量584、分子量の範囲が90〜190の単量体と分子量の範囲が200〜2000の多量体の重量比率が30:70のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分比率50重量%、pH9.0、遊離フェノール1.4重量%、遊離ホルムアルデヒド0.06重量%)を用いた。
次にフェノール樹脂接着剤を含有する繊維マットを80℃で、含水率が約10重量%となるように乾燥した。この後、この繊維マットを170℃、3MPa、4分間の条件で加熱加圧成形し、厚さ4mmのケナフ繊維ボードを得た。このケナフ繊維ボードの密度は600kg/mであった。
(実施例2)
ケナフ繊維ボードの密度を750kg/mとした他は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
ケナフ繊維ボードの密度を800kg/mとした他は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
ケナフ繊維ボードの密度を850kg/mとした他は、実施例1と同様にした。
(実施例5)
ケナフ繊維ボードの密度を900kg/mとした他は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
ケナフ繊維ボードの密度を500kg/mとした他は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
ケナフ繊維ボードの密度を1000kg/mとした他は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
厚さ4mm、密度550kg/mの市販の合板(ラワン合板)を用いた。
そして、上記の実施例1〜5及び比較例1、2のケナフ繊維ボード並びに比較例3の合板を試料として、透湿抵抗及び曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
なお、透湿抵抗の測定は、JIS A 1324(建築材料の透湿性測定方法)に示すカップ法に基づいて行った。すなわち、直径30cmの透湿カップ内に塩化カルシウムを入れた後に、このカップを試料で密閉することによって、試料の取付けを行った。次に、試料を取り付けたカップを温度23℃、相対湿度50%に設定した恒温恒湿槽内に置き、所定の時間間隔でカップを取り出して、カップの質量増加を測定し、試料の透湿量を求めた。そして、次の式から透湿抵抗を算出した。
Zp=(P−P)×A/G
ここに、Zp:透湿抵抗[(m・s・Pa)/ng]{(m・h・mmHg)/g}、G:透湿量(ng/s){g/h}、A:透湿面積(0.0625m)、P:恒温恒湿槽内の空気の水蒸気圧(Pa){mmHg}、P:透湿カップ内の空気の水蒸気圧(0Pa){0mmHg}である。
一方、曲げ強度は、JIS A 5905(繊維板)に基づく曲げ強さ試験を行うことによって測定した。
Figure 0004085961
表3にみられるように、実施例1〜5について、透湿抵抗はたかだか5376(m・s・Pa)/ngであり、また、曲げ強度は最低でも48MPaであることから、実施例1〜5のケナフ繊維ボードはいずれも透湿性及び強度が高いものであることが確認される。
一方、所定のケナフ繊維を用いても、比較例1のケナフ繊維ボードのように密度が600kg/m3を下回ると曲げ強度が著しく低くなり、比較例2のケナフ繊維ボードのように密度が900kg/mを上回ると透湿抵抗が著しく高くなり、透湿抵抗と強度のバランスがとれなくなることが確認される。また、比較例3の市販の合板では、透湿抵抗も強度も十分に得ることができないことが確認される。
(実施例6)
平均繊維長さ25mm、平均繊維径100μmのケナフ繊維(繊維長の標準偏差16mm、繊維径の標準偏差41μm)を集合させてマット面重量が0.94g/cmの繊維マットを作製した。この繊維マットの含水率を測定したところ、25重量%であった。
そして接着剤塗布工程において、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量498、分子量の範囲が90〜190の単量体と分子量の範囲が200〜2000の多量体の重量比率が40:60のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分比率50重量%、pH9.0、遊離フェノール1.4重量%、遊離ホルムアルデヒド0.06重量%)を用い、フェノール樹脂接着剤に繊維マットを10秒間浸漬した後、絞りローラに繊維マットを通すことによって、繊維マットにフェノール樹脂接着剤を、フェノール樹脂成分の含有率が25重量%になるように付着させた。
次に、接着剤乾燥工程において、上記の接着剤を塗布した繊維マットに50℃の乾燥空気を送風することによって、繊維マット中の水分量が10重量%になるように乾燥を行なった。
次に、成形工程において、上記の乾燥した繊維マットを3層重ねた後、成形温度170℃、成形圧力3MPa、時間3.5分の条件で加熱加圧成形をすることによって、厚さ4mm、ボード密度750kg/mのケナフ繊維ボードを得た。
(実施例7)
接着剤塗布工程において、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量560、分子量の範囲が90〜190の単量体と分子量の範囲が200〜2000の多量体の重量比率が30:70のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分50重量%、pH9.0、遊離フェノール1.4重量%、遊離ホルムアルデヒド0.06重量%)を用いるようにした他は、実施例6と同様にしてケナフ繊維ボードを得た。
(実施例8)
接着剤塗布工程において、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量640、分子量の範囲が90〜190の単量体と分子量の範囲が200〜2000の多量体の重量比率が20:80のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分52重量%、pH9.0、遊離フェノール1.4重量%、遊離ホルムアルデヒド0.06重量%)を用いるようにした他は、実施例6と同様にしてケナフ繊維ボードを得た。
(実施例9)
繊維マットをまず繊維マット乾燥工程で含水率が13重量%になるように乾燥した。このように乾燥した繊維マットを用い、後は実施例8と同様にしてケナフ繊維ボードを得た。
比較例4
接着剤塗布工程において、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量360、分子量の範囲が200〜650の多量体が100%のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分47重量%、pH9.0、遊離フェノール1.0重量%、遊離ホルムアルデヒド0.05重量%)を用いるようにした他は、実施例6と同様にしてケナフ繊維ボードを得た。
比較例5
接着剤塗布工程において、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量605、分子量の範囲が200〜1000の多量体が100%のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分52重量%、pH9.0、遊離フェノール1.0重量%、遊離ホルムアルデヒド0.05重量%)を用いるようにした他は、実施例6と同様にしてケナフ繊維ボードを得た。
比較例6
接着剤塗布工程において、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量1010、分子量の範囲が200〜2000の多量体が100%のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分53重量%、pH9.5、遊離フェノール2.7重量%、遊離ホルムアルデヒド0.06重量%)を用いるようにした他は、実施例6と同様にしてケナフ繊維ボードを得た。
比較例7
接着剤塗布工程において、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量450、分子量の範囲が90〜190の単量体と分子量の範囲が200〜1000の多量体の重量比率が60:40のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分47重量%、pH9.0、遊離フェノール1.0重量%、遊離ホルムアルデヒド0.05重量%)を用いるようにした他は、実施例6と同様にしてケナフ繊維ボードを得た。
比較例8
接着剤塗布工程において、フェノール樹脂接着剤として、重量平均分子量690、分子量の範囲が90〜190の単量体と分子量の範囲が200〜2000の多量体の重量比率が3:97のレゾール型フェノール樹脂接着剤(樹脂成分52重量%、pH9.5、遊離フェノール2.7重量%、遊離ホルムアルデヒド0.06重量%)を用いるようにした他は、実施例6と同様にしてケナフ繊維ボードを得た。
上記の実施例6〜9及び比較例4〜8で作製したケナフ繊維ボードについて、JIS A 5905(繊維板)で規定された方法に準拠し、吸水厚さ膨張率及び剥離強さの試験を行なった。その結果を表4に示す。
Figure 0004085961
表4にみられるように、実施例6〜9のものはいずれも、吸水厚さ膨張率が小さく、寸法安定性に優れていると共に、剥離強さが高いことが確認される。
(a)はケナフ繊維の断面模式図、(b)はフェノール樹脂の単量体成分の浸透状態を示すケナフ繊維の断面模式図、(c)はフェノール樹脂の多量体成分の付着状態を示すケナフ繊維の断面模式図である。 フェノール樹脂の分子量分布の一例を示すグラフである。 ケナフ繊維の繊維径と繊維長の関係を示すグラフである。 (a)はフェノール樹脂接着剤のpHと繊維ボードの剥離強度の関係を示すグラフ、(b)はフェノール樹脂接着剤のpHと繊維ボードの厚さ膨潤率の関係を示すグラフである。 (a)はフェノール樹脂接着剤中の遊離フェノールの含有率と繊維ボードの残存フェノールの関係を示すグラフ、(a)はフェノール樹脂接着剤中の遊離ホルムアルデヒドの含有率と繊維ボードからのホルムアルデヒド放散量の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 ケナフ繊維
m フェノール樹脂の単量体成分
p フェノール樹脂の多量体成分

Claims (3)

  1. ケナフを解繊して得られるケナフ繊維を熱硬化性接着剤で接着して作製される繊維ボードであって、ケナフ繊維として平均長さが10〜200mm及び平均径が10〜300μmであるものを用い、このケナフ繊維を集合させた繊維マットに熱硬化性接着剤を含浸させることによって、密度が600〜900kg/mとなるように作製され、熱硬化性接着剤が、単量体を10〜40重量%と、分子量200〜2000の多量体を60〜90重量%含み、平均分子量が400〜700のフェノール樹脂であることを特徴とする繊維ボード。
  2. 熱硬化性接着剤のpHが、10以下であることを特徴とする請求項1に記載の繊維ボード。
  3. ケナフ繊維として長さの標準偏差が20mm以下で且つ径の標準偏差が50μm以下のものを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維ボード。
JP2003390637A 2003-03-31 2003-11-20 繊維ボード Expired - Fee Related JP4085961B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003390637A JP4085961B2 (ja) 2003-03-31 2003-11-20 繊維ボード

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003096844 2003-03-31
JP2003096846 2003-03-31
JP2003390637A JP4085961B2 (ja) 2003-03-31 2003-11-20 繊維ボード

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004314592A JP2004314592A (ja) 2004-11-11
JP4085961B2 true JP4085961B2 (ja) 2008-05-14

Family

ID=33479634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003390637A Expired - Fee Related JP4085961B2 (ja) 2003-03-31 2003-11-20 繊維ボード

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4085961B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006328828A (ja) * 2005-05-26 2006-12-07 Matsushita Electric Works Ltd 断熱パネル、壁パネル、外壁構造
AU2007236956B2 (en) 2006-03-31 2012-08-16 Kuraray Co., Ltd. Molded object having nonwoven fibrous structure
JP5043544B2 (ja) * 2007-07-23 2012-10-10 パナソニック株式会社 植物繊維ボード
CN102574300B (zh) * 2009-10-29 2015-04-29 株式会社吴羽 预成型体或成型绝热材料的制造方法、以及预成型体或成型绝热材料
JP5426480B2 (ja) * 2010-05-25 2014-02-26 パナソニック株式会社 長繊維板とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004314592A (ja) 2004-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8034416B2 (en) Method for making mold-and moisture-resistant gypsum boards
JP5691182B2 (ja) 無機繊維マットの製造方法
JP4351109B2 (ja) 無機繊維マット
JP4085961B2 (ja) 繊維ボード
Bliem et al. Influence of drying and curing parameters on phenol-formaldehyde impregnated wood veneers
US6287677B1 (en) Carbon fiber prepeg for wood reinforcement, wooden sheet laminated therewith, wood reinforcing composite comprising carbon fibers and the wooden sheet, and carbon fiber reinforced wood
KR20100056990A (ko) 친환경적인 습식 경질 섬유판
US7157138B2 (en) Fiber board
JP4121101B2 (ja) 木材用補強材及び強化木材
JP4085962B2 (ja) 繊維ボードの製造方法
JP4085582B2 (ja) 繊維板の製造方法
KR101060521B1 (ko) 유리장섬유를 이용한 발수성 보온단열재의 제조방법 및 그 제조방법에 의해 제조된 발수성 보온단열재
US7045027B2 (en) Method of producing a fiber board
JP3150901B2 (ja) 木材強化用炭素繊維プリプレグおよび炭素繊維強化木材
JP3674886B2 (ja) 電磁波シールド性を有し且つ機械的特性に優れた木質系複合材料
JP5255826B2 (ja) 調湿パネル
JP2013123904A (ja) パーティクルボード
JP2005324421A (ja) 繊維板の製造方法
JPH04363240A (ja) フェノール樹脂積層板およびその製造方法
JP7426572B2 (ja) バインダー組成物及びミネラルウール
CN116572336B (zh) 一种竹木板材改性剂及其制备方法和应用
El‐Naggar et al. Control of resin release from particleboards by gamma irradiation. I. Thermal decomposition behavior and structure morphology
JP2000280209A (ja) 木質繊維板及び製造法
JPH09254319A (ja) 木材強化用炭素繊維プリプレグ貼付木質シートおよび木材強化用炭素繊維複合木質シ−トおよび炭素繊維強化木材
JP7015632B2 (ja) 集成材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071009

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080211

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120229

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130228

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130228

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140228

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees