JP5043544B2 - 植物繊維ボード - Google Patents

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Description

本発明は、植物繊維ボードに関するものである。
高気密住宅の普及に伴い、室内環境、特にシックハウスに対する関心が高まっている。現在、住宅内装材として多く用いられているクロス、木質系ボード、無機系ボードや家具、電気器具など様々なものから放出されるホルムアルデヒド、トルエンなどの揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:VOC)が健康障害や不快な臭気の原因となっており、問題となっている。
このような現状から、酸化チタン等のように酸化反応の光触媒活性が高い材料などの、VOC分解性の高い材料(VOC分解成分)への関心が高まっている。従来、このようなVOC分解成分を合板等の木質系ボードや無機系ボードの表面に塗布し、あるいはバインダーによりボード材の内部にVOC分解成分を接着させて含有させることでVOCを分解する機能を付与した内装材が提案されている(特許文献1、2参照)。
また、バインダーの代わりに、木質繊維の自己接着力や、粘土を用いることによって、VOC分解成分をボード材の内部に含有させた内装材も提案されている(特許文献3、4参照)。
特開2007−092335号公報 特開2003−245910号公報 特開2003−313362号公報 特開2005−104124号公報
しかしながら、VOC分解成分をボード材の表面に塗布する場合、ボード材の表面にVOC分解成分が露出しているため、時間の経過と共にVOC分解成分が剥がれてしまい、VOC分解性が低いという問題があった。
また、VOC分解成分をバインダーによりボード材の内部に接着させて含有させる場合、バインダーによってVOC分解成分が覆われるため、VOC分解成分までVOCが到達することを阻害しVOC分解性が低下するという問題があった。
また、バインダーの代わりに、木質繊維の自己接着力や、粘土を用いる場合、バインダーを用いていないためボードの強度が低いという問題があり、さらにボードの製造が難しくなるという問題があった。
さらに、合板、MDF、パーティクルボードなどの一般に使用されている木質系繊維ボード内にVOC分解成分を含有させても、木質系繊維ボード自体の通気性が低いため、VOCがボード内のVOC分解成分まで到達することを阻害しVOC分解性が低いという問題があった。
そこで、持続的にVOC分解性を維持することができ、さらに内装材として十分な強度を有するボードが求められている。
また、合板等の木質系ボードや無機系ボードでは接着剤が用いられており、その接着剤から放散されるVOCに起因する室内環境悪化のおそれがあるため、自身がVOCを放散しないボードが求められている。
本発明は以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、高いVOC分解性を有し、自身がVOCを放散することがなく、VOC分解性を持続的に維持することができ、さらに内装材として十分な強度を有する植物繊維ボードを提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の植物繊維ボードは、植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、バインダーを含有する複数の植物繊維マット間に、揮発性有機化合物(VOC)分解成分を含有するVOC分解成分層を挟み込み、プレス成形して得られたものであり、ボード密度が600〜2000kg/mであることを特徴とする。
第2に、上記第1の植物繊維ボードにおいて、前記VOC分解成分の含有量は、ボードの単位面積当たりの重量が1〜200g/m であることを特徴とする。
第3に、上記第1または第2の植物繊維ボードにおいて、ボード内にVOC吸着成分を含有していることを特徴とする。
第4に、上記第1ないし第3のいずれかの植物繊維ボードにおいて、VOC分解成分は、リン酸チタニア、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛;アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、またはシリカゲルに触媒作用のある金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、またはオスミウムを担持した貴金属担持体;銅、鉄、ニッケル、コバルト、または亜鉛のフタロシアニン錯体;または金であり、これらより選ばれる少なくも1種のVOC分解成分をボード内に含有していることを特徴とする。
第5に、上記第1ないし第3のいずれかの植物繊維ボードにおいて、VOC分解成分は、酸化チタンであることを特徴とする。
上記第1の発明によれば、基材であるリグノセルロース繊維は相互に絡み合ってボードを構成するため、それにより必然的に生じるボード内と表面の空隙から空気中のVOCが入り込み、ボード内のVOC分解成分によって分解される。このように、通気性に優れた植物繊維ボード内にVOC分解成分を含有させているので、本発明の植物繊維ボードは高いVOC分解性を有している。
また、本発明の植物繊維ボードは高いVOC分解性を有しているので、バインダーとしてVOCを放散するものを用いた場合であっても、バインダーから放散されたVOCをVOC分解成分によってボード内で分解することができ、自身がVOCを放散することがない。
また、VOC分解成分がボード内に保持されているため、剥離などを起こすことがなく、VOC分解性を持続的に維持することができる。
また、ボード密度を特定の範囲内としているので、高いVOC分解性を有していると共に、内装材として十分な強度を有している。
さらに、の発明によれば、バインダーを含有させた複数の植物繊維マット間にVOC分解成分を挟み込む構成としたので、VOC分解成分は、バインダーが形成する膜がその表面を覆うことなくボード内に保持される。したがって、VOC分解成分の分解能力がバインダーにより阻害されることなく、VOC分解成分の分解能力を最大限に発揮させることができるため、VOC分解性をさらに向上させることができる。また、第2の発明によれば、VOC分解性を確実に発揮することができる。
上記第3の発明によれば、ボード内にVOC吸着成分を含有させているので、空気中のVOCがボード内の空隙に入り込み、まずボード内のVOC吸着成分に吸着される。ボード内にVOC吸着成分のみ含有している場合では、VOCは吸着されるものの分解されず、時間の経過と共にVOCは空気中に放出される。しかし本発明では、ボード内に、VOC吸着成分をVOC分解成分と共に含有させているので、VOC吸着成分に吸着されたVOCは、徐々に放出されながら、VOC分解成分によって分解される。そのため、上記第1および第2の発明の効果に加え、VOC分解性をさらに向上させることができる。
上記第4の発明によれば、空気触媒、無光触媒、または常温触媒に分類される、VOCを水と二酸化炭素に分解する特定の触媒をVOC分解成分として用いたので、これらのVOC分解成分は光エネルギーを要せずにVOC分解反応を促進することができる。そのため、ボード表面でなくボード内に含有されていても、これらのVOC分解成分は、ボード内に入り込んだVOCを効率良く分解することができる。したがって、上記第1ないし第3の発明の効果に加え、VOC分解性をさらに向上させることができる。さらに、ボードの製造時において加熱により成形する際に、VOC分解成分が熱により活性化されて、加熱成形時に被成形物から発生するVOCを効率良く分解し、臭気を低減させることができる。
上記第5の発明によれば、VOC分解成分として、VOCを水と二酸化炭素に分解する反応を高い活性で促進する触媒である酸化チタンを用いたので、上記第1ないし第3の発明の効果に加え、VOC分解性をさらに向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、リグノセルロース繊維としては、その主成分がセルロースとリグニンからなるものを用いることができる。その具体例としては、ケナフ、亜麻、ラミー、大麻、ジュート等の麻類植物の靭皮から採取される繊維、マニラ麻やサイザル麻等の麻類植物の茎または葉の筋から採取される繊維、木材繊維などが挙げられる。これらの繊維は、セルロースとリグニンのほか、ヘミセルロースやペクチン等の成分を含有している。
上記のリグノセルロース繊維のうち、麻類植物の繊維は、結晶性で強度の高いセルロースの比率が60%以上と木材繊維の30〜50%よりも高く、繊維としての強度が高い。また、レッティングと呼ばれる浸水処理および物理的な解繊処理により、長さが10mm以上、直径が10〜300μmの繊維をこれらの植物から容易に得ることができる。
本発明で用いるリグノセルロース繊維の長さは、好ましくは10mm以上、より好ましくは10〜200mmである。リグノセルロース繊維の長さを10mm以上とすることで、繊維同士の絡み合いによる接着点が多くなるためボードの強度を高めることができ、リグノセルロース繊維の長さが200mmより長いと、後述する植物繊維マットを均一な構造となるように作製するのが困難となり、加熱加圧成形により得られる植物繊維ボードの密度のバラツキが大きくなることによって、強度面において欠陥となる部分が生じるおそれがある。
本発明で用いるリグノセルロース繊維の処理や形状については、上記の浸水処理および物理的な解繊処理で得られる繊維が用いられるほか、たとえば繊維状のものや紡糸処理により糸状にされたものを用いることができる。また、リグノセルロース繊維をシート状、不織布、あるいは織布に加工したものを用いてもよい。
本発明で用いられるバインダーは、特に制限はないが、その具体例としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール・エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂接着剤、酢酸ビニル系接着剤、合成ゴム系接着剤、ポリ乳酸やデンプン系樹脂のエマルジョン接着剤などが挙げられる。
基材であるリグノセルロース繊維にバインダーを含有させる方法としては、たとえば、バインダーをリグノセルロース繊維にスプレーする方法、バインダー中にリグノセルロース繊維を含浸する方法などが挙げられる。
本発明の植物繊維ボードにおけるバインダーの含有量は、バインダーの不揮発分重量がリグノセルロース繊維重量に対して5〜40%である量が好ましい。バインダーの不揮発分重量が5%未満であると、リグノセルロース繊維同士の接着点が減少し、ボードとしての強度が低下する場合がある。バインダーの不揮発分重量が40%を超えると、ボード内およびボード表面に生じる空隙がバインダーにより充填されてボードの通気性が低下し、VOC分解性が低下する場合がある。
本発明で用いられるVOC分解成分は、VOC分解性を有する材料であれば特に制限はないが、たとえば、空気触媒、無光触媒、常温触媒、光触媒に分類されるものを用いることができる。空気触媒、無光触媒、常温触媒に分類されるものの具体例としては、リン酸チタニア、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛;アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、またはシリカゲルに触媒作用のある金 (Au)、銀 (Ag)、白金 (Pt)、パラジウム (Pd)、ロジウム (Rh)、イリジウム (Ir)、ルテニウム (Ru)、またはオスミウム (Os) を担持した貴金属担持体;銅、鉄、ニッケル、コバルト、または亜鉛のフタロシアニン錯体;または金などが挙げられる。光触媒に分類されるものの具体例としては、酸化チタンなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のVOC分解成分のうち、空気触媒、無光触媒、常温触媒は、微弱な光または光以外の熱などのエネルギーによって作用する触媒であり、その詳細な触媒機構は現状では明らかではないが、VOCを水と二酸化炭素に分解する反応を促進する。
また、酸化チタンなどの光触媒は、光エネルギーによって作用する触媒であり、VOCが触媒に接触することで、VOCを水と二酸化炭素に分解する反応を促進する。
本発明の植物繊維ボードにおけるVOC分解成分の含有量は、VOC分解成分の種類やそのVOC分解能力等に応じて適宜に設定されるが、ボードに成形したときの単位面積あたりの重量が1〜200g/mである量が好ましい。VOC分解成分の含有量が1g/m未満であると、VOC分解性が低下する場合がある。VOC分解成分の含有量が200g/mを超えると、ボード内およびボード表面に生じる空隙がVOC分解成分により充填されてボードの通気性が低下し、VOC分解性が低下する場合がある。また、リグノセルロース繊維同士の接着点が減少するためボードとしての強度が低下し、さらにボード内からVOC分解成分がこぼれて脱離してしまう場合がある。
ボード内にVOC分解成分を含有させる方法としては、たとえば、VOC分解成分を分散した液状のバインダーをリグノセルロース繊維にスプレーまたは含浸する方法、VOC分解成分をリグノセルロース繊維に分散した後、バインダーを含有させる方法、リグノセルロース繊維、バインダー、およびVOC分解成分を同時に混合する方法などが挙げられる。
本発明で用いられるVOC吸着成分は、VOC吸着性を有する材料であれば特に制限はないが、その具体例としては、木炭、竹炭等の炭類、タルク、ゼオライト、珪藻土、シリカゲル、モンモリロナイト、セピオライト等の粘土鉱物、アルミナ、シリカ等の無機物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのVOC吸着成分は多孔質の材料であり、その表面にVOCが吸着する。
ボード内にVOC吸着成分を含有させる方法は、上記VOC分解成分と同様である。従って、以下、省略する。
本発明の植物繊維ボードは、たとえば、リグノセルロース繊維にバインダーを含有させ、そしてVOC分解成分をバインダーと共にリグノセルロース繊維に含有させるか、あるいはバインダーを含有させたリグノセルロース繊維からなる複数の植物繊維マット間にVOC分解成分を含有させて挟み込んだ後、プレス成形することにより形成することができる。プレス成形の条件は、バインダーの種類やボード厚さなどにより適宜に設定される。
本発明において、以上のようにして得られた植物繊維ボードにおけるボード密度は600〜2000kg/m、好ましくは600〜1500kg/m、より好ましくは800〜1200kg/mである。ボード密度が600kg/m未満であると、リグノセルロース繊維とバインダーとの結合が弱くなり、強度等の良好な特性を得ることが困難となる。また、ボード内からVOC分解成分がこぼれて脱離してしまう場合がある。ボード密度が2000kg/mを超えると、ボード内の空隙の割合が小さくなり、VOC分解性が低下する。
本発明の植物繊維ボードは、基材であるリグノセルロース繊維が相互に絡み合ってボードを構成しているため、必然的にボード内およびボード表面に空隙が生じる。図1は、本発明の植物繊維ボード内における空隙の状態を説明する模式図であり、植物繊維ボードを厚さ方向に薄くスライスしたものを示している。図示したように、リグノセルロース繊維1が相互に絡み合い、それらの間に空隙2が生じる。本発明の植物繊維ボードはこの構造が厚さ方向に連続した構成とされており、ボード内にVOC分解成分を含有させると、ボードの空隙2から空気中のVOCが入り込み、ボード内のVOC分解成分によって分解される。
このように本発明では、通気性に優れた植物繊維ボード内にVOC分解成分を含有させることで、高いVOC分解性を実現している。また、VOC分解成分はボード内に保持されているため、剥離などを起こすことはなく、持続的にVOC分解性を維持することができる。
本発明における好ましい実施形態では、植物繊維ボードは、リグノセルロース繊維を基材としバインダーを含有した複数の植物繊維マット間に、VOC分解成分を含有させて挟み込み、次いでプレス成形して得られたものである。すなわちこの実施形態では、図2に示すように、バインダーを含有させた植物繊維マット3の上に、VOC分解成分4を振り撒き等の方法により均一に分散させ、次いで、バインダーを含有させた別の植物繊維マット5によって、植物繊維マット3の上に分散しているVOC分解成分4を上から挟み込み、これをプレス成形する。
これにより、図3の断面図に示すように、バインダーを含有した植物繊維層6の間にVOC分解成分層7が挟み込まれた構造を有する植物繊維ボードが形成される。このような構造を有するこの実施形態の植物繊維ボードによれば、バインダーが形成する膜がVOC分解成分4の表面を覆うことなくVOC分解成分4をボード内に保持することができ、VOC分解性をより高めることができる。
図3では、2つの植物繊維層6の間にVOC分解成分層7が挟み込まれた構造を有する植物繊維ボードを例示したが、これらの層の積層数はこれに限らず、さらに積層数を増やした構成としてもよい。図4はその一例を示す断面図であり、4つの植物繊維層6のそれぞれの間にVOC分解成分層7が挟み込まれた構造としている。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
ポリ乳酸エマルジョン(ミヨシ油脂(株)「PL−1000」)にリン酸チタニアを混合した液に、ケナフ茎部の外皮部分となる靱皮から得られたケナフ繊維束(平均長さ40mm、平均径82μm)を用いて作製した植物繊維マット(単位面積あたりの重量700g/m)を含浸し、乾燥した時の重量比率が植物繊維マット:ポリ乳酸の不揮発分:リン酸チタニア=700:175:30となるように絞りによって調整した。リン酸チタニアは粒径2〜20μmのものを用いた。
この含浸した植物繊維マットを乾燥器にて100℃で10分乾燥した後、2枚を重ねて金型温度170℃、圧力3.5MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが2mm、密度が905kg/mとなるように、厚さ調整用のステンレス製の鉄棒(ディスタンスバー)を挟んでプレスを行いボードを作製した。
<実施例2>
ポリ乳酸エマルジョン(ミヨシ油脂(株)「PL−1000」)液に、ジュート茎部の外皮部分となる靱皮から得られたジュート繊維束(平均長さ30mm、平均径96μm)を用いて作製した植物繊維マット(単位面積あたりの重量600g/m)を含浸し、乾燥した時の重量比率が植物繊維マット:ポリ乳酸の不揮発分=600:150となるように絞りによって調整した。
この含浸した植物繊維マットを乾燥器にて100℃で10分乾燥した後、1枚の植物繊維マット上に、乾燥した時の重量比率が、含浸した植物繊維マット:酸化マンガン=750:30となるようにVOC分解成分を均一に振り撒いた。酸化マンガンは粒径5〜10μmのものを用いた。その上からもう1枚含浸した植物繊維マットを重ねて金型温度170℃、圧力3.5MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが2mm、密度が765kg/mとなるように、厚さ調整用のステンレス製の鉄棒を挟んでプレスを行いボードを作製した。
<実施例3>
フェノール樹脂接着剤(群栄化学工業(株)「PL−3725」)液に、ケナフ茎部の外皮部分となる靱皮から得られたケナフ繊維束(平均長さ40mm、平均径82μm)を用いて作製した植物繊維マット(単位面積あたりの重量600g/m)を含浸し、乾燥した時の重量比率が、植物繊維マット:フェノール樹脂の不揮発分=600:150となるように絞りによって調整した。
この含浸した植物繊維マットを乾燥器にて100℃で10分乾燥した後、乾燥した時の重量比率が、含浸した植物繊維マット:酸化マンガン(実施例2と同じもの):珪藻土(稚内産珪藻土、粒径0.7mmアンダー品)=750:30:1000となるように、1枚の植物繊維マット上に酸化マンガンと珪藻土を均一に振り撒いた。その上からもう1枚含浸した植物繊維マットを重ねて金型温度170℃、圧力3.5MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが2mm、密度が1265kg/mとなるように、厚さ調整用のステンレス製の鉄棒を挟んでプレスを行いボードを作製した。
<比較例1>
ポリ乳酸エマルジョン(ミヨシ油脂(株)「PL−1000」)液に、ケナフ茎部の外皮部分となる靱皮から得られたケナフ繊維束(平均長さ40mm、平均径82μm)を用いて作製した植物繊維マット(単位面積あたりの重量700g/m)を含浸し、乾燥した時の重量比率が、植物繊維マット:ポリ乳酸の不揮発分=700:175となるように絞りによって調整した。
この含浸した植物繊維マットを乾燥器にて100℃で10分乾燥した後、2枚を重ねて金型温度170℃、圧力3.5MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが2mm、密度が875kg/mとなるように、厚さ調整用のステンレス製の鉄棒を挟んでプレスを行いボードを作製した。
<比較例2>
ポリ乳酸エマルジョン(ミヨシ油脂(株)「PL−1000」)にリン酸チタニアを混合した液に、ケナフ茎部の外皮部分となる靱皮から得られたケナフ繊維束(平均長さ40mm、平均径82μm)を用いて作製した植物繊維マット(単位面積あたりの重量400g/m)を含浸し、乾燥した時の重量比率が、植物繊維マット:ポリ乳酸の不揮発分:リン酸チタニア(実施例1と同じもの)=400:100:30となるように絞りによって調整した。この含浸した植物繊維マットを乾燥器にて100℃で10分乾燥した後、2枚を重ねて金型温度170℃、圧力3.5MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが2mm、密度が530kg/mとなるように、厚さ調整用のステンレス製の鉄棒(ディスタンスバー)を挟んでプレスを行いボードを作製した。
<比較例3>
木質ボードである厚さ0.7mmの合板用シナ(広葉樹)単板3枚を用いて、3ply合板を作製した。バインダーとしてフェノール樹脂接着剤(群栄化学工業(株)「PL−3725」)を用い、接着面の塗布量はフェノール樹脂の不揮発分が単位面積あたり150g/mとなるようにした。
フェノール樹脂を塗布した後、2つの接着面合計で単位面積あたりの重量が30g/mとなるように酸化マンガン(実施例2と同じもの)を均一に振り撒いた。その後、金型温度170℃、圧力3.5MPaで240秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが2.3mm、密度が560kg/mとなるように、厚さ調整用のステンレス製の鉄棒を挟んでプレスを行い合板ボードを作製した。
<比較例4>
フェノール樹脂接着剤(群栄化学工業(株)「PL−3725」)液に、ケナフ茎部の外皮部分となる靱皮から得られたケナフ繊維束(平均長さ40mm、平均径82μm)を用いて作製した植物繊維マット(単位面積あたりの重量1200g/m)を含浸し、乾燥した時の重量比率が植物繊維マット:フェノール樹脂の不揮発分=1200:300となるように絞りによって調整した。
この含浸した植物繊維マットを乾燥器にて100℃で10分乾燥した後、乾燥した時の重量比率が、含浸した植物繊維マット:酸化マンガン(実施例2と同じもの):珪藻土(稚内産珪藻土、粒径0.7mmアンダー品)=1500:30:1000となるように、1枚の植物繊維マット上に酸化マンガンと珪藻土を均一に振り撒いた。その上からもう1枚含浸した植物繊維マットを重ねて金型温度170℃、圧力10MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが2mm、密度が2050kg/mとなるように、厚さ調整用のステンレス製の鉄棒を挟んでプレスを行いボードを作製した。
(特性評価および結果)
以上より得られたボードを10cm角にカットし、3Lのテトラバッグに入れた後、ホルムアルデヒド濃度を50ppmに調製した空気1.7Lを封入した。ホルムアルデヒド(HCHO)がVOC分解成分によって分解されている場合、下記の反応式:
HCHO ⇒CO + H
による化学反応によってCOが生成すると考えられるため、ホルムアルデヒド(HCHO)と二酸化炭素(CO)の濃度の経時変化をガスモニターで計測した。
また、1mの高さから重さ5gの鉄球を20回垂直にボードに落下させ、ボード表面の変化を目視で観察した。
実施例1〜3および比較例1〜4のボードの作製条件と上記の特性評価の結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜3および比較例1〜4のいずれにおいても、初期から1時間後にはホルムアルデヒド濃度が50ppmから2ppm以下に低下した。これは、ボードにホルムアルデヒドが付着して空気中の濃度が低下したことによるものと考えられる。
しかし比較例1、3では、一度低下したホルムアルデヒド濃度が、1時間以降では、時間の経過によってもそれ以上は低下しなかった。これは、一度ボードに付着したホルムアルデヒドが再び空気中に放散している可能性を示唆している。ホルムアルデヒドが分解した場合に発生する二酸化炭素の濃度も比較例1、3ではほとんど増加していないので、ホルムアルデヒドは分解されていないと考えられる。
これに対して実施例1では、24時間後のホルムアルデヒド濃度は検出限界以下であり、二酸化炭素の濃度も時間の経過と共に増加した。これは、空気中のホルムアルデヒドがボード内のVOC分解成分まで到達して分解されていることによるものと考えられる。
一方、比較例1ではボード内にVOC分解成分を含有していないため、ホルムアルデヒドを分解できなかったと考えられる。また、比較例3では実施例1と同様にVOC分解成分を含有しているが、合板用の単板を用いているため空気中のホルムアルデヒドがボード内に入り込むことができず、ホルムアルデヒド分解効果が低下したと考えられる。
比較例2では、実施例1と同様に24時間後のホルムアルデヒド濃度は検出限界以下であり、二酸化炭素の濃度も時間の経過と共に増加した。しかし、落球試験により凹みが発生しており、実用上充分な強度を有していなかった。
実施例2では、実施例1と比較して二酸化炭素濃度の増加速度が速かった。これは、VOC分解成分をバインダーと混合せずにサンドイッチ状にボード内に保持したため、VOC分解成分に空気中のホルムアルデヒドが到達しやすいことによるものと考えられる。
実施例3では、ホルムアルデヒド濃度の低下速度が最も速かった。これは、実施例2の構成に加えて、さらにVOC吸着成分である珪藻土をボード内に分散したため、初期のホルムアルデヒド濃度を減少させる効果が最も高いことによるものと考えられる。
また、実施例3では比較例3と同じフェノール樹脂接着剤を用いている。フェノール樹脂接着剤にはホルムアルデヒドが含まれており、これにより比較例3では一度低下したホルムアルデヒド濃度が、時間の経過により逆に増加した。これに対して、実施例3では1時間後、4時間後、24時間後のいずれにおいてもホルムアルデヒド濃度は0ppmであった。このことから、実施例3では、ホルムアルデヒドを放散する接着剤を用いた場合であってもVOC分解成分の酸化マンガンが効果的に働き、VOC低減効果の高いボードが得られていることが分かる。
比較例4では、VOC分解成分である酸化マンガンとVOC吸着成分である珪藻土のボード面積あたりの重量は実施例3と同じであるが、ホルムアルデヒド分解効果および吸着効果が低下した。これは、比較例4ではボードの比重が高過ぎてボード内に空隙が生じないため、空気中のホルムアルデヒドがボード内に入り込むことが困難であったことによるものと考えられる。
本発明の植物繊維ボード内における空隙の状態を説明する模式図であり、植物繊維ボードを厚さ方向に薄くスライスしたものを示している。 本発明の植物繊維ボードの作製過程において、複数の植物繊維マット間にVOC分解成分を分散して挟みこむ工程を説明する模式図である。 2枚の植物繊維マット間にVOC分解成分を分散し挟み込んで作製した本発明の植物繊維ボードの断面を示す模式図である。 4枚の植物繊維マット間のそれぞれにVOC分解成分を分散し挟み込んで作製した本発明の植物繊維ボードの断面を示す模式図である。
符号の説明
1 リグノセルロース繊維
3 植物繊維マット
4 VOC分解成分
5 植物繊維マット

Claims (5)

  1. 植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、バインダーを含有する複数の植物繊維マット間に、揮発性有機化合物(VOC)分解成分を含有するVOC分解成分層を挟み込み、プレス成形して得られたものであり、ボード密度が600〜2000kg/mであることを特徴とする植物繊維ボード。
  2. 前記VOC分解成分の含有量は、ボードの単位面積当たりの重量が1〜200g/m であることを特徴とする請求項1に記載の植物繊維ボード。
  3. ボード内にVOC吸着成分を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の植物繊維ボード。
  4. VOC分解成分は、リン酸チタニア、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛;アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、またはシリカゲルに触媒作用のある金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、またはオスミウムを担持した貴金属担持体;銅、鉄、ニッケル、コバルト、または亜鉛のフタロシアニン錯体;または金であり、これらより選ばれる少なくも1種のVOC分解成分をボード内に含有していることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の植物繊維ボード。
  5. VOC分解成分は、酸化チタンであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の植物繊維ボード。
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