JP2003313362A - 二酸化チタン含有組成物及びこれを用いた成形体、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

二酸化チタン含有組成物及びこれを用いた成形体、並びにこれらの製造方法

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JP2003313362A
JP2003313362A JP2002174134A JP2002174134A JP2003313362A JP 2003313362 A JP2003313362 A JP 2003313362A JP 2002174134 A JP2002174134 A JP 2002174134A JP 2002174134 A JP2002174134 A JP 2002174134A JP 2003313362 A JP2003313362 A JP 2003313362A
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Kazuko Kimura
かず子 木村
Yukio Hayashida
悠紀夫 林田
Kayoko Miyamoto
佳代子 宮本
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MATSUKI TAKUMI
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MATSUKI TAKUMI
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 二酸化チタンは、有機化合物を分解したり、
殺菌作用を示すことが知られている。これらの作用を利
用し、実用化するためには、二酸化チタンの酸化力をよ
り大きく発現させる必要がある。そのため、所定割合以
上のアナターゼ型結晶構造を有する二酸化チタンを固定
化した組成物及びこれから得られる成形体を提供する。 【解決手段】 セルロース繊維、二酸化チタン及び粘土
成分を含有する二酸化チタン含有組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、二酸化チタン及
びセルロース繊維を含有する組成物及びこれから得られ
る成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から二酸化チタンは、光触媒活性を
有し、有機化合物等を分解したり、殺菌作用を示したり
することが知られている。この機構は、次のようなもの
が考えられている。
【0003】二酸化チタンに所定の波長の光を照射する
と、二酸化チタン内の電子が価電子帯から伝導帯に励起
する。このとき、価電子帯では正孔が生じ、周囲の水分
子から電子を奪う。このとき、水素イオンと水酸基(O
H)ラジカルを発生させると考えられる。また、励起し
た電子は、周囲の酸素分子と反応して、酸素ラジカルが
発生し、上記の水素イオンと反応して過酸化水酸基(O
OH)ラジカルが発生すると考えられる。これらのラジ
カルは酸化力が強く、このラジカルによって、有機化合
物等が分解されたり、殺菌作用が示されたりすると考え
られる。
【0004】なお、上記の二酸化チタンの正孔のエネル
ギー準位は水素基準電位に対して+3.0Vであり、一
般的に酸化剤として使用される塩素が+1.3V、オゾ
ンが+2.07Vである。この二酸化チタンの酸化力の
強さからも、有機化合物等の分解や、殺菌作用は説明す
ることができると考えられる。
【0005】ところで、上記二酸化チタンの酸化力をよ
り大きく発現させるには、表面積が多いほど好ましい。
このため、二酸化チタンを微粒子にして使用することが
考えられる。このため、合成樹脂等に練り込むことによ
って、二酸化チタン微粒子を固定する方法が考えられ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、二酸化
チタンの酸化力は、太陽光や紫外線等の所定波長の光の
照射下、及び酸素の存在下でなければ発現しにくい。さ
らに、二酸化チタンの酸化力は、アナターゼ型結晶構造
を有している場合に発現することが知られている。とこ
ろが、所定温度以上の加熱処理を行うと、光触媒能を発
揮しにくいルチル型結晶構造に変化することが知られて
いる。
【0007】そこでこの発明は、所定割合以上のアナタ
ーゼ型結晶構造を有する二酸化チタンを固定化した組成
物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、セルロース
繊維、二酸化チタン及び粘土成分を含有する二酸化チタ
ン含有組成物を用いることにより、上記の課題を解決し
たのである。
【0009】セルロース繊維を含有するので、この二酸
化チタン含有組成物を任意の形に成形して乾燥すること
により、任意の形状に成形された二酸化チタンを含有す
る成形体を得ることができる。
【0010】また、粘土成分を含有するので、得られる
二酸化チタン含有組成物中に二酸化チタンが固定化され
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において、この発明について
詳細に説明する。この発明にかかる二酸化チタン含有組
成物は、セルロース繊維、二酸化チタン及び粘土成分を
含有する組成物である。
【0012】上記セルロース繊維とは、セルロースを主
成分とする繊維をいい、樹木の幹や枝等を構成するパル
プの主成分である。上記樹木から製造される木製品又は
木屑等や上記パルプから形成される紙等は、この発明に
おいて上記セルロース繊維を含有する成分(以下、「セ
ルロース繊維含有物」と称する。)として使用できる。
【0013】上記紙の種類は特に限定されるものではな
く、洋紙、和紙、板紙、段ボール等任意の種類の紙を使
用できる。また、使用済みの紙、例えば、新聞紙、雑
誌、本、段ボール等の古紙も使用できる。
【0014】上記の樹木の幹や枝等には、上記のセルロ
ース繊維以外に、リグニン等の木質成分を含有する。こ
の木質成分は、特に除去する必要はなく、存在した状態
で使用することができる。例えば、上記の紙のうち、新
聞紙等の漂白処理されていない紙は、このリグニン等の
木質成分を多量に含有しており、この漂白処理されてい
ない紙を用いる場合、上記の木質成分を取り除く必要
は、特にない。
【0015】上記二酸化チタンは、主としてアナターゼ
型結晶構造を含有するものであり、粉末化、粒状化等し
て細かくしたものがよい。上記アナターゼ型結晶構造を
有する二酸化チタンの含有割合は、二酸化チタン全体に
対して、50%以上がよく、80%以上が好ましく、9
0%以上がより好ましい。アナターゼ型結晶構造が50
%未満でも、光触媒活性を有する限り問題はないが、二
酸化チタンの使用量が増加するので、経済的でない。さ
らに、アナターゼ型結晶構造の含有割合が高いほど、光
触媒活性をより強く発揮できるのでより好ましい。
【0016】上記二酸化チタンの粒子の平均粒子径は、
1〜100nmがよく、10〜50nmが好ましい。1
nmより小さいと、水に懸濁させる場合、懸濁に手間が
かかる場合がある。一方、100nmより大きいと、二
酸化チタンの一定使用量における光触媒活性の発現の程
度が十分でない場合がある。
【0017】上記二酸化チタン粒子の比表面積は、特に
限定されないが、50〜300m2/gがこのましい。
50m2/gより小さいと、二酸化チタンの一定使用量
における光触媒活性の発現の程度が十分でない場合があ
る。一方、300m2/gより大きくてもよいが、その
ようなものは、製造しにくいため入手が難しくなる場合
がある。
【0018】上記の粘土成分とは、細かい含水ケイ酸塩
鉱物の集合体であって、適当量の水を混ぜ合わせると可
塑性を生じる成分をいい、上記二酸化チタンの固定、定
着に寄与する。この粘土成分の例としては、カオリン、
ベントナイト、タルク、雲母、モンモリロナイト、バー
ミキュライト、木節粘土、ガイロメ粘土等があげられ
る。また、上記の粘土成分を含有するものとして、陶土
等が知られている。上記陶土は、高温で焼成することに
より、陶器や磁器を製造する原料粘土であり、産地によ
って含有成分が異なって、産地特有の性質を有する。こ
の陶土の産地の例としては、佐賀県唐津市産、愛知県瀬
戸市産、兵庫県三田市四ツ辻産、滋賀県信楽町産等があ
げられる。
【0019】この粘土成分は、上記二酸化チタンの接着
剤としての役割をはたすと共に、場合によっては、この
粘土成分に含まれる成分によって、二酸化チタンの暗反
応を生じさせ、光触媒活性を発揮させることができる。
この暗反応とは、光のない状態で光触媒活性を発揮させ
る反応をいい、前もって光を照射させておくことによ
り、この暗反応を生じさせることができる。
【0020】上記の二酸化チタンに対するセルロース繊
維の含有割合は、二酸化チタン10重量部に対して、セ
ルロース繊維0.01〜100重量部が好ましく、0.
1〜10重量部がより好ましい。0.01重量部より少
ないと、得られる二酸化チタン含有組成物を成形しにく
くなる場合がある。一方、100重量部より多いと、得
られる二酸化チタン含有組成物中の二酸化チタンの相対
量が減少し、光触媒活性が十分でなくなる場合がある。
【0021】上記の二酸化チタンに対する粘土成分の含
有割合は、二酸化チタン10重量部に対して、粘土成分
0.1〜100重量部が好ましく、1〜50重量部がよ
り好ましい。0.1重量部より少ないと、得られる二酸
化チタン含有組成物を成形して成形体としたとき、二酸
化チタンの脱落が生じる場合がある。一方、100重量
部より多いと、得られる二酸化チタン含有組成物中の二
酸化チタンの相対量が減少し、光触媒活性が十分でなく
なる場合がある。
【0022】上記の二酸化チタン含有組成物には、必要
に応じて、金属粉又は金属片を含有させることができ
る。光が当たらない状態であっても、上記の粘土成分は
含まれる成分によって、二酸化チタンの暗反応による光
触媒活性を発揮させることができるが、この金属粉や金
属片を混在させることにより、上記二酸化チタンの暗反
応による光触媒活性をより効果的に発揮させることがで
きる。
【0023】この金属粉や金属片を構成する金属は、特
に限定されるものではなく、例えば、鉄、銅、銀、金、
アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛等があげ
られる。上記金属粉や金属片の大きさは、特に限定され
ないが、上記の二酸化チタン含有組成物として、分散可
能な程度な大きさがよい。
【0024】上記の二酸化チタン含有組成物に対する金
属粉や金属片の含有割合は、特に限定されるものではな
いが、0.001〜100重量%がよく、0.01〜1
0重量%が好ましい。0.001重量%より少ないと、
十分な暗反応が生じない場合がある。一方、100重量
部より多くてもよいが、それ以上入れても、光触媒活性
の程度があまり増大せず、100重量部程度で十分であ
る。
【0025】この発明にかかる二酸化チタン含有組成物
は、下記の方法で製造される。まず、上記二酸化チタン
の粒子及び粘土成分を混合して二酸化チタン混合物を製
造する。次いで、必要に応じて、800℃以下、好まし
くは、80〜500℃で焼成する。焼成温度を800℃
以下とするので、上記二酸化チタンのアナターゼ型は保
持され、光触媒活性が保持される。さらに、80〜50
0℃で焼成すると、粘土成分の水切れ状態がより良好と
なり、後述する成形時において、乾燥がより容易となる
と共に、上記二酸化チタンのアナターゼ型はよりよい状
態で保持される。
【0026】得られた二酸化チタン混合物を、必要に応
じて粉砕や篩分け等を行って粒径を整える。なお、上記
二酸化チタン混合物を焼成した場合、この二酸化チタン
混合物に必要に応じて、新たに上記二酸化チタンの粒子
を加える。この二酸化チタン粒子を加えることにより、
得られる二酸化チタン含有組成物の光触媒活性がより向
上する。
【0027】上記の新たに加える上記二酸化チタンの粒
子の添加量は、上記二酸化チタン混合物に対して50重
量%がよく、1〜30重量%が好ましい。50重量%よ
り多いと、得られる二酸化チタン含有組成物を成形して
成形体としたとき、二酸化チタンの脱落が生じる場合が
ある。
【0028】次に、セルロース繊維含有物を上記二酸化
チタン混合物に混合し、必要に応じて、粉砕や破砕を行
うことにより、この発明にかかる二酸化チタン含有組成
物を製造する。このとき、必要に応じて、上記金属粉末
又は金属片を混合させてもよい。このセルロース繊維含
有物は、そのまま使用してもよいが、細かい状態に裁
断、破砕、粉砕等したセルロース繊維含有物の裁断物、
破砕物又は粉砕物等を用いると、上記二酸化チタン混合
物との混合がより容易となり、好ましい。また、必要に
応じて、上記セルロース繊維含有物又はその裁断物、破
砕物又は粉砕物等(以下、「セルロース繊維含有物等」
と称する。)に上記粘土成分をまぶし、これに水をか
け、天日や乾燥機等で乾燥したものを用いてもよい。
【0029】上記の二酸化チタン混合物と、上記セルロ
ース繊維含有物等とを混合する際、水を加えてスラリー
としてもよい。また、必要に応じて、このスラリーをミ
キサー等で混練してもよい。上記の水を加えると、得ら
れる二酸化チタン含有組成物を用いての成形がより容易
となる。そして、混練することにより、より均一な二酸
化チタン含有組成物を得ることができる。この水の添加
量は特に限定されないが、上記二酸化チタン混合物の1
〜10重量倍がよく、2〜7重量倍が好ましい。上記範
囲を逸脱してもよいが、後述する成形が困難となる場合
や、乾燥に時間がかかる場合がある。
【0030】上記の二酸化チタン含有組成物は、必要に
応じて、水を添加して成形することにより、成形体を形
成することができる。この成形方法として、例えば、型
を用いる方法があげられる。
【0031】この型としては、目的とする成形体の形状
に応じて、種々のものを用いることができる。例えば、
シート状の成形体を製造する場合は、中央部に孔部を形
成した枠の底面に網を張った型を用いることができる。
これを用いると、一般的な和紙の紙漉きと同様の方法に
よって二酸化チタンを含有するシート状の成形体を製造
することができる。すなわち、上記枠内に上記二酸化チ
タン含有組成物又はこれに水を加えたものを通し、網上
に残ったシート状のものを取り出す。そして、天日や乾
燥機で乾燥することにより、シート状の成形体を得るこ
とができる。
【0032】また、上記の網を張る代わりに板を配置し
てもよい。この場合は、上記枠内に上記二酸化チタン含
有組成物又はこれに水を加えたものを入れ、天日や乾燥
機で乾燥させる。これにより、二酸化チタンを含有する
シート状の成形体を製造することができる。この方法に
よると、二酸化チタンの流失が防止されるので、二酸化
チタンの歩留まりを向上させることができる。
【0033】上記の板としては、木板、金属板、陶板
等、任意の板をもちいることができる。上記板として、
陶板を用いると、この陶板が水分をある程度吸うので、
乾燥がより容易となる。
【0034】上記シート状の成形体以外に、目的にあわ
せた型を用いることにより、目的にあった形状の成形体
を製造することができる。また、上記のシート状の成形
体を所定形状に切断、折り曲げ等の加工をすることによ
り、所定形状の成形体を得ることができる。
【0035】上記の形状としては、シート状以外に、球
状、卵状等の立体的に曲面を有する形状、三角柱等の角
柱状、四角錐等の角錐状、円柱状、円錐状、各種の動物
等の天然物や人工物の形状等、任意の形状があげられ
る。
【0036】上記成形体の形状によっては、そのままイ
ンテリアとして使用することもでき、他のインテリアと
組み合わせて使用することができる。
【0037】上記の二酸化チタン含有組成物の製造や成
形体の製造において、天日を用いて乾燥を行うと、含ま
れる二酸化チタンの光触媒活性を向上させることができ
るので、より好ましい。
【0038】また、上記の二酸化チタン含有組成物の製
造や成形体の製造において、乾燥機を用いて乾燥を行う
場合、300℃以下で乾燥を行うのが好ましく、200
℃以下で乾燥を行うのがより好ましい。300℃を越え
ると、セルロース繊維の変質が生じやすく、好ましくな
い。
【0039】なお、この発明にかかる二酸化チタン含有
組成物は、上記の成形すること以外に、他の基材に塗工
して積層体として使用してもよい。この塗工方法として
は、上記二酸化チタン含有組成物又はこれに水を加えた
ものを、はけ塗りする方法、浸漬する方法等があげられ
る。塗工後、天日又は乾燥機で乾燥することにより、積
層体は製造される。
【0040】上記の二酸化チタン含有組成物や、これか
ら製造される成形体又は積層体は、そのまま使用するこ
とができるが、袋等の容器類に収納して使用してもよ
い。この場合、容器の素材としては、二酸化チタンの光
触媒活性を発揮させるため、酸素の透過できる素材がよ
く、また、暗反応をさせない場合は、光が内部に入る素
材がよい。このような素材としては、綿等の天然樹脂や
ポリエステル等の合成樹脂からなる織布や不織布、酸素
透過度の高い透明な容器等があげられる。
【0041】また、上記の容器内に、必要に応じて、金
属片、金属粉、金属箔、金属製フィルム、金属製シー
ト、金属板等(以下、「金属片等」と称する。)を入れ
てもよい。これらは、単独の種類のものを入れてもよ
く、また、複数の種類のものを入れてもよい。さらに、
上記容器の一部を金属箔、金属製フィルム、金属製シー
ト、金属板等の一種又は複数種で構成してもよく、ま
た、上記容器の一部又は全部に上記金属片等の一種又は
複数種を貼りつけたり、積層したり、吹き付けたりして
もよい。上記の金属片等に使用される金属としては、上
記した金属粉や金属片に使用される金属があげられる。
上記の金属片等を用いることにより、暗反応をより効果
的に行うことができる。
【0042】上記の二酸化チタン含有組成物又はこれを
用いた成形体や積層体は、含有するアナターゼ型二酸化
チタン、特に、表出したアナターゼ型二酸化チタンによ
り、光触媒活性を発揮する。この光触媒活性とは、天日
(すなわち、太陽光)、紫外線、蛍光灯や白熱灯等の光
等の一般的な光を照射することにより、発現される酸化
力をいう。中でも、特に380nm以下の波長を含有す
る紫外線等の光を照射すると、発現される酸化力は、よ
り大きなものとなる。
【0043】また、上記暗反応は、上記の通り、前もっ
て光を照射させておくことにより、その後、光のない状
態で光触媒活性を発揮させることができるが、このとき
に照射する光としては、天日(すなわち、太陽光)、紫
外線、蛍光灯や白熱灯等の光等の一般的な光があげられ
る。特に、より強く光触媒活性を発揮させるには、上記
の光の中でも、380nm以下の波長を含有する紫外線
等の光を照射するのが好ましい。
【0044】このような光触媒活性としては、タンニン
酸、ホルムアルデヒド、花粉、農薬、ダイオキシン、フ
ェノール、環境ホルモン等の残留有機物の分解、アンモ
ニア等の無機系悪臭ガスの分解、煙草臭の分解、窒素酸
化物(NOx)の分解、酵母、細菌等の微生物やカビ
類、ダニ類等の殺菌・防カビ、防ダニ、これらの死骸の
分解等の機能があげられる。
【0045】また、上記セルロース繊維として新聞紙、
雑誌等の印刷物を用いる場合、印刷に使用されているイ
ンクは、上記の光触媒活性によって分解される。このた
め、この発明にかかる二酸化チタン含有組成物を製造す
る際、上記セルロース繊維として新聞紙、雑誌等の印刷
物を用いる場合、インクの除去作業が不要となる。な
お、このことは、漂白するために漂白剤を用いることを
排除するものではない。
【0046】したがって、上記の二酸化チタン含有組成
物又はこれを用いた成形体や積層体を、一般家庭、事務
所、工場等の室内、自動車、バス、飛行機等の乗り物の
室内、便所内等に設置等することにより、光触媒消臭
材、光触媒空気清浄材、NOx分解材、殺菌・防カビ部
材、有機物分解材等としての役割を果たすことができ
る。
【0047】また、上記の二酸化チタン含有組成物成形
体や積層体として、シート状のものを使用する場合、壁
紙、装飾用紙として用いることにより、装飾用として使
用できると共に、上記の光触媒活性による各種効果を発
揮することができる。
【0048】
【実施例】以下に実施例をあげてこの発明をさらに具体
的に説明する。 (二酸化チタン含有組成物及び二酸化チタン含有シート
状成形体の製造)陶土(滋賀県信楽町産)70gと二酸
化チタン粒子(富士チタン工業(株)1500D、結晶
型:アナターゼ、純度90重量%、比表面積200m2
/g、平均粒子径20〜30nm)30gを混合し、2
00℃で24時間焼成した。得られた二酸化チタン混合
物を粉砕して微粒子化し、これに、上記二酸化チタン粒
子10gを混合添加した。一方、新聞紙を細かく裁断し
て、上記陶土をまぶして水をかける。その後、この水か
ら引き上げて天日に数時間さらして乾燥させた。次に、
上記二酸化チタン混合物に5倍量の水を加え、上記の処
理をした新聞の裁断物を加え、ミキサーで混練し、二酸
化チタン含有組成物を製造した。次いで、中央に方形の
孔部を有する木枠の下に、陶板を置き、この木枠の中
に、得られた二酸化チタン含有組成物を流し込み、3日
間、天日で乾燥し、二酸化チタン含有シート状成形体を
得た。
【0049】(実施例1)上記の方法で製造した二酸化
チタン含有シート状成形体を用いて、下記の方法にした
がって、消臭試験及びNOx除去試験を行った。その結
果を表1に示す。なお、NOx除去試験の試験回数は1
回のみである。また、表1における数値の単位は、「p
pm」である。
【0050】(比較例1)上記の方法で製造した二酸化
チタン含有シート状成形体を用いなかった以外は、実施
例1と同様にして、消臭試験及びNOx除去試験を行っ
た。その結果を表1に示す。なお、消臭試験の試験回
数、及びNOx除去試験の試験回数は1回のみである。
【0051】[消臭試験]上記二酸化チタン含有シート
状成形体を5×5cmに切り、20℃、65%RHの恒
温恒室内に入れ、紫外線照射下、24時間放置した。次
に、5リットルテドラーバッグに空気4リットルと29
%アンモニア水(関東化学(株)製)500μlを注入
し、密閉して24時間放置し、アンモニア標準ガスとし
た。次いで、2つのテドラーバッグに二酸化チタン含有
シート状成形体を入れた後、空気4リットルとアンモニ
ア標準ガス10mlを注入して密封し、一方のテドラー
バッグに紫外線を照射した。2時間後、この2つのテド
ラーバック内のアンモニア量を検知管で測定すると共
に、再び、アンモニア標準ガスを10ml注入し、密封
した。この操作を3回繰り返し、合計4回の試験を連続
して行った。
【0052】[NOx除去試験]上記二酸化チタン含有
シート状成形体を5×5cmに切り、20℃、65%R
Hの恒温恒室内に入れ、24時間放置した。次に、5リ
ットルテドラーバッグに二酸化チタン含有シート状成形
体を入れた後、空気4リットルを加え、そして、二酸化
窒素及び一酸化窒素の1:1の混合ガスをテドラーバッ
グ内の濃度が1.0ppmとなるように注入した。そし
て、このテドラーバッグに紫外線を照射した。そして、
1時間後、このテドラーバック内の二酸化窒素及び一酸
化窒素の混合ガス量を測定した。
【0053】
【表1】
【0054】[結果]二酸化チタン含有シート状成形体
を加えることによって、アンモニアもNOxも除去され
ることが明らかとなった。また、消臭試験においては、
紫外線照射がなくてもアンモニアが除去されており、暗
反応が生じていることが明らかとなった。
【0055】(実施例2)上記の方法で製造した二酸化
チタン含有シート状成形体の上に、煎茶をたらした。た
らした直後は、茶褐色に変色した。これを、天日に3時
間さらした。その結果、上記の茶褐色の変色は消滅し、
もとの、二酸化チタン含有シート状成形体の色となって
いた。
【0056】(実施例3)上記の方法で製造した二酸化
チタン含有組成物10gを、猫のトイレ用の砂100g
に混ぜて、猫のトイレに入れた。その結果、猫は、この
二酸化チタン含有組成物を混ぜない場合と同様に、この
トイレを使用した。また、1週間使用後、このトイレか
ら猫の尿の臭いは発生しなかった。
【0057】
【発明の効果】この発明にかかる二酸化チタン含有組成
物は、セルロース繊維を含有するので、この二酸化チタ
ン含有組成物を任意の形に成形して乾燥することによ
り、任意の形状に成形された二酸化チタンを含有する成
形体を得ることができる。
【0058】また、粘土成分を含有するので、得られる
二酸化チタン含有組成物中に二酸化チタンが固定化され
る。
【0059】さらに、アナターゼ型二酸化チタンを50
%以上含有する場合は、光触媒活性を強く発揮させるこ
とができる。
【0060】さらにまた、二酸化チタンの光触媒活性に
より、タンニン酸、ホルムアルデヒド、花粉、農薬、ダ
イオキシン、フェノール、環境ホルモン等の微量存在す
る有機物の分解、アンモニア等の無機系悪臭ガスの分
解、窒素酸化物(NOx)の分解、酵母、細菌等の微生
物やカビ類の殺菌・防カビ等の機能を発揮させることが
できる。
【0061】また、セルロース繊維として使用済みの新
聞紙を用いる場合、インクの除去作業が不要となり、効
率的である。さらに、新聞紙のリサイクルが可能とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 502215317 岡田 均 兵庫県三田市けやき台5丁目14番地4 (71)出願人 399055672 松木 巧 東京都東久留米市小山5−12−16 (71)出願人 502108732 桧田 博行 兵庫県三田市母子1123 (72)発明者 木村 かず子 兵庫県三田市天神3丁目14番68号 (72)発明者 林田 悠紀夫 東京都世田谷区若林1丁目9番18号 (72)発明者 宮本 佳代子 兵庫県西宮市高座町3番31号 Fターム(参考) 2B260 AA01 BA07 BA18 BA19 CD02 CD07 DB02 4F071 AA09 AB26 AE22 AF52 AF53 BA03 BB01 BC01 4J002 AB011 DJ007 DJ016 FA041 FD186 FD187 GC00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース繊維、二酸化チタン及び粘土
    成分を含有する二酸化チタン含有組成物。
  2. 【請求項2】 セルロース繊維、二酸化チタン、粘土成
    分及びセルロース繊維以外の木質成分を含有する二酸化
    チタン含有組成物。
  3. 【請求項3】 金属粉又は金属片を含有する請求項1又
    は2に記載の二酸化チタン含有組成物。
  4. 【請求項4】 二酸化チタン10重量部に対して、セル
    ロース繊維を0.01〜100重量部含有する請求項1
    乃至3のいずれかに記載の二酸化チタン含有組成物。
  5. 【請求項5】 二酸化チタン10重量部に対して、粘土
    を0.1〜100重量部含有する請求項1乃至4のいず
    れかに記載の二酸化チタン含有組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の二酸
    化チタン含有組成物から形成される成形体。
  7. 【請求項7】 粘土成分と二酸化チタンを混合した二酸
    化チタン混合物に、セルロース繊維含有物又はその裁断
    物、破砕物又は粉砕物と水とを加えて混合する二酸化チ
    タン含有組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の方法で製造される二酸
    化チタン含有組成物を成形する成形体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009023307A (ja) * 2007-07-23 2009-02-05 Panasonic Electric Works Co Ltd 植物繊維ボード
JP2010285573A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Sumitomo Bakelite Co Ltd 複合体組成物

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