JP4085460B2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の前部車体構造に関し、詳しくは、車体前部のバンパーに対し車体前方へ開口するように形成された開口部を補強する対策に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の前部車体構造として、例えば、特開平7−52182号公報に開示されるように、車体の前部に、車体前方へ開口する開口部が形成されたバンパーが取り付けられ、このバンパーの開口部を経て走行風(外気)がエンジンルーム内に取り入れられるようにしたものが知られている。そして、上記バンパーには、その開口部を迂回するよう開口部の周縁下部側を通って車幅方向に延びるビードが車体後方向きに突設され、このビードにより開口部の周縁下部側での肉厚を増大させて、開口部によるバンパー自身の剛性低下を抑制するようにしている。
【0003】
また、このようなバンパーの上部背後には車幅方向へ延びるバンパーレインフォースメントが設けられ、バンパーが上記バンパーレインフォースメントによって強化された状態で車体の前部に取り付けられるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近来のエンジンの高出力化に伴い、走行風を積極的にかつ効率良くエンジンルーム内に取り入れたいという要求がある。その場合、上記従来のもののようにバンパーの開口部を経て走行風を取り入れるものでは、開口部の開口面積を増大させて対応すれば、その開口部の開口面積の増大に伴い開口部の周縁をより積極的に補強する必要がある。
【0005】
そこで、バンパーの開口部周縁において互いに対向する周縁対向部同士、つまり上下両縁同士および左右両側縁同士の少なくとも一方を連結部材などで連結することが考えられる。しかしながら、開口部周縁において周縁対向部同士を連結部材によって連結すれば、走行風が連結部材に干渉して走行風のスムーズな流れが分割され、走行風の取り込みに支障を招くことになる。このため、開口部の開口面積の増大に伴って開口部の周縁を効果的に補強することができないのは勿論のこと、開口部の開口面積を容易に増大させることができないことになる。
【0006】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記バンパーの上部を強化するバンパーレインフォースメントを有効利用して開口部の周縁を補強することで、開口部の周縁を効果的かつ確実に補強し、開口部の開口面積を容易に増大せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明が講じた解決手段は、車体前部にバンパーが取り付けられ、上記バンパーの車幅方向中央部には車体前方に開口して走行風を取り入れる開口部が車幅方向の側部に広がるように形成されている車両の前部車体構造を前提とする。そして、 上記バンパーは、上記開口部を形成する周縁部を有するバンパーフェイスと、車体前部に取り付けられ上記周縁部よりも上方のバンパーフェイス背後において車幅方向へ延びて該周縁部上側を補強するバンパーレインフォースメントと、上記バンパーレインフォースメントに固定されかつ上記開口部を取り囲むように上記周縁部背後のバンパーフェイスに配置された補強部材とを備え、上記バンパーレインフォースメントには、車幅方向の側部にヘッドランプ取付孔がそれぞれ貫通して形成されている構成としたものである。
【0008】
これにより、請求項1記載の発明では、バンパーは、バンパーレインフォースメントと、このバンパーレインフォースメントに固定されて開口部を車体背後から取り囲む補強部材とを内部に備えているので、開口部の周縁が効果的かつ確実に補強される。このため、本発明では、開口部の周縁対向部同士(上下両縁同士および左右両側縁同士など)を連結する連結部材により開口部周縁を補強する場合のように連結部材への走行風の干渉により走行風のスムーズな流れを分割して走行風の取り込みに支障を招いてしまうということがなく、走行風がスムーズに取り込まれる。したがって、エンジンの高出力化に伴い、走行風を積極的にかつ効率良くエンジンルーム内に取り入れたいという要求があれば、その要求に応じて開口部の開口面積を円滑に増大させることが可能となる。
【0009】
また、バンパーは、バンパーフェイスと、バンパーフェイス自身を補強するバンパーレインフォースメントと、バンパーフェイスの周縁部に対し開口部を取り囲むように配置してその開口部を補強する補強部材とのそれぞれ別個の3部材を備えて構成されているので、開口部が、互いに高剛性となるバンパーレインフォースメント及び補強部材による部材同士の共同によってより効果的にかつ確実に補強される。
【0010】
請求項2記載の発明が講じた解決手段は、車体前部にバンパーが取り付けられ、上記バンパーには車体前方に開口して走行風を取り入れる開口部が形成されている車両の前部車 体構造において、上記バンパーは、車体前部に取り付けられ車幅方向へ延びるバンパーレインフォースメントと、このバンパーレインフォースメントに固定され上記開口部を取り囲むように配置された補強部材とを内部に備え、開口部はバンパーレインフォースメントの下方位置に設定され、補強部材には、この補強部材をバンパーレインフォースメントに対し固定する固定部よりも下側位置で車体前後方向の荷重を受けて破断する脆弱部が形成されている構成としたものである。
【0011】
これにより、請求項2記載の発明では、補強部材は、バンパーレインフォースメントに対する固定部よりも下側位置で車体前後方向の荷重を受けて破断するようになっているので、車両走行時に例えば路面の凸部などと接触・干渉するというようなバンパーの路面干渉時、補強部材に車体前後方向の衝突荷重等が入力されると、補強部材は脆弱部により破断し、上記衝突荷重がバンパーレインフォースメントに対し直接伝達されるという事態の発生を回避し得る。このため、路面干渉など衝突荷重によるバンパーレインフォースメントへの悪影響、例えば捩じれなどの変形が確実に防止される。
【0012】
請求項3記載の発明が講じた解決手段は、請求項1に記載の発明を特定し、上記バンパーフェイスには、開口部の車幅方向両側方にフォグランプ取付孔がそれぞれ貫通して形成され、上記補強部材は、バンパーフェイスにおける開口部とフォグランプとの間の周縁部に配置されている構成としたものである。
【0013】
これにより、請求項3記載の発明では、バンパーは、バンパーフェイスと、バンパーフェイス自身を補強するバンパーレインフォースメントと、バンパーフェイスの周縁部に対し開口部を取り囲むように配置してその開口部を補強する補強部材とのそれぞれ別個の3部材を備えて構成されているので、バンパーフェイスの開口部が、互いに高剛性となるバンパーレインフォースメント及び補強部材による部材同士の共同によってより効果的にかつ確実に補強される。
【0014】
さらに、請求項4記載の発明が講じた解決手段は、請求項1から3のいずれかに記載の発明の補強部材を特定し、バンパーレインフォースメントに対して着脱可能に補強部材を固定する構成としたものである。
【0015】
これにより、請求項4記載の発明では、補強部材は、バンパーレインフォースメントに着脱可能に固定されているので、補強部材が破損した場合には、破損した補強部材のみをバンパーレインフォースメントから取り外して容易に交換することが可能となる。また、開口部形状が異なる車種への補強部材の変更、および開口部が存在しない車種への補強部材の廃止にも簡単に対応可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る前部車体構造を用いた車両1を示し、この車両1の前部には、合成樹脂製のバンパーフェイス2と、バンパーレインフォースメント21と、補強部材41とにより構成されたバンパー20が取り付けられている。上記バンパーレインフォースメント21は車両1の車体部分(突出ブラケット13a及びクロスメンバ28など)に取り付けられ、このバンパーレインフォースメント21に対し補強部材41が取り付けられている。そして、互いに一体にされたバンパーレインフォースメント21及び補強部材41の前面にバンパーフェイス2が結合されている。
【0018】
以下、上記バンパー20の構成要素、バンパーフェイス2,バンパーレインフォースメント21,補強部材41について詳細に説明する。
【0019】
上記バンパーフェイス2は、図1に加え図2にも示すように、ボンネット3および左右のフロントフェンダ(図示せず)の前端に連設され、このボンネット3および各フロントフェンダの前端に対してほぼ連続するように射出成形により形成されている。上記バンパーフェイス2の前端部中央位置には車体正面視で略コ字状を呈するライセンスプレート取付面2aが設けられ、このライセンスプレート取付面2aにはライセンスプレート4が取り付けられている。また、バンパーフェイス2の下部が対応するバンパーフェイス下側部分5bには、その左右両側部位置に開口する左右一対のフォグランプ取付孔2b,2bが形成されている。上記バンパーフェイス下側部分5bの上部中央位置には、バンパーフェイス2の上部が対応するバンパーフェイス上側部分5aの下端に跨がって車体前方へ開口する開口部6が設けられている。上記開口部6は、バンパーフェイス上側部分5aの下端に沿って車幅方向へ略直線状に延びる周縁上部6aと、バンパーフェイス下側部分5bに設けられ、左右両端が上記該周縁上部6aの左右両端に収束するよう上方へ湾曲形成された周縁下部6bとで構成されている。
【0020】
上記両フォグランプ取付孔2bの上方に対応するバンパーフェイス上側部分5aの下部左右両側部位置には、図3にも示すように、左右一対のヘッドランプ取付孔2c,2cがそれぞれ形成され、該各ヘッドランプ取付孔2cにヘッドランプ7が取り付けられている。尚、図3中、8aはヘッドランプカバー、8bはフォグランプ取付ステーである。
【0021】
上記バンパーフェイス下側部分5bの下端には、図4にも示すように、車両1のリフトを抑えるチンスポイラ10が一体的に取り付けられている。そして、図2に示すように、上記両フォグランプ取付孔2bの下方に対応するチンスポイラ10の左右両側部位置には左右一対の走行風取入孔10a,10aがそれぞれ形成され、該各走行風取入孔10aには、図示しない前輪ブレーキ用ロータに向けて後端が開口するダクト(図示せず)の前端が接続されている。これにより、チンスポイラ10の各走行風取入孔10aを経て取り入れられた走行風は、ダクトにより前輪ブレーキ用ロータへの冷却風として導かれる。
【0022】
また、図1及び図4に示すように、上記ボンネット3および左右のフロントフェンダの車体内方側にはエンジンルーム11が構成されている。このエンジンルーム11内には、上記開口部6を経て取り入れられた走行風(外気)を、図示しないエンジンの燃焼室に導く吸気ダクト12(図1参照)が配設されている。該吸気ダクト12は、エンジンルーム11内の前部上側を車幅方向に延びるシュラウドアッパパネル13に取り付けられている。そして、上記吸気ダクト12の途中には、エアクリーナ14、ターボチャージャ(図示せず)、インタクーラ15などが走行風の上流側から順次介設されている。つまり、吸気ダクト12内にその上流端から導入された走行風は、エアクリーナ14においてゴミや異物などが取り除かれてから、ターボチャージャにより加圧された後、インタクーラ15により冷却されてエンジンの燃焼室に吸気として供給される。
【0023】
さらに、図1及び図4に示すように、上記バンパーフェイス上側部分5aの車体背後には、車幅方向へ延びるバンパーレインフォースメント21が設けられている。このバンパーレインフォースメント21は、車体後方へ開口する断面略コ字状に形成され、その底壁より車体後方へ突出する複数のリブ21c,…により自身の剛性を高めるようにしている。また、図5および図6において全体形状を示すように、上記バンパーレインフォースメント21の前端部中央位置には、上記バンパーフェイス2のライセンスプレート取付面2aに対応するよう車体前方へ突出するライセンスプレート支持面21aが設けられていると共に、上記バンパーフェイス2の各ヘッドランプ取付孔2cに対応するようヘッドランプ取付孔21b,21bが設けられている。そして、上記バンパーレインフォースメント21は、図7及び図8にも示すように、その後端部周縁の下部より下方へ延びるフランジ21dを備え、このフランジ21dがクロスメンバ28(後述する)などの剛性の高い部材の所定箇所にボルト22(図7参照)により締結されて取付固定されている。このバンパーレインフォースメント21の後端部周縁の上部所定位置には、図9にも示すように、ボルト締結部21e,…が形成され、該各ボルト締結部21eは、上記シュラウドアッパパネル13の左右両側部(図では一方のみ示す)より車体前方へ突出する突出ブラケット13a(図7及び図8参照)の先端面などの剛性強度の高い部材にボルト22により締結されて取付固定されている。また、図1及び図4に示すように、上記バンパーフェイス上側部分5aは、上記バンパーレインフォースメント21の所定箇所に接着剤23およびファスナ24により固定されている。
【0024】
そして、図5及び図6にも示すように、上記バンパーレインフォースメント21後端部の周縁下部には、補強部材41が設けられている。該補強部材41は、上記バンパーレインフォースメント21後端部の周縁下部により補強される開口部6の周縁上部6aを除いた残る周縁下部6bを車体背後から取り囲むよう車体正面視で開口部6の周縁下部6bとほぼ一致するよう左右両端部が上方へ湾曲形成されている。上記補強部材41の左右両端部には、図10にも示すように、この補強部材41をバンパーレインフォースメント21に対し固定する固定部としての左右一対の取付フランジ41L,41Rが設けられている。上記両取付フランジ41L,41Rは、上記開口部6の周縁左右両側部に対応するバンパーレインフォースメント21の周縁下部の左右両位置(フランジ21dの車体前方)に対向するよう略水平面状に形成されている。上記補強部材41の左右両端部の両取付フランジ41L,41Rにはボルト挿通孔42が形成されている。そして、上記補強部材41は、その左右両端部の両取付フランジ41L,41Rのボルト挿通孔42に挿通されるボルト43の締結により、上記バンパーレインフォースメント21の周縁下部の左右両位置に対して着脱可能に取付固定されている(図4に二点鎖線で表れる)。この場合、バンパーレインフォースメント21は、その周縁下部がバンパーフェイス2の開口部6の周縁上部に略一致するようになっている。
【0025】
上記エンジンルーム11内の前部上側には、図1及び図4に示すように、上記バンパーレインフォースメント21の下部を後方から閉塞するよう車幅方向へ延びる断面略L字状のエアガイド25が設けられ、このエアガイド25とバンパーレインフォースメント21とで上部空間26を構成している。上記エアガイド25は、その前端がバンパーレインフォースメント21の後端部下端位置に固定されていると共に、上端がエンジンルーム11内の前部上側を車幅方向へ延びるクロスメンバ28に接合固着されている。そして、上記吸気ダクト12の上流端は、図示しない連結管を介して上記上部空間26に連通接続、つまりバンパーレインフォースメント21の上部にて車体後方へ開口する上部空間26の開口部分に連通接続されている。
【0026】
さらに、図2に示すように、上記ライセンスプレート4が車体正面視でオーバラップするバンパーフェイス2のライセンスプレート取付面2a下側には凹部が形成され、この凹部には、車体後方に延びてその延出端を開口させた走行風導入口31が形成されている。また、図5及び図6に示すように、上記バンパーレインフォースメント21のライセンスプレート支持面21aの下部にも、上記バンパーフェイス2の走行風導入口31に対応するようライセンスプレート支持面21aの下部より車体後方に延びてその延出端を開口させた走行風導入口32が形成されている。そして、図1及び図4に示すように、上記バンパーレインフォースメント21のライセンスプレート支持面21aの下部より車体後方に延びる上側延出部分、つまり走行風導入口32の周縁上部は、走行風導入口32を狭めるように後方へ行くに従って若干下方へ傾斜しているとともに、その後端(延出端)が下方へ湾曲形成されている。さらに、上記ライセンスプレート4とバンパーフェイス2のライセンスプレート取付面2a下側の凹部との間には、下方つまり開口部6側に連通する空隙部33が形成されている。上記ライセンスプレート4の下端は、車体正面視で上記開口部6の上部にオーバラップしている。そして、図1および図4に破線矢印で示すように、開口部6を経てエンジンルーム11内に取り入れられた走行風は、ライセンスプレート4の下端への干渉により該ライセンスプレート4の後方において渦巻いて空隙部33から走行風導入口31,32を経て上部空間26内に導入された後、吸気ダクト12の上流端に案内され、該吸気ダクト12を経てエンジンの燃焼室に吸気として供給される。この場合、開口部6を経て取り入れられる走行風は、比較的狭い走行風導入口31,32を通して比較的広い上部空間26に入ることにより、急激に膨張し、走行風のエネルギが低減されるため、水溜まりなどを走行した際に開口部6を経てエンジンルーム11内に取り入れられた水分の混入する走行風は、図1および図4に破線矢印で示すように、ライセンスプレート4の後方において渦巻いて空隙部33から走行風導入口31,32を経て上部空間26内に導入されても、走行風導入口32の周縁上部による走行風の下方への偏向及びエネルギの低減によって水分のみが上部空間26の下側に落下せしめられ、吸気ダクト12の上流端には走行風のみが案内される。なお、公道以外の道路、例えばサーキット上などで車両1を極限走行させる場合には、ライセンスプレート4をライセンスプレート取付面2aから取り外すことで、走行風がダイレクトに走行風導入口31,32を経て上部空間26内に導入され、吸気ダクト12を経てエンジンの燃焼室へ供給される吸気の充填効率が効果的に高められることになる。
【0027】
また、上記開口部6の上側部分の後方には、上記クロスメンバ28の下方において上流端が開口する案内ダクト34が配設され、この案内ダクト34の下流端は上記インタクーラ15に対して連通している。上記開口部6の下側部分の後方には、上端が上記案内ダクト34の上流端付近に支持されて車体前方へ傾斜するラジエータ35が配設されている。上記ラジエータ35の下方には、前端が補強部材41の後端にボルト37(図1及び図4に表れる)により締結されて車体後方へ延びるアンダーカバー36が配設されている。そして、上記開口部6を経て真っ直ぐ後方へ取り入れられた走行風の一部は、図1および図4に一点鎖線矢印で示すように、案内ダクト34によりインタクーラ15への冷却風として導かれる。一方、上記開口部6を経て真っ直ぐ後方へ取り入れられた走行風の残りは、図1および図4に二点鎖線矢印で示すように、アンダーカバー36によりラジエータ35への冷却風として導かれる。
【0028】
次に、図10に基づいて、補強部材41の構成を詳述するに、この補強部材41の各取付フランジ41L,41Rのボルト挿通孔42は、車体前方に開口する凹溝45により構成され、これにより、車両1走行時に路面との干渉などによりバンパーフェイス下側部分5bおよびチンスポイラ10を経て車体後方への衝突荷重が補強部材41に作用した場合に、両取付フランジ41L,41Rと、ボルト挿通孔42のボルト43とが凹溝45内で車体前後方向へ相対移動し、補強部材41の車体後方への移動を許容、又は、補強部材41がバンパーレインフォースメント21から外れるようになっている。
【0029】
また、図2,図5及び図6に示すように、上記バンパーフェイス2と補強部材41とは、車幅方向に互いに離れた複数箇所(図では3箇所)において互いに接合されている。具体的には、バンパーフェイス2の開口部6周縁下部に車体後方へ突出する3個のフランジ片6c,…が設けられている一方、補強部材41の下部上縁の車幅方向3箇所に車体後方へ突出するフランジ片41a,…が設けられ、これらフランジ片6cと、フランジ片41aとが例えばファスナ46(図1及び図4に表れる)により互いに締結されている。
【0030】
したがって、本実施形態では、バンパーフェイス2の周縁上部6aがバンパーレインフォースメント21後端部の周縁下部により補強され、残る周縁下部6bが、バンパーレインフォースメント21にボルト43により締結されて開口部6を車体背後から取り囲む補強部材41により補強されるので、バンパーフェイス2の開口部6の周縁が効果的かつ確実に補強される。このため、本実施形態では、開口部の周縁対向部同士(上下両縁同士および左右両側縁同士など)を連結する連結部材により開口部周縁を補強する場合のように連結部材への走行風の干渉により走行風のスムーズな流れを分割して走行風の取り込みに支障を招いてしまうということがなく、走行風がスムーズに取り込まれる。したがって、エンジンの高出力化に伴い、走行風を積極的にかつ効率良くエンジンルーム11内に取り入れたいという要求があれば、その要求に応じて開口部6の開口面積を円滑に増大させることができる。
【0031】
しかも、バンパーフェイス2、バンパーレインフォースメント21及び補強部材41などそれぞれ別個の部材によりバンパー20を構成したので、バンパーフェイス2の開口部6をバンパーレインフォースメント21及び補強部材41による高剛性部材同士の共同によってより効果的にかつ確実に補強することができる。
【0032】
また、補強部材41は、バンパーレインフォースメント21の周縁下部の左右両位置に対してボルト43締結により着脱可能に取付固定されているので、補強部材41が破損した場合には、破損した補強部材41のみをバンパーレインフォースメント21から取り外して容易に交換することが可能となり、サービス性の向上を図ることができるとともに、開口部形状が異なる車種への補強部材41の変更、および開口部6が存在しない車種への補強部材41の廃止にも簡単に対応できてバンパーレインフォースメント21の汎用性の向上を図ることができる。
【0033】
さらに、補強部材41は、車両1走行時に路面との干渉などによりバンパーフェイス下側部分5bおよびチンスポイラ10を経て車体後方への衝突荷重が作用すると、補強部材41の車体後方への移動を許容、又は補強部材41がバンパーレインフォースメント21から外れるので、バンパーレインフォースメント21に対し衝突荷重がそのまま入力されることがなく、路面干渉などの衝突荷重によるバンパーレインフォースメント21への悪影響、例えば捩じれなどの変形を確実に防止することができる。
【0034】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を図12〜図14に基づいて説明する。
【0035】
この実施形態では、上記第1の実施形態の補強部材の構成を変更している。尚、補強部材51を除くその他の構成は上記実施の形態の場合と同じであり、同一の部分については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0036】
すなわち、本実施形態では、図12および図13に示すように、補強部材51の左右両端部は、その下部が車体後方へ開口する断面略コ字状に形成されているのに対し、図14にも示すように、上部が車体前方へ開口する断面略コ字状に形成されている。つまり、補強部材51の左右両端部は、各取付フランジ51L,51Rよりも下側位置においてその上方及び下部の互いの断面形状を異ならせている。具体的には、補強部材51は、各取付フランジ51L,51Rの下側位置より上方に行くに従い左右両辺の車体前方への膨出量を漸増させる断面略コ字状に形成されている一方、各取付フランジ51L,51Rの下側位置より下方に行くに従い左右両辺の車体後方への膨出量を漸増させる断面略コ字状に形成されている。
【0037】
また、図13にも示すように、上記補強部材51の各取付フランジ51L,51Rの下側位置では、その左右両辺の車体前方及び車体後方への膨出量が最も少ないために剛性が低下しており、この剛性の低い部位(各取付フランジ51L,51Rの下側位置)が車両走行時などの路面干渉による衝突荷重を受けて破断する脆弱部53に形成されている。この脆弱部53は、車幅方向へ長い長孔52を備え、車両1走行時に路面との干渉などによりバンパーフェイス下側部分5bおよびチンスポイラ10を経て車体前後方向から衝突荷重が補強部材51に入力された際に補強部材51をバンパーレインフォースメント21に対し各取付フランジ51L,51Rよりも下側位置(長孔52付近)で破断し易くするように構成されている。さらに、図14に示すように、上記各フランジ51L,51Rにはほぼ真円形状のボルト挿通孔54が形成されている。そして、図12及び図13に示すように、補強部材51の下部上縁の車幅方向3箇所に車体後方へ突出するフランジ片51a,…が設けられ、これらフランジ片51aと、バンパーフェイス2の開口部6周縁下部の各フランジ片6cとが例えばファスナ(図示せず)により互いに締結されている。
【0038】
これにより、補強部材51は、バンパーレインフォースメント21に対し各取付フランジ51L,51Rよりも下側位置で破断し易くなっているので、車両1走行時に路面の凸部などと干渉するバンパー20の路面干渉時、車両1走行時に路面との干渉などによりバンパーフェイス下側部分5bおよびチンスポイラ10を経て車体前方から衝突荷重等が入力されると、その入力された衝突荷重に応じて補強部材51が左右両端部の脆弱部53において折曲又は破断し、バンパーレインフォースメント21に対して上記衝突荷重がそのまま入力されることがなく、路面干渉など衝突荷重によるバンパーレインフォースメント21への悪影響を確実に防止することができる。
【0039】
<他の実施形態>
尚、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含するものである。例えば、開口部がバンパーレインフォースメントから上方又は下方に離れた位置のバンパーフェイスに設けられる場合には、開口部の周縁全域を車体背後から連続して取り囲むように補強部材が配置され、この補強部材がバンパーレインフォースメントに取り付けられる。
【0040】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明における車両の前部車体構造によれば、バンパーレインフォースメントに固定した補強部材によりバンパーの開口部を車体背後から取り囲むので、開口部の周縁を効果的かつ確実に補強し、エンジンの高出力化に伴い開口部の開口面積を円滑に増大させることができる。
【0041】
また、バンパーフェイス、バンパーレインフォースメント及び補強部材というそれぞれ別個の3部材によりバンパーを構成したので、バンパーフェイスの開口部をバンパーレインフォースメント及び補強部材による高剛性部材同士の共同によってより効果的にかつ確実に補強することができる。
【0042】
請求項2記載の発明における車両の前部車体構造によれば、バンパーレインフォースメント下方位置の開口部周縁を補強する補強部材に脆弱部を設けたので、バンパーの路面干渉などによる衝突荷重入力時に、補強部材を脆弱部で積極的に破断させてバンパーレインフォースメントへの悪影響を確実に防止することができる。
【0043】
さらに、請求項4記載の発明における車両の前部車体構造によれば、補強部材をバンパーレインフォースメントに着脱可能に取り付けたので、補強部材破損時の交換作業を容易に行えてサービス性の向上を図ることができるとともに、補強部材の変更および廃止にも簡単に対応できてバンパーレインフォースメントの汎用性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態において図6のA−A線で切断した一部省略断面図である。
【図2】 同じくバンパーフェイスを車体斜め前方より視た斜視図である。
【図3】 図6のE−E線における一部省略断面図である。
【図4】 図6のB−B線における一部省略断面図である。
【図5】 同じくバンパーレインフォースメントおよび補強部材を分解した状態で車体斜め前方より視た斜視図である。
【図6】 同バンパーレインフォースメントの正面図である。
【図7】 図6のC−C線における一部省略断面図である。
【図8】 図6のD−D線における一部省略断面図である。
【図9】 図6のF−F線における一部省略断面図である。
【図10】 図6のG−G線における一部省略断面図である。
【図11】 図6のH−H線における一部省略断面図である。
【図12】 本発明の第2の実施形態に係る図5相当図である。
【図13】 同じく図6相当図である。
【図14】 図13のJ−J線における一部省略断面図である。
【符号の説明】
1 車両
2 バンパーフェイス
6 開口部
21 バンパーレインフォースメント
41,51 補強部材
41L,41R 取付フランジ(固定部)
51L,51R 取付フランジ(固定部)
53 脆弱部
Claims (4)
- 車体前部にバンパーが取り付けられ、上記バンパーの車幅方向中央部には車体前方に開口して走行風を取り入れる開口部が車幅方向の側部に広がるように形成されている車両の前部車体構造において、
上記バンパーは、
上記開口部を形成する周縁部を有するバンパーフェイスと、
車体前部に取り付けられ上記周縁部よりも上方のバンパーフェイス背後において車幅方向へ延びて該周縁部上側を補強するバンパーレインフォースメントと、
上記バンパーレインフォースメントに固定されかつ上記開口部を取り囲むように上記周縁部背後のバンパーフェイスに配置された補強部材とを備え、
上記バンパーレインフォースメントには、車幅方向の側部にヘッドランプ取付孔がそれぞれ貫通して形成されていることを特徴とする車両の前部車体構造。 - 車体前部にバンパーが取り付けられ、上記バンパーには車体前方に開口して走行風を取り入れる開口部が形成されている車両の前部車体構造において、
上記バンパーは、
車体前部に取り付けられ車幅方向へ延びるバンパーレインフォースメントと、
このバンパーレインフォースメントに固定され上記開口部を取り囲むように配置された補強部材とを内部に備え、
開口部はバンパーレインフォースメントの下方位置に設定され、
補強部材には、この補強部材をバンパーレインフォースメントに対し固定する固定部よりも下側位置で車体前後方向の荷重を受けて破断する脆弱部が形成されていることを特徴とする車両の前部車体構造。 - 請求項1の前部車体構造において、
上記バンパーフェイスには、開口部の車幅方向両側方にフォグランプ取付孔がそれぞれ貫通して形成され、
上記補強部材は、バンパーフェイスにおける開口部とフォグランプとの間の周縁部に配置されていることを特徴とする車両の前部車体構造。 - 請求項1から3のいずれか1つの車両の前部車体構造において、
補強部材は、バンパーレインフォースメントに対して着脱可能に固定されていることを特徴とする車両の前部車体構造。
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