JP3713763B2 - 自動車の前部構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の前部構造に係り、特に、ノーズパネルの上方にバンパを配設することで空力特性の向上を図るようにした自動車の車体前部の構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平5−69861号公報に開示されているように、ノーズパネルの高さ位置を低く設定すると共に、このノーズパネルの前端部上方にバンパを配設し、このバンパの両端をノーズパネル両側のフェンダ部分に連結することにより、ノーズパネルとバンパとの間に走行風流通用の開口を形成した車体構造が知られている。つまり、この開口に走行風を流すことで、バンパの上下両側に走行風が流れることになって、このバンパにスポイラとしての機能を発揮させながら、上記開口から導入した走行風を、ボンネット、フロントガラス、ルーフに沿って流し、高い空力特性が得られるようにしている。また、ノーズパネルを低い位置に設定しているにも拘らずバンパ高さを前突時の衝撃荷重を受け得る高さに設定できるので前突に対する車体強度を十分に確保することもできる。
【0003】
また、この種の車両では、バンパの強度を十分に確保するために、該バンパ内に収容されて車幅方向に延びるバンパフレームの両端部を、エンジンルーム内の左右両側において前後方向に延びる一対のフロントサイドフレームの前端に連結している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した車体構造においては、より高い空力特性を得るため、またデザイン性の面から、バンパとノーズパネルとの間の開口の車幅方向寸法をできるだけ大きく確保したいといった要求がある。
【0005】
しかし、上記公報に開示されている車体構造では、フロントサイドフレームの高さ位置と開口の高さ位置とが略一致しているために、この開口幅をフロントサイドフレームの外側まで広げることができず、このフロントサイドフレームの位置によって開口の車幅方向寸法が制約されていた。
【0006】
また、フロントサイドフレームの高さ位置を開口よりも上側若しくは下側に位置させればフロントサイドフレームによる制約を受けることなく開口の車幅方向寸法を大きく確保することができるが、このような構成では以下のような不具合がある。つまり、フロントサイドフレームの高さ位置を開口よりも上側に位置させた場合、このフロントサイドフレームの上側を覆うノーズパネルの位置も高い位置に設定されることになってしまい、上述したノーズパネルの高さ位置を低く設定することによる空力特性の向上が阻害されてしまう。一方、フロントサイドフレームの高さ位置を開口よりも下側に位置させた場合、このフロントサイドフレームの前端と、開口よりも上側に位置するバンパフレームとを連結するための連結部材の高さ寸法が大きくなってしまいバンパフレームの支持強度の低下が懸念されるので、この支持強度を十分に得るために、連結部材を大型にしたり、この連結部分を補強する必要があり、車体重量の増大を招くことになり実用性に欠ける。
【0007】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたものであって、ノーズパネルと、該ノーズパネルの上方に配置されスポイラ兼バンパとしての部材との間に開口を有する車両において、フロントサイドフレームの高さ位置と開口の高さ位置とを略一致させながら、この開口の車幅方向寸法をフロントサイドフレームの外側まで広げることを目的とする。それと共に、タイヤハウス内に導入された走行風をエンジンへ吸気として導入する構成において、タイヤハウス内の内部圧力が走行風の動圧の影響により変動して空燃比がばらつくことを防止することが求められる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、車体前部の左右両側において前後方向に延びるフロントサイドフレームと、車体前部のノーズ部分を構成すると共に、前端部が上記フロントサイドフレームの配設高さ位置よりも下側に位置するノーズパネルと、該ノーズパネルの車幅方向外側に設けられたフェンダ部と、上記ノーズパネルの前端部上方に配設され、このノーズパネルとの間で、フロントサイドフレームと略同一高さ位置の走行風流通空間を形成し、且つ車幅方向両端部がフェンダ部に連続されたスポイラ部材とを備えた自動車の前部構造を前提としている。そして、上記フェンダ部にはタイヤハウスが形成されており、上記タイヤハウス内には、エンジンへ吸気を導入する吸気管の上流端が開放されており、上記フェンダ部とスポイラ部材との連続部分には、走行風流通空間の左右両側の縦壁が形成され、上記縦壁には、タイヤハウス内に導入された走行風を排出するための開口が形成された構成としている。
【0009】
このような構成により、タイヤハウスの内部空間の空気が吸気管によってエンジンに吸入されることになる。そして、タイヤハウスの内部空間に走行風を取入れることで、このタイヤハウスの内部空間の空気がエンジンからの熱などによって温度上昇して吸気の充填効率が低下してしまうといった状況を回避できる。つまり、タイヤハウスへの走行風の導入により吸気の冷却を行うことができる。また、タイヤハウスの内部空間に導入した走行風の一部は縦壁の開口から排出されることになる。このため、タイヤハウスの内部圧力が走行風の動圧の影響によって異常上昇するといったことがなくなり、この圧力変動に伴う空燃比のばらつきが回避されて、常に適切な空燃比が得られる。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の自動車の前部構造において、走行風流通空間の左右両側の縦壁間で、且つスポイラ部材の下側に、走行風導入用の開口を設けた構成としている。
【0011】
この構成により、スポイラ部材に覆い隠される位置に走行風導入用の開口が位置することになり、車両の外観の見映えを阻害することなしに走行風導入用の開口を形成することができる。つまり、特に走行風の風量が多い部分に走行風導入用の開口を形成しながら、スポイラ部材をこの開口を覆い隠す部材として利用できる。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の自動車の前部構造において、走行風導入用の開口を、エンジンルーム冷却風導入用、オイルクーラ冷却風導入用、エンジンへの吸気導入用の何れかとした構成としている。
【0013】
この構成により、走行風を有効に利用して、エンジンルームの冷却、オイルクーラの冷却或いはエンジンへの吸気導入を行うことができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の自動車の前部構造において、スポイラ部材とフェンダ部との連結部分にフロントサイドフレームの前端部を挿入した構成としている。
【0015】
この構成により、フロントサイドフレームの前端部をスポイラ部材とフェンダ部によって覆い隠すことができ、フロントサイドフレームの高さ位置に拘りなくノーズパネルを低い位置に設定できるので車両の空力特性が向上できる。
【0016】
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の自動車の前部構造において、スポイラ部材の内部に、車幅方向に延びる補強用のレインフォースメントを配設し、該レインフォースメントの左右両端部を各フロントサイドフレームの前端部に接続した構成としている。
【0017】
この構成により、スポイラ部材は、剛性の高い各フロントサイドフレームに支持されることになるので、その支持剛性が向上する。
【0018】
請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の自動車の前部構造において、スポイラ部材の前端位置を、ノーズパネルの前端位置よりも前方に位置させた構成としている。
【0019】
この構成により、車両の前突時には、ノーズパネルよりもスポイラ部材に先に衝撃荷重が作用することになり、このスポイラ部材にバンパとしての機能を発揮させることができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の自動車の前部構造において、ノーズパネルの下側に、走行風をフロントブレーキに向って案内して該フロントブレーキを冷却するブレーキエアダクトを設け、タイヤハウスの内部空間を、このブレーキエアダクトに連通させた構成としている。
【0021】
この構成により、ブレーキエアダクトを流れる走行風の一部はタイヤハウスの内部空間に導入されることになり、この導入された空気が吸気管によってエンジンに吸気として導入する。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。図1に示すように、本形態に係る車両1は、フロントノーズ部分2が、フロントガラス3の前端から車体前端に向って大きな傾斜角度をもって下方に傾斜された所謂スラントノーズで構成されている。このフロントノーズ部分2は、ノーズパネル4と、該ノーズパネル4の車幅方向外側に連続し、僅かに上方に向って湾曲されたフェンダパネル5,5とを備えてなり、ノーズパネル4の中央部分にはボンネット4aが設けられている。また、上記両フェンダパネル5,5と図示しないフェンダエプロンとの間でタイヤハウス6が構成されており、該タイヤハウス6にフロントタイヤTが配置されている。また、上記両フェンダパネル5,5の前端部分には所謂リトラクタブル式のヘッドランプ7,7が取付けられている。このヘッドランプ7,7は、図10に示すように、エンジンルームR内に配置された発光源としてのバラスト51から各ランプ7,7に向って2本の光ケーブル7a,7aが延びており、バラスト51からの光が光ケーブル7a,7aにより各ランプ7,7に伝送されるようになっている。また、この各光ケーブル7a,7aは、途中で2本に分岐されており、例えば1本はヘッドランプ7に他の1本はフォグランプに夫々光を伝送するようになっている。
【0023】
そして、このノーズパネル4の前端部の上方にはバンパ機能を備えたスポイラ部材としてのフロントスポイラ8が配設されている。このフロントスポイラ8は、上記ノーズパネル4に対して所定寸法だけ離れた上側に位置し、車幅方向の両端部がフェンダパネル5,5に連続している。これにより、フロントスポイラ8とノーズパネル4との間には、車幅方向に延び、車体前後方向が開放するメイン開口10が形成されている。つまり、本車両1のフロントノーズ部分2の前端部は、バンパ機能を備えたフロントスポイラ8よりも低い位置に設定され、これによってボンネット4aの高さを低くして走行時の空気抵抗を小さくし、空力特性の向上(cd値の低減)を図った構成となっている。また、図2〜図4に示すように、上記フロントスポイラ8の断面形状は、所謂翼型に形成されている。つまり、上面8aの車体前後方向長さ寸法が下面8bの車体前後方向長さ寸法よりも短く設定されており、これによって図5に示すように、この上下両面8a,8bに沿って走行風が流れる際、上側を流れる走行風Aよりも下側を流れる走行風Bの方が吹き抜け長さが長いために、図5に示す押し下げ力C(所謂ダウンフォース)が発生して、車両1の路面に対する接地力を高めて走行安定性が向上するようになっている。
【0024】
また、このフロントスポイラ8の前端位置はノーズパネル4の前端よりも僅かに前側に設定されており、車両の前突時には、ノーズパネル4よりもフロントスポイラ8が先に衝撃荷重を受けるようになっている。つまり、フロントスポイラ8によってバンパ機能が発揮されるようになっているので、ノーズパネル4が低い位置に設定されているにも拘らず所定の高さ位置にバンパが配設されたことになり、前突に対する車体強度を十分に確保することができる構成となっている。つまり、このフロントスポイラ8は、所謂フローティングバンパとしても構成されている。
【0025】
また、図2及び図3(これら図はフロントスポイラ8を仮想線で示している)に示すように、ノーズパネル4下側のエンジンルームRの左右両側には車体前後方向に延び、車体前部の基本車体構造部材を成す一対のフロントサイドフレーム11,11が配設されている。このフロントサイドフレーム11の高さ位置は上記メイン開口10の高さ位置に略一致している。そして、上述したようにノーズパネル4はスラントノーズとなっているので、フロントサイドフレーム11,11の前端部分は、このノーズパネル4前端の左右両側部において該ノーズパネル4を貫通して前方に延長されており、この延長部分の先端部は上記フロントスポイラ8の内部に延びて、該フロントスポイラ8内に配置されたスポイラフレーム8cに連結されている。また、このフロントサイドフレーム11,11の前端部分は、左右一対のカバー部材としてのカバーパネル12,13によって覆い隠されて車体外観の見映えを良好に確保している。つまり、このカバーパネル12,13は、フロントサイドフレーム11,11の前端部分に対応した部分のみが車幅方向内側に位置されている。具体的には、フロントサイドフレーム11前端部分の車幅方向内側面よりも内側に位置する第1の縦壁としての内側カバー部12a,13aと、該内側カバー部12a,13aの前端に連続し、前方に向うにしたがってフロントサイドフレーム11の前側において車幅方向外側へ傾斜してフロントサイドフレーム11の下側を覆う第2の縦壁としての前側カバー部12b,13bと、上記内側カバー部12a,13aの後端に連続し、後方に向うにしたがってフロントサイドフレーム11の上側に回り込みながら車幅方向外側へ傾斜してフロントサイドフレーム11の上側を覆う上側カバー部12c,13cとを備えている。つまり、この各カバー部12a,12b,12c,13a,13b,13cはメイン開口10の左右両側の縦壁を構成しており、このような形状であるために、メイン開口10の前端開口縁では、前側カバー部12b,13bがフロントサイドフレーム11よりも外側に位置し、これによってメイン開口10の開口幅寸法がフロントサイドフレーム11,11同士の間隔寸法よりも大きく設定されている。
【0026】
このフロントノーズ部分2におけるフロントスポイラ8の組付け構造について説明すると、図6に示すように、ノーズパネル4の先端部で車幅方向に延びるスポイラフレーム8cが、フロントサイドフレーム11,11間に架設されており、その前側からフロントスポイラ8の前面部分を構成するスポラフェイスパネル8dが、スポイラフレーム8cとの間に緩衝部材8eを介在して装着される。また、カバーパネル12は、ノーズパネル4に連続し、その前側部分を成す下面部12d、メイン開口10の縦壁を成す上記各カバー部12a,12b,12c、フロントスポイラ8の下面の一部を成す上面部12eを備えた断面が略コ字状の部材であって、上面部12eにスポイラフェイスパネル8dを取付けるためのねじ孔12f,12fが形成されている。また、スポイラフレーム8cは上面部12eよりも上側に配置されている。そして、このカバーパネル12にスポイラフェイスパネル8dが取付けられた状態では。図4に示すように、スポイラフェイスパネル8dとカバーパネル12の上面部12eとにより閉断面構造のフロントスポイラ8が構成され、その内部に上記スポイラフレーム8c及び緩衝部材8eが配設されることになる。また、このスポイラフェイスパネル8dの車幅方向中央部分の下側はカバー材8f(図6に仮想線で示す)によって覆われてフロントスポイラ8の下側を覆い隠し、フロントスポイラ8全体を閉断面構造に構成している。また、上記カバーパネル12,13を取外せば、その下側のメンテナンスを容易に行うことができ、その作業性の向上が図れる構成となっている。
【0027】
そして、このフロントノーズ部分2には、上記メイン開口10以外に、複数の開口が形成されている。以下、各開口について説明する。先ず、図2に示すように、ノーズパネル4の前端部分における車幅方向中央部には、メイン開口10を流れる走行風をエンジンルームR内に導入して後述するオイルクーラ60を冷却するためのセンタ開口15が形成されている。図7はノーズパネル4及び右側のカバーパネル12の斜視図を示しており、この図に示すように、センタ開口15の前側部分では、ノーズパネル4が部分的に凹陥されており、この凹陥部分15aの後端部に貫通孔でなる上記センタ開口15が形成されて外部とエンジンルームRとを連通している。つまり、この凹陥部15aによって案内された走行風がセンタ開口15からエンジンルームR内に導入される構成となっている。また、この凹陥部15aの平面視形状は車体後方に向うにしたがって末広がり状となっている。尚、このセンタ開口15は、図1の如く、上側がフロントスポイラ8によって覆われているので、車体の外観からは見え難くい位置に設定されており、このため、車体外観の見映えを良好に維持しながらエンジンルームR内への走行風の導入が可能となっている。
【0028】
また、図2に示すように、上記各カバーパネル12,13のうち車体右側に位置するカバーパネル12の前側カバー部12bには、走行風をエンジンルームR内に導入して後述するエンジンEのエキゾーストマニホールド40や電装品等を冷却するためのエンジンルーム冷却開口16が形成されている。この開口16には金属メッシュでなる図示しないカバーが取付けられており、エンジンルームR内に異物が入り込むことを阻止している。
【0029】
更に、この車体右側に位置するカバーパネル12の上側カバー部12cには、エンジンルームR内に配置されたウインドウォッシャタンクへの注水用のサービス用開口17が形成されている。この開口17にも金属メッシュでなるカバーが取付けられており、ウインドウォッシャタンクへの注水時には取外されるようになっている。
【0030】
一方、図3に示すように、車体左側に位置するカバーパネル13の前側カバー部13bには、走行風をエンジンEの吸気として導入するためのダイレクト吸気用開口18が形成されている。この開口18の位置は上記エンジンルーム冷却開口16と対称となる位置に設定されている。
【0031】
また、この車体左側に位置するカバーパネル13の上側カバー部13cには、上記タイヤハウス6の内部空間に連通するエア抜き開口19が形成されている。また、この開口19の位置も上記サービス用開口17と対称となる位置に設定されている。そして、これら各開口18,19にも上記と同様に、金属メッシュでなるカバーが取付けられており、エンジンルームR内等に異物が入り込むことを阻止している。
【0032】
更に、ノーズパネル4前端部の下側には、ラジエータ冷却用の空気を導入するためのラジエータ開口20と、該ラジエータ開口20の左右両側に位置しフロントブレーキ冷却用の空気を導入するためのブレーキエア開口21,22が形成されている。これら開口20,21,22は、図8及び図9にも示すように、ノーズパネル4前端とその下側に配設されたアンダカウル23との間に形成されており、この両者に亘って架設された補強用の連結部材24よりも車幅方向内側がラジエータ開口20に形成され、外側がブレーキエア開口21,22に形成されている。そして、ラジエータ開口20には、このラジエータ開口20から導入された走行風をラジエータ45に案内するためのラジエータダクト25が取付けられている。このラジエータダクト25は、前面及び背面が夫々開放された箱型の部材であって、上面25aの前端部がノーズパネル4の前端部分に、下面25bの前端部がアンダカウル23の前端部分に夫々ねじ止めされている。また、ブレーキエア開口21,22には、このブレーキアエ開口21,22から導入された走行風をフロントブレーキに案内するためのブレーキエアダクト26が取付けられている。このブレーキエアダクト26は、前端の開口形状がブレーキエア開口21,22の形状に略一致して該ブレーキエア開口21,22に嵌め込まれ、後端の開口部に向うにしたがって先細り状に形成されて、導入された走行風の流速を高めてフロントブレーキに向って流すようになっている。また、このブレーキエアダクト26の車幅方向内側縁は上記ラジエータダクト25の下面25bにねじ止めされている。更に、車体左側に位置するブレーキエアダクト26の上面には、このブレーキエアダクト26を流れる走行風の一部をタイヤハウス6の内部空間に導入するためのバイパスダクト27が取付けられている。つまり、このバイパスダクト27は、上流端がブレーキエアダクト26の上面に開口し、下流端がタイヤハウス6の内部空間に開口している。
【0033】
このように、このフロントノーズ部分2には、上記メイン開口10以外に、センタ開口15、エンジンルーム冷却開口16、サービス用開口17、ダイレクト吸気用開口18、エア抜き開口19、ラジエータ開口20、左右一対のブレーキエア開口21,22といった複数の開口が形成されている。
【0034】
次に、上記エンジンルームR内の構成について説明する。図10はエンジンルームR内の平面図、図11はエンジンルームR内を車体右側から見た側面図、図12はエンジンルームR内を車体左側から見た側面図である。これら図に示すように、エンジンルームR内の左右両側には上記フロントサイドフレーム11,11(仮想線で示す)が車体前後方向に延びており、この各フロントサイドフレーム11,11間には前側から順にフロントエンドクロスメンバ30、NO1 クロスメンバ31が架設されて車体剛性が十分に確保されている。また、このエンジンルームRには、ロータリエンジンEがエンジンマウント33,33及び図示しないエンジンマウントブラケットを介して上記各フロントサイドフレーム11,11に支持されながら収容されている。このエンジンEの配設位置について説明すると、上述したようにフロントノーズ部分2は車体前方に向って次第に低くなっているので、エンジンEは、エンジンルームR内の比較的高さ寸法の大きな後端部位置に設置された所謂センタミッドタイプとなっている。つまり、エンジン前端と車体前端(フロントスポイラ8の前端)との距離が大きくなって、前突時のクラッシュスペースの拡大化が図れる構成となっている。また、このエンジンEのセンタミッド化により車体のヨー慣性モーメントを小さくすることができ、走行安定性の向上を図ることができる。更に、このエンジンEは、オイルパンを備えていない所謂ドライサンプ化されたものであって、オイルパンに代えて潤滑油を貯留するための後述するキャッチタンク65が備えられている。このようにオイルパンを備えていないので、エンジン下面を平坦面とし、且つ全体の高さ寸法を低く抑えることができて、エンジンルームR内におけるエンジン収容スペースの必要高さ寸法を短縮でき、これによってもスラントノーズ化を容易に実現することができる。
【0035】
そして、このエンジンEの吸気系について説明すると、図10及び図12における34は樹脂製のエアクリーナであって、エンジンEの前側で車幅方向中央部よりも僅かに左寄りの位置に配置されている。また、このエアクリーナ34には2系統の吸気通路が設けられている。具体的には、上流端が上記タイヤハウス6内部に開口し、複数箇所で屈曲されて下流端がエアクリーナ34の側面に接続する比較的管長の長いノーマルフレッシュエアダクト35と、上流端が車体前方に向って開口し、略車体前後方向に延びて下流端がエアクリーナ34の前面に接続するダイレクトフレッシュエアダクト36とが備えられている。また、このダイレクトフレッシュエアダクト36の前端(上流端)は、上述した各開口の1つであるダイレクト吸気用開口18に接続されており、この開口18から導入された走行風がダイレクトフレッシュエアダクト36を経てエアクリーナ34に導入可能となっている。つまり、このダイレクトフレッシュエアダクト36は、フロントスポイラ8よりも下側の比較的低い位置において車体前方に向って開放されている。また、図13に示すように、エアクリーナ34には、このダイレクトフレッシュエアダクト36からの走行風の導入状態を切換える切換え弁34aが設けられている。この切換え弁34aは、エアクリーナ34の内壁に回動自在に取付けられ、図示しないアクチュエータによって回動される弁体によりなり、エアクリーナ34に対するダイレクトフレッシュエアダクト36の接続部を開閉するものである。つまり、閉鎖状態(図13に実線で示す状態)では、ダイレクトフレッシュエアダクト36からエアクリーナ34への走行風の導入を阻止してノーマルフレッシュエアダクト35からのみ空気が導入される一方、開放状態(図13に仮想線で示す状態)では、ダイレクトフレッシュエアダクト36からエアクリーナ34への走行風の導入を許容して各フレッシュエアダクト35,36からエアクリーナ34へ空気が導入されるようになっている。そして、この切換え弁34aの切換え動作としては、エンジンEの低速低負荷運転状態では閉鎖状態に、高速高負荷運転状態では開放状態に夫々切換えられる。これにより、低速運転状態においてダイレクトフレッシュエアダクト36からエアクリーナ34内への雨水の侵入等を阻止しながら、比較的管長の長いノーマルフレッシュエアダクト35を使用することで吸気音の低減を図る一方、高速運転時においては、吸気量を大幅に増大してエンジン性能を向上させるようにしている。また、停車中(アイドリング状態)には、エンジン回転数に応じて切換え弁34aの切換え動作を行う。つまり、アイドリング回転数からエンジン回転数が増大する際にのみ切換え弁34aを開放することで発進時のレスポンス性の向上を図ることができるようになっている。
【0036】
また、図14に模式的に示すように、ノーマルフレッシュエアダクト35の上流端が開口しているタイヤハウス6の内部空間には、バイパスダクト27によりブレーキエアダクト26からの走行風が導入され、この走行風はカバーパネル13の上側カバー部13aに形成されているエア抜き開口19から排出されることになるので、このタイヤハウス6内で空気が滞留することがなく、このタイヤハウス6の空気がエンジンEからの熱等によって高温になり吸気の充填効率の低下を引き起こしたり、タイヤハウス6の内圧が異常上昇して空燃比に悪影響を与えるといったことが回避される構成となっている。
【0037】
そして、上記エアクリーナ34において浄化された空気は、エアインテークパイプ37(図10参照)及びスロットルボディ38を経てインテークマニホールド39からエンジンEの燃焼室に気化燃料と共に導入されるようになっている。尚、このエアクリーナ34、エアインテークパイプ37及びスロットルボディ38は、車体前後方向に直線状に配置されているので燃焼室への吸気の導入が円滑であり、エンジンEのレスポンスが良好に得られる。
【0038】
また、図10における40は、エキゾーストマニホールドであって、上流端がエンジンEの右側面に接続され、下流端が車体後方に向って延びている。また、上記スロットルボディ38に備えられているアクセルリンク38aは、車幅方向がエンジンEの中央位置で、且つ車体前後方向がエンジンマウント33と同一位置、つまり、左右のエンジンマウント33,33間の略中央位置に設定されている。この構成により、アクセルリンク38aをエンジンEの振動の最も小さい部分に配置することができ、アクセルペダルの操作に対するエンジンEのレスポンスがエンジン振動の影響を殆ど受けることなしに良好に得られ、アクセルフィーリング性の向上を図ることができる。
【0039】
次に、エンジン冷却系について説明する。図10〜図12における45はラジエータであって、フロントサイドフレーム11よりも下側で、鉛直方向に対して比較的大きな角度をもった前傾姿勢で配置されている。このラジエータ45は、図9の如く、ラジエータダクト25の背面部にボルト止めされており、上記ラジエータ開口20から導入された走行風が、このラジエータダクト25を経てラジエータ45を通過するようになっている。そして、このラジエータ45には、エンジンEとの間でエンジン冷却水を循環させるラジエータホース45a,45bが接続されている。冷却水供給側のラジエータホース45aはラジエータ45の右側部の上面に、回収側のラジエータホース45bはエアクリーナ34の下側を通ってラジエータ45の左側部の上面に夫々接続されている。このように、ラジエータ45は、フロントサイドフレーム11、11よりも下側に配設されているので、その車幅方向寸法がフロントサイドフレーム11、11の間隔寸法の制約を受けることがなく、車幅方向寸法の拡大に伴って必要厚さ寸法を小さくすることができ、エンジンルームR内の有効スペースの拡大を図ることができる。また、このラジエータ45の左右両側にはフロントサイドフレーム11、11の外側面から下方に延びるタイダウンフック14が設けられており、このタイダウンフック14の下端はラジエータ45よりも下側まで延長されていて、例えば悪路走行時などにおいてラジエータ45が路面に接触して破損することを回避している。
【0040】
また、このラジエータ45の前側にはエアコン用コンデンサ46が、後側には電動ファン47が配設されている。この電動ファン47は、左右一対のファン47a,47bを備えており、車体左側(エアクリーナ34の下側)に位置するファン47aは4枚羽根で構成されているのに対し、車体右側(エキゾーストマニホールド40の前側)に位置するファン47bは5枚羽根で構成されている。つまり、この車体右側に位置するファン47bの方が左側に位置するファン47aよりも能力の高いものとなっている。このため、電動ファン47の駆動時には、エンジンルームR内の左側部分よりも右側部分に多量の冷却風が流れることになり、この右側部分に配設されている機器の冷却効率が高められている。そして、この右側部分には、特に発熱し易い機器が配置されており、電動ファン47への入力電流を必要最小限に抑えながら各機器を十分に冷却できるようにしている。このエンジンルームR内の右側部分に配設されている機器としては、上述したエキゾーストマニホールド40の他に、ラジエータリザーブタンク50、ヘッドランプ7の発光源としての上記バラスト51、クーラレシーバタンク52、ヒューズボックス53、図示しないパワーステアリング用のリザーブタンク、リレーボックス、オルタネータ等である。また、上記電動ファン47の駆動制御として、エンジンEの停止後、所定時間だけ右側のファン47bのみを回転させ、該ファン47bにアフタークーリングファン機能を備えさせるようにすることで、上記各機器の冷却性能を更に高めることができる。
【0041】
また、このエンジンルームR内の右側部分に配置されている各機器は、上記カバーパネル13の前側カバー部13bに形成されたエンジンルーム冷却開口16からの走行風によっても冷却されるようになっている。この冷却構造について説明すると、前端がエンジンルーム冷却開口16に接続するエンジン冷却ダクト56が、車体前後方向に延びて配設されており、このエンジン冷却ダクト56の下流端はエキゾーストマニホールド40の前側で開放されていて、エンジンルーム冷却開口16から導入した走行風をエキゾーストマニホールド40に直接吹き付けて冷却する構成となっている。また、図15に示すように、このエンジン冷却ダクト56の上面の複数箇所には、内部を流れる走行風の一部を上方へ分流させる開口56a,56a,…が形成されており、この開口56aから流れ出た走行風は、バラスト51やパワーステアリング用の冷却パイプ54等の各機器の冷却に寄与する構成となっている。
【0042】
次に、その他の補機類について説明する。図10の如く、エンジンEの前側における車幅方向中央部(エアクリーナ34の右側)には、潤滑油を冷却するためのオイルクーラ60が配置されている。このオイルクーラ60は、上記ノーズパネル4に形成されたセンタ開口15の下流側に対向して配置されていると共に、右側面にオイル給排管が接続されていて、潤滑油温度が所定の高温に達したとき、エンジンEから潤滑油を回収し、これをセンタ開口15から導入した走行風によって冷却した後、再びエンジンEに供給するようになっている。
【0043】
また、図16に示すように、センタ開口15の前側に形成されている上記凹陥部分15aに連続してエンジンルームR内に延びるするダクト部分15cの縦面には、このダクト部分15cを流れる走行風の一部を分流するための開口15bが形成されており、この開口15bに対応したダクト部分15cの外面には側面の一部が開口15bに向って開放された円筒状の旋回流発生部材61が取付けられ、この旋回流発生部材61の中央部にクーラレシーバタンク52が配置されている。これにより、凹陥部分15aを経てダクト部分15cを流れる走行風の一部は、開口15bから旋回流発生部材61の内部に分流され、クーラレシーバタンク52の外周側で旋回流となって、該クーラレシーバタンク52内の冷媒を冷却することになる。つまり、このセンタ開口15から導入された走行風は、オイルクーラ60だけでなくクーラレシーバタンク52の冷却も行うようになっている。尚、このクーラレシーバタンク52を冷却するための走行風は、上述したダクト部分15cを流れる走行風を利用する以外に、上記エンジン冷却ダクト56を流れる走行風を利用する構成とすることもできる。つまり、このエンジン冷却ダクト56の側面に上記と同様の開口及び旋回流発生部材を設ける。
【0044】
また、上記ラジエータ45の冷却水供給側のラジエータホース45aの配設構造として、図17に示すように、このホース45aは、車幅方向に所定間隔を存して配置されたヘッドランプ用バラスト51とオイルクーラ60との間を通ってエンジンEに向って延長している。つまり、このラジエータホース45a内を流れる冷却水と、バラスト51及びオイルクーラ60との間で熱交換を行うことで、これら機器の冷却性を高めている。
【0045】
また、図10の如く、エンジンEの左側方にはキャッチタンク65が備えられている。このチャッチタンク65は、潤滑油を貯留しておくものであって、アッパタンク66とロアタンク67とが連絡ホース68によって連結されてなっている。アッパタンク66は、上記エアクリーナ34の後側においてフロントサイドフレーム11の上面に載置されている。また、このアッパタンク66の前面位置は、エンジンEの前面位置に一致されている。そして、このアッパタンク66の上部には、エンジンEから回収した潤滑油に混入している空気を除去するための気液分離器66aが備えられていて、この気液分離器66aで回収された潤滑油を連絡ホース68によりロアタンク67に供給するようになっている。
【0046】
そして、このロアタンク67は、底面がエンジンEよりも下側に位置するように比較的低い位置に配置されており、その上面はエンジンEの側面に配置された点火プラグ69,69,…の配設位置よりも下側に設定されている。このため、このロアタンク67を取外すことなしに点火プラグ69の交換作業が行える。
【0047】
このようにキャッチタンク65を上下2分割し、アッパタンク66に気液分離機能を、ロアタンク67に潤滑油回収機能を夫々備えさせたので、気液分離器66aのメンテナンス性を良好に確保しながら、長期間に亘ってエンジンEが駆動されない状況において、キャッチタンク65からエンジン内部に潤滑油が流れ込むといったことが回避できる構成となっている。また、このキャッチタンク65はエンジンEの左側に配置されており、エキゾーストマニホールト40等からの熱害を受け難い位置にあるので、潤滑油が高温になって潤滑性能が劣化するといったことも回避できる。また、上述したように、アッパタンク66はエアクリーナ34の後側に配置されているので、前突時、エアクリーナ34が後退してアッパタンク66に接触したとしても、このエアクリーナ34は樹脂製であるためにアッパタンク66が破損することはない。また、アッパタンク66の前面位置はエンジンEの前面位置に一致されているので、前突時には、エンジンEが後退移動しないかぎりアッパタンク66も後退し難い構成となっている。これにより、アッパタンク66の後退に伴って連絡ホース68が外れてしまうといったことが回避できる。
【0048】
更に、図18に示すように、エンジンEの前側には、図示しない燃料タンク内部において発生した蒸発燃料を回収し、液化するキャニスタ70が配設されており、このキャニスタ70と燃料タンクとがパージパイプ71によって連結されている。そして、特に、このパージパイプ71は、エンジンEの側面及び前面に近接した位置を通ってキャニスタ70に延びている。このため、パージパイプ71内を流れる気化燃料はエンジンEからの熱を受け易くなっており、蒸発が促進されることになる。このため、パージパイプ71内で液化して、該パージパイプ71内で滞留したり、液体のままキャニスタ70に入り込んで、該キャニスタ70内部の活性炭の劣化を招くといったことが回避される構成となっている。
【0049】
以上、本実施形態に係る車両の前部構造について説明したが、上述したように、本車両では、メイン開口10の左右両縦壁に、フロントサイドフレーム11,11の配設位置よりも車幅方向内側に位置する内側カバー12a,13aと、メイン開口10の前端部を形成し、フロントサイドフレーム11,11の配設位置よりも車幅方向外側に位置する前側カバー部12b,13bとを備えさせたことにより、フロントサイドフレーム11の高さ位置とメイン開口10の高さ位置とを略一致させながら、該メイン開口10の開口幅寸法をフロントサイドフレーム11,11同士の間隔寸法よりも大きく設定することができて、高い空力特性を得ることができると共に、デザイン性の向上を図ることができる。
【0050】
また、本形態では、メイン開口10の車幅方向の両端部にエジンルーム冷却開口16及びダイレクト吸気開口18を夫々設けたために、この部分での走行風の渦流の発生が抑制されている。つまり、これら開口16,18がない場合、メイン開口10を流れる走行風はカバーパネル12,13の前側カバー部12b,13bの壁面に沿って流れ、この前側カバー部12b,13bと内側カバー部12a,13aとの接続部分で壁面の形状が変化することに伴って渦流が発生して空力特性が悪化することが懸念されるが、本形態では上記開口16,18により、この前側カバー部12b,13bに沿って流れる走行風をエンジンルムR内に導入しているので、この渦流の発生がなく、高い空力特性を維持することができる。
−変形例−
次に、本車両1の変形例について説明する。ここでは、吸気系の変形例及びオイルクーラ冷却構造の変形例について夫々説明する。
【0051】
(吸気系の変形例)
図19に示すように、本例では2系統の吸気系のうちノーマルフレッシュエアダクト35が、フロントスポイラ8の内部に延長され、このフロントスポイラ8の内部空間の空気を吸気として導入する構成である。つまり、このノーマルフレッシュエアダクト35は、エアクリーナ34の側面からフェンダ部分を通過してフロントスポイラ8内部にまで延長されている一方、このフロントスポイラ8の下面には図示しない外気導入用の開口が形成されている。これにより、この開口からフロントスポイラ8内部に導入された空気がノーマルフレッシュエアダクト35を経てエアクリーナ34に導入される。このような構成によれば、上述した実施形態のものよりもノーマルフレッシュエアダクト35を更に長配管で構成することができ、吸気音の大幅な低減を図ることができて車両の静粛性がより一層向上できることになる。
【0052】
また、このように、フロントスポイラ8の内部を有効に利用する技術思想として、上述したエアダクト35を配設するだけでなく、ウンドウォッシャタンク或いはヒューズボックス等の電装品などといった補機類を収容する空間として利用することも可能である。
【0053】
(オイルクーラ冷却構造の変形例)
上述した実施形態では、オイルクーラ冷却用の走行風をノーズパネル4のセンタ開口15から導入するようにしたが、車両の見映えの点からは、このような開口が無い方が好ましい。このため、エンジンルームR内に走行風をオイルクーラ60に向って案内するダクトを配設することが考えられるが、スラントノーズ化を図る場合、エンジンルーム前端部分では、フェンダパネル5と電動ファン47のモータ47cとが近接しており、ダクトの配設スペースを確保することが難しい。そこで本例では、図20に示すように、前端がメイン開口10に開放するオイルクーラ冷却用のダクト73,73を電動ファン47のモータ47cを回避する位置に2本設け、その下流端部分をモータ47cの後方で合流させてオイルクーラ60に向って延長させた構成としている。このような構成により、スラントノーズ化を維持したままでオイルクーラ冷却用のダクト73,73をエンジンルームR内に配設することができ、ノーズパネル4に開口を形成することがなくなって車両の見映えが良好になる。
【0054】
尚、本実施形態ではロータリエンジンEを搭載した車両について説明したが、本発明はこれに限らず、レシプロエンジンを搭載した車両に対しても適用可能である。また、メイン開口10の両縦壁は共にカバーパネル12,13で成すようにしたが、一方のみをカバーパネルとし、他方はスポイラフェイスパネル8d或いはノーズパネル4と一体に形成してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば以下に述べるような効果が発揮される。請求項1記載の発明によれば、ノーズパネルと、該ノーズパネルの上方に配置されスポイラ部材との間に走行風流通空間を有する車両に対し、タイヤハウスの内部空間に走行風を取入れると共に、エンジンへ吸気を導入する吸気管の上流端を開放し、このタイヤハウスの内部空間の空気をエンジンに供給するようにしたため、塵埃の混入が少ない比較的清浄な空気をエンジンに供給できると共に、このタイヤハウスの内部空間の空気がエンジンからの熱などによって温度上昇して吸気の充填効率が低下してしまうといった状況を回避できて、タイヤハウスへの走行風の導入により吸気の冷却を行うことができる。このため、吸気の充填効率の向上に伴ってエンジンの高出力化を図ることができる。さらに、走行風流通空間の縦壁に、タイヤハウス内に導入された走行風を排出するための開口を形成したため、タイヤハウスの内部圧力が走行風の動圧の影響によって異常上昇するといったことがなくなり、この圧力変動に伴う空燃比のばらつきが回避されて、常に適切な空燃比が得られ、安定したエンジン性能を得ることができる。
【0056】
請求項2記載の発明によれば、走行風流通空間の左右両側の縦壁間で、且つスポイラ部材の下側に、走行風導入用の開口を形成したために、走行風導入用の開口をスポイラ部材によって覆い隠すことができ、車両の外観の見映えを阻害することなしに、特に走行風の風量が多い部分に走行風導入用の開口を形成することができる。つまり、車両の見映えの確保と、走行風の有効利用構造とを両立することができる。
【0057】
請求項3記載の発明によれば、走行風導入用の開口を、エンジンルーム冷却風導入用、オイルクーラ冷却風導入用、エンジンへの吸気導入用の何れかとしたために、走行風を有効利用する用途を具体的に得ることができ、走行風導入用の開口の実用性の向上を図ることができる。
【0058】
請求項4記載の発明によれば、スポイラ部材とフェンダ部との連結部分にフロントサイドフレームの前端部を挿入したために、フロントサイドフレームの前端部をスポイラ部材とフェンダ部によって覆い隠すことができ、フロントサイドフレームの高さ位置に拘りなくノーズパネルを低い位置に設定できるので車両の空力特性の向上及び車体前部のデザイン自由度の向上を図ることができる。
【0059】
請求項5記載の発明によれば、スポイラ部材の内部に、車幅方向に延びる補強用のレインフォースメントを配設し、該レインフォースメントの左右両端部を各フロントサイドフレームの前端部に接続したために、スポイラ部材の支持剛性が十分に得られ、該スポイラ部材に荷重が作用した場合でも変形が抑制できる。
【0060】
請求項6記載の発明によれば、スポイラ部材の前端位置を、ノーズパネルの前端位置よりも前方に位置させたことで、車両の前突時には、ノーズパネルよりもスポイラ部材に先に衝撃荷重が作用するようにしたので、このスポイラ部材にバンパとしての機能をも兼用させることができる。つまり、このスポイラ部材を、空力特性の向上と、前突荷重の吸収との両機能を発揮する部材として利用できる。
【0061】
請求項7記載の発明によれば、タイヤハウスの内部空間を、ブレーキ冷却用空気を導入するブレーキエアダクトに連通させたために、タイヤハウスの内部空間に走行風を取入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る車両の前部を示す斜視図である。
【図2】 各開口を説明するための車体前部を左前方から見た斜視図である。
【図3】 各開口を説明するための車体前部を右前方から見た斜視図である。
【図4】 フロントスポイラの内部構造を示す断面図である。
【図5】 フロントスポイラ周辺での空気流れを示す図である。
【図6】 フロントスポイラ取付け部分の分解斜視図である。
【図7】 ノーズパネルの斜視図である。
【図8】 アンダカウルを示す一部を省略した斜視図である。
【図9】 ラジエータダクト及びブレーキエアダクトの取付構造を示す斜視図である。
【図10】 エンジンルーム内の平面図である。
【図11】 エンジンルーム内の右側面図である。
【図12】 エンジンルーム内の左側面図である。
【図13】 フレッシュエア切換え動作を説明するためのエアクリーナ周辺部を示す図である。
【図14】 ノーマルフレッシュエアダクトの吸気経路を説明するための図である。
【図15】 エンジン冷却ダクト及びその周辺部を示す斜視図である。
【図16】 クーラレシーバタンクの冷却構造を示す分解斜視図である。
【図17】 エンジン冷却水を利用したオイルクーラの冷却構造を示す斜視図である。
【図18】 キャニスタ及びパージパイプの配設位置を示す平面図である。
【図19】 吸気系の変形例を示す斜視図である。
【図20】 オイルクーラ冷却構造の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 車両
4 ノーズパネル
5 フェンダパネル
6 タイヤハウス
8 フロントスポイラ(スポイラ部材)
8c スポイラフレーム
10 メイン開口(走行風流通空間)
11 フロントサイドフレーム
12,13 カバーパネル(カバー部材)
12a,13a 内側カバー部(第1の縦壁)
12b,13b 前側カバー部(第2の縦壁)
15 センタ開口(オイルクーラ冷却風導入用開口)
16 エンジンルーム冷却開口
18 ダイレクト吸気用開口
19 エア抜き開口
26 ブレーキエアダクト
35 ノーマルフレッシュエアダクト
4a ボンネット
E エンジン

Claims (7)

  1. 車体前部の左右両側において前後方向に延びるフロントサイドフレームと、
    車体前部のノーズ部分を構成すると共に、前端部が上記フロントサイドフレームの配設高さ位置よりも下側に位置するノーズパネルと、
    該ノーズパネルの車幅方向外側に設けられたフェンダ部と、
    上記ノーズパネルの前端部上方に配設され、このノーズパネルとの間で、フロントサイドフレームと略同一高さ位置の走行風流通空間を形成し、且つ車幅方向両端部がフェンダ部に連続されたスポイラ部材とを備えた自動車の前部構造において、
    上記フェンダ部にはタイヤハウスが形成されており、
    上記タイヤハウス内には、エンジンへ吸気を導入する吸気管の上流端が開放されており、
    上記フェンダ部とスポイラ部材との連続部分には、走行風流通空間の左右両側の縦壁が形成され、
    上記縦壁には、タイヤハウス内に導入された走行風を排出するための開口が形成されていることを特徴とする自動車の前部構造。
  2. 走行風流通空間の左右両側の縦壁間で、且つスポイラ部材の下側には、走行風導入用の開口が設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動車の前部構造。
  3. 走行風導入用の開口は、エンジンルーム冷却風導入用、オイルクーラ冷却風導入用、エンジンへの吸気導入用の何れかであることを特徴とする請求項2記載の自動車の前部構造。
  4. スポイラ部材とフェンダ部との連結部分にはフロントサイドフレームの前端部が挿入されていることを特徴とする請求項1記載の自動車の前部構造。
  5. スポイラ部材の内部には車幅方向に延びる補強用のレインフォースメントが配設されており、該レインフォースメントの左右両端部は各フロントサイドフレームの前端部に接続されていることを特徴とする請求項4記載の自動車の前部構造。
  6. スポイラ部材の前端位置は、ノーズパネルの前端位置よりも前方に位置されていることを特徴とする請求項5記載の自動車の前部構造。
  7. ノーズパネルの下側には、走行風をフロントブレーキに向って案内して該フロントブレーキを冷却するブレーキエアダクトが設けられており、タイヤハウスの内部空間は、このブレーキエアダクトに連通していることを特徴とする請求項1記載の自動車の前部構造。
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