JP4085220B2 - 空気圧釘打ち機のピストンキャッチ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気圧釘打ち機のピストンを待機位置で保持するピストンキャッチ装置に関するものであり、特に、ピストンの起動タイミングを一定に制御できるようにした空気圧釘打ち機のピストンキャッチ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気圧釘打ち機は、空気圧シリンダのピストンにドライバと呼ばれる細長いピストンロッドを結合し、空気圧シリンダの下端に連結されたノーズ部内の釘をドライバにより打撃してノーズ部から射出する構造となっている。そして、空気圧シリンダの上部に配置したゴム製のリング形ピストンキャッチまたはヘッドバルブシートの内周面に環状溝を設け、ピストンを貫通して上方に突出するアッパーロッドやピストンの上端部の外周面に環状リブを設けて嵌合手段を形成し、環状リブを環状溝に嵌合させてピストンを上方待機位置に保持している。
【0003】
空気圧釘打ち機のトリガレバーを起動操作すると、シリンダの上部に配置したヘッドバルブが開いてエアチャンバからシリンダの上部空気室内に高圧空気が供給され、ピストンの軸方向の推進力が上昇することにより、ピストンまたはドライバのリブがピストンキャッチを押し拡げてピストンキャッチから外れ、ピストンとドライバがシリンダ内を高速下降して釘が射出される。
【0004】
釘を打ち込んだ後にトリガレバーをオフ位置に戻すと、シリンダの下部空気室に連通しているブローバックチャンバの空気圧によりピストンとドライバがシリンダ内を上昇し、上部のリブがピストンキャッチを押し広げてピストンキャッチ内に入り、ピストンキャッチに嵌合してピストンとドライバが停止する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ピストンの推進力によりピストンキャッチを押し拡げてピストンを起動させる従来のピストンキャッチ構造においては、ゴム製ピストンキャッチのピストン保持力が、ピストンキャッチの部品寸法や温度、空気圧により変化するので、ピストンの起動タイミングが一定せず、ドライバの打込み力の個体差や経時変化が大きいという問題がある。
【0006】
そこで、空気圧釘打ち機の起動タイミングを安定化して、打込み力のバラツキを低減するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、空気圧釘打ち機の空気圧シリンダのピストンの背面に円柱形の凸部を形成し、凸部の外周面に周方向のリブを設け、ピストンの背面側にピストンキャッチを配置し、ピストンの後退時にピストンの凸部がピストンキャッチに係合してピストンを待機位置で保持し、空気圧シリンダの後端に設けたヘッドバルブを開いて空気圧シリンダへ圧力空気を供給したときに、空気圧によりピストンの凸部がピストンキャッチから離脱して起動するように構成した空気圧釘打ち機のピストンキャッチ装置において、
ピストンキャッチの外周へスライドスリーブを被装し、スライドスリーブが前進位置にあるときはスライドスリーブによりピストンキャッチが拡開不可能に拘束され、スライドスリーブが後退位置にあるときはピストンキャッチの拘束が解除されてピストンが起動可能となるように形成し、空気圧シリンダのへッドバルブ開放時にへッドバルブがスライドスリーブを押して後退させ、ピストンが起動可能となり、へッドバルブ閉鎖後にピストンが待機位置へ戻ってピストンの凸部とピストンキャッチが係合したときは、スライドスリーブが前進位置に復帰してピストンキャッチを拡開不可能に拘束するように形成したことを特徴とする空気圧釘打ち機のピストンキャッチ装置を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を図に従って詳述する。図1は空気圧釘打ち機1を示し、2はシリンダハウジング、3はヘッドカバー、4はグリップ、5はノーズブロック、6は釘マガジンである。シリンダハウジング2には空気圧シリンダ7が内蔵され、空気圧シリンダ7内のピストン8に結合したドライバ9の先端部はノーズブロック5のドライバガイド穴5a内に挿入されている。
【0009】
図2に拡大して示すように、ヘッドカバー3の内部には中央のスライドスリーブガイド部10と、その周囲を取り囲む円筒形のヘッドバルブガイド部11が形成されており、スライドスリーブガイド部10の外周面にゴム製のチューブ形ピストンキャッチ12が装着されている。ピストンキャッチ12の上下両端の内周面にはリブ12a,12bが設けられていて、上側リブ12aがスライドスリーブガイド部10の外周面に成形した溝に係合して固定されている。
【0010】
ピストンキャッチ12の下部はスライドスリーブガイド部10よりも下方へ延びており、同図に示す待機状態では、ピストン8に結合したアッパーロッド13が下方からスライドスリーブガイド部10の中心穴14へ進入し、アッパーロッド13の下部に形成したリブ13aがピストンキャッチ12内へ入って下側リブ12bによって保持されている。
【0011】
ピストンキャッチ12の外周面とヘッドバルブガイド部11との間隙に円筒形のスライドスリーブ15が挿入されており、スライドスリーブ15は上下にスライドすることができる。ヘッドバルブガイド部11の外周面に嵌合している円筒形のヘッドバルブ16は、下端内周面にフランジ16aが形成されており、スライドスリーブ15はヘッドバルブ16のフランジ16aによって支持されている。
【0012】
ヘッドカバー3のスライドスリーブガイド部10の中心穴14からスライドスリーブガイド部10の外周面へ貫通する空気の通路17が設けられていて、中心穴14の上端開口部はネジ18によって遮蔽されている。
【0013】
図2に示す待機状態において、グリップ4内のエアチャンバからトリガバルブ19及びパイロット管路20を通じてヘッドバルブ16の外周側上面に空気圧が作用し、ヘッドバルブ16の外周側下面にはエアチャンバの空気圧が直接作用しているが、上下の受圧面積の差によりヘッドバルブ16は下降して空気圧シリンダ7の上端のヘッドバルブシート21に圧接し、エアチャンバと空気圧シリンダ7は遮断されている。
【0014】
スライドスリーブ15は下降位置(前進位置)にあってヘッドバルブ16に接しており、ヘッドバルブガイド部11に形成されている排気通路22と空気圧シリンダ7の上部空気室とを遮断している。また、ピストンキャッチ12はスライドスリーブ15によって拡開不可能に拘束されており、アッパーロッド13のリブ13aはピストンキャッチ12から離脱することはできない。
【0015】
続いて、空気圧釘打ち機1の動作を説明する。空気圧釘打ち機1のトリガレバー23を操作してトリガバルブ19のステム24が押し込まれると、ヘッドバルブ16の上面に作用している高圧空気がパイロット管路20からトリガバルブ19のステム挿通穴を通じて大気へ排出され、ヘッドバルブ16は上下両面の空気圧力の差によって上昇し、スライドスリーブ15を押し上げる。
【0016】
ヘッドバルブ16が上昇すると、エアチャンバの空気が空気圧シリンダ7のピストン8の上面側に流入し、ピストン8の上面の空気圧が上昇するが、スライドスリーブ15が上端の後退位置に達するまでは、スライドスリーブ15によるピストンキャッチ12の拘束が継続している。そして、図3に示すように、スライドスリーブ15が後退位置に達したときにピストンキャッチ12は拘束を解除され、図示は省略するが、ピストンキャッチ12はアッパーロッド13のリブ13aにより下方へ押されて外径が拡大し、アッパーロッド13のリブ13aがピストンキャッチ12から離脱してピストン8及びドライバ9がシリンダ内を下降し、ノーズ内の釘が打撃される。
【0017】
このように、ヘッドバルブ16並びにスライドスリーブ15が完全に上昇した後にピストン8が起動し、ヘッドバルブ16の開き動作の初期段階でピストン8が起動することがないので、常にピストン8に十分な打込み力を与えることができ、打込み力のバラツキを解消することができる。
【0018】
釘の打ち込み終了後にトリガレバー23をオフ位置に戻すと、エアチャンバからトリガバルブ19及びパイロット管路20を通じてヘッドバルブ16の上面に圧力空気が供給され、図4に示すように、ヘッドバルブ16が下降してヘッドバルブシート21に圧接し、エアチャンバと空気圧シリンダ7の上面空気室を遮断する。
【0019】
このとき、上面空気室の空気圧によりスライドスリーブ15は上昇位置(後退位置)にあり、上面空気室の高圧空気は、ヘッドバルブガイド部11に設けられている排気通路22を通じて大気へ排出され、空気圧シリンダ7の周囲のブローバックチャンバ25に蓄積された空気の圧力によりピストン8が待機位置へ向かって上昇する。
【0020】
そして、アッパーロッド13がヘッドカバー3の中心穴14に入るとともに、アッパーロッド13のリブ13aがピストンキャッチ12を押し広げてピストンキャッチ12内に入り、アッパーロッド13が中心穴14内の空気を圧縮することにより、通路17を通じてスライドスリーブ15の上面に作用する空気圧が上昇してスライドスリーブ15が押し下げられ、図1に示す待機状態となって動作を停止する。
【0021】
このように、トリガ操作に連動するスライドスリーブ15によりピストンキャッチ12の拘束と拘束解除とを制御しているので、ピストンキャッチの材質や寸法の公差、温度等によるピストンの起動タイミングへの影響を解消でき、ピストンへ常に十分な打込み力を加えることができる。また、待機状態において、空気圧釘打ち機へ加えられる衝撃によりピストンが待機位置から落下することもない。
【0022】
尚、この発明は上記の実施形態に限定するものではなく、この発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気圧釘打ち機のピストンキャッチ装置は、ピストンキャッチにスライドスリーブを被装し、待機状態ではスライドスリーブによりピストンキャッチが拡開不可能に拘束され、ヘッドバルブが開位置へ移動したときにスライドスリーブによるピストンキャッチの拘束が解除されてピストンが起動可能になるように構成したので、ヘッドバルブの開き始めの初期段階でピストンが起動することがなく、ピストンの起動タイミングの個体差や経時変化を低減できる。そして、ヘッドバルブが完全に開いてシリンダ内の空気圧が十分に上昇してからピストンが起動するので、常に高いエネルギー効率で釘打ちを行え、性能の安定化に効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示し、空気圧釘打ち機の側面断面図。
【図2】空気圧釘打ち機のシリンダハウジング部の側面断面図。
【図3】空気圧釘打ち機の作動行程を示すシリンダハウジング部の側面断面図。
【図4】図3に続く空気圧釘打ち機の作動行程を示すシリンダハウジング部の側面断面図。
【符号の説明】
1 空気圧釘打ち機
2 シリンダハウジング
3 ヘッドカバー
7 空気圧シリンダ
8 ピストン
9 ドライバ
10 スライドスリーブガイド部
11 ヘッドバルブガイド部
12 ピストンキャッチ
13 アッパーロッド
13a リブ
14 中心穴
15 スライドスリーブ
16 ヘッドバルブ
17 空気通路
21 ヘッドバルブシート
22 排気通路

Claims (1)

  1. 空気圧釘打ち機の空気圧シリンダのピストンの背面に円柱形の凸部を形成し、凸部の外周面に周方向のリブを設け、ピストンの背面側にピストンキャッチを配置し、ピストンの後退時にピストンの凸部がピストンキャッチに係合してピストンを待機位置で保持し、空気圧シリンダの後端に設けたヘッドバルブを開いて空気圧シリンダへ圧力空気を供給したときに、空気圧によりピストンの凸部がピストンキャッチから離脱して起動するように構成した空気圧釘打ち機のピストンキャッチ装置において、
    ピストンキャッチの外周へスライドスリーブを被装し、スライドスリーブが前進位置にあるときはスライドスリーブによりピストンキャッチが拡開不可能に拘束され、スライドスリーブが後退位置にあるときはピストンキャッチの拘束が解除されてピストンが起動可能となるように形成し、空気圧シリンダのへッドバルブ開放時にへッドバルブがスライドスリーブを押して後退させ、ピストンが起動可能となり、へッドバルブ閉鎖後にピストンが待機位置へ戻ってピストンの凸部とピストンキャッチが係合したときは、スライドスリーブが前進位置に復帰してピストンキャッチを拡開不可能に拘束するように形成したことを特徴とする空気圧釘打ち機のピストンキャッチ装置。
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