JP4085108B2 - 電子写真方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の目的は、帯電量の立ち上がり性が早く、帯電量の制御が容易で、しかも耐久性等に優れた静電潜像用トナーを用いた電子写真方法を提供することにある。
このように構成することにより、トナーが素早く帯電し、いわゆる帯電量について立ち上がりを早くすることができ、また、耐久性、安定性に優れた正帯電特性を付与することもできる。すなわち、電荷調整剤(CCA)および電荷増強樹脂(CCR)のいずれか一方のみを用いても、素早い立ち上がり性を得ることができず、しかも長時間の帯電動作のためにトナーが劣化する傾向があるものの、このように電荷調整剤(CCA)と電荷増強樹脂(CCR)を組み合わせることにより、帯電量についての立ち上がりを相乗的に早くすることができ、しかも帯電量の制御が容易となり、高い帯電量を得ることができる。
(1)種類
本発明におけるトナーに使用するバインダー樹脂の種類は、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン−アクリル系樹脂である。
また、より具体的には、バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル及びメタアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
また、このようなバインダー樹脂として、ヒドキロキシ(水酸)基、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキシ)基から選択される少なくとも一つの官能基を分子内に有する樹脂を使用することが好ましい。
なお、これらの官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用いて確認することができ、さらに滴定法を用いて定量することができる。
また、バインダー樹脂において、二つの重量分子量ピーク(低分子量ピークと、高分子量ピークと称する。)を有することが好ましい。具体的に、低分子量ピークが3、000〜20、000の範囲内であり、もう一つの高分子量ピークが300、000〜1500、000の範囲内であることが好ましい。重量分子量ピークがこのような範囲内にあれば、トナーを容易に定着させることができ、また、耐オフセット性を向上させることもできる。なお、バインダー樹脂の重量分子量は、分子量測定装置(GPC)を用いて、カラムからの溶出時間を測定し、標準ポリスチレン樹脂を用いて予め作成しておいた検量線と照らし合わせることにより、求めることができる。
また、バインダー樹脂において、ガラス転移点(Tg)を55〜70℃の範囲内の値とするのが好ましい。バインダー樹脂のガラス転移点が、55℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する傾向がある。一方、バインダー樹脂のガラス転移点が、70℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる傾向がある。なお、バインダー樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
本発明のトナーにおいて、帯電レベルや帯電立ち上がり性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)が著しく向上し、耐久性や安定性に優れ、さらには優れた流動性等が得られる観点から、電荷制御剤を添加する必要がある。
ここで、電荷制御剤には、電荷(帯電量)を一定範囲内に調整する機能を有する特定の電荷調整剤(CCA)と、電荷(帯電量)を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)とがある。そして、本発明のトナーにおいて、特定の電荷調整剤と、電荷増強樹脂とを併用して添加する必要がある。
本発明に使用する特定の電荷調整剤(CCA)としては、具体的に、アジン化合物としてのピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1、2、3−トリアジン、1、2、4−トリアジン、1、3、5−トリアジン、1、2、4−オキサジアジン、1、3、4−オキサジアジン、1、2、6−オキサジアジン、1、3、4−チアジアジン、1、3、5−チアジアジン、1、2、3、4−テトラジン、1、2、4、5−テトラジン、1、2、3、5−テトラジン、1、2、4、6−オキサトリアジン、1、3、4、5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、アジン化合物からなる直接染料としての、アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープブラック3RL、ニグロシン化合物としてのニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体、ニグロシン化合物からなる酸性染料としての、ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、4級アンモニウム塩としてのベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、アジン化合物に含まれるニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、本発明における使用に最適である。
本発明に使用する電荷増強樹脂(CCR)としては、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマーが挙げられ、より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン-アクリル系樹脂が挙げられる。
次に、電荷制御剤の添加量について説明する。すなわち、電荷制御剤の添加量は所望の電荷量から決定することが好ましいが、具体的に、電荷調整剤(CCA)の添加量を、0.5〜5重量%の範囲内の値とし、かつ電荷増強樹脂(CCR)の添加量を、1〜5重量%の範囲内の値するのが好ましい。それぞれこのような範囲内の値とすることにより、分散性も良好であり、また、有効に添加効果を発揮することができる。
したがって、電荷調整剤(CCA)の添加量を、0.5〜3重量%の範囲内の値とし、かつ電荷増強樹脂(CCR)の添加量を、2〜5重量%の範囲内の値するのが好ましい。
かかる電荷制御剤(CCA+CCR)の添加量が3重量%未満となると、トナーに対して、安定して帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下する傾向がある。また、分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなる等の傾向がある。
一方、電荷制御剤(CCA+CCR)の添加量が7重量%を超えると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
(1)ワックス類
本発明のトナーにおいて、画像濃度を高め、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリングを有効に防止することができる観点から、ワックス類を添加することが好ましい。
本発明のトナーには、トナーの流動性を向上させたり、保存安定性を維持したり、あるいは多機能とする目的で、着色剤、染料、顔料、カップリング剤、シリカ粒子等を添加配合することも可能である。特に、流動性、保存安定性を維持する目的で、平均粒径が5〜12μmの範囲内であるトナー中にコロイダルシリカ、疎水性シリカ等を使用するのが好ましい。なお、シリカ粒子については、トナーの流動性をより制御できる観点から、トナーに対して外添することが好ましい。その場合、シリカ粒子として、シランカップリング剤を用いて正帯電極性基(アミノ基等)を導入し、シリコーンオイルにより疎水化処理した乾式シリカ微粉末を使用することが好ましい。
(静電潜像用トナーの作製)
以下の配合比で静電潜像用トナーを作製した。
(1)スチレン−アクリル樹脂 87.5重量部
(2)アジン化合物系(荷電調整剤、CCA) 0.5重量部
(3)4級アンモニウム塩を官能基とする 4.0重量部
スチレン系樹脂共重合体(荷電増強樹脂、CCR)
(4)ポリプロピレンワックス 3.0重量部
(5)カーボンブラック 5.0重量部
次いで、各成分を2軸押出機にて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕、分級して平均粒径が7μmの粉体を得た。
得られたトナーを非磁性一成分現像剤として用い、a−Siドラム搭載京セラ製ページプリンタ(FS−3700)に収容し、画像評価パターン(ソリッドパターン)を出力させ定着性を評価した。また、併せて以下に示す方法で帯電特性、画像特性、および現像スリーブ汚れの評価をそれぞれ行った。得られた結果を表2に示す。
得られたトナー5重量部と、フェライトキャリア100重量部と、を混合し、通常環境条件(20℃、65%RH)にて、容器内で振動させて60分間摩擦帯電させた時の帯電量(μC/g)を初期の帯電量とした。結果を表2に示す。
図1において、横軸に撹拌時間(分)を採ってあり、縦軸に帯電量(μC/g)を採って示してある。記号Aで示される曲線が本実施例を表している。なお、比較のため、比較例1についての同様のデータを記号Bで示す曲線で表しており、比較例2についての同様のデータを記号Cで示す曲線で表しており、さらに、記号Dで示される曲線は、実施例1において荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)をいずれも添加していない例を示している。結果から理解されるように、荷電調整剤および荷電増強樹脂を添加した本実施例は、撹拌後3分程度で15μC/g以上の帯電量を示し、撹拌後10分程度で、30μC/gという高いレベルでもって飽和する。それに対して、荷電調整剤および荷電増強樹脂のいずれか一方を添加した系(曲線BおよびC)は、帯電量の立ち上がり性が明らかに遅く、しかも、飽和した帯電レベルの値も20〜24μC/gとかなり低いことがわかる。
得られたトナーを非磁性一成分現像剤として用い、上述した京セラ製ページプリンタに収容し、画像特性の評価を行った。すなわち、通常環境(20℃、65%RH)にて得られた画像評価パターン(ソリッドパターン)を初期画像とし、その後、10万枚の連続印刷(通紙)を行い、画像パターンを印字して耐久画像とした。そして、マクベス反射濃度計を用いて、初期画像および耐久画像における画像濃度(印字濃度)をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
○:カブリは全く観察されず、良好な状態である。
△:ややカブリの発生が観察される。
×:顕著なカブリが観察される。
定着温度を190℃に設定し、電源を切った状態で10分間冷却した後、電源を入れ(ON)、画像評価パターン(ソリッドパターン)を連続5枚印字して、測定用画像を得た。次いで、得られた画像上に、綿布で包んだ黄銅製分銅(1kg荷重)を10往復させた。この操作の前後の画像濃度をマクベス反射濃度計で測定し、その濃度の定着率(操作前濃度/操作後濃度)を求めて、以下の基準から定着性を評価した。結果を表2に示す。なお、評価紙としては、クラシック・クレスト紙を用いた。
○:定着率が95以上の値である。
△:定着率が90%以上〜95%未満の値である。
×:定着率が90%未満の値である。
得られたトナーを非磁性一成分現像剤として用い、上述した京セラ製ページプリンタに収容し、画像特性の評価を行った。すなわち、通常環境(20℃、65%RH)にて10万枚連続印刷し、得られた画像評価パターン(ソリッドパターン)を目視で観察し、以下の基準から現像スリーブ付着性を評価した。結果を表2に示す。
○:汚れは認められず、きれいで良好である。
△:少しの汚れが認められる。
×:かなりの汚れが認められる。
(静電潜像用トナーの作製)
実施例2〜4、参考例1、および実施例6においては、表1に示すように荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)の添加量をそれぞれ変えたほかは、実施例1と同様に、静電潜像用トナーを作製した。
実施例2〜4、参考例1、および実施例6においては、それぞれ得られた静電潜像用トナーについて、実施例1と同様に定着性および画像特性等の評価結果を行った。結果を表2に示す。
(静電潜像用トナーの作製)
比較例1〜2においては、表1に示すように荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)のいずれか一方を添加したほかは、実施例1と同様に、静電潜像用トナーを作製した。
比較例1〜2においては、それぞれ得られた静電潜像用トナーについて、実施例1と同様に定着性および画像特性等の評価結果を行った。結果を表2に示す。
Claims (6)
- バインダー樹脂と、荷電制御剤とを含有する静電潜像用トナー(ただし、ビニル芳香族炭化水素由来の繰り返し構造単位と(メタ)アクリレート由来の繰り返し構造単位と4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート由来の繰り返し構造単位とを有する4級アンモニウム塩基含有共重合体存在下に着色剤と無機質系分散剤を含有する懸濁液媒体中で、重合性単量体を懸濁重合する方法によって製造された静電潜像用トナーを除く)を用いた電子写真方法において、
前記荷電制御剤として、
帯電量を一定範囲内に調整する機能を有する電荷調整剤(CCA)としてのアジン化合物と、
帯電量を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)としての4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系共重合体と、
を併用するとともに、
前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷調整剤および前記電荷増強樹脂の合計量を3〜7重量%の範囲内の値とし、さらに、
前記バインダー樹脂が、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン−アクリル系樹脂である静電潜像用トナーを用いることを特徴とした電子写真方法。 - 前記バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル及びメタアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真方法。
- 前記バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸n−ブチルであることを特徴とする請求項2に記載の電子写真方法。
- 前記アジン化合物が、当該アジン化合物に含まれるニグロシン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真方法。
- 前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷調整剤の添加量を、0.5〜5重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真方法。
- 前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷増強樹脂の添加量を、1〜5重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真方法。
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