JP4085107B2 - 電子写真方法 - Google Patents

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本発明は、複写機、レーザープリンタ等で採用されている現像プロセスにおいて、特定の静電潜像用磁性トナー(以下、単にトナーと称する場合がある。)を用いた電子写真方法に関する。より詳しくは、帯電レベルが高く、帯電量について立ち上がりが早く、耐久性、安定性に優れた正帯電特性を付与できる静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法に関する。
乾式電子写真法において、静電潜像を可視像とする際に用いられる磁性トナー(特に磁性一成分トナー)は、一般に熱可塑性結着樹脂(バインダー樹脂)、荷電制御剤、磁性粉体、及びその他の添加剤を予備混合後、溶融混練、粉砕、分級の工程を経て、所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。このトナー粒子は、粒子表面に一定量の正または負の電荷が摩擦帯電により蓄積され、この帯電粒子が静電潜像の現像に利用されている。
ここで、摩擦帯電によって、トナー粒子表面に蓄積される電荷は、静電潜像の形成に用いられる光導電性感光体の種類によって正または負のいずれかの電荷とすることが必要である。また、その場合の帯電量は、静電潜像をより正確に可視像化するのに十分な量とする必要がある。このため、荷電制御剤ないしは導電物質をバインダー樹脂中に混合分散し、トナー粒子表面の電荷及び帯電量を制御するのが一般的である。
また、近年、静電潜像形成のための光導電性感光体として、セレン感光体や有機光導電性感光体にかえて、無公害でかつ高い高感度を有し、さらにビッカース強度が1500〜2000と非常に硬い等の特性を有する観点から、アモルファスシリコン感光体(以下、a−Si感光体と称する。)が使用されている。そのため、a-Si感光体上に形成される静電潜像を現像するには、帯電性や耐久性に優れた正帯電性のトナーを用いることが望まれている。
そこで、正帯電性のトナーとして、磁性一成分トナー粒子が知られている。このトナーは、荷電制御剤として、ニグロシン等に代表される帯電量を一定範囲内に調整する機能を有する電荷調整剤(CCA)を単独で使用していた。
しかしながら、かかる正帯電性の電荷調整剤(CCA)は、バインダー樹脂との相溶性に乏しく、特に、トナー中に磁性粉が含有されていると、電荷調整剤の分散性が著しく低下し、トナーにおける帯電特性が不安定になり、画像欠陥を生じたり、定着性が低下するなどの問題が見られた。また、かかる正帯電性の電荷調整剤は、トナー粒子を製造する際の粉砕工程や、トナー粒子表面に電荷を蓄積する際の複写機内での流動摩擦工程において、粒子表面層に存在する荷電制御剤が離脱しやすい傾向がある。そのため、トナー粒子の帯電量に変化を生じさせたり、トナー粒子個々の帯電性にバラツキを生じさせる等の問題点が見られた。特に、複写回数が増大し、流動摩擦の時間が長くなるにつれて増大するので、長期にわたって安定した帯電状態を維持するのが困難であった。
そこで、正帯電性電荷調整剤(CCA)の代わりに、高分子に4級アンモニウム塩の官能基を導入した電荷増強樹脂(CCR)が提案されている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、かかる電荷増強樹脂(CCR)を単独で使用しても、帯電量の立ち上がり性に乏しいという問題が見られた。特に、高温高湿環境下では、さらに立ち上がり性が低下し、帯電性を制御することが困難であった。
一方、近年、小切手、有価証券、請求書、チケット等において、これらの偽造や変造防止を目的として、フォントと呼ばれる識別マークが使用されている。この識別マークを用いた偽造防止方式を一般にMICR(Magnetic Ink Character Recognition)システムと呼んでおり、例えば、等に内容が開示されている(特許文献4〜6参照)。
具体的には、かかるフォントからなる識別マークは、数字と記号とを組み合せて構成されており、偽造防止を図る小切手等の表面に印刷することにより機能を発揮させることができる。すなわち、識別マークは、磁性粉をバインダー樹脂中に一定量配合した磁性インクにより構成されており、この磁性粉の有する磁力を利用して、識別マークであるフォントを専用の読取機で読み取り、読み取った情報から、小切手等の真偽を正確に判断することができる。また、かかるフォントからなる識別マークは、人間の目視によっても、おおまかに認識可能であるため、バーコード等と異なり、専用の読取機で判断する前に、簡易かつ迅速な真偽の判断ができるという利点も有している。
ここで、フォントを構成する磁性インクを印刷する場合、スクリーン印刷法やグラビア印刷法を採ることができるが、近年、迅速かつ簡易な方法としてプリンタを用いて磁性インクを印刷する方法が注目されている。なお、プリンタを用いて磁性インクを印刷する場合、その磁性インクは、MICRトナーあるいはMICRプリンタ用磁性トナーと呼ばれている。そして、MICRトナーは、一般に、熱可塑性樹脂からなるバインダー樹脂、離型剤としてのワックス類、磁性粉、無機粉末等を均一に混練した後、粉砕および分級工程後、シリカ、研磨材等の外添工程を経て製造されており、最終的に平均粒子径を4〜15μm程度に調整したMICRトナーが使用されている。しかしながら、従来のMICRトナーは、残留磁化の値が制限されていなかったために、印字濃度が低く、読み取りエラーが多い等の問題が見られた。
そこで、結着樹脂と磁性粉とを含有するMICRトナーにおいて、針状の磁性粉を使用し、残留磁化を高めることにより印字濃度や読取り性を高めたMICRトナーが検討されている。しかしながら、MICRトナーにおいて、針状の磁性粉をバインダー樹脂に混合分散することは容易でなく、MICRトナー中に塊状の磁性粉が存在するため、かかる塊状の磁性粉をきっかけとして、MICRトナーが割れやすく、また、塊状の磁性粉が脱落して耐久性に乏しいという問題が見られた。したがって、このようなMICRトナーが、プリンタ内で回収トナーとして長時間滞留する場合、MICRトナーが割れて、塊状の磁性粉が脱落して飛散しやすくなり、印字部以外の背景部に付着する、いわゆるカブリ現象が生じやすいという問題が見られた。
この点、プリンタの連続使用期間が短い場合、例えばA4普通紙に印刷において、3万枚未満程度の使用時間の場合には、プリンタの寿命がプリンタの連続使用における律束段階となるため、かかるMICRトナーの耐久性に起因したカブリ現象は大きな問題となっていなかった。しかしながら、a−Siドラム搭載の高寿命プリンタでは、プリンタ自身の寿命が向上し、現像器を交換することなく10万枚以上の長時間使用が可能となるが、この場合、MICRトナーの寿命がプリンタの連続使用における律束段階となるため、MICRトナーの耐久性に起因したカブリ現象は大きな問題となっていた。
そこで、結着樹脂(ポリオレフィン樹脂)と磁性粉とを含有するMICRトナーにおいて、磁性粉の残留磁化を7.0〜24.0emu/gの範囲内の値とし、しかも残留磁化の値が異なる2種類の磁性粉を結着樹脂中に混合分散し、得られたMICRトナーにおける残留磁化を4.0〜7.0emu/gの範囲内の値に制限したMICRトナーが開示されている(特許文献7〜9参照)。
しかしながら、2種類の磁性粉を単に組み合わせてもMICRトナーの残留磁化を高めることができず、しかもこのようにMICRトナーの残留磁化を4.0〜7.0emu/gの範囲内の値に制限すると、実際には、画像濃度が低く、読み取りエラーが多い等の問題が見られた。
特開昭62−210472号(特許請求の範囲) 特開昭63−60458号(特許請求の範囲) 特開平3−80259号(特許請求の範囲) 特開平2−134648号公報(特許請求の範囲) 特開平5−80582号公報(特許請求の範囲) USP5、034、298号公報(特許請求の範囲) 特開平4−358164号公報(特許請求の範囲) 特開平4−358165号公報(特許請求の範囲) 特開平7−77829号公報(特許請求の範囲)
本発明の発明者らは、従来の課題を鋭意検討した結果、帯電量を一定範囲内に調整する機能を有する特定の電荷調整剤(CCA)と、帯電量を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)とを併用することにより、高温高湿等の環境下においても、帯電量の立ち上がり性を素早くし、帯電しづらいことによる静電潜像用磁性トナーの耐久性劣化を防止することができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、帯電量の立ち上がり性が早く、帯電量の制御が容易で、しかも耐久性等に優れた静電潜像用磁性トナー(MICRプリンタ用磁性トナーを含む。)を用いた電子写真方法を提供することにある。
本発明は、バインダー樹脂と、磁性粉と、荷電制御剤と、を含有する静電潜像用トナー(ただし、ビニル芳香族炭化水素由来の繰り返し構造単位と(メタ)アクリレート由来の繰り返し構造単位と4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート由来の繰り返し構造単位とを有する4級アンモニウム塩基含有共重合体存在下に着色剤と無機質系分散剤を含有する懸濁液媒体中で、重合性単量体を懸濁重合する方法によって製造された静電潜像用トナーを除く)を用いた電子写真方法において、荷電制御剤として、帯電量を一定範囲内に調整する機能を有する電荷調整剤(CCA)としてのアジン化合物と、帯電量を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)としての4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系共重合体と、を併用するとともに、静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、電荷調整剤および電荷増強樹脂の合計量を3〜7重量%の範囲内の値とし、さらに、バインダー樹脂が、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン−アクリル系樹脂であり、かつ、静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、磁性粉の添加量を30〜60重量%の範囲内の値とする静電潜像用トナーを用いることを特徴とした電子写真方法である。
このように構成することにより、静電潜像用磁性トナーが素早く帯電し、いわゆる帯電量について立ち上がりを早くすることができ、また、耐久性、安定性に優れた正帯電特性を付与することもできる。すなわち、電荷調整剤(CCA)および電荷増強樹脂(CCR)のいずれか一方のみを用いても、素早い立ち上がり性を得ることができず、しかも長時間の帯電動作のために静電潜像用磁性トナーが劣化する傾向があるものの、このように電荷調整剤(CCA)と電荷増強樹脂(CCR)を組み合わせることにより、帯電量についての立ち上がりを相乗的に早くすることができる。したがって、帯電量の制御が容易となり、かつ、高い帯電量を得ることができる。
また、本発明の静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法を実施するにあたり、静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、電荷調整剤の添加量を0.5〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明の静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法を実施するにあたり、静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、電荷増強樹脂の添加量を1〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明の静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法を実施するにあたり、静電潜像用磁性トナーの残留磁化の値を7.0〜20.0emu/g(但し、7.0emu/gは含まない。)の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明の静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法を実施するにあたり、磁性粉が、アスペクト比の異なる第1の磁性粉および第2の磁性粉を含み、第1の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を2.0〜100の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を1.0〜2.0(但し、2.0は含まない。)の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明の静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法を実施するにあたり、磁性粉が、残留磁化の値が異なる第1の磁性粉および第2の磁性粉を含み、第1の磁性粉の残留磁化を24〜40emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉の残留磁化を1〜24emu/g(但し、24m2/gは含まない。)の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明の静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法を実施するにあたり、磁性粉における第1の磁性粉の配合量を100重量部としたときに、第2の磁性粉の配合量を10〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明の静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法を実施するにあたり、静電潜像用磁性トナーの全体量を100重量%としたときに、磁性粉の添加量を30〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明の静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法を実施するにあたり、静電潜像用磁性トナーが、MICRプリンタ印刷用トナーであることが好ましい。
本発明における静電潜像用磁性トナー(以下、単にトナーと称する場合がある。)及びそれを用いた電子写真方法の実施の形態を具体的に説明する。
[バインダー樹脂]
(1)種類
本発明におけるトナーに使用するバインダー樹脂の種類は、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン−アクリル系樹脂である。
また、より具体的には、バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル及びメタアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
また、バインダー樹脂は、定着性が良好な観点から熱可塑性樹脂が好ましいが、ソックスレー抽出器を用いて測定される架橋部分量(ゲル量)が10重量%以下の値、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲内の値であれば、熱硬化性樹脂であっても良い。このように一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性や形態保持性、あるいは耐久性をより向上させることができる。よって、トナーのバインダー樹脂として、熱可塑性樹脂を100重量%使用する必要はなく、架橋剤を添加したり、あるいは、熱硬化性樹脂を一部使用したりすることも好ましい。
(2)バインダー樹脂における官能基
また、このようなバインダー樹脂において、磁性粉の分散性を向上させるために、ヒドキロキシ(水酸)基、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキシ)基から選択される少なくとも一つの官能基を分子内に有する樹脂を使用することが好ましい。
なお、これらの官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用いて確認することができ、さらに滴定法を用いて定量することができる。
(3)バインダー樹脂の分子量
また、バインダー樹脂において、二つの重量分子量ピーク(低分子量ピークと、高分子量ピークと称する。)を有することが好ましい。具体的に、低分子量ピークが3、000〜20、000の範囲内であり、もう一つの高分子量ピークが300、000〜1500、000の範囲内であることが好ましい。重量分子量ピークがこのような範囲内にあれば、トナーを容易に定着させることができ、また、耐オフセット性を向上させることもできる。なお、バインダー樹脂の重量分子量は、分子量測定装置(GPC)を用いて、カラムからの溶出時間を測定し、標準ポリスチレン樹脂を用いて予め作成しておいた検量線と照らし合わせることにより、求めることができる。
(4)バインダー樹脂のガラス転移点
また、バインダー樹脂において、ガラス転移点(Tg)を55〜70℃の範囲内の値とするのが好ましい。バインダー樹脂のガラス転移点が、55℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する傾向がある。一方、バインダー樹脂のガラス転移点が、70℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる傾向がある。なお、バインダー樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
[磁性粉]
(1)種類
本発明におけるトナーに使用する磁性粉の種類は、特に制限されるものではないが、酸化鉄(マグネタイト)、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉およびフェライト類をそれぞれ主成分とした磁性粉や、酸化鉄にコバルトやニッケル等の金属をドーピングした磁性粉、あるいは強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金または二酸化クロム等の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。特に、コバルトやニッケル等の金属をドーピングした磁性粉は、残留磁化の値が高い観点で、本発明への使用に好適である。
(2)残留磁化
本発明におけるトナーに使用する磁性粉において、残留磁化の値が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉における残留磁化の値を24〜40emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化の値を1〜24emu/g(但し、24m2/gは含まない。)とすることが好ましい。このように残留磁化の値が異なる少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値を容易に調節することができ、トナーにおける画像濃度や読取り性を著しく向上させることができる。また、このような範囲に残留磁化の値を調節することにより、磁性粉のアスペクト比、BET値、嵩密度等の調節も容易になるため、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を飛躍的に向上させることもできる。
したがって、トナーの分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉における残留磁化を25〜38emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化を5〜23emu/gの範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉における残留磁化を26〜35emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化を10〜20emu/gの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、残留磁化の値は、磁性粉に対して、10キロエルステッドの磁界を印加した後に、磁界をゼロとしたときの、磁気メモリ量と定義することができる。より具体的には、磁性粉のヒステリシス曲線を測定することにより、磁性粉の残留磁化を算出することができる。
(3)飽和磁化
本発明におけるトナーに使用する磁性粉において、飽和磁化の値が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉における飽和磁化の値を80〜85emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における飽和磁化の値を85〜90emu/g(但し、85emu/gは含まない。)とすることが好ましい。飽和磁化の値は、残留磁化の値に密接に関係しており、このように飽和磁化の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、残留磁化の値を微妙に調整することができ、結果として、得られるトナーにおける画像濃度や読取り性を向上させることができる。また、このような範囲に飽和磁化の値を調節することにより、磁性粉のアスペクト比、BET値、嵩密度等の調節も容易になるため、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。
したがって、トナーの分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉における飽和磁化を81〜84emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における飽和磁化を86〜89emu/gの範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉における飽和磁化を82〜83emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における飽和磁化を87〜88emu/gの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、飽和磁化の値は、磁性粉に対して、10キロエルステッドの磁界を印加し飽和させた時の、磁気メモリ量と定義することができる。より具体的には、磁性粉のヒステリシス曲線を測定することにより、磁性粉の残留磁化を算出することができる。
(4)アスペクト比
本発明におけるトナーに使用する磁性粉に関して、アスペクト比(長径/短径)が異なる磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を2.0〜100の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を1.0〜2.0(但し、2.0は含まない。)の範囲内の値とすることが好ましい。
このようにアスペクト比が2.0を基準として、それ以上の一定範囲内の磁性粉と、それ未満の一定範囲内の磁性粉とを混合使用することにより、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性を飛躍的に向上させることができる。また、磁性粉の分散性が向上する結果、磁性粉が塊状で存在する傾向が少なくなる。よって、トナーが割れたり、磁性粉が脱離したりする傾向が少なくなり、トナーの耐久性も飛躍的に向上させることもできる。さらに、アスペクト比が大きな磁性粉は、残留磁化の値が大きいために、かかる磁性粉を配合したトナーを使用した場合、画像濃度や読取り性を著しく向上させることができる。
したがって、トナーの分散性や印字濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉におけるアスペクト比を2.5〜10.0の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるアスペクト比を1.2〜1.7の範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉におけるアスペクト比を3.0〜5.0の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるアスペクト比を1.3〜1.6の範囲内の値とすることがより好ましい。
(5)BET値
本発明におけるトナーに使用する磁性粉のBET値に関して、特に制限されるものではないが、BET値が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉のBET値を10〜30m2/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉のBET値を1〜10m2/g(但し、10m2/gは含まない。)とすることが好ましい。
このようにBET値の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調節することができる。また、このように構成すると、トナーにおける画像濃度や読取り性を著しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。なお、BET値は、BET吸着法により、比表面積として求めることができる。
したがって、トナーの分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉におけるBET値を11〜25m2/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるBET値を2〜9m2/gの範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉におけるBET値を12〜20m2/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるBET値を4〜8m2/gの範囲内の値とすることがより好ましい。
(6)嵩密度
本発明におけるトナーに使用する磁性粉の嵩密度に関して特に制限されるものではないが、嵩密度の値が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉の嵩密度を1〜1.2g/cm3の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉の嵩密度を1.2〜2.0g/cm3(但し、1.2g/cm3は含まない。)とすることが好ましい。このように嵩密度の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調節することができる。また、このように構成すると、トナーにおける画像濃度や読取り性を著しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。
したがって、トナーの分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉における嵩密度を1.05〜1.2g/cm3の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における嵩密度を1.3〜1.6g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉における嵩密度を1.1〜1.2m2/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における嵩密度を1.3〜1.5m2/gの範囲内の値とすることがより好ましい。
(7)形態
また、本発明におけるトナーに使用する磁性粉の形態に関して特に制限されるものではなく、針状、粒状、あるいは球状、さらには不定形の磁性粉を使用することができる。ここで、針状の磁性粉は、一般に残留磁化の値、保持力の値あるいはBET値が大きい一方、アスペクト比(長径/短径)、嵩密度および飽和磁化の値が小さく、バインダー樹脂に対する分散性が乏しいという特徴がある。また、粒状の磁性粉は、一般に残留磁化の値、飽和磁化の値、保持力の値あるいはBET値が比較的大きい一方、アスペクト比(長径/短径)や嵩密度の値が比較的小さく、バインダー樹脂に対する分散性は良好であるという特徴がある。さらに、球状の磁性粉は、一般に残留磁化の値、保持力の値あるいはBET値は小さいものの、アスペクト比(長径/短径)、嵩密度および飽和磁化の値が比較的大きく、バインダー樹脂に対する分散性は良好であるという特徴がある。
また、本発明における磁性粉に関して、平均粒子径は特に制限されるものではないが、0.1〜1μmの範囲内の値であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満となると、バインダー樹脂に対する分散性が乏しく、一方、1μmを超えると、逆に分散性が低下する傾向がある。したがって、平均粒子径を0.1〜0.5μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明において、形態が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、形態が異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉の形態を針状とし、かつ、第2の磁性粉の形態を粒状とすることが好ましい。このように形態が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調節することができる。すなわち、針状の磁性粉は、一般に、残留磁化の値やBET表面積の値が大きいが、分散性が乏しく、飽和磁化の値が小さいという問題がある。一方、粒状の磁性粉は、一般に、分散性が良好で、飽和磁化の値が大きいが、残留磁化の値やBET表面積の値が比較的小さいという問題がある。したがって、針状および粒状の磁性粉のいずれか一方のみを使用しても、残留磁化や分散性等の相反する特性において、バランスの採れたトナーを得ることが困難である。よって、このように構成することにより、トナーにおける画像濃度や読取り性を著しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を容易に向上させることができる。
(8)添加量
また、本発明におけるトナーに使用する磁性粉の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、1〜60重量部の範囲内の値とするのが好ましい。磁性粉の添加量が1重量部未満となると、いわゆるカブリ現象が発生しやすく、また、読み取り性が低下する傾向があり、一方、磁性粉の添加量が60重量部を超えると、分散性や撹拌性が低下し、さらには画像濃度等が低下する傾向がある。したがって、トナーの画像濃度等と、分散性等とのバランスがより良好な観点から、磁性粉の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、20〜50重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、30〜50重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましく、最適には、30〜35重量部の範囲内の値とすることである。また、磁性粉の添加量を重量%で表せば、トナーの全体量を100重量%としたときに、35〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。添加量が35重量%未満となると、画像濃度が低下したり、耐久性におけるカブリ性が悪化したりする傾向があり、一方、60重量%を超えると、分散性、耐久性あるいは定着性が低下する傾向がある。したがって、磁性粉の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とするのがより好ましい。
次に、残留磁化の値が異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉とした場合の、これらの磁性粉における添加比率について説明する。すなわち、第1および第2の磁性粉における添加量の比率については特に制限されるものではないが、第1の磁性粉を100重量部としたときに、第2の磁性粉を10〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。第2の磁性粉の添加量が10重量部未満となると、磁性粉の分散性や耐久性が低下する傾向があり、一方、第2の磁性粉の添加量が1000重量部を超えると、トナーの画像濃度等が低下する傾向がある。したがって、第1の磁性粉を100重量部としたときに、第2の磁性粉を20〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、さらに好ましくは、第2の磁性粉を50〜300重量部の範囲内の値とすることである。
(9)表面処理
次に、磁性粉の表面処理について説明する。本発明のMICRプリンタ用磁性トナーにおいて、分散性や耐久性を向上させる観点から、磁性粉の表面を表面処理することが好ましい。その場合の表面処理剤として、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂、ウレタン系樹脂等を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
また、表面処理剤の使用量を磁性粉100重量部あたり、0.1〜100重量部の範囲内の値とするのが好ましい。表面処理剤の使用量が0.1重量部未満となると、表面処理効果が発揮されない傾向があり、一方、100重量部を超えると、トナーの画像濃度等が低下する傾向がある。したがって、表面処理効果およびトナーの画像濃度等とのバランスがより良好な観点から、表面処理剤の使用量を磁性粉100重量部あたり、0.5〜20重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、1.0〜10重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
[荷電制御剤]
本発明のトナーにおいて、帯電レベルや帯電立ち上がり性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)が著しく向上し、耐久性や安定性に優れ、さらには優れた流動性等が得られる観点から、電荷制御剤を添加する必要がある。
ここで、電荷制御剤には、電荷(帯電量)を一定範囲内に調整する機能を有する特定の電荷調整剤(CCA)と、電荷(帯電量)を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)とがある。そして、本発明のトナーにおいて、特定の電荷調整剤と、電荷増強樹脂とを併用して添加する必要がある。
(1)電荷調整剤(CCA)
本発明に使用する特定の電荷調整剤(CCA)としては、具体的に、アジン化合物としてのピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1、2、3−トリアジン、1、2、4−トリアジン、1、3、5−トリアジン、1、2、4−オキサジアジン、1、3、4−オキサジアジン、1、2、6−オキサジアジン、1、3、4−チアジアジン、1、3、5−チアジアジン、1、2、3、4−テトラジン、1、2、4、5−テトラジン、1、2、3、5−テトラジン、1、2、4、6−オキサトリアジン、1、3、4、5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、アジン化合物からなる直接染料としての、アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープブラック3RL、ニグロシン化合物としてのニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体、ニグロシン化合物からなる酸性染料としての、ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、4級アンモニウム塩としてのベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、アジン化合物に含まれるニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、本発明における使用に最適である。
(2)電荷増強樹脂(CCR)
本発明に使用する電荷増強樹脂(CCR)としては、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマーが挙げられ、より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン-アクリル系樹脂が挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩を有するスチレン-アクリル系樹脂(スチレン-アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、本発明における使用に最適である。また、上述したスチレン-アクリル系樹脂あるいはアクリル系樹脂自体における好ましいアクリル系樹脂として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso −プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso −ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso −ブチルなどが挙げられる。
また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
(3)添加量
次に、電荷制御剤の添加量について説明する。すなわち、電荷制御剤の添加量は所望の電荷量から決定することが好ましいが、具体的に、電荷調整剤(CCA)の添加量を0.5〜5重量%の範囲内の値とし、かつ電荷増強樹脂(CCR)の添加量を1〜5重量%の範囲内の値するのが好ましい。それぞれこのような範囲内の値とすることにより、分散性も良好であり、また、有効に添加効果を発揮することができる。
したがって、電荷調整剤(CCA)の添加量を0.5〜3重量%の範囲内の値とし、かつ電荷増強樹脂(CCR)の添加量を2〜5重量%の範囲内の値するのが好ましい。
また、トナーの全体量を100重量%としたときに、電荷調整剤(CCA)および電荷増強樹脂(CCR)を合計した電荷制御剤(CCA+CCR)の添加量を3.0〜7.0重量%の範囲内の値とする。
かかる電荷制御剤(CCA+CCR)の添加量が3重量%未満となると、トナーに対して、安定して帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下したりする傾向がある。また、分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなったりする等の傾向がある。
一方、電荷制御剤(CCA+CCR)の添加量が7重量%を超えると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
[添加剤]
(1)ワックス類
本発明のトナーにおいて、画像濃度を高め、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリングを有効に防止することができる観点から、ワックス類を添加することが好ましい。
ここで、添加するワックス類の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス等を使用することが好ましい。かかるワックスを添加することにより、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリングをより効率的に防止することができる。なお、フィッシャートロプッシュワックスは、一酸化炭素の接触水素化反応であるフィッシャートロプッシュ反応を利用して製造される、イソ(iso)構造分子や側鎖が少ない、直鎖炭化水素化合物である。
また、フィッシャートロプッシュワックスの中でも、重量平均分子量が1000以上の値であり、かつ100〜120℃の範囲内にDSCによる吸熱ボトムピークを有するものがより好ましい。このようなフィッシャートロプッシュワックスとしては、サゾール社から入手できるサゾールワックスC1(H1の結晶化による高分子量グレード、吸熱ボトムピーク:106.5℃)、サゾールワックスC105(C1の分留法による精製品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)、サゾールワックスSPRAY(C105の微粒子品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)等が挙げられる。
また、ワックス類の添加量についても特に制限されるものではないが、例えば、トナー全体量を100重量%としたときに、ワックス類の添加量を1〜5重量%の範囲内の値とするのが好ましい。ワックス類の添加量が1重量%未満となると、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向があり、一方、ワックス類の添加量が5重量%を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。
(2)その他
本発明のトナーには、トナーの流動性を向上させたり、保存安定性を維持したり、あるいは多機能とする目的で、着色剤、染料、顔料、カップリング剤、シリカ粒子等を添加配合することも可能である。特に、流動性、保存安定性を維持する目的で、平均粒径が5〜12μmの範囲内であるトナー中にコロイダルシリカ、疎水性シリカ等を使用するのが好ましい。なお、シリカ粒子については、トナーの流動性をより制御できる観点から、トナーに対して外添することが好ましい。その場合、シリカ粒子として、シランカップリング剤を用いて正帯電極性基(アミノ基等)を導入し、シリコーンオイルにより疎水化処理した乾式シリカ微粉末を使用することが好ましい。
[MICRプリンタ用磁性トナー]
(1)残留磁化
本発明において、MICRプリンタ用磁性トナー(トナー)の残留磁化を、7.0〜20emu/g(但し、7.0emu/gは除く。)の範囲内の値とするのが好ましい。トナーにおける残留磁化の値が、7.0emu/g以下となると、トナーの画像濃度や読取り性が著しく低下する傾向があり、一方、トナーにおける残留磁化の値が、20emu/gを超えると、逆にトナーの読取り性が低下したり、あるいは分散性や耐久性が低下する傾向がある。したがって、より優れたトナーの読取り性等を得るために、MICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化を、8〜18emu/gの範囲内の値とするのがより好ましく、10〜15emu/gの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(2)飽和磁化
本発明において、トナーの飽和磁化を、20〜45emu/gの範囲内の値とすることが好ましい。トナーにおける飽和磁化の値が、20emu/g未満となると、トナーの画像濃度や読取り性が著しく低下するためであり、一方、トナーにおける残留磁化の値が、45emu/gを超えると、逆にトナーの読取り性が低下するためである。したがって、より優れたトナーの読取り性等を得るために、MICRプリンタ用磁性トナーの飽和磁化を、25〜40emu/gの範囲内の値とするのがより好ましく、30〜32.5emu/gの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(3)形態
次に、トナーの形態について説明する。かかる形態は特に制限されるものでないが、トナーの読取り性や画像濃度が向上し、しかも容易に製造できる観点から、球状または楕円状であることが好ましい。また、平均粒子径についても、特に制限されるものではないが、1〜20μmの範囲内の値が好ましい。平均粒子径がかかる範囲外となると、トナーの読取り性や画像濃度が低下する傾向にあり、また、製造上の制御も困難となる傾向がある。したがって、トナーの平均粒子径を、4〜15μmの範囲内の値とするのがより好ましく、5〜13μmの範囲内の値とするのが最も好ましい。
(4)製造方法
次に、本発明におけるトナーの製造方法について説明する。かかる製造方法は特に制限されるものではなく、例えば、プロペラミキサ、ニーダ、Vブレンダ、ヘンシェルミキサ等を用いて、バインダー樹脂と磁性粉とを均一に混練し、次いで、粉砕、分級することにより、所望の平均粒子径を有するトナーを得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、言うまでもないが、以下の説明は本発明を例示するものであり、特に理由なく、以下の説明に本発明の範囲は限定されるものではない。
[実施例1]
(MICRプリンタ用磁性トナーの作製)
以下の配合比でMICRプリンタ用磁性トナーを作製した。
(1)スチレン−アクリル樹脂 47.5重量部
(2)磁性粉体(マグネタイト) 45重量部
(3)アジン化合物系(荷電調整剤、CCA) 0.5重量部
(4)4級アンモニウム塩を官能基とする 4.0重量部
スチレン系樹脂共重合体(荷電増強樹脂、CCR)
(5)ポリプロピレンワックス 3.0重量部
ただし、総添加量を100重量部とし、磁性粉体(マグネタイト)を45重量部、ポリプロピレンワックスを3重量部にそれぞれ固定し、さらにスチレン−アクリル樹脂(共重合体)の添加量は、残重量部である47.5重量部を添加するものとする。次いで、各成分を2軸押出機にて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕、分級して平均粒径が7μmのMICRプリンタ用粉体を得た。
なお、荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)の配合比率は、表1に示したとおりであり、アジン化合物系(CCA)が0.5重量部、4級アンモニウム塩を官能基とするスチレン系樹脂共重合体(CCR)が4.0重量部の割合である。そして、得られた粉体に、シリカ(SiO2)微粉末を0.5重量%の割合で外添混合し、表面に付着させて本発明のMICRプリンタ用磁性トナーとし、以下の評価に供した。
Figure 0004085107
(MICRプリンタ用磁性トナーの評価)
得られたMICRプリンタ用磁性トナーを磁性一成分現像剤として用い、a−Siドラム搭載京セラ製ページプリンタ(FS−3700)に収容し、画像評価パターン(ソリッドパターン)を出力させ定着性を評価した。また、併せて以下に示す方法で帯電特性、画像特性、および現像スリーブ汚れの評価をそれぞれ行った。得られた結果を表2に示す。
(1)帯電特性
得られたトナー5重量部と、フェライトキャリア100重量部と、を混合し、通常環境条件(20℃、65%RH)にて、容器内で振動させて60分間摩擦帯電させた時の帯電量(μC/g)を初期の帯電量とした。結果を表2に示す。
また、トナーを磁性一成分現像剤として用い、上述した京セラ製ページプリンタ内に収容し、10万枚の連続印刷(通紙)を行った。その際のトナー帯電量を耐久後の帯電量とした。結果を表2に示す。なお、トナーの帯電量は、東芝ケミカル社製ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて測定した。
また、本実施例では、トナーの帯電量を撹拌前(0分)、撹拌後3分、10分、20分、30分、40分後にもそれぞれ測定し、トナーにおける帯電の立ち上がり性も検討した。この結果を図1に示す。
図1において、横軸に撹拌時間(分)を採ってあり、縦軸に帯電量(μC/g)を採って示してある。記号Aで示される曲線が本実施例を表している。なお、比較のため、比較例1についての同様のデータを記号Bで示す曲線で表しており、比較例2についての同様のデータを記号Cで示す曲線で表しており、さらに、記号Dで示される曲線は、実施例1において荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)をいずれも添加していない例を示している。結果から理解されるように、荷電調整剤および荷電増強樹脂を添加した本実施例は、撹拌後3分程度で15μC/g以上の帯電量を示し、撹拌後10分程度で、30μC/gという高いレベルでもって飽和する。それに対して、荷電調整剤および荷電増強樹脂のいずれか一方を添加した系(曲線BおよびC)は、帯電量の立ち上がり性が明らかに遅く、しかも、飽和した帯電レベルの値も20〜24μC/gとかなり低いことがわかる。
(2)画像特性
得られたトナーを磁性一成分現像剤として用い、上述した京セラ製ページプリンタに収容し、画像特性の評価を行った。すなわち、通常環境(20℃、65%RH)にて得られた画像評価パターン(ソリッドパターン)を初期画像とし、その後、10万枚の連続印刷(通紙)を行い、画像パターンを印字して耐久画像とした。そして、マクベス反射濃度計を用いて、初期画像および耐久画像における画像濃度(印字濃度)をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
また、同時に得られた初期画像および耐久画像のカブリ性を以下の基準により、目視で行った。
○:カブリは全く観察されず、良好な状態である。
△:ややカブリの発生が観察される。
×:顕著なカブリが観察される。
(3)定着性
定着温度を190℃に設定し、電源を切った状態で10分間冷却した後、電源を入れ(ON)、画像評価パターン(ソリッドパターン)を連続5枚印字して、測定用画像を得た。次いで、得られた画像上に、綿布で包んだ黄銅製分銅(1kg荷重)を10往復させた。この操作の前後の画像濃度をマクベス反射濃度計で測定し、その濃度の定着率(操作前濃度/操作後濃度)を求めて、以下の基準から定着性を評価した。結果を表2に示す。なお、評価紙としては、クラシック・クレスト紙を用いた。
○:定着率が95以上の値である。
△:定着率が90%以上〜95%未満の値である。
×:定着率が90%未満の値である。
(4)現像スリーブ付着性
得られたトナーを磁性一成分現像剤として用い、上述した京セラ製ページプリンタに収容し、画像特性の評価を行った。すなわち、通常環境(20℃、65%RH)にて10万枚連続印刷し、得られた画像評価パターン(ソリッドパターン)を目視で観察し、以下の基準から現像スリーブ付着性を評価した。結果を表2に示す。
○:汚れは認められず、きれいで良好である。
△:少しの汚れが認められる。
×:かなりの汚れが認められる。
Figure 0004085107
[実施例2〜4、参考例1、実施例6]
(MICRプリンタ用磁性トナーの作製)
実施例2〜4、参考例1、および実施例6においては、表1に示すように荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)の添加量をそれぞれ変えたほかは、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製した。
(静電潜像用磁性トナーの評価)
実施例2〜4、参考例1、および実施例6においては、それぞれ得られたMICRプリンタ用磁性トナーについて、実施例1と同様に定着性および画像特性等の評価結果を行った。結果を表2に示す。
[比較例1〜2]
(MICRプリンタ用磁性トナーの作製)
比較例1〜2においては、表1に示すように荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)のいずれか一方を添加したほかは、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製した。
(MICRプリンタ用磁性トナーの評価)
比較例1〜2においては、それぞれ得られたMICRプリンタ用磁性トナーについて、実施例1と同様に定着性および画像特性等の評価結果を行った。結果を表2に示す。
参考例7、実施例8〜13]
(MICRプリンタ用磁性トナーの作製)
磁性粉の添加量を、それぞれ25重量%(参考例7)、30重量%(実施例8)、40重量%(実施例9)、45重量%(実施例10)、50重量%(実施例11)、55重量%(実施例12)および60重量%(実施例13)に変えたほかは、実施例1と同様に、トナーを作製した。なお、実施例10は、実施例1の再現試験である。
(MICRプリンタ用磁性トナーの評価)
得られたMICRプリンタ用磁性トナーについて、実施例1と同様に定着性および画像特性等の評価結果を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004085107
[参考例14]
(1)MICRプリンタ用磁性トナーの製造
混合容器内に、磁性粉として残留磁化の値が異なる第1の酸化鉄20重量部と第2の酸化鉄20重量部とをそれぞれ収容した。さらに、スチレン−アクリル系共重合体(軟化点123℃、Tg:65℃)100重量部と、フィシャートロプッシュワックス(サゾールワックスC2、重量平均分子量:1262)2.5重量部と、アジン化合物系(CCA)0.5重量部と、4級アンモニウム塩を官能基とするスチレン系樹脂共重合体(CCR)1.0重量部とを混合容器内に収容し、均一に混合分散して混合物とした。なお、第1および第2の磁性粉については、それぞれ100重量部あたり、1gのγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加混合し、これらの磁性粉表面を予め表面処理を施しておいた。
次いで、得られた混合物を粉砕機を用いて粗粒子に粉砕し、さらに分級して、平均粒子径が10μmのトナー粒子を作製した。なお、かかるトナー粒子の粒度分布において、7〜13μmの範囲内に、粒子重量の80重量%が分布していることが確認されている。次いで、得られたトナー粒子100重量部あたり、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを用いてアミノ基を導入し、シリコーンオイルにより疎水化処理した乾式シリカ微粉末を0.5重量部添加し、本発明のMICRプリンタ用磁性トナーとして、以下の評価に供した。
第1の酸化鉄 第2の酸化鉄
形状 針状 粒状
残留磁化(emu/g) 30.5 18.1
飽和磁化(emu/g) 84.0 87.0
平均粒子径(μm) 0.7 0.4
アスペクト比(長径/短径) 3.57 1.33
BET表面積(m2/g) 15.5 3.8
嵩密度(g/cm3) 1.1 1.4
保持力(Oe) 335.0 221.0
(2)MICRプリンタ用磁性トナーの評価
得られたMICRプリンタ用磁性トナー自体の評価を行い、また、かかるトナーを京セラ(株)製プリンタ(エコシス、FS−3700)に収容し、小切手上にフォント(E−13Bタイプ)の連続印刷を行い、画像濃度等の評価を行った。
(2−1〜2)残留磁化評価および飽和磁化評価
得られたMICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化および飽和磁化を測定した。それぞれの結果を表4に示す。
(2−3)分散性評価
ミクロトームMT6000−XL(RMC社製)を用いて、MICRプリンタ用磁性トナーを切断した。次いで、電子顕微鏡を用いてトナー断面を観察し、以下の基準で、MICRプリンタ用磁性トナーにおける磁性粉の分散性を評価した。結果を表4に示す。なお、△の評価であれば許容範囲であり、〇であれば好ましい分散性を有すると経験的に言える。
〇:磁性粉の塊は全く観察されない。
△:磁性粉の小さい塊が観察される。
×:磁性粉の塊が観察される。
(2−4)耐久性評価
得られたMICRプリンタ用磁性トナーを京セラ(株)製プリンタ−(エコシス、FS−3700)における現像器に収容し、18PPM(Page parMinututes)相当の回転速度で10日間の静電連続運転を行い、試験後のトナーの割れ具合から、以下の基準でMICRプリンタ用磁性トナーの耐久性を評価した。ここで、プリンタ−の静電連続運転とは、トナーを撹拌しつつ、現像バイアスを印加して、通状の印刷状態(但し、非通紙状態である。)と同様の条件で、トナーを撹拌流動させるものである。得られた結果を表1に示す。なお、△の評価であれば許容範囲であり、〇であれば好ましい耐久性を有すると経験的に言える。
〇:トナー表面から磁性粉の離脱は観察されない。
△:トナー表面から塊状の磁性粉の離脱が観察されない。
×:トナー表面から顕著な磁性粉の離脱が観察されない。
(2−5)画像濃度評価
得られたMICRプリンタ用磁性トナーを京セラ(株)製プリンタ(エコシス、FS−3700)に収容し、小切手上にソリッドブラウンパターンの印刷を行い、画像濃度評価を行った。具体的には、印刷された画像濃度について、マクベス濃度計(マクベス社製反射型濃度計、RD914)を用いて測定した。結果を表4に示す。
(2−6)カブリ性評価
得られたMICRプリンタ用磁性トナーのカブリ性を評価した。結果を表1に示す。なお、評価に際して、印刷枚数に対応するカブリ限度見本を作成し、1〜5段階にランク付けした。このランク付けにおいて、段階4の評価であれば許容範囲であり、段階3以下であれば経験的にカブリが発生したと言える。
段階5:背景部にカブリが全く観察されない。
段階4:ルーペを用いることにより、背景部にわずかにカブリが観察される。
段階3:目視により、背景部にカブリがわずかに観察される。
段階2:目視により、背景部にカブリが観察される。
段階1:背景部に、縦スジ等が表われ、顕著なカブリが観察された。
(2−7)読取り性評価
得られたMICRプリンタ用磁性トナーの読取り性評価を、MICR用読取機マイカクオリファイヤ(RDM社製)を用いて行った。また、読取り性(%)が80〜200%の範囲内であれば、適性にフォントが読み取れたということができる。結果を表4および図2に示す。
なお、図2は、横軸にMICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化の値(eum/g)を採って示してあり、縦軸に読取り性(%)の値を採って示してある。図2に示す、参考例14のデータを含む曲線から理解されるように、トナーの残留磁化の値が7.0(eum/g)以下であると、読取り性(%)の値が急に低下する傾向が見られる。したがって、トナーの残留磁化の値を7.0(eum/g)を超える所定範囲に制限することにより、優れた読取り性(%)の値を得ることができる。但し、トナーの残留磁化の値をさらに増加させると、逆に読取り性(%)の値が低下したり、分散性等の特性も低下したりすることも判明しており、かかる観点から、トナーの残留磁化の値を20(eum/g)以下と制限する必要がある。
Figure 0004085107
なお、表4中の、磁性粉量の( )内の値は、粒状/針状の配合重量比を表す。
[参考例15〜17]
第1の酸化鉄の添加量と、第2の酸化鉄との添加量との配合比率は50:50のままで、バインダー樹脂に対する第1および第2の酸化鉄の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、20重量部(参考例15)、30重量部(参考例16)、50重量部(参考例17)に変えたほかは、参考例14と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製し、トナーにおける残留磁化評価および定着性等を評価した。それぞれ得られた結果を表4および図2に示す。なお、定着性は参考例14と同様に評価した。結果から理解されるように、参考例16〜17は優れた読取り性等が得られたが、参考例17においては残留磁化の値が7.0emu/g未満であるため、読取り性に若干乏しいという結果が得られた。
Figure 0004085107
[参考例18〜21]
第1の酸化鉄の添加量と、第2の酸化鉄との添加量との配合比率を変えたほかは、参考例14と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製し、評価した。具体的に、参考例18では、バインダー樹脂100重量部あたり、第1の酸化鉄を30重量部添加し、第2の酸化鉄を10重量部添加した。また、参考例19では、バインダー樹脂100重量部あたり、第1の酸化鉄を10重量部添加し、第2の酸化鉄を30重量部添加した。得られた結果をそれぞれ表5に示す。
また、参考例20〜21においては、第1の酸化鉄および第2の酸化鉄のいずれか一方をバインダー樹脂100重量部あたり、40重量部用いたほかは、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製し、評価した。それぞれ得られた結果を表5に示す。参考例20においては針状の磁性粉のみを使用しており、高い残留磁化の値が得られているものの、分散性や耐久性が若干乏しいという結果が得られた。また、参考例21においては粒状の磁性粉のみを使用しており、分散性や耐久性は優れているものの、読取り性に若干乏しいという結果が得られた。
本発明によれば、バインダー樹脂と、磁性粉と、所定量の荷電制御剤と、を含有する静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法において、荷電制御剤として、帯電量を一定範囲内に調整する機能を有する電荷調整剤(但し、4級アンモニウム塩を除く。)(CCA)と、帯電量を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)と、を併用することにより、帯電レベルが高く、帯電量について立ち上がりが早く、しかも耐久性、安定性に優れた正帯電特性を付与できる静電潜像用磁性トナーを用いた電子写真方法が提供できるようになった。
静電潜像用磁性トナーにおける、撹拌時間と、帯電量との関係を示す図である。 MICRプリンタ用磁性トナーにおける残留磁化の値と、読取り性の値との関係を示す図である。

Claims (7)

  1. バインダー樹脂と、磁性粉と、荷電制御剤と、を含有する静電潜像用トナー(ただし、ビニル芳香族炭化水素由来の繰り返し構造単位と(メタ)アクリレート由来の繰り返し構造単位と4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート由来の繰り返し構造単位とを有する4級アンモニウム塩基含有共重合体存在下に着色剤と無機質系分散剤を含有する懸濁液媒体中で、重合性単量体を懸濁重合する方法によって製造された静電潜像用トナーを除く)を用いた電子写真方法において、
    前記荷電制御剤として、
    帯電量を一定範囲内に調整する機能を有する電荷調整剤(CCA)としてのアジン化合物と、
    帯電量を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)としての4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系共重合体と、
    を併用するとともに、
    前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷調整剤および前記電荷増強樹脂の合計量を3〜7重量%の範囲内の値とし、さらに、
    前記バインダー樹脂が、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン−アクリル系樹脂であり、かつ、
    前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記磁性粉の添加量を30〜60重量%の範囲内の値とする静電潜像用トナーを用いることを特徴とした電子写真方法。
  2. 前記バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル及びメタアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真方法。
  3. 前記バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸n−ブチルであることを特徴とする請求項2に記載の電子写真方法。
  4. 前記アジン化合物が、当該アジン化合物に含まれるニグロシン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真方法。
  5. 前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷調整剤の添加量を、0.5〜5重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真方法。
  6. 前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷増強樹脂の添加量を、1〜5重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真方法。
  7. 前記静電潜像用トナーが、MICRプリンタ印刷用トナーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真方法。
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