JP4085107B2 - 電子写真方法 - Google Patents
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具体的には、かかるフォントからなる識別マークは、数字と記号とを組み合せて構成されており、偽造防止を図る小切手等の表面に印刷することにより機能を発揮させることができる。すなわち、識別マークは、磁性粉をバインダー樹脂中に一定量配合した磁性インクにより構成されており、この磁性粉の有する磁力を利用して、識別マークであるフォントを専用の読取機で読み取り、読み取った情報から、小切手等の真偽を正確に判断することができる。また、かかるフォントからなる識別マークは、人間の目視によっても、おおまかに認識可能であるため、バーコード等と異なり、専用の読取機で判断する前に、簡易かつ迅速な真偽の判断ができるという利点も有している。
しかしながら、2種類の磁性粉を単に組み合わせてもMICRトナーの残留磁化を高めることができず、しかもこのようにMICRトナーの残留磁化を4.0〜7.0emu/gの範囲内の値に制限すると、実際には、画像濃度が低く、読み取りエラーが多い等の問題が見られた。
すなわち、本発明の目的は、帯電量の立ち上がり性が早く、帯電量の制御が容易で、しかも耐久性等に優れた静電潜像用磁性トナー(MICRプリンタ用磁性トナーを含む。)を用いた電子写真方法を提供することにある。
このように構成することにより、静電潜像用磁性トナーが素早く帯電し、いわゆる帯電量について立ち上がりを早くすることができ、また、耐久性、安定性に優れた正帯電特性を付与することもできる。すなわち、電荷調整剤(CCA)および電荷増強樹脂(CCR)のいずれか一方のみを用いても、素早い立ち上がり性を得ることができず、しかも長時間の帯電動作のために静電潜像用磁性トナーが劣化する傾向があるものの、このように電荷調整剤(CCA)と電荷増強樹脂(CCR)を組み合わせることにより、帯電量についての立ち上がりを相乗的に早くすることができる。したがって、帯電量の制御が容易となり、かつ、高い帯電量を得ることができる。
(1)種類
本発明におけるトナーに使用するバインダー樹脂の種類は、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン−アクリル系樹脂である。
また、より具体的には、バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル及びメタアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
また、このようなバインダー樹脂において、磁性粉の分散性を向上させるために、ヒドキロキシ(水酸)基、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキシ)基から選択される少なくとも一つの官能基を分子内に有する樹脂を使用することが好ましい。
なお、これらの官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用いて確認することができ、さらに滴定法を用いて定量することができる。
また、バインダー樹脂において、二つの重量分子量ピーク(低分子量ピークと、高分子量ピークと称する。)を有することが好ましい。具体的に、低分子量ピークが3、000〜20、000の範囲内であり、もう一つの高分子量ピークが300、000〜1500、000の範囲内であることが好ましい。重量分子量ピークがこのような範囲内にあれば、トナーを容易に定着させることができ、また、耐オフセット性を向上させることもできる。なお、バインダー樹脂の重量分子量は、分子量測定装置(GPC)を用いて、カラムからの溶出時間を測定し、標準ポリスチレン樹脂を用いて予め作成しておいた検量線と照らし合わせることにより、求めることができる。
また、バインダー樹脂において、ガラス転移点(Tg)を55〜70℃の範囲内の値とするのが好ましい。バインダー樹脂のガラス転移点が、55℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する傾向がある。一方、バインダー樹脂のガラス転移点が、70℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる傾向がある。なお、バインダー樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
(1)種類
本発明におけるトナーに使用する磁性粉の種類は、特に制限されるものではないが、酸化鉄(マグネタイト)、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉およびフェライト類をそれぞれ主成分とした磁性粉や、酸化鉄にコバルトやニッケル等の金属をドーピングした磁性粉、あるいは強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金または二酸化クロム等の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。特に、コバルトやニッケル等の金属をドーピングした磁性粉は、残留磁化の値が高い観点で、本発明への使用に好適である。
本発明におけるトナーに使用する磁性粉において、残留磁化の値が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉における残留磁化の値を24〜40emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化の値を1〜24emu/g(但し、24m2/gは含まない。)とすることが好ましい。このように残留磁化の値が異なる少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値を容易に調節することができ、トナーにおける画像濃度や読取り性を著しく向上させることができる。また、このような範囲に残留磁化の値を調節することにより、磁性粉のアスペクト比、BET値、嵩密度等の調節も容易になるため、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を飛躍的に向上させることもできる。
したがって、トナーの分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉における残留磁化を25〜38emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化を5〜23emu/gの範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉における残留磁化を26〜35emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化を10〜20emu/gの範囲内の値とすることがより好ましい。
本発明におけるトナーに使用する磁性粉において、飽和磁化の値が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉における飽和磁化の値を80〜85emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における飽和磁化の値を85〜90emu/g(但し、85emu/gは含まない。)とすることが好ましい。飽和磁化の値は、残留磁化の値に密接に関係しており、このように飽和磁化の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、残留磁化の値を微妙に調整することができ、結果として、得られるトナーにおける画像濃度や読取り性を向上させることができる。また、このような範囲に飽和磁化の値を調節することにより、磁性粉のアスペクト比、BET値、嵩密度等の調節も容易になるため、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。
本発明におけるトナーに使用する磁性粉に関して、アスペクト比(長径/短径)が異なる磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を2.0〜100の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を1.0〜2.0(但し、2.0は含まない。)の範囲内の値とすることが好ましい。
本発明におけるトナーに使用する磁性粉のBET値に関して、特に制限されるものではないが、BET値が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉のBET値を10〜30m2/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉のBET値を1〜10m2/g(但し、10m2/gは含まない。)とすることが好ましい。
このようにBET値の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調節することができる。また、このように構成すると、トナーにおける画像濃度や読取り性を著しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。なお、BET値は、BET吸着法により、比表面積として求めることができる。
本発明におけるトナーに使用する磁性粉の嵩密度に関して特に制限されるものではないが、嵩密度の値が異なる2種以上の磁性粉を使用することが好ましく、これらの磁性粉を例えば第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉の嵩密度を1〜1.2g/cm3の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉の嵩密度を1.2〜2.0g/cm3(但し、1.2g/cm3は含まない。)とすることが好ましい。このように嵩密度の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調節することができる。また、このように構成すると、トナーにおける画像濃度や読取り性を著しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。
また、本発明におけるトナーに使用する磁性粉の形態に関して特に制限されるものではなく、針状、粒状、あるいは球状、さらには不定形の磁性粉を使用することができる。ここで、針状の磁性粉は、一般に残留磁化の値、保持力の値あるいはBET値が大きい一方、アスペクト比(長径/短径)、嵩密度および飽和磁化の値が小さく、バインダー樹脂に対する分散性が乏しいという特徴がある。また、粒状の磁性粉は、一般に残留磁化の値、飽和磁化の値、保持力の値あるいはBET値が比較的大きい一方、アスペクト比(長径/短径)や嵩密度の値が比較的小さく、バインダー樹脂に対する分散性は良好であるという特徴がある。さらに、球状の磁性粉は、一般に残留磁化の値、保持力の値あるいはBET値は小さいものの、アスペクト比(長径/短径)、嵩密度および飽和磁化の値が比較的大きく、バインダー樹脂に対する分散性は良好であるという特徴がある。
また、本発明におけるトナーに使用する磁性粉の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、1〜60重量部の範囲内の値とするのが好ましい。磁性粉の添加量が1重量部未満となると、いわゆるカブリ現象が発生しやすく、また、読み取り性が低下する傾向があり、一方、磁性粉の添加量が60重量部を超えると、分散性や撹拌性が低下し、さらには画像濃度等が低下する傾向がある。したがって、トナーの画像濃度等と、分散性等とのバランスがより良好な観点から、磁性粉の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、20〜50重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、30〜50重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましく、最適には、30〜35重量部の範囲内の値とすることである。また、磁性粉の添加量を重量%で表せば、トナーの全体量を100重量%としたときに、35〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。添加量が35重量%未満となると、画像濃度が低下したり、耐久性におけるカブリ性が悪化したりする傾向があり、一方、60重量%を超えると、分散性、耐久性あるいは定着性が低下する傾向がある。したがって、磁性粉の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とするのがより好ましい。
次に、磁性粉の表面処理について説明する。本発明のMICRプリンタ用磁性トナーにおいて、分散性や耐久性を向上させる観点から、磁性粉の表面を表面処理することが好ましい。その場合の表面処理剤として、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂、ウレタン系樹脂等を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
本発明のトナーにおいて、帯電レベルや帯電立ち上がり性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)が著しく向上し、耐久性や安定性に優れ、さらには優れた流動性等が得られる観点から、電荷制御剤を添加する必要がある。
ここで、電荷制御剤には、電荷(帯電量)を一定範囲内に調整する機能を有する特定の電荷調整剤(CCA)と、電荷(帯電量)を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)とがある。そして、本発明のトナーにおいて、特定の電荷調整剤と、電荷増強樹脂とを併用して添加する必要がある。
本発明に使用する特定の電荷調整剤(CCA)としては、具体的に、アジン化合物としてのピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1、2、3−トリアジン、1、2、4−トリアジン、1、3、5−トリアジン、1、2、4−オキサジアジン、1、3、4−オキサジアジン、1、2、6−オキサジアジン、1、3、4−チアジアジン、1、3、5−チアジアジン、1、2、3、4−テトラジン、1、2、4、5−テトラジン、1、2、3、5−テトラジン、1、2、4、6−オキサトリアジン、1、3、4、5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、アジン化合物からなる直接染料としての、アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープブラック3RL、ニグロシン化合物としてのニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体、ニグロシン化合物からなる酸性染料としての、ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、4級アンモニウム塩としてのベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、アジン化合物に含まれるニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、本発明における使用に最適である。
本発明に使用する電荷増強樹脂(CCR)としては、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマーが挙げられ、より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン-アクリル系樹脂が挙げられる。
次に、電荷制御剤の添加量について説明する。すなわち、電荷制御剤の添加量は所望の電荷量から決定することが好ましいが、具体的に、電荷調整剤(CCA)の添加量を0.5〜5重量%の範囲内の値とし、かつ電荷増強樹脂(CCR)の添加量を1〜5重量%の範囲内の値するのが好ましい。それぞれこのような範囲内の値とすることにより、分散性も良好であり、また、有効に添加効果を発揮することができる。
したがって、電荷調整剤(CCA)の添加量を0.5〜3重量%の範囲内の値とし、かつ電荷増強樹脂(CCR)の添加量を2〜5重量%の範囲内の値するのが好ましい。
かかる電荷制御剤(CCA+CCR)の添加量が3重量%未満となると、トナーに対して、安定して帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下したりする傾向がある。また、分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなったりする等の傾向がある。
一方、電荷制御剤(CCA+CCR)の添加量が7重量%を超えると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
(1)ワックス類
本発明のトナーにおいて、画像濃度を高め、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリングを有効に防止することができる観点から、ワックス類を添加することが好ましい。
ここで、添加するワックス類の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス等を使用することが好ましい。かかるワックスを添加することにより、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリングをより効率的に防止することができる。なお、フィッシャートロプッシュワックスは、一酸化炭素の接触水素化反応であるフィッシャートロプッシュ反応を利用して製造される、イソ(iso)構造分子や側鎖が少ない、直鎖炭化水素化合物である。
本発明のトナーには、トナーの流動性を向上させたり、保存安定性を維持したり、あるいは多機能とする目的で、着色剤、染料、顔料、カップリング剤、シリカ粒子等を添加配合することも可能である。特に、流動性、保存安定性を維持する目的で、平均粒径が5〜12μmの範囲内であるトナー中にコロイダルシリカ、疎水性シリカ等を使用するのが好ましい。なお、シリカ粒子については、トナーの流動性をより制御できる観点から、トナーに対して外添することが好ましい。その場合、シリカ粒子として、シランカップリング剤を用いて正帯電極性基(アミノ基等)を導入し、シリコーンオイルにより疎水化処理した乾式シリカ微粉末を使用することが好ましい。
(1)残留磁化
本発明において、MICRプリンタ用磁性トナー(トナー)の残留磁化を、7.0〜20emu/g(但し、7.0emu/gは除く。)の範囲内の値とするのが好ましい。トナーにおける残留磁化の値が、7.0emu/g以下となると、トナーの画像濃度や読取り性が著しく低下する傾向があり、一方、トナーにおける残留磁化の値が、20emu/gを超えると、逆にトナーの読取り性が低下したり、あるいは分散性や耐久性が低下する傾向がある。したがって、より優れたトナーの読取り性等を得るために、MICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化を、8〜18emu/gの範囲内の値とするのがより好ましく、10〜15emu/gの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
本発明において、トナーの飽和磁化を、20〜45emu/gの範囲内の値とすることが好ましい。トナーにおける飽和磁化の値が、20emu/g未満となると、トナーの画像濃度や読取り性が著しく低下するためであり、一方、トナーにおける残留磁化の値が、45emu/gを超えると、逆にトナーの読取り性が低下するためである。したがって、より優れたトナーの読取り性等を得るために、MICRプリンタ用磁性トナーの飽和磁化を、25〜40emu/gの範囲内の値とするのがより好ましく、30〜32.5emu/gの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
次に、トナーの形態について説明する。かかる形態は特に制限されるものでないが、トナーの読取り性や画像濃度が向上し、しかも容易に製造できる観点から、球状または楕円状であることが好ましい。また、平均粒子径についても、特に制限されるものではないが、1〜20μmの範囲内の値が好ましい。平均粒子径がかかる範囲外となると、トナーの読取り性や画像濃度が低下する傾向にあり、また、製造上の制御も困難となる傾向がある。したがって、トナーの平均粒子径を、4〜15μmの範囲内の値とするのがより好ましく、5〜13μmの範囲内の値とするのが最も好ましい。
次に、本発明におけるトナーの製造方法について説明する。かかる製造方法は特に制限されるものではなく、例えば、プロペラミキサ、ニーダ、Vブレンダ、ヘンシェルミキサ等を用いて、バインダー樹脂と磁性粉とを均一に混練し、次いで、粉砕、分級することにより、所望の平均粒子径を有するトナーを得ることができる。
(MICRプリンタ用磁性トナーの作製)
以下の配合比でMICRプリンタ用磁性トナーを作製した。
(1)スチレン−アクリル樹脂 47.5重量部
(2)磁性粉体(マグネタイト) 45重量部
(3)アジン化合物系(荷電調整剤、CCA) 0.5重量部
(4)4級アンモニウム塩を官能基とする 4.0重量部
スチレン系樹脂共重合体(荷電増強樹脂、CCR)
(5)ポリプロピレンワックス 3.0重量部
なお、荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)の配合比率は、表1に示したとおりであり、アジン化合物系(CCA)が0.5重量部、4級アンモニウム塩を官能基とするスチレン系樹脂共重合体(CCR)が4.0重量部の割合である。そして、得られた粉体に、シリカ(SiO2)微粉末を0.5重量%の割合で外添混合し、表面に付着させて本発明のMICRプリンタ用磁性トナーとし、以下の評価に供した。
得られたMICRプリンタ用磁性トナーを磁性一成分現像剤として用い、a−Siドラム搭載京セラ製ページプリンタ(FS−3700)に収容し、画像評価パターン(ソリッドパターン)を出力させ定着性を評価した。また、併せて以下に示す方法で帯電特性、画像特性、および現像スリーブ汚れの評価をそれぞれ行った。得られた結果を表2に示す。
得られたトナー5重量部と、フェライトキャリア100重量部と、を混合し、通常環境条件(20℃、65%RH)にて、容器内で振動させて60分間摩擦帯電させた時の帯電量(μC/g)を初期の帯電量とした。結果を表2に示す。
図1において、横軸に撹拌時間(分)を採ってあり、縦軸に帯電量(μC/g)を採って示してある。記号Aで示される曲線が本実施例を表している。なお、比較のため、比較例1についての同様のデータを記号Bで示す曲線で表しており、比較例2についての同様のデータを記号Cで示す曲線で表しており、さらに、記号Dで示される曲線は、実施例1において荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)をいずれも添加していない例を示している。結果から理解されるように、荷電調整剤および荷電増強樹脂を添加した本実施例は、撹拌後3分程度で15μC/g以上の帯電量を示し、撹拌後10分程度で、30μC/gという高いレベルでもって飽和する。それに対して、荷電調整剤および荷電増強樹脂のいずれか一方を添加した系(曲線BおよびC)は、帯電量の立ち上がり性が明らかに遅く、しかも、飽和した帯電レベルの値も20〜24μC/gとかなり低いことがわかる。
得られたトナーを磁性一成分現像剤として用い、上述した京セラ製ページプリンタに収容し、画像特性の評価を行った。すなわち、通常環境(20℃、65%RH)にて得られた画像評価パターン(ソリッドパターン)を初期画像とし、その後、10万枚の連続印刷(通紙)を行い、画像パターンを印字して耐久画像とした。そして、マクベス反射濃度計を用いて、初期画像および耐久画像における画像濃度(印字濃度)をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
○:カブリは全く観察されず、良好な状態である。
△:ややカブリの発生が観察される。
×:顕著なカブリが観察される。
定着温度を190℃に設定し、電源を切った状態で10分間冷却した後、電源を入れ(ON)、画像評価パターン(ソリッドパターン)を連続5枚印字して、測定用画像を得た。次いで、得られた画像上に、綿布で包んだ黄銅製分銅(1kg荷重)を10往復させた。この操作の前後の画像濃度をマクベス反射濃度計で測定し、その濃度の定着率(操作前濃度/操作後濃度)を求めて、以下の基準から定着性を評価した。結果を表2に示す。なお、評価紙としては、クラシック・クレスト紙を用いた。
○:定着率が95以上の値である。
△:定着率が90%以上〜95%未満の値である。
×:定着率が90%未満の値である。
得られたトナーを磁性一成分現像剤として用い、上述した京セラ製ページプリンタに収容し、画像特性の評価を行った。すなわち、通常環境(20℃、65%RH)にて10万枚連続印刷し、得られた画像評価パターン(ソリッドパターン)を目視で観察し、以下の基準から現像スリーブ付着性を評価した。結果を表2に示す。
○:汚れは認められず、きれいで良好である。
△:少しの汚れが認められる。
×:かなりの汚れが認められる。
(MICRプリンタ用磁性トナーの作製)
実施例2〜4、参考例1、および実施例6においては、表1に示すように荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)の添加量をそれぞれ変えたほかは、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製した。
実施例2〜4、参考例1、および実施例6においては、それぞれ得られたMICRプリンタ用磁性トナーについて、実施例1と同様に定着性および画像特性等の評価結果を行った。結果を表2に示す。
(MICRプリンタ用磁性トナーの作製)
比較例1〜2においては、表1に示すように荷電調整剤(CCA)と荷電増強樹脂(CCR)のいずれか一方を添加したほかは、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製した。
比較例1〜2においては、それぞれ得られたMICRプリンタ用磁性トナーについて、実施例1と同様に定着性および画像特性等の評価結果を行った。結果を表2に示す。
(MICRプリンタ用磁性トナーの作製)
磁性粉の添加量を、それぞれ25重量%(参考例7)、30重量%(実施例8)、40重量%(実施例9)、45重量%(実施例10)、50重量%(実施例11)、55重量%(実施例12)および60重量%(実施例13)に変えたほかは、実施例1と同様に、トナーを作製した。なお、実施例10は、実施例1の再現試験である。
得られたMICRプリンタ用磁性トナーについて、実施例1と同様に定着性および画像特性等の評価結果を行った。結果を表3に示す。
(1)MICRプリンタ用磁性トナーの製造
混合容器内に、磁性粉として残留磁化の値が異なる第1の酸化鉄20重量部と第2の酸化鉄20重量部とをそれぞれ収容した。さらに、スチレン−アクリル系共重合体(軟化点123℃、Tg:65℃)100重量部と、フィシャートロプッシュワックス(サゾールワックスC2、重量平均分子量:1262)2.5重量部と、アジン化合物系(CCA)0.5重量部と、4級アンモニウム塩を官能基とするスチレン系樹脂共重合体(CCR)1.0重量部とを混合容器内に収容し、均一に混合分散して混合物とした。なお、第1および第2の磁性粉については、それぞれ100重量部あたり、1gのγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加混合し、これらの磁性粉表面を予め表面処理を施しておいた。
次いで、得られた混合物を粉砕機を用いて粗粒子に粉砕し、さらに分級して、平均粒子径が10μmのトナー粒子を作製した。なお、かかるトナー粒子の粒度分布において、7〜13μmの範囲内に、粒子重量の80重量%が分布していることが確認されている。次いで、得られたトナー粒子100重量部あたり、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを用いてアミノ基を導入し、シリコーンオイルにより疎水化処理した乾式シリカ微粉末を0.5重量部添加し、本発明のMICRプリンタ用磁性トナーとして、以下の評価に供した。
形状 針状 粒状
残留磁化(emu/g) 30.5 18.1
飽和磁化(emu/g) 84.0 87.0
平均粒子径(μm) 0.7 0.4
アスペクト比(長径/短径) 3.57 1.33
BET表面積(m2/g) 15.5 3.8
嵩密度(g/cm3) 1.1 1.4
保持力(Oe) 335.0 221.0
得られたMICRプリンタ用磁性トナー自体の評価を行い、また、かかるトナーを京セラ(株)製プリンタ(エコシス、FS−3700)に収容し、小切手上にフォント(E−13Bタイプ)の連続印刷を行い、画像濃度等の評価を行った。
得られたMICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化および飽和磁化を測定した。それぞれの結果を表4に示す。
ミクロトームMT6000−XL(RMC社製)を用いて、MICRプリンタ用磁性トナーを切断した。次いで、電子顕微鏡を用いてトナー断面を観察し、以下の基準で、MICRプリンタ用磁性トナーにおける磁性粉の分散性を評価した。結果を表4に示す。なお、△の評価であれば許容範囲であり、〇であれば好ましい分散性を有すると経験的に言える。
〇:磁性粉の塊は全く観察されない。
△:磁性粉の小さい塊が観察される。
×:磁性粉の塊が観察される。
得られたMICRプリンタ用磁性トナーを京セラ(株)製プリンタ−(エコシス、FS−3700)における現像器に収容し、18PPM(Page parMinututes)相当の回転速度で10日間の静電連続運転を行い、試験後のトナーの割れ具合から、以下の基準でMICRプリンタ用磁性トナーの耐久性を評価した。ここで、プリンタ−の静電連続運転とは、トナーを撹拌しつつ、現像バイアスを印加して、通状の印刷状態(但し、非通紙状態である。)と同様の条件で、トナーを撹拌流動させるものである。得られた結果を表1に示す。なお、△の評価であれば許容範囲であり、〇であれば好ましい耐久性を有すると経験的に言える。
〇:トナー表面から磁性粉の離脱は観察されない。
△:トナー表面から塊状の磁性粉の離脱が観察されない。
×:トナー表面から顕著な磁性粉の離脱が観察されない。
得られたMICRプリンタ用磁性トナーを京セラ(株)製プリンタ(エコシス、FS−3700)に収容し、小切手上にソリッドブラウンパターンの印刷を行い、画像濃度評価を行った。具体的には、印刷された画像濃度について、マクベス濃度計(マクベス社製反射型濃度計、RD914)を用いて測定した。結果を表4に示す。
得られたMICRプリンタ用磁性トナーのカブリ性を評価した。結果を表1に示す。なお、評価に際して、印刷枚数に対応するカブリ限度見本を作成し、1〜5段階にランク付けした。このランク付けにおいて、段階4の評価であれば許容範囲であり、段階3以下であれば経験的にカブリが発生したと言える。
段階5:背景部にカブリが全く観察されない。
段階4:ルーペを用いることにより、背景部にわずかにカブリが観察される。
段階3:目視により、背景部にカブリがわずかに観察される。
段階2:目視により、背景部にカブリが観察される。
段階1:背景部に、縦スジ等が表われ、顕著なカブリが観察された。
得られたMICRプリンタ用磁性トナーの読取り性評価を、MICR用読取機マイカクオリファイヤ(RDM社製)を用いて行った。また、読取り性(%)が80〜200%の範囲内であれば、適性にフォントが読み取れたということができる。結果を表4および図2に示す。
なお、図2は、横軸にMICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化の値(eum/g)を採って示してあり、縦軸に読取り性(%)の値を採って示してある。図2に示す、参考例14のデータを含む曲線から理解されるように、トナーの残留磁化の値が7.0(eum/g)以下であると、読取り性(%)の値が急に低下する傾向が見られる。したがって、トナーの残留磁化の値を7.0(eum/g)を超える所定範囲に制限することにより、優れた読取り性(%)の値を得ることができる。但し、トナーの残留磁化の値をさらに増加させると、逆に読取り性(%)の値が低下したり、分散性等の特性も低下したりすることも判明しており、かかる観点から、トナーの残留磁化の値を20(eum/g)以下と制限する必要がある。
第1の酸化鉄の添加量と、第2の酸化鉄との添加量との配合比率は50:50のままで、バインダー樹脂に対する第1および第2の酸化鉄の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、20重量部(参考例15)、30重量部(参考例16)、50重量部(参考例17)に変えたほかは、参考例14と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製し、トナーにおける残留磁化評価および定着性等を評価した。それぞれ得られた結果を表4および図2に示す。なお、定着性は参考例14と同様に評価した。結果から理解されるように、参考例16〜17は優れた読取り性等が得られたが、参考例17においては残留磁化の値が7.0emu/g未満であるため、読取り性に若干乏しいという結果が得られた。
第1の酸化鉄の添加量と、第2の酸化鉄との添加量との配合比率を変えたほかは、参考例14と同様に、MICRプリンタ用磁性トナーを作製し、評価した。具体的に、参考例18では、バインダー樹脂100重量部あたり、第1の酸化鉄を30重量部添加し、第2の酸化鉄を10重量部添加した。また、参考例19では、バインダー樹脂100重量部あたり、第1の酸化鉄を10重量部添加し、第2の酸化鉄を30重量部添加した。得られた結果をそれぞれ表5に示す。
Claims (7)
- バインダー樹脂と、磁性粉と、荷電制御剤と、を含有する静電潜像用トナー(ただし、ビニル芳香族炭化水素由来の繰り返し構造単位と(メタ)アクリレート由来の繰り返し構造単位と4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート由来の繰り返し構造単位とを有する4級アンモニウム塩基含有共重合体存在下に着色剤と無機質系分散剤を含有する懸濁液媒体中で、重合性単量体を懸濁重合する方法によって製造された静電潜像用トナーを除く)を用いた電子写真方法において、
前記荷電制御剤として、
帯電量を一定範囲内に調整する機能を有する電荷調整剤(CCA)としてのアジン化合物と、
帯電量を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)としての4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系共重合体と、
を併用するとともに、
前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷調整剤および前記電荷増強樹脂の合計量を3〜7重量%の範囲内の値とし、さらに、
前記バインダー樹脂が、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン−アクリル系樹脂であり、かつ、
前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記磁性粉の添加量を30〜60重量%の範囲内の値とする静電潜像用トナーを用いることを特徴とした電子写真方法。 - 前記バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル及びメタアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真方法。
- 前記バインダー樹脂としてのスチレン−アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルが、アクリル酸n−ブチルであることを特徴とする請求項2に記載の電子写真方法。
- 前記アジン化合物が、当該アジン化合物に含まれるニグロシン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真方法。
- 前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷調整剤の添加量を、0.5〜5重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真方法。
- 前記静電潜像用トナーの全体量を100重量%としたときに、前記電荷増強樹脂の添加量を、1〜5重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真方法。
- 前記静電潜像用トナーが、MICRプリンタ印刷用トナーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真方法。
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