JP2006010872A - Micr用トナーとそれを用いた画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることができるMICR用トナーと、それを用いた画像形成方法とを提供する。
【解決手段】 MICR用トナーは、体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmである磁性粉をトナー粒子中に配合してなり、磁性1成分ジャンピング現像方法に使用して、現像剤保持体の表面に保持させた状態での帯電量を3.0〜8.0μC/gとした。画像形成方法は、上記MICR用トナーと、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmである現像剤保持体とを組み合わせる。
【選択図】 なし
【解決手段】 MICR用トナーは、体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmである磁性粉をトナー粒子中に配合してなり、磁性1成分ジャンピング現像方法に使用して、現像剤保持体の表面に保持させた状態での帯電量を3.0〜8.0μC/gとした。画像形成方法は、上記MICR用トナーと、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmである現像剤保持体とを組み合わせる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、磁気インク文字認証(MICR:Magnetic Ink Character Recognition)システムに用いるMICR用トナーと、それを用いた画像形成方法に関するものである。
例えば、小切手、各種有価証券類、各種チケット類等の偽造や変造を防止するために、磁気インクを用いて、MICRフォントと呼ばれる特殊な書体の文字や数字等の文字列からなる識別マークを印刷し、それを専用の読取装置で読み取って小切手等の真偽を判別する磁気インク文字認証(MICR:Magnetic Ink Character Recognition)システムがある。このMICRシステムにおいては、識別マークを専用の読取装置で読み取ることで、正確な真偽の判定が可能であるだけでなく、識別マークは、上記のように文字や数字の情報でもあるため、バーコード等と違って、それを人の目で見て簡易かつ迅速に判別できるという利点もある。
識別マークの印刷方法としては、従来、磁性体を含む液状の磁気インクを用いたスクリーン印刷法やグラビア印刷法等が一般的であったが、近時、より迅速かつ簡易な印刷方法として、例えば、バインダ樹脂からなるトナー粒子中に磁性粉を分散した構造を有するトナー(磁性トナー)を用いて、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等を利用したレーザープリンタにより、識別マークを印刷することが検討されている。
電子写真法、静電記録法、静電印刷法等においては、まず、潜像保持体の表面を帯電手段によって一様に帯電させ、次いで、半導体レーザ、発光ダイオード等の露光手段によって露光して静電潜像を形成した後、この静電潜像を、現像手段によって現像または反転現像してトナー像に顕像化する。次に、このトナー像を、転写手段によって紙などの被印刷物の表面に転写した後、定着手段によって定着させることで、一連の画像形成の工程が完了する。
静電潜像をトナー像に現像するための現像方法としては種々あるが、特に、磁性トナーを用いた乾式の現像方法としては、磁性1成分現像方法が採用される。
磁性1成分現像方法においては、磁性トナーを、固定磁石を組み込んだ現像剤保持体上に薄層化しながら供給し、次いで、この薄層化した磁性トナーにより、潜像保持体上の静電潜像をトナー像に現像することが行われる。また、磁性1成分現像方法としては、導電性を有する磁性トナーを用いる現像方法と、絶縁性の磁性トナーを用いる、磁性1成分ジャンピング現像方法と呼ばれる現像方法(特許文献1参照)とがある。
磁性1成分現像方法においては、磁性トナーを、固定磁石を組み込んだ現像剤保持体上に薄層化しながら供給し、次いで、この薄層化した磁性トナーにより、潜像保持体上の静電潜像をトナー像に現像することが行われる。また、磁性1成分現像方法としては、導電性を有する磁性トナーを用いる現像方法と、絶縁性の磁性トナーを用いる、磁性1成分ジャンピング現像方法と呼ばれる現像方法(特許文献1参照)とがある。
このうち後者の、磁性1成分ジャンピング現像方法においては、まず、磁性トナーを、固定磁石を内蔵して回転する現像剤保持体と、当該現像剤保持体に近接させて配設した磁性ブレードとの隙間を通過させることによって摩擦帯電させながら、現像剤保持体の表面に供給して、内蔵した固定磁石の磁力によって保持させることで、現像剤保持体の表面に、磁性トナーの薄層を形成する。
次いで、形成した薄層と接触しないように間隙を保持して対峙させた、静電潜像を保持する潜像保持体と、現像剤保持体との間に交流あるいは直流のバイアス電圧を印加することによって、薄層から、帯電した磁性トナーを、潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する。
この現像方法では、絶縁性の磁性トナーを用いていることから、導電性の磁性トナーを用いた場合には不可能であった、形成したトナー像を、電界を利用して紙等の被印刷物の表面に転写することが可能となる。また、潜像保持体が電気的リークによって破壊されるのを防止することもできる。
この現像方法では、絶縁性の磁性トナーを用いていることから、導電性の磁性トナーを用いた場合には不可能であった、形成したトナー像を、電界を利用して紙等の被印刷物の表面に転写することが可能となる。また、潜像保持体が電気的リークによって破壊されるのを防止することもできる。
また、絶縁性の磁性トナーは帯電させやすいこと、磁力によってトナーを保持した状態で、現像剤保持体と十分に摩擦できること、磁力によってトナーを保持しつつ、静電潜像と非接触の状態で静電潜像を現像できることから、形成画像の非印字部分や余白部分にトナーが付着する地カブリの発生を防止して、画質の優れた画像を形成できるという利点もある。さらに、この現像方法においては、2成分現像法などの他の現像方法と比べて、現像器を非常に小さく、かつ簡単な構造にできるという利点もある。
MICRシステム用の磁性トナーには、前記のように印刷した識別マークを読取装置によって読み取った際に、読み取りエラーが発生するのを防止して、読み取りの精度を向上するために、印刷後もある程度の磁化が残っていることが求められる。しかし、トナーの残留磁化を高くしすぎると、画像形成を繰り返すうちに、現像器内のトナーの帯電量分布がブロードになって、形成画像の画像濃度が低下したり、上記地カブリを生じるようになったりする結果、却って読み取り精度が低下するという問題がある。また、残留磁化の高いトナーは、磁力によって被印刷物の表面からはく離して、読取装置の磁気ヘッドに付着して読み取りエラーを生じさせて、読み取り精度を低下させるおそれもある。
そこで、特許文献2においては、磁性粉の残留磁化を、7〜24emu/gの範囲内、磁性粉のBET比表面積を、3.5m2/gを超え6.0m2/g以下の範囲内に規定し、かつ磁性粉を含有させたトナーの残留磁化を、4.2〜7emu/gの範囲内に規定すると共に、磁性粉の含有割合を、30〜70重量%の範囲内に規定することが提案されている。また、特許文献3においては、磁性粉として熱処理されたものを用い、その残留磁化を、7〜24emu/gの範囲内に規定し、かつ磁性粉を含有させたトナーの残留磁化を、4.2〜7emu/gの範囲内に規定すると共に、磁性粉の含有割合を、30〜70重量%の範囲内に規定することが提案されている。さらに、特許文献4においては、トナー中に、平均分散径が0.01〜0.5μmで、所定の粒度分布を有するポリオレフィンの粒子を分散させると共に、トナーの残留磁化を、4.0〜7.0emu/gの範囲内に規定することが提案されている。また特許文献4においては、残留磁化の値が異なる2種の磁性粉を含有させることにより、トナーの残留磁化を上記の範囲内に規定することが記載されている。
これらの発明では、トナーとしての残留磁化を低く抑えて、画像形成を繰り返した際に、現像器内のトナーの帯電量分布がブロードになるのを抑制することで、形成画像の画像濃度が低下したり、地カブリを生じたりして読み取りエラーが発生するのを防止すると共に、トナーを被印刷物の表面に転写し、定着手段によって加熱、加圧して定着させて形成した識別マークにおいては、磁性粉の持つ高い残留磁化によって、読取装置によって読み取る際の精度を向上することを狙っているものと考えられる。
しかし、発明者が検討したところによると、これらの規定をしたトナーを用いても、依然として読み取りエラーは発生する。特に、低温低湿環境下において、画像形成を繰り返した際に、形成画像の画像濃度が低下したり、地カブリを生じたりする結果、読み取りエラーが多発するに到る。
特開昭55−18656号公報(特許請求の範囲、第11頁左上欄第23行〜同頁左下欄第25行、第8図)
特開平4−358164号公報(特許請求の範囲、第0010欄〜第0011欄、第0012欄)
特開平4−358165号公報(特許請求の範囲、第0008欄〜第0009欄、第0011欄)
特開平7−77829号公報(特許請求の範囲、第0012欄〜第0017欄)
本発明の目的は、画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることができるMICR用トナーと、それを用いた画像形成方法とを提供することにある。
請求項1記載の発明は、磁気インク文字認証システム用の識別マークを形成するためのMICR用トナーであって、体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmである磁性粉を含み、かつ静電潜像を保持する潜像保持体と、固定磁石を内蔵して回転し、その表面に、MICR用トナーの薄層が形成される現像剤保持体とを、薄層と潜像保持体とが接触しないように間隙を保持して対峙させた状態で、薄層から、MICR用トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程を含む画像形成方法に使用した際に、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が、3.0〜8.0μC/gであることを特徴とするMICR用トナーである。
請求項2記載の発明は、静電潜像を保持する潜像保持体と、固定磁石を内蔵して回転し、その表面に、MICR用トナーの薄層が形成される現像剤保持体とを、薄層と潜像保持体とが接触しないように間隙を保持して対峙させた状態で、薄層から、MICR用トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程を含み、被印刷物の表面に、磁気インク文字認証システム用の識別マークを形成するための画像形成方法であって、請求項1記載のMICR用トナーと、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmである現像剤保持体とを用いることを特徴とする画像形成方法である。
請求項3記載の発明は、潜像保持体としてアモルファスシリコン感光体を用いる請求項2記載の画像形成方法である。
磁性1成分ジャンピング現像方法によって、画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な、MICRシステム用の識別マークを形成し続けるためには、電源投入直後から、長期間にわたって安定して、現像剤保持体の表面に、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成することが肝要であり、そのためには、MICR用トナー中に含有させる磁性粉の体積抵抗率が制御されている必要がある。
例えば、MICR用トナー中に含有させる磁性粉の体積抵抗率が高すぎる場合には、現像剤保持体と磁性ブレードとの隙間で繰り返し摩擦された際などに、トナーが所定の帯電量以上に過帯電する、いわゆるチャージアップを生じやすく、チャージアップを生じると、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成できなくなって、形成画像に地カブリを生じたり、微小黒点を生じたり、環境安定性が低下したりするという問題がある。また、チャージアップを防止するために磁性粉の体積抵抗率を低くすると、MICR用トナーの帯電特性が低下して、画像濃度が不安定化すると共に地カブリを生じやすくなったり、環境安定性が低下したりするという問題がある。
そして、これらの問題を生じた場合には、現像剤保持体の表面に、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成することができないため、被印刷物の表面に形成される識別マークの画質が低下したり、識別マークに欠陥が生じたりする結果、読取装置による読み取りの精度が低下する。
これに対し、請求項1記載の発明においては、MICR用トナーに含有させる磁性粉の体積抵抗率を1.0×103〜1.0×107Ω・cmに限定しており、かかる磁性粉は、トナーのチャージアップを防止するために機能すると共に、帯電を抜けにくくしてトナーの帯電特性を向上するために機能する。このため、トナーの、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量を、3.0〜8.0μC/gに規定して、電源投入直後から、長期間にわたって安定して、現像剤保持体の表面に、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成し続けると共に、形成画像に微小黒点が発生するのを防止し、なおかつ、画像濃度を安定化し、地カブリの発生を防止すると共に、環境安定性を向上することができる。
これに対し、請求項1記載の発明においては、MICR用トナーに含有させる磁性粉の体積抵抗率を1.0×103〜1.0×107Ω・cmに限定しており、かかる磁性粉は、トナーのチャージアップを防止するために機能すると共に、帯電を抜けにくくしてトナーの帯電特性を向上するために機能する。このため、トナーの、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量を、3.0〜8.0μC/gに規定して、電源投入直後から、長期間にわたって安定して、現像剤保持体の表面に、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成し続けると共に、形成画像に微小黒点が発生するのを防止し、なおかつ、画像濃度を安定化し、地カブリの発生を防止すると共に、環境安定性を向上することができる。
したがって、請求項1記載の発明のMICR用トナーによれば、画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることが可能となる。
また、請求項2記載の発明の画像形成方法においては、上記のMICR用トナーを、10点平均粗さRzが2.0〜6.0μmである、トナーの搬送性と表面平滑性に優れた現像剤保持体と組み合わせているため、電源投入直後から、長期間にわたって安定して、当該現像剤保持体の表面に、10点平均粗さRzがこの範囲を外れる場合よりも厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成することができる。
また、請求項2記載の発明の画像形成方法においては、上記のMICR用トナーを、10点平均粗さRzが2.0〜6.0μmである、トナーの搬送性と表面平滑性に優れた現像剤保持体と組み合わせているため、電源投入直後から、長期間にわたって安定して、当該現像剤保持体の表面に、10点平均粗さRzがこの範囲を外れる場合よりも厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成することができる。
したがって、請求項2記載の発明の画像形成方法によれば、電源投入直後から、長期間にわたって安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることが可能となる。
さらに、請求項3記載の発明の画像形成方法によれば、潜像保持体として、表面硬度が高く摩耗しにくいアモルファスシリコン感光体を用いているため、その他の感光体を用いた場合よりさらに長期間にわたって安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることが可能となる。
さらに、請求項3記載の発明の画像形成方法によれば、潜像保持体として、表面硬度が高く摩耗しにくいアモルファスシリコン感光体を用いているため、その他の感光体を用いた場合よりさらに長期間にわたって安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることが可能となる。
以下に、本発明を説明する。
《MICR用トナー》
本発明のMICR用トナーは、体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmである磁性粉を含み、かつ現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が、3.0〜8.0μC/gであることを特徴とするものである。その具体的な構成としては、バインダ樹脂からなるトナー粒子中に、磁性粉を含有させた構造を有するものなどが挙げられる。
《MICR用トナー》
本発明のMICR用トナーは、体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmである磁性粉を含み、かつ現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が、3.0〜8.0μC/gであることを特徴とするものである。その具体的な構成としては、バインダ樹脂からなるトナー粒子中に、磁性粉を含有させた構造を有するものなどが挙げられる。
〈磁性粉〉
磁性粉としては、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属やその合金、またはこれらの元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、もしくは二酸化クロム等を挙げることができ、特にフェライト、マグネタイトが好ましい。また、磁性粉は、分散性を向上するために、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、各種脂肪酸などの表面処理剤で表面処理を施してもよい。
磁性粉としては、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属やその合金、またはこれらの元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、もしくは二酸化クロム等を挙げることができ、特にフェライト、マグネタイトが好ましい。また、磁性粉は、分散性を向上するために、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、各種脂肪酸などの表面処理剤で表面処理を施してもよい。
本発明のMICR用トナーにおいては、前記のように、磁性粉の体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmである必要がある。磁性粉の体積抵抗率が1.0×103Ω・cm未満では、磁性粉の抵抗値が低すぎるため、帯電の抜けが生じて、トナーの帯電特性が低下する。そして、画像濃度が不安定化すると共に地カブリを生じやすくなったり、環境安定性が低下したりする。また、体積抵抗率が1.0×107Ω・cmを超える場合には、磁性粉の抵抗値が高すぎるため、トナーがチャージアップするのを防止できない。そして、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成できなくなって、形成画像に地カブリを生じたり、微小黒点を生じたり、環境安定性が低下したりするという問題がある。
このため、このいずれの場合においても、電源投入直後から、長期間にわたって安定して、現像剤保持体の表面に、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成し続けることができず、画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることができない。なお、トナーがチャージアップするのを防止しつつ、トナーの帯電特性を向上することを考慮すると、磁性粉の体積抵抗率は、上記の範囲内でも特に、2.5×103〜5.0×106Ω・cmであるのが好ましい。
磁性粉の体積抵抗率を調整するためには、磁性粉の形状(球形、6面体、8面体等)を変化させたり、前記表面処理剤の種類や処理量を変化させたり、あるいは磁性粉の表面に、スズ、アンチモン、フランシウム等からなる導電性の被覆層を形成したりすればよい。
なお、磁性粉の体積抵抗率は、(株)アドバンテスト社製の「R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER」を用いて、試料である所定量の磁性粉に1kgの荷重をかけた状態で、直流10Vの電圧を印加して測定した値とする。
なお、磁性粉の体積抵抗率は、(株)アドバンテスト社製の「R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER」を用いて、試料である所定量の磁性粉に1kgの荷重をかけた状態で、直流10Vの電圧を印加して測定した値とする。
磁性粉のその他の物性は特に限定されないが、磁性粉の平均粒径は、前述したようにトナーの、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量を3.0〜8.0μC/gに調整することを考慮すると、0.1〜1μmであるのが好ましく、0.1〜0.5μmであるのがさらに好ましい。磁性粉の平均粒径が0.1μm未満では、たとえその体積抵抗率が前記の範囲内であっても、トナーの、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量を3.0μC/g以上に調整できないおそれがある。また、平均粒径が1μmを超える場合には、たとえその体積抵抗率が前記の範囲内であっても、トナーの、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量を8.0μC/g以下に調整できないおそれがある。磁性粉の平均粒径は、下記の手順で測定するものとする。
まず、磁性粉をエポキシ樹脂と混合し、かく拌して十分に分散させ、次いでエポキシ樹脂を40℃で2日間、硬化させた後、硬化物を、ミクロトームにより薄片状に切り出してサンプルを作製する。次にこのサンプルを、透過型電子顕微鏡を用いて、1万倍〜4万倍の倍率で撮影して、写真に写り込んだ、1次粒子であると確認できる磁性粉100個について、その投影面積に等しい面積を有する円の直径を求め、その平均値を磁性粉の平均粒径とする。
なお、トナーの、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量は、磁性粉の、トナー中での分散状態、特にトナー表面への磁性粉の露出状態等によっても異なり、分散状態は、トナー製造時の混練条件等を調整することによって調整できるので、磁性粉の平均粒径は、必ずしも上記の範囲に限定されるものではない。
磁性粉の残留磁化は、15〜40Am2/kgであるのが好ましい。残留磁化が15Am2/kg未満では、トナーの残留磁化が低すぎて、トナーを被印刷物の表面に転写し、定着手段によって加熱、加圧して定着させて形成した識別マークにおける残留磁化が低くなって、読取装置によって読み取る際の精度が低下するおそれがある。逆に、40Am2/kgを超える場合には、トナーの残留磁化が高くなりすぎて、画像形成を繰り返すうちに、現像器内のトナーの帯電量分布がブロードになって、形成画像の画像濃度が低下したり、上記地カブリを生じるようになったりする結果、却って読み取りエラーを生じやすくなって、読み取り精度が低下するおそれがある。なお、画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることを考慮すると、磁性粉の残留磁化は、上記の範囲内でも特に、20〜35Am2/kgであるのが好ましい。
磁性粉の残留磁化は、15〜40Am2/kgであるのが好ましい。残留磁化が15Am2/kg未満では、トナーの残留磁化が低すぎて、トナーを被印刷物の表面に転写し、定着手段によって加熱、加圧して定着させて形成した識別マークにおける残留磁化が低くなって、読取装置によって読み取る際の精度が低下するおそれがある。逆に、40Am2/kgを超える場合には、トナーの残留磁化が高くなりすぎて、画像形成を繰り返すうちに、現像器内のトナーの帯電量分布がブロードになって、形成画像の画像濃度が低下したり、上記地カブリを生じるようになったりする結果、却って読み取りエラーを生じやすくなって、読み取り精度が低下するおそれがある。なお、画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることを考慮すると、磁性粉の残留磁化は、上記の範囲内でも特に、20〜35Am2/kgであるのが好ましい。
なお残留磁化は、磁性粉に795.8kA/m(10kOe)の磁場を印加して磁化させた後、磁場が0のときの磁気メモリー量(残留磁化)を測定した値である。
本発明のMICR用トナーにおける、磁性粉の含有割合は特に限定されないが、トナー粒子を形成するバインダ樹脂100重量部に対して30〜70重量部であるのが好ましく、30〜60重量部であるのがさらに好ましい。磁性粉の含有割合がこの範囲未満では、現像剤保持体に内蔵した固定磁石の磁力によって、当該現像剤保持体の表面にトナーの薄層を保持する効果が低下するため、特に画像形成を繰り返した際に地カブリが発生するおそれがある。また、上記の範囲を超える場合には、逆に、現像剤保持体の表面にトナーの薄層を保持する効果が強くなり過ぎるため、画像濃度が低下するおそれがある。また、相対的にバインダ樹脂の含有割合が低下するため、トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下したり、耐久性が低下したりするおそれもある。
本発明のMICR用トナーにおける、磁性粉の含有割合は特に限定されないが、トナー粒子を形成するバインダ樹脂100重量部に対して30〜70重量部であるのが好ましく、30〜60重量部であるのがさらに好ましい。磁性粉の含有割合がこの範囲未満では、現像剤保持体に内蔵した固定磁石の磁力によって、当該現像剤保持体の表面にトナーの薄層を保持する効果が低下するため、特に画像形成を繰り返した際に地カブリが発生するおそれがある。また、上記の範囲を超える場合には、逆に、現像剤保持体の表面にトナーの薄層を保持する効果が強くなり過ぎるため、画像濃度が低下するおそれがある。また、相対的にバインダ樹脂の含有割合が低下するため、トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下したり、耐久性が低下したりするおそれもある。
〈バインダ樹脂〉
バインダ樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられ、特にポリスチレン系樹脂が好ましい。
バインダ樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられ、特にポリスチレン系樹脂が好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体の他、スチレンと他の単量体との2元もしくは3元以上の共重合体が挙げられる。スチレンと共重合させることができる他の単量体としては、例えばp−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフイン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせてスチレンと共重合させることもできる。
ポリスチレン系樹脂等のバインダ樹脂は、トナーを被印刷物の表面に転写し、定着手段によって加熱、加圧して定着させる際の定着性を向上する、具体的にはできるだけ低い加熱温度で、より強固に定着できるようにすると共に、トナーが、定着手段のローラなどに付着したのち、被印刷物の裏面などに再付着するオフセットが発生するのを防止することを考慮すると、その分子量分布に2つのピークを有することが好ましい。具体的には、重量平均分子量Mw=3,000〜20,000の範囲内と、Mw=300,000〜1,500,000の範囲内とにそれぞれ分子量分布のピークを有すると共に、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnで表される分子量の分散が10以上であるバインダ樹脂を使用するのが好ましい。なお、バインダ樹脂の分子量分布は、ゲルパーミェーションクロマトグラフ(GPC)法による分子量分布測定装置を用いて、カラムからの溶出時間を測定した結果を、標準ポリスチレン樹脂を用いてあらかじめ作成しておいた検量線と照らし合わせることによって求めることができる。
バインダ樹脂は、その一部が架橋構造を有しているのが好ましい。一部に架橋構造を導入することによって、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性や形態保持性、耐久性等を向上させることができる。架橋分の含量は特に限定されないが、ソックスレー抽出機を用いてバインダ樹脂を抽出して求められるゲル分の含量で表して10重量%以下であるのが好ましく、0.1〜10重量%であるのがさらに好ましい。バインダ樹脂の一部を架橋構造とするためには、架橋剤を添加して樹脂を架橋させたり、熱硬化性樹脂を配合したりすればよい。
熱硬化性樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂や、シアネート樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
また、バインダ樹脂は、磁性粉や、後述する電荷制御剤等の添加剤の分散性を向上させるため、分子中に、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基を有しているのが好ましい。バインダ樹脂がこれらの官能基を有するか否かは、例えばFT−IR装置等を用いて確認することができ、どの程度の量の官能基を有するかは、例えば滴定法によって定量することができる。
また、バインダ樹脂は、磁性粉や、後述する電荷制御剤等の添加剤の分散性を向上させるため、分子中に、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基を有しているのが好ましい。バインダ樹脂がこれらの官能基を有するか否かは、例えばFT−IR装置等を用いて確認することができ、どの程度の量の官能基を有するかは、例えば滴定法によって定量することができる。
バインダ樹脂のガラス転移温度Tgは、50〜70℃であるのが好ましく、50〜60℃であるのがさらに好ましい。ガラス転移温度がこの範囲未満では、トナー粒子同士が融着しやすくなって保存安定性が低下するおそれがある。また、樹脂の強度が低いため、潜像保持体の表面に付着して離れなくなるトナー付着を生じるおそれもある。また、ガラス転移温度が上記の範囲を超える場合には、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下するおそれがある。なお、バインダ樹脂のガラス転移温度は、例えば示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した吸熱曲線における、比熱の変化点から求めることができる。
本発明のMICR用トナーには、例えば着色剤、電荷制御剤、ワックス等の、従来公知の種々の添加剤を含有させることもできる。このうち着色剤としては、色調を調整するためにカーボンブラック等の顔料や、アシッドバイオレット等の染料が挙げられる。着色剤の含有割合は、バインダ樹脂100重量部に対して1〜10重量部程度であるのが好ましい。
〈電荷制御剤〉
電荷制御剤は、トナーの帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を向上させると共に、耐久性や安定性を向上させるために配合される。電荷制御剤には、正帯電性のものと負帯電性のものとがあり、トナーの帯電極性に合わせて、そのいずれか一方が配合される。
電荷制御剤は、トナーの帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を向上させると共に、耐久性や安定性を向上させるために配合される。電荷制御剤には、正帯電性のものと負帯電性のものとがあり、トナーの帯電極性に合わせて、そのいずれか一方が配合される。
正帯電性の電荷制御剤としては、例えばピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物類;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の亜ジン化合物からなる直接染料類;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物類;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料類;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;べンジルメチルへキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類などの1種または2種以上が挙げられる。特にニグロシン化合物は、より迅速な帯電の立ち上がり特性が得られることから、正帯電性トナーとして好適である。
また、正帯電性の電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等を使用することもできる。具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点で好適である。また、スチレンと共にスチレン−アクリル系樹脂を構成するアクリル系単量体としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が挙げられる。
さらに、4級アンモニウム塩化合物としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート類;ジメチルメタクリルアミド;ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性の電荷制御剤としては、例えば、有機金属錯体やキレート化合物が有効であり、中でもアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体または塩が好ましい。このうち、アセチルアセトン金属錯体としては、例えばアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート等が挙げられる。またサリチル酸系金属錯体または塩としては、例えば3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等が挙げられる。
電荷制御剤の含有割合は、トナーを形成する固形分の総量中の1.5〜15.0重量部であるのが好ましく、2.0〜8.0重量部であるのがさらに好ましく、3.0〜7.0重量部であるのが特に好ましい。含有割合がこの範囲未満では、トナーに安定した帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下したりするおそれがある。また、バインダ樹脂に対する分散不良が起こりやすいことから、地カブリの原因となったり、分散されずに凝集した電荷制御剤が感光体を汚染したりするおそれもある。一方、含有割合が上記の範囲を超える場合には、トナーの耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良を生じやすい上、過剰の電荷制御剤が感光体を汚染するおそれもある。
〈ワックス〉
ワックスは、トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性を向上させたり、定着時のトナーが、画像形成装置の定着ローラ等に付着するオフセットを防止して、耐オフセット性を向上させたり、定着ローラ等に付着したトナーが、被印刷物の表面に再付着して画像を汚す、像スミアリングを防止したりするために配合される。
ワックスは、トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性を向上させたり、定着時のトナーが、画像形成装置の定着ローラ等に付着するオフセットを防止して、耐オフセット性を向上させたり、定着ローラ等に付着したトナーが、被印刷物の表面に再付着して画像を汚す、像スミアリングを防止したりするために配合される。
ワックスとしては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のオレフイン系ワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス類;モンタンワックス等の鉱物系ワックス類;石炭及び天然ガス等からフィッシャー・トロプシュ法により作製されるフィッシャー・トロプシュワックス類;パラフインワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス類;エステル系ワックス類;テフロン(登録商標)系ワックス類等の中から1種または2種以上を選択して使用することができる。
中でも、一酸化炭素の接触水素化反応であるフィッシャー・トロプシュ法によって作製され、イソ(iso)構造分子や側鎖が少ない直鎖炭化水素化合物であるフィッシャー・トロプシュワックス類が好ましく、特に、重量平均分子量が1000以上で、かつ示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した吸熱曲線において、100〜120℃の範囲に吸熱ボトムピークを有するフィッシャー・トロプシュワックス類が好ましい。かかるフィッシャー・トロプシュワックス類としては、例えばサゾール社製のサゾールワックスH1〔吸熱ボトムピーク:106.9℃〕、サゾールワックスC1〔サゾールワックスH1の結晶化による高分子量グレード、吸熱ボトムピーク:106.5℃〕、サゾールワックスC105〔サゾールワックスC1の分留法による精製品、吸熱ボトムピーク:102.1℃〕、サゾールワックスSPRAY〔サゾールワックスC105の微粒子品、吸熱ボトムピーク:102.1℃〕等が挙げられる。
ワックスの含有割合は、トナーを形成する固形分の総量中の1〜5重量%であるのが好ましい。含有割合がこの範囲未満では、トナーの対オフセット性を向上させたり、像スミアリングを防止したりする効果が不十分になるおそれがあり、逆にこの範囲を超える場合には、トナー同士が融着しやすくなって、保存安定性が低下するおそれがある。
〈MICR用トナーの製造〉
本発明のMICR用トナーは、上記の各成分を、ヘンシェルミキサー等のかく拌混合機を使用して混合し、次いで押出機等の混練機を用いて混練したのち、冷却し、さらに粉砕すると共に、必要に応じて分級することで製造される。また上記の各成分を湿式混合してもよい。
〈MICR用トナーの製造〉
本発明のMICR用トナーは、上記の各成分を、ヘンシェルミキサー等のかく拌混合機を使用して混合し、次いで押出機等の混練機を用いて混練したのち、冷却し、さらに粉砕すると共に、必要に応じて分級することで製造される。また上記の各成分を湿式混合してもよい。
かくして製造される本発明のMICR用トナーは、磁性1成分ジャンピング現像方法に使用して、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が、3.0〜8.0μC/gである必要がある。トナーの帯電量が3.0μC/g未満では、トナーの帯電特性が低下して、画像濃度が不安定化すると共に地カブリを生じやすくなったり、環境安定性が低下したりする。また、帯電量が8.0μC/gを超える場合には、トナーがチャージアップするのを防止できないため、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成できなくなって、形成画像に地カブリを生じたり、微小黒点を生じたり、環境安定性が低下したりする。
このため、このいずれの場合においても、電源投入直後から、長期間にわたって安定して、現像剤保持体の表面に、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成し続けることができず、画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることができない。
なお、トナーがチャージアップするのを防止しつつ、トナーの帯電特性を向上することを考慮すると、磁性1成分ジャンピング現像方法に使用して、現像剤保持体の表面に保持された状態でのMICR用トナーの帯電量は、4.0〜7.0μC/gであるのが好ましい。帯電量を調整するためには、磁性粉の体積抵抗率や含有割合を調整したり、電荷制御剤の種類や含有割合を変更したりすればよい。
なお、トナーがチャージアップするのを防止しつつ、トナーの帯電特性を向上することを考慮すると、磁性1成分ジャンピング現像方法に使用して、現像剤保持体の表面に保持された状態でのMICR用トナーの帯電量は、4.0〜7.0μC/gであるのが好ましい。帯電量を調整するためには、磁性粉の体積抵抗率や含有割合を調整したり、電荷制御剤の種類や含有割合を変更したりすればよい。
また、本発明のMICR用トナーの、その他の物性については特に限定されないが、残留磁化は、7〜20Am2/kgであるのが好ましい。トナーの残留磁化が7Am2/kg未満では、トナーを被印刷物の表面に転写し、定着手段によって加熱、加圧して定着させて形成した識別マークにおける残留磁化が低くなって、読取装置によって読み取る際の精度が低下するおそれがある。逆に、20Am2/kgを超える場合には、画像形成を繰り返すうちに、現像器内のトナーの帯電量分布がブロードになって、形成画像の画像濃度が低下したり、上記地カブリを生じるようになったりする結果、却って読み取りエラーを生じやすくなって、読み取り精度が低下するおそれがある。なお、画像形成初期から長期間に亘って安定して、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成し続けることを考慮すると、トナーの残留磁化は、上記の範囲内でも特に、10〜18Am2/kgであるのが好ましい。
トナーの残留磁化は、磁性粉の残留磁化と同様に、トナーに795.8kA/m(10kOe)の磁場を印加して磁化させた後、磁場が0のときの磁気メモリー量(残留磁化)を測定した値である。
また、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成することを考慮すると、本発明のMICR用トナーの、体積基準の中心粒径は5〜12μmであるのが好ましい。
また、読取装置によって読み取る際の精度に優れた良好な識別マークを形成することを考慮すると、本発明のMICR用トナーの、体積基準の中心粒径は5〜12μmであるのが好ましい。
また、本発明のMICR用トナーは、流動性や保存安定性、潜像保持体の表面からのクリーニング除去しやすさを示すクリーニング性等を向上させるため、その表面を、必要に応じて、例えばコロイダルシリカ、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン等の微粒子(外添剤、通常は、平均粒径が1.0μm以下)によって処理してもよい。外添剤の添加量は、トナー100重量部に対して0.2〜10.0重量部であるのが好ましい。表面処理は、トナーと外添剤とを乾式混合するのが好ましく、特に外添剤がトナー粒子の表面に埋め込まれるのを防止するために、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等を使用して混合するのが好ましい。
《画像形成方法》
本発明の画像形成方法は、磁性1成分ジャンピング現像方法により、静電潜像を保持する潜像保持体と、固定磁石を内蔵して回転し、その表面に、磁性トナーの薄層が形成される現像剤保持体とを、薄層と潜像保持体とが接触しないように間隙を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化した後、形成したトナー像を紙等の被印刷物の表面に転写し、定着して、上記被印刷物の表面に、磁気インク文字認証システム用の識別マークを形成するに際し、磁性トナーとして、上記本発明のMICR用トナーを使用すると共に、現像剤保持体として、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmであるものを使用することを特徴としている。
本発明の画像形成方法は、磁性1成分ジャンピング現像方法により、静電潜像を保持する潜像保持体と、固定磁石を内蔵して回転し、その表面に、磁性トナーの薄層が形成される現像剤保持体とを、薄層と潜像保持体とが接触しないように間隙を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化した後、形成したトナー像を紙等の被印刷物の表面に転写し、定着して、上記被印刷物の表面に、磁気インク文字認証システム用の識別マークを形成するに際し、磁性トナーとして、上記本発明のMICR用トナーを使用すると共に、現像剤保持体として、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmであるものを使用することを特徴としている。
〈現像剤保持体〉
現像剤保持体の、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmに限定されるのは、下記の理由による。すなわち、十点平均粗さRzがこの範囲未満である現像剤保持体は、表面の平滑性が高すぎることからトナーの搬送性が不十分であり、その表面に、十分な厚みを有する薄層を形成することができない。このため、形成画像の画像濃度が低下するという問題がある。
現像剤保持体の、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmに限定されるのは、下記の理由による。すなわち、十点平均粗さRzがこの範囲未満である現像剤保持体は、表面の平滑性が高すぎることからトナーの搬送性が不十分であり、その表面に、十分な厚みを有する薄層を形成することができない。このため、形成画像の画像濃度が低下するという問題がある。
一方、十点平均粗さRzがこの範囲を超える現像剤保持体は、表面の平滑性が低すぎて、大きな凹凸を有するため、その表面には、厚みが均一で欠陥等のないきれいな薄層を形成することができない。このため、形成画像の画質が低下するという問題がある。また、現像剤保持体の表面の凹凸のうち、突起の部分で潜像保持体への電位のリークが発生しやすく、リークが発生すると、形成画像の、リークした部分に微小黒点を生じるという問題もある。
したがって、現像剤保持体の、表面の十点平均粗さRzは2.0〜6.0μmに限定される。なお、現像剤保持体の、表面の十点平均粗さRzは、表面粗さ測定器〔例えば(株)小坂研究所製のサーフコーダSE−30D等〕を用いて測定することができる。
現像剤保持体は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等によって形成することができる。このうち、ステンレス鋼としては、例えばSUS303、SUS304、SUS305、SUS316等に分類されるステンレス鋼が挙げられ、特に磁性が弱くかつ加工しやすいことから、SUS305が好ましい。
現像剤保持体は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等によって形成することができる。このうち、ステンレス鋼としては、例えばSUS303、SUS304、SUS305、SUS316等に分類されるステンレス鋼が挙げられ、特に磁性が弱くかつ加工しやすいことから、SUS305が好ましい。
本発明の画像形成方法は、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmである現像剤保持体と、前記本発明のMICR用トナーとを組み合わせること以外は従来同様に実施することができる。例えば潜像保持体としては、従来公知の種々の感光体が使用できるが、特にアモルファスシリコン感光体が好ましい。
〈アモルファスシリコン感光体〉
アモルファスシリコン感光体としては、例えばドラム状などの所定の形状に形成した導電性基体の表面にアモルファスシリコン系の感光層を備えた、従来公知の種々の構造を有する感光体を用いることができる。また、アモルファスシリコン系の感光層は、例えばグロー放電分解法、スパッタリング法、ECR法、蒸着法などの気相成長法によって形成することができ、その形成にあたっては、Hやハロゲン元素を含有させることもできる。また感光体の特性を調整するためにC、N、O等の元素を含有させたり、周期表(長周期型)の13族元素や15族元素を含有させたりしてもよい。
〈アモルファスシリコン感光体〉
アモルファスシリコン感光体としては、例えばドラム状などの所定の形状に形成した導電性基体の表面にアモルファスシリコン系の感光層を備えた、従来公知の種々の構造を有する感光体を用いることができる。また、アモルファスシリコン系の感光層は、例えばグロー放電分解法、スパッタリング法、ECR法、蒸着法などの気相成長法によって形成することができ、その形成にあたっては、Hやハロゲン元素を含有させることもできる。また感光体の特性を調整するためにC、N、O等の元素を含有させたり、周期表(長周期型)の13族元素や15族元素を含有させたりしてもよい。
具体的には、感光層は、例えばa−Siの他、a−SiC、a−SiO、a−SiONなどのアモルファスシリコン系の、光導電性を有する種々の材料にて形成することができる。特に、a−SiCを用いるのが好ましく、その場合はSi1−xCxのxの値を0<x≦0.5、好ましくは0.05≦x≦0.45に設定するのがよい。この範囲であればa−SiC層を、良好なキャリアの輸送を維持しつつa−Si層よりも高抵抗にして、感光体の光感度特性を向上することができる。13族元素や15族元素としては、それぞれBやPが、共有結合性に優れ、半導体特性を敏感に変え得る点で、また優れた光感度が得られるという点で望ましい。
さらに、アモルファスシリコン系の感光層を、光キャリア発生の機能を高めた層領域(光励起層領域)と、キャリア輸送の機能を持たせた層領域(キャリア輸送層領域)とを積層したものとすると、感光体の光感度と耐電圧特性とをともに高めることができる。この際、光励起層領域は光キャリアの生成効率を高めるため、成膜条件のうち、(1) 成膜速度を低めに設定する、(2) 成膜成分の、H2やHeでの希釈率を高める、(3) ドープする元素の量を、キャリア輸送層領域よりも多くする、等の対策を施しつつ成膜するのが好ましい。
また、キャリア輸送層領域は、主に感光層の耐圧を高めるとともに、光励起層領域から注入されたキャリアを導電性基体にスムースに輸送する役割を持つが、この層領域においても、光励起層領域を透過してきた光によりキャリア生成が行われるため、感光体の光感度の向上に寄与する。
アモルファスシリコン系の感光層の厚みは、露光波長の光に対するこの層の吸収係数から求まる光吸収の深さに対して、さらに0.1〜2.0μmを加えた厚みとするのが好ましい。また、感光層を、上記のように光励起層領域とキャリア輸送層領域とを積層したものとする場合には、光励起層領域の厚みを、上記光吸収の深さにほぼ等しく設定するのが好ましい。
アモルファスシリコン系の感光層の厚みは、露光波長の光に対するこの層の吸収係数から求まる光吸収の深さに対して、さらに0.1〜2.0μmを加えた厚みとするのが好ましい。また、感光層を、上記のように光励起層領域とキャリア輸送層領域とを積層したものとする場合には、光励起層領域の厚みを、上記光吸収の深さにほぼ等しく設定するのが好ましい。
感光層と導電性基体との間には、キャリア阻止層を介在させるのが好ましい。キャリア阻止層は、現像時に感光体の表面がバイアス電圧を印加されつつトナーと接触した際に、導電性基体から感光層へのキャリアの注入を阻止することにより、露光部と非露光部との静電コントラストを高めて画像の濃度を向上させるとともに、地肌カブリを低減する機能を有する。キャリア阻止層としては、それぞれ絶縁性であるa−SiC、a−SiO、a−SiN、a−SiON、a−SiCONなどにて形成した無機絶縁層や、あるいはポリエチレンテレフタレート、パリレン(登録商標)、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリフッ化エチレンプロピレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、酢酸セルローズ樹脂その他によって形成した有機絶縁層等を用いるのが好ましい。
また、キャリア阻止層には、絶縁性とともに、導電性基体やアモルファスシリコン系感光層との密着性が良く、かつ感光層を形成する際の加熱等にも大きな変質を起こさないといった特性が求められる。かかる特性を考慮すると、キャリア阻止層もa−SiCにて形成するのが好ましい。キャリア阻止層を形成するa−SiCを絶縁性とするためには、キャリア阻止層に含まれるCの量を、感光層の場合に比べて多くすればよい。キャリア阻止層の厚みは0.01〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがさらに好ましい。
また感光層の表面は、有機もしくは無機の絶縁材料からなる表面保護層によって被覆して保護するのが好ましい。これにより、帯電手段などによる放電時に感光層の表面が酸化されて、放電生成物や水分子などを吸着しやすい酸化物被膜が形成されるのを防止することができる。また絶縁耐圧を向上したり、繰り返し使用した際の耐磨耗性を向上したりすることもできる。中でも、a−SiC、a−SiN、a−SiO、a−SiCO、a−SiNOなどのa−Si系の絶縁材料からなる層を用いるのがよく、これらは感光層と同様の薄膜形成方法によって形成することができ、特にa−SiCにて形成するのが好ましい。
表面保護層にa−SiCを用いる場合は、絶縁性を付与するため、キャリア阻止層の場合と同様に、含まれるCの量を感光層に比べて多くすればよい。具体的には、Si1−xCxのx値を0.3≦x<1.0、特に0.5≦x≦0.95とするのが好ましい。また、上記Cのx値を調整して、表面保護層の暗抵抗率を1013Ω・cm以上とするのが好ましい。暗抵抗率が1013Ω・cm以上であると、感光体は、表面保護層の面方向における電位の流れが少ないため静電潜像の維持能力が高い上、耐湿性にも優れており、吸水による画像流れの発生を抑制する効果に優れたものとなる。
また、かかる高抵抗の表面保護層は、トナーを通してのバイアスによる電荷の注入を阻止し、露光部と非露光部との電位コントラストを高めて、その表面に、より多くのトナーを引き付けてトナー像の濃度を増し、画像濃度を十分に高める機能も有する。また、地肌カブリを抑制することもできる。さらに感光体の絶縁耐圧を高めることもできる。
また、a−SiC以外の他の絶縁材料にて形成した表面保護層は、画像形成後にも光キャリアがトラップされ続けてしまい、通常の除電工程では残留電位を確実に消去できないおそれがある。しかしa−SiCにて形成した表面保護層は、表面からの正電荷は有効に阻止するが、導電性基体からの負電荷は比較的通し易いという性質を持つため、画像形成後の残留電位を、通常の除電工程によって効果的に消去でき、連続して画像形成を行えるという利点もある。
また、a−SiC以外の他の絶縁材料にて形成した表面保護層は、画像形成後にも光キャリアがトラップされ続けてしまい、通常の除電工程では残留電位を確実に消去できないおそれがある。しかしa−SiCにて形成した表面保護層は、表面からの正電荷は有効に阻止するが、導電性基体からの負電荷は比較的通し易いという性質を持つため、画像形成後の残留電位を、通常の除電工程によって効果的に消去でき、連続して画像形成を行えるという利点もある。
しかも、a−SiCにて形成した表面保護層は、a−SiC等のアモルファスシリコン系の感光層との密着性が良好であるとともに、耐磨耗性、耐環境性等にも優れるため、長期にわたって安定した画像形成を行えるという利点もある。a−SiCにて形成した表面保護層は、その層内で、Cの量に厚み方向の勾配を形成してもよいし、CとともにN、O、Geなどの元素を含有させて耐湿性をさらに高めることもできる。
表面保護層の厚みは0.05〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがさらに好ましい。厚みが0.05μm未満では、上述した酸化物被膜生成を防止する効果や、絶縁耐圧を向上する効果、あるいは繰り返し使用した際の耐磨耗性を向上する効果などが十分に得られないおそれがある。また、光キャリアを効果的にトラップしてトナー像の形成に寄与させることができないおそれもある。
一方、厚みが5μmを超える場合には、精細な電荷パターンを形成するに際して、表面保護層中で電界(電気力線)が膜面方向に広がりを生じて解像力の低下をきたす結果、十分な解像度が得られないおそれがある。また、表面に残留する電荷が多くなって残留電位が高くなるため、画像濃度の低下や地肌カブリ、あるいは繰り返し使用における画像濃度の変化等の問題を生じるおそれもある。
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
《MICR用トナー》
実施例1:
(バインダ樹脂の合成)
温度計、かく拌機、窒素導入管、および還流管を接続した反応容器中にキシレン300重量部を入れ、窒素導入管から継続的に窒素を導入しながら反応容器を加熱して液温を170℃に維持しつつ、スチレン845重量部、アクリル酸n−ブチル155重量部、およびジ−tert−ブチルペルオキシド8.5重量部をキシレン125重量部に溶解した溶液を、上記反応容器中に3時間かけて滴下し、滴下終了後、170℃でさらに1時間かく拌を続けたのち、溶剤を除去して、バインダ樹脂としてのスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を製造した。
《MICR用トナー》
実施例1:
(バインダ樹脂の合成)
温度計、かく拌機、窒素導入管、および還流管を接続した反応容器中にキシレン300重量部を入れ、窒素導入管から継続的に窒素を導入しながら反応容器を加熱して液温を170℃に維持しつつ、スチレン845重量部、アクリル酸n−ブチル155重量部、およびジ−tert−ブチルペルオキシド8.5重量部をキシレン125重量部に溶解した溶液を、上記反応容器中に3時間かけて滴下し、滴下終了後、170℃でさらに1時間かく拌を続けたのち、溶剤を除去して、バインダ樹脂としてのスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を製造した。
(MICR用トナーの製造)
上記で製造したバインダ樹脂49重量部と、磁性粉〔平均粒径:0.21μm、体積抵抗率:5.5×103Ω・cm〕45重量部と、離型剤としてのフィッシャー・トロプシュワックス〔サゾール社製のサゾールワックスH1〕3重量部と、正電荷制御剤としての4級アンモニウム塩〔オリエント化学(株)製のボントロンP−51〕3重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、2軸押出機を用いて混練し、冷却した後、ハンマーミルを用いて粗粉砕した。次いで、機械式粉砕機を用いて微粉砕した後、気流式分級機を用いて分級して、体積基準の中心粒径が8.0μmであるMICR用トナーを製造した。
上記で製造したバインダ樹脂49重量部と、磁性粉〔平均粒径:0.21μm、体積抵抗率:5.5×103Ω・cm〕45重量部と、離型剤としてのフィッシャー・トロプシュワックス〔サゾール社製のサゾールワックスH1〕3重量部と、正電荷制御剤としての4級アンモニウム塩〔オリエント化学(株)製のボントロンP−51〕3重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、2軸押出機を用いて混練し、冷却した後、ハンマーミルを用いて粗粉砕した。次いで、機械式粉砕機を用いて微粉砕した後、気流式分級機を用いて分級して、体積基準の中心粒径が8.0μmであるMICR用トナーを製造した。
実施例2〜4、比較例1〜4:
磁性粉として、表1に示す体積抵抗率を有するものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、MICR用トナーを製造した。
なお、磁性粉の体積抵抗率は、(株)アドバンテスト社製の「R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER」を用いて、試料である所定量の磁性粉に1kgの荷重をかけて、直径約35mm、厚み約5mmの円板状とした状態で、直流10Vの電圧を印加して測定した。また、表中の符号は下記の分類を示している。
〈○〉:体積抵抗率が、請求項1で規定した磁性粉の体積抵抗率の範囲内にある。
〈↓〉:体積抵抗率が、請求項1で規定した磁性粉の体積抵抗率の範囲未満である。
〈↑〉:体積抵抗率が、請求項1で規定した磁性粉の体積抵抗率の範囲を超えている。
磁性粉として、表1に示す体積抵抗率を有するものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、MICR用トナーを製造した。
なお、磁性粉の体積抵抗率は、(株)アドバンテスト社製の「R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER」を用いて、試料である所定量の磁性粉に1kgの荷重をかけて、直径約35mm、厚み約5mmの円板状とした状態で、直流10Vの電圧を印加して測定した。また、表中の符号は下記の分類を示している。
〈○〉:体積抵抗率が、請求項1で規定した磁性粉の体積抵抗率の範囲内にある。
〈↓〉:体積抵抗率が、請求項1で規定した磁性粉の体積抵抗率の範囲未満である。
〈↑〉:体積抵抗率が、請求項1で規定した磁性粉の体積抵抗率の範囲を超えている。
上記各実施例、比較例のMICR用トナー100重量部に、シリカ〔日本アエロジル工業(株)製のRA−200H〕1.0重量部と、酸化チタン〔チタン工業(株)製のST−100〕2.0重量部を加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、潜像保持体としてアモルファスシリコン感光体を搭載した、磁性1成分ジャンピング現像方式のページプリンタ〔京セラ(株)製のFS−3800〕に使用して実際に、小切手用紙の表面に、MICRシステム用の識別マークを画像形成した際の、下記の各特性を評価した。なお、現像剤保持体としては、表面の十点平均粗さRzが5.0μmである、SUS305製のものを用いた。
(A) 常温、常湿試験
上記のページプリンタを、温度20℃、相対湿度65%RHの常温、常湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ常温、常湿環境中で下記の各特性を評価した。
(1) 画像濃度
上記のページプリンタを用いて、小切手用の識別マークを画像形成した1枚目の画像(初期画像)の画像濃度と、ISO4%原稿を10万枚、連続画像形成した後、小切手用の識別マークを画像形成した画像(耐久後画像)の画像濃度とを、それぞれマクベス反射濃度計〔グレタグ・マクベス社製のRD914〕を用いて測定した。画像濃度は、1.30以上を合格〈○〉、それ未満を不合格〈×〉とした。
(2) 地カブリ
上記(1)で形成した初期画像および耐久後画像の余白部分を観察して、地カブリの有無を、下記の基準で評価した。
(A) 常温、常湿試験
上記のページプリンタを、温度20℃、相対湿度65%RHの常温、常湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ常温、常湿環境中で下記の各特性を評価した。
(1) 画像濃度
上記のページプリンタを用いて、小切手用の識別マークを画像形成した1枚目の画像(初期画像)の画像濃度と、ISO4%原稿を10万枚、連続画像形成した後、小切手用の識別マークを画像形成した画像(耐久後画像)の画像濃度とを、それぞれマクベス反射濃度計〔グレタグ・マクベス社製のRD914〕を用いて測定した。画像濃度は、1.30以上を合格〈○〉、それ未満を不合格〈×〉とした。
(2) 地カブリ
上記(1)で形成した初期画像および耐久後画像の余白部分を観察して、地カブリの有無を、下記の基準で評価した。
○:地カブリは全く見られなかった。
△:地カブリが僅かに見られた。
×:強い地カブリが見られた。
(3) 薄層の状態
上記初期画像および耐久後画像の形成時に、現像剤保持体の表面に形成されたトナーの薄層を観察して、その状態を下記の基準で評価した。
△:地カブリが僅かに見られた。
×:強い地カブリが見られた。
(3) 薄層の状態
上記初期画像および耐久後画像の形成時に、現像剤保持体の表面に形成されたトナーの薄層を観察して、その状態を下記の基準で評価した。
○:厚みが均一で欠陥やムラのないきれいな薄層が形成されていた。
△:厚みが不均一で、一部に厚みの厚い部分が見られた。
×:厚みが不均一で、欠陥やムラが見られた。
(4) トナー帯電量
初期画像形成時に、現像剤保持体の表面に形成されたトナーの薄層におけるトナーの帯電量μC/gを、帯電量測定装置〔トレック(TREK)社製のQ/M meter 210HS〕を用いて測定した。詳細には、現像剤担持体の表面に形成されたトナーの薄層の、当該現像剤担持体の長手方向に沿う15箇所のトナーを、帯電量測定装置を用いて吸引した際に、測定装置に表示された帯電量(μC)と、測定装置に吸引されたトナー量(g)とから、トナーの帯電量(μC/g)を求めた。
△:厚みが不均一で、一部に厚みの厚い部分が見られた。
×:厚みが不均一で、欠陥やムラが見られた。
(4) トナー帯電量
初期画像形成時に、現像剤保持体の表面に形成されたトナーの薄層におけるトナーの帯電量μC/gを、帯電量測定装置〔トレック(TREK)社製のQ/M meter 210HS〕を用いて測定した。詳細には、現像剤担持体の表面に形成されたトナーの薄層の、当該現像剤担持体の長手方向に沿う15箇所のトナーを、帯電量測定装置を用いて吸引した際に、測定装置に表示された帯電量(μC)と、測定装置に吸引されたトナー量(g)とから、トナーの帯電量(μC/g)を求めた。
帯電量は、請求項1で規定したトナーの帯電量の範囲内にあるものを良好〈○〉、それ以外を不良とした。また、後述する表では、不良のうち帯電量が3.0μC/g未満であったものに〈↓〉、8.0μC/gを超えたものに〈↑〉を附して分類した。
(5) 読み取り精度
上記のページプリンタを用いて、小切手用の識別マークを5000枚、連続画像形成した後、それをMICR用の読取装置に通した際に、読み取りエラーが発生した割合(拒絶率%)を記録して、初期の読み取り精度を評価した。また、ISO4%原稿を10万枚、連続画像形成した後、小切手用の識別マークを5000枚、連続画像形成し、それをMICR用の読取装置に通した際の拒絶率を記録して、耐久後の読み取り精度を評価した。拒絶率が小さいほど、読み取り精度は良好である。
(B) 低温、低湿試験
ページプリンタを、温度10℃、相対湿度20%RHの低温、低湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ低温、低湿環境中で前記(3)と同条件で、現像剤保持体の表面に形成されたトナーの薄層を観察して、その状態を評価した。
(5) 読み取り精度
上記のページプリンタを用いて、小切手用の識別マークを5000枚、連続画像形成した後、それをMICR用の読取装置に通した際に、読み取りエラーが発生した割合(拒絶率%)を記録して、初期の読み取り精度を評価した。また、ISO4%原稿を10万枚、連続画像形成した後、小切手用の識別マークを5000枚、連続画像形成し、それをMICR用の読取装置に通した際の拒絶率を記録して、耐久後の読み取り精度を評価した。拒絶率が小さいほど、読み取り精度は良好である。
(B) 低温、低湿試験
ページプリンタを、温度10℃、相対湿度20%RHの低温、低湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ低温、低湿環境中で前記(3)と同条件で、現像剤保持体の表面に形成されたトナーの薄層を観察して、その状態を評価した。
以上の結果を表2、3に示す。
両表より明らかなように、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が3.0〜8.0μC/gの範囲を下回る比較例1のMICR用トナーは、常温常湿試験において、耐久後に画像濃度が×になった。また、耐久後のトナーの薄層の厚みが不均一で、欠陥やムラが見られ、評価が△になった。また、低温低湿試験でも、同様に、耐久後のトナーの薄層の厚みが不均一で、欠陥やムラが見られ、評価が△になった。さらに、読取装置による読み取り試験の結果から、比較例1のMICR用トナーを用いて形成した識別マークは、初期の段階では拒絶率が低く、読み取り精度が高いものの、耐久後は読み取り精度が著しく低下していることが判った。そして、これらのことから、比較例1のMICR用トナーは帯電特性が不十分であるため、画像形成を繰り返すうちに薄層に乱れを生じて、良好な識別マークを形成できなくなることがわかった。
また、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が3.0〜8.0μC/gの範囲を超える比較例2のMICR用トナーは、常温常湿試験において、初期の段階で地カブリが発生して評価が△であったので、耐久試験は行わなかった。また、トナーの薄層を観察したところ、厚みが不均一で、欠陥やムラが見られ、評価は△であった。また、低温低湿試験では初期の段階で、既に薄層の評価が×であったので、耐久試験は行わなかった。そして、これらのことから、比較例2のMICR用トナーは画像形成を繰り返すうちにチャージアップして、薄層に乱れを生じる結果、良好な識別マークを形成できなくなることがわかった。
なお、体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmの範囲内であり、また、混練条件等を同じにして製造しているにも拘らず、比較例1、2において帯電量が3.0〜8.0μC/gの範囲から外れた原因を調査したところ、比較例1の磁性粉は平均粒径が0.06μmであり、また比較例2の磁性粉の平均粒径が1.2μmであって、いずれも前述した好適な範囲から外れていることが判明した。
また、磁性粉の体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmの範囲未満であった比較例3のMICR用トナーは、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が3.0〜8.0μC/gの範囲内であるにも拘らず、常温常湿試験において、耐久後に画像濃度が×になった。また、耐久後のトナーの薄層の厚みが不均一で、欠陥やムラが見られ、評価が△になった。また、低温低湿試験でも、同様に、耐久後のトナーの薄層の厚みが不均一で、欠陥やムラが見られ、評価が△になった。さらに、読取装置による読み取り試験の結果から、比較例3のMICR用トナーを用いて形成した識別マークは、初期の段階では拒絶率が低く、読み取り精度が高いものの、耐久後は読み取り精度が著しく低下していることが判った。そして、これらのことから、比較例3のMICR用トナーは帯電特性が不十分であるため、画像形成を繰り返すうちに薄層に乱れを生じて、良好な識別マークを形成できなくなることがわかった。
さらに、磁性粉の体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmの範囲を超える比較例4のMICR用トナーは、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が3.0〜8.0μC/gの範囲内であるにも拘らず、常温常湿試験において、初期の段階で地カブリが発生して評価が△であったので、耐久試験は行わなかった。また、トナーの薄層を観察したところ、厚みが不均一で、欠陥やムラが見られ、評価は△であった。また、低温低湿試験では初期の段階で、既に薄層の評価が×であったので、耐久試験は行わなかった。そして、これらのことから、比較例4のMICR用トナーは画像形成を繰り返すうちにチャージアップして、薄層に乱れを生じる結果、良好な識別マークを形成できなくなることがわかった。
これに対し、実施例1〜4のMICR用トナーは、いずれも、帯電の抜けやチャージアップ等を生じない良好な帯電特性を有しており、常温、常湿環境、および低温、低湿環境のいずれの環境下でも、常に、厚みが均一で、欠陥やむらのない薄層を形成して、画像形成初期から長期間にわたって、良好な識別マークを形成できることが確認された。
《画像形成方法》
実施例5〜7、比較例5、6
現像剤保持体として、表面の十点平均粗さRzが1.3μm(比較例5)、2.5μm(実施例5)、4.0μm(実施例6)、5.7μm(実施例7)、および6.4μm(比較例6)であるSUS305製のものを用い、それを実施例1で製造したMICR用トナーと組み合わせたこと以外は、前記各試験時と同条件で画像形成を行って、常温、常湿環境下での初期画像、耐久後画像の画像濃度測定、余白部分の地カブリの観察、読み取り精度の評価、初期画像、耐久後画像形成時の、薄層の状態の観察、および低温、低湿環境下での、初期画像、耐久後画像形成時の、薄層の状態の観察を行った。結果を表4、5に示す。
《画像形成方法》
実施例5〜7、比較例5、6
現像剤保持体として、表面の十点平均粗さRzが1.3μm(比較例5)、2.5μm(実施例5)、4.0μm(実施例6)、5.7μm(実施例7)、および6.4μm(比較例6)であるSUS305製のものを用い、それを実施例1で製造したMICR用トナーと組み合わせたこと以外は、前記各試験時と同条件で画像形成を行って、常温、常湿環境下での初期画像、耐久後画像の画像濃度測定、余白部分の地カブリの観察、読み取り精度の評価、初期画像、耐久後画像形成時の、薄層の状態の観察、および低温、低湿環境下での、初期画像、耐久後画像形成時の、薄層の状態の観察を行った。結果を表4、5に示す。
表より明らかなように、表面の十点平均粗さRzが2.0μm未満である現像剤保持体を用いた比較例5の画像形成方法では、常温、常湿試験における初期画像、耐久後画像の画像濃度が1.3未満で評価が×であった。また、薄層の状態は、常温、常湿試験では、初期において○であったが、耐久後には×になった。また、現像剤保持体によるトナーの搬送性が低下する傾向にある低温、低湿試験では、初期の段階で既に△の評価であり、耐久後は×になった。さらに、読取装置による読み取り試験の結果から、比較例5の画像形成方法で形成した識別マークは、初期の段階では拒絶率が低く、読み取り精度が高いものの、耐久後は読み取り精度が著しく低下していることが判った。
そして、これらのことから、比較例5の画像形成方法では、現像剤保持体の表面が平滑すぎてトナーの搬送性が不十分であるため、画像形成を繰り返すうちに薄層の厚みが低下して、良好な識別マークを形成できなくなることがわかった。
そして、これらのことから、比較例5の画像形成方法では、現像剤保持体の表面が平滑すぎてトナーの搬送性が不十分であるため、画像形成を繰り返すうちに薄層の厚みが低下して、良好な識別マークを形成できなくなることがわかった。
一方、表面の十点平均粗さRzが6.0μmを超える現像剤保持体を用いた比較例6の画像形成方法では、連続画像形成中の形成画像に多数の微小黒点が発生して評価が×になったので、連続画像形成を中止した。そしてこのことから、比較例6の画像形成方法では、現像剤保持体の表面が大きな凹凸を有するため、この凹凸のうち、突起の部分で潜像保持体への電位のリークが発生しやすいことが判った。
これに対し、実施例5〜7の画像形成方法では、いずれの場合も、どの環境下でも、常に、厚みが均一で、欠陥やむらのない薄層を形成して、画像形成初期から長期間にわたって、良好な識別マークを形成できることが確認された。
Claims (3)
- 磁気インク文字認証システム用の識別マークを形成するためのMICR用トナーであって、体積抵抗率が1.0×103〜1.0×107Ω・cmである磁性粉を含み、かつ静電潜像を保持する潜像保持体と、固定磁石を内蔵して回転し、その表面に、MICR用トナーの薄層が形成される現像剤保持体とを、薄層と潜像保持体とが接触しないように間隙を保持して対峙させた状態で、薄層から、MICR用トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程を含む画像形成方法に使用した際に、現像剤保持体の表面に保持された状態での帯電量が、3.0〜8.0μC/gであることを特徴とするMICR用トナー。
- 静電潜像を保持する潜像保持体と、固定磁石を内蔵して回転し、その表面に、MICR用トナーの薄層が形成される現像剤保持体とを、薄層と潜像保持体とが接触しないように間隙を保持して対峙させた状態で、薄層から、MICR用トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程を含み、被印刷物の表面に、磁気インク文字認証システム用の識別マークを形成するための画像形成方法であって、請求項1記載のMICR用トナーと、表面の十点平均粗さRzが2.0〜6.0μmである現像剤保持体とを用いることを特徴とする画像形成方法。
- 潜像保持体としてアモルファスシリコン感光体を用いる請求項2記載の画像形成方法。
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