JPH11327204A - Micrプリンタ用磁性トナー - Google Patents

Micrプリンタ用磁性トナー

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JPH11327204A
JPH11327204A JP13715298A JP13715298A JPH11327204A JP H11327204 A JPH11327204 A JP H11327204A JP 13715298 A JP13715298 A JP 13715298A JP 13715298 A JP13715298 A JP 13715298A JP H11327204 A JPH11327204 A JP H11327204A
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magnetic powder
magnetic
toner
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JP13715298A
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Takaaki Arai
孝明 新井
Masaki Ishii
正記 石井
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字濃度や読取り性に優れ、かつ分散性や耐
久性に優れたMICRプリンタ用磁性トナーを提供す
る。 【解決手段】 バインダー樹脂と、磁性粉とを含有する
MICRプリンタ用磁性トナーにおいて、磁性粉が、ア
スペクト比(長径/短径)の値が異なる第1の磁性粉と
第2の磁性粉とを含み、かつ、MICRプリンタ用磁性
トナーの残留磁化を、7.0〜20emu/g(但し、
7.0emu/gは含まない。)の範囲内の値とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バインダー樹脂
と、磁性粉とを含有するMICRプリンタ用磁性トナー
に関する。より詳しくは、磁性粉の分散性や耐久性に優
れ、しかも画像濃度や読取り性にも優れたMICRプリ
ンタ用磁性トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小切手、有価証券、請求書、チケ
ット等において、これらの偽造や変造防止を目的とし
て、フォントと呼ばれる識別マークが印刷されている。
この識別マークを用いた偽造防止方式を、一般にMIC
R(Magnetic InkCharacter R
ecognition)システムと呼んでおり、例え
ば、特開平2−134648号公報、特開平5−805
82号公報およびUSP5、034、298号公報等に
内容が開示されている。具体的には、かかるフォントか
らなる識別マークは、数字と記号とを組み合せて構成さ
れており、偽造防止を図る小切手等の表面に印刷するこ
とにより機能を発揮させることができる。すなわち、識
別マークは、磁性粉をバインダ中に一定量配合した磁性
インクにより構成されており、この磁性粉の有する磁力
を利用して、識別マークであるフォントを専用の読取機
で読み取り、読み取った情報から、小切手等の真偽を正
確に判断することができる。また、かかるフォントから
なる識別マークは、人間の目視によっても、おおまかに
認識可能であるため、バーコード等と異なり、専用の読
取機で判断する前に、簡易かつ迅速な真偽の判断ができ
るという利点も有している。
【0003】ここで、フォントを構成する磁性インクを
印刷する場合、スクリーン印刷法やグラビア印刷法を採
ることができるが、近年、迅速かつ簡易な方法としてプ
リンタを用いて磁性インクを印刷する方法が注目されて
いる。なお、プリンタを用いて磁性インクを印刷する場
合、その磁性インクは、MICRトナーあるいはMIC
Rプリンタ用磁性トナーと呼ばれている。そして、MI
CRトナーは、一般に、熱可塑性樹脂からなるバインダ
樹脂、離型剤としてのワックス類、磁性粉、無機粉末等
を均一に混練した後、粉砕および分級工程後、シリカ、
研磨材等の外添工程を経て製造されており、最終的に平
均粒子径を4〜15μm程度に調整したMICRトナー
が使用されている。しかしながら、従来のMICRトナ
ーは、残留磁化の値が制限されていなかったために、印
字濃度が低く、読み取りエラーが多い等の問題が見られ
た。
【0004】そこで、結着樹脂と磁性粉とを含有するM
ICRトナーにおいて、針状の磁性粉を使用し、残留磁
化を高めることにより印字濃度や読取り性を高めたMI
CRトナーが検討されている。しかしながら、MICR
トナーにおいて、針状の磁性粉をバインダ樹脂に混合分
散することは容易でなく、MICRトナー中に塊状の磁
性粉が存在するため、かかる塊状の磁性粉をきっかけと
して、MICRトナーが割れやすく、また、塊状の磁性
粉が脱落して耐久性に乏しいという問題が見られた。し
たがって、このようなMICRトナーが、プリンタ内で
回収トナーとして長時間滞留する場合、MICRトナー
が割れて、塊状の磁性粉が脱落して飛散しやすくなり、
印字部以外の背景部に付着する、いわゆるカブリ現象が
生じやすいという問題が見られた。この点、プリンタの
連続使用期間が短い場合、例えばA4普通紙に印刷にお
いて、3万枚未満程度の使用時間の場合には、プリンタ
の寿命がプリンタの連続使用における律束段階となるた
め、かかるMICRトナーの耐久性に起因したカブリ現
象は大きな問題となっていなかった。しかしながら、a
−Siドラム搭載の高寿命プリンタでは、プリンタ自身
の寿命が向上し、現像器を交換することなく10万枚以
上の長時間使用が可能となるが、この場合、MICRト
ナーの寿命がプリンタの連続使用における律束段階とな
るため、MICRトナーの耐久性に起因したカブリ現象
は大きな問題となっていた。
【0005】そこで、特開平7−77829号公報に
は、結着樹脂(ポリオレフィン樹脂)と磁性粉とを含有
するMICRトナーにおいて、磁性粉の残留磁化を7.
0〜24.0emu/gの範囲内の値とし、しかも残留
磁化の値が異なる2種類の磁性粉を結着樹脂中に混合分
散し、得られたMICRトナーにおける残留磁化を4.
0〜7.0emu/gの範囲内の値に制限したMICR
トナーが開示されている。ここで、磁性粉の残留磁化を
7.0〜24.0emu/gの範囲内の値が好ましいと
するのは、磁性粉の残留磁化が7.0emu/g未満の
値となると、磁化が弱く、記号を正確に認識することが
できないとの理由あり、一方、24.0emu/gを超
えると、磁化が強すぎてやはり記号を正確に認識するこ
とができないとの理由による。また、MICRトナーの
残留磁化を4.0〜7.0emu/gの範囲内の値とす
るのは、MICRトナーの残留磁化が4.0emu/g
未満の値となると、磁化が弱く、記号を正確に認識する
ことができないとの理由あり、一方、7.0emu/g
を超えると、磁化が強すぎてやはり記号を正確に認識す
ることができないとの理由による。また、残留磁化の値
が異なる2種類の磁性粉を配合するにあたり、不定形粒
子の磁性粉(熱処理マグネタイト、残留磁化14emu
/g,BET値6.0m2/g)と、八面体の磁性粉
(マグネタイト、残留磁化9.2emu/g、BET値
6.9m2 /g)との組み合わせが好ましいことが記載
されており(実施例1参照)、針状の磁性粉(マグネタ
イト、残留磁化7.8emu/g,BET値6.7m2
/g)と、八面体の磁性粉(マグネタイト、残留磁化
9.2emu/g、BET値6.9m2 /g)との組み
合わせは、読み取りエラー率の値が大きいとして、好ま
しくない例として挙げられている(比較例2参照)。し
かしながら、不定形粒子の磁性粉と、八面体の磁性粉と
を組み合わせてもMICRトナーの残留磁化を高めるこ
とができず、しかもこのようにMICRトナーの残留磁
化を4.0〜7.0emu/gの範囲内の値に制限する
と、実際には、印字濃度が低く、読み取りエラーが多い
等の問題が見られた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明者らは、
従来の問題を鋭意検討した結果、磁性粉のアスペクト比
に着目し、アスペクト比(長径/短径)の値が異なる第
1の磁性粉と第2の磁性粉とを使用し、かつ、MICR
プリンタ用磁性トナーの残留磁化を、比較的高い値に制
限することにより、相反する特性である印字濃度や読取
り性および分散性や耐久性の問題を解決することを見出
し、本発明を完成したものである。すなわち、本発明
は、第1の磁性粉単独でも、第2の磁性粉単独でも得ら
れない特性を、これらを混合することにより、得られた
MICRプリンタ用磁性トナーを用いた場合の印字濃度
や読取り性に優れ、かつ分散性や耐久性にも優れたMI
CRプリンタ用磁性トナーを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、バインダー樹
脂と、磁性粉とを含有するMICRプリンタ用磁性トナ
ーにおいて、磁性粉が、アスペクト比(長径/短径)の
値が異なる第1の磁性粉と第2の磁性粉とを含み、か
つ、MICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化を、7.
0〜20emu/g(但し、7.0emu/gは含まな
い。)の範囲内の値としたMICRプリンタ用磁性トナ
ーに関する。磁性粉におけるアスペクト比は、得られた
トナーの分散性、耐久性あるいは残留磁化に密接に関係
しており、このようにアスペクト比の値が異なる磁性粉
を組み合わせて使用することにより、トナーの分散性や
残留磁化等の特性を容易に調節することができる。ま
た、トナーの残留磁化の値を制限することで、トナーの
耐久性や画像濃度を向上させることができる。
【0008】また、本発明のMICRプリンタ用磁性ト
ナーを構成するにあたり、第1の磁性粉のアスペクト比
(長径/短径)を2.0〜100の範囲内の値とし、か
つ、前記第2の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を
1.0〜2.0(但し、2.0は含まない。)の範囲内
の値とすることが好ましい。
【0009】また、本発明のMICRプリンタ用磁性ト
ナーを構成するにあたり、第1の磁性粉の残留磁化を2
4〜40emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁
性粉の残留磁化を1〜24emu/g(但し、24m2
/gは含まない。)とすることが好ましい。
【0010】また、本発明のMICRプリンタ用磁性ト
ナーを構成するにあたり、第1の磁性粉のBET値を1
3〜30m2 /gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性
粉のBET値を1〜13m2 /g(但し、13m2 /g
は含まない。)とすることが好ましい。
【0011】また、本発明のMICRプリンタ用磁性ト
ナーを構成するにあたり、第1の磁性粉の嵩密度を1〜
1.2g/cm3 の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性
粉の嵩密度を1.2〜2.0g/cm3 (但し、1.2
g/cm3 は含まない。)の値とすることが好ましい。
【0012】また、本発明のMICRプリンタ用磁性ト
ナーを構成するにあたり、第1の磁性粉を針状とし、か
つ、第2の磁性粉を粒状とすることが好ましい。
【0013】また、本発明のMICRプリンタ用磁性ト
ナーを構成するにあたり、磁性粉の添加量を、バインダ
ー樹脂100重量部あたり、1〜60重量部の範囲内の
値とすることが好ましい。
【0014】また、本発明のMICRプリンタ用磁性ト
ナーを構成するにあたり、第1の磁性粉を100重量部
としたときに、第2の磁性粉を10〜1000重量部の
範囲内の値とすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明におけるMICRプリンタ
用磁性トナー(以下、単にトナーと称する場合があ
る。)の実施の形態を、必須構成成分であるバインダー
樹脂や磁性粉、任意成分であるワックス類やシリカ粒子
等の観点、および得られたトナーの形態や特性の観点か
ら具体的に説明する。
【0016】[バインダー樹脂] (1)種類 本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーに使用す
るバインダー樹脂の種類は特に制限されるものではない
が、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレ
ン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプ
ロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニ
ルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニ
ル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂
を使用することが好ましい。
【0017】但し、ソックスレー抽出器を用いて測定さ
れる架橋部分量(ゲル量)が10重量%以下の値、より
好ましくは0.1〜10重量%の範囲内の値であれば、
バインダー樹脂中に、トナーの保存安定性や形態保持
性、あるいは耐久性が向上する観点から、一部架橋構造
が導入されていることも好ましい。すなわち、トナーの
バインダー樹脂として、熱可塑性樹脂を100重量%使
用する必要はなく、架橋剤を添加したり、あるいは、熱
硬化性樹脂を一部使用することも可能である。
【0018】(2)バインダー樹脂における官能基 また、このようなバインダー樹脂において、磁性粉の分
散性を向上させるために、ヒドキロキシ(水酸)基、カ
ルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキ
シ)基から選択される少なくとも一つの官能基を分子内
に有する樹脂を使用することが好ましい。なお、これら
の官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用い
て確認することができ、さらに滴定法を用いて定量する
ことができる。
【0019】(3)バインダー樹脂の分子量 また、バインダー樹脂において、二つの重量分子量ピー
ク(低分子量ピークと、高分子量ピークと称する。)を
有することが好ましい。具体的に、低分子量ピークが
3、000〜20、000の範囲内であり、もう一つの
高分子量ピークが300、000〜1500、000の
範囲内であることが好ましい。重量分子量ピークがこの
ような範囲内にあれば、トナーを容易に定着させること
ができ、また、耐オフセット性を向上させることもでき
る。なお、バインダー樹脂の重量分子量は、分子量測定
装置(GPC)を用いて、カラムからの溶出時間を測定
し、標準ポリスチレン樹脂を用いて予め作成しておいた
検量線と照らし合わせることにより、求めることができ
る。
【0020】(4)バインダー樹脂のガラス転移点 また、バインダー樹脂において、ガラス転移点(Tg)
を55〜70℃の範囲内の値とするのが好ましい。バイ
ンダー樹脂のガラス転移点が、55℃未満では、得られ
たトナー同士が融着し、保存安定性が低下する傾向があ
る。一方、バインダー樹脂のガラス転移点が、70℃を
超えると、トナーの定着性が乏しくなる傾向がある。な
お、バインダー樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計
(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることがで
きる。
【0021】[磁性粉] (1)種類 本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーに使用す
る磁性粉は、後述するように、アスペクト比の異なる2
種類以上の磁性粉を用いるのであれば、特にその値は制
限されるものではないが、酸化鉄(マグネタイト)、鉄
粉、コバルト粉、ニッケル粉およびフェライト類をそれ
ぞれ主成分とした磁性粉や、酸化鉄にコバルトやニッケ
ル等の金属をドーピングした磁性粉を使用することが好
ましい。また、コバルトやニッケル等の金属をドーピン
グした磁性粉は、残留磁化の値が特に高い観点で好まし
い。
【0022】(2)アスペクト比 本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーに使用す
る磁性粉のアスペクト比(長径/短径)に関して、アス
ペクト比の異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉とし
たときに、第1の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)
を2.0〜100の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性
粉のアスペクト比(長径/短径)を1.0〜2.0(但
し、2.0は含まない。)の範囲内の値とすることが好
ましい。
【0023】このようにアスペクト比が2.0を基準と
して、それ以上の一定範囲内の磁性粉と、それ未満の一
定範囲内の磁性粉とを混合使用することにより、バイン
ダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性を飛躍的に向
上させることができる。また、磁性粉の分散性が向上す
る結果、磁性粉が塊状で存在する傾向が少なくなる。よ
って、トナーが割れたり、磁性粉が脱離する傾向が少な
くなり、トナーの耐久性も飛躍的に向上させることもで
きる。さらに、アスペクト比が大きな磁性粉は、残留磁
化の値が大きいために、かかる磁性粉を配合したトナー
を使用した場合、印字濃度や読取り性を著しく向上させ
ることができる。
【0024】したがって、トナーの分散性や印字濃度等
の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性
粉におけるアスペクト比を2.5〜10.0の範囲内の
値とし、かつ、第2の磁性粉におけるアスペクト比を
1.2〜1.7の範囲内の値とすることがより好まし
く、さらに、第1の磁性粉におけるアスペクト比を3.
0〜5.0の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉にお
けるアスペクト比を1.3〜1.6の範囲内の値とする
ことがより好ましい。
【0025】(3)残留磁化 本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーに使用す
る磁性粉の残留磁化に関して特に制限されるものではな
いが、アスペクト比の異なる磁性粉を第1および第2の
磁性粉としたときに、第1の磁性粉の残留磁化を24〜
40emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉
の残留磁化を1〜24emu/g(但し、24m2 /g
は含まない。)とすることが好ましい。このように残留
磁化の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使
用することにより、得られるトナーの残留磁化の値を容
易に調節することができる。したがって、トナーにおけ
る印字濃度や読取り性を著しく向上させることができ
る。また、このような範囲に残留磁化の値を調節するこ
とにより、磁性粉のアスペクト比の調節も容易になるた
め、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や
耐久性を飛躍的に向上させることもできる。
【0026】したがって、トナーの分散性や印字濃度等
の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性
粉における残留磁化を25〜38emu/gの範囲内の
値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化を5〜2
3emu/gの範囲内の値とすることがより好ましく、
さらに、第1の磁性粉における残留磁化を26〜35e
mu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけ
る残留磁化を10〜20emu/gの範囲内の値とする
ことがより好ましい。
【0027】なお、残留磁化の値は、磁性粉に対して、
10キロエルステッドの磁界を印加した後に、磁界をゼ
ロとしたときの、磁気メモリ量と定義することができ
る。より具体的には、磁性粉のヒステリシス曲線を測定
することにより、磁性粉の残留磁化を算出することがで
きる。
【0028】(4)BET値 本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーに使用す
る磁性粉のBET値に関して特に制限されるものではな
いが、アスペクト比の異なる磁性粉を第1および第2の
磁性粉としたときに、第1の磁性粉のBET値を10〜
30m2 /gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉の
BET値を1〜10m2 /g(但し、10m2 /gは含
まない。)とすることが好ましい。このようにBET値
の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用す
ることにより、得られるトナーの残留磁化の値や分散性
を容易に調節することができる。また、このように構成
すると、トナーにおける印字濃度や読取り性を著しく向
上させることができるとともに、バインダー樹脂に対す
るこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることも
できる。なお、BET値は、BET吸着法により、比表
面積として求めることができる。
【0029】したがって、トナーの分散性や印字濃度等
の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性
粉におけるBET値を11〜25m2 /gの範囲内の値
とし、かつ、第2の磁性粉におけるBET値を2〜9m
2 /gの範囲内の値とすることがより好ましく、さら
に、第1の磁性粉におけるBET値を12〜20m2
gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるBE
T値を4〜8m2 /gの範囲内の値とすることがより好
ましい。
【0030】(5)嵩密度 本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーに使用す
る磁性粉の嵩密度に関して特に制限されるものではない
が、アスペクト比の異なる磁性粉を第1および第2の磁
性粉としたときに、第1の磁性粉の嵩密度を1〜1.2
g/cm3 の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉の嵩
密度を1.2〜2.0g/cm3 (但し、1.2g/c
3 は含まない。)とすることが好ましい。このように
嵩密度の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合
使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値や
分散性を容易に調節することができる。また、このよう
に構成すると、トナーにおける印字濃度や読取り性を著
しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂
に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させる
こともできる。
【0031】したがって、トナーの分散性や印字濃度等
の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性
粉における嵩密度を1.05〜1.2g/cm3 の範囲
内の値とし、かつ、第2の磁性粉における嵩密度を1.
3〜1.6g/cm3 の範囲内の値とすることがより好
ましく、さらに、第1の磁性粉における嵩密度を1.1
〜1.2m2 /gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性
粉における嵩密度を1.3〜1.5m2 /gの範囲内の
値とすることがより好ましい。
【0032】(6)形態 また、本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーに
使用する磁性粉の形態に関して特に制限されるものでは
なく、針状、粒状、あるいは球状、さらには不定形の磁
性粉を使用することができる。ここで、針状の磁性粉
は、一般に残留磁化の値、保持力の値あるいはBET値
が大きい一方、アスペクト比(長径/短径)や嵩密度の
値が小さく、バインダー樹脂に対する分散性が乏しいと
いう特徴がある。また、粒状の磁性粉は、一般に残留磁
化の値、保持力の値あるいはBET値が比較的大きい一
方、アスペクト比(長径/短径)や嵩密度の値が比較的
小さく、バインダー樹脂に対する分散性は良好であると
いう特徴がある。さらに、球状の磁性粉は、一般に残留
磁化の値、保持力の値あるいはBET値が小さく、アス
ペクト比(長径/短径)や嵩密度の値が比較的大きく、
バインダー樹脂に対する分散性は良好であるという特徴
がある。
【0033】また、本発明において、アスペクト比の異
なる磁性粉を第1および第2の磁性粉としたときに、第
1の磁性粉の形態を針状とし、かつ、第2の磁性粉の形
態を粒状とすることが好ましい。このように形状が異な
る、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することによ
り、得られるトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調
節することができる。すなわち、針状の磁性粉は、一般
に、残留磁化の値やBET表面積の値が大きいが、分散
性が乏しいという問題がある。一方、粒状の磁性粉は、
一般に、分散性は良好であるが、残留磁化の値やBET
表面積の値が比較的小さいという問題がある。したがっ
て、針状および粒状の磁性粉のいずれか一方のみを使用
しても、残留磁化や分散性等の相反する特性において、
バランスの採れたトナーを得ることが困難である。よっ
て、このように構成することにより、トナーにおける印
字濃度や読取り性を著しく向上させることができるとと
もに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性
や耐久性を容易に向上させることができる。
【0034】(7)添加量 また、本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーに
使用する磁性粉の添加量に関して特に制限されるもので
はないが、磁性粉の添加量をバインダー樹脂100重量
部あたり、1〜60重量部の範囲内の値とするのが好ま
しい。磁性粉の添加量が1重量部未満となると、いわゆ
るカブリ現象が発生しやすく、また、読み取り性が低下
する傾向があり、一方、磁性粉の添加量が60重量部を
超えると、分散性や撹拌性が低下し、さらには画像濃度
等が低下する傾向がある。したがって、トナーのカブリ
性と、分散性等とのバランスがより良好な観点から、磁
性粉の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、2
0〜50重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、
30〜50重量部の範囲内の値とするのがさらに好まし
く、最適範囲としては、30〜35重量部の範囲内の値
である。
【0035】次に、アスペクト比の異なる磁性粉を第1
および第2の磁性粉とした場合の、これらの磁性粉にお
ける添加比率について説明する。すなわち、第1および
第2の磁性粉における添加量の比率については特に制限
されるものではないが、第1の磁性粉を100重量部と
したときに、第2の磁性粉を10〜1000重量部の範
囲内の値とすることが好ましい。第2の磁性粉の添加量
が10重量部未満となると、磁性粉の分散性や耐久性が
低下する傾向があり、一方、第2の磁性粉の添加量が1
000重量部を超えると、トナーの印字濃度等が低下す
る傾向がある。したがって、第1の磁性粉を100重量
部としたときに、第2の磁性粉を20〜500重量部の
範囲内の値とすることがより好ましく、さらに好ましく
は、第2の磁性粉を50〜300重量部の範囲内の値と
することである。
【0036】(8)表面処理 次に、磁性粉の表面処理について説明する。本発明のM
ICRプリンタ用磁性トナーにおいて、分散性や耐久性
を向上させる観点から、磁性粉の表面を表面処理するこ
とが好ましい。その場合の表面処理剤として、カチオン
系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性
剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング
剤、アルミニウム系カップリング剤、フェノール系樹
脂、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂、ウレタン系樹
脂等を単独で使用するか、あるいは2種以上を組み合わ
せて使用することが好ましい。
【0037】また、表面処理剤の使用量を、磁性粉10
0重量部あたり、0.1〜100重量部の範囲内の値と
するのが好ましい。表面処理剤の使用量が0.1重量部
未満となると、表面処理効果が発揮されない傾向があ
り、一方、100重量部を超えると、トナーの印字濃度
等が低下する傾向がある。したがって、表面処理効果お
よびトナーの印字濃度等とのバランスがより良好な観点
から、表面処理剤の使用量を、磁性粉100重量部あた
り、0.5〜20重量部の範囲内の値とするのがより好
ましく、1.0〜10重量部の範囲内の値とするのがさ
らに好ましい。
【0038】[添加剤] (1)ワックス類 本発明のMICRプリンタ用磁性トナーにおいて、画像
濃度を高め、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリン
グを有効に防止することができる観点から、ワックス類
を添加することが好ましい。また、添加するワックス類
の種類としては、特に制限されるものではないが、本発
明のトナーにおいて、画像濃度を高め、読取ヘッドへの
オフセットや像スミアリングを有効に防止することがで
きる観点から、ワックス類を添加することが好ましい。
ここで、添加するワックス類の種類としては、特に制限
されるものではないが、例えば、ポリエチレンワック
ス、ポリプロピレンワックス、テフロン系ワックス、フ
ィッシャートロプッシュワックス等を使用することが好
ましい。かかるワックスを添加することにより、読取ヘ
ッドへのオフセットや像スミアリングをより効率的に防
止することができる。
【0039】また、フィッシャートロプッシュワックス
を使用することが特に好ましい。かかるワックスを添加
することにより、読取ヘッドへのオフセットや像スミア
リングをより効率的に防止することができる。なお、フ
ィッシャートロプッシュワックスとは、一酸化炭素の接
触水素化反応であるフィッシャートロプッシュ反応を利
用して製造される、イソ(iso)構造分子や側鎖が少
ない、直鎖炭化水素化合物である。さらに、フィッシャ
ートロプッシュワックスの中でも、重量平均分子量が1
000以上の値であり、かつ100〜120℃の範囲内
にDSCによる吸熱ボトムピークを有するものがより好
ましい。このようなフィッシャートロプッシュワックス
としては、サゾール社から入手できるサゾールワックス
C1(H1の結晶化による高分子量グレード、吸熱ボト
ムピーク:106.5℃)、サゾールワックスC105
(C1の分留法による精製品、吸熱ボトムピーク:10
2.1℃)、サゾールワックスSPRAY(C105の
微粒子品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)等が挙げ
られる。
【0040】また、ワックス類の添加量についても特に
制限されるものではないが、例えば、トナー全体量を1
00重量%としたときに、ワックス類の添加量を1〜5
重量%の範囲内の値とするのが好ましい。ワックス類の
添加量が1重量%未満となると、読取ヘッドへのオフセ
ットや像スミアリング等を効率的に防止することができ
ない傾向があり、一方、ワックス類の添加量が5重量%
を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性
が低下する傾向がある。
【0041】(2)電荷制御剤 本発明のMICRプリンタ用磁性トナーにおいて、帯電
レベルや帯電立ち上がり性(短時間で、一定の電荷レベ
ルに帯電するかの指標)の向上および優れた流動性が得
られる観点から、電荷制御剤を添加することが好まし
い。ここで、電荷制御剤には、電荷を一定範囲内に調整
する機能を有する電荷調整剤(CCA)と、電荷を増強
する機能を有する電荷増強樹脂(CCR)とがある。し
たがって、本発明のMICRプリンタ用磁性トナーにお
いて、電荷調整剤および電荷増強樹脂あるいはいづれか
一方を添加することが好ましい。
【0042】また、電荷調整剤(CCA)としては、具
体的に、アジン化合物としてのピリダジン、ピリミジ
ン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パ
ラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチ
アジン、1、2、3−トリアジン、1、2、4−トリア
ジン、1、3、5−トリアジン、1、2、4−オキサジ
アジン、1、3、4−オキサジアジン、1、2、6−オ
キサジアジン、1、3、4−チアジアジン、1、3、5
−チアジアジン、1、2、3、4−テトラジン、1、
2、4、5−テトラジン、1、2、3、5−テトラジ
ン、1、2、4、6−オキサトリアジン、1、3、4、
5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノ
キサリン、アジン化合物からなる直接染料としての、ア
ジンファストレッドFC、アジンファストレッド12B
K、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、ア
ジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/
C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープ
ブラック3RL、ニグロシン化合物としてのニグロシ
ン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体、ニグロシン化合
物からなる酸性染料としての、ニグロシンBK、ニグロ
シンNB、ニグロシンZ、ナフテン酸または高級脂肪酸
の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、
4級アンモニウム塩としてのベンジルメチルヘキシルデ
シルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロ
ライド等の1種または2種以上が挙げられる。特に、ニ
グロシン化合物およびニグロシン化合物からなる酸性染
料を含むニグロシン系化合物の使用は、帯電量について
の瞬時の立ち上げが可能であり、また、飽和帯電量の制
御が容易な観点から、本発明において最適である。
【0043】また、電荷増強樹脂(CCR)としては、
4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カ
ルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシ
ル基を有する樹脂またはオリゴマー等が挙げられ、より
具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン
系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、
4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系共重
合体、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹
脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボ
ン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有する
スチレン−アクリル系共重合体、カルボン酸塩を有する
ポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチ
レン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、
カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系共重合
体、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1
種または2種以上が挙げられる。特に、4級アンモニウ
ム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を有するス
チレン−アクリル系共重合体の使用は、帯電量の立ち上
がりをより助長することができる観点から、本発明にお
いて最適である。
【0044】次に、電荷調整剤および電荷増強樹脂を合
計した電荷制御剤の添加量について説明する。すなわ
ち、電荷制御剤の添加量は所望の電荷量から決定するこ
とが好ましいが、具体的に、MICRプリンタ用磁性ト
ナーの全体量を100重量%としたときに、電荷制御剤
の添加量を、0.1〜10重量%の範囲内の値とするの
が好ましい。電荷制御剤の添加量が0.1重量%未満と
なると、電荷を制御する機能が有効に発揮されない傾向
があり、一方、電荷制御剤の添加量が10重量%を超え
ると、トナーの分散性や耐久性が低下する傾向がある。
したがって、電荷制御機能と、トナーの耐久性等とのバ
ランスがより良好な観点から、電荷制御剤の添加量を、
0.5〜8重量%の範囲内の値とするのがより好まし
く、1.0〜5重量%の範囲内の値とするのがさらに好
ましい。
【0045】(3)その他 本発明のMICRプリンタ用磁性トナーには、着色剤、
染料、顔料、カップリング剤、シリカ粒子等を添加配合
することも可能である。なお、シリカ粒子については、
トナーの流動性をより制御できる観点から、トナーに対
して、外添することも好ましい。その場合、シリカ粒子
として、シランカップリング剤を用いて正帯電極性基
(アミノ基等)を導入し、シリコーンオイルにより疎水
化処理した乾式シリカ微粉末を使用することが好まし
い。
【0046】[MICRプリンタ用磁性トナー] (1)残留磁化 本発明において、MICRプリンタ用磁性トナーの残留
磁化を、7.0〜20emu/g(但し、7.0emu
/gを除く。)の範囲内の値とする必要がある。トナー
における残留磁化の値が、7.0emu/g以下となる
と、トナーの印字濃度や読取り性が著しく低下するため
であり、一方、トナーにおける残留磁化の値が、20e
mu/gを超えると、逆にトナーの読取り性が低下した
り、分散性や耐久性が低下する傾向があるためである。
したがって、より優れたトナーの読取り性等を得るため
に、MICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化を、8〜
18emu/gの範囲内の値とするのがより好ましく、
10〜15emu/gの範囲内の値とするのがさらに好
ましい。
【0047】(2)形態 次に、MICRプリンタ用磁性トナーの形態について説
明する。かかる形態は特に制限されるものでないが、ト
ナーの読取り性や印字濃度が向上し、しかも容易に製造
できる観点から、球状または楕円状であることが好まし
い。また、平均粒子径についても、特に制限されるもの
ではないが、1〜20μmの範囲内の値とするのが好ま
しい。平均粒子径がかかる範囲外となると、トナーの読
取り性や印字濃度が低下する傾向にあり、また、製造上
の制御も困難となる傾向がある。したがって、トナーの
平均粒子径を、4〜15μmの範囲内の値とするのがよ
り好ましく、5〜13μmの範囲内の値とするのが最も
好ましい。
【0048】(3)製造方法 次に、本発明におけるMICRプリンタ用磁性トナーの
製造方法について説明する。かかる製造方法は特に制限
されるものではなく、例えば、プロペラミキサ、ニー
ダ、Vブレンダ、ヘンシェルミキサ等を用いて、バイン
ダー樹脂と磁性粉とを均一に混練し、次いで、粉砕、分
級することにより、所望の平均粒子径を有するトナーを
得ることができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に
説明する。なお、言うまでもないが、以下の説明は本発
明を例示するものであり、特に理由なく、以下の説明に
本発明の範囲は限定されるものではない。
【0050】[実施例1] (1)MICRプリンタ用磁性トナーの製造 混合容器内に、磁性粉としてアスペクト比の異なる第1
の酸化鉄20重量部と第2の酸化鉄20重量部とをそれ
ぞれ収容した。さらに、バインダー樹脂として、スチレ
ン−アクリル共重合体(軟化点123℃、Tg:65
℃)100重量部と、フィシャートロプッシュワックス
(サゾールワックスC2、重量平均分子量:1262)
2.5重量部とを混合容器内に収容し、均一に混合分散
して混合物とした。なお、第1および第2の磁性粉につ
いては、それぞれ100重量部あたり、1gのγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランを添加混合し、これらの
磁性粉表面を予め表面処理を施しておいた。
【0051】次いで、得られた混合物を、粉砕機を用い
て粗粒子に粉砕し、さらに分級して、平均粒子径が10
μmのトナー粒子を作製した。なお、かかるトナー粒子
の粒度分布において、7〜13μmの範囲内に、粒子重
量の80重量%が分布していることが確認されている。
次いで、得られたトナー粒子100重量部あたり、γ−
アミノプロピルトリエトキシシランを用いてアミノ基を
導入し、シリコーンオイルにより疎水化処理した乾式シ
リカ微粉末を0.5重量部添加し、本発明のMICRプ
リンタ用磁性トナーとして、以下の評価に供した。
【0052】 第1の酸化鉄 第2の酸化鉄 形状 針状 粒状 平均粒子径(μm) 0.7 0.4 アスペクト比(長径/短径) 3.57 1.33 BET表面積(m2/g) 15.5 3.8 嵩密度(g/cm3) 1.1 1.4 残留磁化(emu/g) 30.5 18.1 保持力(Oe) 335.0 221.0 飽和磁化(emu/g) 84.0 87.0
【0053】(2)MICRプリンタ用磁性トナーの評
価 得られたMICRプリンタ用磁性トナー自体の評価を行
い、また、かかるトナーを京セラ(株)製プリンタ(エ
コシス、FS−3700)に収容し、小切手上にフォン
ト(E−13Bタイプ)の連続印刷を行い、画像濃度等
の評価を行った。
【0054】(2−1、2)残留磁化評価および飽和磁
化評価 得られたMICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化およ
び飽和磁化を測定した。それぞれの結果を表1に示す。
【0055】(2−3)分散性評価 ミクロトームMT6000−XL(RMC社製)を用い
て、MICRプリンタ用磁性トナーを切断した。次い
で、光学顕微鏡を用いてトナー断面を観察し、以下の基
準で、MICRプリンタ用磁性トナーにおける磁性粉の
分散性を評価した。結果を表1に示す。なお、△の評価
であれば許容範囲であり、〇であれば好ましい分散性を
有すると経験的に言える。 〇:磁性粉の塊は全く観察されない。 △:磁性粉の小さい塊が観察される。 ×:磁性粉の塊が観察される。
【0056】(2−4)耐久性評価 得られたMICRプリンタ用磁性トナーを京セラ(株)
製プリンタ−(エコシス、FS−3700)における現
像器に収容し、18PPM(Page parMinu
tutes)相当の回転速度で10日間の静電連続運転
を行い、試験後のトナーの割れ具合から、以下の基準で
MICRプリンタ用磁性トナーの耐久性を評価した。こ
こで、プリンタ−の静電連続運転とは、トナーを撹拌し
つつ、現像バイアスを印加して、通状の印刷(但し、非
通紙状態である。)と同様の条件で、トナーを撹拌流動
させるものである。得られた結果を表1に示す。なお、
△の評価であれば許容範囲であり、〇であれば好ましい
耐久性を有すると経験的に言える。 〇:トナー表面から磁性粉の離脱は観察されない。 △:トナー表面から塊状の磁性粉の離脱が観察されな
い。 ×:トナー表面から顕著な磁性粉の離脱が観察されな
い。
【0057】(2−5)画像濃度評価 得られたMICRプリンタ用磁性トナーを、京セラ
(株)製プリンタ(エコシス、FS−3700)に収容
し、小切手上にソリッドブラウンパターンの印刷を行
い、画像濃度評価を行った。具体的には、印刷された画
像濃度を、マクベス濃度計(マクベス社製反射型濃度
計、RD914)を用いて測定した。結果を表1に示
す。
【0058】(2−6)カブリ性評価 得られたMICRプリンタ用磁性トナーのカブリ性を評
価した。結果を表1に示す。なお、評価に際して、印刷
枚数に対応するカブリ限度見本を作成し、1〜5段階に
ランク付けした。このランク付けにおいて、段階4の評
価であれば許容範囲であり、段階3以下であれば経験的
にカブリが発生したと言える。 段階5:背景部にカブリが全く観察されない。 段階4:ルーペを用いることにより、背景部にわずかに
カブリが観察される。 段階3:目視により、背景部にカブリがわずかに観察さ
れる。 段階2:目視により、背景部にカブリが観察される。 段階1:背景部に、縦スジ等が表われ、顕著なカブリが
観察された。
【0059】(2−7)読取り性評価 得られたMICRプリンタ用磁性トナーの読取り性評価
を、MICR用読取機マイカクオリファイヤ(RDM社
製)を用いて行った。また、読取り性(%)が80〜2
00%の範囲内であれば、適性にフォントが読み取れた
ということができる。結果を表1および図1に示す。な
お、図1は、横軸にMICRプリンタ用磁性トナーの残
留磁化の値(eum/g)を採って示してあり、縦軸に
読取り性(%)の値を採って示してある。図1に示す、
実施例1のデータを含む曲線から理解されるように、ト
ナーの残留磁化の値が7.0(eum/g)以下である
と、読取り性(%)の値が急に低下する傾向が見られ
る。したがって、トナーの残留磁化の値を、7.0(e
um/g)を超える所定範囲に制限することにより、優
れた読取り性(%)の値を得ることができる。但し、ト
ナーの残留磁化の値をさらに増加させると、逆に読取り
性(%)の値が低下したり、分散性等の特性も低下する
ことも判明しており、かかる観点から、トナーの残留磁
化の値を、20(eum/g)以下と制限する必要があ
る。
【0060】
【表1】 磁性粉量の()の値は、粒状/針状の配合重量比を表す。
【0061】[実施例2〜3]第1の酸化鉄の添加量
と、第2の酸化鉄との添加量との配合比率を変えたほか
は、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁性トナー
を作製し、評価した。具体的に、実施例2では、バイン
ダー樹脂100重量部に対して、第1の酸化鉄を30重
量部添加し、第2の酸化鉄を10重量部添加した。ま
た、実施例3では、第1の酸化鉄を10重量部添加し、
第2の酸化鉄を30重量部添加した。それぞれ得られた
結果を表1に示す。
【0062】[実施例4〜5]第1の酸化鉄の添加量
と、第2の酸化鉄との添加量との配合比率は50:50
のままで、バインダー樹脂100重量部に対して、磁性
粉(第1および第2)の添加量を30重量部(実施例
4)および50重量部(実施例5)にそれぞれ変えたほ
かは、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁性トナ
ーを作製し、トナーにおける残留磁化評価および定着性
等を評価した。
【0063】なお、定着性は、次のようにして評価し
た。まず、定着温度を190℃に設定し、電源を切った
状態で10分間冷却した後、電源を入れ(ON)、画像
評価パターン(ソリッドパターン)を連続5枚印字し
て、測定用画像を得た。次いで、得られた画像上に、綿
布で包んだ黄銅製分銅(1kg荷重)を10往復させ
た。この操作の前後の画像濃度をマクベス反射濃度計で
測定し、その濃度の定着率(操作前濃度/操作後濃度)
を求めて定着性を評価した。また、評価紙は、クラシッ
ク・クレスト紙を用いた。結果を表2に示す。 ○:定着率が95以上の値である。 △:定着率が90%以上〜95%未満の値である。 ×:定着率が90%未満の値である。
【0064】
【表2】 磁性粉量の()の値は、粒状/針状の配合重量比を表す。
【0065】[比較例1〜3]比較例1〜2において
は、バインダー樹脂100重量部に対して、第1の酸化
鉄および第2の酸化鉄のいずれか一方を40重量部用い
たほかは、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁性
トナーを作製し、トナーにおける残留磁化等を評価し
た。それぞれ得られた結果を表1に示す。結果から理解
されるように、比較例1においては針状の磁性粉のみを
使用しており、高い残留磁化の値が得られているもの
の、分散性や耐久性が乏しいという結果が得られた。ま
た、比較例2においては粒状の磁性粉のみを使用してお
り、分散性や耐久性は優れているものの、読取り性に乏
しいという結果が得られた。
【0066】また、比較例3においては、第1の酸化鉄
の添加量と、第2の酸化鉄との添加量との配合比率は5
0:50のままで、バインダー樹脂100重量部に対す
る、磁性粉(第1および第2)の添加量を20重量部と
したほかは、実施例1と同様に、MICRプリンタ用磁
性トナーを作製し、トナーにおける残留磁化評価および
定着性等を評価した。得られた結果を表2に示す。結果
から理解されるように、比較例3においてはアスペクト
比の異なる針状の磁性粉と粒状の磁性粉とを使用してい
るが、残留磁化の値が7.0emu/g未満であるた
め、読取り性に乏しいという結果が得られた。
【0067】
【発明の効果】本発明により、バインダー樹脂と、磁性
粉とを含有するMICRプリンタ用磁性トナーにおい
て、磁性粉として、アスペクト比の値が異なる第1の磁
性粉と第2の磁性粉とを使用し、かつ、MICRプリン
タ用磁性トナーの残留磁化を、7.0〜20emu/g
(但し、7.0emu/gは含まない。)の範囲内の値
とすることにより、印字濃度や読取り性に優れ、かつ分
散性や耐久性に優れたMICRプリンタ用磁性トナーを
提供することができるようになった。
【0068】また、磁性粉のアスペクト比の値、残留磁
化の値、BET値、嵩密度の値、形態および添加量や、
第1の磁性粉と第2の磁性粉との配合比率を制御するこ
とにより、印字濃度や読取り性にさらに優れ、かつ分散
性や耐久性に優れたMICRプリンタ用磁性トナーを提
供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】MICRプリンタ用磁性トナーにおける残留磁
化の値と、読取り性の値との関係を示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダー樹脂と、磁性粉とを含有する
    MICRプリンタ用磁性トナーにおいて、 前記磁性粉が、アスペクト比(長径/短径)の値が異な
    る第1の磁性粉と第2の磁性粉とを含み、かつ、前記M
    ICRプリンタ用磁性トナーの残留磁化を、7.0〜2
    0emu/g(但し、7.0emu/gは含まない。)
    の範囲内の値とすることを特徴とするMICRプリンタ
    用磁性トナー。
  2. 【請求項2】 前記第1の磁性粉のアスペクト比(長径
    /短径)を2.0〜100の範囲内の値とし、かつ、前
    記第2の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を1.0
    〜2.0(但し、2.0は含まない。)の範囲内の値と
    することを特徴とする請求項1に記載のMICRプリン
    タ用磁性トナー。
  3. 【請求項3】 前記第1の磁性粉の残留磁化を24〜4
    0emu/gの範囲内の値とし、かつ、前記第2の磁性
    粉の残留磁化を1〜24emu/g(但し、24m2
    gは含まない。)の範囲内の値とすることを特徴とする
    請求項1または2に記載のMICRプリンタ用磁性トナ
    ー。
  4. 【請求項4】 前記第1の磁性粉のBET値を13〜3
    0m2 /gの範囲内の値とし、かつ、前記第2の磁性粉
    のBET値を1〜13m2 /g(但し、13m2 /gは
    含まない。)の範囲内の値とすることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか一項に記載のMICRプリンタ用磁
    性トナー。
  5. 【請求項5】 前記第1の磁性粉の嵩密度を1〜1.2
    g/cm3 の範囲内の値とし、かつ、前記第2の磁性粉
    の嵩密度を1.2〜2.0g/cm3 (但し、1.2g
    /cm3 は含まない。)の範囲内の値とすることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のMICRプ
    リンタ用磁性トナー。
  6. 【請求項6】 前記第1の磁性粉を針状とし、かつ、前
    記第2の磁性粉を粒状とすることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか一項に記載のMICRプリンタ用磁性ト
    ナー。
  7. 【請求項7】 前記磁性粉の添加量を、前記バインダー
    樹脂100重量部あたり、1〜60重量部の範囲内の値
    とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に
    記載のMICRプリンタ用磁性トナー。
  8. 【請求項8】 前記磁性粉における第1の磁性粉の配合
    量を100重量部としたときに、前記第2の磁性粉の配
    合量を10〜1000重量部の範囲内の値とすることを
    特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のMIC
    Rプリンタ用磁性トナー。
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