JP3956340B2 - 正帯電トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低印字率の印刷を実施した場合であっても、良好な画像濃度やカブリ耐性を長期間にわたって得られる正帯電トナーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真現像法において、静電潜像を可視化して又は静電潜像を反転現像により可視化して高品質な画像を得ている。
そして、電子写真現像法に好適なトナーは、バインダーとしての熱可塑性樹脂に着色剤や帯電制御剤としての染料、顔料や離型剤としてのワックス、磁性材料を混合して混練、粉砕、分級を行い、トナー粒子としたものである。また、トナー粒子に流動性を付与したり、クリーニング性を向上させたりするために、シリカや酸化チタン、あるいはアルミナ等の無機微粉末が添加されている。
しかしながら、これらの無機微粉末は、一般的に親水性に富んでおり、トナーの流動性や帯電立ち上がり性が、周囲の環境条件(湿度)に影響されて変化する場合がある。
【0003】
そこで、このような環境条件の影響を防ぐため、これらの無機微粉末の表面を疎水化剤で処理したり、帯電極性基を導入したりすることが行われている。
具体的に、帯電極性基を導入するために、シリカ微粉末等の金属酸化物をアミノシランカップリング剤等で表面処理し、それを現像剤の外添剤として用いる方法が、特開昭52-135739号公報や特開昭56-123550号公報に開示されている。
このシラン処理方法によると、アミノシランカップリング剤の末端アミノ基により、強い正帯電性を示す現像剤が得られるというものである。
【0004】
また、疎水性シリカ微粒子に対して、正帯電制御剤と、疎水化剤との両方で表面処理し、それを現像剤の外添剤として用いる方法が、特開昭58-216252号公報に開示されており、ケイ酸微粉末に対して、所定量の含窒素シランカップリング剤と、窒素原子を有するシリコーンオイルとで処理し、それを現像剤の外添剤として用いる方法が、特開昭63-73271号公報や特開昭63-73272号公報に開示されている。
これらの方法によると、正帯電制御剤の働きにより、強い正帯電性を示す現像剤が得られるというものである。
【0005】
また、負帯電性極性基と正帯電性極性基との両方の極性基を表面に結合した無機微粒子を非磁性一成分現像用トナーの外添剤として用いる方法が、例えば特開平2-66564号公報に開示されている。
この方法によると、帯電レベルの向上性、帯電立ち上がり性、流動性にそれぞれ優れた非磁性一成分現像用トナーが得られるというものである。
【0006】
また、特開平11-160907公報では、帯電の立ち上がりや耐久性の向上、および環境安定性を得るために、正帯電極性基と、疎水性基とを有する乾式シリカ微粉末と、正帯電極性基を導入するとともに、シリコーンオイルで疎水化処理した湿式シリカ微粉末と、を併用することが有効であるとしている。
さらに、特開平11-143111公報では、帯電の立ち上がりの立ち上がりや耐久性の向上、および環境安定性を得るために、正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末と、正帯電極性基およびフッ素含有極性基を含有する湿式シリカ微粉末と、を併用することが有効であるとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上術した従来技術は、次のような問題点(1)〜(4)を有していた。
(1)特開昭52-135739号公報等に開示されたアミノシランカップリング剤で処理した金属酸化物を用いた現像剤は、アミノシランカップリング剤が親水性であるために、高温高湿環境において、トナー流動性や帯電性が不安定になるという問題が見られた。
(2)また、特開昭58-216252号公報等に開示された疎水性シリカ微粒子に対して、正帯電制御剤と、疎水化剤との両方で表面処理した現像剤は、トナーの流動性に乏しく、また、帯電性の立ち上がりが遅く、さらには、帯電性が不安定になりやすいという問題が見られた。
(3)また、特開平2-66564号公報等に開示された負帯電性極性基と正帯電性極性基の両方の基が表面に結合した無機微粒子を含有する現像剤は、高温高湿環境下における帯電安定性やトナー流動性が乏しいという問題が見られた。
(4)さらに、特開平11-160907公報等に開示された、正帯電性の乾式シリカ微粉末と、正帯電極性基およびフッ素含有極性基を含有する湿式シリカ微粉末と、を併用したトナーでは、トナーが低印字率で使用された場合に、画像濃度とカブリの安定性が不十分になるという問題が見られた。
【0008】
そこで、本発明の発明者らは、これらの問題点を鋭意検討し、正帯電性の乾式シリカと、湿式シリカ微粉末とを併用するとともに、湿式シリカ微粉末に、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩による表面処理を施し、さらに、これらのフッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩による処理量または処理割合を所定の範囲に規定することにより、長時間にわたって画像濃度が安定し、特に印字率の低い印刷を実施した場合であっても、カブリが発生しないことを見出し、本発明を完成させたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、外添剤として、乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末を含有してなる正帯電トナーにおいて、
乾式シリカ微粉末が、正帯電極性基および疎水性基を有し、
湿式シリカ微粉末が、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩により表面処理してあり、
湿式シリカ微粉末100重量%に対するフッ素含有シランカップリング剤と、第4級アンモニウム塩との合計処理量を、20〜40重量%の範囲内の値とすることを特徴とする正帯電トナー、または、第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の重量比を0.6〜1.5の範囲内の値とすることを特徴とする正帯電トナーが提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末の添加により、帯電の立ち上がり性を向上させるとともに、環境条件の変化によるトナーの流動性の変化を低減するという効果を発揮させることができる。
一方、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩により表面処理した湿式シリカ微粉末の添加により、一般的なアミノ系シランカップリング剤を使用した場合と比較して、正帯電性の経時的な変化や環境変動が少なくなり、安定した画像濃度が得られるとともに、カブリの発生についても防止することができる。
また、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩による処理量または処理割合を所定の範囲に規定することにより、湿式シリカ微粉末に対して、疎水性基を十分導入することができるとともに、湿式シリカ微粉末の効果をより有効に発揮させることができる。
そして、これら二種類のシリカ微粉末の相乗効果により、特に印字率の低い印刷を実施した場合であっても、長時間にわたって画像濃度が安定し、カブリの発生を有効に防止することができる。
なお、第4級アンモニウム塩としては、後述するように、第4級アンモニウム塩型シラン化合物であることが好ましい。
【0010】
本発明の正帯電トナーを構成するにあたり、乾式シリカ微粉末における正帯電極性基が、アミノシランカップリング剤に由来していることが好ましい。
このように構成すると、乾式シリカ微粉末の表面に対する正帯電極性基の導入を容易かつ、定量的に実施することができる。
【0011】
本発明の正帯電トナーを構成するにあたり、乾式シリカ微粉末における疎水性基が、アルキルシランカップリング剤に由来していることが好ましい。
このように構成すると、乾式シリカ微粉末の表面に対する疎水性基の導入を容易かつ、定量的に実施することができる。
【0015】
本発明の別の態様は、乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末を外添する正帯電トナーの製造方法において、
乾式シリカ微粉末として、正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末を添加する工程と、
湿式シリカ微粉末として、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩により表面処理した湿式シリカ微粉末であって、湿式シリカ微粉末100重量%に対するフッ素含有シランカップリング剤と、第4級アンモニウム塩との合計処理量を、20〜40重量%の範囲内の値とした湿式シリカ微粉末、または、第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の重量比を0.6〜1.5の範囲内の値とした湿式シリカ微粉末を添加する工程と、
を含む特徴とする正帯電トナーの製造方法が提供され、上述した問題点を解決することができる。
このように実施すると、二種類のシリカ微粉末の相乗効果により、長時間にわたって画像濃度が安定し、特に印字率の低い印刷を実施した場合であっても、カブリの発生を有効に防止できる正帯電トナーを効率的に提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について、磁性トナー粒子(単に、トナー粒子と称する場合がある。)と、外添剤とに大別して具体的に説明する。
なお、参照する図面は、この発明が理解できる程度に各構成成分の大きさ、形状および配置関係を概略的に示してあるに過ぎず、したがって、本発明は、図示例にのみ限定されるものではない。
【0017】
1.磁性トナー粒子
(1)バインダー樹脂
▲1▼種類1
本発明におけるトナー粒子に使用するバインダー樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0018】
より具体的には、ポリスチレン系樹脂として、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。また、このような共重合モノマーとしては、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。これらは、一種を単独で使用して、スチレン単量体と共重合させることもできるし、あるいは二種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合させることもできる。
【0019】
また、ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものであれば好適に使用することができる。
このようなアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5,−トリヒドロキシメチルベンゼン等が例示される。
【0020】
また、カルボン酸成分としては、二価または三価のカルボン酸、あるいはこれらのカルボン酸における酸無水物、またはこれらのカルボン酸における低級アルキルエステルが用いられる。
より具体的には、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等の二価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の三価以上のカルボン酸が例示される。
【0021】
▲2▼分子量分布
また、バインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される重量平均分子量において、少なくとも2つ以上の分子量分布ピーク(低分子量ピークおよび高分子量ピーク)を有することが好ましい。
具体的に、低分子量ピークが3、000〜20、000の範囲内であり、もう一つの高分子量ピークが3×105〜15×105の範囲内であるバインダー樹脂が好ましい。
この理由は、低分子量ピークが上記範囲内の値にあると、トナー粒子の定着性が向上するためである。逆に、かかる低分子量ピークが3,000未満の値となると、定着時にオフセットが発生し易くなり、また、トナー粒子の使用環境温度(5〜50℃)での保存安定性が低下して、ケーキングを生じる場合があるためである。
一方、高分子量ピークが上記範囲内の値にあると、トナー粒子の耐オフセット性が向上するためであり、逆に、かかる高分子量ピークが20,000よりも大きくなると、バインダー樹脂と電荷制御剤との相溶性が低下し、均一な分散が得られない場合があるためである。したがって、カブリ、感光体汚染、定着不良等が生じ易くなる場合がある。
【0022】
さらに、バインダー樹脂において、重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が10以上の値が好ましい。
この理由は、かかるMw/Mnの比率が10未満の値となると、分子量分布が過度に狭くなり、トナー粒子の定着性や耐オフセット性が低下する場合があり、双方の特性を十分に満足できない場合があるためである。
【0023】
▲3▼架橋構造
また、バインダー樹脂は、定着性が良好な観点から熱可塑性樹脂が好ましいが、ソックスレー抽出器を用いて測定される架橋成分量(ゲル量)が10重量%以下の値、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲内の値であれば、硬化性樹脂であっても良い。
このように一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナー粒子の保存安定性や形態保持性、あるいは耐久性をより向上させることができる。よって、トナー粒子のバインダー樹脂として、熱可塑性樹脂を100重量%使用する必要はなく、架橋剤を添加したり、あるいは、熱硬化性樹脂を一部使用したりすることも好ましい。
【0024】
このような熱硬化性樹脂の種類として、エポキシ系樹脂やシアネート系樹脂が挙げられるが、より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0025】
▲4▼官能基
また、バインダー樹脂内に、磁性粒子の分散性を向上させるために、官能基(極性基)を有することが好ましい。
このような官能基としては、ヒドキロキシ(水酸)基、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキシ)基から選択される少なくとも一つが挙げられる。
なお、バインダー樹脂が、これらの官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用いて確認することができ、さらに官能基の含有量については、滴定法を用いて定量することができる。
【0026】
▲5▼ガラス転移点
また、バインダー樹脂のガラス転移点を55〜70℃の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかるバインダー樹脂のガラス転移点が、55℃未満となると、得られたトナー粒子同士が融着し、保存安定性が低下する傾向があるためである。一方、かかるバインダー樹脂のガラス転移点が、70℃を超えると、トナー粒子の定着性が乏しくなる傾向があるためである。
したがって、バインダー樹脂のガラス転移点を58〜68℃の範囲内の値とすることがより好ましく、60〜66℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、バインダー樹脂のガラス転移点は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
【0027】
▲6▼軟化点
また、バインダー樹脂が結晶性である場合、その融点(または軟化点)を110〜150℃の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかるバインダー樹脂の融点(または軟化点)が、110℃未満となると、得られたトナー粒子同士が融着し、保存安定性が低下する場合があるためである。一方、バインダー樹脂の融点(または軟化点)が、150℃を超えると、トナー粒子の定着性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、バインダー樹脂の融点(または軟化点)を115〜145℃の範囲内の値とすることがより好ましく、120〜140℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、バインダー樹脂の融点(または軟化点)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解ピーク位置や、落球法から求めることができる。
【0028】
(2)磁性粒子
▲1▼種類
本発明のトナー粒子に使用する磁性粒子としては、酸化鉄(マグネタイト)、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、およびフェライト粉をそれぞれ主成分とした磁性粒子や、酸化鉄(マグネタイト)にコバルトやニッケル等の強磁性を示す金属をドーピングした磁性粒子を挙げることができる。
また、そのままでは強磁性元素を含まないものの、適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、例えば二酸化クロム等を磁性粒子として使用することもできる。
【0029】
また、磁性粒子は、チタン系カップリング剤やシラン系カップリング剤などの表面処理剤を用いて表面処理を施したものであることが好ましい。
この理由は、このような表面処理を施すことにより、磁性粒子とバインダー樹脂との親和性が向上し、磁性粒子をバインダー樹脂中に、より均一に分散させることができるようになるためである。また、磁性粒子は、通常、親水性であるため、このような表面処理を施すことにより、適度に疎水化を図ることができ、結果として、トナー粒子の耐湿性を向上させることができるためである。
【0030】
▲2▼平均粒子径
また、磁性粒子の平均粒子径を0.10〜0.50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる磁性粒子の平均粒子径がこれらの範囲外となると、トナー粒子に不均一に分散し、均一に帯電させることが困難となる場合があるためである。
したがって、磁性粒子の平均粒子径を0.15〜0.45μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.18〜0.40μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0031】
▲3▼添加量
また、磁性粒子の添加量を、一成分現像方式に適用する場合には、トナー粒子の全体量に対して、30〜70重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる磁性粒子の添加量が30重量%以下となると、耐久性が低下し、カブリが生じ易くなる場合があるためである。一方、かかる磁性粒子の添加量が70重量%を超えると、画像濃度や耐久性が低下したり、あるいは定着性が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、一成分現像方式に適用する場合には、磁性粒子の添加量を30〜60重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
一方、二成分現像方式に適用する場合には、磁性粒子の添加量を、トナー粒子の全体量に対して、5〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる磁性粒子の添加量が5重量%以下となると、耐久性が低下し、カブリが生じ易くなる場合があるためである。一方、かかる磁性粒子の添加量が30重量%を超えると、画像濃度や耐久性が低下したり、あるいは定着性が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、二成分現像方式に適用する場合には、磁性粒子の添加量を5〜20重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0032】
(3)ワックス類
本発明のトナー粒子において、定着性やオフセット性の効果を求めることから、ワックス類を添加することが好ましい。
ここで、添加するワックス類の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。また、これらワックスを併用しても構わない。かかるワックスを添加することにより、オフセット性を向上させたり、像スミアリングをより効率的に防止することができる。なお、フィッシャートロプシュワックスは、一酸化炭素の接触水素化反応であるフィッシャートロプシュ反応を利用して製造される、イソ(iso)構造分子や側鎖が少ない、直鎖炭化水素化合物である。
【0033】
また、フィッシャートロプシュワックスの中でも、重量平均分子量が1,000以上の値であり、かつ100〜120℃の範囲内にDSCによる吸熱ボトムピークを有するものがより好ましい。
このようなフィッシャートロプシュワックスとしては、サゾール社から入手できるサゾールワックスC1(H1の結晶化による高分子量グレード、吸熱ボトムピーク:106.5℃)、サゾールワックスC105(C1の分留法による精製品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)、サゾールワックスSPRAY(C105の微粒子品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)等が挙げられる。
【0034】
また、ワックス類の添加量についても特に制限されるものではないが、例えば、トナー粒子の全体量を100重量%としたときに、ワックス類の添加量を1〜5重量%の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかるワックス類の添加量が1重量%未満となると、オフセット性が低下したり、像スミアリング等を効率的に防止することができない場合があるためであり、一方、ワックス類の添加量が5重量%を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向があるためである。
【0035】
(4)電荷制御剤
本発明のトナー粒子において、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)が著しく向上し、耐久性や安定性に優れた特性等が得られることから、電荷制御剤を添加することが好ましい。
ここで、添加する電荷制御剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、以下に示す正帯電性や負帯電性を示す電荷制御剤が挙げられる。
【0036】
▲1▼正帯電性電荷制御剤
正帯電性電荷制御剤として、ニグロシン、第四級アンモニウム塩化合物、樹脂にアミン系化合物を結合させた樹脂タイプの電荷制御剤等が挙げられる。
具体的に、アジン化合物としてのピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1、2、3−トリアジン、1、2、4−トリアジン、1、3、5−トリアジン、1、2、4−オキサジアジン、1、3、4−オキサジアジン、1、2、6−オキサジアジン、1、3、4−チアジアジン、1、3、5−チアジアジン、1、2、3、4−テトラジン、1、2、4、5−テトラジン、1、2、3、5−テトラジン、1、2、4、6−オキサトリアジン、1、3、4、5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、アジン化合物からなる直接染料としての、アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープブラック3RL、ニグロシン化合物としてのニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体、ニグロシン化合物からなる酸性染料としての、ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、4級アンモニウム塩としてのベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られることから、正帯電性のトナー粒子に対しては最適である。
【0037】
また、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等が挙げられる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン-アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン-アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレンーアクリル系樹脂(スチレンーアクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができることから、最適な電荷制御剤である。
【0038】
▲2▼負帯電性電荷制御剤
また、負帯電性を示すものとして、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、そのエステル類、あるいは、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などが挙げられる。
【0039】
▲3▼添加量
また、トナー粒子の全体量を100重量%としたときに、電荷制御剤の添加量を、1.5〜15重量%の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかる電荷制御剤の添加量が1.5重量%未満となると、トナー粒子に対して、安定して帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下したりする傾向があるためである。また、分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなったりする場合があるためである。
一方、電荷制御剤の添加量が15重量%を超えると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向があるためである。
したがって、電荷制御機能と、トナー粒子の耐久性等とのバランスがより良好となることから、電荷制御剤の添加量を、2.0〜8.0重量%の範囲内の値とするのがより好ましく、3.0〜7.0重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0040】
(5)特性改良剤
また、トナー粒子の流動性や保存安定性を向上させる目的で、特性改良剤としてのコロイダルシリカや疎水性シリカ等を添加したり、あるいはこれらのコロイダルシリカを用いて、トナー粒子に対して、表面処理を施したりすることが好ましい。
【0041】
(6)平均粒径
また、トナー粒子の平均粒径は特に制限されるものでは無いが、例えば、5〜12μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるトナー粒子の平均粒径が5μm未満となると、保存安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
一方、かかるトナー粒子の平均粒径が12μmより大きくなると、搬送性が低下したり、あるいは定着画像が不鮮明となったりする場合があるためである。
したがって、トナー粒子の平均粒径を6〜11μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0042】
2.外添処理剤
本発明のトナー粒子において、帯電量分布が均一で、摩擦帯電量を低下させることなく、またチャージアップすることなしに安定した帯電特性を示し、流動性、環境依存性、耐久性に優れた現像剤を提供するために、特定の乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末の双方をトナー粒子に外添処理する必要がある。
【0043】
(1)乾式シリカ微粉末
▲1▼表面処理剤
乾式法により製造された乾式シリカ微粉末(ヒュームドシリカ)に正帯電極性基を導入するには、表面処理剤として、正帯電極性基を有するカップリング剤を用いることが好ましい。
このような正帯電極性基を有するカップリング剤としては、アミノシランカップリング剤、例えば、下式で示されるアミノシランカップリング剤及びそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
2N(CH22NH(CH23Si(OCH33
2N(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH32
2N(CH22NH(CH22Si(OCH33
2N(CH22NH(CH22NH(CH22Si(OCH33
2N(CH2)Si(OCH33
65NH(CH23Si(OCH33
【0045】
また、乾式シリカ微粉末(ヒュームドシリカ)に疎水性基を導入するには、表面処理剤として、アルキルシランカップリング剤を用いることが好ましい。
このようなアルキルシランカップリング剤(疎水化剤)としては、例えば、下式で示されるようなシラン系カップリング剤を用いることが好ましい。
【0046】
CH3Si(OCH33
CH3Si(OCH2CH53
(CH32Si(OCH32
CH3(CH22Si(OCH33
CH3(CH25Si(OCH33
n−C1021Si(OCH33
65Si(OCH33
【0047】
また、カップリング剤を用いて乾式シリカ微粉末の表面を処理する方法は種々あるが、例えば、次のような方法を採ることが好ましい。
i)カップリング剤をテトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤を用いて混合希釈する。次いで、得られたカップリング剤の希釈液を、ブレンダー等で強制的に攪拌している乾式シリカ微粉末に対して、滴下したり、スプレーしたりして添加し、充分混合する。次いで、得られた混合物を、オーブンに入れ加熱し、乾燥させる。その後、再びブレンダーにて攪拌し、充分に解砕する。
ii)乾式シリカ微粉末を、カップリング剤を含む有機溶剤溶液に浸漬した上で乾燥させたり、または乾式シリカ微粉末を水中に分散してスラリー状にした上で、カップリング剤の水溶液を滴下する。その後、乾式シリカ微粉末を沈降させた上で、加熱乾燥し、さらに解砕する。
【0048】
▲2▼導入量
また、乾式シリカ微粉末の表面に対する正帯電極性基の導入量、すなわち正帯電極性基を有するカップリング剤(アミノシランカップリング剤)の添加量を、乾式シリカ微粉末100重量%に対して、5〜25重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正帯電極性基を有するカップリング剤の添加量が5重量%未満の値になると、正帯電極性基の導入が不十分となり、乾式シリカ微粉末の添加効果が低下する場合があるためである。
一方、かかる正帯電極性基を有するカップリング剤の添加量が25重量%を超えた値になると、正帯電極性基の導入が多くなり、それにつれてアミノ基による疎水性の低下が大きくなって、環境変動が大きくなる場合があるためである。
したがって、かかる正帯電極性基を有するカップリング剤の添加量を、乾式シリカ微粉末100重量%に対して、7〜23重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜20重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましいことである。
【0049】
また、乾式シリカ微粉末の表面に対する疎水基の導入量、すなわち疎水性基を有するカップリング剤(アルキルシランカップリング剤)の添加量を、乾式シリカ微粉末100重量%に対して、10〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる疎水性基を有するカップリング剤の添加量が10重量%未満の値になると、疎水性基の導入が不十分となり、乾式シリカ微粉末の添加効果が低下する場合があるためである。
一方、かかる疎水性基を有するカップリング剤の添加量が30重量%を超えた値になると、疎水性基の導入が多くなって、正帯電性を阻害し、所定の正帯電性が得られなくなる場合があるためである。
したがって、かかる疎水性基を有するカップリング剤の添加量を、乾式シリカ微粉末100重量%に対して、12〜27重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜25重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましいことである。
【0050】
▲3▼添加量
正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末の添加量を、トナー粒子100重量%に対して、0.3〜3重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる乾式シリカ微粉末の添加量が、0.3重量%未満の値になると、乾式シリカ微粉末の添加効果が低下する場合があるためである。
一方、かかる乾式シリカ微粉末の添加量が3重量%を超えた値になると、流動性は向上するものの、過剰添加のために外添剤の変動が大きくなり画像濃度の安定性が悪くなるとともに、カブリの発生が増大する場合があるためである。また、乾式シリカ微粉末の添加量が3重量%を超えると、保存性が良くなる反面、定着性が悪化する場合があるためである。
したがって、乾式シリカ微粉末の添加量を、トナー粒子100重量%に対して、0.4〜2重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0051】
▲4▼平均粒径
また、正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末の平均粒径を10〜100nm未満の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる乾式シリカ微粉末の平均粒径が100nm以上の値となると、感光体を損傷させるおそれが生じるためであり、また、磁性トナー粒子との分散混合が困難となる場合があるためである。
ただし、乾式シリカ微粉末の平均粒径が過度に小さくなると、例えば10nm未満の値になると、トナー粒子表面への埋没現象が進行して、流動性、環境依存性、および耐久性に優れた静電潜像現像用トナーを提供することが困難となる場合がある。
したがって、乾式シリカ微粉末の平均粒径を15〜90nmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜80nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0052】
(2)湿式シリカ微粉末
(2)−1 表面処理剤
また、湿式シリカ微粉末をへフッ素含有負帯電極性基を導入するために、フッ素含有シランカップリング剤で表面処理することを特徴とする。
また、湿式シリカ微粉末をフッ素含有シランカップリング剤で表面処理するには、例えば、下式で示される化合物及びそれらの混合物を使用することが好ましい。
CF3(CH22Si(OCH33
CF3(CF27(CH22Si(OCH33
CF3(CH22Si(CH3)(OCH32
CF3(CF23(CH22Si(OCH33
CF3(CF24(CH23Si(OCH33
CF3(CF22(CH26Si(OCH33
CF3(CF26(CH22Si(OCH33
CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OCH32
【0053】
また、表面処理剤としての第4級アンモニウム塩としては、例えば、下式(1)〜(4)のいずれかで示される第4級アンモニウム塩型シラン化合物が挙げられる。
[(R1O)3Si(CH2nNR23+- (1)
[(R1O)21Si(CH2nNR23+- (2)
[(R1O)(R12Si(CH2nNR23+- (3)
[(R13Si(CH2nNR23+- (4)
[式(1)〜(4)中のR1〜R3は、それぞれ独立であって、炭素数1〜20のアルキル基および芳香族基であり、nは繰り返し数であって、1〜10の整数であり、X-は対イオンである。]
【0054】
(2)−2 導入量
また、湿式シリカ微粉末に対するフッ素含有シランカップリング剤の添加量を、湿式シリカ微粉末100重量%に対して、10〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるフッ素含有シランカップリング剤の添加量が10重量%未満の値になると、疎水性基の導入が不十分となり、湿式シリカ微粉末の添加効果が低下する場合があるためである。
一方、かかるフッ素含有シランカップリング剤の添加量が30重量%を超えた値になると、疎水性基の導入が多くなり、正帯電極性基の添加効果が薄れ、正帯電性が阻害される場合があるためである。
したがって、かかるフッ素含有シランカップリング剤の添加量を、湿式シリカ微粉末100重量%に対して、12〜27重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜25重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましいことである。
【0055】
また、第4級アンモニウム塩の処理量(添加量)を、湿式シリカ微粉末100重量%に対して、5〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる第4級アンモニウム塩の添加量が5重量%未満の値になると、湿式シリカ微粉末の添加効果が低下する場合があるためである。
一方、かかる第4級アンモニウム塩の添加量が20重量%を超えた値になると、含フッ素負帯電極性基の効果を抑制してしまう場合があるためである。
したがって、かかる第4級アンモニウム塩の添加量を、湿式シリカ微粉末100重量%に対して、8〜18重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜15重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましいことである。
【0056】
(2)−3 合計処理量
さらに、湿式シリカ微粉末100重量%に対する、フッ素含有シランカップリング剤と、第4級アンモニウム塩との合計処理量を、20〜40重量%の範囲内の値とすることを特徴とする
この理由は、かかる表面処理剤の合計処理量が20重量%未満の値になると、高温高湿条件下での、画像濃度が低下したり、カブリが発生しやすくなる場合があるためである。
一方、かかる表面処理剤の合計処理量が40重量%を超えると、逆に高温高湿条件下や長時間駆動させた場合に、画像濃度が低下したり、カブリが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、かかる表面処理剤の合計処理量を、湿式シリカ微粉末100重量%に対して、23〜38重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜35重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましいことである。
【0057】
(2)−4 重量比
また、湿式シリカ微粉末を処理する際の、第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の重量比を0.6〜1.5の範囲内の値とすることを特徴とする
この理由は、かかる重量比が0.6未満の値になると、帯電性が低下し、それにつれて、画像濃度が低下したり、カブリが発生しやすくなる場合があるためである。
一方、かかる重量比が1.5を超えた値になると、帯電性が高くなり、耐久時の画像濃度が低下する場合があるためである。
したがって、第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の重量比を0.8〜1.2の範囲内の値とすることがより好ましく、1.0〜1.2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0058】
▲5▼処理剤の相関関係
次に、図2(A)および(B)を参照しながら、湿式シリカ微粉末を処理する際の、第4級アンモニウム塩およびフッ素含有シランカップリング剤の処理量の相関関係を具体的に説明する。
図2(A)は、横軸に、湿式シリカ微粉末100重量%に対する、第4級アンモニウム塩の処理量(重量%)を採って示してあり、縦軸に、湿式シリカ微粉末100重量%に対する、フッ素含有シランカップリング剤の処理量(重量%)を採って示してある。
そして、ABCDEFで囲まれた領域(斜線部分)が、実施例1に示す評価基準に照らして、得られる画像濃度が1.3以上であって、かつカブリを全く生じていないか、ややカブリを生じる程度の第4級アンモニウム塩およびフッ素含有シランカップリング剤の処理量を示している。
すなわち、優れた画像濃度およびカブリ耐性を得たい場合には、図2(A)に示される斜線部分の内部に位置するように、湿式シリカ微粉末を処理する際の、第4級アンモニウム塩およびフッ素含有シランカップリング剤の処理量をそれぞれ決定することが好ましいことになる。
【0059】
また、図2(B)についても、横軸に、湿式シリカ微粉末100重量%に対する、第4級アンモニウム塩の処理量(重量%)を採って示してあり、縦軸に、湿式シリカ微粉末100重量%に対する、フッ素含有シランカップリング剤の処理量(重量%)を採って示してある。
そして、ABCDで囲まれた領域(斜線部分)は、第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の重量比が0.6〜1.5の条件を満足する領域であって、得られる画像濃度の値がより向上するとともに、カブリの発生が全く生じない領域での第4級アンモニウム塩およびフッ素含有シランカップリング剤の処理量を示している。
すなわち、より優れた画像濃度およびカブリ耐性を得たい場合には、図2(B)に示される斜線部分の内部に位置するように、湿式シリカ微粉末を処理する際の、第4級アンモニウム塩およびフッ素含有シランカップリング剤の処理量をそれぞれ決定することが好ましいことが理解される。
【0060】
(2)−6 添加量
また、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩で表面処理した湿式シリカ微粉末の添加量を、トナー粒子100重量%に対して、0.2〜3重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる湿式シリカ微粉末の添加量が、0.2重量%未満の値になると、トナーとしてのチャージアップ抑制効果がなくなる場合があるためである。一方、かかる湿式シリカ微粉末の添加量が、3重量%を超えた値になると、トナーとしての帯電量が低下し、十分な画像濃度が得られないとなる場合があるためである。
したがって、かかる湿式シリカ微粉末の添加量を、トナー粒子100重量%に対して、0.3〜2重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい
【0061】
(2)−7 平均粒径
また、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩で表面処理した湿式シリカ微粉末の平均粒径を200〜500nm未満の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる湿式シリカ微粉末の平均粒径が500nm以上の値になると、均一な帯電特性を発揮したり、また、トナー粒子との分散混合が困難となったりする場合があるためである。一方、かかる湿式シリカ微粉末の平均粒径が200nm未満となると、均一な帯電特性を発揮したり、また、凝集しやすくなったりする場合があるためである。したがって、湿式シリカ微粉末の平均粒径を250〜450nmの範囲内の値とすることがより好ましく、280〜400nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0062】
(3)添加割合
また、乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末の添加割合を、重量比で、10:90〜90:10の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、乾式シリカ微粉末の添加割合が、10%未満の値となると、研磨不足となり、高温高湿時において像流れが発生し、画像欠陥となる場合があるためである。
一方、乾式シリカ微粉末の添加割合が、90%以上の値となると、トナー粒子の帯電量が適正値を超えてしまい、チャージアップを引き起こし、帯電量分布がブロードとなり、その結果、画像濃度の低下や、耐久性の悪化を招く場合があるためである。
したがって、乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末の添加割合を、重量比で、20:80〜80:20の範囲内の値とすることが好ましく、30:70〜70:30の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0063】
(4)添加量
また、上述した乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末の合計添加量を、磁性トナー粒子100重量%に対して、0.5〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる合計添加量が0.5重量%未満となると、感光体に対する研磨効果が不十分となったり、あるいは高温高湿時において像流れが発生し、画像欠陥となってしまう場合があるためである。
一方、かかる合計添加量が、5重量%以上の値となると、トナーの流動性が極端に悪化するため、画像濃度や耐久性が低下する場合がある。
したがって、乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末の合計添加量を、磁性トナー粒子100重量%に対して、0.6〜4.5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.7〜4.3重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0064】
3.画像形成装置
(1)構成
図1に、本発明のトナーが適用される画像形成装置の一例を示す。この画像形成装置1には、図上、時計回りに回転する正帯電型感光体ドラム(感光体)9の周囲に、回転方向に沿って、現像器10、転写ローラ19、クリーニングブレード13、及び帯電ユニット8が配設されている。そして、現像器10には、現像ローラ32が配設され、該現像ローラ32の表面は、前記感光体9の表面と所定間隔離間しているとともに、この現像器10に対して、トナーコンテナ31から適宜所定量のトナーが供給可能に構成されている。
【0065】
また、感光体9の上部には、感光体9の表面に画像のドットを形成するための光学伝送機構5が設けられている。この光学伝送機構5は図示しないものの、レーザ光源からのレーザ光を反射するためのポリゴンミラー2と、レーザ光を反射ミラー4を介して帯電ユニット8と現像ローラ32との間の感光体表面に画像ドットを結像するための光学系3と、から構成されている。
また、画像形成装置1の下部には、後述する該装置を制御するための制御回路71が収納される基部54が設けられており、該基部54の上側には、記録紙コンテナ55が外部から着脱可能に配置されている。この記録紙コンテナ55には、転写前の記録紙を収納するための収納庫14が設けられている。そして、押圧バネ52上に載置された記録紙は、搬送ローラ53及び15により、通路16および17を通って補助ローラ30に対面して設けられているレジストローラ18まで搬送されるように構成されている。
【0066】
また、画像形成装置1の右側には、前方扉50が、仮想線で示す50′のように開閉可能に配置され、前方扉50が、仮想線50′のごとく開閉すると、その前方扉の仮想線50′に載置される記録紙は、搬送ローラ51により通路17に搬送されるように構成されている。
そして、画像形成装置1の左側には、定着ローラ23及び24によって定着部が構成され、感光体9と転写ローラ19間を通過した記録紙は、これらの定着ローラ23、24によって定着される。また、定着後の記録紙は、搬送ローラ25、26により通路27を通って、さらにローラ28、29により転写済記録紙集積庫6に集積されるように構成されている。
さらにまた、画像記録装置1の上部には、各種情報を表示する表示部47、インストールスイッチ48及び電源スイッチ49が設けられている。
【0067】
(2)動作
このように構成された画像記録装置1は、電源スイッチ49を開閉することにより、メインモータ(図示しない)が、駆動を開始し、スタートスイッチ(図示しない)により感光体9が時計方向に回転して、光学伝送機構5が、感光体9の表面上に、画像を形成することができるように構成してある。
そして、形成された画像は、現像器10の現像ローラ32により、トナー現像され、トナー現像された画像は、転写ローラ19によって記録紙に転写される。さらにトナーが転写された記録紙は、定着ローラ23、24によって、定着固定され、ローラ25、27、28、29により集積庫6に搬送されて集積されることになる。
なお、現像ローラ32によって、現像されなかったトナーは、クリーニングブレード13により回収されることになる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。ただし、実施例に先立って、外添用シリカの製造を行ったので、それを先に説明する。
なお、言うまでもないが、以下の説明は本発明を例示するものであり、特に理由なく、以下の説明に本発明の範囲は限定されるものではない。
【0069】
[外添用シリカの製造]
外添加用シリカA〜lを以下のように製造した。次いで、製造した外添用シリカについてのブローオフ帯電量と、疎水化度をそれぞれ測定した。得られた結果を表3に示す。
なお、ブローオフ帯電量は、得られた外添用シリカ5重量部と、フェライトキャリア100重量部とを通常環境(20℃,65%RH)にて混合し、60分間摩擦帯電させた後、ブローオフ粉体帯電量測定装置(東芝ケミカル社製)を用いて測定した。
また、外添用シリカの疎水化度は、0.1gの外添用シリカを、水50mlに添加し、攪拌しながらメタノールを2ml/分の割合で水に添加し、外添用シリカが沈殿を開始する際のメタノール濃度として、測定した。
【0070】
(1)シリカAの製造
容器内で、15gのH2N(CH22NH(CH23Si(OCH33と、15gの(CH32Si(OCH32とを、30gのトルエンに溶解させて希釈溶液を作成した。次いで、容器内で、ヒュームドシリカ(アエロジル#130;日本アエロジル社製)100gを撹拌しながら、得られた希釈溶液を徐々に滴下し、さらに10分間激しく撹拌して、混合物とした。その後、混合物を150℃の高温槽で加熱し、さらに解砕を行って、シリカAを得た。
(2)シリカBの製造
容器内で、15gのH2N(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH32と、15gのCH3(CH25Si(OCH33とを、30gのトルエンに溶解させて希釈溶液を作成した。次いで、容器内で、ヒュームドシリカ(アエロジル#130;日本アエロジル社製)100gを撹拌しながら、得られた希釈溶液を徐々に滴下し、さらに10分間激しく撹拌して、混合物とした。その後、混合物を150℃の高温槽で加熱し、さらに、解砕を行って、シリカBを得た。
【0071】
(3)シリカaの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを20g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカaを得た。
【0072】
(4)シリカbの製造
容器内のトルエン100ml中に、CF3(CH22Si(OCH33を20g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカbを得た。
【0073】
(5)シリカcの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを10g及びCF3(CH22Si(OCH33を5g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカcを得た。
【0074】
(6)シリカdの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを15g及びCF3(CH22Si(OCH33を5g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカdを得た。
【0075】
(7)シリカeの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを15g及びCF3(CH22Si(OCH33を10g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカeを得た。
【0076】
(8)シリカfの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを10g及びCF3(CH22Si(OCH33を15g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカfを得た。
【0077】
(9)シリカgの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを10g及びCF3(CH22Si(OCH33を25g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカgを得た。
【0078】
(10)シリカhの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを20g及びCF3(CH22Si(OCH33を15g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカhを得た。
【0079】
(11)シリカiの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを20g及びCF3(CH22Si(OCH33を20g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカiを得た。
【0080】
(12)シリカjの製造
容器内のトルエン100ml中に、第4級アンモニウム塩型シランを20g及びCF3(CH22Si(OCH33を25g溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカjを得た。
【0081】
(13)シリカkの製造
容器内のトルエン100ml中に、H2N(CH22NH(CH23Si(OCH33を15g、CF3(CH22Si(OCH33を15g、それぞれ溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカkを得た。
【0082】
(14)シリカlの製造
容器内のトルエン100ml中に、H2N(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH32を15g、CF3(CH22Si(OCH33を15g、それぞれ溶解させた後、コロイダルシリカ(NipsilE-200;日本シリカ社製)100gをさらに浸漬させて混合溶液を作成した。
この混合溶液を十分に撹拌した後、120℃で加熱、乾燥を行い、さらにピンミルを用いて解砕して、シリカlを得た。
【0083】
[実施例1]
(1)トナー粒子の製造
以下の配合組成となるように、スチレン/アクリル樹脂と、磁性粉と、電荷制御剤と、ワックスとを、二軸押出機にて溶融混練した。これを冷却した後、粉砕および分級を行い、平均粒子径が8μmのトナー粒子を得た。
また、得られたトナー粒子の粒度分布を測定し、5〜13μmの粒子径の範囲内に、全体の80重量%以上が分布していることを確認した。
スチレン/アクリル樹脂 100重量%
磁性粉(BL−200;チタン工業(株)製) 75重量%
電荷制御剤(TP−415;保土ヶ谷化学(株)製) 4重量%
ワックス(ビスコールTS−200;三洋化成工業(株)製)4重量%
【0084】
(2)正帯電トナーの評価
得られたトナー粒子に対して、上述したシリカA(表中、シリカ1と表してある。)が0.4重量%、上述したシリカa(表中、シリカ2と表してある。)が0.4重量%となるようにそれぞれ添加し、正帯電トナー(磁性二成分現像剤)を作成した。
そして、京セラ製ページプリンタ(FS-3750)を用い、正帯電トナーの画像特性および像流れを評価した。
なお、耐刷印字パターンとしては、2%印字原稿を使用した。
【0085】
▲1▼画像特性
得られた正帯電トナーを用いて、京セラ製ページプリンタ(FS-3750)により20万枚実印字し、以下の基準から、初期画像特性、印刷後の画像特性、および高温高湿条件での画像特性の評価を行った。
すなわち、通常環境(20℃,65%RH)にて、画像評価パターンを印字して初期画像とし、画像評価パターンであるソリッド画像濃度を、マクベス反射濃度計を用いて測定した。
また、通常環境(20℃,65%RH)にて、20万枚印刷後の画像特性を同様に測定して、評価した。
さらに、高温高湿条件(33℃,85%RH)にて、画像評価パターンを印字し、画像特性を同様に測定して、評価した。
◎:画像濃度が、1.35以上の値である。
○:画像濃度が、1.3以上1.35未満の値である。
△:画像濃度が、1.2以上1.3未満の値である。
×:画像濃度が、1.2未満の値である。
【0086】
▲2▼カブリ性
得られた正帯電トナーを用いて、画像特性の評価と同様に、京セラ製ページプリンタ(FS-3750)により20万枚実印字し、以下の基準から、初期カブリ性、印刷後のカブリ性、および高温高湿条件でのカブリ性(地肌カブリ)の評価を行った。
○:カブリを全く生じていない。
△:ややカブリを生じている。
×:顕著なカブリを生じている。
【0087】
[ 実施例2、4〜7、参考例1、2 ]
実施例1と同様のトナー粒子を用意し、そのトナー粒子に対して、表1に示すように、上述したシリカAおよびBと、シリカe〜iとを組み合わせるとともに、処理量や重量比を変えて添加し、正帯電トナー(磁性二成分現像剤)を作成して、評価した。
得られた結果をそれぞれ表1に示す。
結果から明らかなように、第4級アンモニウム塩型シランと、含フッ素シランカップリング剤の両方で処理するとともに、その合計処理量を20〜40重量%の範囲とし、かつ、第4級アンモニウム塩型シラン/フッ素含有シランカップリング剤の重量比を0.6〜1.5とすることにとより、低印字率の印刷を実施した場合であっても、良好な画像濃度やカブリ耐性を長期間にわたって得ることができる。
【0088】
[比較例1〜6]
実施例1と同様のトナー粒子を用意し、そのトナー粒子に対して、表1に示すように、上述したシリカAおよびBを単独で添加するか、あるいはシリカa、b、k、lと組み合わせて添加し、正帯電トナー(磁性二成分現像剤)を作成して、評価した。
得られた結果をそれぞれ表1に示す。
その結果、比較例1および比較例2では、特定の湿式シリカ微粉末を併用していないために、帯電特性を長期間安定させることが困難であって、また、高温高湿条件において使用することが困難であることが確認された。
また、比較例3〜5では、湿式シリカ微粉末が、フッ素含有シランカップリング剤で表面処理されていないか、あるいは第4級アンモニウム塩による表面処理が施こされていないために、帯電特性を長期間安定させることが困難であるか、あるいは、高温高湿条件において使用することが困難であることが確認された。
【0089】
[ 参考例3〜7 ]
実施例1と同様のトナー粒子を用意し、そのトナー粒子に対して、表1に示すように、上述したシリカAおよびBと、シリカc、d、jとを組み合わせるとともに、処理量や重量比を変えて添加し、正帯電トナー(磁性二成分現像剤)を作成して、評価した。
得られた結果をそれぞれ表2に示す。
【0090】
結果から理解されるように、参考例3では、第4級アンモニウム塩とフッ素含有シランカップリング剤の合計処理量が、シリカ微粉末に対して、15重量%とかなり少ない湿式シリカ微粉末(シリカc)を用いたためと思われるが、高温高湿条件下での画像濃度が低く、高温高湿条件下、カブリも発生することが確認された。
また、参考例4および6では、第4級アンモニウム塩とフッ素含有シランカップリング剤の合計量が、シリカ微粉末に対して、20重量%と比較的少ない湿式シリカ微粉末(シリカd)を用いたためと思われるが、高温高湿条件下での画像濃度がいまだ低く、しかも高温高湿条件下でのカブリも観察された。
また、参考例5および7では、第4級アンモニウム塩とフッ素含有シランカップリング剤の合計処理量が、シリカ微粉末に対して、45重量%と比較的多い湿式シリカ微粉末(シリカj)を用いたためと思われるが、高温高湿条件下での画像濃度が若干低く、カブリも少々発生することが確認された。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
*合計添加量は、第4級アンモニウム塩(シラン)の添加量と、フッ素含有シランカップリング剤の添加量との合計量を意味する。
*重量比は、添加量における第4級アンモニウム塩(シラン)/フッ素含有シランカップリング剤の重量比率を意味する。
【0094】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、特定の表面処理を行った乾式シリカ微粉末と、湿式シリカ微粉末とを併用してトナー粒子の外添剤として使用することにより、低印字率の印刷を実施した場合であっても、良好な画像濃度やカブリ耐性を長期間にわたって得られる正帯電トナーが提供できるようになった。
特に、本発明の正帯電トナーにおいて、第4級アンモニウム塩と、含フッ素シランカップリング剤の合計処理量を20〜40重量%の範囲とし、かつ、第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の重量比を0.6〜1.5とすることにより、低印字率の印刷を実施した場合であっても、良好な画像濃度やカブリ耐性を長期間にわたって確実に得ることができるようになった。
【0095】
さらに、本発明の正帯電トナーの製造方法によれば、低印字率の印刷を実施した場合であっても、良好な画像濃度やカブリ耐性を長期間にわたって得られる正帯電トナーを効率的に提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のトナーが適用される画像形成装置の断面図である。
【図2】 湿式シリカ微粉末に対する第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の処理量の相関関係を示す図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 ポリゴンミラー
5 光学電送機構
7 上部扉
9 感光体
10 現像器
31 トナーコンテナ
32 現像ローラ
33 供給ローラ
39 トナーセンサ
47 表示部

Claims (6)

  1. 外添剤として、乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末を含有してなる正帯電トナーにおいて、
    前記乾式シリカ微粉末が、正帯電極性基および疎水性基を有し、
    前記湿式シリカ微粉末が、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩により表面処理してあり、
    前記湿式シリカ微粉末100重量%に対する前記フッ素含有シランカップリング剤と、第4級アンモニウム塩との合計処理量を、20〜40重量%の範囲内の値とすることを特徴とする正帯電トナー。
  2. 外添剤として、乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末を含有してなる正帯電トナーにおいて、
    前記乾式シリカ微粉末が、正帯電極性基および疎水性基を有し、
    前記湿式シリカ微粉末が、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩により表面処理してあり、
    前記湿式シリカ微粉末の表面処理に使用される第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の重量比を0.6〜1.5の範囲内の値とすることを特徴とする正帯電トナー。
  3. 前記乾式シリカ微粉末における正帯電極性基が、アミノシランカップリング剤に由来していることを特徴とする請求項1または2に記載の正帯電トナー。
  4. 前記乾式シリカ微粉末における疎水性基が、アルキルシランカップリング剤に由来していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の正帯電トナー。
  5. 乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末を外添する正帯電トナーの製造方法において、
    前記乾式シリカ微粉末として、正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末を添加する工程と、
    前記湿式シリカ微粉末として、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩により表面処理した湿式シリカ微粉末であって、前記湿式シリカ微粉末100重量%に対する前記フッ素含有シランカップリング剤と、第4級アンモニウム塩との合計処理量を、20〜40重量%の範囲内の値とした湿式シリカ微粉末を添加する工程と、
    を含むことを特徴とする正帯電トナーの製造方法。
  6. 乾式シリカ微粉末および湿式シリカ微粉末を外添する正帯電トナーの製造方法において、
    前記乾式シリカ微粉末として、正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末を添加する工程と、
    前記湿式シリカ微粉末として、フッ素含有シランカップリング剤及び第4級アンモニウム塩により表面処理した湿式シリカ微粉末であって、前記湿式シリカ微粉末の表面処理に使用される第4級アンモニウム塩/フッ素含有シランカップリング剤の重量比を0.6〜1.5の範囲内の値とした湿式シリカ微粉末を添加する工程と、
    を含むことを特徴とする正帯電トナーの製造方法。
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