JP4084580B2 - 表面欠陥検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、表面欠陥検査装置に関し、詳しくは、磁気ディスクあるいはそのガラス基板(ガラスサブストレート)等の面板の表面欠陥検査装置において、面板表面の凹部欠陥あるいは凸部欠陥の大きさを精度よく検出することができ、さらには面板表面の凹凸欠陥の大きさと深さあるいは大きさと高さの検出が精度よく検出できるような表面欠陥検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータシステムの記録媒体に使用されるハード磁気ディスクは、素材としての基板ディスク(サブストレート)、または磁気膜が塗布された磁気ディスク(便宜上これらを総称して磁気ディスクまたは単にディスクという)の段階で、表面に存在する欠陥とその大きさとがそれぞれ検査される。
近年、ディスクの大きさは、3.3インチか、これ以下のものが主流となり、その記録密度もGMRヘッドの採用により飛躍的に伸びている。この種のディスクでは、アルミサブストレートから、より熱膨張率の小さなガラスディスクが使用され、その厚さも、0.6mm〜0.8mm程度と薄いものである。
【0003】
従来の表面欠陥検査装置は、通常、ディスクをレーザビームで螺旋走査して、欠陥検出を行うが、凹部欠陥(例えば、皿状欠陥や、ピット欠陥、スクラッチ欠陥など)と凸部欠陥(例えば、バンプ, 異物等の微粒子による欠陥,ステイン欠陥など)のサイズを良好に検出するためには、投光系のレーザビームの投射角度や、受光系の受光角度、受光器(APD)に印加する電圧をそれぞれに設定することが必要である。従来の表面欠陥検査装置は、さらに受光信号を受けて欠陥を検出する信号処理回路に内蔵されたアンプのゲイン、ノイズ除去用の閾値電圧、レーザ光源のレーザ出力など、検出感度に関係する要素についてコントロールパネルを介してそれぞれ最適に設定する必要がある。なお、感度調整は、大きさが既知の皿状欠陥や、ピット欠陥、スクラッチ欠陥など、サンプルとしての欠陥を持つ実際のディスクあるいは特定の高さの突起を持つ実際のディスクをサンプルとして使用することで行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、最近では、表面欠陥検査装置に対して凹凸の形状測定や分類する精度の向上が要求されているが、感度較正用のディスクを使用しての欠陥検査では、十分精度の高い分類ができなくなってきている。
この種の問題を解決するものとして出願人は、特願平11−358769号「欠陥検出光学系および表面欠陥検査装置」を出願済みである。
この出願の発明は、受光器をAPD多素子からなる配列センサを設け、さらにこれの手前に千鳥状の縞パターンを素子対応に設けて凹凸に応じたピーク信号を隣接受光素子の受光量の差から得て凹凸欠陥を検出するものである。
しかし、これは、千鳥の縞パターンが必要であり、隣接素子同士の差を検出する回路が多数必要になる問題がある。
この発明の目的は、前記のような従来技術の問題点を解決するものであって、面板表面の凹部欠陥あるいは凸部欠陥の大きさを精度よく検出することができる表面欠陥検査装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するためのこの発明の表面欠陥検査装置の特徴は、面板の表面を光ビームにより走査し、光ビームによる表面からの反射光を受光器により受光してその受光信号に基づいて欠陥を検出する表面欠陥検査装置において、
主走査方向に対して直角な方向に幅のある光ビームを面板の表面に照射して面板を相対的に走査する投光系と、一方向に配列されたn個(ただしnは2以上の整数)の受光素子を有する受光器と、n個の受光素子により形成される受光領域の配列方向での中央をピークとして配列方向の両側に向かって受光量が実質的に対称的に漸次減少する特性で面板の走査位置の映像を受光領域に結像させる光学系と、n個の受光素子のすくなくとも1つが受光領域の中央を基準として実質的に対称となる位置にそれぞれ配置されていて、この対称の位置にあるそれぞれの受光素子から受光信号を得てそのうちの一方の受光信号のレベルと他方の受光信号のレベルとの差を欠陥検出信号として欠陥を検出する欠陥検出装置とを備えていて、
主走査方向の走査に応じて受光器が凹部欠陥あるいは凸部欠陥から反射光を受けたときに結像が配列方向に移動して戻ることにより欠陥検出信号が凹部欠陥あるいは凸部欠陥の前後の側面傾斜部に対応して所定距離離れた2つのピーク信号として発生し、
面板はディスクであり、受光領域の受光量の特性は、受光素子の配列方向に沿った長楕円形の結像により得られるものであり、
受光器を第1として、さらにこの第1の受光器と同様にm個(ただしmは2以上の整数)の受光素子が配列されてm個の受光信号を発生する第2の受光器が設けられ、第1の受光器に対する長楕円形の結像は、その長径がディスクの円周に沿った方向に対応し、第2の受光器に対する長楕円形の結像は、その長径がディスクの半径方向に対応しているものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
前記の構成のように、この発明にあっては、n個の受光素子により形成される受光領域の配列方向での中央をピークとしてその両側に向かって受光量が実質的に対称的に漸次減少する特性で面板の走査位置の映像を受光領域に結像するようにしているので、面板の表面に欠陥がなければ受光素子の配列の中央を基準としてこれの両側の実質的に対称の位置にある受光素子の受光信号のレベルは、実質的に等しく、大きな差は生じない。しかし、面板表面の走査位置に凹部欠陥あるいは凸部欠陥があると、凹部欠陥あるいは凸部欠陥の側面傾斜部からの反射光により受光領域の結像が受光素子の配列方向においてその中央からいずれか一方にシフトする。これにより対称の位置にある受光素子の受光信号のレベルの差が大きくなるので、この差が所定値以上あることをもって欠陥を検出するものである。なお、所定値は、ノイズ等を排除するための値である。
【0007】
以上の場合、nが2で2個の受光素子とする場合には、受光素子配列方向の対称位置に1個の受光素子がそれぞれ配置されることになる。
対称位置に配置される受光素子が複数の場合には、中央を基準として対称位置の一方の複数の受光素子の受光信号のレベルの合計値(例えば受光素子の配列が垂直方向にあれば上下の一方の合計値、受光素子の配列が水平方向にあれば左右の一方の合計値)と他方の複数の受光素子の受光信号のレベルの合計値(上下あるいは左右の他方の合計値)の差を採ることになる。面板の表面に欠陥がなければ合計値の差は、実質的にゼロか、これに近い値となる。
一方、凹部欠陥あるいは凸部欠陥があるときには、前記したように、受光素子の受光面に形成される結像が配列方向において中央からいずれかの方向にシフトするので、対称の位置にある複数の受光素子の片側づつの合計値において、上下あるいは左右の一方の片側の合計値と、上下あるいは左右の他方の片側の合計値の差を採ると、その差は、所定値以上の正あるいは負の値となる。これにより、一方と他方の合計値の差を欠陥検出信号とすることができ、凹部欠陥あるいは凸部欠陥を合計値の差で検出することができる。
【0008】
ここで、対称位置にある受光素子の受光レベルの差により発生する欠陥検出信号は、通常、凹部欠陥および凸部欠陥ともにそれぞれ正と負の2つのピークを発生する。このことから、これらのピーク間の距離により欠陥の大きさを検出することができる。
なお、凹部欠陥あるいは凸部欠陥が2つのピークを発生する理由は、いずれの欠陥もR,θの走査方向において側面傾斜部が通常前後一対あるからである。
この欠陥検出信号の正のピークと負のピークの発生した走査位置(座標位置)を検出すれば、これらの間の距離が得られ、これと走査位置との関係から欠陥の大きさに応じた面積が容易に算出できる。
さらに、この発明は、検出された多数の欠陥について欠陥検出座標位置とピーク間の距離との関係から検出した欠陥の連続性を容易に判定できる。この判定をすれば、凹部欠陥や凸部欠陥のうち多少変形した状態の欠陥についても面積を容易に算出できる。さらに、この発明は、正、負の2つのピーク値の絶対値の平均値を採ることで、凹部欠陥の深さあるいは凸部欠陥の高さを精度よく検出することができる。
その結果、この発明は、面板表面の凹凸欠陥の大きさを精度よく検出することができ、さらには、面板表面の凹凸欠陥の大きさと深さあるいは大きさと高さの検出が精度よく検出することもでき、欠陥の分類が容易な表面欠陥検査装置を実現することができる。
【0009】
【実施例】
図1において、50は、その検出光学系である。51は、検出光学系50の投光系であり、投光系51は、レーザ光源511よりのレーザビームLTをコリメータレンズ512で受け、図面において紙面に垂直なR方向にレーザビームを拡大することで、焦点位置を手前にずらせる。ここで拡大されたビームは、波長板513、シリンドリカルレンズ514、ピンホール515、フォーカスシングレンズ(対物レンズ)516を経て、R方向のビームウエストにオフセットΔd(図3(a)参照)だけ焦点位置を後ろにずらせてディスク1の表面に集束されて長楕円形にビームスポットSpとして拡大される(図3(c)参照)。
図1において、図面の紙面に平行なθ方向では、シリンドリカルレンズ514を経た光ビームLTは、フォーカスシングレンズ516を経てディスク1の表面の検査点Sに点状に集束される(図3(c)の◆点参照)。その投射角は、図3(c)に示すように、θ方向ではディスク1上の法線に対して約30゜である。そして、光ビームLTは、紙面に垂直な方向(R方向)では、一定の幅W(例えば、約100μm〜約150μm)の光となる。この幅Wが結像面でのR方向に対応するn個の受光素子の配列範囲に実質的に対応する長さになっている。
なお、ここでは、主走査方向をθ方向とし、副走査方向をR方向として、ディスク1が光ビームLTにより、螺旋走査されるものとする。
【0010】
受光系52は、対物レンズ521を有していて、このレンズによりディスク1の検査点Sからの正反射光を受光して、それを平行光にしてビームスプリッタ524を経てシリンドリカルレンズ(結像レンズ)522へと導く。シリンドリカルレンズ522は、R方向に対応するAPDアレーセンサ523の受光面に検査点Sの映像を長楕円形で結像させる(図4(a)参照)。
APDアレーセンサ523は、図4(a)に示すように、長楕円形の結像においてディスク1のR方向(長楕円の長径)に沿って受光素子がn個(例えば、23個)配列されたものであって、このn個の受光素子により受光領域が形成されている。
前記した幅W(約100μm〜約150μm)が受光素子の配列長約11.5mmの範囲に対応していて、APDアレーセンサ523には、図4(a)の状態でビームスポットSpが結像する。このとき、各受光素子の配列方向の各受光素子の幅としては、例えば、受光素子上で0.5mmであり、ディスク1の表面上では、それは5μm程度である。
また、APDアレーセンサ523は、受光素子配列方向に直角な方向の幅が0.87mmであって、ディスク1の表面上では、それは9μm程度である。
【0011】
以上がR方向に対応する反射光の受光系であるが、これとは別に、この実施例ではθ方向に対応する反射光の受光系が設けられている。
すなわち、対物レンズ521と結像レンズ522との間には、光軸に対して45°の角度でビームスプリッタ524が設けられている。ビームスプリッタ524は、検査点Sからの正反射光の一部を光軸に対して90°の方向に反射する。この反射光は、シリンドリカルレンズ(結像レンズ)525、平凸レンズ526で経てθ方向に延びた長楕円形の映像となり、この映像がシリンドリカルレンズ525による結像位置に配置されたAPDアレーセンサ527の受光面に検査点Sの映像として長楕円形に結像される。APDアレーセンサ527は、図4(b)に示すように、長楕円形の結像においてディスク1のθ方向(長楕円の長径)に沿って受光素子がR方向と同様にn個(例えば、23個)配列されたものであって、このn個の受光素子により受光領域が形成されている。
各受光素子の形状は、R方向の受光素子と同様なものであって、これら受光素子に対する長楕円形の結像は、図4(a)とは縦横が逆転している。すなわち、図4(a)で横側のθ方向の受光素子の0.87mmの幅に対応する方向の受光範囲が縦の配列長約11.5mmの幅で受光される範囲まで拡大されている。図4(a)で縦方向の配列長約11.5mm対応する方向の受光範囲が横方向の約0.87mmの幅において受光される範囲まで圧縮されている。その結果、全体の結像形状は、検査点Sの映像が図4(a)と同様な長楕円形になる。
そして、これらAPDアレーセンサ523の各受光素子の受光信号とAPDアレーセンサ527の各受光素子の受光信号とは、それぞれ欠陥検出装置40に入力される。
【0012】
図3は、紙面に平行な方向(θ方向)と紙面に垂直な方向(R方向)の受光系の展開説明図であって、上側にR方向を、下側にθ方向を示す。
投光系では、レーザ光源511よりのレーザビームLTがR方向ではフォーカスシングレンズ516を経てフォーカスシングレンズ516によりディスク1の表面からオフセットΔdだけ後ろの位置を焦点として検査点Sに長楕円形に幅Wをもって集束される(図3(c)の検査点SとビープスポットSP参照)。この検査点Sからの正反射光は、図3(a)に示すように、対物レンズ521、ビームスプリッタ524(図示せず)、シリンドリカルレンズ522を経てAPDアレーセンサ523の各受光素子523a,523b,523c,〜,523nで受光される。これにより、これら受光素子の配列方向に沿って検査点Sの映像が結像される(図4(a)参照)。
【0013】
一方、θ方向では、実質的なオフセットはなく、レーザ光源511よりのレーザビームLTが検査点Sにスポット(図3(c)の◆点参照)として集束される(図3(c)の検査点S参照)。この検査点Sからの正反射光は、対物レンズ521、ビームスプリッタ524(図示せず)、シリンドリカルレンズ525、平凸レンズ526を経てAPDアレーセンサ527の受光面に至る。これによりθ方向に延びた長楕円形の映像を生成し、この映像がAPDアレーセンサ527の各受光素子527a,527b,527c,〜,527nの配列方向に沿って検査点S映像として結像する(図4(b)参照)。
なお、図3(a),(b)において、Fは、凹部欠陥である。
【0014】
図3(a)のR方向の場合には、長楕円の結像により中央から外れるに従って受光量が漸次対称に低下するガウス近似の分布をし、反射光は、欠陥の底面では、aとbとが合わさって受光素子の中央部の受光位置がピークとなる。このガウス近似の分布の受光のピーク点は、欠陥Fを走査したときに欠陥の側面傾斜部からの反射光をAPDアレーセンサ523が受けることで図面上ではp点から上下に移動する。
図3(b)のθ方向の場合も同様であって、ガウス近似の分布の受光のピーク点は、欠陥Fが走査されたときにcの状態から上下に移動し、例えばdの状態へと移る。このθ方向の場合も長楕円の結像により受光素子の中央部の受光位置がピークとなり、中央から外れるに従って受光量が対称に低下するガウス近似の分布をするので、このガウス近似の分布の受光のピーク点は、欠陥Fが走査されたときに、欠陥の側面傾斜部からの反射光をAPDアレーセンサ527が受けることで図面上では上下に移動する。
ここでは、R方向、θ方向ともに、検査点Sの映像を長楕円形にしている。そして、図5(a)は、説明上、図3(a),(b)の各受光素子の配列方向を上下から左右に変えて示してある。
【0015】
この図5(a)を参照して、各受光素子の受光状態と受光信号との関係を説明すると、黒色でマスクとして示すように、R方向、θ方向ともに23個の受光素子のうち、第1番目、第2番目、第11番目〜第13番目、第22番目、第23番目の受光素子がマスクされていて、これらの受光信号が除外される。したがって、これらの受光素子は存在していなくてもよい。この実施例では、第3番目から第10番目までと第14番目から第21番目までの受光素子を利用する。そして、第3番目から第10番目の受光素子の受光信号のレベルを加算した左加算値Lと、第14番目から第21番目の受光素子の受光信号のレベルを加算した右加算値Rとがそれぞれ算出される。
なお、このようなマスク処理をする検出は、実際に受光素子の検出信号を破棄することで行われる。このマスク処理は、θ方向あるいはR方向だけであってもよく、後述する例は、R方向では検査点Sの映像をそのまま23個の受光素子に投影してこのマスク処理をしていない。これにより各受光素子対応に欠陥検出をしてR方向の欠陥検出の分解能を向上させている。
【0016】
さて、左加算値L−右加算値Rを算出してこれら2つの加算値の差値S(=L−R)を得ると、それは、図5(a)の左側の複数の受光素子3〜受光素子10までの合計の受光量と右側の複数の受光素子14〜受光素子21までの合計の受光量の差となる。すなわち、左加算値Lと右加算値Rとは、受光素子の配列の中央を基準としてこれの両側の実質的に対称の位置にある複数の受光素子の受光信号のレベルの片側づつの合計値になっている。ここでは、これら合計値の差S(=L−R)が欠陥検出信号となる。
ここで、欠陥がない平坦面と欠陥Fの底面での長楕円のR方向とθ方向の各受光素子の受光量は、図5(b)の実線Aの受光特性カーブで示すように、それぞれガウス分布あるいはガウス近似の実質的に左右対称な分布となる。実線Aにおいては、対称な両側の傾斜形状は左右ほぼ等しい。そこで、欠陥が存在しないときの傾斜部分のレベルの合計値の差、すなわち、左加算値L−右加算値Rの差は、実質的にゼロか、小さい値を採る。
【0017】
一方、受光のピーク点が左側にシフトすれば、左加算値L−右加算値Rは、ピークのシフトした量に応じてその値が大きくなる、正の値を採る。これは、例えば、図5(b)の点線で示す受光特性カーブB1において、第3番目から第10番目までの受光素子の受光信号のレベルを加算した合計値Lと、第14番目から第21番目までの受光素子の受光信号のレベルを加算した合計値Rとの差になるからである。逆に、受光量のピーク点が右側にシフトすれば、左加算値L−右加算値Rの差値S(=L−R)は、シフト量に応じた負の値を採る。これは、例えば、図5(b)の一点鎖線で示す受光特性カーブB2において、第3番目から第10番目までの受光素子の信号のレベルを加算した値と、第14番目から第21番目までの受光素子の信号のレベルを加算した値との差となるからである。
すなわち、前記の各受光特性カーブの傾斜部分の差を採ることでピーク部分の左右のシフト量を検出することができる。欠陥Fにおいては、図3(a)、(b)に示す受光状態から理解できるように、シフトは、凹部欠陥あるいは凸部欠陥の側面傾斜部がレーザビームLTにより走査されたときに発生する。そして、R方向、θ方向ともに、そのシフト量は、欠陥Fの深さあるいは高さに対応している。
【0018】
これを図3との関係において、具体的に説明する。まず、図5(a)の第1番目の受光素子が図3(a)の上側の受光素子523aに対応し、第23番目の受光素子が下側の受光素子523nに対応しているとする。図3(b)の場合も同様とする。
通常、受光信号の中心部のピークは、各受光素子523a,523b,523c,〜,523nの配列の中央部の受光素子にあって、凹部欠陥Fの立ち下がりの側面傾斜部が走査されてそこにレーザビームLTが照射されると、受光信号の中心部のピークは、この中央部の受光素子から右側(図3(a)では下側)の受光素子に移動する。その後凹部欠陥の底面が走査されて、受光信号の中心部のピークは、中央部の受光素子に戻る。その後、凹部欠陥の立ち上がりの側面傾斜部が走査されてそこにレーザビームLTが照射されると、左側(図3(a)では上側)の受光素子に移動する。その後、レーザビームLTが凹部欠陥Fの走査から外れて、受光信号の中心部のピークは中央部の受光素子に戻る。
このときの欠陥検出信号Dをアナログ信号として示すと、R方向,θ方向ともに図6(a)のように、負のピークが先になる欠陥検出信号になる。
逆に、凸部欠陥のときには、前記の場合と逆になり、凸部欠陥の立ち上がりの側面傾斜部が走査されて、受光信号の中心部のピークは、各受光素子527a,527b,527c,〜,527nの配列の中央部の受光素子から左側(図3(b)では上側)の受光素子に移動し、その後中央部の受光素子に戻る。その後、立ち下がりの側面傾斜部が走査されて右側(図3(b)では下側)の受光素子に移動して、その後中央部の受光素子に戻る。この場合の欠陥検出信号Dは、R方向,θ方向ともに図6(b)のような、正のピークが先になる欠陥検出信号が得られる。
【0019】
このようなことから、図6(a)、(b)において、欠陥検出信号Dのピーク間の距離Lは、それぞれ欠陥の大きさ(幅)となる。また、図6(a)において、欠陥検出信号Dのピーク値は、凹部欠陥の深さに対応し、図6(b)において、欠陥検出信号Dのピーク値は、凸部欠陥の高さに対応している。
このように、凹部欠陥あるいは凸部欠陥には、側面傾斜部が一対存在していて、これら側面傾斜部は、垂直線を基準として傾きが実質的に対称の関係にあるので、欠陥が走査されたときには左右の方向において受光のピークは、逆方向にシフトして中央に戻る2回のシフトを生じる。このとき、このシフトに応じて欠陥信号として正と負の2つのピークが発生する。しかも、凹部欠陥と凸部欠陥とは、側面傾斜部が逆方向の傾斜になっているのでシフトする方向の順序が左右逆転する。
その結果、欠陥信号の2つのピークは、凹部欠陥と凸部欠陥とでは、それぞれ正側が先になるか、負が先になるかのいずれか一方であって相互に相違がある。そして、最初のピークと次のピークとの間隔が欠陥の大きさを与える。
そこで、これを欠陥検出装置40のデータ処理装置410により検出する。データ処理装置410は、R方向の各受光素子523a,523b,523c,〜,523nの各受光信号と、θ方向の各受光素子527a,527b,527c,〜,527nの各受光信号とをこれらの受光素子からA/D変換回路を介してデジタル値として得て所定の演算処理をして前記の差値S=L−Rを算出する。これにより欠陥検出信号Dを得て、この差値Sの正,負のピークをそれぞれ検出して、そのレベル値、正と負のピークの間隔L、正ピークが先か、負ピークが先かを判定する。このことにより、凹部欠陥か、凸部欠陥かの欠陥の種別を決定し、さらに欠陥の高さあるいは深さの程度を差値Sの大きさにより判定をする。以下、このような決定および判定と欠陥検出処理をする欠陥検出装置40について図2に従って説明する。
【0020】
なお、前記したように、投光系51は、R方向については、ディスク表面上の焦点に対してΔdのオフセットを持たせている。そこで、データ処理装置410は、欠陥のレンズ効果を利用して差値Sを算出することで凹凸欠陥を検出することができる。しかし、この凹凸欠陥の検出は、θ方向もできるので、ここでは、投光系51は、R方向については、オフセットΔdの値を変更して、レンズ効果を低減する。そして、図3(c)のビームスポットSpで形成されるR方向W幅の検査領域の映像をそのままR方向のn個の受光素子523a〜523nに投影して受光させる。これによりR方向の受光系は、1素子対応で各素子の分解能において欠陥を検出することができる。次に説明する欠陥検出装置40は、このような条件で欠陥の検出をしている。
このようにすれば、データ処理装置410は、R方向において各素子単位の解像度で微小な欠陥を検出できる。θ方向の検出感度よりも高い感度で欠陥の検出が可能になる。しかし、この場合、R方向の検出では凹部欠陥か、凸部欠陥かの区分けができない。そこで、凹凸欠陥の区分けができるθ方向の検出結果と合わせる。これにより、その凹凸欠陥の判別ができる上に欠陥検出の解像度も高くすることができる。
【0021】
さて、図2において、APDアレーセンサ523の各受光素子523a、523b、…523nの23個の受光信号は、23チャネルの配線を通してそれぞれに対応する23個のプリアンプ401a、401b、…401nで増幅され、各受光信号が23個のバンドバスフィルタ(BPF)402a、402b、…402nを介して23個のA/D変換回路(A/D)403a、403b、…403nに加えられる。ここでそれぞれの受光信号のレベルがデジタル値に変換される。デジタル値に変換された23個の各受光信号のレベルは、欠陥メモリ404の対応するアドレス位置にそれぞれ入力される。各A/D403a、403b、…403nと欠陥メモリ404には、サンプリングクロック発生回路408からクロックCLKが供給されている。そこで、このクロックCLKに応じて受光信号のレベルがデジタル値に変換され、このクロックCLKに応じて各受光信号のレベルがデータとして欠陥メモリ404に記憶される。
同様に、APDアレーセンサ527の各受光素子527a、527b、…527nの23個の受光信号は、23チャネルの配線を通してそれぞれに対応する23個のプリアンプ405a、405b、…405n、23個のバンドバスフィルタ(BPF)406a、406b、…406n、23個のA/D変換回路407a、407b、…407nを経て欠陥メモリ404の対応するアドレス位置に入力される。そこで、APDアレーセンサ527の23個の各受光素子から得られる受光信号のレベルがデータとして欠陥メモリ404に記憶される。
【0022】
また、欠陥メモリ404には、R−θ座標位置発生回路409から現在の走査位置が座標位置データとして入力されている。この座標位置データは、そのときのビームスポットSPのRとθの二次元示される走査座標位置POS(欠陥検出位置)として各受光信号のレベルを示すデータとともに欠陥メモリ404に記憶される。
ここで、R−θ座標位置発生回路409は、欠陥が検出されたときの位置信号を発生する回路であって、座標位置データは、R−θ座標位置発生回路409がθエンコーダ409aからθ方向の回転量を示す角度パルスと、Rエンコーダ409bからR方向の移動量を示すパルスとを受けて生成される。
欠陥メモリ404のデータは、トラック2周分のデータ記憶容量をもっていて、1周分が記憶された時点で他の1周分の記憶領域に切換が行われるとともに、記憶されたトラック1周分のデータがインタフェース414を介してデータ処理装置410側に転送される。次のトラック1周分のデータは、残りの1周分の領域に続いて記憶される。トラック1周分のデータが転送されると、その領域のデータは消去され、次のトラック1周分の記憶に備える。このようにしてトラック1周分のデータが交互に記憶されて、データ処理装置410に順次転送される。
【0023】
以下、そのデータ処理装置410の処理について説明する。
データ処理装置410は、MPU411とメモリ412、CRTディスプレイ413、インタフェース414等により構成され、これらがバス415により相互に接続されている。
メモリ412には、欠陥検出プログラム412aと、欠陥距離算出・凹凸判定プログラム412b、連続性判定プログラム412c、欠陥面積算出プログラム412d、欠陥大きさ分類プログラム412e、高さ/深さ分類プログラム412f、そして螺旋走査プログラム412g等が格納され、作業領域412hが設けられている。また、インタフェース414を介して接続されたHDD(ハードディスク装置)等の外部記憶装置416には分類のための各種のデータファイルが格納されている。
なお、417は、データ処理装置410に接続されたプリンタ(PRT)である。
【0024】
欠陥検出プログラム412aは、MPU411により実行されて、MPU411は、インタフェース414を介してトラック1周分のデータを受けてメモリ412の作業領域412hに記憶する。そして、作業領域に記憶されたトラック1周分のデータのうちR方向の検出データについては、各受光素子対応に所定値以上のものを欠陥として検出する処理が行われる。ここで検出された欠陥は、このときの走査座標位置POSとともに外部記憶装置416にR方向の欠陥検出データとして記憶される。
作業領域に記憶されたトラック1周分のデータのうちθ方向については、第3番目から第10番目までの受光素子の信号のレベルを加算した合計値Lと、第14番目から第21番目までの受光素子の信号のレベルを加算した合計値値Rとを算出する。さらに差値S(図6のアナログの欠陥検出信号に相当)をそれぞれ算出して、差値Sが所定値P以上にあるときに、欠陥と判定して差値Sの極性(正か、負か)と差値Sにおけるピーク値(図6参照)とを得て、その極性、ピーク値、そしてこのピーク値が得られた走査座標位置POS(検出座標位置)とを外部記憶装置416にθ方向の欠陥検出データとして記憶する。なお、前記の所定値Pは、ノイズと欠陥とを区分けするレベル値である。
次に、MPU411は、全トラック分のこれらデータを外部記憶装置416に記憶したか否かを判定して、全トラック分の処理が終了後に、欠陥距離算出・凹凸判定プログラム412bをコールしてMPU411に実行させる。
【0025】
欠陥距離算出・凹凸判定プログラム412bは、MPU411により実行されて、MPU411は、外部記憶装置416に記憶されたθ方向の欠陥検出データのうち各ピーク値の欠陥データを読出して、それぞれについて、隣接する2つの正と負のピーク値のデータの検出座標POSから距離を算出する。そして、その距離Lが基準値Q以内か否かの判定をして基準値Q以内のときには、図6に対応する欠陥信号として、1つの欠陥についてのピーク値のペアと決定する。これらピーク値をペアデータとして記憶することでペア化する。さらに、MPU411は、算出した距離Lと欠陥が検出された座標位置POSとからその中心座標Cを算出する。そして、ペアデータに対応して算出した距離L(欠陥の長さに対応)とその中心座標値Cとを順次欠陥データとしてメモリ412(あるいは外部記憶装置416)に記憶する処理をする。MPU411は、θ方向の欠陥検出データすべてについて隣接するピーク値に対して同様な処理を行う。
なお、次のピークの位置が基準値Qを超えているときには、MPU411は、ペアとして扱わずに、そのピークを1つの欠陥データとして長さゼロでその座標値を中心座標として単にメモリ412(あるいは外部記憶装置416)に記憶する処理をする。
次に、MPU411は、ペアとなった2つのピーク値についてその正負の順序から凹部欠陥か、凸部欠陥かの判定をする(図6参照)。この判定結果に応じてデータの欠陥の種別(凹部か、凸部かの別)を示すフラグをペアのピーク値に対応してメモリ412(あるいは外部記憶装置416)に記憶する処理をする。
すべてのデータのペア化と凹凸判定を行った後に、MPU411は、連続性判定処理プログラム412cをコールする。
【0026】
連続性判定処理プログラム412cは、MPU411により実行されて、MPU411は、θ方向の欠陥データすべてについて算出された距離Lに基づいて欠陥の連続性判定処理をする。これは、θ方向のある欠陥データ(連続性判定をする元となる欠陥)について、凹部欠陥と凸部欠陥それぞれについて中心座標Cと長さ(距離L)とを読出して、螺旋走査におけるトラック1周について主走査のR方向の幅(受光素子1つの検出幅×23=5μm×23=115μm)に従って実質的に115μm幅でR方向にずれた座標位置にある同種の欠陥データを検索する処理となる。
そして、MPU411は、連続性判定をする元となる欠陥に対して、検索された欠陥データのうち、欠陥データの検出座標位置が元となる欠陥のθ方向の距離Lの範囲でθ方向の検出座標位置が重なるか否かの判定を行う。これによりR方向において前記主走査のR方向の幅で隣接する欠陥データとの間で欠陥の連続性の判定をする。なお、実際に検出座標位置が重なる範囲は、正確には距離L+9μmとする。前記したように9μmは、受光素子のθ方向の検出幅である。検出座標位置が距離L+9μmの範囲にある欠陥を、元の欠陥に対して連続する欠陥として判定する。この連続する欠陥を元の欠陥とグルーピングして1つの欠陥データとしてディスクの最内周あるいは最外周から順次検出された欠陥順に番号を付して記憶する。なお、このとき凹部欠陥と凸部欠陥との関係での連続性が存在しないものは連続性の判定から除外される。
【0027】
次に、MPU411は、同様にR方向の欠陥データすべてについて連続性判定処理をする。これは、θ方向で検出された凹部欠陥と凸部欠陥のそれぞれについてその中心座標Cと長さ(距離L)とから、これに対応するR方向の欠陥を中心としてR方向の受光素子1つの検出幅(この実施例ではR方向に5μm程度,θ方向に9μm程度)との関係によりR方向に5μm幅,θ方向に9μm幅でR方向,θ方向にずれた位置で欠陥検出座標があるか否かの判定をする処理をする。これにより、R方向の23受光素子の欠陥検出データについても隣接する欠陥データとの間で欠陥の連続性の判定が行われる。そして、凹部欠陥は凹部欠陥で、凸部欠陥は凸部欠陥で連続するものをグルーピングして1つの欠陥データとしてディスクの最内周あるいは最外周から順次検出された欠陥順に番号を付してメモリ412(あるいは外部記憶装置416)に記憶する。
MPU411は、最後にθ方向のグループとR方向のグループとで欠陥の座標が重なる領域のそれぞれの欠陥をさらに1つのグループとして1つの欠陥とする。θ方向のグループのうち、R方向で1つの欠陥としてグループ化されていないものは、θ方向のグループの連続性から除外する。
これにより改めて欠陥順に番号を付してメモリ412(あるいは外部記憶装置416)に記憶する。欠陥の面積の大きさに応じてR方向に配列した受光素子の検出された欠陥がθ方向の受光素子でも検出されるので、これにより、R−θの検出座標が同じになるものの重複検出を排除し、かつ、検出精度を高める。この処理の後にMPU411は、欠陥面積算出プログラム412dをコールする。
【0028】
欠陥面積算出プログラム412dは、MPU411により実行されて、MPU411は、面積算出処理として、グルーピングされた1つの欠陥についてその面積を算出する。なお、1つのピークしかない検出信号の欠陥は、面積を5μmとして孤立欠陥として長さL×5μmにより面積を算出する。そして、MPU411は、欠陥大きさ分類プログラム412eをコールする。
欠陥大きさ分類プログラム412eは、MPU411により実行されて、MPU411は、前記のようにして算出された面積について大きさ分類判定処理として、分類基準に従って、特大、大、中、小、極小の5段階に分類して欠陥番号に対応させて分類結果を記憶する。その後に、MPU411は、高さ/深さ分類プログラム412fをコールする。
【0029】
高さ/深さ分類プログラム412fは、MPU411により実行されて、MPU411は、欠陥番号順にメモリ412に記憶された1つにグループ化された欠陥データの多数の正、負のピーク値についてそれらの絶対値の平均値を算出する。また、グループ化されない2つのピークを持つ欠陥については正、負のピーク値についてそれらの絶対値の平均値を算出する。そして、MPU411は、これらの算出値の大きさに応じて大、中、小に分類して欠陥番号に対応してメモリ412に記憶する。なお、1つのピークしかない欠陥は平均値を採らない。グループ化されて検出されたほとんどの欠陥データは、1つの凹部欠陥、凸部欠陥について3つか、それ以上の多数のピーク値を持つので、各欠陥は、平均値により深さ、高さを算出することができる。これにより検出精度は向上する。
【0030】
図7は、以上の前記した各プログラムによるθ方向の欠陥の検出処理を中心とするフローチャートである。
まず、螺旋走査プログラム412gをMPU411が実行して、螺旋走査を開始して(ステップ101)、1トラック分のデータを採取し(ステップ102)、図5(a)に示す左右の複数の受光素子からの受光信号の合計値としてそれぞれの合計値Lと合計値Rを算出して、欠陥検出信号として差値SをS=L−Rにより算出する(ステップ103)。さらに、ピーク値と極性を検出して(ステップ104)、これらの検出データをピークに対応する検出座標位置とともに記憶する(ステップ105)。そして、全トラックの走査が終了しているか否かを判定して(ステップ106)、終了していないときにはステップ102へと戻り、走査終了しているときには、欠陥検出信号としてペアとなるピークの検出をする(ステップ107)。
次に、ペアピーク間の距離Lを算出し、さらに中心座標Cを算出する(ステップ108)。これらデータが算出された時点でそのデータを記憶しておき、凹凸欠陥の判定を2つのピークの極性(正,負の順)から判定し(ステップ109)、距離Lと中心座標Cから欠陥の連続性を判定して欠陥のグルーピングをする。さらに、前記したようにR方向の欠陥データすべてについても他の欠陥データとの間の連続性を判定してグルーピングする。これにより1つの欠陥を検出する(ステップ110)。
そして、グルーピングされた1つの欠陥の面積を算出する(ステップ111)。算出された欠陥の面積から欠陥の大きさを分類して(ステップ112)、次に、ピーク値から欠陥の高さ/深さを分類する(ステップ113)。最後に、これらの検出欠陥をディスプレイ413あるいはプリンタ417に出力する(ステップ114)。
【0031】
以上説明してきたが、前記したように、図5で示したマスクした受光素子は、本来存在していなくてもよい。しかし、ここでの実施例は、これら受光素子を設けている。それは、全受光素子の光レベルをデータ処理装置410で加算してトータル受光レベルを算出するためである。これにより、より大きな欠陥について検出することができる。また、誤検出の判定もトータル受光レベルの算出値で可能となる。
この発明において本来必要な受光素子は、受光特性の傾斜部分の受光信号が得られるものだけでよい。それは、好ましくは、受光素子の配列の中央を基準としてその両側で対称となる位置に2個づつ、合計で4個かそれ以上は必要になる。そして、受光素子を所定間隔で配列してかつ基準となる中央部と左右の両端に1個づつ受光素子を配置すると、受光素子の数は最低7個必要になる。
しかし、この発明は、必ずしも対称位置に複数個の受光素子を設けて、それらの受光信号のレベルを合計する必要はない。両側で対称となる位置に1個ずつ受光素子が配置されているだけでもよい。したがって、最低で合計2個の受光素子が配列の中央を基準として対称に配置されればよい。
【0032】
実施例は、R方向とθ方向において、それぞれ受光素子をn個配列して欠陥検出の処理を行っているが、受光素子の配列数は、R方向とθ方向とで相違していてもよく、その受光信号は、R方向とθ方向のいずれか一方の配列から得るだけであってもよい。
また、実施例は、ディスクの検査面に照射する照射光としてレーザビームの例を挙げているが、レーザビームを用いる場合には、特に、レーザビームは、S偏光を用いるとよい。しかし、この発明は、レーザビームに限定されるものではなく、照射光としては白色光であってもよいことはもちろんである。
さらに、実施例は、ディスクの表面欠陥検査装置を中心に説明しているが、この発明は、ディスクに限定されるものではなく、LCD基板,フォトマスク、半導体ウエハ等の検査にも適用できることはもちろんである。さらに、実施例では、ディスクの走査としてRθの螺旋走査で説明しているが、走査は、XYの二次元走査であってもよいことはもちろんであり、螺旋走査に限定されるものではない。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、この発明にあっては、n個の受光素子により形成される受光領域の配列方向での中央をピークとしてその両側に向かって受光量が実質的に対称的に漸次減少する特性で面板の走査位置の映像を受光領域に結像するようにしているので、面板の表面に欠陥がなければ受光素子の配列の中央を基準としてこれの両側の実質的に対称の位置にある受光素子の受光信号のレベルは、実質的に等しく、大きな差は生じないが、面板表面の走査位置に凹部欠陥あるいは凸部欠陥があると、凹部欠陥あるいは凸部欠陥の側面傾斜部からの反射光により受光領域の結像が受光素子の配列方向においてその中央からいずれか一方にシフトする。これにより対称の位置にある受光素子の受光信号のレベルの差が大きくなるので、この差が所定値以上あることをもって欠陥を検出する。
その結果、面板表面の凹凸欠陥の大きさを精度よく検出することができ、さらには、面板表面の凹凸欠陥の大きさと深さあるいは大きさと高さの検出が精度よく検出することもでき、欠陥の分類が容易な表面欠陥検査装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明を適用した表面欠陥検査装置の一実施例の検出光学系の説明図である。
【図2】図2は、この発明を適用した表面欠陥検査装置の一実施例の欠陥検出処理部分のブロック図である。
【図3】図3は、検出光学系におけるディスクの円周方向に沿う方向(θ方向)とディスクの半径方向に沿う方向(R方向)の受光系の展開説明図である。
【図4】図4は、検査領域の受光面での結像映像とAPDアレーセンサの関係との説明図である。
【図5】図5は、APDアレーセンサのn個の受光素子の反射光の受光状態とその受光信号の説明図である。
【図6】図6は、凹部欠陥の正反射光の発生とその検出波形と凸部欠陥の正反射光の発生とその検出波形の説明図である。
【図7】図7は、図1の表面欠陥検査装置の欠陥検出と種別判定処理のフローチャトである。
【符号の説明】
1…ディスク、21…スピンドル、22…モータ、
50…検出光学系、
31,51…投光系、311,511…レーザ光源、
512…コリメータレンズ、
514…シリンドリカルレンズ、
516…フォーカスシングレンズ、
521…対物レンズ、522…結像レンズ、
523…APDアレーセンサ、
52…受光系、40…欠陥検出装置、
401a,401b,401n、405a,405b,405n…プリアンプ、
403a,403b,403n、407a,407b,407n…A/D変換回路(A/D)、
404…欠陥メモリ、408…サンプリングクロック発生回路、
409…R−θ座標位置生成回路409、
410…データ処理装置、411…MPU、
417…プリンタ(PRT)、412…メモリ、
412a…欠陥検出プログラム、
412b…欠陥距離算出・凹凸判定プログラム、
412c…連続性判定プログラム、
412d…欠陥面積算出プログラム、
412e…欠陥大きさ分類プログラム、
412f…高さ/深さ分類プログラム、
413…CRTディスプレイ、
414…インタフェース、415…バス、
416…外部記憶装置、
SP…ビームスポット。
Claims (6)
- 面板の表面を光ビームにより走査し、前記光ビームによる前記表面からの反射光を受光器により受光してその受光信号に基づいて欠陥を検出する表面欠陥検査装置において、
主走査方向に対して直角な方向に幅のある前記光ビームを前記面板の表面に照射して前記面板を相対的に走査する投光系と、一方向に配列されたn個(ただしnは2以上の整数)の受光素子を有する前記受光器と、前記n個の受光素子により形成される受光領域の配列方向での中央をピークとして配列方向の両側に向かって受光量が実質的に対称的に漸次減少する特性で前記面板の走査位置の映像を前記受光領域に結像させる光学系と、前記n個の受光素子のすくなくとも1つが前記受光領域の中央を基準として実質的に対称となる位置にそれぞれ配置されていて、この対称の位置にあるそれぞれの受光素子から受光信号を得てそのうちの一方の前記受光信号のレベルと他方の前記受光信号のレベルとの差を欠陥検出信号として前記欠陥を検出する欠陥検出装置とを備え、
前記主走査方向の走査に応じて前記受光器が凹部欠陥あるいは凸部欠陥から前記反射光を受けたときに前記結像が前記配列方向に移動して戻ることにより前記欠陥検出信号が前記凹部欠陥あるいは前記凸部欠陥の前後の側面傾斜部に対応して所定距離離れた2つのピーク信号として発生し、
前記面板はディスクであり、前記受光領域の受光量の特性は、前記受光素子の配列方向に沿った長楕円形の結像により得られるものであり、
前記受光器を第1として、さらにこの第1の受光器と同様にm個(ただしmは2以上の整数)の受光素子が配列されてm個の受光信号を発生する第2の受光器が設けられ、前記第1の受光器に対する前記長楕円形の結像は、その長径が前記ディスクの円周に沿った方向に対応し、前記第2の受光器に対する前記長楕円形の結像は、その長径が前記ディスクの半径方向に対応している表面欠陥検査装置。 - 前記欠陥検出装置は、さらに前記m個の前記受光素子からの前記受光信号をそれぞれ受けてこれら信号を基づいて前記m個の前記受光素子に対応してそれぞれに欠陥を検出する請求項1記載の表面欠陥検査装置。
- 前記2つのピーク信号は、正のピークと負のピークとして発生し、さらに前記n個の受光信号をそれぞれ増幅するn個のアンプと、これらn個のアンプにより増幅された信号をそれぞれ受けてそれぞれをA/D変換するA/D変換回路とを有し、前記欠陥検出装置は、前記A/D変換回路でA/D変換されたn個のデータを受けるデータ処理装置を有し、このデータ処理装置により前記対称の位置にある一方の合計値と前記他方の合計値の差が算出されてこの差に基づいて前記欠陥検出信号の前記正のピークと前記負のピークとが検出される請求項2記載の表面欠陥検査装置。
- さらに前記データ処理装置は、前記走査位置の中間位置と前記走査位置間の距離とを算出して前記連続性を判定して連続するものについてグルーピングして1個の欠陥を決定する請求項3記載の表面欠陥検査装置。
- さらに前記データ処理装置は、前記グルーピングされた1個の欠陥についてその面積を算出し、この面積に基づいて欠陥の大きさを判定する請求項4記載の表面欠陥検査装置。
- 前記2つのピーク信号は、正のピークと負のピークとして発生し、前記n+m個の受光信号をそれぞれ増幅するn+m個のアンプと、これらn+m個のアンプにより増幅された信号をそれぞれ受けてそれぞれをA/D変換するA/D変換回路と、このA/D変換回路でA/D変換されたn+m個のデータを受けるデータ処理装置とを有し、このデータ処理装置により前記対称の位置にある一方の合計値と前記他方の合計値の差が算出されてこの差に基づいて前記欠陥検出信号の前記正のピークと前記負のピークとが検出される請求項1記載の表面欠陥検査装置。
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