JP3631069B2 - ディスク表面欠陥検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク表面上の欠陥を光学的に検出して欠陥種類の判別を行うディスク表面欠陥検査装置に関し、特にディスク表面上に形成されたピット欠陥あるいはバンプ欠陥とごみ欠陥の識別精度を向上したディスク表面欠陥検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報の記録媒体あるいは半導体ウェハなどのディスク状の部材では、ガラスやNi−Pアルミニウムあるいはシリコンなどの素材が使用されている。これらの素材の表面に欠陥があるときは製品の性質が劣化するので、ディスク表面欠陥検査装置により検査を行っている。ディスク表面欠陥検査装置は、ディスク表面に発生した欠陥を検出するものである。ディスク表面に発生する欠陥には多様な種類があり、例えば、ディスク表面に付着したごみ欠陥(例えば、塵埃(パーティクル)やしみ(ステイン)等の大きな異物)や、ディスク表面上に形成された微少な凹部(ピット欠陥)や凸部(バンプ欠陥)等の欠陥がある。
これらの各種欠陥を検出する効果的な検出方法として、従来のディスク表面欠陥検査装置はディスク表面上にレーザー光を照射して、前記各欠陥の形状、大きさ等に対してそれぞれ異なって検出される光学的性質、すなわち、前記レーザー光の正反射光や散乱光を受光して欠陥を検出する方法を用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来から知られているディスク表面欠陥検査装置では、ピット欠陥とバンプ欠陥の形状の違いから引き起こされるレーザー光の正反射光の軸ズレによる光量の増減を正反射光受光素子により捉えて、ピット欠陥とバンプ欠陥の識別を行っていた。例えば、ピット欠陥では正反射光の光量が「増−減−増」と変化して正反射光受光素子に受光される。一方、バンプ欠陥では正反射光の光量が「減−増−減」と変化して正反射光受光素子に受光される。この光量の増減の違いにより、ピット欠陥とバンプ欠陥の識別を行っている。しかし、大きな異物(すなわち、ごみ欠陥)がディスク表面上に存在するときはレーザー光の正反射光は広い範囲で減光して正反射光受光素子に受光される。そのため、ディスク表面上の当該ごみ欠陥の存在する範囲内に重要度の高い欠陥であるピット欠陥が含まれていたとしても、当該ピット欠陥を正反射光を受光するための正反射光受光素子で検出してピット欠陥であると識別することはできなかった。そこで、この点を解決するために(すなわち、ピット欠陥とごみ欠陥とを正確に識別するために)、正反射光を受光するための正反射光受光素子とは別に散乱光受光素子を設け、ごみ欠陥による散乱光を受光してピット欠陥とごみ欠陥との識別を行う方法が考えられる。しかし、このように欠陥種類別に異なる受光素子を別々に設けると、当該ディスク表面欠陥検査装置が大型化してしまい、またそれに伴って製造コストが高くなる、という問題点がある。
また、ピット欠陥やバンプ欠陥の形状や大きさ等によっては、正反射光受光素子から得られる正反射光の光量の増減変化が非常に小さい場合があり、そのような光量変化が明確に現れない場合にはピット欠陥とバンプ欠陥の識別ができなくなることから、ディスク表面欠陥検査装置として非常に不都合である、という問題点があった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、正反射光受光素子から得られる光量変化の増減パターンを認識することによって、同一の正反射光受光素子を用いてピット欠陥やバンプ欠陥と異物(すなわち、ごみ欠陥)との識別を正確に行うことができるようにしたディスク表面欠陥検査装置を提供しようとするものである。
また、正反射光受光素子の受光感度を向上して欠陥による微小な光量の変化を捉えることができるようにすることによって、ピット欠陥とバンプ欠陥の識別精度を向上したディスク表面欠陥検査装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るディスク表面欠陥検査装置は、光ビームをディスク表面に対して斜め方向から照射して該表面を走査する投光手段と、該表面からの正反射光のみを所定の範囲で集光する集光手段と、前記集光手段で集光された正反射光を十文字形状のスリットを介して受光する複数の受光面を具え、前記複数受光面が受光する光量の変化に伴って各受光面毎に夫々欠陥信号を発生することのできる正反射光受光手段と、前記正反射光受光手段から得られた複数の欠陥信号の組み合わせに応じてディスク表面上の欠陥を識別する制御手段とを具えたものである。
【0006】
本発明によれば、前記投光手段から照射されたレーザー光の正反射光の光量変化を前記正反射光受光手段の複数受光面で捉え、これに伴って生じた欠陥信号の組み合わせに応じて光量の増減を生じた原因となる欠陥を特定することができるようになっている。前記投光手段からディスク表面上に照射されたレーザー光の正反射光は、ディスク表面上に存在する欠陥によって増光あるいは減光する。そこで、この光量の変化を前記正反射光受光手段の複数受光面で各々捉える。各受光面における光量の増減は欠陥によりパターン化することができることから、レーザー光の正反射光の光量変化を前記正反射光受光手段の複数受光面で捉えることに伴って生じた欠陥信号の組み合わせ(パターン)から欠陥の判別を行うことができる構成となっている。このように、正反射光受光手段の複数受光面で捉えた光量の増減パターンにより欠陥の判別を行うことができるようにしたので、正反射光受光手段のみで複数種類の欠陥の判別を行うことができる。すなわち、同一の正反射光受光手段で複数種類の欠陥の判別を行うことができることから、当該ディスク表面欠陥検査装置に欠陥種類別に異なった受光手段を設ける必要がない。したがって、当該ディスク表面欠陥検査装置を小型化することができ、しかも場合によっては製造コストを低く押さえることができるようになる、という優れた効果を奏する。
【0007】
また、複数受光面で光量の増減を捉えるようにしたことから、光量変化の小さな欠陥であっても、各受光面から得られた欠陥信号を適宜差分することで欠陥の判別を行うだけの光量変化を得ることができるようになる、という優れた効果を奏する。
更に、本発明は、光ビームをディスク表面に対して斜め方向から照射して該表面を走査するステップと、該表面からの正反射光のみを所定の範囲で集光し、集光した正反射光を十文字形状のスリットを介して複数の受光面で受光するステップと、前記複数受光面が受光する光量の変化に伴って各受光面毎に夫々欠陥信号を発生するステップと、前記各受光面毎に夫々発生された欠陥信号の組み合わせに応じてディスク表面上の欠陥を識別するステップとを具えたディスク表面欠陥検査方法を提供しようとするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明に係るディスク表面欠陥検査装置の全体構成の一実施例を示す概略図である。
当該ディスク表面欠陥検査装置は投光系と受光系とにより構成される光学系OPを具えてなり、これらの投光系と受光系とがディスクK表面上に形成されたピット欠陥やバンプ欠陥あるいはごみ欠陥を検出するように、ディスクKに対して所定の仰角を有するようにして所定位置に各々配置される。投光系(本実施例においては投光素子LDのみを示す)はディスクK表面上にレーザースポットLSを形成するようにレーザー光を投光し、ディスクK表面上を螺旋状に走査する(これをスパイラル走査と呼ぶ)。例えば、ディスクK自体をX方向に回転すると同時に投光素子LDから発せられるレーザー光がY方向に徐々に移動するように光学系OP全体を移動することによって、スパイラル走査は行われる。勿論、ディスクKをX方向に回転しながら、かつ、ディスクK側をY方向に移動することによってスパイラル走査を行うようにしてもよい。
【0010】
スパイラル走査を行っている際に、当該ディスクK表面上に欠陥(ピット欠陥やバンプ欠陥あるいはごみ欠陥)があるときは前記レーザースポットLSの正反射光が増光あるいは減光するので、その光量の増減を受光系により受光して欠陥データ信号を得る。すなわち、当該ディスクK表面上に欠陥が存在するときは、投光素子LDからディスクK表面上にレーザースポットLSを形成するように投光されたレーザー光が収束(ピット欠陥の場合)あるいは散乱(バンプ欠陥の場合)するので、レーザー光の正反射光は減光あるいは増光する。ディスクKの表面欠陥を検出するための受光系は、ディスクK表面から所定の仰角に配置された集光レンズE及び光フィルタFと、集光レンズEにより集光された光を検知するための正反射光受光素子Raとにより構成される。正反射光受光素子Ra、集光レンズE及び光フィルタFは投光素子LDから照射されるレーザー光と同軸上に(つまり、同一の光軸上に)、ディスクK表面上のレーザスポットLSを指向するようにして所定の位置に配置される。一般的には、レーザー光の正反射光を最も効率的に得ることのできる位置に集光レンズEは配置される。また、光フィルタFは正反射光のみを透過するものであり、これにより正反射光受光素子Raは正反射光のみを効率的に得ることができる。
なお、正反射光受光素子Ra、集光レンズE及び光フィルタFは図示したもののみに限られるものではなく、より効率よく目的とする光(すなわち、正反射光)を受光するために、図示した以外にも光フィルタFや集光レンズE等の素子をいくつか組み合わせて上記ディスク表面欠陥検査装置の所定位置に設置するようにしてもよい。
【0011】
また、ディスクK表面上に形成するレーザースポットLSの形状はどのような形状であってもよいが、ディスクKの半径方向に長手となる楕円形状であることが好ましい。すなわち、ディスクK表面上の微小な欠陥を検知するためには、レーザースポットLSを小さくすればよいが、そうすると、スパイラル走査をする回数が増えてしまい、ディスクK表面全体を走査するのに非常に時間がかかってしまうことになる。そこで、レーザースポットLSの形状を楕円形状にすることにより、ディスクK表面をスパイラル走査する回数が少なくて済むようにしてディスクKの表面検査を短時間で終了することができるようにする。
なお、本発明に係るディスク表面検査装置は上述した構成に限られない。例えば、光学系OPとは異なる別の光学系を具えていてもよく、当該別の光学系によってディスクK表面上の他の欠陥(例えば、スクラッチ欠陥やグライド欠陥等)を検出するようにしてもよい。
【0012】
集光レンズEで集光されたレーザー光の正反射光は、正反射光受光素子Raの受光面に入射して光の検出が行われる。すなわち、集光レンズEによりレーザー光の正反射光を集光することで、正反射光受光素子Raは効率良く光の検出を行うことができる。図2は、本発明に係るディスク表面欠陥検査装置で用いられる正反射光受光素子Raの一実施例を示す概略図であり、正反射光受光素子Raの受光面側を正面にして図示した概略図である。
当該ディスク表面欠陥検査装置に用いられる受光素子は、欠陥種類に関わらず同一の正反射光受光素子を用いるのがよい。すなわち、同一の正反射光受光素子により複数の欠陥を判別できるように構成する。そこで、本実施例では同一の正反射光受光素子Raにより、ピッチ欠陥、バンプ欠陥、あるいはごみ欠陥の判別を行うことができるように、複数の受光面を具えた正反射光受光素子Raを使用する。例えば、正反射光受光素子Raは4つの受光面R1〜R4を具えるセンサ(例えば、4Dセンサ)により構成され、各受光面R1〜R4はスリットZを透過した正反射光を各々受光する。また、図示したように、本実施例においては正反射光受光素子Raの受光面R1〜R4の全ての面にかかる所定位置に十文字型のスリットZを配置するようにしたが、このようなスリットZを配置しなくてもよい。しかし、スリットZを配置したほうが正反射光受光素子Raの受光感度が上がり効率よく正反射光を受光することができるようになることから、スリットZを設けた方が好ましい。また、前記スリットZにおいて、縦方向のスリットと横方向のスリットの幅を異なるように構成し、縦方向の受光面R1及びR3と横方向の受光面R2及びR4とで受光感度が異なるように構成してもよい。こうすることにより、欠陥の中で重要度の高い欠陥の識別性を向上することができるようになる、という利点がある。例えば、上述の例では、縦方向のスリットの幅を横方向のスリットの幅よりも狭くすることにより、ピット欠陥の識別性を向上することができる。
【0013】
上述した正反射光受光素子Raでは光を検出すると、それに対応したデータ信号をデータ処理装置Dへ送信する。すなわち、正反射光受光素子Raの各受光面R1〜R4は各々データ処理装置Dと所定の信号線S(あるいは信号回路)等で結ばれており、受光素子Raの各受光面R1〜R4に受光された光は信号線S(あるいは信号回路)等を介してデータ信号に変換されて、データ処理装置Dに入力される。データ処理装置Dでは、当該データ信号を基にして受光パターンの判別を行って、可能な限り欠陥の種類の判別を詳細に行っている。すなわち、各受光面R1〜R4から得られたデータ信号を各々演算することによって各受光面R1〜R4において受光した光量の増減変化を算出し、その算出結果を基に欠陥の判別を行っている。この欠陥の判別は、光量の増減変化のあった受光面R1〜R4の組み合わせによって行われる。例えば、受光面R1と受光面R3のどちらか一方(あるいは両方とも)に光量の増減変化があれば、欠陥をピット欠陥と判別する。受光面R2と受光面R4のどちらか一方(あるいは両方とも)に光量の増減変化があれば、欠陥をバンプ欠陥と判別する。また、受光面R1と受光面R3のどちらか一方(あるいは両方とも)の光量の増減変化、受光面R2と受光面R4のどちらか一方(あるいは両方とも)の光量の増減変化がある場合には、その光量変化の割合によりピット欠陥かバンプ欠陥かの判別を行う。さらに、各受光面R1〜R4の全てで光量の増減変化があった場合には、欠陥を異物(ごみ欠陥)と判別する。このように、各受光面R1〜R4の光量増減パターンを認識して、欠陥の判別を行う。
【0014】
例えば、ピット欠陥がディスク表面上にある場合、正反射光は減光して受光面R1(又はR3)に受光される。バンプ欠陥がディスク表面上にある場合、正反射光は増光して受光面R2(又はR4)に受光される。異物(ごみ欠陥)がディスク表面上にある場合、正反射光は減光して受光面R1〜R4の全てに受光される。このように、正反射光受光素子Raの各受光面R1〜R4で正反射光を受光し、当該受光による所定の信号に基づいて欠陥の存在によるレーザー光の軸ずれ等による正反射光の光量の増減を算出して、パターン認識処理を行うことによって欠陥の判別がなされる。
【0015】
ここで、具体的に受光パターン別の欠陥の判別について簡単に説明する。図3A〜図3Dは、正反射光受光手段Raによる正反射光の受光パターンを示した概念図である。図3A〜図3Dにおいて、黒く塗りつぶした楕円形が正反射光を受光している部分を示している。
図3Aは、受光面R1〜R4に平均的に正反射光を受光した受光パターンである。当該受光パターン状態における光量が、各受光面R1〜R4における欠陥による光量の増減変化を求める際の基準となる光量である。すなわち、ディスクK表面上に欠陥が存在しない状態での正反射光受光手段Raによる受光パターンである。ただし、このような受光パターンであっても、各受光面R1〜R4における光量が全体的に減光している場合は、ディスクK表面上に異物(ごみ欠陥)があると判別される。図3Bは、受光面R1が増光し、その他の受光面R2〜R4が減光している受光パターンである。すなわち、図3Aと比較して上方に受光パターンが移動している。この場合には、ディスクK表面上にピット欠陥があると判別される。図3Cは、受光面R4が増光し、その他の受光面R1〜R3が減光している受光パターンである。すなわち、図3Aと比較して右側方に受光パターンが移動している。この場合には、ディスクK表面上にバンプ欠陥があると判別される。図3Dは、受光面R1及びR4が増光し、その他の受光面R2及びR3が減光している受光パターンである。すなわち、図3Aと比較して右斜め上方に受光パターンが移動している。この場合、受光面R1と受光面R4(又は受光面R2と受光面R3)との光量変化を比較して、受光面R1(又は受光面R3)の方が受光面R4(又は受光面R2)と比較して光量の増減が大きかった場合、ディスクK表面上にピット欠陥があると判別される。反対に、受光面R4(又は受光面R2)の方が受光面R1(又は受光面R3)と比較して光量の増減が大きかった場合、ディスクK表面上にバンプ欠陥があると判別される。
【0016】
このように、そもそもの受光位置は各受光面R1〜R4に対して中立位置であり(図3A参照)、欠陥による正反射光の軸ズレによって当該中立位置から受光位置が変化することに伴う各受光面R1〜R4の光量の増減変化により、欠陥の判別を行う。すなわち、投光素子LDの正反射光を受光するように正反射光受光素子Raは配置され、正反射光受光素子Raを複眼(すなわち、複数の受光面を有する)として、これにより得られた受光信号の受光パターンにより欠陥の判別を行うことができる。したがって、同一の正反射光受光素子Raでピット欠陥、バンプ欠陥、ごみ欠陥の識別が可能となる。
【0017】
また、正反射光受光素子Raの受光面R1〜R4を複数構成することによって、ディスク表面K上の微小な欠陥の判別を行うことができるようになる。すなわち、各受光面R1〜R4から得られた信号を差分することによって、微弱な光量の増減変化を捉えることができる。つまり、受光感度を上げることができるようになる。例えば、図2に示したような複数の受光面R1〜R4を具える正反射光受光素子Raでは、受光面R1が増光すれば受光面R3が減光するし、受光面R4が増光すれば受光面R2が減光するといったように、受光面R1と受光面R3、受光面R4と受光面R2とは光量変化において相対的な関係にある。そこで、これらの相対的な関係にある各受光面R1〜R4における光量の増減変化を差分することにより、より大きな光量の増減変化を得ることができる。こうして、差分することによって得られた光量の増減変化に従って欠陥の識別を行うことにより、微小な欠陥であっても識別することができるようになる。
【0018】
さらに、この場合における受光パターンによる欠陥の判別処理は、差分した結果によって行ってもよい。すなわち、受光面R1と受光面R3の差分の結果が増光であり、受光面R4と受光面R2の差分の結果が減光である場合には、欠陥はピット欠陥と判別される。受光面R1と受光面R3の差分の結果が減光であり、受光面R4と受光面R2の差分の結果が増光である場合には、欠陥はバンプ欠陥と判別される。受光面R1と受光面R3の差分の結果が増光であり、受光面R4と受光面R2の差分の結果が増光である場合には、光量変化を比較する。受光面R1と受光面R3の差分の結果の方が受光面R4と受光面R2の差分の結果と比較して光量の増減が大きかった場合、ディスクK表面上にピット欠陥があると判別される。反対に、受光面R4と受光面R2の差分の結果の方が受光面R1と受光面R3の差分の結果と比較して光量の増減が大きかった場合、ディスクK表面上にバンプ欠陥があると判別される。
このように、各受光面R1〜R4の光量の増減変化を差分することによって受光感度を向上することができるので、欠陥の識別性を向上することができるようになる。
【0019】
図4は本発明に係るディスク表面欠陥検査装置で用いられる受光素子Raの別の一実施例を示す概略図であり、1個1個が各々独立した受光素子Ra1〜Ra4を4個まとめて1個の正反射光受光素子Raとして構成したものである。ただし、本実施例では、各々が独立した4個の受光素子R1〜R4を十文字型に並べて配置したものを示した。
このような正反射光受光素子Raによっても、上述の図2に示した正反射光受光素子Raと同様の効果が得られる。すなわち、受光素子Ra1〜Ra4から得られた受光信号の受光パターンにより欠陥の判別を行うことができる。また、各受光素子Ra1〜Ra4の光量の増減変化を差分することによって受光感度を向上することができるので、欠陥の識別性を向上することができる。
なお、スリットZ1〜Z4を配置しなくてもよいが、配置する場合にはスリットZ1〜Z4をどのような向きに配置してもよい。すなわち、図4Aに示すように各受光素子Ra1〜Ra4に対して縦方向あるいは横方向にスリットZ1〜Z4を組み合わせて配置してもよいし、図4Bに示すように各受光素子Ra1〜Ra4に対して全て横方向(又は図示していないが縦方向)にスリットZ1〜Z4を配置してもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ディスク表面上に欠陥が存在することにより生ずる正反射光の光量の増減変化を検出するために、複数受光面を具えた正反射光受光手段を適切に配置して、各受光面から得られた信号パターンに応じて欠陥の識別を行うことにより、欠陥を正確に識別して検出することができる。また、光量変化が小さい場合であっても欠陥の識別を行うことができる。
このように、同一の受光素子により複数の欠陥の識別を行うことができるように構成したことから、当該ディスク表面欠陥検査装置を小型化することができ、場合によっては当該装置の製造コストを低くすることができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディスク表面欠陥検査装置の一実施例を示す概念図である。
【図2】図1に示す正反射光受光素子を正面から拡大して示した正面概念図である。
【図3A】図2に示す正反射光受光素子における欠陥が存在しない場合の受光パターン例を示す概念図である。
【図3B】図2に示す正反射光受光素子におけるピット欠陥が存在する場合の受光パターン例を示す概念図である。
【図3C】図2に示す正反射光受光素子におけるバンプ欠陥が存在する場合の受光パターン例を示す概念図である。
【図3D】図2に示す正反射光受光素子におけるピット欠陥又はバンプ欠陥のどちらか一方が存在する場合の受光パターン例を示す概念図である。
【図4A】図1に示す正反射光受光素子の他の実施例を示した正面概念図である。
【図4B】図1に示す正反射光受光素子のさらに他の実施例を示した正面概念図である。
【符号の説明】
LD…投光素子、Ra(Ra1〜Ra4)…正反射光受光素子、R1〜R4…受光面、K…ディスク、E…集光レンズ、F…光フィルタ、Z(Z1〜Z4)…スリット、LS…レーザースポット、S…信号線、D…データ処理装置

Claims (5)

  1. 光ビームをディスク表面に対して斜め方向から照射して該表面を走査する投光手段と、
    該表面からの正反射光のみを所定の範囲で集光する集光手段と、
    前記集光手段で集光された正反射光を十文字形状のスリットを介して受光する複数の受光面を具え、前記複数受光面が受光する光量の変化に伴って各受光面毎に夫々欠陥信号を発生することのできる正反射光受光手段と、
    前記正反射光受光手段から得られた複数の欠陥信号の組み合わせに応じてディスク表面上の欠陥を識別する制御手段と
    を具えたディスク表面欠陥検査装置。
  2. 前記制御手段は、前記各受光面から得られた欠陥信号を適宜差分することによって、光量変化の少ない欠陥であっても光量変化を捉えることができるように受光感度を向上したことを特徴とする請求項1に記載のディスク表面欠陥検査装置。
  3. 前記正反射光受光手段は、独立した受光素子を複数個組み合わせることによって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク表面欠陥検査装置。
  4. 前記十文字形状のスリットは縦スリットと横スリットの幅が異なって形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスク表面欠陥検査装置。
  5. 光ビームをディスク表面に対して斜め方向から照射して該表面を走査するステップと、
    該表面からの正反射光のみを所定の範囲で集光し、集光した正反射光を十文字形状のスリットを介して複数の受光面で受光するステップと、
    前記複数受光面が受光する光量の変化に伴って各受光面毎に夫々欠陥信号を発生するステップと、
    前記各受光面毎に夫々発生された欠陥信号の組み合わせに応じてディスク表面上の欠陥を識別するステップと
    を具えたディスク表面欠陥検査方法。
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