JP4083470B2 - ピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構 - Google Patents

ピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築、土木工事における流動性の乏しい低スランプのコンクリートや土砂の圧送、あるいは、下水処理場やし尿処理場等で発生する低含水率の脱水汚泥の圧送等に用いられる揺動管方式のピストンポンプにおいて、容積効率を向上させ、揺動管の切換時に発生する振動及び衝撃を低減させるピストンポンプの逆流防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、揺動管方式のピストンポンプは、図4及び図5に示すように、ホッパー1の背壁1Bの下部に左右一対の吸込吐出口1L、1Rを設け、ホッパー1の背部には、吸込吐出口1L、1Rにそれぞれ一端が開口したポンプシリンダ4L、4Rを取付けている。ポンプシリンダ4L、4R内には、それぞれ搬送ピストン7を備えており、この搬送ピストン7は、駆動シリンダ6L、6Rによって交互に往復動されるようになっている。ポンプシリンダ4L、4Rと駆動シリンダ6L、6Rとの接合部には水封箱5が設けられている。
【0003】
ホッパー1内には、揺動管2が設置されている。この揺動管2は、基端部2Bがホッパー1の前壁1Fに回動可能に支持されており、揺動管2の中間部には、ホッパー1の背壁1Bに回動可能に支持された揺動管軸10の一端が固定されている。揺動管軸10の回転中心と揺動管2の基端部2Bの回転中心とは同一線上にある。ホッパー1の背壁1B外に延出した揺動管軸10の他端には、切換レバー11が固着され、この切換レバー11とホッパー1との間に切換シリンダ3L、3Rが取付けられていて、切換シリンダ3L、3Rの一方が伸長するとき他方が縮小するようになっている。
【0004】
切換シリンダ3L、3Rが伸縮すると、揺動管軸10が回動して、揺動管2は左右に揺動され、揺動管2の先端部2Tが交互に左右の吸込吐出口1L、1Rに臨む位置へ移動する。
ホッパー1の吸込吐出口1L、1Rの周囲の揺動管2の先端部2Tが摺接する部分には、吸込吐出口1L、1Rを形成する左右一対の開口を備えた交換可能なめがね板8が取付けられている。また、揺動管2の先端部2Tは、めがね板8に圧接されて摺動するので、交換可能なウェアプレート12が取付けられている。このめがね板8とウェアプレート12とには、耐摩耗材が使用される。
【0005】
揺動管2の基端部2Bには、輸送管(図示略)が接続される。土砂等の輸送対象物を輸送するときには、ホッパー1内に輸送対象物が投入される。そこで、一方(例えば右側)の搬送ピストン7を後退させてポンプシリンダ4R内に輸送対象物を吸込んだ後、揺動管2を揺動させて先端部2Tをそのポンプシリンダ4R側の吸込吐出口1Rに臨ませ、搬送ピストン7を前進させてポンプシリンダ4R内の輸送対象物を揺動管2から輸送管へ吐出する。一方のポンプシリンダ4Rが吐出行程にあるとき、他方のポンプシリンダ4Lでは搬送ピストン7を後退させてポンプシリンダ4内に輸送対象物を吸込む。
【0006】
次に、揺動管2を揺動させて先端部2Tを他方のポンプシリンダ4L側の吸込吐出口1Lに臨ませ、搬送ピストン7を前進させてポンプシリンダ4L内の輸送対象物を揺動管2から吐出する。この吸込行程と吐出行程とを左右交互に行うことにより継続的に輸送対象物を輸送する。
上記の揺動管方式のピストンポンプでは揺動管2を揺動させて先端部2Tを左側の吸込吐出口1Lから右側の吸込吐出口1Rへ、または、右側の吸込吐出口1Rから左側の吸込吐出口1Lへ切換える途中で左右の吸込吐出口1L、1Rが揺動管2を介して連通する状態が生じる。このとき、輸送対象物の一部が、高圧な吐出側のポンプシリンダから低圧なポンプシリンダへ瞬間的に逆流するため、ピストンポンプは容積効率が低下し、振動や衝撃が発生するおそれがある。また、このような逆流が生じるピストンポンプは並列運転ができない。
【0007】
この問題を解決するために、図6、図7に示すように、めがね板8の左右の吸込吐出口1L、1Rの間隔をウェアプレート12の開口部13の幅以上とし、ウェアプレート12の開口部13の両端にめがね板8の吸込吐出口1L、1Rの幅以上のシール部14を設けたピストンポンプの逆流防止装置が提案されている(特願2001−007003参照)。
【0008】
このピストンポンプの逆流防止装置によれば、揺動管2を揺動させて先端部2Tを左側の吸込吐出口1Lから右側の吸込吐出口1Rへ、または、右側の吸込吐出口1Rから左側の吸込吐出口1Lへ、即ちウェアプレート12を図7(a)の位置から図7(c)の位置へ、または、図7(c)の位置から図7(a)の位置へ、切換える途中、図7(b)の位置に達しても左右の吸込吐出口1L、1Rが連通する状態が生じることはなく、逆流を防止することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の揺動管方式のピストンポンプの逆流防止装置では、めがね板8とウェアプレート12間、および、ウェアプレート12を摺動自在に案内保持するためのガイド板17とウェアプレート12間の摺動部は、輸送対象物内にあり、輸送対象物以外の潤滑剤によるに潤滑は行われていなかった。
【0010】
このため、輸送対象物の性状によっては、めがね板8、ウェアプレート12、ガイド板17の摺動部の摩耗が早いという問題があった。
本発明は、揺動管方式のピストンポンプの逆流防止装置における上記問題を解決するものであって、めがね板、ウェアプレート、ガイド板の摺動部の摩耗を低減させるピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するため、揺動管方式のピストンポンプのめがね板の左右の吸込吐出口の間隔をウェアプレートの開口部の幅以上とし、ウェアプレートの開口部の両側にめがね板の吸込吐出口の幅以上のシール部を設けたピストンポンプの逆流防止装置において、揺動管の揺動の全行程でウェアプレートが常時摺接するめがね板の摺動面に潤滑剤注入溝を設けている。
【0012】
このピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構は、めがね板の摺動面に設けた潤滑剤注入溝に逆流防止装置の外部から潤滑剤を供給することにより、揺動管の揺動の全行程でウェアプレートの開口部が通過することのないめがね板の摺動面を潤滑し、めがね板、ウェアプレート間の摺動部の摩耗を低減させることができる。
【0013】
また、揺動管の揺動の全行程でウェアプレートが常時摺接するガイド板の摺動面に潤滑剤注入溝を設けて、潤滑剤注入溝に逆流防止装置の外部から潤滑剤を供給することにより、ガイド板の摺動面を潤滑し、ガイド板、ウェアプレート間の摺動部の摩耗を低減させることができる。
さらに、めがね板の上部と下部とに摺動面を設け、上部摺動面と下部摺動面との間の領域に摺動逃げ部を設けることにより、めがね板、ウェアプレート間の摺動抵抗を低減させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態を示すピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構の構成図、図2はめがね板の摺動面の潤滑剤注入溝の配置を示す図、図3はガイド板の摺動面の潤滑剤注入溝の配置を示す図である。
ここで、ピストンポンプの基本的構成は、図4及び図5に示す従来のものと同様であって、ホッパー1の背壁1Bの下部に左右一対の吸込吐出口1L、1Rを設け、ホッパー1の背部には、吸込吐出口1L、1Rにそれぞれ一端が開口したポンプシリンダ4L、4Rを取付けている。ポンプシリンダ4L、4R内には、それぞれ搬送ピストン7を備えており、この搬送ピストン7は、駆動シリンダ6L、6Rによって交互に往復動されるようになっている。ポンプシリンダ4L、4Rと駆動シリンダ6L、6Rとの接合部には水封箱5が設けられている。
【0015】
ホッパー1内には、揺動管2が設置されている。この揺動管2は、基端部2Bがホッパー1の前壁1Fに回動可能に支持されており、揺動管2の中間部には、ホッパー1の背壁1Bに回動可能に支持された揺動管軸10の一端が固定されている。揺動管軸10の回転中心と揺動管2の基端部2Bの回転中心とは同一線上にある。ホッパー1の背壁1B外に延出した揺動管軸10の他端には、切換レバー11が固着され、この切換レバー11とホッパー1との間に切換シリンダ3L、3Rが取付けられていて、切換シリンダ3L、3Rの一方が伸長するとき他方が縮小するようになっている。
【0016】
切換シリンダ3L、3Rが伸縮すると、揺動管軸10が回動して、揺動管2は左右に揺動され、揺動管2の先端部2Tが交互に左右の吸込吐出口1L、1Rに臨む位置へ移動する。
ホッパー1の吸込吐出口1L、1Rの周囲の揺動管2の先端部2Tが摺接する部分には、吸込吐出口1L、1Rを形成する左右一対の開口を備えた交換可能なめがね板8が取付けられている。また、揺動管2の先端部2Tは、めがね板8に圧接されて摺動するので、交換可能なウェアプレート12が取付けられている。このめがね板8とウェアプレート12とには、耐摩耗材が使用される。
【0017】
揺動管2の基端部2Bには、輸送管(図示略)が接続される。
ピストンポンプは、図6及び図7に示すものと同様な逆流防止装置を備えている。即ち、めがね板8の左右の吸込吐出口1L、1Rの間隔をウェアプレート12の開口部13の幅以上とし、ウェアプレート12の開口部13の両端にめがね板8の吸込吐出口1L、1Rの幅以上のシール部14が設けられている。
【0018】
ホッパー1の下部には、図1及び図3に示すように、ウェアプレート12案内用のガイド板17を固定するための固定壁18が設けられている。この固定壁18は、側面視L字状でその水平部分の後端がホッパー1の背壁1Bに固設されており、固定壁18の垂直部分の背後にはガイド板17がボルト19で固定されている。
【0019】
このピストンポンプの逆流防止装置において、めがね板8の上部と下部とには、揺動管2の揺動の全行程でウェアプレート12が常時摺接するめがね板上部摺動面8Aとめがね板下部摺動面8Bとが形成されており、めがね板上部摺動面8Aとめがね板下部摺動面8Bには、それぞれめがね板上部潤滑剤注入溝20とめがね板下部潤滑剤注入溝21とが設けてられている。
【0020】
めがね板上部潤滑剤注入溝20とめがね板下部潤滑剤注入溝21とは、それぞれホッパー1の背部に設けられためがね板上部潤滑剤注入口22とめがね板下部潤滑剤注入口23とに潤滑剤供給路24、25を介して連通しており、外部から潤滑剤が供給可能となっている。
また、ガイド板17の上部には、揺動管2の揺動の全行程でウェアプレート12が常時摺接するガイド板摺動面17Aが形成されており、ガイド板摺動面17Aには、ガイド板潤滑剤注入溝26が設けてられている。ガイド板潤滑剤注入溝26は、ホッパー1の下部に設けられたガイド板潤滑剤注入口27に潤滑剤供給路28を介して連通しており、外部から潤滑剤が供給可能となっている。
【0021】
さらに、めがね板8には、めがね板上部摺動面8Aとめがね板下部摺動面8Bとの間の領域に摺動逃げ部8Cが設けられている。
摺動逃げ部8Cは、めがね板8の表面を若干研磨する等の手段により、輸送対象物の漏洩が生じない範囲で極僅か凹陥させ、めがね板8とウェアプレート12とが強く圧接する摺動面を少なくすることで、摺動抵抗を低減させるものである。
【0022】
上記の構成により、このピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構は、めがね板上部摺動面8Aとめがね板下部摺動面8Bに設けためがね板上部潤滑剤注入溝20とめがね板下部潤滑剤注入溝21とに、逆流防止装置の外部のめがね板上部潤滑剤注入口22とめがね板下部潤滑剤注入口23とから潤滑剤を供給することにより、揺動管2の揺動の全行程でウェアプレート12の開口部13が通過することのないめがね板上部摺動面8Aとめがね板下部摺動面8Bとを潤滑して、めがね板8とウェアプレート12との間の摺動部の摺動抵抗を低減させると共に摺動を円滑にし、摩耗を低減させることができる。
【0023】
また、ガイド板潤滑剤注入溝26に逆流防止装置の外部のガイド板潤滑剤注入口27から潤滑剤を供給することにより、ガイド板17の摺動面17Aを潤滑して、ガイド板17とウェアプレート12との間の摺動部の摺動抵抗を低減させると共に摺動を円滑にし、摩耗を低減させることができる。
さらに、めがね板上部摺動面8Aとめがね板下部摺動面8Bとの間、即ち揺動管2の揺動の行程でウェアプレート12の開口部13が通過する領域には摺動逃げ部8Cが設けられているので、めがね板8とウェアプレート12との間の摺動抵抗を低減させることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構によれば、めがね板、ウェアプレート、ガイド板の摺動部の摺動抵抗を低減させると共に摺動を円滑にし、摩耗を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構の構成図である。
【図2】めがね板の摺動面の潤滑剤注入溝の配置を示す図である。
【図3】ガイド板の摺動面の潤滑剤注入溝の配置を示す図である。
【図4】従来のピストンポンプの構成を示す平面図である。
【図5】従来のピストンポンプの構成を示す要部縦断面図である。
【図6】従来のピストンポンプの逆流防止装置の構成図である。
【図7】従来のピストンポンプの逆流防止装置の作用の説明図である。
【符号の説明】
1 ホッパー
1B 背壁
1F 前壁
1L、1R 吸込吐出口
2 揺動管
2B 基端部
2T 先端部
4L、4R ポンプシリンダ
8 めがね板
8A めがね板上部摺動面
8B めがね板下部摺動面
8C 摺動逃げ部
10 揺動軸
11 切換レバー
12 ウェアプレート
13 開口部
14 シール部
17 ガイド板
17A ガイド板摺動面
18 固定壁
20 めがね板上部潤滑剤注入溝
21 めがね板下部潤滑剤注入溝
22 めがね板上部潤滑剤注入口
23 めがね板下部潤滑剤注入口
26 ガイド板潤滑剤注入溝
27 ガイド板潤滑剤注入口

Claims (2)

  1. 揺動管方式のピストンポンプのめがね板の左右の吸込吐出口の間隔をウェアプレートの開口部の幅以上とし、ウェアプレートの開口部の両側にめがね板の吸込吐出口の幅以上のシール部を設けたピストンポンプの逆流防止装置において、
    揺動管の揺動の全行程でウェアプレートが常時摺接するめがね板の摺動面に潤滑剤注入溝を設けるとともに、めがね板の上部と下部とに摺動面を設け、上部摺動面と下部摺動面との間の領域に摺動逃げ部を設けたことを特徴とするピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構。
  2. 揺動管方式のピストンポンプのめがね板の左右の吸込吐出口の間隔をウェアプレートの開口部の幅以上とし、ウェアプレートの開口部の両側にめがね板の吸込吐出口の幅以上のシール部を設けたピストンポンプの逆流防止装置において、
    揺動管の揺動の全行程でウェアプレートが常時摺接するガイド板の摺動面に潤滑剤注入溝を設けるとともに、めがね板の上部と下部とに摺動面を設け、上部摺動面と下部摺動面との間の領域に摺動逃げ部を設けたことを特徴とするピストンポンプの逆流防止装置の摺動部潤滑機構。
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