JP4083317B2 - 銀面層付皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents

銀面層付皮革様シートおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は靴、副資材、鞄などに使用される、表面に着色された多孔質ポリウレタン層を有し、かつ表面の艶感が変化しない銀面付皮革様シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、靴や鞄に用いられる銀面付皮革様シートとして、高級感を出すために表面艶のある原反が用いられてきた。また風合いが柔軟であり、かつシボ付けなどの表面型押し性が良好であることから、銀面付皮革様シートには基体層表面に多孔質ポリウレタン層が付与された皮革様シートが用いられている。多孔質ポリウレタン層を付与する方法としては、大別して乾式法と湿式法の2種の方法が存在するが、乾式法は通常ポリウレタン層の多孔性が劣り、風合いが劣るのに対して、湿式法ににより得られた多孔質ポリウレタン層は、風合い、型押し性に優れているため、現在一般的に用いられている。
【0003】
しかしながら湿式法による多孔質ポリウレタンは物理的強度や風合いの調節のためにスポンジの孔径を調節する必要があり、その調節剤としてシリコーン系の調節剤が小量で効果が高いため良く用いられてきた。
一般にシリコーン化合物からなる凝固調節剤はポリウレタンの湿式凝固時に多孔質構造の孔径を小さくかつ均一にする効果があり、皮革様シートの表面に塗布するポリウレタンの凝固調節剤として使用した場合、形成されるポリウレタン構造が均一であることから得られるシートは均一な折れシボ感、物理的強度および良好な表面平滑性を有し、広範に使用されてきた。また表面に撥水性を付与する目的からも用いられてきた。
【0004】
しかしシリコーン系の凝固調節剤を用いて多孔質ポリウレタン層を得て表面層を高級感を有するツヤのある面感に仕上げた場合、経時変化によるポリウレタンオリゴマーのマイグレーションによりポリウレタン層表面にくもりが発生してツヤ感が失われて透明感を損ない、色調の深みが失われて高級感に欠けるという問題点があった。また表面に艶感を有しない場合においても、マイグレーションがくもりを引き起こし、表面が煤けて汚れたような面感となり、靴や鞄に用いるには特に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようする課題】
本発明は、上記の問題点を解決し、時間が経過しても高級なツヤ感を保ちかつ風合い、表面耐摩耗性に優れた皮革様シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的を達するため鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、不織布と高分子弾性体からなる繊維質シートの少なくとも片面に、ウレタン変性されたシリコーン重合体が混合されているポリウレタンからなる多孔質層が形成されている皮革様シートである。
また本発明は、不織布と高分子弾性体からなる繊維質シートの少なくとも片面にポリウレタン溶液を塗布して湿式凝固させることにより多孔質層を有する皮革様シートを製造する方法において、該ポリウレタン溶液にシリコーン主鎖または側鎖の一部がポリウレタン化されている凝固調節剤を添加して湿式凝固することを特徴とする皮革様シートの製造方法である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる不織布としては、皮革様の風合いを発現させるために反発感および強力及び適当な厚みを有していれば特に限定されないが、好ましくは繊維を3次元的に絡合させて得られる不織布である。
不織布に用いる繊維を構成するポリマーとしては、6−ナイロンや6,6−ナイロンをはじめとする溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレートをはじめとする溶融紡糸可能なポリエステル類、ポリオレフィン類などから選ばれた少なくとも1種類のポリマーである。また複数のポリマーを組み合わせて得られる海島型繊維、分割性複合繊維を用いても構わない。また不織布作製時に複数の繊維を混合してステープルを使用しても構わない。風合いの点からは海島型繊維を使用し、製品とするまでに繊維を構成している海成分ポリマーを繊維から除去するのが好ましいが、引張強力や銀面層付与後の賦型性およびコストの点からポリエステル類やポリアミド類の単独ポリマーからなる繊維の使用が好ましい。
【0008】
不織布の作製方法としては公知の方法が用いられる。好ましくはカーディングしてウェブを得て、ウェブを積層後ニードルパンチ方法により繊維を絡合させ不織布を得る方法である。不織布の積層方法としては、タテ、ヨコの強力、伸度のバランスから斜め方向に折り返すクロスラップ方法が好ましい。また絡合方法も水流、気流による絡合など公知の方法を用いて構わないが、繊維をニードルのバーブにより繊維同士を絡ませて絡合を進める方法が好ましい。
【0009】
得られた不織布に、ポリウレタンを塗布した時の表面の平滑性を向上させるために面出し処理を行っても構わない。具体的な面出し処理方法としては、高熱のカレンダーロールでプレスする方法、不織布を加熱後冷却した鏡面ロールでプレスする方法など種々あるが、好ましくは不織布が熱による面積変化を起こさないよう両端を把持した状態で加熱し、押圧して所定の厚みに調節する方法であり、この方法を用いるとポリウレタン層の表面感、繊維不織布の面感、風合いが極めて良好となる。
【0010】
上記の処理により得られた不織布に弾性重合体を含浸する。その方法としては、弾性重合体を含む溶液を塗布し不織布内部に浸透させ、湿式凝固させる方法、不織布内部にポリウレタン溶液を直接含浸させた後、湿式凝固させる方法など、不織布を構成する繊維間の空間内に弾性重合体が存在することとなる方法であれば特に限定されない。
【0011】
含浸する弾性重合体も、耐アルカリ性、耐加水分解性、耐熱水性を備えていれば特に限定されないが、シートの柔軟性、風合いの点から弾性重合体としてはポリウレタンが好ましい。
不織布に含浸する弾性重合体として好適なポリウレタンとしては、貧溶媒中で凝固時に多孔質層を形成するポリウレタンであれば特に限定されないが、特に、ソフトセグメントとして炭素数6以上10以下のアルカンジオールとジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とを反応させて得られる数平均分子量が500〜5000でかつ1分子内に2個以上の一級水酸基を有するポリエステル系のポリマーポリオールとジイソシアネート化合物と低分子鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタンがもっとも好ましく、それ以外にポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテルからなる群より選ばれ、かつ1分子中に2個以上の一級水酸基を有した、数平均分子量が500〜5000の少なくとも1種のポリマーポリオールを使用し、芳香族ジイソシアネートと低分子鎖伸長剤を反応せしめて得られるポリウレタンも好ましい。
【0012】
炭素数6以上10以下のアルカンジオールとしては、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどがあげられる。アルカンジオールにおいて炭素数が6より小さいと、ポリウレタンとした場合に耐久性、特に耐加水分解性が悪くなってしまう。また炭素数が10より大きいと、ポリウレタンとした場合に得られたシートの風合いが硬くなるため好ましくない場合がある。
ジカルボン酸の代表例としては、コハク酸、フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などがあげられる。
【0013】
ポリマージオールの数平均分子量は500〜5000が好ましい。ポリマーポリオールの数平均分子量が500未満の場合には、得られる繊維質シートは硬く、風合いのバランスに欠けるため好ましくない。またポリマーポリオールの数平均分子量が5000を越える場合には、得られる繊維質シートは、ウレタン基濃度が減少するため耐摩耗性が低下し、耐久性、耐加水分解性にバランスの取れたものが得られにくい。
【0014】
また低分子鎖伸長剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどがあげられる。また芳香族イソシアネートとしては、たとえば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
特にポリオールとしては、ポリメチルペンタンジオール、ポリエチレングリコールを組み合わせて使用すると、風合いおよび凝固時の多孔質形成性および引張強力、引裂強力に優れた繊維質シートが得られることから好ましい。
【0015】
弾性重合体を溶剤あるいは分散剤に溶解あるいは分散させた弾性重合体溶液又は分散液を繊維不織布に含浸したのち凝固させ、繊維質基体を得る。該弾性重合体溶液には、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、凝固調節剤、分散剤等の添加剤を配合する。繊維質基体に占める含浸させた弾性重合体の比率は、基体に柔軟な風合いと弾性回復性を持たせるために固形分として重量比で10%以上、特に30〜50%の範囲が好ましい。弾性体比率が10%未満では平滑な面感が得られず、緻密な弾性体多孔質層の孔が形成されず風合いも硬くなるので好ましくない。また弾性体比率が50%を越えるときは弾性体の反発力のため目的とする皮革様の風合いとならないため好ましくない。
【0016】
不織布に弾性重合体を含浸させた繊維質シートの表面層に多孔質ポリウレタン層を形成する方法としては、繊維質シート上に一定のクリアランスを持って片面にポリウレタン溶液を塗布し、塗布したポリウレタンの貧溶媒液中にて凝固させることによりポリウレタンを多孔質層とする方法が好ましい。また不織布に含浸した弾性重合体溶液と表面に塗布したポリウレタン層を同時に凝固させても構わないが、凝固後のポリウレタン層表面の平滑性から、不織布に含浸した弾性重合体溶液を一旦凝固せしめた後、繊維質シートの片面にポリウレタン溶液を塗布、凝固し繊維質表面に多孔質ポリウレタン層を形成する方法が好ましい。
【0017】
繊維質シートの表面層に塗布するポリウレタンに関しても、含浸するポリウレタンと同様に貧溶媒中で凝固時に多孔質層を形成するポリウレタンであれば特に限定されないが、ソフトセグメント成分としてポリテトラメチレングリコールで代表されるポリエーテル系のポリマーポリオールを用いたものが耐加水分解性などの点で、更に本発明で用いる凝固調節剤が特に優れた効果を発揮する点で好ましい。このほかにポリラクトン系、ポリカーボネート系、ポリエステル系のものを用いてもよい。これらポリマーポリオールとジイソシアネートと低分子量鎖伸長剤を反応せしめてポリウレタンを得る。
【0018】
ポリマーポリオールの数平均分子量は500〜5000にあるものが好ましい。ポリマーポリオールの数平均分子量が500未満の場合には、得られる多孔質層の表面が硬く、風合いのバランスに欠けるため好ましくない。またポリマーポリオールの数平均分子量が5000を越える場合には、ウレタン基濃度が減少するため耐表面摩耗性が低下し、耐久性、耐加水分解性にバランスの取れたものが得られにくい。また低分子鎖伸長剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどがあげられる。またジイソシアネートとしては、たとえば4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0019】
塗布するポリウレタン溶液の粘度としては、塗布したポリウレタン液の繊維質シートへの沈み込み程度、ポリウレタンの凝固性、塗布後の液の流動性などの点から、30℃でのポリウレタン溶液の粘度が10〜150ポイズの範囲であるのが好ましい。さらに好ましくは生産時のポンプ供給の能力から20〜80ポイズの範囲内である。
【0020】
塗布するポリウレタン溶液には、着色剤、耐光剤、分散剤などの添加剤を目的に応じて添加しても良い。また凝固後の多孔質の孔径の制御のため凝固調節剤を添加する。本発明では、孔形状を制御する凝固調節剤としてシリコーン側鎖の一部がポリウレタン化されている凝固調節剤を添加する。また他の凝固調節剤を併用しても構わない。
【0021】
一般にシリコーン化合物からなる凝固調節剤はポリウレタンの湿式凝固時に多孔質構造の孔径を小さくかつ均一にする効果があり、皮革様シートの表面に塗布するポリウレタンの凝固調節剤として使用した場合、該シートは均一な折れシボ感、ポリウレタン構造が均一であることによる物理的強度、および良好な表面平滑性が得られる特長があり広範に使用されている。しかし一方、シリコーン系凝固調節剤は多孔質ポリウレタン層中に存在する場合ではポリウレタンが完全に固化していてもシリコーン系凝固調節剤が経時変化にて表面にブリードしてくる。シリコーン系凝固調節剤は同時にポリウレタンのオリゴマーを表面にブリードさせるためくもり発生の原因となり表面の艶感が変化し高級感が失われる原因となっていた。
【0022】
本発明者らは、シリコーン系凝固調節剤とし、シリコーン主鎖または側鎖の一部をポリウレタン化したものを用いることにより、多孔質ポリウレタン層内にとどめ、表面にブリードする現象を起こさなくすることにより表面に艶変化の発生しない皮革様シートが得られることを見いだした。
【0023】
シリコーン主鎖または側鎖の一部をポリウレタン化する方法としては、反応性有機官能基を有するシリコーン化合物と有機ポリイソシアネートをイソシアネート基が1個以上過剰となる条件で反応させ、残存するイソシアネート基に有機溶媒下で活性水素基を1個以上有するポリオールを反応させる方法が好ましい。
また凝固調節剤中の残存するイソシアネート基と表面に塗布するポリウレタン溶液中のイソシアネート基を反応させ、凝固調節剤をポリウレタン層中に固着させるために、凝固調節剤中のイソシアネート基はポリオールと反応したのちも残存することが好ましい。
【0024】
反応性有機官能基を有するシリコーン化合物としては、公知のシリコーンオイルが好適例として用いられる。具体的な例としては下記のような化学式で表されるシリコーンオイルが挙げられるが、目的とする効果が得られれば下記式の化合物に限定されるものではない。
【0025】
1)アミノ変性シリコーンオイル
【化1】
Figure 0004083317
【化2】
Figure 0004083317
【0026】
2)エポキシ変性シリコーンオイル
【化3】
Figure 0004083317
【0027】
3)アルコール変性シリコーンオイル
【化4】
Figure 0004083317
【0028】
4)メルカプト変性シリコーンオイル
【化5】
Figure 0004083317
【0029】
5)カルボキシル変性シリコーンオイル
【化6】
Figure 0004083317
【0030】
本発明中に塗布するポリウレタン溶液の溶媒として使用する有機溶剤としては、それぞれの反応原料に対して不活性なものであれば特に限定されない。例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチルセルソルブ、ヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0031】
上記凝固調節剤の添加量については、塗布したポリウレタンが凝固後に多孔質層を形成する範囲であれば特に限定されない。ここで言う多孔質層が形成される範囲とは、好ましくは、凝固後のポリウレタンの断面において孔径が表面に近いの部分では3μm以下であり、表面より離れた繊維質層に近い部分では5〜30μmで多孔質層が構成されることを指す。またここで言う多孔質部分の孔径は凝固したポリウレタンを断面方向より顕微鏡写真を撮り、この写真から得られる、多孔質部分の個々の孔についての最大幅の平均値を意味し、孔の最大径を意味するものではない。この孔径が好ましい範囲より大きい場合にはポリウレタン層の摩耗性が低下し、また折れシボ感も段ボールの折れ方に似た折れシボ感となり好ましくない。特に表面より離れ繊維質層に近い部分の孔径が30μmより大きい場合には後加工時にポリウレタン層がつぶれ、比重が上がり折れシボ、風合いが悪くなるため好ましくなく、5μmより小さい場合においても比重が高くなり過ぎて風合いが硬くなるため好ましくない。したがって好ましい添加量の範囲としては、多孔質層を形成するポリウレタン固形分の0.3〜20重量%の範囲内であり、さらに好ましくは0.5〜12重量%の範囲である。
【0032】
塗布したポリウレタン溶液をポリウレタンの非溶媒にて凝固し、固化して多孔質ポリウレタン層を得る。該非溶媒としては水が用いられるが、多孔質ポリウレタン層の孔径を小さくするためポリウレタンの溶媒を混合した水溶液中にて凝固を行っても構わない。好ましい凝固条件としては、濃度管理および凝固速度の点から5〜50重量%有機溶媒を混合した水溶液中にて凝固させる方法である。
【0033】
多孔質ポリウレタン層の厚さとしては、好ましくは耐表面摩耗性、該シートの折れシボ感、風合いの点から凝固後にて100μm〜600μmの範囲内である。さらに好ましくは熱ロールによるプレス等の後加工の厚みや該シートの風合い、折れシボの点から凝固後にて200〜350μmの厚みの範囲内である。
【0034】
得られた多孔質ポリウレタン層を有する繊維質シートは、必要により表面に着色、艶調整、賦型の処理を行い皮革様シートを得る。着色、艶調整材としては、公知のものを使用して構わないが、好ましくは処理表面が多孔質ポリウレタン層であるため密着性の点から着色、艶調整材はポリウレタンである。また表面を賦型したのちに表面層を研削しても構わない。
【0035】
【実施例】
次に本発明の実施態様を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は断わりのない限り重量に関するものである。
【0036】
実施例1
ナイロンとポリエチレンをチップで50/50の量率で混合して、押出機にて紡糸を行い海島断面構造繊維(ナイロンが島成分、ポリエチレンが海成分)を紡糸し、延伸、カットした4デニールの短繊維を得て、この繊維を絡合して不織布を得た。
該不織布にポリウレタン(ポリメチルペンタンアジペートとポリエチレングリコールからなる平均分子量2000のポリマージオール、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびブタンジオールからなるポリウレタン)のジメチルホルムアミド(以下DMF)溶液を含浸し、湿式凝固させた後、繊維中の島成分は溶解しないが海成分を溶解することのできる溶剤(トルエン)にて抽出除去し、目付450g/m2、厚み1.3mm、ポリウレタンと繊維の比率が55/45の基体層を得た。得られた繊維質基体のナイロン極細繊維の単繊維の繊度は0.06デニールであり、かつ柔軟な風合いを有していた。
【0037】
ポリテトラメチレングリコールをポリオール主成分としイソシアネート成分としてヘキサメチレンジイソシアネート、鎖伸長剤としてエチレングリコールを使用したポリウレタンをジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた固形分濃度17%、粘度40P(30℃)のポリウレタン溶液に、アミノ基を反応性官能基として有する末端アミノプロピルポリメチルシロキサンをヘキサメチレンジイソシアネートと反応させ、更に末端ジイソシアネートとポリプロピレングリコールを反応させて得た凝固調節剤を添加した。該凝固調節剤の添加量はポリウレタン固形分100部に対して3部であり、このほかに黒色顔料を10部添加して混合した。このポリウレタン溶液を該繊維質基体上に塗布量1000g/m2にて塗布し、35℃のDMF/水=30/70の混合溶液に投入しポリウレタンを凝固させた。このシートの表面にポリウレタンをグラビア方式にて塗布し、艶感をあたえるためカレンダーロールにて180℃で表面を熱処理を行い、表面に銀面層を有した皮革様シートを得た。
この皮革様シートをくもりの促進のため90℃の状態で10日間表面の経時変化を測定したが艶感の変化はみられなかった。多孔質層部分のシート厚さ方向の断面を顕微鏡で写真を撮り、孔の幅の平均値を求めてところ、表面部分は約2μmであり、繊維基体層に近い部分は約15μmであった。
【0038】
実施例2
実施例1にて用いた不織布を用い、該不織布にポリウレタン(ポリメチルペンタンアジペートとポリエチレングリコールからなる平均分子量2000のポリマージオール、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびブタンジオールからなるポリウレタン)のジメチルホルムアミド(以下DMF)溶液を含浸した。次にポリテトラメチレングリコールをポリオール成分とし溶媒としてDMFを用いて得られる固形分20%、粘度60ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液に、ポリシロキサン主鎖の反応性有機官能基を、有機ポリイソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートを用いて反応させ、残存イソシアネート基をポリプロピレングリコールと反応させて得た凝固調節剤をポリウレタン固形分100部に対して3部添加し、更に黒色顔料を10部添加して混合した。該ポリウレタン溶液を該繊維質基体上にクリアランス1.6mmにて塗布量1000g/m2にて塗布し、35℃のDMF/水=30/70の混合溶液に投入し、不織布層に含浸したポリウレタンおよびコーティングしたポリウレタンを同時に凝固させた。その後、繊維を構成するポリエチレンを除去したのち該繊維質基材の表面にポリウレタンをグラビア方式にて塗布し、艶感をあたえるためカレンダーロールにて180℃で表面を熱処理を行い、表面に銀面層を有した皮革様シートを得た。
この皮革様シートをくもりの促進のため90℃の状態で10日間表面の経時変化を測定したが艶感の変化はみられなかった。多孔質層部分のシート厚さ方向の断面を顕微鏡で写真を撮り、孔の幅の平均値を求めてところ、表面部分は約2μmであり、繊維基体層に近い部分は約15μmであった。
【0039】
比較例1
実施例1にて得られた基体層にポリテトラメチレングリコールをポリオール主成分としDMFが溶媒である固形分17%、粘度40ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液にポリシロキサン成分を主とするシリコン系凝固調節剤および黒色顔料を混合し、該繊維質基体上に塗布量1000g/m2にて塗布し、35℃のDMF/水=30/70の混合溶液に投入しポリウレタンを凝固させた。表面を実施例1と同じくつや出しのためグラビア、カレンダー処理を行いくもり発生について90℃の状態で表面状態を観察したところ3日後に表面が白っぽくなり、表面を布で拭いて確認したところ、拭き取ったところと拭き取ってないところで明らかに艶感の差がみられ、マイグレーションによるくもりが発生していることが確認された。多孔質層部分のシート厚さ方向の断面を顕微鏡で写真を撮り、孔の幅の平均値を求めてところ、表面部分は約1μmであり、繊維基体層に近い部分は約10μmであった。
【0040】
比較例2
実施例1にて得られた基体層にポリテトラメチレングリコールをポリオール主成分としDMFが溶媒である固形分17%、粘度40ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液に黒色顔料のみを混合し、該繊維質基体上にクリアランス1.6mmにて塗布量1000g/m2にて塗布し、35℃のDMF/水=30/70の混合溶液に投入しポリウレタンを凝固させたところ、得られたシートの風合いが天然皮革および実施例1で得られたシートに比べて硬く、表面もところどころに直径1mm程度の凹みが見られ、面感が悪くなった。多孔質層部分のシート厚さ方向の断面を顕微鏡で写真を撮り、孔の幅の平均値を求めてところ、表面部分は約10μmであり、繊維基体層に近い部分は約50μmであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明にて得られる皮革様シートは、天然皮革に類似の風合い、面感、通気性を有し、表面物性に優れ、かつ経時変化による面感の変化が少ない特長を有する。

Claims (2)

  1. 不織布と高分子弾性体からなる繊維質シートの少なくとも片面に、ウレタン変性されたシリコーン重合体が混合されているポリウレタンからなる多孔質層が形成されている皮革様シート。
  2. 不織布と高分子弾性体からなる繊維質シートの少なくとも片面にポリウレタン溶液を塗布して湿式凝固させることにより多孔質層を有する皮革様シートを製造する方法において、該ポリウレタン溶液に、シリコーン主鎖または側鎖の一部がポリウレタン化されている凝固調節剤を添加して湿式凝固することを特徴とする皮革様シートの製造方法。
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