JP2000110080A - 銀面層付皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents

銀面層付皮革様シートおよびその製造方法

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JP2000110080A JP10283997A JP28399798A JP2000110080A JP 2000110080 A JP2000110080 A JP 2000110080A JP 10283997 A JP10283997 A JP 10283997A JP 28399798 A JP28399798 A JP 28399798A JP 2000110080 A JP2000110080 A JP 2000110080A
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修史 川上
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昭信 溝口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】時間が経過しても高級なツヤ感を保ちかつ風合
い、表面耐摩耗性に優れた銀面層付きの皮革様シートを
提供する。 【解決手段】不織布と高分子弾性体からなる繊維質シー
トの少なくとも片面にポリウレタン溶液を塗布して湿式
凝固させることにより多孔質層を有する皮革様シートを
製造する方法において、該ポリウレタン溶液に、シリコ
ーン主鎖または側鎖の一部がポリウレタン化されている
凝固調節剤を添加して湿式凝固する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は靴、副資材、鞄などに使
用される、表面に着色された多孔質ポリウレタン層を有
し、かつ表面の艶感が変化しない銀面付皮革様シートに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、靴や鞄に用いられる銀面付皮
革様シートとして、高級感を出すために表面艶のある原
反が用いられてきた。また風合いが柔軟であり、かつシ
ボ付けなどの表面型押し性が良好であることから、銀面
付皮革様シートには基体層表面に多孔質ポリウレタン層
が付与された皮革様シートが用いられている。多孔質ポ
リウレタン層を付与する方法としては、大別して乾式法
と湿式法の2種の方法が存在するが、乾式法は通常ポリ
ウレタン層の多孔性が劣り、風合いが劣るのに対して、
湿式法ににより得られた多孔質ポリウレタン層は、風合
い、型押し性に優れているため、現在一般的に用いられ
ている。
【0003】しかしながら湿式法による多孔質ポリウレ
タンは物理的強度や風合いの調節のためにスポンジの孔
径を調節する必要があり、その調節剤としてシリコーン
系の調節剤が小量で効果が高いため良く用いられてき
た。一般にシリコーン化合物からなる凝固調節剤はポリ
ウレタンの湿式凝固時に多孔質構造の孔径を小さくかつ
均一にする効果があり、皮革様シートの表面に塗布する
ポリウレタンの凝固調節剤として使用した場合、形成さ
れるポリウレタン構造が均一であることから得られるシ
ートは均一な折れシボ感、物理的強度および良好な表面
平滑性を有し、広範に使用されてきた。また表面に撥水
性を付与する目的からも用いられてきた。
【0004】しかしシリコーン系の凝固調節剤を用いて
多孔質ポリウレタン層を得て表面層を高級感を有するツ
ヤのある面感に仕上げた場合、経時変化によるポリウレ
タンオリゴマーのマイグレーションによりポリウレタン
層表面にくもりが発生してツヤ感が失われて透明感を損
ない、色調の深みが失われて高級感に欠けるという問題
点があった。また表面に艶感を有しない場合において
も、マイグレーションがくもりを引き起こし、表面が煤
けて汚れたような面感となり、靴や鞄に用いるには特に
問題があった。
【0005】
【発明が解決しようする課題】本発明は、上記の問題点
を解決し、時間が経過しても高級なツヤ感を保ちかつ風
合い、表面耐摩耗性に優れた皮革様シートを提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達するため鋭意検討した結果、本発明に至った。すな
わち本発明は、不織布と高分子弾性体からなる繊維質シ
ートの少なくとも片面に、ウレタン変性されたシリコー
ン重合体が混合されているポリウレタンからなる多孔質
層が形成されている皮革様シートである。また本発明
は、不織布と高分子弾性体からなる繊維質シートの少な
くとも片面にポリウレタン溶液を塗布して湿式凝固させ
ることにより多孔質層を有する皮革様シートを製造する
方法において、該ポリウレタン溶液にシリコーン主鎖ま
たは側鎖の一部がポリウレタン化されている凝固調節剤
を添加して湿式凝固することを特徴とする皮革様シート
の製造方法である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いる不織布としては、皮革様の風合いを発現させるた
めに反発感および強力及び適当な厚みを有していれば特
に限定されないが、好ましくは繊維を3次元的に絡合さ
せて得られる不織布である。不織布に用いる繊維を構成
するポリマーとしては、6−ナイロンや6,6−ナイロ
ンをはじめとする溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレートをはじ
めとする溶融紡糸可能なポリエステル類、ポリオレフィ
ン類などから選ばれた少なくとも1種類のポリマーであ
る。また複数のポリマーを組み合わせて得られる海島型
繊維、分割性複合繊維を用いても構わない。また不織布
作製時に複数の繊維を混合してステープルを使用しても
構わない。風合いの点からは海島型繊維を使用し、製品
とするまでに繊維を構成している海成分ポリマーを繊維
から除去するのが好ましいが、引張強力や銀面層付与後
の賦型性およびコストの点からポリエステル類やポリア
ミド類の単独ポリマーからなる繊維の使用が好ましい。
【0008】不織布の作製方法としては公知の方法が用
いられる。好ましくはカーディングしてウェブを得て、
ウェブを積層後ニードルパンチ方法により繊維を絡合さ
せ不織布を得る方法である。不織布の積層方法として
は、タテ、ヨコの強力、伸度のバランスから斜め方向に
折り返すクロスラップ方法が好ましい。また絡合方法も
水流、気流による絡合など公知の方法を用いて構わない
が、繊維をニードルのバーブにより繊維同士を絡ませて
絡合を進める方法が好ましい。
【0009】得られた不織布に、ポリウレタンを塗布し
た時の表面の平滑性を向上させるために面出し処理を行
っても構わない。具体的な面出し処理方法としては、高
熱のカレンダーロールでプレスする方法、不織布を加熱
後冷却した鏡面ロールでプレスする方法など種々ある
が、好ましくは不織布が熱による面積変化を起こさない
よう両端を把持した状態で加熱し、押圧して所定の厚み
に調節する方法であり、この方法を用いるとポリウレタ
ン層の表面感、繊維不織布の面感、風合いが極めて良好
となる。
【0010】上記の処理により得られた不織布に弾性重
合体を含浸する。その方法としては、弾性重合体を含む
溶液を塗布し不織布内部に浸透させ、湿式凝固させる方
法、不織布内部にポリウレタン溶液を直接含浸させた
後、湿式凝固させる方法など、不織布を構成する繊維間
の空間内に弾性重合体が存在することとなる方法であれ
ば特に限定されない。
【0011】含浸する弾性重合体も、耐アルカリ性、耐
加水分解性、耐熱水性を備えていれば特に限定されない
が、シートの柔軟性、風合いの点から弾性重合体として
はポリウレタンが好ましい。不織布に含浸する弾性重合
体として好適なポリウレタンとしては、貧溶媒中で凝固
時に多孔質層を形成するポリウレタンであれば特に限定
されないが、特に、ソフトセグメントとして炭素数6以
上10以下のアルカンジオールとジカルボン酸またはそ
のエステル形成性誘導体とを反応させて得られる数平均
分子量が500〜5000でかつ1分子内に2個以上の一
級水酸基を有するポリエステル系のポリマーポリオール
とジイソシアネート化合物と低分子鎖伸長剤を反応させ
て得られるポリウレタンがもっとも好ましく、それ以外
にポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテルから
なる群より選ばれ、かつ1分子中に2個以上の一級水酸
基を有した、数平均分子量が500〜5000の少なく
とも1種のポリマーポリオールを使用し、芳香族ジイソ
シアネートと低分子鎖伸長剤を反応せしめて得られるポ
リウレタンも好ましい。
【0012】炭素数6以上10以下のアルカンジオール
としては、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタン
ジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカン
ジオールなどがあげられる。アルカンジオールにおいて
炭素数が6より小さいと、ポリウレタンとした場合に耐
久性、特に耐加水分解性が悪くなってしまう。また炭素
数が10より大きいと、ポリウレタンとした場合に得ら
れたシートの風合いが硬くなるため好ましくない場合が
ある。ジカルボン酸の代表例としては、コハク酸、フタ
ル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチ
ン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸などがあげられる。
【0013】ポリマージオールの数平均分子量は500
〜5000が好ましい。ポリマーポリオールの数平均分
子量が500未満の場合には、得られる繊維質シートは
硬く、風合いのバランスに欠けるため好ましくない。ま
たポリマーポリオールの数平均分子量が5000を越え
る場合には、得られる繊維質シートは、ウレタン基濃度
が減少するため耐摩耗性が低下し、耐久性、耐加水分解
性にバランスの取れたものが得られにくい。
【0014】また低分子鎖伸長剤としては、例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ヘキサンジオールなどがあげられる。また芳香族イ
ソシアネートとしては、たとえば4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、
フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ート等が挙げられる。特にポリオールとしては、ポリメ
チルペンタンジオール、ポリエチレングリコールを組み
合わせて使用すると、風合いおよび凝固時の多孔質形成
性および引張強力、引裂強力に優れた繊維質シートが得
られることから好ましい。
【0015】弾性重合体を溶剤あるいは分散剤に溶解あ
るいは分散させた弾性重合体溶液又は分散液を繊維不織
布に含浸したのち凝固させ、繊維質基体を得る。該弾性
重合体溶液には、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、凝
固調節剤、分散剤等の添加剤を配合する。繊維質基体に
占める含浸させた弾性重合体の比率は、基体に柔軟な風
合いと弾性回復性を持たせるために固形分として重量比
で10%以上、特に30〜50%の範囲が好ましい。弾
性体比率が10%未満では平滑な面感が得られず、緻密
な弾性体多孔質層の孔が形成されず風合いも硬くなるの
で好ましくない。また弾性体比率が50%を越えるとき
は弾性体の反発力のため目的とする皮革様の風合いとな
らないため好ましくない。
【0016】不織布に弾性重合体を含浸させた繊維質シ
ートの表面層に多孔質ポリウレタン層を形成する方法と
しては、繊維質シート上に一定のクリアランスを持って
片面にポリウレタン溶液を塗布し、塗布したポリウレタ
ンの貧溶媒液中にて凝固させることによりポリウレタン
を多孔質層とする方法が好ましい。また不織布に含浸し
た弾性重合体溶液と表面に塗布したポリウレタン層を同
時に凝固させても構わないが、凝固後のポリウレタン層
表面の平滑性から、不織布に含浸した弾性重合体溶液を
一旦凝固せしめた後、繊維質シートの片面にポリウレタ
ン溶液を塗布、凝固し繊維質表面に多孔質ポリウレタン
層を形成する方法が好ましい。
【0017】繊維質シートの表面層に塗布するポリウレ
タンに関しても、含浸するポリウレタンと同様に貧溶媒
中で凝固時に多孔質層を形成するポリウレタンであれば
特に限定されないが、ソフトセグメント成分としてポリ
テトラメチレングリコールで代表されるポリエーテル系
のポリマーポリオールを用いたものが耐加水分解性など
の点で、更に本発明で用いる凝固調節剤が特に優れた効
果を発揮する点で好ましい。このほかにポリラクトン
系、ポリカーボネート系、ポリエステル系のものを用い
てもよい。これらポリマーポリオールとジイソシアネー
トと低分子量鎖伸長剤を反応せしめてポリウレタンを得
る。
【0018】ポリマーポリオールの数平均分子量は50
0〜5000にあるものが好ましい。ポリマーポリオー
ルの数平均分子量が500未満の場合には、得られる多
孔質層の表面が硬く、風合いのバランスに欠けるため好
ましくない。またポリマーポリオールの数平均分子量が
5000を越える場合には、ウレタン基濃度が減少する
ため耐表面摩耗性が低下し、耐久性、耐加水分解性にバ
ランスの取れたものが得られにくい。また低分子鎖伸長
剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレング
リコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどがあ
げられる。またジイソシアネートとしては、たとえば
4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート、トリレン
ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート等が挙げられる。
【0019】塗布するポリウレタン溶液の粘度として
は、塗布したポリウレタン液の繊維質シートへの沈み込
み程度、ポリウレタンの凝固性、塗布後の液の流動性な
どの点から、30℃でのポリウレタン溶液の粘度が10
〜150ポイズの範囲であるのが好ましい。さらに好ま
しくは生産時のポンプ供給の能力から20〜80ポイズ
の範囲内である。
【0020】塗布するポリウレタン溶液には、着色剤、
耐光剤、分散剤などの添加剤を目的に応じて添加しても
良い。また凝固後の多孔質の孔径の制御のため凝固調節
剤を添加する。本発明では、孔形状を制御する凝固調節
剤としてシリコーン側鎖の一部がポリウレタン化されて
いる凝固調節剤を添加する。また他の凝固調節剤を併用
しても構わない。
【0021】一般にシリコーン化合物からなる凝固調節
剤はポリウレタンの湿式凝固時に多孔質構造の孔径を小
さくかつ均一にする効果があり、皮革様シートの表面に
塗布するポリウレタンの凝固調節剤として使用した場
合、該シートは均一な折れシボ感、ポリウレタン構造が
均一であることによる物理的強度、および良好な表面平
滑性が得られる特長があり広範に使用されている。しか
し一方、シリコーン系凝固調節剤は多孔質ポリウレタン
層中に存在する場合ではポリウレタンが完全に固化して
いてもシリコーン系凝固調節剤が経時変化にて表面にブ
リードしてくる。シリコーン系凝固調節剤は同時にポリ
ウレタンのオリゴマーを表面にブリードさせるためくも
り発生の原因となり表面の艶感が変化し高級感が失われ
る原因となっていた。
【0022】本発明者らは、シリコーン系凝固調節剤と
し、シリコーン主鎖または側鎖の一部をポリウレタン化
したものを用いることにより、多孔質ポリウレタン層内
にとどめ、表面にブリードする現象を起こさなくするこ
とにより表面に艶変化の発生しない皮革様シートが得ら
れることを見いだした。
【0023】シリコーン主鎖または側鎖の一部をポリウ
レタン化する方法としては、反応性有機官能基を有する
シリコーン化合物と有機ポリイソシアネートをイソシア
ネート基が1個以上過剰となる条件で反応させ、残存す
るイソシアネート基に有機溶媒下で活性水素基を1個以
上有するポリオールを反応させる方法が好ましい。また
凝固調節剤中の残存するイソシアネート基と表面に塗布
するポリウレタン溶液中のイソシアネート基を反応さ
せ、凝固調節剤をポリウレタン層中に固着させるため
に、凝固調節剤中のイソシアネート基はポリオールと反
応したのちも残存することが好ましい。
【0024】反応性有機官能基を有するシリコーン化合
物としては、公知のシリコーンオイルが好適例として用
いられる。具体的な例としては下記のような化学式で表
されるシリコーンオイルが挙げられるが、目的とする効
果が得られれば下記式の化合物に限定されるものではな
い。
【0025】1)アミノ変性シリコーンオイル
【化1】
【化2】
【0026】2)エポキシ変性シリコーンオイル
【化3】
【0027】3)アルコール変性シリコーンオイル
【化4】
【0028】4)メルカプト変性シリコーンオイル
【化5】
【0029】5)カルボキシル変性シリコーンオイル
【化6】
【0030】本発明中に塗布するポリウレタン溶液の溶
媒として使用する有機溶剤としては、それぞれの反応原
料に対して不活性なものであれば特に限定されない。例
えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、
シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール、エチルセル
ソルブ、ヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられ
る。
【0031】上記凝固調節剤の添加量については、塗布
したポリウレタンが凝固後に多孔質層を形成する範囲で
あれば特に限定されない。ここで言う多孔質層が形成さ
れる範囲とは、好ましくは、凝固後のポリウレタンの断
面において孔径が表面に近いの部分では3μm以下であ
り、表面より離れた繊維質層に近い部分では5〜30μ
mで多孔質層が構成されることを指す。またここで言う
多孔質部分の孔径は凝固したポリウレタンを断面方向よ
り顕微鏡写真を撮り、この写真から得られる、多孔質部
分の個々の孔についての最大幅の平均値を意味し、孔の
最大径を意味するものではない。この孔径が好ましい範
囲より大きい場合にはポリウレタン層の摩耗性が低下
し、また折れシボ感も段ボールの折れ方に似た折れシボ
感となり好ましくない。特に表面より離れ繊維質層に近
い部分の孔径が30μmより大きい場合には後加工時に
ポリウレタン層がつぶれ、比重が上がり折れシボ、風合
いが悪くなるため好ましくなく、5μmより小さい場合
においても比重が高くなり過ぎて風合いが硬くなるため
好ましくない。したがって好ましい添加量の範囲として
は、多孔質層を形成するポリウレタン固形分の0.3〜
20重量%の範囲内であり、さらに好ましくは0.5〜
12重量%の範囲である。
【0032】塗布したポリウレタン溶液をポリウレタン
の非溶媒にて凝固し、固化して多孔質ポリウレタン層を
得る。該非溶媒としては水が用いられるが、多孔質ポリ
ウレタン層の孔径を小さくするためポリウレタンの溶媒
を混合した水溶液中にて凝固を行っても構わない。好ま
しい凝固条件としては、濃度管理および凝固速度の点か
ら5〜50重量%有機溶媒を混合した水溶液中にて凝固
させる方法である。
【0033】多孔質ポリウレタン層の厚さとしては、好
ましくは耐表面摩耗性、該シートの折れシボ感、風合い
の点から凝固後にて100μm〜600μmの範囲内で
ある。さらに好ましくは熱ロールによるプレス等の後加
工の厚みや該シートの風合い、折れシボの点から凝固後
にて200〜350μmの厚みの範囲内である。
【0034】得られた多孔質ポリウレタン層を有する繊
維質シートは、必要により表面に着色、艶調整、賦型の
処理を行い皮革様シートを得る。着色、艶調整材として
は、公知のものを使用して構わないが、好ましくは処理
表面が多孔質ポリウレタン層であるため密着性の点から
着色、艶調整材はポリウレタンである。また表面を賦型
したのちに表面層を研削しても構わない。
【0035】
【実施例】次に本発明の実施態様を実施例により具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中の部及び%は断わりのない
限り重量に関するものである。
【0036】実施例1 ナイロンとポリエチレンをチップで50/50の量率で
混合して、押出機にて紡糸を行い海島断面構造繊維(ナ
イロンが島成分、ポリエチレンが海成分)を紡糸し、延
伸、カットした4デニールの短繊維を得て、この繊維を
絡合して不織布を得た。該不織布にポリウレタン(ポリ
メチルペンタンアジペートとポリエチレングリコールか
らなる平均分子量2000のポリマージオール、4、
4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびブタン
ジオールからなるポリウレタン)のジメチルホルムアミ
ド(以下DMF)溶液を含浸し、湿式凝固させた後、繊維
中の島成分は溶解しないが海成分を溶解することのでき
る溶剤(トルエン)にて抽出除去し、目付450g/
2、厚み1.3mm、ポリウレタンと繊維の比率が5
5/45の基体層を得た。得られた繊維質基体のナイロ
ン極細繊維の単繊維の繊度は0.06デニールであり、
かつ柔軟な風合いを有していた。
【0037】ポリテトラメチレングリコールをポリオー
ル主成分としイソシアネート成分としてヘキサメチレン
ジイソシアネート、鎖伸長剤としてエチレングリコール
を使用したポリウレタンをジメチルホルムアミド(DM
F)に溶解させた固形分濃度17%、粘度40P(30
℃)のポリウレタン溶液に、アミノ基を反応性官能基と
して有する末端アミノプロピルポリメチルシロキサンを
ヘキサメチレンジイソシアネートと反応させ、更に末端
ジイソシアネートとポリプロピレングリコールを反応さ
せて得た凝固調節剤を添加した。該凝固調節剤の添加量
はポリウレタン固形分100部に対して3部であり、こ
のほかに黒色顔料を10部添加して混合した。このポリ
ウレタン溶液を該繊維質基体上に塗布量1000g/m
2にて塗布し、35℃のDMF/水=30/70の混合
溶液に投入しポリウレタンを凝固させた。このシートの
表面にポリウレタンをグラビア方式にて塗布し、艶感を
あたえるためカレンダーロールにて180℃で表面を熱
処理を行い、表面に銀面層を有した皮革様シートを得
た。この皮革様シートをくもりの促進のため90℃の状
態で10日間表面の経時変化を測定したが艶感の変化は
みられなかった。多孔質層部分のシート厚さ方向の断面
を顕微鏡で写真を撮り、孔の幅の平均値を求めてとこ
ろ、表面部分は約2μmであり、繊維基体層に近い部分
は約15μmであった。
【0038】実施例2 実施例1にて用いた不織布を用い、該不織布にポリウレ
タン(ポリメチルペンタンアジペートとポリエチレング
リコールからなる平均分子量2000のポリマージオー
ル、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよ
びブタンジオールからなるポリウレタン)のジメチルホ
ルムアミド(以下DMF)溶液を含浸した。次にポリテト
ラメチレングリコールをポリオール成分とし溶媒として
DMFを用いて得られる固形分20%、粘度60ポイズ
(30℃)のポリウレタン溶液に、ポリシロキサン主鎖
の反応性有機官能基を、有機ポリイソシアネートとして
ヘキサメチレンジイソシアネートを用いて反応させ、残
存イソシアネート基をポリプロピレングリコールと反応
させて得た凝固調節剤をポリウレタン固形分100部に
対して3部添加し、更に黒色顔料を10部添加して混合
した。該ポリウレタン溶液を該繊維質基体上にクリアラ
ンス1.6mmにて塗布量1000g/m2にて塗布
し、35℃のDMF/水=30/70の混合溶液に投入
し、不織布層に含浸したポリウレタンおよびコーティン
グしたポリウレタンを同時に凝固させた。その後、繊維
を構成するポリエチレンを除去したのち該繊維質基材の
表面にポリウレタンをグラビア方式にて塗布し、艶感を
あたえるためカレンダーロールにて180℃で表面を熱
処理を行い、表面に銀面層を有した皮革様シートを得
た。この皮革様シートをくもりの促進のため90℃の状
態で10日間表面の経時変化を測定したが艶感の変化は
みられなかった。多孔質層部分のシート厚さ方向の断面
を顕微鏡で写真を撮り、孔の幅の平均値を求めてとこ
ろ、表面部分は約2μmであり、繊維基体層に近い部分
は約15μmであった。
【0039】比較例1 実施例1にて得られた基体層にポリテトラメチレングリ
コールをポリオール主成分としDMFが溶媒である固形
分17%、粘度40ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液
にポリシロキサン成分を主とするシリコン系凝固調節剤
および黒色顔料を混合し、該繊維質基体上に塗布量10
00g/m2にて塗布し、35℃のDMF/水=30/
70の混合溶液に投入しポリウレタンを凝固させた。表
面を実施例1と同じくつや出しのためグラビア、カレン
ダー処理を行いくもり発生について90℃の状態で表面
状態を観察したところ3日後に表面が白っぽくなり、表
面を布で拭いて確認したところ、拭き取ったところと拭
き取ってないところで明らかに艶感の差がみられ、マイ
グレーションによるくもりが発生していることが確認さ
れた。多孔質層部分のシート厚さ方向の断面を顕微鏡で
写真を撮り、孔の幅の平均値を求めてところ、表面部分
は約1μmであり、繊維基体層に近い部分は約10μm
であった。
【0040】比較例2 実施例1にて得られた基体層にポリテトラメチレングリ
コールをポリオール主成分としDMFが溶媒である固形
分17%、粘度40ポイズ(30℃)のポリウレタン溶
液に黒色顔料のみを混合し、該繊維質基体上にクリアラ
ンス1.6mmにて塗布量1000g/m2にて塗布
し、35℃のDMF/水=30/70の混合溶液に投入
しポリウレタンを凝固させたところ、得られたシートの
風合いが天然皮革および実施例1で得られたシートに比
べて硬く、表面もところどころに直径1mm程度の凹み
が見られ、面感が悪くなった。多孔質層部分のシート厚
さ方向の断面を顕微鏡で写真を撮り、孔の幅の平均値を
求めてところ、表面部分は約10μmであり、繊維基体
層に近い部分は約50μmであった。
【0041】
【発明の効果】本発明にて得られる皮革様シートは、天
然皮革に類似の風合い、面感、通気性を有し、表面物性
に優れ、かつ経時変化による面感の変化が少ない特長を
有する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不織布と高分子弾性体からなる繊維質シー
    トの少なくとも片面に、ウレタン変性されたシリコーン
    重合体が混合されているポリウレタンからなる多孔質層
    が形成されている皮革様シート。
  2. 【請求項2】不織布と高分子弾性体からなる繊維質シー
    トの少なくとも片面にポリウレタン溶液を塗布して湿式
    凝固させることにより多孔質層を有する皮革様シートを
    製造する方法において、該ポリウレタン溶液に、シリコ
    ーン主鎖または側鎖の一部がポリウレタン化されている
    凝固調節剤を添加して湿式凝固することを特徴とする皮
    革様シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112961307A (zh) * 2021-02-09 2021-06-15 上海华峰新材料研发科技有限公司 一种无溶剂型聚氨酯树脂、含浸浆料及其制备方法和应用

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