JP4083190B2 - 賦型体の製造方法、基板用材料及び基板用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、賦型された形状が高温下でも保持される賦型体の製造方法に関し、より詳細には、熱可塑性樹脂と無機化合物とを含み、成形後の耐熱性に優れた賦型体の製造方法、並びに該賦型体の製造方法により得られた賦型体を用いて構成されている基板用材料及び基板用フィルムに関する。
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、電子機器に用いられる電子部品においても小型化及び軽量化の要請が高まっている。小型化及び軽量化にともなって、電子部品の素材についても、耐熱性、機械的強度、電気特性等の諸物性の更なる改善が求められている。例えば、半導体素子のパッケージや半導体素子を実装する配線板についても、より高密度、高機能、かつ、高性能なものが求められている。
電子機器に用いられる多層プリント基板は、複数層の絶縁基板により構成されている。従来、この層間絶縁基板としては、例えば、熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸させた熱硬化性樹脂プリプレグや、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を用いて構成されたフィルムが用いられてきた。上記多層プリント基板においても高密度化、薄型化のために層間を極めて薄くすることが望まれており、薄型のガラスクロスを用いた層間絶縁基板やガラスクロスを用いない層間絶縁基板が必要とされている。そのような層間絶縁基板としては、例えば、(1)ゴム(エラストマー)類、(2)アクリル樹脂等で変性した熱硬化性樹脂材料及び(3)無機充填剤を大量に配合した熱可塑性樹脂材料等を用いて構成されたものが知られている。
下記特許文献1には、高分子量エポキシ重合体及び多官能エポキシ樹脂等を主成分とするワニスに、所定の粒子径を有する無機充填剤を配合し、支持体に塗布して絶縁層とする多層絶縁基板の製造方法が開示されている。
一般に、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂では、成形後に熱または光による硬化が必要であった。従って、硬化工程を実施しなければならないため、生産性が低くならざるを得なかった。他方、熱可塑性樹脂を該熱可塑性樹脂のガラス転移点Tgまたは融点近傍まで加熱すると、ガラス転移点または融点より20℃〜40℃低い温度から樹脂が軟化し、変形や流動が起こる。従って、熱可塑性樹脂では、ガラス転移点Tgまたは融点が、該熱可塑性樹脂を用いた製品の必要耐熱温度以上であることが必要である。そのため、一般に、熱可塑性樹脂としては、ガラス転移点または融点が高いエンジニアリングプラスチックが用いられている。
熱可塑性樹脂の寸法安定性や機械的な物性を高めるために、熱可塑性樹脂に無機化合物を配合する方法が一般的に知られている。しかしながら、高温時の形状安定性を高めるには、熱可塑性樹脂中に、全体の50%以上を占めるように、多量の無機化合物を充填させたり、架橋させたりする必要があった。
また、近年、電子デバイスや通信デバイスの光化を目指した開発が進んでいる。このような光通信用高分子材料における現状での課題は、低損失であること、耐熱性に優れていること、低熱線膨張係数を有すること、耐湿性に優れていること、屈折性能制御を行ない得ることなどである。ここで、光通信用材料において低損失性であるとは、光通信に使用する波長帯に材料自体が光吸収帯を有しないことを意味する。
光通信用材料として、下記の非特許文献1には、複製ポリマー光導波路が開示されている。ここでは、所望のコアパターンを型取った金型(スタンパ)が光硬化性樹脂に押しつけられ、しかる後UV照射によりコアパターンが転写されている。例えば、同様の工法を熱可塑性樹脂に用いた場合、高温に加熱され、樹脂が軟化している状態で金型(スタンパ)を押しつけた後、樹脂を充分に冷却せずに、比較的高温のまま剥離すると、変形して、形状が保持できなかったり、パターンが金型に残ったりする問題があった。
従って、熱可塑性材料において、低線膨張率、低吸湿性等などの物性に優れているだけでなく、製造サイクルを短くするために、賦型後の離型性及び耐熱性に優れていることが強く望まれている。さらに、光通信材料として熱可塑性材料を用いた場合には、これらの特性の他に、透明性も要求されている。
電子材料2002年12月号 第27頁〜第30頁「複製ポリマー光導波路」
本発明は、賦型された形状を、賦型後の加熱時にも保持することができるという力学的物性、寸法安定性、耐熱性等に優れ、特に微細成形性、高温物性に優れた賦型体の製造方法、並びに該賦型体の製造方法により得られた賦型体を用いて構成された基板用材料及び基板用フィルムを提供することを目的とする。
第1の発明に係る賦型体の製造方法は、非晶性の熱可塑性樹脂としてのポリオレフィン系樹脂又は(メタ)アクリル酸エステル系樹脂100重量部と、前記熱可塑性樹脂中に分散された無機化合物0.1〜100重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物に、金型を用いて金型形状を転写して、前記熱可塑性樹脂組成物を賦型することにより、賦型した形状が、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上で75%以上保持される賦型体を得ることを特徴とする。
第2の発明に係る賦型体の製造方法は、結晶性の熱可塑性樹脂としてのポリオレフィン系樹脂又は(メタ)アクリル酸エステル系樹脂100重量部と、前記熱可塑性樹脂中に分散された無機化合物0.1〜100重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物に、金型を用いて金型形状を転写して、前記熱可塑性樹脂組成物を賦型することにより、賦型した形状が、熱可塑性樹脂の融点以上で75%以上保持される賦型体を得ることを特徴とする。
本発明(第1,第2の発明)では、好ましくは、上記無機化合物の分散粒径は2μm以下である。
また、好ましくは、上記無機化合物が、珪素及び酸素を構成元素として保有しており、より好ましくは、上記無機化合物は層状珪酸塩である。
本発明に係る基板用材料及び基板用フィルムは、本発明の賦型体の製造方法により得られた賦型体を用いて構成されていることを特徴とする。
第1の発明に係る賦型体の製造方法により得られた賦型体では、非晶性の熱可塑性樹脂100重量部に対し、無機化合物が0.1〜100重量部の割合で配合されており、かつ賦型した形状がガラス転移温度より20℃減じた温度以上でも75%以上保持されるため、耐熱性に優れている。
一般に、非晶性の熱可塑性樹脂では、ガラス転移点Tg近傍まで昇温されると、流動性が急激に増加する。従って、加熱による成形自体は、比較的容易であった。他方、賦型後の寸法安定性や形状保持性は、非晶性の熱可塑性樹脂をガラス転移点Tg近傍まで昇温すると急激に悪化する。
しかしながら、本発明に係る賦型体の製造方法により得られた賦型体では、上記非晶性の熱可塑性樹脂100重量部に対し、無機化合物が0.1〜100重量部の割合で配合されており、賦型した形状がガラス転移温度より20℃減じた温度以上においても、75%以上保持される。すなわち、賦型後の樹脂の流動性が拘束され、高温時における形状保持性や寸法安定性が効果的に高められる。
同様に、第2の発明に係る賦型体の製造方法により得られた賦型体では、結晶性の熱可塑性樹脂100重量部に対し、無機化合物が0.1〜100重量部の割合で配合されており、かつ賦型した形状が融点より20℃減じた温度以上の温度でも75%以上保持されるため、成形品の耐熱性に優れている。そして、賦型後にも樹脂の流動性が拘束されるので、高温時における成形品の寸法安定性や形状保持性が効果的に高められている。
本発明では、上記無機化合物の分散粒径が2μm以下である場合には、熱可塑性樹脂と無機化合物との界面の面積が大きくなり、高温下における粘度が上昇することとなる。そのため、賦型した形状の保持性がより効果的に高められる。
上記無機化合物として層状珪酸塩を用いた場合には、形状保持率が効果的に高められるだけでなく、断熱性及び耐熱性にすぐれた成形品を得ることができる。
本発明に係る基板用材料及び基板用フィルムは、本発明に係る賦型体の製造方法により得られた賦型体を用いて構成されている。従って、基板用材料や基板用フィルムの物性、寸法精度及び耐熱性を高めるだけでなく、様々な形状の基板用材料及び基板用フィルムを高精度に熱成形により得ることができる。
図1は実施例及び比較例で形状保持性評価の1つとして賦型後の自立性を評価した方法を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための具体的な形態につき説明し、本発明を明らかにする。
上記熱可塑性樹脂組成物を用いた場合、一般的な熱可塑性樹脂組成物の熱成形における急激な温度変化や圧力変化にともなう樹脂の絞り出し、浸み出し、及び成形体の割れが生じにくい。なお、一般的な熱成形とは、例えば、射出成形法、圧縮成形法、熱溶融押出成形法、熱積層成形法、SMC成形法などを広く含むものとする。
一般に、熱成形において、ポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂のような熱可塑性樹脂は、非晶性樹脂の場合には、ガラス転移点Tg、結晶性樹脂の場合には融点近傍まで昇温されると、流動性が急激に増加する。従って、加熱による成形は比較的容易であった。
他方、賦型後の寸法安定性や形状保持性に関しては、熱可塑性樹脂をガラス転移点Tgや融点近傍まで昇温すると、急激に悪化する。しかしながら、上記熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、賦型後にも樹脂の流動性が拘束され、従って高温時における寸法安定性や形状保持性を効果的に高めることができる。
上記熱可塑性樹脂組成物は、非晶性または結晶性の熱可塑性樹脂組成物100重量部と、無機化合物0.1〜100重量部とを含み、本発明の賦型体の製造方法により得られた賦型体は、賦型後に、非晶性の熱可塑性樹脂ではガラス転移温度Tgより20℃減じた温度以上、結晶性の熱可塑性樹脂では融点より20℃減じた温度以上に昇温されたとしても、賦型された形状を75%以上保持する。
上記75%以上で表される形状保持率は、Hを円柱状に賦型された形状の高さ、Dを直径とした場合、昇温前後のH/Dの割合から求めることができる。例えば、昇温前にH/D=2の形状となるように賦型し、昇温後にH/Dが1.5以上であれば、形状保持率は75%以上となる。
なお、本発明においては、熱可塑性樹脂組成物の賦型方法は特に限定されず、プレスあるいは圧縮等の適宜の方法により行なうことができる。
形状保持率が75%以上であれば、比較的、耐熱性の低い汎用樹脂であっても、使用可能環境が拡大する。
上記熱可塑性樹脂組成物では、成形の際に、Tgあるいは結晶化温度以下までに完全に冷却しなくても、高温で賦型が容易であるため、生産性を容易に高めることができる。なお、上記形状保持率は、より好ましくは80%以上である。
本発明において、上記熱可塑性樹脂組成物に配合される無機化合物は、特に限定されないが、好ましくは、熱可塑性樹脂中における分散粒径が2μm以下である無機化合物である。一般的に熱可塑性樹脂に無機化合物が添加されると、得られる複合材料の弾性率や熱溶融時などの高温時の粘度が高くなる。特に、粒径が小さい無機化合物が添加されると、樹脂と無機化合物との界面積が大きくなり、高温における粘度が上昇する。本発明においては、2μm以下の分散粒径を有する無機化合物を配合することにより、上記熱可塑性樹脂組成物の形状保持率が効果的に高められる。好ましくは、分散粒径が1μm以下の無機化合物が用いられる。
上記無機化合物の例としては、シリカ、タルク、マイカ、金属水酸化物、炭酸カルシウム、珪酸塩などが挙げられる。特に、樹脂中における分散粒径が2μm以下である無機化合物としては、フュームドシリカ、エアロジルなどの珪素及び酸素を含む微粉シリカなどが、比表面積が大きく、樹脂との拡散面積が大きくなるため好適に用いられる。
また、上記樹脂組成物では、より好ましくは、樹脂中において分散粒径が2μm以下である無機化合物は層状珪酸塩である。層状珪酸塩は、板状の無機化合物であり、アスペクト比が大きい。層状珪酸塩を添加すると、得られる複合材料の弾性率や、熱溶融時等などの高温時の粘度が高められる。特に、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩の薄片状結晶が剥離し、高度に分散している場合、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面積が非常に大きくなり、層状珪酸塩を少量添加した場合であっても、高温下における粘度を高めることができる。
上記層状珪酸塩としては、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スティブンサイト及びノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカ、バーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられる。なかでも、モンモリロナイト、ヘクトライト、膨潤性マイカ、及び、バーミキュライトからなる群より選択される少なくとも1種が好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
層状珪酸塩が、モンモリロナイト、ヘクトライト、膨潤性マイカおよびバーミキュライトからなる群より選択される少なくとも1種である場合には、樹脂中の分散性が高まり、樹脂と層状珪酸塩との界面積が大きくなる。よって、樹脂の拘束効果が高まるため、樹脂強度や、高温での寸法安定性を向上させることができる。
上記層状珪酸塩の結晶形状としては特に限定されないが、平均長さの好ましい下限は0.01μm、上限は3μm、厚さの好ましい下限は0.001μm、上限は1μm、アスペクト比の好ましい下限は20、上限は500であり、平均長さのより好ましい下限は0.05μm、上限は2μm、厚さのより好ましい下限は0.01μm、上限は0.5μm、アスペクト比のより好ましい下限は50、上限は200である。
上記層状珪酸塩は、下記式(1)で定義される形状異方性効果が大きいことが好ましい。形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、上記樹脂組成物から得られる樹脂は優れた力学的物性を有するものとなる。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶表面(B)の面積…(1)
式中、結晶表面(A)は層表面を意味し、結晶表面(B)は層側面を意味する。
上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の薄片状結晶表面に存在するナトリウムやカルシウム等の金属イオンを意味する。これらの金属イオンは、カチオン性物質とのカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)することができる。
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量としては特に限定されないが、好ましい下限は50ミリ等量/100g、上限は200ミリ等量/100gである。カチオン交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、カチオン交換により層状珪酸塩の結晶層間にインターカレートされるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が充分に非極性化(疎水化)されないことがある。カチオン交換容量が200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
上記層状珪酸塩としては、化学処理されることにより樹脂中への分散性を向上されたものが好ましい。このような処理がされた層状珪酸塩を、以下、有機化層状珪酸塩ともいう。上記化学処理としては、例えば、以下に示す化学修飾(1)法〜化学修飾(6)法によって実施することができる。これらの化学修飾法は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化学修飾(1)法は、カチオン性界面活性剤によるカチオン交換法ともいい、具体的には、低極性樹脂を用いて上記樹脂組成物を得る際に予め層状珪酸塩の層間をカチオン性界面活性剤でカチオン交換し、疎水化しておく方法である。予め層状珪酸塩の層間を疎水化しておくことにより、層状珪酸塩と低極性樹脂との親和性が高まり、層状珪酸塩を低極性樹脂中により均一に微分散させることができる。
上記カチオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられる。なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を充分に疎水化できることから、炭素数6以上のアルキルアンモニウムイオン、芳香族4級アンモニウムイオン又は複素環4級アンモニウムイオンが好適に用いられる。
上記4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、トリメチルアルキルアンモニウム塩、トリエチルアルキルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、ジブチルジアルキルアンモニウム塩、メチルベンジルジアルキルアンモニウム塩、ジベンジルジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩;ベンジルメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル}アンモニウムクロライド等の芳香環を有する4級アンモニウム塩;トリメチルフェニルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アンモニウム塩;アルキルピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等の複素環を有する4級アンモニウム塩;ポリエチレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が好適である。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化学修飾(2)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、水酸基と化学結合し得る官能基又は水酸基との化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法である。
上記水酸基と化学結合し得る官能基又は水酸基との化学的親和性の大きい官能基としては特に限定されず、例えば、アルコキシ基、グリシジル基、カルボキシル基(二塩基性酸無水物も包含する)、水酸基、イソシアネート基、アルデヒド基等が挙げられる。
上記水酸基と化学結合し得る官能基を有する化合物又は水酸基との化学的親和性の大きい官能基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、上記官能基を有する、シラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、スルホン酸類、アルコール類等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記シラン化合物としては特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化学修飾(3)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、水酸基と化学結合し得る官能基又は水酸基と化学的親和性の大きい官能基と、反応性官能基を分子末端に1個以上有する化合物とで化学処理する方法である。
上記化学修飾(4)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を有する化合物で化学処理する方法である。
上記アニオン性界面活性を有する化合物としては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化学処理できるものであれば特に限定されない。上記アニオン性界面活性を有する化合物としては、例えば、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化学修飾(5)法は、上記アニオン性界面活性を有する化合物のうち、分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理する方法である。
上記化学修飾(6)法は、化学修飾(1)法〜化学修飾(5)法のいずれかの方法で化学処理された有機化層状珪酸塩に、更に、例えば、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂のような層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する樹脂を用いる方法である。
上記層状珪酸塩は、上記樹脂組成物中に、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下であるように分散していることが好ましい。上記平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下であるように層状珪酸塩が分散していることにより、樹脂と層状珪酸塩との界面面積は充分に大きくなる。さらに、層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離は適度なものとなり、高温物性、力学的物性、耐熱性、寸法安定性等において分散による改善効果を充分に得ることができる。
上記平均層間距離の好ましい上限は5nmである。5nmを超えると、層状珪酸塩の結晶薄片が層毎に分離して相互作用が無視できるほど弱まるので、高温での束縛強度が弱くなり、充分な寸法安定性が得られないことがある。
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の薄片状結晶を層とみなした場合における層間の距離の平均を意味する。平均層間距離は、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影、すなわち、広角X線回折測定法により算出することができる。
上記一部又は全部の積層体が5層以下であるように層状珪酸塩が分散しているとは、具体的には、層状珪酸塩の薄片状結晶間の相互作用が弱められて薄片状結晶の積層体の一部又は全部が分散していることを意味する。好ましくは、層状珪酸塩の積層体の10%以上が5層以下の状態で分散されており、層状珪酸塩の積層体の20%以上が5層以下の状態で分散されていることがより好ましい。
なお、5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合は、樹脂組成物を透過型電子顕微鏡により5万〜10万倍に拡大して観察し、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層体の全層数X及び5層以下の積層体として分散している積層体の層数Yを計測することにより、下記式(2)から算出することができる。
5層以下に分散している層状珪酸塩の割合(%)=(Y/X)×100…(2)
また、層状珪酸塩の積層体における積層数としては、層状珪酸塩の分散による効果を得るためには5層以下であることが好ましく、より好ましくは3層以下であり、更に好ましくは1層である。
上記樹脂組成物では、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下である層状珪酸塩が分散されている場合には、樹脂と層状珪酸塩との界面面積が充分に大きくなって、樹脂と層状珪酸塩の表面との相互作用が大きくなる。よって、溶融粘度が高まり熱プレスなどの熱成形性が向上することに加え、シボ、エンボスなど賦形した形状も保持しやすく、また、常温から高温までの広い温度領域で弾性率等の力学的物性が向上する。さらに、樹脂のTg又は融点より20℃減じた温度以上の高温でも力学的物性を保持することができ、高温時の線膨張率も低く抑えることができる。かかる理由は明らかではないが、Tg又は融点より20℃減じた温度以上の温度領域においても、微分散状態の層状珪酸塩が一種の疑似架橋点として作用しているために、これら物性が発現すると考えられる。また、この疑似架橋点は共有結合を含むものではないので、一定の剪断速度のもとではこの疑似架橋点は維持されず、従って、熱成形においては充分な流動性を保持するものと考えられる。一方、層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離も適度なものとなるので、燃焼時に、層状珪酸塩の薄片状結晶が移動して難燃被膜となる焼結体を形成しやすくなる。この焼結体は、燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスをも遮断することができ、上記樹脂組成物は優れた難燃性を発現する。
更に、上記樹脂組成物では、ナノメートルサイズで層状珪酸塩が微分散していることから、透明性に優れる。また、ドリル穿孔やレーザ穿孔による加工については、局所的な大きな無機化合物がないため、容易である。
熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩を分散させる方法は特に限定されず、例えば、有機化層状珪酸塩を用いる方法、樹脂と層状珪酸塩とを常法により混合する方法、分散剤を用いる方法、層状珪酸塩を溶剤に分散させた状態で樹脂と混合させる方法などが挙げられる。
上記無機化合物の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する配合量に関しては、下限は0.1重量部、上限は100重量部である。上記無機化合物の配合量が0.1重量部未満であると、高温物性や吸水性の改善効果が小さくなり、昇温後の形状の保持性が低下する。上記無機化合物の配合量が100重量部を超えると、上記樹脂組成物の密度(比重)が高くなり、機械的強度も低下することから実用性に乏しくなる。上記無機化合物の配合量のさらに好ましい下限は1重量部、さらに好ましい上限は80重量部である。上記無機化合物の配合量が1重量部未満であると、上記樹脂組成物を薄く成形した際に充分な高温物性の改善効果が得られないことがある。上記無機化合物の配合量が80重量部を超えると、成形性が低下することがある。また、上記無機化合物の配合量が5〜40重量部であると、力学的物性、工程適性において問題となる領域はなく、賦型後の形状保持性と充分な高温物性、低吸水性が得られる。
所望の形状に賦型する場合、層状珪酸塩は、上記熱可塑性樹脂分100重量部に対し、0.2〜40重量部の範囲で含まれていることが好ましい。層状珪酸塩は、0.5〜20重量部の範囲で含まれていることがより好ましく、1.0〜10重量部の範囲で含まれていることがさらに好ましい。層状珪酸塩が0.2重量部より少ないと、賦型後の機械的物性が低下することがあり、層状珪酸塩が40重量部より多いと、樹脂の粘度が高くなり所望の形状に賦型し難くなる。
また、熱可塑性樹脂組成物が層状珪酸塩以外の無機化合物を含んでいる場合、層状珪酸塩と無機化合物との配合比率は、1:1〜1:20の範囲で含まれていることが好ましい。配合比率が1:1〜1:20の範囲である場合には、樹脂の粘度が大幅に増加することがなく、さらに、機械的物性等を向上することができる。よって、配合比率を1:1〜1:20の範囲とすれば、フロー性が良好となるため、追従性及び平坦性に優れ、さらに機械的物性等にも優れる。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂組成物は、優れた高温物性を有するものであり、上記のように、熱可塑性樹脂100重量部に対し、無機化合物が0.1〜100重量部の範囲で配合されていることを特徴とする。ここで、用いられる熱可塑性樹脂とは、常温では、半固形状または固形のいずれであってもよく、加熱により可塑化する樹脂を広く含むものとする。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリスチレン樹脂等のポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂と相溶し得る熱可塑性樹脂との混合物、脂環式炭化水素樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂;ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂との混合物、脂環式炭化水素樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及び、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
上記ポリフェニレンエーテル樹脂とは、下記式(1A)に示した繰り返し単位からなるポリフェニレンエーテル単独重合体又はポリフェニレンエーテル共重合体である。
Figure 0004083190
上記式(1A)中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基又はアルコキシル基を表す。これらのアルキル基、アラルキル基、アリール基及びアルコキシル基は、それぞれ官能基で置換されていてもよい。
上記ポリフェニレンエーテル単独重合体としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6− イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
上記ポリフェニレンエーテル共重合体としては、例えば、上記ポリフェニレンエーテル単独重合体の繰り返し単位中に2,3,6−トリメチルフェノール等のアルキル三置換フェノール等を一部含有する共重合体や、これらのポリフェニレンエーテル共重合体に更にスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーの1種又は2種以上がグラフト共重合された共重合体等が挙げられる。これらのポリフェニレンエーテル樹脂は、それぞれ単独で用いられてもよく、組成、成分、分子量等の異なるものが2種以上併用されてもよい。
上記官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、上記ポリフェニレンエーテル樹脂が無水マレイン酸基、グリシジル基、アミノ基、アリル基等の官能基の1種又は2種以上で変性されたもの等が挙げられる。これらの官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂を熱可塑性樹脂として用いると、架橋反応することにより上記樹脂組成物の力学的物性、耐熱性、寸法安定性等をより向上させることができる。
上記ポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂との混合物としては、例えば、上記ポリフェニレンエーテル樹脂又は上記官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂と、スチレン単独重合体;スチレンと、α−メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン及びビニルトルエン等のスチレン系モノマーの1種又は2種以上との共重合体;スチレン系エラストマー等のポリスチレン樹脂との混合物等が挙げられる。
上記ポリスチレン樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、これらのポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂との混合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記脂環式炭化水素樹脂としては、高分子鎖中に環状の炭化水素基を有する炭化水素樹脂であり、例えば、環状オレフィン、すなわちノルボルネン系モノマーの単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらの脂環式炭化水素樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン、メタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノドデカヒドロアントラセン、ジメタノデカヒドロアントラセン、トリメタノドデカヒドロアントラセン、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロベンゾインデン、ジメタノオクタヒドロベンゾインデン、メタノデカヒドロベンゾインデン、ジメタノデカヒドロベンゾインデン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロフルオレンやこれらの置換体等が挙げられる。これらの環状オレフィンは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン等の置換体における置換基としては、例えば、アルキル基、アルキリデン基、アリール基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、グリシジル基、ピリジル基、ハロゲン原子等の公知の炭化水素基や極性基が挙げられる。これらの置換基は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン等の置換体としては、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等が挙げられる。これらのノルボルネン等の置換体は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記脂環式炭化水素樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ジェイエスアール(JSR)社製の商品名「アートン」シリーズや日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」シリーズ等が挙げられる。
上記熱可塑性ポリイミド樹脂としては、例えば、分子主鎖中にイミド結合とエーテル結合とを有するポリエーテルイミド樹脂、分子主鎖中にイミド結合とアミド結合とを有するポリアミドイミド樹脂、分子主鎖中にイミド結合とエステル結合とを有するポリエステルイミド樹脂等が挙げられる。また、用いる原料としては特に限定されず、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸ニ無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメテート)、(5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等からなるテトラカルボン酸無水物と4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミンが挙げられる。
上記熱可塑性ポリイミド樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記熱可塑性ポリイミド樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、三井化学社製の商品名「オーラム」シリーズ等が挙げられる。
上記ポリエーテルエーテルケトン樹脂としては、例えば、ジハロゲノベンゾフェノンとヒドロキノンとを重縮合して得られるもの等が挙げられる。上記ポリエーテルエーテルケトン樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ICI社製の商品名「Victrex PEEK」等が挙げられる。
上記熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂としては、例えば、ジオクタデシルテレフタルアルドイミンと3,3'−ジアミノベンジジンとを重縮合して得られるもの等が挙げられる。市販されているものとしては、例えば、クラリアントジャパン社製の商品名「セラゾール」シリーズ等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンとプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのα−オレフィンとの共重合体、ポリプロピレン、エチレンとアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸との共重合体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体である。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、一般式CH2 =C(R1 )COO−R2{式中、R1は、水素原子又はメチル基を示し(アクリル酸エステルの場合は水素原子を示し、メタクリル酸エステルの場合はメチル基を示す)、R2は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び、ハロゲン、アミン、エーテル等の官能基を含む炭化水素基の中から選択される1価の基を示す}で表されるものが好適に用いられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルオリル、(メタ)アクリル酸2,3−ジブロモプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が80℃以上であり、かつ、1MHzでの誘電率が4.5以下であることが好ましい。ガラス転移温度が80℃以上であり、かつ、1MHzでの誘電率が4.5以下であることにより、上記樹脂組成物からなる樹脂材料は、高温物性、特に、鉛フリーハンダ耐熱性や加熱に対する寸法安定性が改善される。よって、電子材料として必要な高い信頼性を得ることができ、かつ、高周波領域における信号の伝達速度においても、電子材料として必要な伝達速度が得られる。ガラス転移温度は、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。1MHzの誘電率は、より好ましくは4.0以下であり、更に好ましくは3.6以下である。
上記樹脂組成物には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で、熱可塑性エラストマー類が配合されても良い。熱可塑性エラストマー類としては特に限定されず、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。樹脂との相容性を高めるために、これらの熱可塑性エラストマーを官能基変性したものであってもよい。これらの熱可塑性エラストマー類は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂組成物には本発明の課題達成を阻害しない範囲で、架橋ゴム類が配合されても良い。架橋ゴム類としては特に限定されず、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。樹脂との相溶性を高めるために、これらの架橋ゴムを官能基変性したものであることが好ましい。上記官能基変性した架橋ゴムとしては特に限定されず、例えば、エポキシ変性ブタジエンゴムやエポキシ変性ニトリルゴム等が挙げられる。これらの架橋ゴム類は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る基板用材料及び基板用フィルムは、本発明に係る賦型体の製造方法により得られた賦型体を用いて構成されていることを特徴とする。この場合、基板用材料及び基板用フィルムの成形後の形状は特に限定されるものではないが、上記熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、耐熱性が高められる。従って、様々な形状の基板用材料を本発明に従って形成することができる。また、本発明に係る基板用材料及び基板用フィルムは、無機化合物が熱可塑性樹脂に対して上記特定の割合で配合されているため、力学的物性及び寸法安定性にも優れている。
また、上記熱可塑性樹脂組成物では、熱可塑性樹脂中に無機化合物が、微細に、特に好ましくはナノメートルサイズで微分散していることから低線膨張率、耐熱性、低吸水率であることに加え、高い透明性をも実現できる。従って、上記熱可塑性樹脂組成物は、光パッケージの形成材料、光導波路材料、ポリマー光ファイバー用材料、接続材料、封止材料等の光回路形成材料、光通信用材料としても好適に使用することができる。
上記光通信材料として使用する場合、光通信などに用いる光源としては、可視光、赤外線および紫外線など任意の波長を生成する任意の光源が使用可能であり、レーザ、発光ダイオード、キセノンランプ、アーク灯、白熱電球、蛍光放電灯等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂組成物は、光導波路のコア層および/またはグラッド層として用いることが出来る。光導波路は、光を通すコア層とコア層に接するグラッド層から構成され、光源に使用する光に対し、減衰率の小さいコア層と、それに接する屈折率の異なるグラッド層が、コア層の屈折率をNk、グラッド層の屈折率をNgとすると、Nk>Ngを満足するように構成される。
上記熱可塑性樹脂組成物以外に、上記コア層またはグラッド層として用いることが出来る材料としては、例えば、ガラス、石英、エポキシ樹脂、非熱可塑性フッ素樹脂、シリコン系樹脂、ポリシラン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、上記熱可塑性樹脂組成物は、平板状のコア層と薄い平板状のグラッド層からなる平面型光導波路を形成し、薄いグラッド層に対し、コア層と反対側に媒体を配し、媒体側ににじみ出る光(エバネッセント波)を用いたセンサー用材料などに用いることができる。
上記光回路成形材料として使用する場合、光回路の形成方法としては、例えば、ガラスエポキシ基板上に、熱硬化性アクリル樹脂組成物を溶剤に溶解し、下部グラッド層としてスピンコートで塗布、加熱して形成し、その上に下部グラッド層よりも屈折率が高く熱可塑性樹脂であるアクリル系樹脂とからなる上記樹脂組成物を用いたコア層を熱成型により形成する。そのあとにドライエッチングなどでコア層のパターンニングを行い、更にコア層よりも屈折率が低く熱可塑性樹脂であるアクリル系樹脂とからなる上記樹脂組成物を用いた上部グラッド層を熱成型により形成するなどして光回路を形成することが挙げられる。
上記樹脂組成物の成形方法としては特に限定されず、例えば、押出機にて、溶融混練した後に押出し、Tダイやサーキュラーダイ等を用いてフィルム状に成形する押出成形法;有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させた後、キャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法;有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散して得たワニス中に、ガラス等の無機材料や有機ポリマーからなるクロス状又は不織布状の基材をディッピングしてフィルム状に成形するディッピング成形法等が挙げられる。なお、上記ディッピング成形法において用いる基材としては特に限定されず、例えば、ガラスクロス、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキサゾール繊維等が挙げられる。
また、上記の方法で得られた上記樹脂組成物は、射出成形法、圧縮成形法、熱溶融押出成形法、熱積層成形法、SMC成形法など一般的な可塑性樹脂の成形に非常に適しており、また金型(スタンパ)を用いて所望のコアパターンを転写させるような成形法にも好適である。
上述したように、上記熱可塑性樹脂組成物、および該熱可塑性樹脂組成物を用いて構成されている樹脂シート等は、透明性に優れている。よって、導波路のコア層にグラッド層材料として、また、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)などの用途の基盤として、金型形状を上記樹脂組成物に転写、成形する場合や、電気電子材料、特に絶縁フィルム、接着フィルムとして基材に積層する場合などにアライメント(位置あわせ)が容易となる。さらに、エアー巻き込みによるボイドの有無の確認も容易となる。
(実施例)
以下、本発明の具体的な実施例を得ることにより、本発明を詳細に説明する。もっとも、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
熱可塑性樹脂であるメチルメタクリレート52重量部と、熱可塑性樹脂であるイソボルニルアクリレート50重量部と、イオン交換水56.3重量部と、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム33.8重量部と、連鎖移動剤としてメルカプトエタノール0.058重量部とを混合し、撹拌して乳化モノマー液を調製した。
一方、1Lのガラス反応器に残りのイオン交換水225重量部と合成ヘクトライト(コープケミカル社製、SAN)20.4重量部とを入れ、攪拌を開始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧力を大気圧まで戻して、内部を窒素雰囲気とした後、重合槽を70℃まで昇温した。重合槽に過硫酸アンモニウム0.51重量部を添加した後、上記乳化モノマー液を重合槽に滴下し重合を開始した。モノマー滴下は60分間掛けて行い、その後1時間の熟成期間を行った後、重合槽を室温まで冷却した。固形分濃度約25重量%、平均粒径約15μmの層状珪酸塩と樹脂との複合物を含むスラリーを得た。
このスラリーを室温で静置乾燥した後、160℃の熱プレスにて、厚さ1mm及び100ミクロンの各板状成形体を作製した。
上記のようにして得た板状成形体について、ガラス転移点Tgを測定したところ、111℃であった。
また、(1)熱膨張係数の測定、(2)全光線透過率、(3)層状珪酸塩の平均層間距離の測定、(4)5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合、(5)樹脂中の層状珪酸塩の分散粒径、及び(6)形状保持率を後述の評価方法に従って評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
層状珪酸塩の配合割合が、熱可塑性樹脂100重量部に対して80〜100重量部の範囲であると、重合法では分散が難しくなるので、押出機を用いて樹脂組成物を作成した。
日本製鋼所製小型押出機「TEX30」中に、熱可塑性樹脂である低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製、「LE520」)93重量部、熱可塑性樹脂である無水マレイン酸変性ポリエチレンオリゴマー(三洋化成社製、「ユーメックス」:官能基含有量=0.23ミリモル/g)7重量部、及びジメチルジオクタデシル4級アンモニウム塩で有機化処理が施された合成ヘクトライト(コープケミカル社製、ルーセンタイトSAN)80重量部の配合割合となるようにフィードし、設定温度180℃にて溶融混練し、押出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。
得られたペレットを160℃に温調した熱プレスにより厚さ100μmおよび1mmの板状物を成形し、評価用サンプルとした。
成形体の融点は、DSC(EXSTAR6200、セイコーインスツルメンツ社製)で昇温条件10℃/分で測定し、低密度ポリエチレン樹脂のピークと無水マレイン酸変性ポリエチレンオリゴマーの弱いピークとが見られたが、樹脂組成物中のピークの大部分を占める低密度ポリエチレン樹脂のピーク温度(105℃)を融点とみなした。
(実施例3)
熱可塑性樹脂100重量部に対して合成ヘクトライト(コープケミカル社製、ルーセンタイトSAN)4重量部を用いたこと以外は実施例1と同様に作製した。その結果、成形体のガラス転移点Tgは109℃であった。
(比較例1)
合成ヘクトライト(コープケミカル社製、ルーセンタイトSAN)を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物及び成形体を作製し、評価した。その結果、成形体のガラス転移温度Tgは94℃であった。
(比較例2)
熱可塑性樹脂100重量部に対して合成ヘクトライト(コープケミカル社製、ルーセンタイトSAN)の配合割合が120重量部となるようにフィードした以外は、実施例2と同様に作製した。成形体の融点は、実施例2と同様に105℃を融点とみなした。
(1)熱膨張係数の測定
厚さ100μmの各板状成形体を裁断して3mm×25mmにした試験片を、TMA(thermomechanical Analysys)装置(セイコー電子社製、TMA/SS120C)を用いて、昇温速度5℃/分で昇温し、平均線膨張率の測定を行い、以下の項目について評価を行った。
・樹脂組成物のガラス転移温度よりも50℃〜10℃低い温度での平均線膨張率(α1)[℃-1]。
・樹脂組成物のガラス転移温度よりも10℃〜50℃高い温度での平均線膨張率(α2)[℃-1]。
(2)全光線透過率の測定
用途に応じて必要とされる光波長領域において透過率の最小値を全光線透過率とするが、本実施例および比較例では190nm〜3200nmまでの範囲で求めた。透過率は紫外可視分光光度計(島津製作所社製、UV−3150)を用いて、求めることができる。
(3)層状珪酸塩の平均層間距離
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)を用いて、厚さ100μmの板状成形体中の層状珪酸塩の積層面の回折より得られる回折ピークの2θを測定した。下記式(3)のブラックの回折式により、層状珪酸塩の(001)面間隔dを算出し、得られたdを平均層間距離(nm)とした。
λ=2dsinθ ・・・(3)
上記式(3)中、λは0.154オングストロームであり、θは回折角を表す。
(4)5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合
厚さ100μmの板状成形体を透過型電子顕微鏡により10万倍で観察し、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層体の全層数X及び5層以下で分散している層状珪酸塩の層数Yを計測した。下記式(4)により5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合(%)を算出した。
5層以下に分散している層状珪酸塩の割合(%)=(Y/X)×100 …(4)
(5)樹脂中分散粒径の測定
厚さ100μmの板状成形体を透過型電子顕微鏡により1万倍で観察し、一定面積中において観察できる無機化合物の長辺を測定した。
(6)吸水率の測定
厚さ100μmの板状成形体を3×5cmの短冊状にした試験片を作製し、150℃で5時間乾燥させた後の重さ(W1)を測定した。次いで、試験片を水に浸漬し、100℃の沸騰水中に1時間放置した後取り出し、ウエスで丁寧に拭き取った後の重さ(W2)を測定した。下記式により吸水率を求めた。
吸水率(%)=(W2−W1)/W1×100
(7)形状保持性の確認
1mmの試験用シートを150℃に加熱した平板プレスにおいて、凹溝を有する金型で5MPaの圧力で1分間プレスし、100μm/秒の速度で金型を解放し、凸形状を形成した。表1における賦型性1,2及び3は、前記金型の凹溝の寸法のH/Dが、100μm/200μm、200μm/400μm及び400μm/800μmの場合の評価結果である。この賦型サンプルをTgまたは融点の温度、それらより10℃低い温度、及びそれらより20℃低い温度のオーブンに3分間放置し、常温まで冷却した後、賦型性1,2,3にそれぞれ対応する形状保持性1,2,3を確認した。
形状保持性1,2,3は、樹脂の融点又はTgの温度において行ったものを、形状保持性1A,2A,3Aとし、樹脂の融点又はTgより10℃減じた温度で行ったものを、形状保持性1B,2B,3Bとし、樹脂の融点又はTgより20℃減じた温度で行ったものを、形状保持性1C,2C,3Cとして評価した。
昇温前の賦型サンプルのH/Dを走査型電子顕微鏡により、斜めから撮影し、写真から寸法比を求め、賦型性とした。また、昇温後に賦型サンプルも同様に走査型電子顕微鏡により、残存しているH/Dを測定した。昇温前後のH/Dの比より残存している形状保持率を求めた。
また、図1に示すように、賦型前の垂直面P0が賦型後に傾斜した場合、該傾斜した面の水平面との角度θをSEMにより測定した。θが80〜90°を○、θが80°未満あるいは形状保持できない場合を×とした。結果を、形状保持性の上記昇温前後のH/Dの比より残存している形状保持率の測定結果の数値の後にそれぞれ記号で示す。
Figure 0004083190

Claims (7)

  1. 非晶性の熱可塑性樹脂としてのポリオレフィン系樹脂又は(メタ)アクリル酸エステル系樹脂100重量部と、前記熱可塑性樹脂中に分散された無機化合物0.1〜100重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物に、金型を用いて金型形状を転写して、前記熱可塑性樹脂組成物を賦型することにより、賦型した形状が、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上で75%以上保持される賦型体を得ることを特徴とする、賦型体の製造方法
  2. 結晶性の熱可塑性樹脂としてのポリオレフィン系樹脂又は(メタ)アクリル酸エステル系樹脂100重量部と、前記熱可塑性樹脂中に分散された無機化合物0.1〜100重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物に、金型を用いて金型形状を転写して、前記熱可塑性樹脂組成物を賦型することにより、賦型した形状が、前記熱可塑性樹脂の融点以上で75%以上保持される賦型体を得ることを特徴とする、賦型体の製造方法
  3. 前記無機化合物の分散粒径が2μm以下である、請求項1または2に記載の賦型体の製造方法
  4. 前記無機化合物が、珪素及び酸素を構成元素として含む無機化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の賦型体の製造方法
  5. 前記無機化合物が、層状珪酸塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の賦型体の製造方法
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の賦型体の製造方法により得られた賦型体を用いて構成されていることを特徴とする、基板用材料。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の賦型体の製造方法により得られた賦型体を用いて構成されていることを特徴とする、基板用フィルム。
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