JP4268456B2 - 樹脂基板材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、力学的物性、寸法安定性、耐熱性、難燃性等に優れ、特に高温物性に優れた樹脂成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、電子機器に用いられる電子部品の小型化、軽量化の要請が高まっている。これに伴い、電子部品の素材についても、耐熱性、機械的強度、電気特性等の諸物性の更なる改善が求められており、例えば、半導体素子のパッケージ方法や半導体素子を実装する基板についても、より高密度、高機能、かつ、高性能なものが求められている。
【0003】
電子機器に用いられる多層プリント基板は、複数層の絶縁基板により構成されており、従来、この層間絶縁基板としては、例えば、熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸させた熱硬化性樹脂プリプレグや、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂からなるフィルムが用いられてきた。上記多層プリント基板においても高密度化、薄型化のために層間を極めて薄くすることが望まれており、薄型のガラスクロスを用いた層間絶縁基板やガラスクロスを用いない層間絶縁基板が必要とされている。
【0004】
しかし、樹脂は、特にガラス転移点温度以上の温度では線膨張率が大きくなる傾向にあり、これは基板製造時の回路ずれや残留応力によるミクロクラックの発性の原因となり製品不良や、基板の信頼性を低下させる。
これ対して、従来はシリカ等の無機充填剤を樹脂に含有させる方法等が用いられていた。しかし、充分に線膨張率を低減させるためには、多量の無機充填剤を配合する必要があり、製造工程が増加する等の不具合が生じたり、層間を薄くすることが困難であったりするという問題点があった。
【0005】
近年、少量の添加で樹脂との界面を広くとることができる無機化合物として、層状珪酸塩が注目されている。このような層状珪酸塩は樹脂中に剥離分散させることで、極めて大きな界面面積を得ることができる。
このような層状珪酸塩を用いた樹脂成型品としては、熱可塑性樹脂では、非特許文献1にナイロン樹脂中に層状珪酸塩を剥離分散させたものが記載されており、4.2重量%の層状珪酸塩の添加で引張弾性率が1.9倍向上したと報告されている。また、エポキシ樹脂においては、特許文献1において有機化した層状珪酸塩とビスフェノールA型のエポキシ樹脂とを80℃にて混合した後、更に硬化剤となるアミノジフェニルスルフォンと混合し、200℃にて圧縮成型することで、層状珪酸塩をエポキシ樹脂中に剥離分散させた樹脂成型品が記載されている。しかしながら、これらの樹脂成型品は、樹脂中の層状珪酸塩の分散状態が規定されているものの、その配向を制御しようとするものではない。従って、線膨張率を充分に低減させることができるまでには至っていなかった。
【0006】
また、工業用途に用いられる高分子材料は、近年、廃プラスチックの処理や環境ホルモンの問題から、環境に優しい材料であることが求められており、環境適応型材料への転換が望まれている。具体的には、例えば、燃焼時のダイオキシン発生等の問題に対処するために、含ハロゲン型難燃剤からノンハロゲン型難燃剤への転換が検討されている。また、含ハロゲン型難燃剤は、難燃化の効果が高く、成形性の低下や成形品の力学物性の低下等も比較的少ないが、これを使用した場合、成形加工時や燃焼時に多量のハロゲン系ガスを発生する恐れがあり、発生したハロゲン系ガスによる機器の腐食、人体への好ましくない影響があるため、安全性の面からも含ハロゲン型難燃剤を使用しない、いわゆるノンハロゲン難燃化処理技術や処理方法の確立が強く望まれている。
【0007】
このため、近年、環境適応型材料への転換のために、ノンハロゲン型難燃剤を使用した材料の開発がなされている。しかし、ノンハロゲン型難燃剤の場合、必要な難燃性を発現させるためには大量の難燃剤を配合する必要があるため、耐熱性や寸法安定性等の点で、含ハロゲン型難燃剤を使用した従来の材料に及ばないという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】
特許第3014674号
【非特許文献1】
「高分子」42巻7月号(1993)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、力学的物性、寸法安定性、耐熱性、難燃性等に優れ、特に高温物性に優れた樹脂成型品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電子機器に用いられる樹脂基板材料であって、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を硬化してなる樹脂硬化物と層状珪酸塩を含有し、前記層状珪酸塩の少なくとも50%以上は、層平面における法線ベクトルが配向軸に対して60°〜90°の角度をなすように配向しており、前記熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂、層状珪酸塩及び有機溶剤を混合した樹脂ワニス組成物を調製する工程と、前記樹脂ワニス組成物から前記有機溶剤を留去してシート状体を得る工程と、得られたシート状体を一軸延伸して前記層状珪酸塩を配向させる工程と、前記熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を硬化する工程とにより製造される樹脂基板材料である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明の樹脂成型品は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂及び樹脂硬化物からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂と層状珪酸塩とを含有する。
上記熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂とは、常温では液状、半固形状又は固形状等であって常温下又は加熱下で流動性を示す比較的低分子量の物質を意味する。これらは硬化剤、触媒、熱又は光の作用によって硬化反応や架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成してなる不溶不融性の樹脂となり得る。
また、上記樹脂硬化物とは、上記熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が硬化してなる樹脂を意味する。
【0012】
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂等が好適である。
また、上記光硬化性樹脂としては、例えば、潜在性光カチオン重合開始剤を含むエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、上記光硬化性樹脂を硬化させる場合には、光照射と同時に熱を加えてもよい。
【0013】
上記エポキシ樹脂とは、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ樹脂中のエポキシ基の数としては、1分子当たり1個以上であることが好ましく、1分子当たり2個以上であることがより好ましい。ここで、1分子当たりのエポキシ基の数は、エポキシ樹脂中のエポキシ基の総数をエポキシ樹脂中の分子の総数で除算することにより求められる。
【0014】
上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができ、例えば、以下に示したエポキシ樹脂(1)〜エポキシ樹脂(11)等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0015】
上記エポキシ樹脂(1)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂及びこれらの水添加物や臭素化物等が挙げられる。
【0016】
上記エポキシ樹脂(2)としては、例えば、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシシクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等の脂環族エポキシ樹脂等が挙げられる。このようなエポキシ樹脂(2)のうち市販されているものとしては、例えば、商品名「EHPE−3150」(軟化温度71℃、ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
【0017】
上記エポキシ樹脂(3)としては、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2〜9(好ましくは2〜4)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0018】
上記エポキシ樹脂(4)としては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、へキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物等が挙げられる。
【0019】
上記エポキシ樹脂(5)としては、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、m−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物等が挙げられる。
【0020】
上記エポキシ樹脂(6)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートと、エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0021】
上記エポキシ樹脂(7)としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエン等の共役ジエン化合物を主体とする重合体又はその部分水添物の重合体における不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの等が挙げられる。
【0022】
上記エポキシ樹脂(8)としては、例えば、エポキシ化SBS等のような、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック又はその部分水添物の重合体ブロックとを同一分子内にもつブロック共重合体における、共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの等が挙げられる。
【0023】
上記エポキシ樹脂(9)としては、例えば、1分子当たり1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0024】
上記エポキシ樹脂(10)としては、例えば、上記エポキシ樹脂(1)〜(9)の構造中にウレタン結合やポリカプロラクトン結合を導入した、ウレタン変成エポキシ樹脂やポリカプロラクトン変成エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0025】
上記エポキシ樹脂(11)としては、例えば、上記エポキシ樹脂(1)〜(10)にNBR、CTBN、ポリブタジエン、アクリルゴム等のゴム成分を含有させたゴム変成エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、エポキシ樹脂以外に、少なくとも1つのオキシラン環を有する樹脂又はオリゴマーが添加されてもよい。
【0026】
上記エポキシ樹脂の硬化反応に用いる硬化剤としては特に限定されず、従来公知のエポキシ樹脂用の硬化剤を用いることができ、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、光潜在性カチオン重合開始剤、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0027】
上記アミン化合物としては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の鎖状脂肪族アミン及びその誘導体;メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロへキシルメタン、ビス(アミノメチルシクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の環状脂肪族アミン及びその誘導体;m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、α,α−ビス(4−アミノフェニル−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族アミン及びその誘導体等が挙げられる。
【0028】
上記アミン化合物から合成される化合物としては特に限定されず、例えば、上記アミン化合物と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジヒドロイソフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等のカルボン酸化合物とから合成されるポリアミノアミド化合物及びその誘導体;上記アミン化合物と、ジアミノジフェニルメタンビスマレイミド等のマレイミド化合物とから合成されるポリアミノイミド化合物及びその誘導体;上記アミン化合物とケトン化合物とから合成されるケチミン化合物及びその誘導体;上記アミン化合物と、エポキシ化合物、尿素、チオ尿素、アルデヒド化合物、フェノール化合物、アクリル化合物等の化合物とから合成されるポリアミノ化合物及びその誘導体等が挙げられる。
【0029】
上記3級アミン化合物としては特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1及びその誘導体等が挙げられる。
【0030】
上記イミダゾール化合物としては特に限定されず、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
【0031】
上記ヒドラジド化合物としては特に限定されず、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びその誘導体等が挙げられる。
【0032】
上記メラミン化合物としては特に限定されず、例えば、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン及びその誘導体等が挙げられる。
【0033】
上記酸無水物としては特に限定されず、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル−3−シクロへキセン−1,2一ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物、クロレンド酸無水物及びその誘導体等が挙げられる。
【0034】
上記フェノール化合物としてば特に限定されず、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール及びその誘導体等が挙げられる。
【0035】
上記熱潜在性カチオン重合触媒としては特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした、ベンジルスルホニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ベンジルホスホニウム塩等のイオン性熱潜在性カチオン重合触媒;N−ベンジルフタルイミド、芳香族スルホン酸エステル等の非イオン熱潜在性カチオン重合触媒が挙げられる。
【0036】
上記光潜在性カチオン重合開始剤としては特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩及び芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類、並びに、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体及びアリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体類等のイオン性光潜在性カチオン重合開始剤;ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナート等の非イオン性光潜在性カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0037】
上記熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては特に限定されず、例えば、上記ポリフェニレンエーテル樹脂をグリシジル基、イソシアネート基、アミノ基等の熱硬化性を有する官能基で変性した樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記熱硬化性ポリイミド樹脂としては、分子主鎖中にイミド結合を有する樹脂であれば特に限定されず、例えば、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸との縮合重合体、芳香族ジアミンとビスマレイミドとの付加重合体であるビスマレイミド樹脂、アミノ安息香酸ヒドラジドとビスマレイミドとの付加重合体であるポリアミノビスマレイミド樹脂、ジシアネート化合物とビスマレイミド樹脂とからなるビスマレイミドトリアジン樹脂等が挙げられる。なかでもビスマレイミドトリアジン樹脂が好適に用いられる。これらの熱硬化性ポリイミド樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
上記ユリア樹脂としては、尿素とホルムアルデヒドとの付加縮合反応で得られる熱硬化性樹脂であれば特に限定されない。上記ユリア樹脂の硬化反応に用いられる硬化剤としては特に限定されず、例えば、無機酸、有機酸、酸性硫酸ナトリウムのような酸性塩からなる顕在性硬化剤;カルボン酸エステル、酸無水物、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の塩類のような潜在性硬化剤が挙げられる。なかでも、貯蔵寿命等から潜在性硬化剤が好ましい。
【0040】
上記アリル樹脂としては、ジアリルフタレートモノマーの重合及び硬化反応によって得られるものであれば特に限定されない。上記ジアリルフタレートモノマーとしては、例えば、オルソ体、イソ体、テレ体が挙げられる。硬化反応の触媒としては特に限定されないが、例えば、t−ブチルパーベンゾエートとジ−t−ブチルパーオキシドとの併用が好適である。
【0041】
上記ケイ素樹脂としては、分子鎖中にケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合又はケイ素−窒素結合を含むものであれば特に限定されず、例えば、ポリシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラザン等が挙げられる。
【0042】
上記ベンゾオキサジン樹脂としては、ベンゾオキサジンモノマーのオキサジン環の開環重合によって得られるものであれば特に限定されない。上記ベンゾオキサジンモノマーとしてば特に限定されず、例えば、オキサジン環の窒素にフェニル基、メチル基、シクロヘキシル基等の官能基が結合したもの等が挙げられる。
【0043】
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリスチレン樹脂等のポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂と相溶し得る熱可塑性樹脂との混合物;脂環式炭化水素樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリフェニレンエーテル樹脂、官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂との混合物、脂環式炭化水素樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びポリエステルイミド樹脂等が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
上記ポリフェニレンエーテル樹脂とは、下記式(1)に示した繰り返し単位からなるポリフェニレンエーテル単独重合体又はポリフェニレンエーテル共重合体である。
【0045】
【化1】
【0046】
上記式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基又はアルコキシル基を表す。これらのアルキル基、アラルキル基、アリール基及びアルコキシル基は、それぞれ官能基で置換されていてもよい。
【0047】
上記ポリフェニレンエーテル単独重合体としては特に限定されず、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
【0048】
上記ポリフェニレンエーテル共重合体としては特に限定されず、例えば、上記ポリフェニレンエーテル単独重合体の繰り返し単位中に2,3,6−トリメチルフェノール等のアルキル三置換フェノール等を一部含有する共重合体や、これらのポリフェニレンエーテル共重合体に更にスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーの1種又は2種以上がグラフト共重合された共重合体等が挙げられる。これらのポリフェニレンエーテル樹脂は、それぞれ単独で用いられてもよく、組成、成分、分子量等の異なるものが2種以上併用されてもよい。
【0049】
上記官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂としては特に限定されず、例えば、上記ポリフェニレンエーテル樹脂が無水マレイン酸基、グリシジル基、アミノ基、アリル基等の官能基の1種又は2種以上で変性されたもの等が挙げられる。これらの官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂を熱可塑性樹脂として用いると、架橋反応することにより樹脂組成物の力学的物性、耐熱性、寸法安定性等をより向上させることができる。
【0050】
上記ポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂との混合物としてば特に限定されず、例えば、上記ポリフェニレンエーテル樹脂又は上記官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂と、スチレン単独重合体;スチレンとα−メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーの1種又は2種以上との共重合体;スチレン系エラストマー等のポリスチレン樹脂との混合物等が挙げられる。上記ポリスチレン樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。又、これらのポリフェニレンエーテル樹脂又は官能基変性されたポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂との混合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0051】
上記脂環式炭化水素樹脂としては、高分子鎖中に環状の炭化水素基を有する炭化水素樹脂であれば特に限定されず、例えば、環状オレフィン、すなわちノルボルネン系モノマーの単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらの脂環式炭化水素樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記環状オレフィンとしては特に限定されず、例えば、ノルボルネン、メタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノドデカヒドロアントラセン、ジメタノデカヒドロアントラセン、トリメタノドデカヒドロアントラセン、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロベンゾインデン、ジメタノオクタヒドロベンゾインデン、メタノデカヒドロベンゾインデン、ジメタノデカヒドロベンゾインデン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロフルオレンやこれらの置換体等が挙げられる。これらの環状オレフィンは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0053】
上記ノルボルネン等の置換体における置換基としては特に限定されず、例えば、アルキル基、アルキリデン基、アリール基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ピリジル基、ハロゲン原子等の公知の炭化水素基や極性基が挙げられる。これらの置換基は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
上記ノルボルネン等の置換体としては特に限定されず、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等が挙げられる。これらのノルボルネン等の置換体は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0055】
上記脂環式炭化水素樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ジェイエスアール(JSR)社製の商品名「アートン」シリーズや日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」シリーズ等が挙げられる。
【0056】
上記熱可塑性ポリイミド樹脂としては特に限定されず、例えば、分子主鎖中にイミド結合とエーテル結合とを有するポリエーテルイミド樹脂、分子主鎖中にイミド結合とアミド結合とを有するポリアミドイミド樹脂、分子主鎖中にイミド結合とエステル結合とを有するポリエステルイミド樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性ポリイミド樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0057】
上記ポリエーテルエーテルケトン樹脂としては特に限定されず、例えば、ジハロゲノベンゾフェノンとヒドロキノンとを重縮合して得られるもの等が挙げられる。
【0058】
本発明の樹脂成型品は、層状珪酸塩を含有する。
なお、本発明において、上記層状珪酸塩とは、層間に交換性金属カチオンを有する層状の珪酸塩鉱物を意味し、天然物であってもよく、合成物であってもよい。上記層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スティブンサイト及びノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカ、バーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられる。なかでも、モンモリロナイト、ヘクトライト、及び、膨潤性マイカからなる群より選択される少なくとも1種が好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
上記層状珪酸塩としては、下記式(2)で定義される形状異方性効果の大きいスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを用いることが好ましい。形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、上記樹脂シートはより優れた力学的物性を有するものとなる。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶表面(B)の面積 (2)式(2)中、結晶表面(A)は平面を与える層表面を意味し、結晶表面(B)は厚さを与える層側面を意味する。
【0060】
上記層状珪酸塩の形状としては特に限定されるものではないが、平均長さの好ましい下限は0.01μm、上限は3μm、厚さの好ましい下限は0.001μm、上限は1μm、アスペクト比の好ましい下限は20、上限は500であり、平均長さのより好ましい下限は0.05μm、上限は2μm、厚さのより好ましい下限は0.01μm、上限は0.5μm、アスペクト比のより好ましい下限は50、上限は200である。
また、層状珪酸塩の平面の長さは幅や厚さに比べて大きいことが好ましい。このような指方性の層状珪酸塩は配向させたときにそれぞれの層状珪酸塩の方向も揃えることができ好ましい。
【0061】
上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウム等の金属イオンのことであり、これらの金属イオンは、カチオン性物質とのカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)することができる。
【0062】
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量は、特に限定されるものではないが、好ましい下限が50ミリ等量/100g、上限が200ミリ等量/100gである。層状珪酸塩のカチオン交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、カチオン交換により層状珪酸塩の結晶層間にインターカレートされるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が充分に非極性化(疎水化)されないことがあり、200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0063】
本発明において、樹脂として、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂等の低極性樹脂を用いる場合には、予め層状珪酸塩の結晶層間をカチオン性界面活性剤やヒンダードアミン系化合物でカチオン交換し、疎水化しておくことが好ましい。予め層状珪酸塩の層間を疎水化しておくことにより、層状珪酸塩と低極性の樹脂との親和性が高まり、層状珪酸塩を低極性の樹脂中により均一に微分散させることができる。
【0064】
上記カチオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられる。なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を充分に非極性化(疎水化)し得ることから、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウム塩)が好適に用いられる。
【0065】
上記4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、トリメチルアルキルアンモニウム塩、トリエチルアルキルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、ジブチルジアルキルアンモニウム塩、メチルベンジルジアルキルアンモニウム塩、ジベンジルジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩、芳香環を有する4級アンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を二つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を二つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を一つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を一つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩が挙げられる。この中でも特にラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が好適である。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0066】
上記4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0067】
上記ヒンダードアミン系化合物とは、下記一般式(3)で表されるように、ピペリジンの2位及び6位の炭素上の全ての水素原子がメチル基で置換された構造を有するものである。
【0068】
【化2】
【0069】
式中、R、R’は、それぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリル基、置換アリル基、水素原子、ハロゲン原子を表し、又は、R、R’からなる組み合わせのうち少なくとも1つは結合した炭化水素基、又は、上記炭化水素基の一部の炭素原子が窒素原子、硫黄原子、酸素原子又は珪素原子で置換された官能基を示す。
【0070】
上記ヒンダードアミン系化合物としては特に限定されず、公知の各種ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記ヒンダードアミン系化合物は、ラジカル捕捉剤として機能し、非燃焼時においては難燃熱硬化性樹脂組成物に優れた耐光性を付与するとともに、燃焼時においては燃焼過程で生成する活性なラジカルを捕捉し、安定化することができる。したがって、上記ヒンダードアミン系化合物としては、分解温度が高い等の高温安定性に優れるものを用いることが好ましい。このような高温安定性に優れるヒンダードアミン系化合物の具体例としては、例えば、下記一般式(4)で表されるN−アルコキシヒンダードアミンが挙げられる。
【0071】
【化3】
【0072】
式中、Rは、下記式(5)で表される構造を示す。
【0073】
【化4】
【0074】
上記ヒンダードアミン系化合物のうち市販されているものとしては、例えば、三共社製の商品名「Sanol」シリーズ、旭電化工業社製の商品名「アデカスタブ」シリーズ、住友化学工業社製の商品名「スミソープ」シリーズ、共同薬品社製の商品名「バイオソープ」シリーズ、CibaSpecialities社製の商品名「Chimassorb」シリーズや商品名「Tinuvin」シリーズ、Goodrich社製の商品名「Goodrite」シリーズ、BASF社製の商品名「ユビナール」シリーズ等が挙げられる。これらの市販のヒンダードアミン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0075】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、上述のような化学処理によって樹脂中への分散性を向上させることができる。
上記化学処理は、カチオン性界面活性剤やヒンダードアミン系化合物によるカチオン交換法(以下、化学修飾(1)法ともいう)に限定されるものではなく、例えば、以下に示す化学修飾(2)〜化学修飾(6)法の各種化学処理法によっても実施することができる。これらの化学修飾法は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、化学修飾(1)法を含め、以下に示す各種化学処理法によって樹脂中への分散性を向上させた層状珪酸塩を、以下、「有機化層状珪酸塩」ともいう。
【0076】
化学修飾(2)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これと化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法である。
【0077】
化学修飾(3)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これと化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基及び反応性官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法である。
【0078】
化学修飾(4)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を有する化合物で化学処理する方法である。
【0079】
化学修飾(5)法は、化学修飾(4)法において、アニオン性界面活性を有する化合物の分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理する方法である。
【0080】
化学修飾(6)法は、上記化学修飾(1)法〜化学修飾(5)法のいずれかの方法で化学処理された有機化層状珪酸塩に、更に、例えば、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂のような層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する樹脂を添加した組成物を用いる方法である。
【0081】
上記化学修飾(2)法における、水酸基と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基としては特に限定されず、例えば、アルコキシ基、グリシジル基、カルボキシル基(二塩基性酸無水物も包含する)、水酸基、イソシアネート基、アルデヒド基等の官能基や、水酸基との化学的親和性が高いその他の官能基等が挙げられる。また、上記水酸基と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、上記に例示した官能基を有するシラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0082】
上記シラン化合物としては特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0083】
化学修飾(4)法及び化学修飾(5)法における、アニオン性界面活性を有する化合物、アニオン性界面活性を有し分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物としては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化学処理できるものであれば特に限定されず、例えば、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0084】
上記層状珪酸塩は、本発明の樹脂成型品中において高度に配向している。
本発明の樹脂成型品は、後述するように層状珪酸塩の界面積効果に加え、層状珪酸塩を高度に配向した状態とすることにより、力学物性、寸法安定性、耐熱性、難燃性、ガスバリア性等が更に向上する。
【0085】
本発明の樹脂成型品では、上記層状珪酸塩の少なくとも50%以上が、層平面における法線ベクトルが配向軸に対して60°〜90°の角度をなすように配向している。ここで、層平面における法線ベクトルとは、図1に示したように薄片形状の層状珪酸塩の層平面上の1点において、この点における接平面に垂直なベクトルのことをいう。
理想的には配向軸と層状珪酸塩の層平面における法線ベクトルとが90°の角度をなす場合に、層状珪酸塩が配向軸に対して配向していると考えられるが、配向が物性に与える効果を勘案すれば、60°〜90°の角度であれば充分に配向していると考えられる。層状珪酸塩が配向軸に対して配向している場合及び配向していない場合の例を図2に示した。
このように、層平面における法線ベクトルが配向軸に対して60°〜90°の角度をなすように配向した層状珪酸塩が50%以上である場合には、本発明の樹脂成型品は、高い力学物性、寸法安定性、耐熱性、難燃性、ガスバリア性等を示す。より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。
なお、図3に示したように、本発明の樹脂成型品の表面が配向軸に対して平行な断面であると層平面における法線ベクトルが60°〜90°の角度をなすように層状珪酸塩が成型品表面に配向することになる。更に、層状珪酸塩を配向させる際、又は、配向させた後で成型品表面を平面に成形する場合は成型品表面における層状珪酸塩がより高度に配向することになるので、極めて高い効果を発揮することができる。
【0086】
本発明の樹脂成型品では、配向軸に対して垂直方向から透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った場合に、層状珪酸塩が棒状に観察され、棒状に観察される層状珪酸塩の少なくとも50%以上が、配向軸に対して0°〜30°の角度をなすように配向していることが好ましい。
透過型電子顕微鏡(TEM)では電子線の透過を利用することから、本発明の樹脂成型品を観察した場合、棒状の層状珪酸塩が界面が樹脂と充分に接した状態で分散した画像が得られる。これは、図4に示したように、樹脂は電子線を透過させるため見えなく、また層状珪酸塩もその厚みが薄いため、層平面に対して垂直方向から電子線が照射された場合にははっきりとした像を結ばず、層平面に対して平行に電子線が照射された場合にのみ層状珪酸塩の端辺の像を結ぶためである。
従って、本発明の樹脂成型品を配向軸に対して垂直方向から観察した場合、観察方向に対して垂直な法線ベクトルを持つ層状珪酸塩は棒状に観察される。棒状に観察される層状珪酸塩のうち配向軸に対して0〜30°の角度をなしているものが全体の50%以上である場合には、本発明の樹脂成型品は、高い力学物性、寸法安定性、耐熱性、難燃性、ガスバリア性等を示す。
即ち、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより、本発明の樹脂成型品における層状珪酸塩の配向状態を調べることができる。
また、棒状に観察される層状珪酸塩の中央部分に接する接線の法線方向から層状珪酸塩の層平面における法線ベクトルを求めることもできる。これにより層平面における法線ベクトルと配向軸とのなす角度を求めることもできる。
【0087】
本発明の樹脂成型品では、成型品表面に対して垂直方向から透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った場合に観察される層状珪酸塩の個数(A)と、観察した成型品表面に対して垂直な断面方向から透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った場合に観察される層状珪酸塩の個数(B)との比(A/B)が0.8以下である表面を少なくとも有することが好ましい。
上述のように、本発明の樹脂成型品を透過型電子顕微鏡(TEM)による観察をした場合、層状珪酸塩は、層平面に対して垂直方向から電子線が照射された場合にははっきりとした像を結ばず、層平面に対して平行に電子線が照射された場合にのみ端辺の像を結ぶ。従って、面上配向している場合には図5に示したように、成型品表面に対して垂直方向から透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った場合には見掛け上層状珪酸塩の数が少ないように観察され、一方、成型品表面に対して垂直な断面方向から透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った場合には、見掛け上層状珪酸塩の数が多いように観察される。即ち、成型品表面に対して垂直方向から観察した場合に見掛け上層状珪酸塩の数が少ないように観察される場合は、成型品表面に存在する層状珪酸塩が高度に面上配向していることを示している。
なお、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察にあたっては、例えば、500nm四方のエリアを任意に5カ所、好ましくは10カ所抽出し、それぞれのエリア内の層状珪酸塩の全本数及び定義に基づき配向している層状珪酸塩の本数を計数し、それぞれの平均を求めて層状珪酸塩が配向している割合を算出する。
【0088】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定される(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部が5層以下に分散していることが好ましい。上記層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部が5層以下にて分散していることにより、樹脂と、層状珪酸塩との界面面積は充分に大きく、かつ、層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離は適度なものとなり、層状珪酸塩の分散による充分な効果が得られ、樹脂材料において、通常の無機充填材を用いたときよりも大きな力学物性、難燃性の改善効果が得られる。
【0089】
上記層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散するとは、層状珪酸塩の薄片状結晶間の相互作用が弱められて薄片状結晶の積層体の一部又は全部が分散していることを意味する。好ましくは、層状珪酸塩の10%以上が5層以下に分散しており、層状珪酸塩の20%以上が5層以下に分散していることがより好ましい。なお、5層以下に分散している層状珪酸塩の割合は、樹脂成型品を透過型電子顕微鏡により5万〜10万倍に拡大して観察し、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層体の全層数X及び5層以下で分散している積層体の層数Yを計測することにより、下記式(6)から算出することができる。
5層以下に分散している層状珪酸塩の割合(%)=(Y/X)×100 (6)
【0090】
分層した層状珪酸塩の積層数は、5層以下が好ましく、これにより効果を高めることができるが、より好ましくは3層以下である。特に単層の薄片にまで分層した層状珪酸塩が好ましい。
【0091】
本発明の樹脂成型品は、樹脂と層状珪酸塩との界面面積が充分に大きいことにより、樹脂と層状珪酸塩の表面との相互作用が大きくなるので、常温から高温までの広い温度領域で弾性率等の力学的物性が向上し、樹脂のガラス転移点又は融点以上の高温でも力学的物性を保持することができ、高温時の線膨張率も低く抑えることができる。その理由は明らかではないが、ガラス転移点又は融点以上の領域においても、微分散状態の層状珪酸塩が一種の疑似架橋点として作用しているためにこれら物性が発現すると考えられる。また、溶融粘度、溶液粘度が高まることで、液状エポキシ樹脂のような低粘度物の塗工等においては成形性が向上することもある。
一方、層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離が適度なものとなると、本発明の樹脂成型品は、燃焼時に、層状珪酸塩の薄片状結晶が移動して難燃被膜となり得る焼結体を形成しやすくなる。この焼結体は、燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスをも遮断することができ、樹脂材料は優れた難燃性を発現する。従って、本発明の樹脂成型品は燃焼時の形状保持効果に優れており難燃性を示す。
【0092】
更に、本発明の樹脂成型品では、気体分子は樹脂中を拡散する際に無機物を迂回しながら拡散するので、ガスバリア性が向上する。同様にして気体分子以外に対するバリア性も向上し、耐溶媒性、吸湿性、吸水性等が向上する。これにより、例えば、上記樹脂シートを用いてなる多層プリント配線板での銅回路からの銅のマイグレーションを抑制することができる。更に、樹脂中の微量添加物が表面にブリードアウトしてメッキ不良等の不具合が発生することを抑制することもできる。
【0093】
本発明の樹脂成型品は、含有する樹脂により形作られ、更に層状珪酸塩を含有する。本発明の樹脂成型品において、上記樹脂100重量部に対する上記層状珪酸塩の配合量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は100重量部である。0.1重量部未満であると、難燃性や力学物性の改善効果が小さくなることがあり、100重量部を超えると、樹脂シートの密度(比重)が高くなり、また、機械的強度も低下する傾向を示す。より好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は50重量部である。1重量部未満であると、充分な難燃効果を得るためには樹脂シートを厚くする必要があり、50重量部を超えると、成形性が低下する傾向を示す。更に好ましい下限は5重量部、更に好ましい上限は20重量部である。この範囲内であると、機械物性、工程適性に問題となる領域はなく、充分な難燃効果が得られ物性や性能を両立しやすい。
【0094】
上記樹脂中に上記層状珪酸塩を分散させる方法としては特に限定されず、例えば、上記有機化層状珪酸塩を用いる方法;樹脂と層状珪酸塩とを常法により混合した後に発泡させる方法;分散剤を用いる方法等が挙げられる。これらの分散方法を用いることにより、樹脂中に層状珪酸塩をより均一かつ微細に分散させることができる。
【0095】
上記樹脂と層状珪酸塩とを常法により混合した後に発泡させる方法は、発泡剤を用いて樹脂を発泡させ、その発泡エネルギーを層状珪酸塩の分散エネルギーに転換する方法である。
上記発泡剤としては特に限定されず、例えば、気体状発泡剤、易揮発性液状発泡剤、加熱分解型固体状発泡剤等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0096】
上記層状珪酸塩の存在下で樹脂を発泡させることにより層状珪酸塩を樹脂中に分散せしめる具体的な方法としては特に限定されず、例えば、樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜100重量部とからなる樹脂組成物に対し、気体状発泡剤を高圧下で含浸させた後、この気体状発泡剤を上記樹脂組成物内で気化させることにより、発泡体を形成せしめることによる方法;層状珪酸塩の層間に予め加熱分解型発泡剤を含有させ、その加熱分解型発泡剤を加熱により分解させて、発泡体を形成せしめることによる方法等が挙げられる。
【0097】
本発明の樹脂成型品は、実質的にハロゲン系組成物を含有しない難燃剤を含有してもよい。なお、実質的にハロゲン系組成物を含有しないとは、難燃剤の製造工程上の都合等により微量のハロゲンが混入することはかまわないということを意味する。
【0098】
上記難燃剤としては特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドーソナイト、アルミン酸化カルシウム、2水和石こう、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;赤リンやポリリン酸アンモニウム等のリン系化合物;メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、リン酸メラミン及びこれらに表面処理が施されたもののようなメラミン誘導体等の窒素系化合物、ハイドロタルサイト等の層状複水和物等が挙げられる。なかでも金属水酸化物及びメラミン誘導体が好適に用いられる。
【0099】
上記金属水酸化物のなかでも、特に水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましく、これらは各種の表面処理剤により表面処理が施されているものであってもよい。上記表面処理剤としては特に限定されず、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、PVA系表面処理剤、エポキシ系表面処理剤等が挙げられる。これらの難燃剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0100】
上記難燃剤の上記樹脂100重量部に対する好ましい配合量の下限は0.1重量部、上限は100重量部である。0.1重量部未満であると、これらを含有することによる難燃化効果が小さくなり、100重量部を超えると、樹脂シートの密度(比重)が高く、また、柔軟性や伸度が極端に低下してしまう。好ましい下限は5重量部、上限は80重量部である。5重量部未満であると、樹脂シートを薄くすると充分な難燃化効果が得られないことがあり、80重量部を超えると、高温での工程中に膨れ等による不良率が高くなることがある。より好ましい下限は10重量部、上限は70重量部である。この範囲であると、機械物性、電気物性、工程適性に問題となる領域がなく、充分な難燃性を発現するので好適である。
【0101】
本発明の樹脂成型品には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で特性を改質することを目的に、必要に応じて、熱可塑性エラストマー類、架橋ゴム、オリゴマー類、造核剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤等の添加物が配合されてもよい。これらはそれぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0102】
上記熱可塑性エラストマー類としては特に限定されず、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。樹脂との相容性を高めるために、これらの熱可塑性エラストマーを官能基変性したものであってもよい。これらの熱可塑性エラストマー類は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0103】
上記架橋ゴムとしては特に限定されず、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。樹脂との相溶性を高めるために、これらの架橋ゴムを官能基変性したものであることが好ましい。上記官能基変性した架橋ゴムとしては特に限定されず、例えば、エポキシ変性ブタジエンゴムやエポキシ変性ニトリルゴム等が挙げられる。これらの架橋ゴム類は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0104】
上記オリゴマー類としては特に限定されず、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレンオリゴマー等が挙げられる。これらのオリゴマー類は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0105】
本発明の樹脂成型品は、ASTM E 1354に準拠した燃焼試験において、50kW/m2の輻射加熱条件下で30分間加熱することにより燃焼させた燃焼残渣を速度0.1cm/秒で圧縮した際の降伏点応力が4.9kPa以上であることが好ましい。4.9kPa未満であると、微小な力で燃焼残渣の崩壊が起こり易くなって、難燃性が不充分となることがある。即ち、本発明の樹脂成型品において、焼結体が難燃被膜としての機能を充分に発現するためには、燃焼終了時まで焼結体がその形状を保持していることが好ましい。より好ましくは15.0kPa以上である。
【0106】
本発明の樹脂成型品を作製する方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂、層状珪酸塩及びワニス作製用の有機溶剤を混合した樹脂ワニス組成物を作製し、この樹脂ワニス組成物を流動させることにより層状珪酸塩を配向させてからワニス作製用の有機溶剤を留去する方法;樹脂ワニス組成物からワニス作製用の有機溶剤の全量又は一部を留去して成形体を得、これを更に成形して層状珪酸塩を配向させる方法等が挙げられる。
【0107】
上記ワニス作製用の有機溶剤としては特に限定されず、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、酢酸、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、クロロベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ピリジン、ニトロベンゼン等が挙げられる。なかでも、層状珪酸塩を分散するには極性有機溶剤が好ましく、より好ましくは非プロトン性の極性有機溶剤である。非プロトン性の極性有機溶剤とは、強い水素結合の形成に適した水素を持たない極性有機溶剤を意味し、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、n,n−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等が挙げられる。これらワニス作製用の有機溶剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0108】
上記ワニス作製用の有機溶剤の配合量としては、上記樹脂、層状珪酸塩の配合量及び有機溶剤の種類により最適量は異なるが、一般に樹脂濃度、層状珪酸塩濃度共に低い方が好ましく、樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.01〜100重量部に対して30〜1000重量部が混合される。30重量部未満であると、樹脂ワニス組成物の溶液粘度が高すぎて、キャストが困難である。1000重量部を超えると、溶液キャスト時の塗工不良が生じたり、厚膜化が困難となったりすることがある。上記ワニス作製用の有機溶剤の配合量の好ましい下限は100重量部、より好ましい下限は150重量部以上であり、層状珪酸塩よりも多く配合されることが好ましい。
【0109】
上記樹脂ワニス組成物を作製する方法としては、層状珪酸塩とワニス作製用の有機溶剤とをあらかじめ混合しておき、得られた混合物と樹脂又は樹脂溶液とを混合する方法が好ましい。上記混合には、遊星式撹拌装置、ホモジナイザー、メカノケミカル撹拌機等を用いることが好ましい。
【0110】
次いで、上記樹脂ワニス組成物から上記ワニス作製用の有機溶剤を留去することにより樹脂シート等の成形体が得られる。上記留去の方法としては特に限定されず、樹脂ワニス組成物の組成に応じて選択される。
【0111】
また、樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、有機溶媒に溶解して溶液とし、キャストしてシート状成形体にすることもできる。
上記有機溶媒としては常温で液状であれば特に限定されないが、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、酢酸、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、クロロベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ピリジン、ニトロベンゼン等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。これらの有機溶媒の選択により、上記層状珪酸塩の分散状態が影響されることがあり、ヘキサン、四塩化炭素、ベンゼン等の無極性有機溶媒より、極性有機溶媒の方が好ましく用いられる。更に、非プロトン性の極性有機溶媒がより好ましい。ここで非プロトン性の極性有機溶媒とは、強い水素結合の形成に適した水素を持たない極性有機溶媒を意味し、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、n,n−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等が挙げられる。
【0112】
有機溶媒とエポキシ樹脂、層状珪酸塩の比率によっても、層状珪酸塩の分散状態が影響されることがあり、有機溶媒の種類によりその比率が異なるが、樹脂濃度、層状珪酸塩濃度が共に低い方が好ましい。エポキシ樹脂に対しては、エポキシ樹脂及びその硬化剤の混合物100重量部に対して、有機溶媒30重量部以上が必須であり、有機溶媒100重量部以上が好ましく、有機溶媒150重量部以上がより好ましい。30重量部未満であると、溶液粘度が高すぎてキャストが困難となる。好ましい下限は5000重量部である。5000重量部を超えると、溶液キャスト時に塗工不良が発生したり、厚膜化が困難となることがある。層状珪酸塩に対しては、添加した層状珪酸塩の同重量部以上の有機溶媒重量であることが好ましい。
【0113】
溶液を混合する方法としては特に限定されないが、遊星式撹拌装置、ホモジナイザー、メカノケミカル撹拌機等を用いる方法が好ましい。配合成分の混合順序は、層状珪酸塩と有機溶媒をあらかじめ混合しておき、エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂溶液と混合する方法が一般的であるが、エポキシ樹脂、硬化剤、層状珪酸塩、有機溶媒、は、どの順序で混合してもよい。
【0114】
層状珪酸塩を配向させる方法としては特に規定されず、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形等を用いて樹脂が流動する力を利用して層状珪酸塩を配向させる方法;あらかじめ成形した後に成型品を延伸したり膨張させたりすることにより樹脂と変形させる引張力を利用して層状珪酸塩を配向させる方法等が挙げられる。
【0115】
樹脂の流動を利用する方法は、繊維状フィラーを配向させた成型品を製造する際に一般的に用いる方法等が利用できる。即ち、マトリックスである樹脂の流動を利用してその流動方向に層状珪酸塩を配向させる方法である。特にせん断や伸張流れにより配向は顕著になり、射出成形や押出成形では細い流路を流れるときに層状珪酸塩が配向する。これはプレス成形でも同様で、樹脂が押しつぶされるときのせん断流れで配向する。
【0116】
成形後に配向させる方法としては、例えば、フィルム状に成形した後、フィルムを延伸する方法や、ブロー成形法を用いて成型品を膨張させる方法等が利用できる。即ち、樹脂を軟化させ、又は、樹脂が軟らかいうちに引張力を与えて樹脂を延伸することにより樹脂中に分散した層状珪酸塩が延伸方向に配向する。
【0117】
本発明の樹脂成型品は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂及び樹脂硬化物からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂と層状珪酸塩とを含有し、薄片の層状珪酸塩が高い配向性をもって樹脂中に存在していることから、高い力学物性、寸法安定性、耐熱性、難燃性、ガスバリア性等を発揮できる。
本発明の樹脂成型品は特に限定されないが、銅箔が積層された樹脂や層間絶縁材料等の樹脂基板材料に好適である。なかでも、ビルドアップ積層基板に用いた場合、層状珪酸塩の配向効果により線膨張率が低い基板が得られる。特に樹脂のガラス転移点温度以上の高温における線膨張率を低く抑える効果が期待できる。このことは、ビルドアップによる積層という繰り返し工程中に発生する残留応力を低減させることにつながり、製造時の不良率を下げ、完成した積層板の信頼性を向上することができる。
【0118】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0119】
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウケミカル日本社製、D.E.R.331L)45重量部、固形エポキシ樹脂(東都化成社製、YP55)45重量部、ジシアンジアミド(アデカ社製、アデカハードナーEH−3636)3.15重量部、変性イミダゾール(アデカ社製、アデカハードナーEH−3366)1.35重量部からなるエポキシ樹脂組成物94.5重量部、層状珪酸塩としてトリオクチルメチルアンモニウム塩で有機化処理が施された合成ヘクトライト(コープケミカル社製、ルーセンタイトSTN)10重量部、及び、有機溶剤としてジメチルホルムアミド(DMF)400重量部をビーカーに加え、撹拌機にて1時間撹拌した後、脱泡して樹脂/層状珪酸塩溶液を得た。
【0120】
得られた樹脂/層状珪酸塩溶液を塗工によりシート状に成形し、60℃に設定した乾燥機中で溶媒であるDMFを揮発させ、未硬化エポキシ樹脂のシートを得た。得られたシートを80℃に再加熱し延伸機により約1.4倍に一軸延伸した後、物性評価用サンプルの厚みに応じて必要枚数積層し、170℃×30分間熱プレスしてエポキシ樹脂を完全硬化させ厚さ150μm及び2mmの樹脂成型品を得た。
【0121】
得られた樹脂成型品について、以下の方法により、層状珪酸塩の配向状態、層状珪酸塩の分散状態、層状珪酸塩の配向状態、線膨張係数及び燃焼残渣の降伏点応力の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0122】
(1)層状珪酸塩の分散状態の評価
層状珪酸塩の平均層間距離はX線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)を用いて、層状珪酸塩の積層面の回折より得られる回折ピークの2θを測定し、下記式(7)のブラッグの回折式により、層状珪酸塩の(001)面間隔(d)を算出し、得られたdを平均層間距離(nm)とした。
λ=2dsinθ (7)
式中、λは0.154であり、dは層状珪酸塩の面間隔を表し、θは回折角を表す。
また、層状珪酸塩の層の剥離状態の評価は透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−1200EX II)を用いて写真を撮影し、樹脂成型品中の層状珪酸塩の剥離状態を観察して、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものを○、層状珪酸塩の20%以上が5層以下で存在しているものを◎、全てが5層を超えるものを×と評価した。
【0123】
(2)層状珪酸塩の配向状態の評価
透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−1200EX II)を用いて50000倍観察を行い、得られた画像から500nm四方(0.25μm2)のエリアを任意に5ヶ所抽出し、そのエリア内の層状珪酸塩を計数した。
具体的には、まず、成形したフィルムの一部を切り取り、フィルムの表面に対して垂直方向からとフィルムの垂直な断面方向から観察を行った。
なお、フィルムは延伸されていることから延伸方向を配向軸とした。また、電子顕微鏡による層状珪酸塩の配向方向からも配向軸を認識することができた。
次いで、フィルムの表面に対して垂直方向から観察を行った場合に観察される層状珪酸塩の個数(A)と、フィルムの垂直な断面方向から観察される層状珪酸塩の個数(B)との比(A/B)を求めた。なお、フィルムの垂直な断面方向としては、配向軸方向とそれ以外の方向から観察したときとでは棒状に観察される層状珪酸塩の数が異なるが、フィルム表面に対して垂直方向から観察したときの棒状の層状珪酸塩の数との差異に比べてわずかであることから、フィルムの垂直な断面方向は特に定める必要はなかった。本実施例ではフィルムの垂直な断面は配向軸に平行な断面方向から観察した。
【0124】
(3)線膨張係数の測定
熱・応力・歪測定装置(セイコー電子工業社製、TMA/SS120C)を用いて測定を行った。測定に際しては、チャック時のひずみ等をキャンセルするために、一度常温から260℃まで昇温し、そこから0℃まで降温させた。そして、再び300℃まで昇温したときに熱膨張値を測定し、これをもとに計算して線膨張係数を求めた。なお、荷重は20mNとした。また、線膨張係数は樹脂のガラス転移温度の前後で1カ所ずつ求めた。ここで、測定により求められた線膨張係数は60℃から100℃(α1)、120℃から160℃(α2)とした。
【0125】
(4)燃焼残渣の降伏点応力の測定
ASTM E 1354に準拠して、50kW/m2の輻射加熱条件下で30分間加熱し燃焼することにより得られた燃焼残渣を圧縮試験機(カトーテック社製、KES−G5)を用いて、速度0.1cm/秒で圧縮し、燃焼残渣の降伏点応力(kPa)を測定した。
【0126】
(比較例1)
未硬化エポキシ樹脂のシートを延伸しなかった以外は実施例1と同様にして樹脂成型品を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0127】
(比較例2)
合成ヘクトライト(コープケミカル社製、ルーセンタイトSTN)10重量部を配合せず、また、未硬化エポキシ樹脂のシートを延伸しなかった以外は実施例1と同様にして樹脂成型品を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0128】
【表1】
【0129】
【発明の効果】
本発明によれば、力学的物性、寸法安定性、耐熱性、難燃性等に優れ、特に高温物性に優れた樹脂成型品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の層平面における法線ベクトルを示す模式図である。
【図2】層状珪酸塩の配向状態を説明する模式図である。
【図3】面上配向を示す模式図である。
【図4】透過型電子顕微鏡(TEM)による本発明の樹脂成型品の観察を示す模式図である。
【図5】層状珪酸塩が面上配向している場合の透過型電子顕微鏡(TEM)による本発明の樹脂成型品の観察を示す模式図である。
Claims (7)
- 電子機器に用いられる樹脂基板材料であって、
熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を硬化してなる樹脂硬化物と層状珪酸塩を含有し、前記層状珪酸塩の少なくとも50%以上は、層平面における法線ベクトルが配向軸に対して60°〜90°の角度をなすように配向しており、
前記熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂、層状珪酸塩及び有機溶剤を混合した樹脂ワニス組成物を調製する工程と、前記樹脂ワニス組成物から前記有機溶剤を留去してシート状体を得る工程と、得られたシート状体を一軸延伸して前記層状珪酸塩を配向させる工程と、前記熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を硬化する工程とにより製造される
ことを特徴とする樹脂基板材料。 - 熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を硬化してなる樹脂硬化物100重量部に対して層状珪酸塩を0.1〜100重量部含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂基板材料。
- 配向軸に対して垂直方向から透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った場合に層状珪酸塩が棒状に観察され、棒状に観察される前記層状珪酸塩の少なくとも50%以上が、配向軸に対して0°〜30°の角度をなすように配向していることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂基板材料。
- 樹脂基板材料表面に対して垂直方向から透過型電子顕微鏡(TEM)による観察をした場合に観察される層状珪酸塩の個数(A)と、観察した樹脂基板材料表面に対して垂直な断面方向から透過型電子顕微鏡(TEM)による観察をした場合に観察される層状珪酸塩の個数(B)との比(A/B)が0.8以下となる表面を少なくとも有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の樹脂基板材料。
- 層状珪酸塩は、炭素数6以上のアルキルアンモニウムイオン及び/又はヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の樹脂基板材料。
- 層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定される(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部が5層以下に分散していることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の樹脂基板材料。
- ASTM E 1354に準拠して、50kW/m 2 の輻射加熱条件下で30分間加熱し燃焼することにより得られた燃焼残渣を0.1cm/秒で圧縮した時の降伏点応力が4.9kPa以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の樹脂基板材料。
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