JP4083067B2 - 乗用型作業車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用型作業車の走行系の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用型作業車においては、例えば特許文献1に開示されているように、右及び左の後輪への動力を伝動及び遮断自在な右及び左のサイドクラッチ(特許文献1の図9,12,13中の96)を備えて、右及び左の前輪が右又は左に操向操作されると、旋回中心側のサイドクラッチが遮断操作されるように、右及び左の前輪と右及び左のサイドクラッチとを連係したものがある。このように旋回中心側のサイドクラッチが遮断操作されて、旋回中心側の後輪が自由回転するように構成すると、旋回中心側の後輪が旋回に伴って適度に回転しながら前進する状態となって、旋回時に旋回中心側の後輪によって作業地が荒らされる状態が少なくなる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−95335号公報(図9,12,13)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の構造において、右及び左の前輪を右又は左に大きく操向操作して小さい旋回半径で旋回しようとした場合、特に走行抵抗の大きな作業地では(例えば凹凸の激しい地面や深い水田等)、旋回中心側の後輪が回転せずに殆どその場で横に向きを変えるような状態になることがある。このように、旋回中心側の後輪が回転せずに殆どその場で横に向きを変えるような状態になると、旋回時に旋回中心側の後輪によって作業地が荒らされる状態になることがある。
【0005】
本発明は、乗用型作業車において、右及び左の前輪を右又は左に操向操作すると、旋回中心側の後輪への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪が自由回転状態となるように構成した場合、右及び左の前輪を右又は左に大きく操向操作して小さい旋回半径で旋回しようとした際に、旋回時に旋回中心側の後輪によって作業地が荒らされる状態を少なくすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
[I]
請求項1の特徴によると、操向操作自在な右及び左の前輪と、右及び左の後輪とを備えて、直進位置から右及び左の第1設定角度を設定し、右及び左の第1設定角度よりも右及び左の操向限度側に右及び左の第2設定角度を設定している。右及び左の前輪が直進位置と右及び左の第1設定角度との間の範囲に操向操作されると、右及び左の後輪に動力が伝達される第1伝動状態が設定される。右及び左の前輪が右の第1設定角度と右の第2設定角度との間の範囲、又は左の第1設定角度と左の第2設定角度との間の範囲に操向操作されると、旋回中心側の後輪への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪が自由回転状態となる遮断状態が設定される。右及び左の前輪が右の第2設定角度と右の操向限度との間の範囲、又は左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作されると、第1伝動状態で右及び左の後輪に伝達される動力よりも低速の動力が旋回中心側の後輪に伝達される第2伝動状態が設定される。
【0007】
これにより、請求項1の特徴によると、右及び左の前輪が直進位置と右及び左の第1設定角度との間の範囲に操向操作されると、右及び左の後輪に動力が伝達される(第1伝動状態)。これにより、機体は直進又は緩やかに右又は左に向きを変える。
次に右又は左に旋回する場合、右及び左の前輪が右の第1設定角度と右の第2設定角度との間の範囲、又は左の第1設定角度と左の第2設定角度との間の範囲に操向操作されると、旋回中心側の後輪への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪が自由回転状態となる(遮断状態)。これにより、旋回中心側の後輪が旋回に伴って適度に回転しながら前進する状態となって、旋回時に旋回中心側の後輪によって作業地が荒らされる状態が少なくなる。
【0008】
次に右又は左に小さい旋回半径で旋回する場合、右及び左の前輪が右の第2設定角度と右の操向限度との間の範囲、又は左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作されると、第1伝動状態で右及び左の後輪に伝達される動力よりも低速の動力が旋回中心側の後輪に伝達される(第2伝動状態)。これにより、旋回中心側の後輪が回転せずに殆どその場で横に向きを変えようとしても、低速の動力が旋回中心側の後輪に伝達されて、旋回中心側の後輪が少しずつ回転して前進しながら横に向きを変えるような状態となるので、旋回中心側の後輪が回転せずに殆どその場で横に向きを変えるような状態になり難い。
【0009】
[II]
請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
右及び左の後輪への伝動構造を構成する場合、請求項2の特徴によると、一つの伝動系から右の伝動系及び左の伝動系を分岐させて、右の伝動系から右の第1伝動状態の伝動系及び右の第2伝動状態の伝動系を分岐させ、左の伝動系から左の第1伝動状態の伝動系及び左の第2伝動状態の伝動系を分岐させて、右の第1及び第2伝動状態の伝動系を右の後輪に接続し、左の第1及び第2伝動状態の伝動系を左の後輪に接続している。右及び左の第1及び第2伝動状態の伝動系を伝動及び遮断状態に操作自在な切換機構を備えている。
【0010】
請求項2の特徴によると、右及び左の第1伝動状態の伝動系を伝動状態に操作し右及び左の第2伝動状態の伝動系を遮断状態に操作すると、一つの伝動系の動力が右及び左の伝動系、右及び左の第1伝動状態の伝動系を介して、右及び左の後輪に伝達される(前項[I]に記載の第1伝動状態)。
次に前述の状態において、例えば切換機構により右の第1及び第2伝動状態の伝動系を遮断状態に操作すると、右(旋回中心側)の後輪が自由回転状態となる(前項[I]に記載の遮断状態)。
次に前述の状態において、例えば切換機構により右の第1伝動状態の伝動系を遮断状態に操作し右の第2伝動状態の伝動系を伝動状態に操作すると、右及び左の第1伝動状態の伝動系を介して右及び左の後輪に伝達される動力よりも低速の動力が、右(旋回中心側)の後輪に伝達される(前項[I]に記載の第2伝動状態)。
【0011】
以上のように、請求項2の特徴によると、右及び左の後輪への伝動構造を構成する場合、一つの伝動系から右の伝動系及び左の伝動系を分岐させて、右の伝動系から右の第1伝動状態の伝動系及び右の第2伝動状態の伝動系を分岐させ、左の伝動系から左の第1伝動状態の伝動系及び左の第2伝動状態の伝動系を分岐させているので、右及び左の第1及び第2伝動状態の伝動系が比較的短いものとなる。
【0012】
[III]
請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項3の特徴によると、右及び左の前輪が右の第2設定角度と右の操向限度との間の範囲、又は左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作された状態において、第1伝動状態の右及び左の後輪への伝動速度と第2伝動状態の旋回中心側への後輪の伝動速度との比が、旋回中心から旋回外側の後輪までの距離と旋回中心から旋回中心側の後輪までの距離との比に略等しくなるように構成している。このように、旋回中心から旋回外側の後輪までの距離及び旋回中心から旋回中心側の後輪までの距離に基づいて、第2伝動状態の旋回中心側への後輪の伝動速度を適切なものに設定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[1]
図1及び図2に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5が支持されて、乗用型作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、苗植付装置5は、伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された植付ケース7、植付ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、接地フロート9及び苗のせ台10等を備えて構成されている。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
【0015】
図1及び図2に示すように、運転座席11の後側に肥料を貯留するホッパー12及び繰り出し部13が備えられ、運転座席11の下側にブロア14が備えられている。接地フロート9に作溝器15が備えられて、繰り出し部13と作溝器15とに亘ってホース16が接続されている。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13によって繰り出され、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給されるのであり、作溝器15を介して肥料が田面に供給される。
【0016】
[2]
次に、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2の支持構造について説明する。
図1,3,4に示すように、機体の前部にミッションケース17が備えられ、ミッションケース17の前部に連結された支持フレーム18に、エンジン19が支持されている。ミッションケース17の後部に平板状の支持フレーム20が連結され、角パイプ状の右及び左の機体フレーム21が支持フレーム20に連結されて後方に延出されており、右及び左の機体フレーム21の後部に平板状の支持部材22が連結されて、支持部材22にリンク機構3、油圧シリンダ4、運転座席11、ホッパー12、繰り出し部13及びブロア14が支持されている。
【0017】
図1,3,4に示すように、ミッションケース17の右及び左の横側面から前車軸ケース23が延出され、前車軸ケース23の端部に円筒状の支持部23aが斜め前方下方(縦軸芯P1参照)に向いて備えられている。右及び左の前輪1を支持する前輪支持部24が、前車軸ケース23の支持部23aに縦軸芯P1周りに回転自在及び縦軸芯P1の方向にスライド自在に支持されており、前車軸ケース23の支持部23aの内部にサスペンションバネ40が備えられて、サスペンションバネ40により前輪支持部24が支持されている。これにより、右及び左の前輪1が、サスペンションバネ40により独立に弾性的に上下動自在に支持されている。
【0018】
図3及び図5に示すように、ミッションケース17の下部にピットマンアーム25が縦軸芯P2周りに揺動自在に支持され後向きに延出されて、前輪支持部24とピットマンアーム25とに亘ってタイロッド26が接続されている。図1及び図2に示すように、ピットマンアーム25を揺動操作する操縦ハンドル27が備えられており、操縦ハンドル27によりピットマンアーム25を揺動操作することにより、右及び左の前輪1を操向操作する。
【0019】
図1,3,4に示すように、後車軸ケース28が一体的に形成されて、後車軸ケース28に右及び左の後輪2が支持されている。後車軸ケース28の前部に右及び左の支持アーム29が連結されて前方に延出されており、支持フレーム20に支持された支持軸30の両端に、右及び左の支持アーム29の前端がゴムブッシュ31を介して上下に揺動自在に接続されている。後車軸ケース28と支持部材22とに亘って、右及び左のサスペンションバネ32が接続されている。左の機体フレーム21に支持軸33が前後向きに固定され、ラテラルロッド34がゴムブッシュ(図示せず)を介して上下に揺動自在に支持軸33に接続され、後車軸ケース28に前向きに固定された支持軸28aに、ラテラルロッド34の端部がゴムブッシュ(図示せず)を介して上下に揺動自在に接続されている。
【0020】
これにより、後車軸ケース28が右及び左のサスペンションバネ32により上下動及びローリング自在に支持されるのであり、右及び左の支持アーム29により後車軸ケース28の前後方向の位置が決められ、ラテラルロッド34により後車軸ケース28の左右方向の位置が決められる。図3,4,7に示すように、硬質ゴム製のストッパー55が右及び左の機体フレーム21に固定されており、後車軸ケース28が上昇してストッパー55に接当することにより、後車軸ケース28の上下方向の位置が決められる。
【0021】
図1及び図4に示すように、エンジン19の動力がミッションケース17に伝達され変速操作されて、前車軸ケース23から右及び左の前輪1に伝達されている。エンジン19の動力がミッションケース17の出力軸35、伝動軸36及び自在継手37を介して後車軸ケース28の入力軸38に伝達され、後車軸ケース28から右及び左の後輪2に伝達されている。
【0022】
[3]
次に、後車軸ケース28における右及び左の後輪2への伝動構造について説明する。
図6に示すように、後車軸ケース28に伝動軸39が備えられて、入力軸38に固定されたベベルギヤ38aが、伝動軸39に固定されたベベルギヤ39aに咬合している。後車軸ケース28に出力軸50が備えられ、出力軸50に固定されたベベルギヤ50aが伝動軸39のベベルギヤ39aに咬合している。出力軸50に出力アーム(図示せず)が備えられ、出力アームと繰り出し部13の入力部(図示せず)とに亘ってプッシュプルワイヤ(図示せず)が接続されている。これにより、入力軸38の動力が出力軸50及びプッシュプルワイヤを介して繰り出し部13に伝達されて、前項[1]に記載のように、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13によって繰り出される。
【0023】
図6,8,9(イ)に示すように、伝動軸39の右及び左の端部において、右及び左の第2伝動ギヤ42が伝動軸39に相対回転自在に外嵌されており、右及び左の第2伝動ギヤ42はギヤ部42a及び咬合部42bを備えている。右及び左の第1伝動ギヤ41が右及び左の第2伝動ギヤ42に相対回転自在に外嵌されており、右及び左の第1伝動ギヤ41は内向きの第1ギヤ部41a及び外向きの第2ギヤ部41bを備えている。右及び左のシフトギヤ43がスプライン構造により一体回転及びスライド自在に伝動軸39に外嵌されており、右及び左のシフトギヤ43はギヤ部43a及び咬合部43bを備えている。右及び左のシフトギヤ43を右及び左の第2伝動ギヤ42から離れる側に付勢するバネ44が、伝動軸39に外嵌されている。
【0024】
図6及び図8に示すように、後車軸ケース28に中間の伝動軸45、右及び左の後輪2を支持する車軸46が備えられて、伝動軸45に固定された伝動ギヤ47,48が右及び左の第1伝動ギヤ41の第2ギヤ部41b、右及び左の第2伝動ギヤ42のギヤ部42aに咬合しており、車軸46に固定された伝動ギヤ49が伝動軸45のギヤ部45aに咬合している。
【0025】
図6,7,8に示すように、後車軸ケース28に操作軸51が回転自在に支持され、シフトギヤ43の端部に接当するスリーブ52が伝動軸39に相対回転自在に外嵌されており、操作軸51に固定された操作ピン51aがスリーブ52の端部に接当している。後車軸ケース28から操作軸51が下方に突出して、操作軸51の突出部に操作アーム51bが備えられており、図5,6,7,8に示すように、ピットマンアーム25と操作軸51の操作アーム51bとに亘って連係ロッド53が接続されている。これによって、操縦ハンドル27によりピットマンアーム25が揺動操作されて、右及び左の前輪1が操向操作されると、連係ロッド53により操作軸51が回転操作されて、操作軸51の操作ピン51a及びスリーブ52を介して、右及び左のシフトギヤ43がスライド操作される。
【0026】
[4]
次に、右及び左の前輪1を直進位置A0と右及び左の第1設定角度A1との間の範囲、右の第1設定角度A1と右の第2設定角度A2との間の範囲、左の第1設定角度A1と左の第2設定角度A2との間の範囲に操向操作した場合について説明する。
図5に示すように、右及び左の前輪1に対して、直進位置A0、右及び左の第1設定角度A1、右及び左の第2設定角度A2、右及び左の操向限度A3が設定されている。この場合、右及び左の第2設定角度A2が右及び左の操向限度A3に近いものに設定されており、右の第2設定角度A2と右の操向限度A3との間の範囲、左の第2設定角度A2と左の操向限度A3との間の範囲が狭いものに設定されている(右及び左の第2設定角度A2が右及び左の操向限度A3に非常に接近した状態)。
【0027】
図6,8,9(イ)に示す状態は、右及び左の前輪1が直進位置A0に操向操作された状態であり、右及び左のシフトギヤ43のギヤ部43aが右及び左の第1伝動ギヤ41の第1ギヤ部41aに咬合している状態である。これにより、入力軸38の動力が伝動軸39、右及び左のシフトギヤ43、右及び左の第1伝動ギヤ41、伝動ギヤ47、伝動軸45、車軸46を介して右及び左の後輪2に伝達されている。右及び左の前輪1が直進位置A0と右及び左の第1設定角度A1との間の範囲に操向操作されていても、前述の状態となる。これにより、機体は直進又は緩やかに右又は左に向きを変える。
【0028】
右及び左の前輪1が左の第1設定角度A1と左の第2設定角度A2との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により左の連係ロッド53が引き操作されて、図9(ロ)に示すように、左のシフトギヤ43が左の第2伝動ギヤ42に向けてスライド操作され、左のシフトギヤ43のギヤ部43aが左の第1伝動ギヤ41の第1ギヤ部41aから離れて(左のシフトギヤ43の咬合部43bは左の第2伝動ギヤ42の咬合部42bに咬合していない)、左の後輪2への動力が遮断され、左の後輪2が自由回転状態となる。右のシフトギヤ43のギヤ部43aは右の第1伝動ギヤ41の第1ギヤ部41aに咬合したままであり、入力軸38の動力が右の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して右の後輪2に伝達されている。
【0029】
右及び左の前輪1が右の第1設定角度A1と右の第2設定角度A2との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により右の連係ロッド53が引き操作されて、右のシフトギヤ43が右の第2伝動ギヤ42に向けてスライド操作され、右のシフトギヤ43のギヤ部43aが右の第1伝動ギヤ41の第1ギヤ部41aから離れて(右のシフトギヤ43の咬合部43bは右の第2伝動ギヤ42の咬合部42bに咬合していない)、右の後輪2への動力が遮断され、右の後輪2が自由回転状態となる。左のシフトギヤ43のギヤ部43aは左の第1伝動ギヤ41の第1ギヤ部41aに咬合したままであり、入力軸38の動力が左の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して左の後輪2に伝達されている。
【0030】
以上のように、右及び左の前輪1が右の第1設定角度A1と右の第2設定角度A2との間の範囲、又は左の第1設定角度A1と左の第2設定角度A2との間の範囲に操向操作されると、右及び左の前輪1、旋回外側の後輪2に動力が伝達された状態で、旋回中心側の後輪2への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪2が自由回転状態となり、右又は左への旋回が行われる。これにより、旋回中心側の後輪2が旋回に伴って適度に回転しながら前進する状態となって、旋回時に旋回中心側の後輪2によって田面が荒らされる状態が少なくなる。
【0031】
[5]
次に、右及び左の前輪1を右の第2設定角度A2と右の操向限度A3との間の範囲、左の第2設定角度A2と左の操向限度A3との間の範囲に操向操作した場合について説明する。
右及び左の前輪1が左の第2設定角度A2と左の操向限度A3との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により左の連係ロッド53がさらに引き操作されて、図9(ハ)に示すように、左のシフトギヤ43が左の第2伝動ギヤ42に向けてさらにスライド操作され、左のシフトギヤ43の咬合部43bが左の第2伝動ギヤ42の咬合部42bに咬合して、入力軸38の動力が伝動軸39、左のシフトギヤ43、左の第2伝動ギヤ42、伝動ギヤ48、伝動軸45、車軸46を介して左の後輪2に伝達される。右のシフトギヤ43のギヤ部43aは右の第1伝動ギヤ41の第1ギヤ部41aに咬合したままであり、入力軸38の動力が右の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して右の後輪2に伝達されている。
【0032】
右及び左の前輪1が右の第2設定角度A2と右の操向限度A3との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により右の連係ロッド53がさらに引き操作されて、右のシフトギヤ43が右の第2伝動ギヤ42に向けてさらにスライド操作され、右のシフトギヤ43の咬合部43bが右の第2伝動ギヤ42の咬合部42bに咬合して、入力軸38の動力が伝動軸39、右のシフトギヤ43、右の第2伝動ギヤ42、伝動ギヤ48、伝動軸45、車軸46を介して右の後輪2に伝達される。左のシフトギヤ43のギヤ部43aは左の第1伝動ギヤ41の第1ギヤ部41aに咬合したままであり、入力軸38の動力が左の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して左の後輪2に伝達されている。
【0033】
この場合、前項[4]及び図9(イ)に示すように、入力軸38の動力が右(左)の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して右(左)の後輪2に伝達される状態での伝動比(伝動速度)B1よりも、図9(ハ)に示すように、入力軸38の動力が右(左)の第2伝動ギヤ42及び伝動ギヤ48を介して右(左)の後輪2に伝達される状態での伝動比(伝動速度)B2が低速になるように設定されている。
【0034】
さらに、図10に示すように、右及び左の前輪1が右の第2設定角度A2と右の操向限度A3との間の範囲、又は左の第2設定角度A2と左の操向限度A3との間の範囲に操向操作された状態において、伝動比(伝動速度)B1、伝動比(伝動速度)B2、旋回中心Cから旋回外側の後輪2までの距離L1、旋回中心Cから旋回中心側の後輪2までの距離L2とにおいて、
B1/B2≒L1/L2
となるように、伝動比(伝動速度)B1と伝動比(伝動速度)B2との比が、距離L1と距離L2との比に略等しくなるように構成されている。
【0035】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明の実施の形態]に代えて、図11及び図12(イ)に示すように構成してもよい。
図11及び図12(イ)に示すように、右及び左の第1伝動ギヤ41において第1ギヤ部41aを廃止し、右及び左のシフトギヤ43においてギヤ部43aを廃止して、右及び左の第1伝動ギヤ41と右及び左のシフトギヤ43との間に摩擦板54を配置している。これ以外の構造は、前述の[発明の実施の形態]と同じである。
【0036】
これにより、図11及び図12(イ)に示すように、右及び左の前輪1が直進位置A0に操向操作されると、バネ44によって右及び左のシフトギヤ43により摩擦板54が押圧されて、入力軸38の動力が伝動軸39、右及び左のシフトギヤ43、摩擦板54、右及び左の第1伝動ギヤ41、伝動ギヤ47、伝動軸45、車軸46を介して右及び左の後輪2に伝達される。右及び左の前輪1が直進位置A0と右及び左の第1設定角度A1との間の範囲に操向操作されていても、前述の状態となる。
【0037】
右及び左の前輪1が左の第1設定角度A1と左の第2設定角度A2との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により左の連係ロッド53が引き操作されて、左のシフトギヤ43が左の第2伝動ギヤ42に向けてスライド操作され、左のシフトギヤ43が摩擦板54を押圧しなくなり(左のシフトギヤ43の咬合部43bは左の第2伝動ギヤ42の咬合部42bに咬合していない)、左の後輪2への動力が遮断されて、左の後輪2が自由回転状態となる。右のシフトギヤ43は摩擦板54を押圧したままであり、入力軸38の動力が右の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して右の後輪2に伝達されている。
【0038】
右及び左の前輪1が右の第1設定角度A1と右の第2設定角度A2との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により右の連係ロッド53が引き操作されて、右のシフトギヤ43が右の第2伝動ギヤ42に向けてスライド操作され、右のシフトギヤ43が摩擦板54を押圧しなくなり(右のシフトギヤ43の咬合部43bは右の第2伝動ギヤ42の咬合部42bに咬合していない)、右の後輪2への動力が遮断されて、右の後輪2が自由回転状態となる。左のシフトギヤ43は摩擦板54を押圧したままであり、入力軸38の動力が左の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して左の後輪2に伝達されている。
【0039】
右及び左の前輪1が左の第2設定角度A2と左の操向限度A3との間の範囲に操向操作されると、図12(ロ)に示すようにピットマンアーム25により左の連係ロッド53がさらに引き操作されて、左のシフトギヤ43が左の第2伝動ギヤ42に向けてさらにスライド操作され、左のシフトギヤ43の咬合部43bが左の第2伝動ギヤ42の咬合部42bに咬合して、入力軸38の動力が伝動軸39、左のシフトギヤ43、左の第2伝動ギヤ42、伝動ギヤ48、伝動軸45、車軸46を介して左の後輪2に伝達される。右のシフトギヤ43は摩擦板54を押圧したままであり、入力軸38の動力が右の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して右の後輪2に伝達されている。
【0040】
右及び左の前輪1が右の第2設定角度A2と右の操向限度A3との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により右の連係ロッド53がさらに引き操作されて、右のシフトギヤ43が右の第2伝動ギヤ42に向けてさらにスライド操作され、右のシフトギヤ43の咬合部43bが右の第2伝動ギヤ42の咬合部42bに咬合して、入力軸38の動力が伝動軸39、右のシフトギヤ43、右の第2伝動ギヤ42、伝動ギヤ48、伝動軸45、車軸46を介して右の後輪2に伝達される。左のシフトギヤ43は摩擦板54を押圧したままであり、入力軸38の動力が左の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して左の後輪2に伝達されている。
【0041】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明の実施の形態]及び[発明の実施の第1別形態]に代えて、図13(イ)に示すように構成してもよい。
図13(イ)に示すように、右及び左の第1伝動ギヤ41において第1ギヤ部41aを廃止し、右及び左のシフトギヤ43においてギヤ部43aを廃止して、右及び左の第1伝動ギヤ41と右及び左のシフトギヤ43との間に摩擦板54を配置している。右及び左の第2伝動ギヤ42において咬合部42bを廃止し、右及び左の第2伝動ギヤ42にリング状の受け板42cを固定している。右及び左のシフトギヤ43において咬合部43bを廃止し、右及び左のシフトギヤ43の端部43cをリング状の平面状に構成している。この場合、図5に示す右及び左の第2設定角度A2と右及び左の操向限度A3とが同じ位置となる。これ以外の構造は、前述の[発明の実施の形態]と同じである。
【0042】
これにより、図13(イ)に示すように、右及び左の前輪1が直進位置A0に操向操作されると、バネ44によって右及び左のシフトギヤ43により摩擦板54が押圧されて、入力軸38の動力が伝動軸39、右及び左のシフトギヤ43、摩擦板54、右及び左の第1伝動ギヤ41、伝動ギヤ47、伝動軸45、車軸46を介して右及び左の後輪2に伝達される。右及び左の前輪1が直進位置A0と右及び左の第1設定角度A1との間の範囲に操向操作されていても、前述の状態となる。
【0043】
右及び左の前輪1が左の第1設定角度A1と左の第2設定角度A2との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により左の連係ロッド53が引き操作されて、左のシフトギヤ43が左の第2伝動ギヤ42に向けてスライド操作され、左のシフトギヤ43が摩擦板54を押圧しなくなり(左のシフトギヤ43の端部43cは左の第2伝動ギヤ42の受け板42cに押圧されていない)、左の後輪2への動力が遮断されて、左の後輪2が自由回転状態となる。右のシフトギヤ43は摩擦板54を押圧したままであり、入力軸38の動力が右の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して右の後輪2に伝達されている。
【0044】
右及び左の前輪1が右の第1設定角度A1と右の第2設定角度A2との間の範囲に操向操作されると、ピットマンアーム25により右の連係ロッド53が引き操作されて、右のシフトギヤ43が右の第2伝動ギヤ42に向けてスライド操作され、右のシフトギヤ43が摩擦板54を押圧しなくなり(右のシフトギヤ43の端部43cは右の第2伝動ギヤ42の受け板42cに押圧されていない)、右の後輪2への動力が遮断されて、右の後輪2が自由回転状態となる。左のシフトギヤ43は摩擦板54を押圧したままであり、入力軸38の動力が左の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して左の後輪2に伝達されている。
【0045】
右及び左の前輪1が左の第2設定角度A2(左の操向限度A3)に操向操作されると、図13(ロ)に示すように、ピットマンアーム25により左の連係ロッド53がさらに引き操作されて、左のシフトギヤ43が左の第2伝動ギヤ42に向けてさらにスライド操作され、左のシフトギヤ43の端部43cが左の第2伝動ギヤ42の受け板42cに押圧されて、入力軸38の動力が伝動軸39、左のシフトギヤ43(端部43c)、左の第2伝動ギヤ42(受け板42c)、伝動ギヤ48、伝動軸45、車軸46を介して左の後輪2に伝達される。右のシフトギヤ43は摩擦板54を押圧したままであり、入力軸38の動力が右の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して右の後輪2に伝達されている。
【0046】
右及び左の前輪1が右の第2設定角度A2(右の操向限度A3)に操向操作されると、ピットマンアーム25により右の連係ロッド53がさらに引き操作されて、右のシフトギヤ43が右の第2伝動ギヤ42に向けてさらにスライド操作され、右のシフトギヤ43の端部43cが右の第2伝動ギヤ42の受け板42cに押圧されて、入力軸38の動力が伝動軸39、右のシフトギヤ43(端部43c)、右の第2伝動ギヤ42(受け板42c)、伝動ギヤ48、伝動軸45、車軸46を介して右の後輪2に伝達される。左のシフトギヤ43は摩擦板54を押圧したままであり、入力軸38の動力が左の第1伝動ギヤ41及び伝動ギヤ47を介して左の後輪2に伝達されている。
【0047】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明の実施の形態]及び[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]において、右及び左の連係ロッド53に融通用のバネ(図示せず)を備えてもよい。このように構成すると、右の第2設定角度A2と右の操向限度A3との間の範囲、左の第2設定角度A2と左の操向限度A3との間の範囲が広くなるようにすることができる(右及び左の第2設定角度A2が、右及び左の操向限度A3から右及び左の第1設定角度A1側に比較的離れた状態となるようにすることができる)。
本発明は乗用型田植機ばかりではなく、機体の後部に直播装置を備えた乗用型直播機や、機体の後部に薬剤散布装置を備えた乗用型管理機にも適用できる。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、乗用型作業車において、右及び左の前輪を右又は左に操向操作すると、旋回中心側の後輪への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪が自由回転状態となるように構成した場合、右及び左の前輪を右又は左に大きく操向操作して小さい旋回半径で旋回しようとした際に、旋回中心側の後輪が少しずつ回転して前進しながら横に向きを変えるような状態となり、旋回中心側の後輪が回転せずに殆どその場で横に向きを変えるような状態になり難いようにすることができて、旋回時に旋回中心側の後輪によって作業地が荒らされる状態を少なくすることができて、乗用型作業車の旋回性能を向上させることができた。
請求項1の特徴によると、右及び左の前輪を右又は左に操向操作すると、旋回中心側の後輪への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪が自由回転するように構成し、旋回時に旋回中心側の後輪によって作業地が荒らされる状態が少なくなると言う利点をそのまま備えている。
【0049】
請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項2の特徴によると、右及び左の後輪への伝動構造を構成する場合、右及び左の第1及び第2伝動状態の伝動系が比較的短いものとなるので、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0050】
請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前述の請求項1又は2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項3の特徴によると、右及び左の前輪が右の第2設定角度と右の操向限度との間の範囲、又は左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作された状態において、旋回中心から旋回外側の後輪までの距離及び旋回中心から旋回中心側の後輪までの距離に基づき、第2伝動状態の旋回中心側への後輪の伝動速度を適切なものに設定することができるようになって、乗用型作業車の旋回性能を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】乗用型田植機の全体平面図
【図3】前車軸ケース及び後車軸ケースの付近の側面図
【図4】前車軸ケース及び後車軸ケースの付近の平面図
【図5】ピットマンアーム及び後車軸ケースの付近の平面図
【図6】後車軸ケースの横断平面図
【図7】後車軸ケースの付近の縦断側面図
【図8】後車軸ケースにおける左のサイドギヤの付近の横断平面図
【図9】右及び左の前輪が直進位置と右及び左の第1設定角度との間の範囲、左の第1設定角度と左の第2設定角度との間の範囲、左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作された状態における左のサイドギヤの付近の横断平面図
【図10】右及び左の前輪が左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作された状態における右及び左の前輪、右及び左の後輪の状態を示す平面図
【図11】発明の実施の第1別形態において、後車軸ケースにおける左のサイドギヤの付近の横断平面図
【図12】発明の実施の第1別形態において、右及び左の前輪が直進位置と右及び左の第1設定角度との間の範囲、左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作された状態における左のサイドギヤの付近の横断平面図
【図13】発明の実施の第2別形態において、右及び左の前輪が直進位置と右及び左の第1設定角度との間の範囲、左の第2設定角度(左の操向限度)に操向操作された状態における左のサイドギヤの付近の横断平面図
【符号の説明】
1 右及び左の前輪
2 右及び左の後輪
35,36,38 一つの伝動系
39 右の伝動系、左の伝動系
41,47 右の第1伝動状態の伝動系、左の第1伝動状態の伝動系
42,48 右の第2伝動状態の伝動系、左の第2伝動状態の伝動系
43 切換機構
A0 直進位置
A1 右及び左の第1設定角度
A2 右及び左の第2設定角度
A3 右及び左の操向限度
B1 第1伝動状態の右及び左の後輪への伝動速度
B2 第2伝動状態の旋回中心側の後輪への伝動速度
L1 旋回中心から旋回外側の後輪までの距離
L2 旋回中心から旋回中心側の後輪までの距離
Claims (3)
- 操向操作自在な右及び左の前輪と、右及び左の後輪とを備えて、
直進位置から右及び左の第1設定角度を設定し、前記右及び左の第1設定角度よりも右及び左の操向限度側に右及び左の第2設定角度を設定すると共に、
右及び左の前輪が直進位置と前記右及び左の第1設定角度との間の範囲に操向操作されると、右及び左の後輪に動力が伝達される第1伝動状態が設定され、
右及び左の前輪が前記右の第1設定角度と右の第2設定角度との間の範囲、又は前記左の第1設定角度と左の第2設定角度との間の範囲に操向操作されると、旋回中心側の後輪への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪が自由回転状態となる遮断状態が設定され、
右及び左の前輪が前記右の第2設定角度と右の操向限度との間の範囲、又は前記左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作されると、前記第1伝動状態で右及び左の後輪に伝達される動力よりも低速の動力が旋回中心側の後輪に伝達される第2伝動状態が設定されるように構成してある乗用型作業車。 - 一つの伝動系から右の伝動系及び左の伝動系を分岐させて、前記右の伝動系から右の第1伝動状態の伝動系及び右の第2伝動状態の伝動系を分岐させ、前記左の伝動系から左の第1伝動状態の伝動系及び左の第2伝動状態の伝動系を分岐させて、
前記右の第1及び第2伝動状態の伝動系を右の後輪に接続し、前記左の第1及び第2伝動状態の伝動系を左の後輪に接続すると共に、
前記右及び左の第1及び第2伝動状態の伝動系を伝動及び遮断状態に操作自在な切換機構を備えて、
前記切換機構により右及び左の第1伝動状態の伝動系を伝動状態に操作し右及び左の第2伝動状態の伝動系を遮断状態に操作して第1伝動状態を設定し、
前記切換機構により右及び左の第1及び第2伝動状態の伝動系を遮断状態に操作して遮断状態を設定し、
前記切換機構により右又は左の第1伝動状態の伝動系を遮断状態に操作し右又は左の第2伝動状態の伝動系を伝動状態に操作して第2伝動状態を設定するように構成してある請求項1に記載の乗用型作業車。 - 右及び左の前輪が前記右の第2設定角度と右の操向限度との間の範囲、又は前記左の第2設定角度と左の操向限度との間の範囲に操向操作された状態において、前記第1伝動状態の右及び左の後輪への伝動速度と第2伝動状態の旋回中心側への後輪の伝動速度との比が、旋回中心から旋回外側の後輪までの距離と旋回中心から旋回中心側の後輪までの距離との比に略等しくなるように構成してある請求項1又は2に記載の乗用型作業車。
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