JP4082981B2 - 超音波探査装置 - Google Patents

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【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、魚体などの反射物体の二次元的または三次元的位置を検知可能な超音波探査装置に関するものであり、特に、簡易・安価な構成を保ったまま、検出の確度と精度の向上と表示データの見やすさを向上させた超音波探査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の簡易な魚群探知機は、船底などに取り付けた超音波トランスジューサから水中に超音波を放射し、魚体など水中の反射物体で生じた反射波を受信し、送信から受信までに要した時間、すなわち超音波の往復の伝搬所要時間から反射物体までの距離を検出している。この簡易な魚群探知機では、反射波の到来方向、すなわち、反射物体の方位を検出できないため、反射物体が全て船舶の真下にあるかのように取り扱っている。
【0003】
反射物体までの距離だけでなくその方位も検出するには、多数の超音波トランスジューサを配列しておき配列順に順次動作させるという電子走査を行うか、あるいは、単一の超音波トランスジューサの向きを変化させるという機械走査を行うことが必要になる。上記電子走査の構成では多数の超音波トランスジューサが必要になり、このため、装置が複雑・高価になる。また、上記機械走査の構成では、機械的な走査機構が必要になるので、やはり装置が複雑・高価になる。
【0004】
本出願人の先願には、少数の超音波トランスジューサを用いて海中の魚体などの反射物体の二次元的または三次元的位置を検知できるようにした超音波探査装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。この超音波探査装置は、送信された超音波の反射波を複数の受信素子で受信し、各受信素子の形状と配置で定まる方位関数と、各受信素子の受信信号の位相差とから反射波の到来方向、したがって、この反射波を発生させた物体の方位を検出する方位検出部を備えている。
【0005】
また、この装置は、超音波を送信してから反射波を受信するまでの所要時間と受信した反射波の振幅とから反射物体までの距離と反射強度とを検出する距離検出部と、上記各検出部で検出済みの方位と距離とを組合せて二次元または三次元表示する表示部とを備えている。このように、従来の反射物体までの距離と大きさとに加えて、反射物体の方位を検出することにより、反射物体の多次元的な位置が検知される。
【0006】
上記先行技術の超音波探査装置では、例えば、図14に示すように、x軸方向(船舶の舷側)に矩形状の超音波トランスジューサTD1,TD2が距離Lだけ離して船底などに配置される。各超音波トランスジューサTD1,TD2から同一の送信信号が同時に放射される。一方のトランスジューサTD1の中心からR離れた方位角θxの方向に反射物体Wが存在するものとする。他方のトランスジューサTD2と反射物体Wとの距離をR+δRとすれば、δR=L sinθxで与えられる。反射物体Wで発生した超音波の伝搬速度をcとおき、一方の超音波トランスジューサTD1が反射波を受信してから他方の超音波トランスジューサTD2が反射波を受信するまでの時間差をδtとすれば、δt=δR/c=L sinθx/cを得る。
【0007】
上記時間差δtが超音波受信信号の半周期よりも小さくなるように、寸法Lや超音波信号の周波数を予め設定しておくことにより、上記受信時点の時間差をそれぞれの超音波トランスジューサの受信信号の位相差から検出できる。送信信号としては、数十kHz 乃至数百kHz の超音波帯域の正弦波の搬送波が数十サイクルにわたって持続するバースト状の波形などが使用される。反射物体の多次元表示は、例えば船舶の場合、舷側方向をx軸、深度方向をy軸、船舶の進行方向をz軸(時間軸t)とすると、xーy断面、tーy断面、一定深度のtーx断面などによって表示される。
【0008】
図3は、角度を含む物体位置の三次元表示画面の一例である。直交三軸として船舶の舷側方向にx軸、深度方向にy軸、船舶の進行方向にz軸または時間軸tがそれぞれ設定される。左上の表示画面a)は船舶のt−y断面、右上の表示画面b)はx−y断面、左下の表示画面c)はt−x断面である。各断面中のa1,b1,c1は、現在の時点で検出された同一の反射物体である。
【0009】
上記先行技術の超音波探査装置によれば、最小限2個の超音波トランスジューサを用いて舷側方向などのある角度範囲にわたって反射物体の二次元的あるいは三次元的な位置を検出することができる。この結果、多数の超音波トランスジューサを舷側方向に配置したり、1個の超音波トランスジューサを機械的に走査したりすることなく、簡易かつ安価な構成のもとで反射物体の多次元的な位置が検出可能となる。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−99931号公報(図3ー8)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図3を参照すると、従来のBスコープ表示画面に相当するt−y表示画面と、方位を含むx−y表示画面とでは、表示データの空間密度に関して大きな違いが存在する。すなわち、従来のBスコープ表示画面では、1回の超音波の放射にともなってあらゆる方向から受信された反射波の振幅と反射体の位置データとが1本の細い縦線の中に凝縮して表示されている。これに対して、x−y表示画面では、同じデータ、すなわち、1回の超音波の放射にともなってあらゆる方向から受信された反射波の振幅と反射体の位置データが、扇形の広い空間にまばらに散開されて表示されることになる。
【0012】
この結果、本発明に固有のx−y表示画面に対しては、表示データの処理方法に関して、従来のBスコープ表示画面とは異なる特殊な工夫を凝らす必要性や、工夫を凝らして見やすくするという改良の余地が存在する。例えば、表示データが疎らに散開されるx−y表示画上では、Bスコープ表示用のドットの寸法では、小さすぎたり輝度が不足し、見えにくくなるという問題がある。
【0013】
従って、本発明の一つの目的は、データ表示密度のまばらなx−y表示画面を見やすくするためのこの表示画面に適した表示方法、表示データを強調するための処理方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決する本第1の発明の超音波探査装置は、超音波信号を送信する送信部と、この送信された超音波信号の物体による反射波を受信し受信信号を出力する複数の受信素子を備えた受信部と、前記複数の受信素子の配置と各受信素子から出力される受信信号の位相差とから前記物体の方位を検出する方位検出部と、前記受信信号の出現時点および振幅から物体の距離および反射強度を検出する距離・反射強度検出部と、前記検出された信号の方位、距離および反射強度を処理することにより、前記物体を舷側方向を横軸、深度方向を縦軸とする二次元画面中の所定の位置に表示するための表示図形を作成する表示処理部とを備え、この表示処理部は、反射強度の増加に応じて横軸方向の寸法が増加せしめられる横長形状の表示図形を作成する描画手段を備えることにより、方位方向の分解能よりも重要な距離方向の分解能を犠牲にすることなく、横長の寸法の拡大による強調処理が施されるように構成されている。
【0015】
本第2の発明の超音波探査装置によれば、前記第1の発明の表示処理部が、この第1の発明の描画手段の代わりに、反射強度の増加に応じて横長の寸法が増加せしめられると共に、反射強度の減少に応じて縦長の寸法が増加せしめられる表示図形を作成する描画手段を備えることにより、表示図形の重なりによって一部が隠されてしまう事態が回避できるように構成されている。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記横長形状は、矩形状または楕円形状に設定される。
【0017】
本発明の他の好適な実施の形態によれば、表示図形が表示画面中で深度方向に重なり合う場合には、深度の大小に応じた順番で重ねあわせられる。
【0018】
本発明のさらに他の実施の形態によれば、表示図形が表示画面中で重なり合う場合には、反射強度の大小に応じた順番で重ねあわせられることにより、強度の弱い成分を含む高精細な図形や、強度の大きな成分を強調した図形などを選択的に表示できるように構成されている。
【0019】
本発明の更に他の実施の形態によれば、深度方向について、表示図形の間隔が表示画面の表示の間隔よりも狭いために表示画面上の一つの位置で複数の表示図形が重なり合う場合には、各表示図形を深度や反射強度の大小に応じた順番で重ね合わせて表示することにより精細な図形を表示するように構成されている。
【0020】
本発明のさらに他の好適な実施の形態によれば、前記表示図形には反射強度に応じた異なる色彩が付される。
【0021】
本発明の更に他の好適な実施の形態によれば、表示図形が距離の増加に応じて寸法の拡大率が増加せしめられる横長の図形であり、また、表示図形の作成倍率を操作者の指令に応じて変更されるように構成されている。
【0022】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例の超音波探査装置の構成を示すブロック図である。この超音波探査装置は、制御部CNT、送信部TX、単行回路IS1,IS2、超音波トランスジューサTD1,TD2、増幅回路AMP1,AMP2、サンプリング回路SPL1,SPL2,複素合成回路CMPX1,CMPX2、位相差検出回路ARG、加算回路ADD、絶対値回路ABS、ディジタル・シグナル・プロセッサDSP、表示装置DISを備えている。
【0023】
制御部CNTの制御のもとに送信部TXで超音波の送信信号が発生される。この送信信号は、前述した従来装置の場合と同様に、数十kHz 乃至数百kHz の超音波帯域の正弦波の搬送波が数十サイクルにわたって持続するバースト状の波形を呈する。この超音波送信信号は、信号を一方向にだけ伝達する単行回路IS1,IS2を通過して2個の超音波トランスジューサTD1,TD2のそれぞれに供給され、それぞれから同時に外部の海中などに放射される。海中に放射されて海中の魚体などで生じた反射波は、送受共用の超音波トランスジューサTD1,TD2のそれぞれに受信され、増幅器AMP1,AMP2で増幅される。
【0024】
増幅器AMP1,AMP2で増幅された受信反射波は、サンプリング回路SPL1,SPL2において、第1,第2のサンプリング信号spi ,spq によってサンプリングされ、ディジタル信号に変換される。第1のサンプリング回路SPL1から出力されるディジタル受信信号p1 ,q1 は後段の複素信号合成回路CMPX1においてディジタル複素信号r1 =p1 +jq1 に変換され、位相差検出回路ARGと加算回路ADDとに供給される。同様に、第2のサンプリング回路SPL2から出力されるディジタル受信信号p2 ,q2 は後段の複素信号合成回路CMPX2においてディジタル複素信号r2 =p2 +jq2 に変換され、位相差検出回路ARGと加算回路ADDとに供給される。
【0025】
位相差検出回路ARGでは、ディジタル複素信号r1 とr2 との複素共役積r1 ・r2 * から受信反射信号a1 ,a2 の偏角gが算定され、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPに供給される。ディジタル加算回路ADDでは、ディジタル複素信号r1 とr2 が加算され、この加算値hの絶対値sが絶対値回路ABSで算定され、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPに供給される。ディジタル・シグナル・プロセッサDSPは、絶対値sとその出現時点と、偏角gとから二次元の表示データを作成し、表示部DISに供給し、表示させる。
【0026】
受信信号a1 ,a2 の包絡線振幅をA(t)、搬送波の角周波数をω、位相をそれぞれφ1 ,φ2 とおくと、
1 =A(t) cos (ωt+φ1
2 =A(t) cos (ωt+φ2
となる。
【0027】
受信信号a1 を、標本化回路SPL1 において、標本化信号spi と、これよりもτだけ遅延させた標本化信号spq とによって標本化する。時刻tに出現する標本化信号spi による標本化受信信号p1 (t) と、時刻t=t+τに出現する標本化信号による標本化受信信号q1 (t) は、
Figure 0004082981
となる。ここで、τを、
ωτ=π/2
とすると、
Figure 0004082981
となる。
【0028】
複素合成器CMPX1において、p1 (t) を実部とし、q1 (t) を虚部とする複素数r1 が合成される。すなわち、この複素数r1 は、
Figure 0004082981
である。r1 は受信信号a1 の位相角( ωt+φ1 ) を偏角とする複素数となっている。
【0029】
同様に、
Figure 0004082981
となる。r2 は受信信号a2 の位相角( ωt+φ2 ) を偏角とする複素数となっている。
【0030】
従って、位相角計算部ARGにより、この複素数r1 とr2 の複素共役積を計算し、その偏角gを計算すると、ARGの出力gは、
Figure 0004082981
となる。このように、受信信号a1 ,a2 間の位相差Δφが求まると、トランスジューサからみた魚体の方位角が判明する。
【0031】
加算回路ADDによる加算結果は、
h=r1 +r2
=A(t)〔 exp j( ωt+φ1 ) + exp j( ωt+φ2 ) 〕
となる。絶対値算定部ABSで算定されるhの絶対値をsとすれば、
s=A(t) ABS( exp jφ1 + exp jφ2
=2A(t) cos〔(φ1 −φ2 )/2〕
となる。
【0032】
図2は、図1のディジタル・シグナル・プロセッサDSPの、一部の構成を示す機能ブロック図である。このディジタル・シグナル・プロセッサDSPは、表示用データ記憶回路D1、画面表示データ生成部D2、画面メモリD3、同期信号読出しアドレス発生部D4および画面表示条件設定部D5を備えている。表示用データ記憶回路D1は、図1の位相差検出回路ARGから供給される偏角gと、同じく図1の絶対値回路ABSから供給される加算された受信信号の振幅の絶対値sとを、図4に示すように、表示用データをその送信が行われるごとに、送信時点から所定時間ごとにサンプリングされることにより決まる深度の順に配列して記憶する。
【0033】
画面表示データ生成部D2は、表示用データ記憶回路D1に記憶された表示用データから画面表示データを生成する。この画面表示データの生成は、画面表示条件設定部D5から設定される画面表示条件にしたがって、同期信号読出しアドレス発生部D4から供給される同期信号読出しアドレスに基づいて、表示用データ記憶回路D1から表示用データを読出して行われる。この生成された画面表示データは、画面メモリD3に書き込まれ、同期信号読出しアドレス発生部D4から供給される同期信号と読出しアドレスに基づいて読出され、図1の表示装置DISに供給される。
【0034】
図3は、図1の超音波探査装置を船舶に搭載した時の、角度を含む物体位置の三次元表示画面の一例である。直交三軸として船舶の舷側方向にx軸、深度方向にy軸、船舶の進行方向にz軸または時間軸tがそれぞれ設定される。左上の表示画面(a)は、船舶のt−y断面、右上の表示画面(b)はx−y断面、左下の表示画面(c)は、t−y断面(a)を任意の深度y1で水平に切断して示すt−x断面である。各断面中のa1,b1,c1は、現時点で検出された同一の反射物体である。
【0035】
図4は、表示用データ記憶回路D1に、表示用データを保持する方法の一例を示す概念図である。表示用データ記憶回路D1を構成する仮想的な二次元データメモリの一方のメモリアドレスは、送信時点から所定時間ごとにサンプリングされることによって決まる深度を表す。この二次元データメモリの他方のメモリアドレスは、超音波信号の送受信回数である。この超音波の送受信は通常一定周期で行われるので、メモリアドレスの送受信回数は経過時間と等価である。
【0036】
図2の画面表示データ生成部D2は、表示用データ記憶回路D1に保持中の表示用データを読出し、後述する各種強調表示の種類の表示条件に従って、表示画面を作成し、画面メモリD3に書込む。
【0037】
図5は、海上の船舶の船底に取り付けられた超音波トランスジューサの位置を原点とするx−y断面図である。x軸は舷側方向、y軸は深度方向、z軸は船舶の進行方向に、それぞれ設定される。従来装置によれば、反射信号は、(a)に示すように、深度Dと方位θとで定まる表示位置に所定の寸法の画素として表示される。図中に描かれている楕円は、小さな画素が見落とされるのを防ぐためにそれらを囲んでいる仮想的な存在であり、実際の表示画面中には表示されない。各画素の輝度は、反射強度に応じて増減される場合もある。
【0038】
本実施例の超音波探査装置における表示方法によれば、図1の表示処理部において、表示画素の強調処理が行われ、図5(b)に例示するようなデータが表示される。すなわち、上記強調処理によって、各画素が、受信信号の反射強度とは無関係の所定の寸法の横長矩形に変換され、変換された各矩形には受信信号の反射強度に応じた着色が行われる。
【0039】
表示図形を横長にすることにより、x─y表示方式の魚群探知機などでは、方位方向にくらべて関心の高い深度(距離)方向の分解能を低下させることなく、表示画素の寸法拡大による表示図形の強調を実現することが可能になる。また、水中に存在する物体は、ある深度に層をなして遊泳する魚群や、水底など横長の図形を発生させる要素が多く存在するため、横長の表示図形が適するという理由もある。
【0040】
図6は、表示画素の強調処理の他の一例を説明するための概念図である。(a)の例では、表示画素をその信号の反射強度の増加するほど寸法が増加する横長の矩形に変換し、各矩形に信号の反射強度に応じた異なる着色を行うという画素強調処理が施される。図6において、縦軸は深度を表しており、下にいくほど深度が増大する。(b)の例は、(a)の例の横長の矩形を横長の楕円に置き換えた画素強調処理である。
【0041】
図7は、各画素から作成された表示図形が深度方向に重なり合う場合の表示方法の一例を説明するための概念図形である。この図でも、縦軸は深度を表しており、下にいくほど深度が増大する。(a)は、信号の反射強度に応じた寸法と異なる色の表示データを作成する強調処理において、深度の深いものほど描画の順序が後になるように各深度の表示図形を重ね合わせる例を示している。(b)の例は、(a)の例とは逆に、深度の浅いものほど描画の順序が後になるように各深度の表示図形を重ね合わせる例を示している。
【0042】
図8は、図7の場合と同様に、各画素から作成された表示図形が深度方向に重なり合う場合の表示方法の他の例を説明するための概念図形である。(a)は、信号の反射強度に応じた寸法と異なる色の表示データを作成する強調処理において、信号の反射強度の小さなものほど描画の順序が後になるように各深度の表示図形を重ね合わせる例を示している。この表示方法によれば、反射強度が弱くしたがって寸法の小さな表示図形が反射強度の大きく寸法の大きな表示図形によって隠されてしまう事態が回避され、精細度の高い強調表示が実現される。
【0043】
図8(b)の例は、同図(a)の例とは逆に、信号の反射強度の大きなものほど描画の順序が後になるように、各表示図形の重ね合わせが行われる。この表示方法によれば、反射強度の弱いものが強いものによって遮られる結果、精細度を犠牲にして反射強度の大きな成分についての強調表示が実現される。
【0044】
図9は、深度方向に関して、作成される表示図形の分解能が表示画面の分解能よりも高いため、表示画面上の一つの表示位置に複数(この例では二つ)の表示図形が重ねて表示されるという特殊な場合の表示方法の一例を説明するための概念図である。例えば、反射信号が検出され、作成される表示図形の深度方向の分解能は5メートルであるのに対して表示画面の深度方向の分解能は10メートルであり、実際には5メートル離れた2個の最隣接深度の表示図形が表示画面上の同一の深度の位置に互いに重ね合わせられて表示される。
【0045】
図9(a)は、表示図形上で深度方向の最大分解能に対応する最小深度差δDの間隔を保ちながら深度の増加順に六つの深度α,β,γ,δ,ε,ζが隣接して配列されるとともに、各深度について作成される各表示図形には対応の反射信号の強度に応じて図示の種々の模様で表示される異なる色彩が付与される様子を例示している。
【0046】
図9(b)は、各深度の表示図形に反射強度に応じた寸法を与えながら深度の小さな表示図形の上に大きな隣接深度の表示図形を上書きすることによって、表示画面を作成する例を示している。この例では、信号の反射強度が小さく寸法の小さな表示図形が小さな深度の位置に存在すると、その表示図形に上書きされる寸法の大きな深度の表示図形によって隠されてしまう場合がある。図9(b)の例では、深度αの表示図形が深度βの表示図形によって隠され、深度γの表示図形が頻度δの表示図形によって隠されている。
【0047】
図9(c)は、上記(b)の問題を解決するため、信号の反射強度が小さく寸法の小さな表示図形を、深度の大小とは関係なく、信号の反射強度が大きく寸法の大きな表示図形の上に上書きすることによって両表示図形を重ね合わせて表示する方法を示している。このようにすれば、隣接深度の他の表示図形で隠されるものがなくなりなり、表示の精度が保たれる。その反面、この方法では、信号の反射強度の大小関係を検出するための振幅比較機能が必要になる。
【0048】
図10は、図9の方法を改良した方法を説明するための概念図形である。横軸が信号の反射強度、縦軸が縦方向と横方向の寸法拡大率である。信号レベルが大きくなるほど横方法の寸法拡大率が増加し、縦方向の寸法拡大率は低下する。逆に信号の反射強度が小さくなるほど、横方法の寸法拡大率が減少し、縦方向の寸法拡大率は増加する。
【0049】
この結果、図9の各表示画面は、図11に示すようなものなり、信号の反射強度の小さな表示図形が反射強度の大き表示図形によって隠されてしまうという事態が緩和される。この方法によれば、図9(c)の場合ように、信号の反射強度の大小関係を判定するための比較機能が不要になり、処理が簡略化されるという利点がある。
【0050】
図12は、表示図形の強調処理の他の一例を説明するための概念図である。この例では、表示図形を信号の反射強度の増加するほど寸法が増加する横長の矩形に変換し、各矩形に信号の反射強度に応じた異なる着色を行うという、強調が行われる。新たな点は、横長の矩形に変換する際の寸法の拡大率を、深度が増大するほど増大させる点である。図12に示すように、一定の方位角δθの範囲が表示対象となるので、深度の小さな箇所では、反射信号の発生密度が高くなる。この結果、表示図形の寸法を過度に拡大すると、表示図形どうしが重なり合って隠しあう部分が増加し、見落としが生じやすくなる。このような問題を解決するため、深度の浅い箇所については寸法の拡大率を低く設定される。
【0051】
図13は、表示図形の寸法の拡大率が変更された様子を示す概念図である。この寸法の拡大の指令は、図1の操作部(PANEL)の入力機構(図示せず)を操作し、表示処理部のディジタル・シグナル・プロセッサDSP内の画面表示条件設定部D5に指令を入力することによって行われる。反射物体の存在状況など探査対象の状況に応じて、寸法の拡大率を変更することにより、状況に応じたきめ細かい表示が可能になる。
【0052】
以上、魚群探知機の場合を例にとって本発明の超音波探査装置を説明した。しかしながら、本発明の超音波探査装置は魚群探知機への応用に限定されることはない。例えば空中に超音波を送信して空気の揺らぎを検出する探査装置へも適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の超音波探査装置は、表示図形に対して各種の強調処理を施す表示処理部を備える構成であるから、従来のBスコープ表示とは異なりデータ表示密度のまばらなx−y表示画面が一段と見やすくなるという効果が奏される。
【0054】
更に、本発明によれば、強調処理によって作成される表示図形が信号の反射強度の増加に応じて横軸方向の寸法が増加せしめられる矩形や楕円形などの横長形状であるから、舷側方向の分解能よりも重要な深度方向の分解能を犠牲にすることなく、強調処理が施されるという利点がある。
【0055】
本発明の好適な実施の形態によれば、表示図形が表示画面中で重なり合う場合には、反射強度の大小に応じた順番で重ねあわせられることにより、強度の弱い成分を含む高精細な図形や、強度の大きな成分を強調した図形などを表示できるという利点がある。
【0056】
本発明の更に他の好適な実施の形態によれば、表示図形が深度の増加に応じて寸法の拡大率が増加せしめられる横長の図形であるから、近距離の領域で表示図形が隠される割合が減少し、高精細な表示が可能になる。また、表示図形の作成倍率を操作者の指令に応じて変更することにより、反射物体の存在状況など探査対象の状況に応じてきめ細かい表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の超音波探査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の表示処理部のディジタル・シグナル・プロセッサDSPの一部について構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の超音波探査装置を船舶に搭載した時の、方位角を含む物体位置の三次元表示画面の一例である。
【図4】図2の表示用データ記憶回路D1に、表示用データを保持する方法の一例を示す概念図である。
【図5】x−y断面内に表示される強調処理前の表示図形(a)と強調処理後の表示図形(b)の一例を示す概念図形である。
【図6】上記実施例の超音波探査装置において、信号の反射強度に応じた寸法の横長の表示図形が作成される強調処理の一例を説明するための概念図形である。
【図7】上記実施例の超音波探査装置において、信号の反射強度に応じた寸法の横長の複数の表示図形が深度の方向に重ね合されて作成される強調処理の一例を説明するための概念図形である。
【図8】上記実施例の超音波探査装置において、信号の反射強度に応じた寸法の横長の複数の表示図形が信号の反射強度の大小に応じた順序で重ね合わされて作成される強調処理の一例を説明するための概念図形である。
【図9】上記実施例の超音波探査装置において、複数の表示図形が深度の大小関係や反射信号の強度に応じた寸法の大小の順序で重ね合わせたりすることにより作成される強調処理の一例を説明するための概念図形である。
【図10】上記実施例の超音波探査装置において、複数の表示図形を重ね合わせて表示する際に、縦方向と横方向の寸法の拡大率を信号の反射強度に応じて変化させることにより隠れる部分を最小化する強調処理の一例を示す概念図である。
【図11】図10の強調処理の結果表示される表示図形を例示する概念図形である。
【図12】上記実施例の超音波探査装置において、距離の増加に応じて寸法拡大率を増大させる強調処理の一例を示す概念図形である。
【図13】上記実施例の超音波探査装置において、表示図形の寸法拡大率を外部からの指令で変更可能とする強調処理の一例を示す概念図形である。
【図14】2個の超音波トランスジューサが反射波を受信するまでの時間差によって生じる位相差に基づき反射波を発生させた物体の方位を検出する位相差検出方式の超音波探査装置の動作原理を説明するための概念図形である。
【符号の説明】
CNT コントローラ
TX 送信回路
TD1,TD2 超音波トランスジューサ
SPL1,SPL2 サンプリング回路
CPMX1,CMPX2 複素合成回路
ARG 位相差検出回路
ADD 加算回路
ABS 絶対値回路
DSP ディジタル・シグナル・プロセッサ
DIS 表示装置

Claims (10)

  1. 超音波信号を送信する送信素子を備えた送信部と、この送信された超音波信号の物体による反射波を受信し受信信号を出力する複数の受信素子を備えた受信部と、前記複数の受信素子の配置と各受信素子から出力される受信信号の位相差とから前記物体の方位を検出する方位検出部と、前記受信信号の出現時点および振幅から物体の距離および反射強度を検出する距離・反射強度検出部と、前記検出された信号の方位、距離および反射強度を処理することにより前記物体を舷側方向を横軸、深度方向を縦軸とする二次元画面中の所定の位置に表示するための表示図形を作成する表示処理部とを備えた超音波探査装置において、
    前記表示処理部は、前記反射強度の増加に応じて横軸方向の寸法が増加せしめられる横長形状の表示図形を作成する描画手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  2. 請求項において、
    前記横長形状は、矩形状または楕円形状であることを特徴とする超音波探査装置。
  3. 請求項1または2のいずれかにおいて、
    前記表示図形が表示画面中で深度方向に重なり合う場合には、深度の大小に応じた順番で重ねあわせられることを特徴とする超音波探査装置。
  4. 請求項1乃至いずれかにおいて、
    前記表示図形が表示画面中で重なり合う場合には、反射強度の大小に応じた順番で重ねあわせられることを特徴とする超音波探査装置。
  5. 請求項1または2いずれかにおいて、
    前記深度方向について、前記表示図形の間隔が表示画面の表示の間隔よりも狭いために表示画面上の一つの位置で複数の表示図形が重なり合う場合には、各表示図形が深度の大小に応じた順番で上書きされることによって重ね合わせられることを特徴とする超音波探査装置。
  6. 請求項1または2いずれかにおいて、
    前記深度方向について、前記表示図形の間隔が表示画面の表示の間隔よりも狭いために表示画面上の一つの位置で複数の表示図形が重なり合う場合には、表示図形が寸法の小さいものほど後の順番で上書きされることによって重ね合わせられることを特徴とする超音波探査装置。
  7. 超音波信号を送信する送信素子を備えた送信部と、この送信された超音波信号の物体による反射波を受信し受信信号を出力する複数の受信素子を備えた受信部と、前記複数の受信素子の配置と各受信素子から出力される受信信号の位相差とから前記物体の方位を検出する方位検出部と、前記受信信号の出現時点および振幅から物体の距離および反射強度を検出する距離・反射強度検出部と、前記検出された信号の方位、距離および反射強度を処理することにより前記物体を舷側方向を横軸、深度方向を縦軸とする二次元画面中の所定の位置に表示するための表示図形を作成する表示処理部とを備えた超音波探査装置において、
    前記表示処理部は、反射強度の増加に応じて横長の寸法が増加せしめられ、反射強度の減少に応じて縦長の寸法が増加せしめられる表示図形を作成する描画手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  8. 請求項1乃至いずれかにおいて、
    前記横長の図形は前記深度の増加に応じて寸法の拡大率が増加せしめられることを特徴とする超音波探査装置。
  9. 請求項1乃至いずれかにおいて、
    前記表示図形は、前記反射強度に応じた異なる色彩が付されることを特徴とする超音波探査装置。
  10. 請求項1乃至いずれかにおいて、
    前記表示処理部は、前記表示図形の作成倍率を操作者の指令に応じて変更する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
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