JP3994003B2 - 超音波探査装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、魚体などの反射物体の二次元または三次元位置を検知可能な超音波探査装置に関するものであり、特に、簡易・安価な構成を保ったまま、検出の確度と精度の向上を図った超音波探査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の簡易な魚群探知機は、船底などに取り付けた超音波トランスジューサから水中に超音波を放射し、魚体など水中の反射物体で生じた反射波を受信し、送信から受信までに要した時間、すなわち超音波の往復の伝搬所要時間から反射物体までの距離を検出している。この簡易な魚群探知機では、反射物体の方位を検出できないため、反射物体が全て船舶の真下にあるかのように取り扱っている。
【0003】
反射物体までの距離だけでなくその方位も検出するには、多数の超音波トランスジューサを配列しておき配列順に順次動作させるという電子走査を行うか、単一の超音波トランスジューサの向きを変化させる機械走査を行うことが必要になる。上記電子走査の構成では多数の超音波トランスジューサが必要になり、装置が複雑・高価になる。また、上記機械走査の構成では機械的な走査機構が必要になるので、やはり装置が複雑・高価になる。
【0004】
本出願人の先願(特開平2001−99931号公報)には、少数の超音波トランスジューサを用いて海中の魚体などの反射物体の二次元または三次元位置を検知できるようにした超音波探査装置が開示されている。この超音波探査装置は、送信された超音波の反射波を複数の受信素子で受信し、各受信素子の形状と配置で定まる方位関数と、各受信素子の受信信号の位相差とから反射波を発生させた物体の方位を検出する方位検出部を備えている。また、この装置は、超音波を送信してから反射波を受信するまでの所要時間と受信した反射波の振幅とから反射物体までの距離と反射強度とを検出する距離検出部と、上記各検出部で検出済みの方位と距離とを組合せて二次元または三次元表示する表示部とを備えている。このように、従来の反射物体までの距離と大きさとに加えて、反射物体の方位を検出することにより、反射物体の多次元位置が検知される。
【0005】
上記先行技術の超音波探査装置では、例えば、図10に示すように、x軸方向(船舶の舷側)に矩形状の超音波トランスジューサTD1,TD2が距離Lだけ離して船底などに配置される。各超音波トランスジューサTD1,TD2から同時に同一の送信信号が同時に放射される。一方のトランスジューサTD1の中心からR離れた方位角θxの方向に反射物体Wが存在するものとする。他方のトランスジューサTD2と反射物体Wとの距離をR+δRとすれば、δR=L sinθxで与えられる。反射物体Wで発生した超音波の伝搬速度をcとする。一方の超音波トランスジューサTD1が反射波を受信してから他方の超音波トランスジューサTD2が反射波を受信するまでの時間差δtとすれば、δt=δR/c=L sinθx/cを得る。
【0006】
上記時間差δtが超音波受信信号の半周期よりも小さくなるように超音波信号の周波数を設定しておくことにより、上記受信時点の時間差をそれぞれの超音波トランスジューサの受信信号の位相差から検出できる。送信信号としては、数十kHz 乃至数百kHz の超音波帯域の正弦波の搬送波が数十サイクルにわたって持続するバースト状の波形などが使用される。反射物体の多次元表示は、例えば船舶の場合、舷側方向をx軸、深度方向をy軸、船舶の進行方向をz軸(時間軸t)とすると、xーy断面、tーy断面、一定深度のtーx断面などによって表示される。
【0007】
上記先行技術の超音波探査装置によれば、最小限2個の超音波トランスジューサを用いて舷側方向などのある角度範囲にわたって反射物体の二次元あるいは三次元的な位置を検出することができる。この結果、多数の超音波トランスジューサを舷側方向に配置したり、1個の超音波トランスジューサを機械的に走査したりすることなく、簡易かつ安価な構成のもとで反射物体の多次元的な位置が検出可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行技術の超音波探査装置では、超音波信号を送信し、反射物体で生じた反射信号を2個の超音波トランスジューサで受信するという超音波信号の送受信動作を1回だけ行うことにより、ある角度範囲にわたる広い空間から多次元の位置データが取得される。この結果、ある角度範囲を電子的あるいは機械的に走査するという従来の構成に比べて、構成が簡易・安価になるという利点を有する。その反面、1回の送受信で限られた量の反射物体の位置データを取得しているため、探査対象の空間が広くなるにつれて、取得可能な位置データの空間的な密度が減少し、確度や精度が低下する。このため、画面の表示が操作者にとって視認しにくくなるという問題がある。
【0009】
従って、本発明の一つの目的は、構成が簡易・安価であるという利点を保ったまま、確度と精度を向上させた超音波探査装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波探査装置は、超音波信号を送信する送信部と、この送信された超音波信号の反射物体による反射波を受信し受信信号を出力する複数の受信素子を備えた受信部と、前記複数の受信素子の配置と各受信素子から出力される受信信号の位相差とから前記反射物体の方位を検出する方位検出部と、前記受信信号の出現時点および振幅から反射物体の距離および反射強度を検出する距離・反射強度検出部と、前記検出された方位、距離および反射強度に基づき表示用データを作成し、前記反射物体を画面表示する表示処理部とを備えている。そして、前記表示処理部は、前記表示用データのうち方位および反射強度を過去の複数のものについて、反射強度を長さとし、方位を角度とするベクトルの合成により累加して画面表示する手段を備えることにより、構成が簡易・安価であるという利点を保ったまま、検出の確度や精度を向上させるように構成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態によれば、表示処理部は、表示用データの累加に際し、過去のものに1より小さな重み付けの係数を乗算することにより、雑音の影響を軽減し高精度の検出を実現するように構成されている。
【0012】
本発明のさらに他の好適な実施の形態によれば、表示用データの累加は、深度方向に記憶領域が分割されたラインメモリに蓄積されるように構成されている。
【0013】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例の超音波探査装置の構成を示すブロック図である。この超音波探査装置は、制御部CNT、送信部TX、単行回路IS1,IS2、超音波トランスジューサTD1,TD2、増幅回路AMP1,AMP2、サンプリング回路SPL1,SPL2,遅延回路DLY,複素合成回路CMPX1,CMPX2、位相差検出回路ARG、加算回路ADD、絶対値回路ABS、ディジタル・シグナル・プロセッサDSP、表示装置DISを備えている。
【0014】
制御部CNTの制御のもとに送信部TXで超音波の送信信号が発生される。この送信信号は、前述した従来装置の場合と同様に、数十kHz 乃至数百kHz の超音波帯域の正弦波の搬送波が数十サイクルにわたって持続するバースト状の波形を有する。この超音波送信信号は、信号を一方向にだけ伝達する単行回路IS1,IS2を通過して2個の超音波トランスジューサTD1,TD2のそれぞれに供給され、それぞれから同時に外部の海中などに放射される。海中に放射されて海中の魚体などで生じた反射波は、送受共用の超音波トランスジューサTD1,TD2のそれぞれに受信され、増幅器AMP1,AMP2で増幅される。
【0015】
増幅器AMP1,AMP2で増幅された受信反射波は、サンプリング回路SPL1,SPL2において、第1,第2のサンプリング信号spi ,spq によってサンプリングされ、ディジタル信号に変換される。第1のサンプリング回路SPL1から出力されるディジタル受信信号p1 ,q1 は後段の複素信号合成回路CMPX1においてディジタル複素信号r1 =p1 +jq1 に変換され、位相差検出回路ARGと加算回路ADDとに供給される。同様に、第2のサンプリング回路SPL2から出力されるディジタル受信信号p2 ,q2 は後段の複素信号合成回路CMPX2においてディジタル複素信号r2 =p2 +jq2 に変換され、位相差検出回路ARGと加算回路ADDとに供給される。
【0016】
位相差検出回路ARGでは、ディジタル複素信号r1 とr2 との複素共役積r1 ・r2 * から受信反射信号a1 ,a2 の偏角gが算定され、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPに供給される。ディジタル加算回路ADDでは、ディジタル複素信号r1 とr2 が加算され、この加算値hの絶対値sが絶対値回路ABSで算定され、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPに供給される。ディジタル・シグナル・プロセッサDSPは、絶対値sとその出現時点と、偏角gとから二次元の表示データを作成し、表示部DISに供給し、表示させる。
【0017】
受信信号a1 ,a2 の包絡線振幅をA(t)、搬送波の角周波数をω、位相をそれぞれφ1 ,φ2 とおくと、
a1 =A(t) cos (ωt+φ1 )
a2 =A(t) cos (ωt+φ2 )
となる。
【0018】
受信信号a1 を、標本化回路SPL1 において、標本化信号spi と、遅延回路DLYにより標本化信号spi よりもτだけ遅延させた標本化信号spq とによって標本化する。時刻tに出現する標本化信号spi による標本化受信信号p1 (t) と、時刻t=t+τに出現する標本化信号による標本化受信信号q1 (t) は、
となる。ここで、τを、
ωτ=π/2
とすると、
となる。
【0019】
複素合成器CMPX1において、p1 (t) を実部とし、q1 (t) を虚部とする複素数r1 が合成される。すなわち、この複素数r1 は、
である。r1 は受信信号a1 の位相角( ωt+φ1 ) を偏角とする複素数となっている。
【0020】
同様に、
となる。r2 は受信信号a2 の位相角( ωt+φ2 ) を偏角とする複素数となっている。
【0021】
従って、位相角計算部ARGにより、この複素数r1 とr2 の複素共役積を計算し、その偏角gを計算すると、ARGの出力gは、
となる。このように、受信信号a1 ,a2 間の位相差Δφが求まると、トランスジューサからみた魚体の方位角θx が判明する。
【0022】
加算回路ADDによる加算結果は、
となる。絶対値算定部ABSで算定されるhの絶対値をsとすれば、
となる。
【0023】
図2は、角度を含む物体位置の三次元表示画面の一例である。直交三軸として船舶の舷側方向にx軸、深度方向にy軸、船舶の進行方向にz軸または時間軸tがそれぞれ設定される。左上の表示画面a)は船舶のt−y断面、右上の表示画面b)はx−y断面、左下の表示画面c)は、a)のt−y断面を任意の深度y1で水平に切断して示すt−x断面である。各断面中のa1,b1,c1は、現時点で検出された同一の反射物体である。
【0024】
図2の表示画面では、船舶がz軸方向に進行しているため、z軸方向への走査が船舶自体の移動に基づいて行われる。このため、方位角の検出は舷側方向のx軸方向についてだけ行われ、z軸方向の方位角の検出は行われない。しかしながら、船舶が停止している場合など、必要に応じてz方向についての方位角の検出を行うこともできる。この場合、他の1対の超音波トランスジューサをz方向に離間して配置し、各超音波トランスジューサによる受信信号の位相差を検出すればよい。
【0025】
図3は、図1のディジタル・シグナル・プロセッサDSPで検出された反射物体の表示用データを記録する記録回路の一例を示す概念図である。A,B,C・・・は検出された受信信号の振幅値すなわち反射物体の反射強度(a,b,c・・・)と、方位角(θa、θb,θc・・・)とを含む表示用データであり、各表示用データに付加された添字の1,2,3・・・は送受信が行われた時刻t0 ,t0 +T,t0 +2T・・・に対応するライン番号である。各時刻の表示用データは、深度(ディジタル・シグナル・プロセッサDSPで、超音波信号の送信時点からの所定時間ごとにサンプリングされることにより決まる距離)y1 ,y2 ・・・yi ,yj ,yk ・・・の順に配列されている。
【0026】
図4は本発明の一実施例を説明する図である。図3の表示用データについて、深度yi ,yj ,yk ・・・と、表示方位角α,β,γ・・・とが同一のものどうしを時間軸にそって累加した累加表示用データを示している。なお表示方位角α,β,γ・・・は図2b)表示を行うための方位角分解能に対応して、量子化されている。このため、方位角θa,θb,θc・・・は、上記表示方位角α,β,γ・・・のうちもっとも近い値とされる。一例として、深度yi の方位角αの位置に検出された表示用データA2 の振幅値a2 にA5 の振幅値a5 が累加されている。実際にはこの例では振幅値の平均値が作成される。深度と方位角が同一である対を持たない単一の表示用データB3 ,C1 ,D3 ・・・については、そのまま単独で保持される。この図4の累加処理を受けた表示用データが画面表示される。
【0027】
図5は、海底線の表示を例に累加表示の意義を説明する表示画面の一例を、x−y断面によって示す図である。位置データの検出時点t=t0 ,t0 +T,t0 +2T・・・の検出データを累加することなくそのまま画面表示するものとすれば、各時点について上下2段にわたって図示するようなものとなる。これら累加されない各画面では、表示画面の下方に右上がりに表示されている海底線が連続せず、離散的な線分や塊を形成している。これに対して、累加表示と記載した最後の表示画面では、各時刻の位置データを累加したものが表示される結果、下方の右上がりの海底線が連続した太い線分として明瞭に表示されている。
【0028】
魚群探知機では、海底線の表示は魚群の探索に際して重要になる。このため、位置データを時間的に累加することにより連続的で明瞭な海底線を表示するこの超音波探査装置は大きな利点を有する。この超音波探査装置を設置した船舶が時間とともにz軸方向に移動しているため、x−y断面に出現する海底線は時間と共に変化する。従って、累加表示される海底線は、船舶の移動方向への平均値ということになり、移動方向への変化が大きいほど太い海底線が得られる。
【0029】
図6は、本発明の他の実施例を説明する図である。この表示用データの累加回路は、シフト機能を備えたラインメモリLMと、ベクトル加算回路ADと、係数器Kとから構成されている。また、ラインメモリLMの各記憶領域は、図3の記憶回路の深度y1 ,y2 ・・・yi ,yj ,yk ・・・・に応じて分割されている。図3の各表示用データが、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPで読み出され、振幅値(反射強度)を長さとし、方位角を角度とするベクトル値に変換される。この変換された表示用データが対応する深度の記憶領域に記憶されている直前までの累加値と累加される。
【0030】
時間Tの周期で新たな表示用データが作成されるたびに、各深度に対応した記憶領域の直前までの累加表示用データがラインメモリLMの内部をシフトされて出力され、係数器Kで係数kが乗算されたのち、ベクトル加算回路ADの一方の入力端子に供給される。ベクトル加算回路ADの他方に入力端子には、最新の表示用データが深度の順に配列されて供給される。ベクトル加算回路ADでは、同一深度の表示用データについて、直前までの累加値と最新のものとがベクトル加算され、更新された最新の累加値データとなり、再び、ラインメモリLM内の同一の深度に対応した記憶領域に書き込まれる。このラインメモリLM内の各深度に対応するデータを読み出し、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPで振幅値と、方位角に変換し、図5の累加表示の表示用データとする。このようにすることにより、図4のような二次元配列のメモリ構成とすることなく、一次元のラインメモリ構成という簡易な構成とすることができる。
【0031】
図7は、表示用データをベクトル加算する様子を説明するための概念図である。任意の深度の記憶領域について得られた直前までの累加表示用データに係数が乗算されたka1 exp (jβ) に、同一の深度について得られた最新の表示用データa2 exp (jα) がベクトル的に加算され、新たな累加表示用データ〔ka1 exp (jβ) +a2 exp (jα) 〕/2が得られる。
【0032】
図8に例示するように、同一の深度と方位について新たな表示用データC1 が得られない場合には、直前までの累加表示用データに係数kが乗算されたものが更新された最新の累加表示用データとなる。表示用データC1 が1回だけ出現した雑音のようなものであれば、累加のたびに大きさがk(<1)倍ずつ減少してゆき、消滅するか無視できる値になる。この重み付けのために過去の表示用データに乗算する係数kの大きさは、適宜な大きさの固定とすることができる。
【0033】
図5の例では、船舶の移動速度が増大するほど海底線の変化の速度が増大するので、累加された海底線は現在のものからずれてくる。この場合、係数kを減少させることにより、累加データに対する過去のデータの寄与の度合いを減少させることができる。このように、係数kを固定することなく、船速の増大につれて係数kを減少させるという具合に、船速に応じて係数kを動的に変化させることもできる。一般に、船速だけでなく、海底の変化の様子など動作環境や状況などの外部条件に応じて係数kを動的に変化させたり、操作者の指令に応じて随意に変化させる構成を採用することにより、いっそう良好な表示画面を作成することができる。
【0034】
図9は表示用データをベクトル的に累加することの意義を説明するための概念図である。同図の(A)に例示するように、直前までに得られた累加表示用データをd1 exp (jδ1 ) とした場合において、最新の表示用データとして雑音成分d2 exp (jδ2 ) が出現したものとする。各表示用データをベクトル的に加算すると新たな累加表示用データとしてZを得る。これに対して、図の(B)に示すように、両者についてベクトル的な加算を行う代わりに、長さS1 ,S2 と、角度θ1 ,θ2 のそれぞれについて代数的な加算を行い、最新の累加表示用データZを得るものとする。(A)と(B)とを比較すれば明らかなように、ベクトル的な累加を行うことにより、代数的な累加を行うよりも雑音の影響を大幅に軽減できる。この例では、理解を容易にするため、方位角δ1 とδ2 の差について誇張が行われている。
【0035】
以上、船舶が移動しながら反射物体の舷側方向の方位角を検出していく場合を例示した。しかしながら、船舶が停止した状態で前後についても反射物体の方位角を検出する場合にも本発明を適用できる。
【0036】
以上、魚群探知機への応用を例にとって本発明の超音波探査装置を説明した。しかしながら、本発明は魚群探知機への応用に限定されず、空中に超音波を送信する探査装置についても適用できる。
【0037】
また、超音波信号の送受信の周期Tや搬送波の周波数を固定する場合を例示した。しかしながら、これらについては、船速や探査対象の反射物体の大きさや種類、あるいは海底の変化の様子に応じて、自動的にあるいは操作者の指令に基づき変化させる構成とすることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の超音波探査装置は、過去の表示用データを複数累加して画面表示する構成であるから、超音波の1回の送受信によって取得可能な表示用データの空間密度が小さくなるというこの装置固有の問題点が有効に解決され、画面の表示が操作者にとって視認し易いものとなる。
【0039】
また、表示処理部による表示用データの累加が反射強度を長さとし方位を角度とするベクトルの合成によって行われる構成であるから、雑音による表示画面の劣化が生じにくいという利点がある。
【0040】
さらに、本発明では、反射強度を長さとし方位を角度とするベクトル加算を行い一次元のラインメモリに記録する構成としたことにより、簡易な構成で、メモリの使用量を減らせるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の超音波探査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の超音波探査装置による多次元的な表示画面の例を示す概念図である。
【図3】図1のディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)で検出された反射物体の位置データの一例を示す概念図である。
【図4】図3の位置データについて、深度と方位角とが同一のものどうしを時間軸にそって累加した累加位置データである。
【図5】上記実施例の超音波探査装置において位置データを累加して表示する意義を説明するためのx−y断面である。
【図6】上記実施例の超音波探査装置において位置データの累加をハードウェア的に行う位置データ累加回路の構成の一例を説明する機能ブロック図である。
【図7】図6の位置データ累加回路による位置データのベクトル加算の様子を説明するための概念図である。
【図8】上記実施例の超音波探査装置において同一の深度と方位について新たな位置データが得られない場合の図6の位置データ累加回路による処理の内容を説明するための概念図である。
【図9】上記実施例の超音波探査装置において、位置データをベクトル的に累加することの意義を説明するための概念図である。
【図10】2個の受信信号の位相差に基づく反射物体の方位角の検出の原理を説明するための概念図である。
【符号の説明】
CNT コントローラ
TX 送信回路
TD1,TD2 超音波トランスジューサ
SPL1,SPL2 サンプリング回路
CPMX1,CMPX2 複素合成回路
ARG 位相差検出回路
ADD 加算回路
ABS 絶対値回路
DSP ディジタル・シグナル・プロセッサ
DIS 表示装置
DLY 遅延回路
LM ラインメモリ
AD ベクトル加算器
Claims (3)
- 超音波信号を送信する送信部と、この送信された超音波信号の反射物体による反射波を受信し受信信号を出力する複数の受信素子を備えた受信部と、前記複数の受信素子の配置と各受信素子から出力される受信信号の位相差とから前記反射物体の方位を検出する方位検出部と、この検出された方位、前記受信信号の出現時点および振幅から前記反射物体の距離および反射強度を検出する距離・反射強度検出部と、前記検出された方位、距離および反射強度に基づき表示用データを作成し、前記反射物体を画面表示する表示処理部とを備えた超音波探査装置において、
前記表示処理部は、前記表示用データのうち方位および反射強度を過去の複数のものについて、反射強度を長さとし、方位を角度とするベクトルの合成により累加して画面表示する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。 - 請求項1において、
前記表示処理部は、前記表示用データの累加に際し、過去のものに1より小さな重み付けの係数を乗算する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。 - 請求項2において、
前記重み付けの係数は、この超音波探査装置を搭載する船舶の航行速度その他の外部条件に応じて動的に変更されることを特徴とする超音波探査装置。
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