JP4017943B2 - 超音波探査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、魚体などの反射物体の二次元的または三次元的位置を検知可能な超音波探査装置に関するものであり、特に、簡易・安価な構成を保ったまま、検出の精度と分解能の向上を図った超音波探査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の簡易な魚群探知機は、船底などに取り付けた超音波トランスジューサから水中に超音波を放射し、魚体など水中の反射物体で生じた反射波を受信し、送信から受信までに要した時間、すなわち超音波の往復の伝搬所要時間から反射物体までの距離を検出している。この簡易な魚群探知機では、反射波の到来方向、すなわち、反射物体の方位を検出できないため、反射物体が全て船舶の真下にあるかのように取り扱われている。
【0003】
反射物体までの距離だけでなくその方位も検出するには、多数の超音波トランスジューサを配列しておき配列順に順次動作させるという電子走査を行うか、あるいは、単一の超音波トランスジューサの向きを変化させるという機械走査を行うことが必要になる。上記電子走査の構成では多数の超音波トランスジューサが必要になり、このため、装置が複雑・高価になる。また、上記機械走査の構成では、機械的な走査機構が必要になるので、やはり装置が複雑・高価になる。
【0004】
本出願人の先願(特開平2001−99931号公報)には、少数の超音波トランスジューサを用いて海中の魚体などの反射物体の二次元的または三次元的位置を検知できるようにした超音波探査装置が開示されている。この超音波探査装置は、送信された超音波の反射波を複数の受信素子で受信し、各受信素子の形状と配置で定まる方位関数と、各受信素子の受信信号の位相差とから反射波の到来方向、したがって、この反射波を発生させた物体の方位を検出する方位検出部を備えている。また、この装置は、超音波を送信してから反射波を受信するまでの所要時間と受信した反射波の振幅とから反射物体までの距離と反射強度とを検出する距離検出部と、上記各検出部で検出済みの方位と距離とを組合せて二次元または三次元表示する表示部とを備えている。このように、従来の反射物体までの距離と大きさとに加えて、反射物体の方位を検出することにより、反射物体の多次元的な位置が検知される。
【0005】
上記先行技術の超音波探査装置では、例えば、図9に示すように、x軸方向(船舶の舷側)に矩形状の超音波トランスジューサTD1,TD2が距離Lだけ離して船底などに配置される。各超音波トランスジューサTD1,TD2から同時に同一の送信信号が同時に放射される。一方のトランスジューサTD1の中心からR離れた方位角θxの方向に反射物体Wが存在するものとする。他方のトランスジューサTD2と反射物体Wとの距離をR+δRとすれば、δR=L sinθxで与えられる。反射物体Wで発生した超音波の伝搬速度をcとおき、一方の超音波トランスジューサTD1が反射波を受信してから他方の超音波トランスジューサTD2が反射波を受信するまでの時間差δtとすれば、δt=δR/c=L sinθx/cを得る。
【0006】
上記時間差δtが超音波受信信号の半周期よりも小さくなるように、寸法Lや超音波信号の周波数を予め設定しておくことにより、上記受信時点の時間差をそれぞれの超音波トランスジューサの受信信号の位相差から検出できる。送信信号としては、数十kHz 乃至数百kHz の超音波帯域の正弦波の搬送波が数十サイクルにわたって持続するバースト状の波形などが使用される。反射物体の多次元表示は、例えば船舶の場合、舷側方向をx軸、深度方向をy軸、船舶の進行方向をz軸(時間軸t)とすると、xーy断面、tーy断面、一定深度のtーx断面などによって表示される。
【0007】
上記先行技術の超音波探査装置によれば、最小限2個の超音波トランスジューサを用いて舷側方向などのある角度範囲にわたって反射物体の二次元的あるいは三次元的な位置を検出することができる。この結果、多数の超音波トランスジューサを舷側方向に配置したり、1個の超音波トランスジューサを機械的に走査したりすることなく、簡易かつ安価な構成のもとで反射物体の多次元的な位置が検出可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来、漁船などに搭載され魚群の探知に利用される超音波探査装置では、反射物体の寸法、すなわち探査しようとする魚体のおおよその寸法が決まると、その探査用に使用する最適な超音波の波長/周波数が決まる。また、このような魚種に応じたいくつかの最適な周波数は、同一構造の超音波探査装置を多数製造するという量産にともなう価格低減をはかるために、規格値が定められる。従来、このような周波数の規格値として、28kHz 、50kHz 、75kHz 、120kHz 、200kHz などにが使用されてきた。
【0009】
さらに、この種の超音波探査装置では、超音波ビームを海中に送信してその海中で生じた反射波を受信するという送受信動作が一定の周期で反復されるが、この反復の周期は探査対象の海中の深度に応じて決められる。すなわち、送受信動作の反復の周期は、探査対象の最大深度の点まで超音波が往復する時間Tmax よりもわずかな値δTだけ大きい値に設定され、このδTが小さいほど時間効率、したがって探査能力が向上する。そして、この最大深度は探査対象の魚の好む深度、したがって魚種に応じて決まる傾向がある。このように、同一の魚種を探索対象とする複数の漁船が互いに接近して魚群の探査を開始すると、使用する超音波の周波数も、送受信の周期も接近する傾向にある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように複数の超音波探査装置の使用周波数と送信周期が接近することにより、相互干渉が発生しやすくなる。このため、なんらかの干渉防止対策が必要になる。従って、本発明の一つの目的は、位相差検出方式の超音波探査装置に適した干渉の妨害を除去する機能を備えた超音波探査装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決する本発明の超音波探査装置は、超音波信号を送信する送信部と、この送信された超音波信号の物体による反射波を受信し受信信号を出力する複数の受信素子を備えた受信部と、前記複数の受信素子の配置と各受信素子から出力される受信信号の位相差とから前記物体の方位を検出する方位検出部と、前記受信信号の出現時点および振幅から物体の距離および反射強度を検出する距離・反射強度検出部と、前記検出された方位、距離および反射強度を表示用データとして前記物体を画面表示する表示処理部とを備える。
【0012】
上記表示処理部は、送信時点を基準として定められた同一のサンプリング点における最新の送受信動作で得た最新の受信信号の、前回の送受信動作で得た前回の受信信号に対する振幅の比が所定値以上であることから他装置との干渉の発生を検出し、最新の受信信号に代えて前回の受信信号から検出された表示用データを画面表示する手段を備えることにより、複雑な送受信タイミングの変更を行うことなく他装置からの干渉による妨害を除去するように構成されている。
【0013】
さらに、本発明によれ干渉信号のパルス幅と見做す所定の第1の時間幅と、この第1の時間幅よりも大きな第2の時間幅とを設定しておき、干渉が検出されたサンプリング点を中心とする第1の時間幅の外側でかつ第2の時間幅の内側の時空間内に検出された干渉信号と同程度以上の振幅の受信信号が存在するか否かを探索し、存在する場合には検出した干渉信号および探索されたこれと同程度以上の振幅の受信信号を干渉信号ではないと判定し直す手段を備えることによって、干渉の検出精度を向上させるように構成されている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一つの好適な実施の形態によれば、前記表示処理部は、前記前回の受信信号の前々回の受信信号に対する振幅の比が前記所定値以上であることから前回の受信信号について他装置との干渉の発生を検出すると、最新の受信信号の前記前々回の受信信号に対する振幅の比を検出し、これが前記所定値以上であれば、最新の受信信号の振幅に代えて前々回の受信信号から検出された表示用データを画面表示する手段を備えることにより、干渉が連続した場合でもその妨害を除去できるように構成されている。
【0015】
本発明の他の好適な実施の形態によれば、第1の時間幅を、干渉が連続して検出された時間幅によって動的に変更する手段を備えることにより、干渉の妨害を一層有効に排除するように構成されている。
【0016】
本発明のさらに他の好適な実施の形態によれば、距離・反射強度検出部が受信信号の複素絶対値から振幅を算定する手段を備えている。
【0017】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例の超音波探査装置の構成を示すブロック図である。この超音波探査装置は、制御部CNT、送信部TX、単行回路IS1,IS2、超音波トランスジューサTD1,TD2、増幅回路AMP1,AMP2、サンプリング回路SPL1,SPL2,複素合成回路CMPX1,CMPX2、位相差検出回路ARG、加算回路ADD、絶対値回路ABS、ディジタル・シグナル・プロセッサDSP、表示装置DISを備えている。
【0018】
制御部CNTの制御のもとに送信部TXで超音波の送信信号が発生される。この送信信号は、前述した従来装置の場合と同様に、数十kHz 乃至数百kHz の超音波帯域の正弦波の搬送波が数十サイクルにわたって持続するバースト状の波形を呈する。この超音波送信信号は、信号を一方向にだけ伝達する単行回路IS1,IS2を通過して2個の超音波トランスジューサTD1,TD2のそれぞれに供給され、それぞれから同時に外部の海中などに放射される。海中に放射されて海中の魚体などで生じた反射波は、送受共用の超音波トランスジューサTD1,TD2のそれぞれに受信され、増幅器AMP1,AMP2で増幅される。
【0019】
増幅器AMP1,AMP2で増幅された受信反射波は、サンプリング回路SPL1,SPL2において、第1,第2のサンプリング信号spi ,spq によってサンプリングされ、ディジタル信号に変換される。第1のサンプリング回路SPL1から出力されるディジタル受信信号p1 ,q1 は後段の複素信号合成回路CMPX1においてディジタル複素信号r1 =p1 +jq1 に変換され、位相差検出回路ARGと加算回路ADDとに供給される。同様に、第2のサンプリング回路SPL2から出力されるディジタル受信信号p2 ,q2 は後段の複素信号合成回路CMPX2においてディジタル複素信号r2 =p2 +jq2 に変換され、位相差検出回路ARGと加算回路ADDとに供給される。
【0020】
位相差検出回路ARGでは、ディジタル複素信号r1 とr2 との複素共役積r1 ・r2 * から受信反射信号a1 ,a2 の位相差gが算定され、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPに供給される。ディジタル加算回路ADDでは、ディジタル複素信号r1 とr2 が加算され、この加算値hの絶対値sが絶対値回路ABSで算定され、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPに供給される。ディジタル・シグナル・プロセッサDSPは、絶対値sとその出現時点と、位相差gとから二次元の表示データを作成し、表示部DISに供給し、表示させる。
【0021】
以下、位相差検出の原理について詳細に説明する。受信信号a1 ,a2 の包絡線振幅をA(t)、搬送波の角周波数をω、位相をそれぞれφ1 ,φ2 とおくと、
1 =A(t) cos (ωt+φ1
2 =A(t) cos (ωt+φ2
となる。
【0022】
受信信号a1 を、標本化回路SPL1 において、標本化信号spi と、これよりもτだけ遅延させた標本化信号spq とによって標本化する。時刻tに出現する標本化信号spi による標本化受信信号p1 (t) と、時刻t=t+τに出現する標本化信号による標本化受信信号q1 (t) は、
Figure 0004017943
となる。ここで、τを、
ωτ=π/2
とすると、
Figure 0004017943
となる。
【0023】
複素合成器CMPX1において、p1 (t) を実部とし、q1 (t) を虚部とする複素数r1 が合成される。すなわち、この複素数r1 は、
Figure 0004017943
である。r1 は受信信号a1 の位相角( ωt+φ1 ) を偏角とする複素数となっている。
【0024】
同様に、
Figure 0004017943
となる。r2 は受信信号a2 の位相角( ωt+φ2 ) を偏角とする複素数となっている。
【0025】
従って、位相角計算部ARGにより、この複素数r1 とr2 の複素共役積を計算し、その偏角gを計算すると、ARGの出力gは、基本構成と同様に、
Figure 0004017943
となる。このように、受信信号a1 ,a2 間の位相差Δφが求まると、トランスジューサからみた魚体の方位角が判明する。
【0026】
加算回路ADDによる加算結果は、
Figure 0004017943
となる。絶対値算定部ABSで算定されるhの絶対値をsとすれば、
Figure 0004017943
となる。
【0027】
ここで、最隣接サンプリング時点間の時間差τをπ/(2ω)に設定したので
τ=π/(2ω)=π/(4πf)=T/4
となる。ここで、fは搬送波の周波数、Tは搬送波の周期1/fである。すなわち、τは搬送波の周期の1/4の時間長である。以上のことから、受信信号aの1/4周期だけずらした2点でのサンプリング値(観測値)をそれぞれ実部、虚部とする複素数を作成することにより、受信信号の位相を保存する複素数を得ることができ、本方式を構成することができる。この構成は、基本構成を用いる従来の信号変換部より簡単になる。
【0028】
図2は、受信信号a(t) の波形と、サンプリング点との関係を説明するための波形図である。最初のサンプリング点t11とこれに後続する最隣接のサンプリング点t12の時間差はτであり、これは搬送波の周期Tの1/4である。3番目のサンプリング点t21とこれに後続する最隣接のサンプリング点t22の時間差も同様にτ=T/4である。受信信号a(t) の持続時間Dは、送信信号のそれにほぼ等しい。最初のサンプリング点t11と3番目のサンプリング点t21との間隔は、信号の持続時間Dの半分D/2以下の値に設定される。このような関係を設定することにより、受信信号の包絡線の形状の検出が可能になる。この結果、反射波を発生させた物体の形状の推定が可能になる。
【0029】
図3は、角度を含む物体位置の三次元表示画面の一例である。直交三軸として船舶の舷側方向にx軸、深度方向にy軸、船舶の進行方向にz軸または時間軸tがそれぞれ設定される。左上の表示画面a)は船舶のt−y断面、右上の表示画面b)はx−y断面、左下の表示画面c)はt−x断面である。各断面中のa1,b1,c1は、現在の時点で検出された同一の反射物体である。
【0030】
ディジタル・シグナル・プロセッサDSPは、絶対値回路ABSから供給される絶対値s、すなわち受信信号の振幅sが、超音波の送受信のたびに変化する様子から他装置との干渉の有無を検出する。この干渉の有無は、送信時点を基準にして定められた同一のサンプリング点の受信信号の振幅の経時変化に基づいて行われる。
【0031】
具体的には、各サンプリング点ついて、最新の送受信動作で得られた最新の受信信号の振幅s0 と、前回の送受信動作で得られた前回の受信信号の振幅s1 との比s0 /s1 が所定値M未満であるか否かに基づいて干渉の検出が行われる。このように、受信信号の振幅の比に基づいて干渉を検出できるのは、他装置との干渉がこの他装置から放射された超音波信号の海底からの反射信号を受信することによって発生する場合が多く、この場合、受信信号の振幅が異常に増大する傾向を示すからである。
【0032】
振幅比s0 /s1 が所定値M未満であれば、干渉が発生しなかったと判定され、最新の受信信号の振幅s0 が表示処理対象の反射強度として、また、最新の偏角g0 が表示処理対象の角度信号として選択される。これに対して、振幅比s0 /s1 が所定値M以上であれば、干渉が発生したと判定され、前回の受信信号の振幅s1 が表示処理対象の反射強度として、また、前回の偏角g1 が表示処理対象の角度信号として選択される。上記ディジタル・シグナル・プロセッサDSPによる処理の内容を図4のフローチャートに示す。
【0033】
相互干渉の原因となる他装置から送信された超音波は、ある時間幅をもつパルス状の波形を呈する。このため、あるサンプリング点で検出される干渉は、隣接する複数のサンプリング点にわたって連続的に発生することが予想される。このような事態に対処して、上記干渉の検出処理を、最新の受信信号だけでなく前回の受信信号にも干渉が発生した場合を想定して拡張することができる。このディジタル・シグナル・プロセッサDSPによる干渉検出と妨害除去処理を図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0034】
まず、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPは、最初のステップS0において、送信の時点を基準として定めた各サンプリング点について、前回の受信信号の振幅s1 と前々回の受信信号の振幅s2 との比s1 /s2 が所定値M以上であるか否かを検査する。この振幅比が所定値未満であれば、干渉が発生しないみなされ、ステップS1、S2およびS3において、前図で説明したと同一の処理が行われる。
【0035】
すなわち、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPは、最新の受信信号の振幅s0 と前回の受信信号の振幅s 1 との比s0 /s1 が所定値M以上であるか否かを検査する(ステップS1)。この振幅比s0 /s1 が所定値未満であれば、干渉が発生しなかったと判定され、ステップS2において、反射強度信号sとして最新の受信信号の振幅s0 が選択され、偏角gとして最新の偏角g0 が選択される。一方、s0 /s1 が所定値M以上であれば、干渉が発生したと判定され、ステップS3において、前回の受信信号の振幅s1 が表示処理対象の反射強度として、また、前回の偏角g1 が表示処理対象の角度信号として選択される。
【0036】
上述したステップS0からS3までの処理は、前回の受信信号に干渉が検出されない場合の処理である。これに対して、ステップS0において、振幅比s1 /s2 が所定値M以上の場合、前回の受信信号に他装置との干渉が生じたと判定され、処理はステップS4に移行する。ステップS4では、最新の受信信号の振幅s0 と前々回の受信信号の振幅s2 との比s0 /s2 が所定値M以上であるか否かが検査される。振幅比s0 /s2 がM未満であれば、最新の受信信号には干渉が生じていないと判定され、ステップS5において、反射強度信号sとして最新の受信信号の振幅s0 が選択され、偏角gとして最新の偏角g0 が選択される。
【0037】
これに対して、振幅比s0 /s2 がM以上であれば、最新の受信信号にも干渉が生じたと判定される。この場合、ステップS6において、反射強度信号sとして前々回の受信信号の振幅s2 が選択され、偏角gとして前々回の偏角g2 が選択される。
【0038】
他装置との相互干渉は、この他装置が送信した信号の海底からの反射信号を受信することで生ずる場合が多い。このため、相互干渉は、他装置から送信される超音波パルスの幅に等しい期間にわたって連続したサンプリング点で生ずる。すなわち、あるサンプリング点で干渉が発生すると、その前後に連続する複数のサンプリング点にわたって干渉が発生することが予想される。予想される干渉継続区間を設定するためのパラメータとして、隣接サンプリング点の個数nを導入する。そして、干渉が検出されたサンプリング点を中心とするサンプリング周期の(2n−1)倍の区間を干渉発生推定区間と見做す。この干渉発生推定区間は、振幅比較を行わない振幅非比較区間とする。
【0039】
他装置との相互干渉は他装置の送信パルス幅ていどの区間内でだけ生ずる。したがって、この干渉発生推定区間の外でも相互干渉とみられる大きな振幅の受信信号が検出された場合、これは相互干渉でなく、実際に大振幅の信号が受信されただけであると考えることができる。これを確認するため、上記干渉発生推定区間の前後のそれぞれに受信信号の振幅の比較によって干渉の有無を最終的に確するための干渉確区間が設定される。このような、干渉発生推定区間と干渉確認区間の設定の一例を図6に示す。サンプリング周期の(2n−1)倍の干渉発生推定区間の前後に、それぞれサンプリング周期の3n倍の干渉確認区間が設定される。
【0040】
サンプリング点tで干渉が検出されると、このサンプリング点tでの受信信号と同程度以上の大きな振幅の受信信号が干渉確認区間内に存在するか否かの探索が行われる。そのような大振幅の信号が存在しなければ、サンプリング点tでの受信信号が他装置との干渉信号であるとの最終的な判定が行われる。そのような大振幅の信号が存在すれば、サンプリング点tでの受信信号とそのような大振幅の信号が他装置との干渉信号でないとの最終的な判定が行われる。
【0041】
受信信号が実在の反射物体からの反射信号に基づくものである場合、最新の受信信号の方位(d0)と前回の受信信号の方位(d1)とは互いに接近した値となる。これに対して、受信信号が実在の反射物体からの反射信号に基づくものではなく他装置との干渉に基づくものである場合、最新の受信信号の方位(d0)と前回の受信信号の方位(d1)は接近した値とはならない。この性質を利用して、他装置との干渉の検出精度を向上させる処理方法を図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0042】
まず、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPは、最新の受信信号の方位d0と、前回の受信信号の方位d1との差の絶対値ABS(do−d1)が所定値D未満であるか否かを検査する(ステップS0)。方位差が所定値D未満であれば、ディジタル・シグナル・プロセッサDSPは干渉が発生しなかったと判定し、反射強度sと偏角gとして、それぞれ最新の受信信号の振幅s 0 と偏角g 0 とを選択する(ステップS1)。一方、方位の差の絶対値ABS(do−d1)が所定値D以上であれば、干渉発生の可能性が大きいと判定され、前述した図4の場合と同様のステップS1,S2,S3の処理が行われる。
【0043】
図7のフローチャートを参照しつつ説明した処理は、最新の受信信号と前回の受信信号の関係に限定したものであった。この処理を前々回の受信信号まで考慮した処理に拡張することができる。このような処理の一例を図8のフローチャートに示す。
【0044】
図8のフローチャートは、図5のフローチャートの先頭に、最新の二つの受信信号から検出された方位差の絶対値が所定値未満か否かを判定するためのステップS00を追加したものである。最新の受信信号の方位d0と、前回の受信信号の方位d1との差の絶対値ABS(d0−d1)、または、最新の受信信号の方位d0と前々回の受信信号の方位d2の差のの絶対値ABS(d0−d2)が所定値D未満であれば、振幅比を検査するまでもなく他装置との干渉が生じていないと判定され(ステップS0)、反射強度sと偏角gとして、それぞれ最新の受信信号の振幅s 0 と偏角g 0 とが選択される(ステップS3)。ステップS00の判定結果が否定的な場合には、図5と同様振幅差の関係から他装置との干渉の有無が判定され、これらの判定結果に応じた振幅と偏角が最新の受信信号に対して設定される。
【0045】
以上、干渉発生推定区間の時間幅を固定する場合の実施例を説明した。しかしながら、他の好適な実施例によれば、他装置との相互干渉が連続して検出された時間幅を実際に検出し、初期設定されていた時間幅をこの実際に検出した時間幅によって動的に更新するという構成が採用される。この他の実施例の構成によれば、干渉の検出精度がいっそう向上し、干渉の妨害をいっそう有効に軽減することができる。
【0046】
また、隣接サンプリング点の受信信号の対を処理することによって反射強度と反射物体の方位とを検出する構成を例示した。しかしながら、本発明はこのような検出方法に限定されるものではなく、受信した反射波と搬送波とを混合してビート信号を発生させる方法など適宜な他の検出方法を採用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の超音波探査装置は、位相差検出方式を採用したうえで、干渉と判定した信号を前回あるいは前々回の受信信号で置き換える構成であるから、複雑な送受信タイミングの変更処理を行うことなく、干渉の妨害を有効に除去できるという効果が奏される。
【0048】
さらに、本発明によれば、干渉信号のパルス幅と見做す干渉発生推定区間と、その前後に干渉確区間とを設けることにより、干渉の有無を確定する構成であるから、干渉の検出の精度が向上するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の超音波探査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のサンプリング回路L1,L2におけるサンプリングのタイミングを受信信号の波形とともに示す波形図である。
【図3】図1の表示部DISに表示される三次元表示画面の一例を示す概念図である。
【図4】図1のディジタル・シグナル・プロセッサDSPが実行する干渉の検出と妨害の除去のための処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】上記ディジタル・シグナル・プロセッサDSPが実行する干渉の検出と妨害の除去のための処理の他の一例を説明するフローチャートである。
【図6】上記ディジタル・シグナル・プロセッサDSPが実行する干渉の検出処理の他の一例を説明するフローチャートである。
【図7】ディジタル・シグナル・プロセッサDSPが実行する干渉の検出と妨害の除去のための処理のさらに他の一例を説明するフローチャートである。
【図8】ディジタル・シグナル・プロセッサDSPが実行する干渉の検出と妨害の除去のための処理のさらに他の一例を説明するフローチャートである。
【図9】2個のトランスジューサの受信信号の位相差から反射物体の方位を検出する超音波探査方法を説明するための概念図である。
【符号の説明】
CNT コントローラ
TX 送信回路
TD1,TD2 超音波トランスジューサ
SPL1,SPL2 サンプリング回路
CPMX1,CMPX2 複素合成回路
ARG 位相差検出回路
ADD 加算回路
ABS 絶対値回路
DSP ディジタル・シグナル・プロセッサ
DIS 表示装置

Claims (8)

  1. 超音波信号を送信する送信素子を備えた送信部と、この送信された超音波信号の物体による反射波を受信し受信信号を出力する複数の受信素子を備えた受信部と、前記複数の受信素子の配置と各受信素子から出力される受信信号の位相差とから前記物体の方位を検出する方位検出部と、前記受信信号の出現時点および振幅から物体の距離および反射強度を検出する距離・反射強度検出部と、前記検出された方位、距離および反射強度を表示用データとして前記物体を画面表示する表示処理部とを備えた超音波探査装置において、
    前記表示処理部は、送信時点を基準として定めた同一のサンプリング点における最新の送受信動作で得られた最新の受信信号の、前回の送受信動作で得られた前回の受信信号に対する振幅の比が所定値以上であることから他装置との干渉の発生を検出し、最新の受信信号に代えて前回の受信信号から検出された表示用データを画面表示する手段を備えたことと、
    干渉信号のパルス幅と見做す所定の第1の時間幅と、この第1の時間幅よりも大きな第2の時間幅とを設定しておき、前記干渉が検出されたサンプリング点を中心とする前記第1の時間幅の外側でかつ第2の時間幅の内側の時空間内に前記検出された干渉信号と同程度以上の振幅の受信信号が存在するか否かを探索し、存在する場合には前記検出した干渉信号および前記探索されたこれと同程度以上の振幅の受信信号を干渉信号ではないと判定し直す手段と
    を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  2. 請求項1において、
    前記表示処理部は、前記前回の受信信号の前々回の受信信号に対する振幅の比が前記所定値以上であることから前回の受信信号について他装置との干渉の発生を検出すると、最新の受信信号の前記前々回の受信信号に対する振幅の比を検出し、これが前記所定値以上であれば、最新の受信信号の振幅に代えて前々回の受信信号から検出された表示用データを画面表示する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  3. 請求項において、
    前記第1の時間幅を、前記干渉が連続して検出された時間幅によって動的に変更する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  4. 請求項1乃至いずれかにおいて、
    前記距離・反射強度検出部は、前記受信信号の複素絶対値から前記振幅を算定する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  5. 請求項1乃至いずれかにおいて、
    受信信号について検出された方位の最新の値と前回の値との差の絶対値を算定し、これが所定値未満の場合、前記他装置との干渉が発生しないと判定する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  6. 請求項1乃至いずれかにおいて、
    受信信号について検出された方位の最新の値と前回の値との差の絶対値、および最新の値と前々回の値との差の絶対値を算定し、これらのいずれかが所定値未満の場合、前記他装置との干渉が発生しないと判定する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  7. 超音波信号を送信する送信部と、この送信された超音波信号の物体による反射波を受信する受信部と、この受信部で受信された受信信号を画面表示する表示処理部とを備えた超音波探査装置において、
    前記表示処理部は、
    送信時点を基準として定めた同一のサンプリング点における最新の送受信動作で得られた最新の受信信号の、前回の送受信動作で得られた前回の受信信号に対する振幅の比が所定値以上であることから他装置との干渉の発生を検出する手段と、
    干渉信号のパルス幅と見做す所定の第1の時間幅と、この第1の時間幅よりも大きな第2の時間幅とを設定しておき、前記干渉が検出されたサンプリング点を中心とする前記第1の時間幅の外側でかつ第2の時間幅の内側の時空間内に前記検出された干渉信号と同程度以上の振幅の受信信号が存在するか否かを探索し、存在する場合には前記検出した干渉信号および前記探索されたこれと同程度以上の振幅の受信信号を干渉信号ではないと判定し直す手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
  8. 請求項において、
    前記第1の時間幅を、前記干渉が連続して検出された時間幅によって動的に変更する手段を備えたことを特徴とする超音波探査装置。
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