JP4082650B2 - 高層集合住宅 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共用部と住戸部とを備えたマンション等の集合住宅であって、高層の集合住宅に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集合住宅は、例えば、図10に示すように、中央側に共用ゾーンKが配置され、その周囲に住戸ゾーンSが配置される。住戸ゾーンSにおける各階の居住空間では、一般に、日照条件などを考慮して、内周側に洗面、浴室、便所などの水回りの設備の設備エリアが配置されると共に、その外周側に居住エリアが配置される。なお、共用ゾーンKの各階(共用部と呼ぶ場合もある)における居住空間に沿った位置には共用廊下10が配置される。
【0003】
また、各階の居住空間(住戸部と呼ぶ場合がある)は、通常、複数の住戸7に区画され、各住戸7毎に、ガス、水道、排水などの水回りの設備配管や、電気・電話などの電気系統の配線が設置されると共に、各設備配管及び配線に対応したメーターボックス50が装備される。各住戸7の設備配管及び配線、特に設備配管は、記設備エリア位置で住戸ゾーンSを上下に貫通するパイプシャフトを通じて個別に上下方向に展開されて、地上部のライフライン基幹部に接続している。なお、このパイプシャフトは、平面視で同一位置にある上下階の複数の住戸7で共用して使用される。
【0004】
ここで、共用廊下10に接続する各住戸7の玄関51は、記共用ゾーンK側に位置する設備エリアに設けられ、また、その玄関51の側方など玄関51の近傍位置に記各メーターボックス50が設けられている。
なお、図11に示すように、各住戸7の一部のメーターボックス50等を、共用ゾーンKに設けられる壁部に設ける場合もある。この場合には、各住戸7に対向する共用ゾーンKの壁部位置にそれぞれ記パイプシャフト及びメータボックス50を設け、各住戸7内の配管及び配線を、個々に、共用廊下10の下側を通じて当該共用廊下10を横切るように延びて(図11中、符号60を参照)、記各パイプシャフト及びメータボックス50に接線している。
【0005】
また、従来にあっては、一般には、住戸部の梁が共用部にまで延びることで、共用部の構造フレームは、住戸を構成するフレーム位置に合わせた位置に当該住戸部のフレームと一体となって形成されている。さらに、上記のような、いわゆるダブルフレーム構造(又はダブルチューブ構造)の建物にあっては、住戸内に柱が出ないようにするため、各階の住戸空間を区画する床スラブとして、厚さのあるフラットスラブが採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
各住戸ゾーンSを上下に貫通するパイプシャフトを、各階における住戸単位に設けるために、各住戸7の水廻りや玄関位置に大きな制約があった。
また、排水や水道などの水・ガス関係の配管が記住戸ゾーンSを貫通するパイプシャフ置されている場合には、そのパイプシャフト内を流れる排水などの音が騒音源となって居住空間の快適性を損なう一因となる。特に、パイプシャフト内を流れる排水などは、必ずしも自己の住戸のものではない。
【0007】
このとき、住戸部の床躯体を、梁で支持せず直接に柱で支持するフラットスラブ構造とした場合には、音の減衰が小さく、水の音などの騒音に対する躯体伝搬音が問題となりやすい。また、各住戸単位に各設備配管や配線のメーターを収納するメーターボックス50が配置されると共に、各住戸7の設備配管を上下に展開するパイプシャフトも、同一平面で見た場合に各住戸毎に設けるので、設備の専有する空間がその分だけ大きくなり、居住空間を大きくする際の制限の一因となる。
【0008】
また、共用ゾーンKに立体機械駐車設備・ゴミ置場・トランクルーム・コミュニティコーナーなどの共用設備を設ける場合も多いが、当該共用設備が、主要構造部(柱・梁・スラブ)によって、構造的にかなりの制約をうけていた。また、居住部の床をフラットスラブ構造とすると、スパン限界が例えば10〜12mとなり、これ以上、住戸ゾーンの内周側架構と外周側架構とのスパンを大きく設定することが困難となり、住宅の規模が制限される。
【0009】
また、従来は、住戸部分がいわゆるダブルフレームで構成されていても、住戸部の梁が共用部まで延びて、つまり同一の構造フレームで繋がっていることから、共用部も住戸部と同様のスパン割になっていて、主要構造部(柱・梁・スラブ)よって、構造的に制限を受けていた。また、共用ゾーンの主要躯体である柱は各階部分を繋ぐように立設している本躯体であるので、各階毎の共用部の平面レイアウトの自由度も低い。
【0010】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、高層住宅の各住戸にも戸建て並みの間取りのフレキシビリティを付与可能なように、自由度の高い構造及び設備を備えた快適な住空間を実現可能な高層集合住宅を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、上下方向にのびる共用ゾーンと該共用ゾーンの外周位置または前記共用ゾーンの一面を除く外周位置に配置される上下方向にのびる住戸ゾーンとから構成され、前記住戸ゾーンと前記共用ゾーンの境界に沿って配置される内周側架構と建物の外周に沿って配置される外周側架構とを備え、前記内周側架構と前記外周側架構との間に複数の床スラブを架設することで記住戸ゾーンを各階の居住空間に区画すると共に記各床スラブをそれぞれ支持する梁を有し、前記共用ゾーンの各階は、共用廊下と各階コア部からなり、前記共用ゾーンにおけるコア部は、間柱と小梁だけで鉛直荷重のみを支持るフリーコアシステムとされ、前記共用ゾーンの共用廊下の床躯体は、前記コア部と前記住戸ゾーンとを繋ぎ、前記コア部の水平荷重を前記内周側架構及び前記外周側架構に支持させることを特徴とする高層集合住宅を提供するものである。
【0012】
各階は、居住空間と共用空間から構成されるが、本発明によれば、居住空間の床スラブを梁で支持させたので、つまり梁を設置することで、構造耐力及び剛性が向上する。ここで、記梁には、扁平梁も含まれる。以下同様である。また、フラットスラブ構造とする場合に比べて、梁を設けた部分の床躯体位置の質量が、梁が無い床躯体部分と異なることから、床躯体を介して伝搬する伝搬音が梁を設けた位置で効果的に減衰される。
【0013】
また、梁を設けることで内周側架構と外周側架構との間のスパンを大きく設定することができる。また、請求項1に記載した発明は、共用ゾーンにおける各階の床躯体は、記内周側架構及び外周側架構の少なくとも一方に支持され、その床躯体間の鉛直荷重は、間柱と小梁とで支持することを特徴とするものである。
なお、住戸ゾーンを囲むダブルフレーム部とコア部とは設備用ピットを持つスラブ、すなわち廊下の床躯体によって単に繋がっていることで、コア部の水平荷重がダブルフレーム部に支持される。
【0014】
これにより、上述のように住戸ゾーンコア部とが各々独立した構成となっていることと併せて、コア部の各階の鉛直荷重を支持する部材を間柱及び小梁だけとすることで、共用ゾーンでの各共用設備の割り当ての自由度が向上し、且つ主架構のスパン割の制約を受けないで共用ゾーンを構築することが可能となる。
【0015】
また、請求項に記載した発明は、共用ゾーンの各階部分に記住戸ゾーンに沿って延びる共用廊下を設け、その共用廊下の床パネルと当該共用廊下の床躯体との間に当該共用廊下に沿って延びる設備用ピットを設け、記共用廊下よりも内周側で上下に延び且つ記設備用ピットに連通する集約した設備シャフトを設けて、各設備用ピットに、当該設備用ピットに沿ってその階の設備配管及び配線を配置すると共に記設備配管及び配線を記設備シャフトによって上下方向に展開させることを特徴とするものである。
【0016】
これより、例えば、共用ゾーンの外周を囲むように住戸ゾーンを配置すると、共用廊下の平面配置が環状若しくは環状に近い配置になって、その下側に設ける設備用ピットも環状等となる。この結果、各階の共用部に位置する設備配管等も環状等に平面配置されて、その共用の設備配管等から各住戸の設備配管等への接続が効率良く行うことが可能となる。すなわち、高層集合住宅にも関わらず、各住戸の設備配管などが、地上部のライフライン基幹部との接続自由できて、一戸建て住宅に近い構成となる。
【0017】
しかも、共用の設備配管等が、居住空間の内周に沿って配置されているこ、居住空間への平面視における接続位置の自由度が向上し、その分だけ設備配管などの観点からの制約が小さくなり、居住空間の平面プランの変更自由度、つまりリフォーム(間取りの変更等)の自由度が向上する。また、設備配管等の上下への展開は、共用廊下よりも内周側等の居住空間から離れた位置であるので、例えば、排水の落下音等の騒音に対する居住空間の快適性が向上する。特に、上述のように梁を設けることで躯体伝搬音も効果的に減衰されるので、さらに音に対する快適性が向上する。
【0018】
また、設備配管等の上下方向への展開が共用ゾーンの中央側等に集約されることで、つまり、住戸スペースに、設備配管等のためのパイプスペースが不要となると共に、集約して上下に展開することで、居住空間の専有空間の拡大に繋がる。また、請求項に記載した発明は、住戸ゾーンにおける各階の床は二重床構造となっていて、当該二重床内にその居住空間用の設備配管及び配線を配置し、当該設備配管及び配線は、記設備用ピット内の設備配管及び配線と接続することを特徴とするものである。
【0019】
これにより、二重床内を設備配管等の配置スペースとして使用することで、上下階の住戸割に影響することなく、各階において自由に設備配管等と水道管等との接続が可能となる。つまり、水道管やコンセントなどの変更の自由度が大きく、リフォームが容易となる。しかも、床下で設備用ピッと連通している。次に、請求項に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、各居住空間における共用ゾーン側に水回りの設備を配置し、記住戸ゾーンに配置される各フラットスラブは、上記水回りの設備を配置する共用ゾーン側の部分を低くする段差を有する段差スラブとし、上記低くした共用ゾーン側部分のみを二重床構造としたことを特徴とするものである。
【0020】
例えばセンターコア方式の場合、日照条件などから、居室はセンターコア側に配置できない。そこで、水回りを配置するコア側部分を低くした段差を有する段差スラブとし、この低い部分のみを二重床とする。これより、二重床とする部分が必要十分な部分のみとなるので、請求項のように全部を二重床構造とすることに比べて低コストとなる。
【0021】
なお、一般に水回り設備の配管は電気系統の配線に比べて専有空間が大きく且つ、水勾配なども考慮する必要があるので、水回りの配管は、上述のような二重床内に配置することが好ましい。
次に、請求項に記載した発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載した構成に対し、各居住空間に配置される設備配及び配線用のメータの少なくとも一つは、記設備用ピットに配置されることを特徴とするものである。
【0022】
本発明によれば、メーターの少なくとも一部については、居住空間に設ける必要がないので、その分、居住空間を大きくしたり、平面プランの自由度が向上する。
また、共用廊下の下側である設備用ピットにメーターを設置する場合は、壁部等にメーターボックスを設ける必要がなく、メーターが存在していても、専用配管及びメーターのため、共用部扱いではなく、専用部として扱うことができ、共用部の使用空間への制限も小さい。
【0023】
次に、請求項に記載した発明は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載した構成に対し、記共用ゾーン内に、共用部コアとして上下に延びる立体機械駐車設備を設けることを特徴とするものである。
上述のように共用ゾーンの自由度が高いので、共用ゾーンの一部として立体機械駐車設備を容易に設けることが可能となる。
【0024】
なお、階段、エレベータ、ホール、附室は勿論、ゴミ置場、トランクルーム、コミュニティコーナー等の他の共用設備を、共用ゾーンコア部分設けることも容易である。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1の実施形態の高層集合における所定階の平面図である。図2は、所定階における住戸ゾーンSの断面図である。
本実施形態では、中心に共用ゾーンKを配置し、その共用ゾーンKの外周位置に共用ゾーンKを囲むように住戸ゾーンSを配置した構造となっている。その共用ゾーンKと住戸ゾーンSとの境界となる住戸ゾーンの内周部に沿って内周側架構1が設けられると共に、住宅の外周部となる住戸ゾーンSの外周部に沿って外周側架構2が設けられている。この結果、図1に示すよう、平面視において主架構1、2が略二重管状のダブルフレーム構造となっている。図1中、符号1a、2aは各主架構1、2の柱躯体を示す。
【0026】
その内周側架構1と外周側架構2との間に、図2に示すように、床スラブ3が架設されると共に該床スラブ3を支持する扁平梁6(フラットビーム:図1中ハッチングで示した位置)が架設されることで、各階の床躯体が形成されて、住戸ゾーンSは、各階の居住空間5に区画されている。その床スラブ3の上に、上下に所定間隔をあけて化粧床板4が配置されることで、居住空間5の床は2重床構造となり、その2重床内に、各住戸専用の配水管、排水管、ガス管、電力供給線などの設備配管・配線が配置される。
【0027】
ここで、床スラブ3で分離されて形成された各居住空間5は、複数の間仕切り壁16によって複数の住戸7に区画され、各住戸7毎に記設備配管・配線34の配置が行われる(図3参照)。
また、共用ゾーンKの中央部には、エレベータ8や階段9その他の共用設備が配設されている。
【0028】
この共用ゾーンKには、図3中、太線で描かれるような4本の間柱31、及び8本の小梁30が配置されて、当該間柱31、及び小梁30によって各階のコア部での鉛直荷重をそれぞれ受けるようになっている。
また、共用ゾーンKの各階における外周側には、共用廊下10が配置されている。その共用廊下10は、少なくとも住戸ゾーンSの内周側に沿って配設される。その共用廊下10の床躯体11上面が、上記住戸7部の床スラブ3上面よりも低い位置に設定されて(図2参照)、共用廊下10の床部分も二重床構造となっている。その共用廊下10内の空間が、設備用ピット12を構成する。
【0029】
図2中、符号37は、共用廊下の床パネルであって、全床パネルとも取り外すことができる。また、符号36は、この床パネル37に設けられた点検口の蓋を示す。
この設備用ピット12は、共用廊下10に沿って設けられることで、平面視で環状の配置されると共に、居住空間5の二重床内に連通可能となっている。
【0030】
また、上記共用廊下10よりも内周側位置、つまり住戸空間Sから離れた側には、上下に延びる設備シャフト13が形成され、当該設備シャフト13は、上記設備用ピット12に連通している。そして、地上部のライフライン基幹部に接続した給排水・ガス・電力・電話・情報通信等の各種設備配管・配線3が、上記設備シャフト13の主管35に沿って上下に展開されると共に、各階においては、設備用ピット12内を当該設備用ピット12に沿って配置される。この結果、設備用ピット12内の設備配管・配線15は、図3に示すように、各階において環状に且つ住戸ゾーンSの内周側に沿って環状に配置される。その設備用ピット12内の設備配管・配線15と各住戸7内の設備配管・配線34とが接続することで、地上部のライフライン基幹部と各住戸7内の設備配管・配線34とが接続される。
【0031】
このとき、設備用ピット12内の設備配管・配線15は、対象階おいて、住戸ゾーンSの内周側に沿って環状若しくは略環状に配置されているため、住戸割のために居住空間5をどのように区画しても各住戸7内の設備配管・配線34と容易に接続が可能となる。次に、上記構成の作用・効果等について説明する。
【0032】
ダブルフレームを構成する躯体1、2を床スラブ3及び扁平梁6で繋げる構造とすることで、居住空間5と共用の空間とが構造的に明確に区分されると共に、居住空間の構造耐力及び剛性を高く設定できることから、各階の居住空間5の平面を広く設計することができる。
また、住戸ゾーンのダブルフレームは、共用ゾーンのフリーコアシステムとはスラブで単に繋がっている構造となっていると共に、フリーコアシステムには、間柱31と小梁30だけで鉛直荷重を支持させている。このため、共用ゾーンKの各設備の配置自由度も大きい。また、共用ゾーンKにおける各階毎の平面レイアウトの自由度も大きい。
【0033】
また、居住空間5の床を二重床構造として当該床下の空間を設備配管等34の配置に利用し、また、共用廊下10の下に環状の設備用ピット12を設けて、そこに設備配管・配線15を配置することで、次のような効果が発生する。
(1)住戸7内に入ることなく、共用部分の設備用ピット12位置からインフラのメンテナンスや更新が容易に行うことができる。
【0034】
ここで、従来にあっては、多くの場合、トイレや台所の縦の排水管が各個の専用部を上下に貫通する形で設けられていたので、メンテナンスや更新などの場合、必要に応じて住戸7内に入っていた。
(2)二重床内を各住戸7での配管・配線スペースとして使うため、住戸7内の水廻り配置可能エリア内のどこにでも、上下階の住戸割に左右されず配管・配線の接続が可能となる。
【0035】
(3)共用ゾーンKの中央部側に設備配管等の縦展開を集約できるため、各住戸7にパイプシャフトを設ける必要がなく、つまり、騒音源となる排水立て管等を住戸7内に設ける必要がない。特に、本実施形態では、居住部の床躯体に梁6を配置することから、各居住部で発生する音の躯体伝搬音を効果的に減衰することが可能となり、その点からも騒音を低減することが可能となっている。
【0036】
メーターも設備用ピット12に一部配置すると、他のメータースペースも出窓下程度で済んで、専有メーター等しか置かないため、共有部としての面積を必要としないことから、その分、専有部の面積が増加する。これらに加え、共用ゾーンKの中に縦の主管を集約すること、及び各住戸にパイプスペースが不要となることから、従来の場合に比べて、各住戸当たりの専有部の面積が例えば1〜3m2程度、増加する。
【0037】
以上のように、本実施形態の高層集合住宅では、建物の躯体部分と、設備・間仕切りなどのインフィル部分とが分離した構造となり、各階の居住空間5のレイアウトの変更が容易であり、住居者のニーズに合わせて、住戸割・各住戸7内の間取りのいずれの変更も自在となる。また、将来の配管・配線の取り替え等のメンテナンスも極めて容易である。
【0038】
ここで、上記共用ゾーンKの中央部には、図4や図5に示すように、立体機械駐車設備14を配置しても良い。ここで、図4では、梁6を剛性の弱い角部に主として配置した場合の例である。図7は、図5における建物の縦断面構造を示すものである。また、立体機械駐車設備14は、図6に示すように2基以上配置しても良い。ここで、上記図4〜図6、及び後述の図8中、符号15の破線は、設備用ピット12内の設備配管・配線15の配置位置を示すものである。
【0039】
また、上記共用ゾーンKの中央部には、ゴミ置場・トランクルーム・コミュニティーコーナー等のその他の共用設備空間を適宜配設しても構わない。ここで、住戸ゾーンSを平面視で環状に配置する必要はなく、図5及び図6に示すように、住戸ゾーンSを平面視でコ字状に配置するなどしても構わない。この場合には、図5及び図6に示すように、共用廊下10の下の設備用ピット12内の設備配管・配線15の配置は、必ずしも環状とならない。
【0040
た、共用廊下10側に水回りを集めるという配置プラン上の制約を設ければ、図及び図に示すように、水勾配などを考慮して水回り部分S1だけ下げられるように、共用ゾーンK側3Aを低くした床スラブ3を用い、この水回り部分のみ二重床とすることもできる。この場合には、居住空間5全体の床の全部を二重床構造とする場合よりも低コストとすることができる。
【0041】
なお、図中、符号40はアンンドPC鋼線であって、床スラブ3に当該アンンドPC鋼線によってプレストレスを導入して、所要の剛性を確保しつつ床スラブ3の厚みを薄くするようにしている。勿論、このアンンドPC鋼線によるプレストレスの導入は、段差スラブでない場合にも有効である。また、符号41は、ハーフPC床版を示す。また、別の配筋形式にて構造体を構成することも可能である。
004
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明を採用すると、ダブルフレーム構造の集合住宅について、構造耐力及び剛性が向上することで、居住空間の専有空間を大きく設計可能となると共に、各階の居住空間の間取り自由度やリフォームの自由度が高く、かつ騒音を小さく抑えることが可能な高層集合住宅を提供することができる。
【004
また、将来の配管・配線の取り替え等のメンテナンスが極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る所定階の平面図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る所定階の住戸ゾーンでの全ての配管・配線用二重床の場合の断面図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る所定階における、設備配管・配線及び間柱・小梁の配置例を示す平面図である。
【図4】共用ゾーンに立体機械駐車設備を配した実施形態を示す平面図である。
【図5】共用ゾーンに立体機械駐車設備を配した別の実施形態を示す平面図である。
【図6】共用ゾーンに立体機械駐車設備を2基配した別の実施形態を示す平面図である。
【図7】図4の場合の縦断面図である。
【図8】本発明の住戸ゾーンの水回り部分のみを二重床とするために、段差付き床スラブを用いた場合の実施形態に係る所定階の平面図である。
【図】段差付き床スラブを示す断面図である。
【図10】従来における所定階の平面図である。
【図11】従来における所定階の平面図である。
【符号の説明】
K 共用ゾーン
S 住戸ゾーン
S1 水回り部分
1 内周側架構
2 外周側架構
3 床スラブ
3a 段差部分
4 床板
5 居住空間
6 梁
7 住戸
8 エレベータ
9 階段
10 共用廊下
11 床躯体
12 設備用ピット
13 設備シャフト
14 立体機械駐車設備
15 設備配管等
16 間仕切り
30 小梁
31 間柱
32 メータボックス
34 居住空間に展開した設備配管・配線
35 主管
40 アンンドPC鋼線

Claims (5)

  1. 上下方向にのびる共用ゾーンと該共用ゾーンの外周位置または前記共用ゾーンの一面を除く外周位置に配置される上下方向にのびる住戸ゾーンとから構成され、前記住戸ゾーンと前記共用ゾーンの境界に沿って配置される内周側架構と建物の外周に沿って配置される外周側架構とを備え、前記内周側架構と前記外周側架構との間に複数の床スラブを架設することで記住戸ゾーンを各階の居住空間に区画すると共に記各床スラブをそれぞれ支持する梁を有し、
    前記共用ゾーンの各階は、共用廊下と各階コア部からなり、
    前記共用ゾーンにおけるコア部は、間柱と小梁だけで鉛直荷重のみを支持るフリーコアシステムとされ、
    記共用ゾーンの共用廊下の床躯体は、前記コア部と前記住戸ゾーンとを繋ぎ、前記コア部の水平荷重を前記内周側架構及び前記外周側架構に支持させることを特徴とする高層集合住宅。
  2. 前記共用廊下の床パネルと当該共用廊下の床躯体との間に当該共用廊下に沿って延びる設備用ピットを設けると共に、記共用ゾーンで上下に延び且つ前記設備用ピットに連通する設備シャフトを設けて、前記設備用ピットに、当該設備用ピットに沿ってその階の設備配管及び配線を配置すると共に前記設備配管及び配線を前記設備シャフトによって上下方向に展開し、
    前記住戸ゾーンにおける各階の床は二重床構造となっていて、当該二重床内にその居住空間用の設備配管及び配線を配置し、当該設備配管及び配線は、前記設備用ピット内の設備配管及び配線と接続することを特徴とする請求項1記載の高層集合住宅。
  3. 各居住空間における共用ゾーン側に水回りの設備を配置し、記住戸ゾーンに配置される各床スラブは、記水回りの設備を配置する共用ゾーン側の部分を低くする段差を有する段差スラブとし、前記低くした共用ゾーン側部分のみを二重床構造としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の高層集合住宅。
  4. 各住戸に配置される設備配管用及び配線用のメータの少なくとも一つを、記設備用ピットに配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の高層集合住宅。
  5. 前記共用ゾーン内に、上下に延びる立体機械駐車設備を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の高層集合住宅。
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