JP4082165B2 - 整合部材の製造方法およびそれを用いた超音波センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波を利用して気体や液体の流量測定、流速測定する超音波流量計の整合層の製造方法およびそれを用いた超音波センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の整合層の製造方法は、例えば、図7(a)に示すように中空球体27と樹脂28の混合物からなる整合層と筒状部材29からなる負荷ケースが一体成形されている。そして、図7(b)のように圧電体の共振周波数の1/4波長に相当する厚みにカットする。
【0003】
以上のように作成した整合層30は、図7(c)に示すように、を圧電振動子31に載置して、超音波振動子を構成する(特許文献1参照)。
【0004】
また、ガラスバルーンと樹脂の混合体による整合層の製造方法については、圧電体からの発生する超音波の波長よりも小さい粒径の気泡を樹脂に混入する整合層が示されているものもある(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−101880号公報(第1図)
【0006】
【特許文献2】
特開平11−215594号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来の製造方法を用いた整合層は、筒状部材に中空球体と樹脂を混合して熱硬化させて作成するため、樹脂硬化条件によっては、樹脂の収縮が発生し筒状内部壁面と整合層界面間に亀裂が生じたり、整合層にも変色、変形や割れが発生するなどの課題があった。
【0008】
これは、樹脂を加熱することにより、樹脂自体の自己発熱や樹脂成分の急激な化学変化のために、樹脂自体の組成変化が起こるためである。
【0009】
整合層内に亀裂等が入るため、図7(b)のように筒状部材を所定の厚みにカットした整合層群はそれぞれ1枚ごとに、密度が不均一な整合層が作成されてしまう課題があった。
【0010】
また、超音波の波長よりも小さい粒径の気泡を樹脂に混入することは、非常に困難であり、混入する気泡の大きさを制御することができない。また樹脂中に気泡を混入することで作成された整合層の密度は作成数ごとに異なり、一定の音響インピーダンスを得ることができない。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、成型不良のない安定した整合層を有し、整合層密度のばらつきを低減した整合部材およびその製造方法と超音波センサを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の従来の課題を解決するために、本発明の整合層の製造方法は、中空球体と前記中空球体を包囲する結合材料からなる混合物を前記結合材料の熱変形温度より低い温度領域で一旦加熱硬化され、次いで、前記熱変形温度より高い温度領域で加熱硬化させて整合部材を製造するようにしたもので、樹脂の硬化条件に起因する整合層の成型不良を解決することができる。
【0013】
したがって、整合部材中のどの箇所の所定厚みの整合層を取り出しても、密度は均一となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、中空球体と前記中空球体を包囲する結合材料からなる混合物を前記結合材料の熱変形温度より低い温度領域で一旦加熱硬化し、次いで、前記熱変形温度より高い温度領域で加熱硬化させて整合部材を製造するようにしたものであって、結合材料の硬化工程に起因する整合部材の成型収縮等による成型不良がなくなり、整合部材のどの部分でも均一な密度となし得るものである。
【0015】
前記熱変形温度は、例えば、結合材料のガラス転移温度とする。
【0016】
そして、整合部材作成治具内に中空球体と結合材料の混合物を充填した後、前記整合部材作成治具と共に混合物を加熱するようにし、また、加熱硬化させた整合部材を固定治具で固定した状態で切断装置を介して切断と同時に、残留物が整合部材の表面上に付着しないように洗浄工程を実施するようにした。
【0017】
さらに、具体的な製造方法として、中空球体と結合材料の混合物を整合部材作成治具内に充填した後、前記整合部材作成治具と共に前記結合材料の熱変形温度より低い温度領域で一旦加熱硬化し、次いで、前記整合部材作成治具から前記混合物を取り出し、加工した 後に、前記結合材料の熱変形温度より高い温度領域で加熱硬化させて整合部材を製造するようにした。この場合、加工と同時に前記混合物の残留物が前記混合物表面上に付着しない洗浄工程を実施するのが望ましい
【0018】
前記中空球体はガラス組成を含むものであり、結合材料は熱硬化性樹脂化合物とする。
【0019】
前記製造方法で製造した整合部材は、例えば、超音波センサの筒状ケースの天部の内壁面に配置して使用される。勿論、この天部の内壁面には電体が固定されている。
【0020】
【実施例】
以下、本説明の実施例について図表を用いて説明する。
【0021】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における整合部材の製造工程の概略図である。
【0022】
図1において、1は整合層作成治具である。2は、整合層作成治具1に設けられた貫通孔である。
【0023】
整合部材作成治具1の貫通孔2内に中空球体と結合材料の混合体を作成して、整合部材1を作成する。3は中空構造を有するガラス中空体である。
【0024】
ガラス中空体3はそれぞれ10〜100μmの粒径を有し、平均粒径は約60μmである。
【0025】
ガラス中空体は他の充填剤と比較して、比重が軽く、耐熱性、耐圧性、耐衝撃性を有し、充填材として使用したときの充填物の寸法安定性、成型性などの物性を改良できる。使用したガラスの組成はホウケイ酸系ガラスである。
【0026】
このガラス中空体は、酸化珪素、硼酸、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等の原料を1000℃以上の高温で溶融して硫黄分を多含するガラスを形成させた後、ガラスを粉砕後、このガラス微粉末を火炎中に分散、滞留させることにより、硫黄分を発泡剤成分として発泡させて作成している。
【0027】
また、ガラス中空体と結合材料を密接に結合させるために表面改質材を、ガラス中空体表面に形成しているガラス中空体もあるが、そのガラス中空体を使用しても何ら不都合はない。
【0028】
ガラス中空体3は、比重約0.16g/ccである。使用する前にガラス中空体3は、ガラスデシケータ内に設置し、そのデシケータごと熱風乾燥循環炉内に設置し、100℃で12時間乾燥させた後のサンプルを使用する。
【0029】
ガラス中空体3のガラス表面に付着する水分を完全に除去するためである。ガラス中空体3表面に水分が残留していると後にガラス中空体3と結合材料を硬化反応させるとき、水分が結合材料とガラス中空体3の化学結合による結合を妨害し、ガラス中空体3と結合材料間に微小空隙層を形成してしまい、整合部材の機械強度を低下させることがある。
【0030】
図1に示すように整合層作成治具1に貫通孔2を設け、貫通孔2内に、乾燥後ガラス中空体3を投入する。
【0031】
このとき図2に示すように、整合層作成治具1を加振装置11に設置した上で、整合層作成治具1全体を振動させながらガラス中空体3を投入する。
【0032】
加振装置の加振強度は、縦振動のみで、周波数60Hz、約5Gである。この作業工程の整合層作成治具1を加振させることにより、整合層作成治具1の貫通孔2内に投入されるガラス中空体3間の空隙を埋めるような状態で貫通孔2内に収まっていく。
【0033】
これは、ガラス中空体3の外部壁面が表面改質材の被覆層を形成しているので、ガラス中空体3の流動性が高いために、ガラス中空体3間の壁面が接触しても滞留することなくガラス中空体3が動いて貫通孔2内で最密充填状態になるためである。そのため、ガラス中空体3同志間では、最小の空隙しか存在していない。
【0034】
このようにガラス中空体3を充填した整合層治具1は、貫通孔2上下にフィルター4を設置した後、整合部材作成治具1上に貫通孔2内に結合材料を含浸させる。ここで、結合材料として熱硬化性樹脂化合物であるエポキシ樹脂を用いた。
【0035】
硬化後の樹脂の形状変化が小さく、長期安定性に優れているためであり、何より、ガラス中空体3表面に対して濡れ性良く馴染むために、がラス中空体3表面とエポキシ樹脂が均一に結合されるためである。
【0036】
使用したエポキシ樹脂は、2液硬化型のエポキシ樹脂である。主剤はビスフェノールA型液状エポキシ樹脂であり、硬化剤は、テトラヒドロメチル無水フタル酸である。主剤と硬化剤を最適混合比率で混合してエポキシ樹脂として用いた。
【0037】
特に2液硬化型のエポキシ樹脂にこだわるものではなく、目的が達せられれば1液硬化型のエポキシ樹脂を用いても差し支えない。
【0038】
図1に示すように、エポキシ樹脂7を含浸させるためにエポキシ樹脂7を吸引するための吸引口5を設けた吸引ブロック9を設置する。貫通孔2にガラス中空体3を満たした整合部材作成治具1をエポキシ樹脂7で満たした容器6内に設置する。
【0039】
貫通孔2の下側に設置したフィルター4は、貫通孔2内のガラス中空体3が漏れないためである。
【0040】
貫通孔2の上側に設けるフィルター4は、エポキシ樹脂7を吸引したとき、貫通孔2内のガラス中空体3をエポキシ樹脂7と一緒に吸引しないためである。
【0041】
ここでは、フィルター4にろ紙を用いた。なお、先に述べたフィルター4の目的を達成せいていれば材質にはこだわらない。
【0042】
そして、吸引ブロック9の吸引口8から真空ポンプ10により容器6内のエポキシ樹脂7を吸引する。整合部材作成治具1内のガラス中空体3で満たされた貫通孔2にエポキシ樹脂7を含浸させる。
【0043】
真空ポンプによる整合層作成治具1内を低圧雰囲気下にすることにより、ガラス中空体3間に存在した空隙の気泡が抜け去り代わってエポキシ樹脂7がその間を埋めていき、ガラス中空体3間の空隙に一様に含浸される。
【0044】
これにより、貫通孔2内のガラス中空体3同志の密着性が向上し、ガラス中空体3周囲にエポキシ樹脂が塗布される。なお、エポキシ樹脂7を吸引するときには、エポキシ樹脂7が硬化しない温度で、且つエポキシ樹脂7の粘度が低くなる温度で吸引する方が、樹脂の流動性が高くなるので貫通孔2内にエポキシ樹脂を含浸しやすくなる。
【0045】
この場合、エポキシ樹脂7のゲル化温度より低い約60℃中で吸引した。このようにガラス中空体3が充填された貫通孔2内にエポキシ樹脂7を含浸させた後、吸引用ブロック9を整合部材作成治具1から取り外す。
【0046】
そして、貫通孔2内に存在するガラス中空体3とエポキシ樹脂7の混合体である混合体8を含む整合部材作成治具1ごと恒温炉中に放置して、整合部材作成治具1内の混合体8を加熱硬化させた後、室温に冷却して作成して、整合部材12を得る。この整合部材12は必要厚みに切削加工されるものである。
【0047】
図1の整合層作成治具1の貫通孔2は1本しかないが、1本に限らず数本の貫通孔を有することは何の問題もない。
【0048】
また、整合層作成工程においては、図3に示すようにエポキシ樹脂吸引用ブロック14とエポキシ樹脂硬化用ブロック15に分けて整合部材12を作成しても差し支えない。
【0049】
貫通孔内でガラス中空体とエポキシ樹脂を混合して、エポキシ樹脂硬化用ブロック15ごと硬化後、貫通孔から整合部材を取りだす。
【0050】
エポキシ樹脂7のみで作成したエポキシ樹脂の線膨張係数を熱機械分析装置(TMA)により、線膨張係数を測定した。測定サンプルには長さ20mm、径25mm2の円柱サンプルを使用し、昇温速度は2.5(℃/min)とした。
【0051】
30℃〜130℃の線膨張係数は約6.6×10-5(1/℃)、150℃〜190℃の線膨張係数は約1.8×10-5(1/℃)であった。通常、エポキシ樹脂は、図4に示すように昇温させるとある一定の温度で熱膨張係数が変化する点が存在する(図4のA点)。このA点がガラス転移点温度(Tg)である。
【0052】
使用したエポキシ樹脂のガラス転移点温度は約140℃であった。このエポキシ樹脂を用いて、整合部材12を作成する。エポキシ樹脂の加熱硬化条件を変化させて、実施例1のように作成する整合部材の完成後の寸法変化を比較する。
【0053】
整合部材作成治具の貫通孔の穴直径は10.8mmである。加熱硬化条件を変化させて、整合部材作成後の外径を測定する。同じ加熱硬化条件で5回ずつ整合部材を作成し、外径の平均値を計算して作成後の外径寸法値とし、この値から収縮変化率を求めた。
【0054】
加熱硬化経過後の冷却は、整合部材作成治具1内に整合部材12を保持したまま恒温漕内で自然冷却させ、整合部材が室温に戻った状態で取り出した。
【0055】
表1に加熱硬化条件を変化させて作成した後の整合部材の外径寸法の収縮率を示す。なお表1の加熱硬化履歴は、段階的に連続して加熱温度履歴を加えている。
【0056】
【表1】
Figure 0004082165
【0057】
表1の各加熱硬化条件で、80℃×2hは、エポキシ樹脂をゲル化させるための必要温度および時間として統一した。このゲル化温度以降、エポキシ樹脂のガラス転移点温度を挟んでガラス転移点温度より低温側および高温側で温度を変化させて、エポキシ樹脂を硬化させた場合、表1の結果のようにゲル化温度からガラス転移点温度以上の高温領域の硬化温度にまで上げて加熱硬化させた比較例整合部材の外径寸法は約1%から1.6%小さくなって作成されてしまう。
【0058】
それに対して、熱変形温度以下の低温領域温度で一度実施してから、ガラス転移点温度以上の温度で加熱硬化させた本実施例の整合部材の外径寸法は、整合部材作成治具の貫通孔径の大きさと殆ど変化がなく作成することができた。
【0059】
このことは、比較例整合部材は、ゲル化温度からいきなりガラス転移点温度を超える高温領域で加熱硬化を実施するので、硬化高温本発明整合部材は、エポキシ樹脂の加熱硬化を一旦ガラス転移点温度以下の低温硬化工程を実施した後、ガラス転移点温度以上の高温硬化工程を実施するので、硬化時におけるエポキシ樹脂の構造が安定的に変化するので、整合部材の成型変形量を低減することができる。
【0060】
(実施例2)
図5は、実施例1のように作成した整合部材を固定する固定治具および切断工程の概略図である。
【0061】
図5(a)に示す12は整合部材である。整合部材12は中空球体と熱硬化性樹脂の混合体である。
【0062】
ここで中空球体は中空構造を有する中空ガラスである。中空ガラスは、10から100umの粒径を有し平均粒径は約60umである。整合部材12は実施例1に示すように作成した。
【0063】
この整合部材12は固定治具13を用いて固定する。固定治具13のスライド部14をスライドすることにより整合部材12を固定する。
【0064】
この整合部材12を固定した固定治具13を切断装置に設置して整合部材12を切断する。固定治具13は、整合部材12を固定する櫛歯状の支持部15を有する。固定治具13、スライド部14と支持部15の材質は、ステンレス材料を用いた。
【0065】
図5(b)に整合部材12を挟む櫛歯状の支持部15の側面図を示す。支持部15が整合部材12の外周形状に沿って固定するために、挟持することにより整合部材12側面を損傷させることはない。
【0066】
ここでは、整合部材12の断面に円形状を用いたが、固定治具13で固定できる形状であればその形状は問わないことはもちろんである。
【0067】
固定治具13の支持部15間に切断装置の歯が移動することにより整合部材12を切断する。この支持部15の櫛歯の厚みを調整することにより整合部材12を切断装置で切断してできる整合層の厚みを制御する。また、固定治具13はこの支持部15を有することにより整合部材12を切断装置で切断後も切断した整合層が飛び散らないように固定することができる。
【0068】
これにより切断した整合層を傷つけることなく固定治具内で保持することができる。
【0069】
図5(c)に切断装置による整合部材の切断工程を示す。固定治具13に固定された整合部材12は、切断装置の回転歯16により所定の厚み、すなわち圧電体の共振周波数の1/4波長に相当する厚みに切断されるとともに整合部材12の切断表面を研磨する。
【0070】
ここでの切断装置の回転歯16(ブレード)の少なくとも整合部材12の切断厚みより大きい最外周面の両面には、ダイヤモンド粒を固着した歯を使用した。
【0071】
この回転歯16にダイヤモンド粒を固着したのは、この仕様の回転歯16がシリコンウエハーを切り出すことも可能な高硬度を有しているからである。
【0072】
整合部材12の硬度よりも低い硬度の回転歯で整合部材12を切断すると、整合部材12の断面が傾きを持って切断されてしまうため所定の厚みを有する整合層を取り出すことができない。
【0073】
整合部材12より高硬度を有する材料であれば、ダイヤモンド粒に限るものではない。また、この回転歯16の両面にダイヤモンド粒を固着しているため回転歯両面の切断速度が一定であるので、回転歯16が曲がって整合部材12を切断することはない。
【0074】
また、整合部材12を切断時に純水を流水として少なくとも切断表面を覆うように研磨水を回転歯16に放出する。これにより、切断中の整合部材12表面を洗浄するために、整合部材の切断表面に付着する切断時の残留物を除去することができる。
【0075】
これにより、整合部材の接着表面に均一に接着層を形成することができる。なお、本実施例では、切断装置に会社名ディスコのダイシング装置である品番DAD321を用い、回転歯(ブレード)には切断円周部にはダイヤモンド粒が接着されている回転歯を用いた。
【0076】
本実施例で所定の厚みに制御して作成した整合層表面状態と、従来の研磨により同様の厚みに制御した整合層表面状態をそれぞれ電子顕微鏡写真で比較した。
【0077】
従来方法で作成した整合層表面は、凹型の中空ガラス表面に研磨残留物が付着した状態で出来上がっている。それに対し、本実施例で作成した整合層表面の方は、整合部材から発生する切断持の残留物がエポキシ樹脂表面および表面中空ガラス内にも付着せず、きれいに除去されていることが判明した。
【0078】
このことから、本発明で切断した整合層表面は、整合部材の切断時に発生する整合部材の構成材料に起因する残留物が付着することがない。
【0079】
そのため、この整合層表面に接着剤を塗布あるいは印刷により、超音波振動子の構成材料表面均一に接着することができ整合層の接着強度を向上させることができる。
【0080】
切断および洗浄工程において、使用した本実施例の整合部材はエポキシ樹脂をガラス転移点を挟んで、ガラス転移点温度より低温側の低温硬化工程とガラス転移点温度より高温側の高温加熱工程を経て連続加熱硬化して作成している。
【0081】
また、整合部材は、ガラス転移点温度より低い温度領域で低温硬化工程を実施した後、切断および洗浄工程を実施して所定の厚みに作成した整合部材を作成する。
【0082】
この整合部材をガラス転移点温度より高温領域側である高温硬化工程を実施しても差し支えない。
【0083】
これは、一度低温硬化工程により整合部材の形状を保持されているからであり、この後切断および洗浄工程後、整合部材を高温硬化工程に実施しても形状変形を起こすことはない。
【0084】
また、切断および洗浄工程を実施した整合部材を高温硬化させるので、洗浄工程時に付着した洗浄水の乾燥と高温硬化工程を一度に実施できるので効率的である。
【0085】
(実施例3)
図6は、本発明の実施例3における超音波センサの断面図である。
【0086】
17は超音波センサ、18はケース、19はケースの天部、12は天部に固定された本発明の製造方法で作成された整合部材である。
【0087】
20はケース18の天部19の内壁面に配置された圧電体であり、21はケース18を固定するための支持部である。22は導電体、23は支持部21に固定された端子板、24a、24bは端子板23に固定された端子、25は端子24aと端子24bを絶縁するための絶縁部である。
【0088】
26は圧電体20に設けられた溝である。端子24a、24bから導電体25を介して、圧電体20に電圧が加わると、圧電体20は圧電現象により振動する。図6の圧電体は、約500KHzで振動し、その振動はケース18に伝わり、整合部材12に伝わる。整合部材12の振動が気体に音波として伝搬する。
【0089】
従来による製造方法で作成した整合層は、密度が不均一でばらつきが大きいため、個々のセンサとしての特性を一定にすることが困難であった。
【0090】
本実施例では、個々の整合層密度が均一であるために、整合層の音速と密度の積で表すことのできる音響インピーダンスが安定し、圧電体からの振動は整合部材を介して均一、安定的に空間中に超音波を発振させることができる。
【0091】
以上述べた各実施例の技術的意義を総括すれば以下次の通りである。
【0092】
(1)中空球体と結合材料の混合物の結合材料の硬化工程に起因する整合部材の成型収縮等による成型不良がなくなり、整合部材のどの部分でも密度均一な整合部材が作成できる。
【0093】
(2)硬化条件として結合材料の温度変化による特性変曲点、ガラス転移点による線膨張係数を境界にして低温硬化と高温硬化を経て樹脂を硬化させるので、樹脂の熱膨張、熱収縮に起因する成型不良がなくなり、成型寸法が安定する。
【0094】
(3)中空球体と結合材料の混合物を連続して低温硬化工程から高温硬化工程へ加熱硬化した整合部材を切断および洗浄の加工工程を実施するので、結合材料が急激な温度上昇なしに徐々に硬化が進行するので整合部材内部で歪みがなくなり、亀裂や成型不良等の形状変形をなくすことができる。さらに、切断と同時に加工した整合部材表面は、切断残留物が付着していないので超音波センサ作成時のケース天板に接着固定する際、均一で安定的に接着させることができる。
【0095】
(4)中空球体と結合材料の混合物に低温硬化工程を実施した後、切断および洗浄工程を経て整合部材を加工後、この整合部材を高温硬化工程させるので、洗浄工程後の整合部材表面に付着した洗浄水の乾燥と、高温硬化工程を一度に同時に実施することができるので効率的である。
【0096】
(5)中空球体はガラス組成成分からなるので、中空状態を維持したまま中空球体外壁表面に表面改質材の被覆層を形成することができる。
【0097】
(6)結合材料は熱硬化性樹脂化合物であるので、中空球体表面とのぬれ性がよくなり表面改質材の加水分解による中空球体表面と化学結合し、中空球体と結合材料の親和性を増すことができる。
【0098】
(7)天部と側壁部を有する筒状ケースと、前記天部の内壁面に固定された圧電体と、前記天部外壁面に接着層を介して設置された本実施例製造方法で製造した整合部材とで超音波センサを構成したことにより、ケースを介した圧電体からの振動を整合層が効率よく気体中に音波として伝搬させることができ、個々のセンサ間の特性ばらつきがない超音波センサを提供することができる。
【0099】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、樹脂の硬化条件に起因する整合層の成型不良をなくし、均一な密度が得られるもので、例えば、これを超音波センサに使用すれば、優れた特性とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における整合部材の製造工程を示す概略図
【図2】 加振装置に設置した整合部材作成治具を示す概略図
【図3】 吸引用ブロックと硬化用ブロックを示す構造図
【図4】 熱機械分析装置によるエポキシ樹脂の線膨張係数測定結果を示す図
【図5】 (a)本発明の実施例2における整合部材の固定治具を示す概略図
(b)本発明の実施例2における固定治具の支持部による整合部固定を示す概略図
(C)本発明の実施例2における整合部材の切断工程を示す概略図
【図6】 本発明整合層を用いた超音波センサの断面図
【図7】 (a)従来の整合層と筒状部材からなる負荷ケースの一体成型を示す断面図
(b)負荷ケースのカット後を示す断面図
(c)従来の整合層と圧電素子を接着した状態を示す断面図
【符号の説明】
1 整合部材作成治具
3 ガラス中空体
9 エポキシ樹脂吸引用ブロック
11 加振装置
12 整合部材
16 超音波センサ

Claims (9)

  1. 中空球体と前記中空球体を包囲する結合材料からなる混合物を前記結合材料の熱変形温度より低い温度領域で一旦加熱硬化し、次いで、前記熱変形温度より高い温度領域で加熱硬化させて整合部材を製造するようにした整合部材の製造方法。
  2. 熱変形温度は、結合材料のガラス転移温度である請求項1記載の整合部材の製造方法。
  3. 整合部材作成治具内に中空球体と結合材料の混合物を充填した後、前記整合部材作成治具と共に混合物を加熱するようにした請求項1記載の整合部材の製造方法。
  4. 加熱硬化させた整合部材を固定治具で固定した状態で切断装置を介して切断と同時に、残留物が整合部材の表面上に付着しないように洗浄工程を実施するようにした請求項1〜3いずれか1項記載の整合部材の製造方法。
  5. 中空球体と結合材料の混合物を整合部材作成治具内に充填した後、前記整合部材作成治具と共に前記結合材料の熱変形温度より低い温度領域で一旦加熱硬化し、次いで、前記整合部材作成治具から前記混合物を取り出し、加工した後に、前記結合材料の熱変形温度より高い温度領域で加熱硬化させて整合部材を製造するようにした請求項1記載の整合部材の製造方法。
  6. 加工と同時に前記混合物の残留物が前記混合物表面上に付着しない洗浄工程を実施してなる請求項5記載の整合部材の製造方法。
  7. 中空球体はガラス組成を含む請求項1記載の整合部材の製造方法。
  8. 結合材料は熱硬化性樹脂化合物である請求項1記載の整合部材の製造方法。
  9. 天部と側壁部を有する筒状ケースと、前記天部の内壁面に固定された圧電体と、前記天部外壁面に接着層を介して設置された請求項1〜8いずれか1項記載の製造方法で製造した整合部材とからなる超音波センサ。
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