JP4082029B2 - プレート式熱交換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本願発明は、プレート式熱交換器に関し、さらに詳しくは一つの流体と三つ以上の流体とが熱交換可能なプレート式熱交換器に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
一般に、プレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートを、該伝熱プレート間に隣り合う流路を形成するように積層し、これらの流路をそれぞれ流通する流体間で熱交換を行うように構成されている。
【0004】
例えば、図9に示すように、複数の伝熱プレート1′,1′・・を、これらの伝熱プレート1′,1′・・間に隣り合う流路2′,2′・・を形成するように積層してなり、互いに隣接する流路2′,2′・・を流れる一つの流体X′と二つの異なる流体Y1′,Y2′とを熱交換させ得るように構成されたプレート式熱交換器がある。符号3′は流体X′の入口、4′は流体X′の出口、5′は流体Y1′の入口、6′は流体Y1′の出口、7′は流体Y2′の入口、8′は流体Y2′の出口である。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一つの流体と三つ以上の流体とを熱交換させる必要がある場合があるが、その場合、上記した従来構成のプレート式熱交換器を使用しようとすると、図10に示すように、二つのプレート式熱交換器A′,A′を配管20′等で連結しなければならず、構造的にコンパク化が難しいという難点があった。図10において、符号3′は流体X′の入口、4′は流体X′の出口、5′は流体Y1′の入口、6′は流体Y1′の出口、7′は流体Y2′の入口、8′は流体Y2′の出口、9′は流体Y3′の入口、10′は流体Y3′の出口、11′は流体Y4′の入口、12′は流体Y4の出口である。
【0006】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、一つの流体と三つ以上の流体とをコンパクな構成の一つの熱交換器で熱交換させることができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明では、上記課題を解決するための手段として、複数の伝熱プレート1,1・・を、これらの伝熱プレート1,1・・間に流路2,2・・を形成するように積層してなり、互いに隣接する流路2,2・・に、異なる流体が流れるように構成したプレート式熱交換器において、一つの流体Xと三つ以上の異なる流体Y1,Y2・・とが熱交換する複数の熱交換部A1,A2・・を有するように構成し且つ該熱交換部A 1 ,A 2 ・・のうち中側に位置するものに、外側に位置する熱交換部を貫通する流体導入路7および流体導出路8を介して流体が導入および導出されるように構成している。
【0008】
このように構成したことにより、複数の熱交換部A1,A2・・において一つの流体Xと三つ以上の異なる流体Y1,Y2・・とを熱交換させることができることとなり、多流体用のプレート式熱交換器をコンパクトに構成できる。しかも、熱交換部A 1 ,A 2 ・・のうち中側に位置するものへの流体導入および流体導出を流体導入路7および流体導出路8を介して容易に行うことができる。
【0009】
請求項2の発明におけるように、請求項1記載のプレート式熱交換器において、前記熱交換部A1,A2・・の間に、断熱層11を介在させた場合、熱交換部A1,A2・・間の熱の授受(例えば、高温側の熱交換部から低温側の熱交換部への熱移動)が断熱層11の介在により防止されることとなり、各熱交換部A1,A2・・での熱交換性能を向上させることができる。
【0010】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器において、前記流体導入路7および流体導出路8を、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・に挿入される配管14により構成した場合、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・に配管14を挿入するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【0011】
請求項4の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器において、前記流体導入路7および流体導出路8を、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・間に架設されて一連の通路となる複数のスペーサ15,15・・により構成した場合、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴15,15・・間にスペーサ15,15・・を架設するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【0012】
請求項5の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器において、前記流体導入路7および流体導出路8を、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴15,15・・の口縁から一体に突設され且つ互いに接合されて一連の通路となる複数のリブ16,16・・により構成した場合、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴16,16・・の口縁から一体に突設されたリブ16,16・・を互いに接合するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【発明の実施の形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の好適な実施の形態について詳述する。
【0014】
このプレート式熱交換器は、図1および図2に示すように、複数の平板形状の伝熱プレート1,1・・を、これらの伝熱プレート1,1・・間に隣り合う流路2,2・・を形成するように積層してなり、互いに隣接する流路2,2・・には、異なる流体(例えば、一つの流体Xと該流体Xと熱交換する四つの異なる流体Y1〜Y4)が流れるように構成されており、一つの流体(即ち、メイン流体)Xと四つ異なる流体(即ち、第1ないし第4熱交換流体)Y1〜Y4とが熱交換する第1ないし第4の熱交換部A1〜A4を有するように構成されている。
【0015】
上記構成において、メイン流体Xは、実戦矢印で示すように、前記第1の熱交換部A1におけるメイン流体入口3から導入され、第2の熱交換部A2、第3の熱交換部A3および第4の熱交換部A4を通過して第4の熱交換部A4におけるメイン流体出口4から導出される一方、第1熱交換流体Y1は、3点鎖線矢印に示すように、前記第1の熱交換部A1における第1熱交換流体入口5から導入され、第1の熱交換部A1において前記メイン流体Xと熱交換した後、第1の熱交換部A1における第1熱交換流体出口6から導出され、第2熱交換流体Y2は、2点鎖線矢印で示すように、後述する流体導入路7を介して第2の熱交換部A2へ導入され、第2の熱交換部A2において前記メイン流体Xと熱交換した後、後述する流体導出路8を介して導出され、第4熱交換流体Y4は、点線矢印で示すように、前記第4の熱交換部A4における第4熱交換流体入口9から導入され、第4の熱交換部A4において前記メイン流体Xと熱交換した後、第4の熱交換部A4における第4熱交換流体出口10から導出され、第3熱交換流体Y3は、1点鎖線矢印で示すように、後述する流体導入路7を介して第3の熱交換部A3へ導入され、第3の熱交換部A3において前記メイン流体Xと熱交換した後、後述する流体導出路8を介して導出されることとなっている。なお、第1ないし第4の熱交換部A1〜A4においては、メイン流体Xと第1ないし第4熱交換流体Y1〜Y4とはそれぞれ対向流とされている。
【0016】
そして、前記第1ないし第4熱交換部A1〜A4の間には、断熱層11,11,11が介在せしめられている。該各断熱層11は、選ばれた伝熱プレート1,1間に形成される空気あるいは真空の層とされている。このようにすると、隣り合う熱交換部A1〜A4間の熱の授受(例えば、高温側の熱交換部から低温側の熱交換部への熱移動)が断熱層11の介在により防止されることとなり、各熱交換部A1〜A4での熱交換性能を向上させることができる。
【0017】
ところで、前記伝熱プレート1,1・・における流体入口および流体出口となる部位Pあるいはヘッダ部Hには、複数(例えば、2個)の穴12,12がそれぞれ形成されている。また、前記伝熱プレート1,1・・のうち選ばれたもの(例えば、第1ないし第4の熱交換部A1〜A4における第1番目および最後の伝熱プレート)におけるヘッダ部Hには穴が形成されていない。
【0018】
さらに、本実施の形態においては、第2および第3の熱交換部A2,A3を構成する伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hには、1個の穴12のみが形成されている。なお、図3に示すように、第2および第3の熱交換部A2,A3を構成する伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hにも二つの穴12,12を形成するようにしてもよく、その場合、伝熱プレート1の種類を減らすことができる。符号13は断熱層用プレートであり、該断熱層用プレート13の一方側は流体が流通しない空気あるいは真空の層とされている。
【0019】
前記流体導入路7および流体導出路8は、例えば図4に示すように、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12に挿入される配管14により構成されている。このようにすると、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・に配管14を挿入するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【0020】
ところで、前記流体導入路7および流体導出路8は、図5および図6に示すように、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・間に架設されて一連の通路となる複数のスペーサ15,15・・により構成するようにしてもよい。このようにすると、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・間にスペーサ15,15・・を架設するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【0021】
また、前記流体導入路7および流体導出路8は、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・の口縁から一体に突設され且つ互いに接合されて一連の通路となる複数のリブ16,16・・により構成するようにしてもよい。このようにすると、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・の口縁から一体に突設されたリブ16,16・・を互いに接合するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【0022】
上記のように構成されたプレート式熱交換器の場合、伝熱プレート1,1・・における流体入口および流体出口となる部位Pあるいはヘッダ部Hに形成された複数の穴12,12・・を選択的に使用することにより、四つ以上の異なる流体間での熱交換が可能となる。つまり、一つの流体Xと四つの異なる流体Y1〜Y4とをコンパクな構成の一つの熱交換器で熱交換させることができるのである。
【0023】
しかも、伝熱プレート1,1・・のうち選ばれたものにおけるヘッダ部Hには穴12を形成せず、当該伝熱プレート1によって区画された複数の熱交換部A1〜A4を有するように構成することにより、選ばれた伝熱プレート1によって区画された複数の熱交換部A1〜A4において一つの流体Xと四つの異なる流体Y1〜Y4間での熱交換を行うことができることとなり、多流体用のプレート式熱交換器をコンパクトに構成できる。
【0024】
なお、本実施の形態においては、伝熱プレート1の圧力面をフラット面としているが、伝熱プレート圧力面に波形形状等を形成してもよい。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、複数の伝熱プレート1,1・・を、これらの伝熱プレート1,1・・間に流路2,2・・を形成するように積層してなり、互いに隣接する流路2,2・・に、異なる流体が流れるように構成したプレート式熱交換器において、一つの流体Xと三つ以上の異なる流体Y1,Y2・・とが熱交換する複数の熱交換部A1,A2・・を有するように構成して、複数の熱交換部A1,A2・・において一つの流体Xと三つ以上の異なる流体Y1,Y2・・とを熱交換させることができるようにしたので、多流体用のプレート式熱交換器をコンパクトに構成できるという効果がある。しかも、熱交換部A 1 ,A 2 ・・のうち中側に位置するものには、外側に位置する熱交換部を貫通する流体導入路7および流体導出路8を介して流体が導入および導出されるように構成したので、熱交換部A 1 ,A 2 ・・のうち中側に位置するものへの流体導入および流体導出を流体導入路7および流体導出路8を介して容易に行うことができるという効果もある。
【0026】
請求項2の発明におけるように、請求項1記載のプレート式熱交換器において、前記熱交換部A1,A2・・の間に、断熱層11を介在させた場合、熱交換部A1,A2・・間の熱の授受(例えば、高温側の熱交換部から低温側の熱交換部への熱移動)が断熱層11の介在により防止されることとなり、各熱交換部A1,A2・・での熱交換性能を向上させることができる。
【0027】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器において、前記流体導入路7および流体導出路8を、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・に挿入される配管14により構成した場合、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・に配管14を挿入するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【0028】
請求項4の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器において、前記流体導入路7および流体導出路8を、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴12,12・・間に架設されて一連の通路となる複数のスペーサ15,15・・により構成した場合、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴15,15・・間にスペーサ15,15・・を架設するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【0029】
請求項5の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器において、前記流体導入路7および流体導出路8を、前記伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴15,15・・の口縁から一体に突設され且つ互いに接合されて一連の通路となる複数のリブ16,16・・により構成した場合、伝熱プレート1,1・・におけるヘッダ部Hの穴16,16・・の口縁から一体に突設されたリブ16,16・・を互いに接合するだけで流体導入路7および流体導出路8を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (イ)は本願発明の実施の形態にかかるプレート式熱交換器の断面図、(ロ)および(ハ)は同左右側面図である。
【図2】 本願発明の実施の形態にかかるプレート式熱交換器の分解斜視図である。
【図3】 本願発明の実施の形態にかかるプレート式熱交換器の変形例を示す部分分解斜視図である。
【図4】 本願発明の実施の形態にかかるプレート式熱交換器における流体導入路および流体導出路の一つの実施例を示す断面図である。
【図5】 本願発明の実施の形態にかかるプレート式熱交換器における流体導入路および流体導出路の実施例を示す断面図である。
【図6】 本願発明の実施の形態にかかるプレート式熱交換器における流体導入路および流体導出路の他の実施例において用いられるスペーサの拡大斜視図である。
【図7】 本願発明の実施の形態にかかるプレート式熱交換器における流体導入路および流体導出路の他のもう一つの実施例を示す断面図である。
【図8】 本願発明の実施の形態にかかるプレート式熱交換器における流体導入路および流体導出路の他のもう一つの実施例において用いられるリブを有する伝熱プレートの斜視図である。
【図9】 (イ)は従来例のプレート式熱交換器の断面図、(ロ)および(ハ)は同左右側面図である。
【図10】 (イ)は他の従来例のプレート式熱交換器の断面図、(ロ)および(ハ)は同左右側面図である。
【符号の説明】
1は伝熱プレート、2は流路、7は流体導入路、8は流体導出路、12は穴、14は配管、15はスペーサ、16はリブ、A1,A2・・は熱交換部、Pは流体入口および流体出口となる部位、Hはヘッダ部、Xはメイン流体、Y1,Y2・・は熱交換流体。
Claims (5)
- 複数の伝熱プレート(1),(1)・・を、これらの伝熱プレート(1),(1)・・間に流路(2),(2)・・を形成するように積層してなり、互いに隣接する流路(2),(2)・・には、異なる流体が流れるように構成したプレート式熱交換器であって、一つの流体(X)と三つ以上の異なる流体(Y1),(Y2)・・とが熱交換する複数の熱交換部(A1),(A2)・・を有するように構成し且つ該熱交換部(A 1 ),(A 2 )・・のうち中側に位置するものには、外側に位置する熱交換部を貫通する流体導入路(7)および流体導出路(8)を介して流体が導入および導出されるように構成したことを特徴とするプレート式熱交換器。
- 前記熱交換部(A1),(A2)・・間には、断熱層(11)を介在させたことを特徴とする前記請求項1記載のプレート式熱交換器。
- 前記流体導入路(7)および流体導出路(8)を、前記伝熱プレート(1),(1)・・におけるヘッダ部(H)の穴(12),(12)・・に挿入される配管(14)により構成したことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器。
- 前記流体導入路(7)および流体導出路(8)を、前記伝熱プレート(1),(1)・・におけるヘッダ部(H)の穴(12),(12)・・間に架設されて一連の通路となる複数のスペーサ(15),(15)・・により構成したことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器。
- 前記流体導入路(7)および流体導出路(8)を、前記伝熱プレート(1),(1)・・におけるヘッダ部(H)の穴(12),(12)・・の口縁から一体に突設され且つ互いに接合されて一連の通路となる複数のリブ(16),(16)・・により構成したことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載のプレート式熱交換器。
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