JP4081734B2 - 高周波回路部品 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、サーキュレータ、アイソレータなどの高周波回路部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、サーキュレータ、アイソレータなどの非可逆回路素子は、互いに絶縁状態で、かつ交差するように配置される中心導体、その中心導体に密接して配置されるマイクロ波用磁性体、そのマイクロ波用磁性体に直流磁界を印加する磁石とを主要構成部品としている。そして、これらは別々の部品として製造され、組み合わされて製造されている。
【0003】
従来のサーキュレータ、アイソレータに用いられている磁石は、マグネトプランバイト型六方晶系フェライト磁石であった。このマグネトプランバイト型六方晶系フェライト磁石は、混合し、仮焼した原料粉末と、有機バインダとを混合し、粉砕し、プレス成形しながら磁場を印加して配向し、焼成して得られていた。そして、その焼成温度は、1200〜1450℃と高温であった。
【0004】
この非可逆回路素子は、携帯電話などの移動体通信機器等に使用され、小型化、低価格化の要求が強い。そこで、上記のように各部品を別々に製造するのではなく、マイクロ波用磁性体、中心導体、及び磁石を一体焼成することが提案されている。例えば、特開平6−204723号公報、特開平7−312509号公報参照。この特開平7−312509号公報によれば、マイクロ波用磁性体としてCa−V−Fe系ガーネット、中心導体としてパラジウムまたは白金粉末と有機溶剤を混合したペースト、永久磁石としてBaO・6Fe2O3、又はSrO・6Fe2O3で表されるマグネトプランバイト型六方晶系のものを用い、1000〜1450℃で同時焼成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法では、高温(少なくとも1000℃以上)で焼成されるため、導体材料としては、その高温で焼成可能な材料に限られていた。この焼成可能な導体としてはパラジウム・白金などが主に使用される。しかし、このパラジウム・白金は、高価であるため高コストになり、比較的電気抵抗率が高いため、特に低電気抵抗率の導体材料が使用される高周波回路部品においては、その導体抵抗のため実用的な低損失部品が得られないという問題点があった。
【0006】
本発明は、中心導体材料として良導体であるAgまたはAgを主成分とした導電材料を用いて同時焼成を可能とし、低損失な高周波回路部品を得ること目的とする。
【0008】
また本発明は、互いに絶縁状態で、かつ交差状に配置された複数の中心導体と、該中心導体付近に位置するマイクロ波用磁性体と、該マイクロ波用磁性体に直流磁界を印加する永久磁石とが1000℃未満の温度で一体焼成された高周波回路部品であって、前記中心導体がAg又はAgを主体とする低電気抵抗材料、又は、前記中心導体が抵抗率ρ≦3×10 −6 Ω・cmの低電気抵抗材料であって、前記永久磁石は、(Sr 1−x―y Ba x Pb y )O・nFe 2 O 3 、ただし0≦x≦1.0、0≦y≦0.2、5.4≦n≦6.2を主成分とし、副成分としてBi 2 O 3 を3〜10wt%含有することを特徴とする高周波回路部品である。
【0009】
また本発明は、互いに絶縁状態で、かつ交差状に配置された複数の中心導体と、該中心導体付近に位置するマイクロ波用磁性体と、該マイクロ波用磁性体に直流磁界を印加する永久磁石とが一体焼成された高周波回路部品であって、前記中心導体がAg又はAgを主体とする低電気抵抗材料、又は、前記中心導体が抵抗率ρ≦3×10 −6 Ω・cmの低電気抵抗材料であって、前記永久磁石は、(Sr 1−x―y Ba x Pb y )O・nFe 2 O 3 、ただし0≦x≦1.0、0≦y≦0.2、5.4≦n≦6.2を主成分とし、副成分としてLiO 1/2 、及び、RO(RはBaO、SrO、CaOのうち少なくとも一種)を、5モル%以上80モル%以下含有し、前記副成分の内のLiO 1/2 が、2.5モル%以上30モル%以下である硼珪酸ガラス材料を5〜15wt%含有することを特徴とする高周波回路部品である。
【0012】
また本発明は、前記永久磁石は、(Sr1−x―yBaxPby)O・nFe2O3、ただし0≦x≦1.0、0≦y≦0.2、5.4≦n≦6.2を主成分とし、副成分としてBi2O3を3〜10wt%含有する高周波回路部品である。
【0013】
本発明では、低電気抵抗材料としては、Agを用いれば良く。このAgに対して、Pd、Pt、Auなどの貴金属を5%程度以下含有していてもAg単体に近い抵抗率ρ≦3×10−6Ω・cmの低電気抵抗材料を得る事が出来るためこのように調整された導電材料を用いても良い。また、低電気抵抗材料とは、抵抗率ρ≦3×10−6Ω・cmの導電材料であれば良い。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、Ag又はAgを主体とする低電気抵抗材料を用いることができるために、1000℃未満、好ましくは950℃以下、更に好ましくは900℃程度で焼成可能な低温焼成磁石組成物を得ることが必要である。このため、種々検討した結果、(Sr1−x―yBaxPby)O・nFe2O3、ただし0≦x≦1.0、0≦y≦0.2、5.4≦n≦6.2を主成分とする磁石組成物に、副成分としてBi2O3を3〜10wt%含有すること、又は副成分としてLiO1/2、及び、RO(RはBaO、SrO、CaOのうち少なくとも一種)を、5モル%以上80モル%以下含有する硼珪酸ガラス材料を5〜15wt%含有することによって、1000℃以下の温度で焼成可能である低温焼成磁石組成物を得ることができた。この材料から所望の焼成温度に適した材料を選択することにより、本発明の高周波回路部品を構成することが出来たものである。
【0015】
これにより、本発明は、互いに絶縁状態で、かつ交差状に配置された複数の中心導体と、該中心導体付近に位置するマイクロ波用磁性体と、該マイクロ波用磁性体に直流磁界を印加する永久磁石とが一体焼成された高周波回路部品であって、前記中心導体としてAg又はAgを主体とする低電気抵抗材料を用いることができ、又前記中心導体として抵抗率ρ≦3×10−6Ω・cmの低電気抵抗材料を用いることができ、低損失な高周波回路部品を得ることができたものである。
【0016】
また本発明は、互いに絶縁状態で、かつ交差状に配置された複数の中心導体と、該中心導体付近に位置するマイクロ波用磁性体と、該マイクロ波用磁性体に直流磁界を印加する永久磁石とを1000℃未満の温度で一体焼成することができたものである。
【0017】
また本発明の中心導体は、前記マイクロ波用磁性体中に埋設された状態で構成することができ、又、前記マイクロ波用磁性体層とは別の層に配置することもできる。
【0018】
また、本発明のマイクロ波用磁性体としては、例えば、特開昭51−18894号公報によれば、Bi2O3で置換したCa−V−In系が開示されている。また、特開昭51−53300号公報にBi2O3が焼結温度を低くする効果があることが記載されている。従って、特開昭51−18894号公報では、1050〜1200℃で焼成を行っているが、Bi2O3の置換量を調整することにより、1000℃未満の温度で焼成可能であり、Ag又はAgを主体とする低電気抵抗材料との一体焼成が可能な材料を得ることができる。
【0019】
実施例1
本発明に係る低温焼結磁石材料の実施例について説明する。出発原料として、純度99.5%以上のSrCO3、BaCO3、PbO、Fe2O3、Bi2O3、H3BO3、SiO2、CaCO3、Li2CO3の粉末を使用した。まず、主成分の磁石材料仮焼き粉末は、所定の組成になるように計量した出発原料を、ボールミルに純水と共に投入して混合し、取出した混合スラリーは100℃から120℃の温度で蒸発乾燥した後、アルミナケース中で1000℃から1250℃の温度で仮焼きを行い、得られた仮焼物をライカイ機で粗粉砕して得た。また、副成分として添加するガラス材料は、所定の組成になるように計量した出発原料を、ボールミルに純水と共に投入して混合し、取出した混合スラリーは100℃から120℃の温度で蒸発乾燥した後、アルミナケース中で700℃から850℃の温度で仮焼きを行い、この仮焼物を再度ボールミルで粉砕してガラス原料粉末を得た。
【0020】
このようにして得られた磁石材料の仮焼き粉末と、副成分として添加する添加物原料粉末、またはガラス原料粉末を、所定量計量し、φ2からφ5の小径のボールを用いたボールミルで、平均粒径が1μm以下となるまで微粉砕を行い低温焼結磁石材料の原料粉末を得た。この原料粉末をφ6の円柱金型中で2ton/cm2の圧力で1軸加圧成形した後、電気炉にて、850℃から1250℃の各温度で4時間持続して焼成した。焼成した試料は、寸法重量法で密度を測定し、組成の異なる各試料で得られる最高の密度に対し、その密度の95%以上の密度が得られた温度を焼結温度とした。但し、本発明の範囲外の比較例で1000℃以下の温度で焼結しなかった試料についてはこの限りではない。また、その焼結温度で焼成した円柱状試料の両面に銀ペーストを塗布し比抵抗を測定した。また、同試料を円盤状に切断してM−Hカーブを測定し、BrとHcの積を求めて磁石の性能の評価を行った。
【0021】
その結果を表1に実施例として示す。表1において*印を付けた試料は、本発明の範囲外の実施例である。表1において副成分の組成の欄にA〜Lの記号があるが、これは表2の添加物A〜Lに対応し、添加物の成分を表2に示している。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
表1より明らかなように、本発明に係る低温焼結磁石材料では、Bi2O3を3wt%以上添加含有する事により、1000℃以下の低温でも緻密化し、特に5wt%以上添加する事により900℃でも焼結可能となった。しかしながら、本発明の範囲外の組成実施例である試料No.15、11、14でBi2O3添加量が3wt%以下となると1000℃以下で焼結する事が困難となり、15wt%以上となると磁石の性能を示すBr、iHc値が低下し、磁石の性能が低下し有用な磁石材料とはならない。
【0025】
主成分である磁石材料(Sr1−x―yBaxPby)O・nFe2O3、ただし0≦x≦1.0、0≦y<0.2、5.4≦n≦6.2 は、六方晶系ストロンチウムフェライトに限らず、SrOの一部またはすべてをBaO、又は、一部をPbOで置換しても同じように低温焼結の磁石材料を得る事が出来る。しかしながら、本発明の範囲外の組成実施例である試料No.10では、SrOをモル比で20%以上PbOで置換すると磁石の性能を示すBr、iHc値が低下し、磁石の性能が低下し有用な磁石材料とはならない。さらに、本発明の範囲外の組成実施例である試料No.1、5では、主成分に占めるFe2O3の含有量nは、5.4≦n≦6.2の範囲外のため、磁石の性能を示すBr、iHc値が低下し、磁石の性能が低下し有用な磁石材料とはならない。
【0026】
さらに、本発明に係る低温焼結磁石材料は、50MΩcm以上の高抵抗を得る事が可能のため、高周波信号線路に隣接して構成されることになる一体積層型の電子部品に適用した場合に、低損失の電子部品を得る事が可能となる材料である。
【0027】
また表1より明らかなように、本発明に係る低温焼結磁石材料では、副成分がLiO1/2、及び、RO(RはBaO、SrO、CaOのうち少なくとも一種)を、5モル%以上80モル%以下含有し、前記副成分の内のLiO 1/2 が、2.5モル%以上30モル%以下である硼珪酸ガラス材料を5〜15wt%含有する事により、1000℃以下の低温でも緻密化し、焼結可能となった。しかしながら、本発明の範囲外の組成実施例である試料No.18、23、24、25、26、27では、共に1000℃の焼結温度では緻密な焼結体を得る事は出来なかった。
【0028】
さらに、本発明の副成分であるガラス材料の添加量が3〜15wt%の範囲から外れる本発明の範囲外の組成実施例である試料No.28では、1000℃の焼結温度では緻密な焼結体を得る事は出来ず、同じく試料No.31では、磁石の性能を示すBr、iHc値が低下し、磁石の性能が低下し有用な磁石材料とはならない。
【0029】
さらに、本発明の低温焼結磁石材料は、100MΩcm以上の高抵抗を得る事が可能のため、高周波信号線路に隣接して構成されることになる一体積層型の電子部品に適用した場合に、低損失の電子部品を得る事が可能となる材料である。
【0030】
焼結体の結晶の方向をそろえ配向させる事によりフェライト磁石の性能は向上するが、本発明の磁石材料においても、従来のフェライト磁石材料と同じように配向させる事により高性能化を計る事が出来る。
【0031】
実施例2
(Sr1−x―yBaxPby)O・nFe2O3、ただしx=0、y=0、n=5.7を主成分とし、副成分として、Bi2O3を5wt%含有する磁石材料粉末と有機バインダ及び有機溶剤などをボールミル中で混練して液状のスラリーを作成し、そのスラリーを用いドクターブレード法で厚さ100μm程度の磁石材料用のグリーンシートを作成した。この磁石用のグリーンシートは900℃程度で焼成可能なものである。
【0032】
次に出発原料として、純度99.5%以上のY2O3,Bi2O3,CaCO3,Fe2O3,In2O3,V2O5の粉末を(Y1.2Bi1.0Ca0.8)(Fe4.5In0.1V0.4)O12の組成となるように計量し、ボールミルに純粋とともに投入して混合し、取り出した混合スラリーは100℃〜120℃の温度で蒸発乾燥した後、アルミナケース中で700℃〜850℃の温度で仮焼きを行い、得られた仮焼物を再度ボールミルで粉砕し、取り出したスラリーは100℃〜120℃の温度で蒸発乾燥し平均粒径1μm以下のマイクロ波用磁性体材料粉末を得た。このマイクロ波用磁性体材料粉末と有機バインダと有機溶剤などをボールミル中で混練して液状のスラリーを作成し、そのスラリーを用いドクターブレード法で厚さ100μm程度のマイクロ波用磁性体材料用のグリーンシートを作成した。このマイクロ波用磁性体のグリーンシートは900℃程度で焼結可能なものを使用した。
【0033】
この2種類のグリーンシ−トを同時に積層した、一実施例の積層の構成を図1に示す。
前記マイクロ波用磁性体シ−ト122、123、124にスル−ホ−ルを形成しAgペーストを用いて中心導体131、132、133を印刷形成し、導体の印刷されていないシ−ト121と共に積層した。これにより、マイクロ波用磁性体シ−ト内部に互いに交叉する3つの中心導体131、132、133を構成した。このマイクロ波用磁性体のグリーンシートの積層体に更に磁石のグリーンシート111、112、113を積層し、圧着した。図1では、1素子分を示しているが、実際に製造する場合は、複数個分を形成可能なグリーンシートを用意し、そこへ複数個分の導体パターンを印刷し、複数個分の圧着体を得る。そして、その複数個分の圧着体を各素子のチップ形状に切断し、900℃で一体焼結させた。さらに表面に、Agおよびガラスフリットを含むぺ−ストを用いて外部電極を印刷・焼付けし、電極表面にめっきによりNi膜およびはんだ膜を形成し、高周波回路部品積層体を構成した。
【0034】
この高周波回路部品積層体を裏面から見た斜視図を図2に示す。
20は高周波回路部品積層体を示す。21、24は整合コンデンサおよび外部I/O端子と接続するための外部電極であり、21は積層体内部の中心導体131と接続されており、24は133と接続されている。23は整合コンデンサと接続するための外部電極であり積層体内部の中心導体132と接続されている。アイソレ−タを構成する場合はこの端子に抵抗を接続する。サ−キュレ−タを構成する場合はこの端子を外部I/O端子と接続する。22は外部ア−ス端子と接続するための外部電極であり積層体内部の中心導体131、132、133の一端と接続されている。
【0035】
この高周波回路部品積層体を用いて構成した集中定数型アイソレ−タの分解斜視図を図3に示す。高周波回路部品積層体20は上ヨ−ク311と下ヨ−ク316の中に収納され磁石の磁界がマイクロ波用磁性体の層に均一にかかるように配置されている。この上ヨーク311と下ヨーク316は、金属製のケースであり、磁気回路を構成するとともに、内部を保護している。
【0036】
この高周波回路部品積層体の外部電極24は整合コンデンサ312と外部I/O端子318に接続されている。外部電極21は整合コンデンサ314と外部I/O端子319に接続されている。外部電極23は整合コンデンサ313とチップ抵抗315に接続されている。外部電極22は下ヨ−ク316に接続され、さらに下ヨ−ク316はア−ス板320に接続され、外部ア−ス端子321に接続されている。整合コンデンサ312、313、314とチップ抵抗315の裏面はア−ス板320に接続され外部ア−ス電極321と接続されいる。本発明の磁石シ−トを用いた高周波回路部品積層体でアイソレ−タを構成することにより、従来よりも部品点数を削減でき、組立工数削減により、安価なアイソレ−タの提供が可能となった。
【0037】
さらに、本発明の磁石シ−トを用いることにより、ヨ−クを除くすべての部品を1チップに納めてアイソレ−タを構成することも可能である。実施例を以下に述べる。
上記実施例と同様の磁石シ−トとマイクロ波用磁性体シ−トの2種類を同時に積層した、シ−トの構成を図4に示す。
【0038】
マイクロ波用磁性体シ−ト423〜428にAgペーストを用いて内部導電体パターン431〜436を印刷形成し、導体の印刷されていないシ−ト421、422と共に積層した。これにより、マイクロ波用磁性体シ−ト内部に互いに交叉する3つの中心導体434、435、436を構成し、3組の整合容量用コンデンサを、431と433の間、432と433の間、435と433の間で構成した。このマイクロ波用磁性体のグリーンシートの積層体に更に磁石のグリーンシート411、412、413を積層し、圧着した。そして、チップ形状に切断し、900℃で一体焼結させた。さらに表面に、Agおよびガラスフリットを含むぺ−ストを用いて外部電極を印刷・焼付けし、RuOを主成分とする抵抗膜およびカバ−ガラス膜を印刷・焼付けした。電極表面にめっきによりNi膜およびはんだ膜を形成し、高周波回路部品積層体を構成した。
【0039】
この高周波回路部品積層体を裏面から見た斜視図を図5に示す。
50はこの高周波回路部品積層体を示す。51、53は外部I/O端子であり、51は積層体内部の内部電極431および中心導体436と接続されており、53は内部電極432、中心導体434と接続されている。52、54は外部ア−ス端子であり、52は積層体内部の中心導体434およびア−スパタ−ン433と接続されており、54は中心導体436、アースパターン433と接続されている。55は下ヨ−クと接続しア−スをとるための外部電極である。56は積層体内部の中心導体435とア−スパタ−ン433およびア−スにつながる外部電極55に接続されている。57は積層体内部の中心導体435と接続されており、積層体表面に形成した厚膜抵抗58に接続されている。これは、アイソレ−タに用いる場合の構成であるが、サ−キュレ−タに用いる場合は、厚膜抵抗58を付けないで外部電極57をI/O端子として使用する。
【0040】
この高周波回路部品積層体を用いて構成した集中定数型アイソレ−タの分解斜視図を図6に示す。高周波回路部品積層体50は上ヨ−ク61と下ヨ−ク62の中に収納され磁石の磁界がマイクロ波用磁性体に均一にかかるように配置されている。51は外部I/O端子であり、52は外部ア−ス端子である。本発明の磁石シ−トを用いた高周波回路部品積層体でアイソレ−タを構成することにより、ヨ−クを除く部品の全てを1チップに収めることが可能となり、従来よりも一層の小型化が可能となると共に、組立工数削減により、安価なアイソレ−タの提供が可能となった。
【0041】
本発明によれば、1000℃以下で焼成可能な磁石を得ることができる。これにより、製造コストの低減が可能であるとともに、Ag導体との同時焼成が可能となる。そして、中心導体とマイクロ波磁性体と永久磁石とを一体焼成する高周波部品において、低電気抵抗材料を用いることにより、低損失な高周波回路部品を得ることができる。しかも、積層一体化により製造コスト、部品コストを低減させることができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、Ag又はAgを主体とする低電気抵抗材料との同時焼成が可能となる。これにより、永久磁石と中心導体とマイクロ波磁性体との一体焼成する高周波部品において、低損失な高周波部品を得ることが可能となり、それら複合体を一体化した高周波回路部品の製造が可能となり、製造コスト、部品コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施例の高周波回路部品積層体のシ−ト構成図である。
【図2】 本発明に係る一実施例の高周波回路部品積層体を裏面から見た斜視図である。
【図3】 本発明に係る一実施例のアイソレ−タの分解斜視図である。
【図4】 本発明に係る別の実施例の高周波回路部品積層体のシ−ト構成図である。
【図5】 本発明に係る別の実施例の高周波回路部品積層体を裏面から見た斜視図である。
【図6】 本発明に係る別の実施例のアイソレ−タの分解斜視図である。
【符号の説明】
111、112、113、411、412、413 磁石グリ−ンシ−ト
121、122、123、124、421、422、423、424、425、426、427、428 マイクロ波用磁性体グリ−ンシ−ト
131、132、133、434、435、436 中心導体
431、432、433 内部電極
20、50 高周波回路部品積層体
21、22、23、24、55、56、57 外部電極
51、53 外部電極・I/O端子
52、54 外部電極・ア−ス端子
58 厚膜抵抗
311、61 上ヨ−ク
312、313、314 コンデンサ
315 チップ抵抗
316、62 下ヨ−ク
317 樹脂ケ−ス
318、319 I/O端子
320 ア−ス板
321 ア−ス端子
Claims (4)
- 互いに絶縁状態で、かつ交差状に配置された複数の中心導体と、該中心導体付近に位置するマイクロ波用磁性体と、該マイクロ波用磁性体に直流磁界を印加する永久磁石とが一体焼成された高周波回路部品であって、
前記中心導体がAg又はAgを主体とする低電気抵抗材料、又は、前記中心導体が抵抗率ρ≦3×10 −6 Ω・cmの低電気抵抗材料であって、前記永久磁石は、(Sr 1−x―y Ba x Pb y )O・nFe 2 O 3 、ただし0≦x≦1.0、0≦y≦0.2、5.4≦n≦6.2を主成分とし、副成分としてBi 2 O 3 を3〜10wt%含有することを特徴とする高周波回路部品。 - 互いに絶縁状態で、かつ交差状に配置された複数の中心導体と、該中心導体付近に位置するマイクロ波用磁性体と、該マイクロ波用磁性体に直流磁界を印加する永久磁石とが一体焼成された高周波回路部品であって、
前記中心導体がAg又はAgを主体とする低電気抵抗材料、又は、前記中心導体が抵抗率ρ≦3×10 −6 Ω・cmの低電気抵抗材料であって、
前記永久磁石は、(Sr 1−x―y Ba x Pb y )O・nFe 2 O 3 、ただし0≦x≦1.0、0≦y≦0.2、5.4≦n≦6.2を主成分とし、副成分としてLiO 1/2 、及び、RO(RはBaO、SrO、CaOのうち少なくとも一種)を、5モル%以上80モル%以下含有し、前記副成分の内のLiO 1/2 が、2.5モル%以上30モル%以下である硼珪酸ガラス材料を5〜15wt%含有することを特徴とする高周波回路部品。 - 前記中心導体は、前記マイクロ波用磁性体中に埋設された状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波回路部品。
- 前記高周波回路部品を磁性金属ケースに収納して、非可逆回路素子を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波回路部品。
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