JPH0922615A - 導体材料および積層セラミック部品 - Google Patents

導体材料および積層セラミック部品

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JPH0922615A
JPH0922615A JP7192448A JP19244895A JPH0922615A JP H0922615 A JPH0922615 A JP H0922615A JP 7192448 A JP7192448 A JP 7192448A JP 19244895 A JP19244895 A JP 19244895A JP H0922615 A JPH0922615 A JP H0922615A
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conductor
firing
weight
conductor material
dielectric
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JP7192448A
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Kunio Tanida
邦雄 谷田
Kazuaki Suzuki
和明 鈴木
Takahide Kurahashi
孝秀 倉橋
Toshiyuki Suzuki
利幸 鈴木
Makoto Furubayashi
眞 古林
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸化性雰囲気中で1300〜1550℃の範
囲内で焼成することが可能で、かつ高周波帯域で高いQ
値を得ることが可能な導体材料と、この導体材料を用い
た積層セラミック部品とを提供する。 【構成】 Pdを主体とし、Agおよび/またはCuを
含み、AgおよびCuの含有率がAg:0〜15重量
%、Cu:0〜20重量%、Ag+Cu:1〜20重量
%であり、固相線または融点よりも低い温度で焼成され
る導体材料。Pdの少なくとも一部がレジネートとして
含まれることが好ましい。非可逆回路素子等の積層セラ
ミック部品に適用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層セラミック部品と、
その製造に用いられる導体材料とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化にともない、1
種または2種以上の機能を内蔵した小型の積層セラミッ
ク部品が製造されている。この積層セラミック部品は、
通常、セラミック材料と導体材料とを印刷法やシート法
などにより積層し、次いで同時焼成することにより製造
され、セラミック層間に内部導体を有する構造である。
【0003】積層セラミック部品の焼成温度は、用いる
セラミック材料の種類によって決定される。そして、導
体材料はセラミック材料と同時に焼成するため、導体材
料には焼成温度で溶融しないこと、空気中等の酸化性雰
囲気中で焼成する場合には焼成時に酸化されないことが
要求される。導体材料として通常用いられる金属の融点
は、Agが960℃、Auが1063℃、Cuが108
3℃、Niが1453℃、Pdが1554℃、Ptが1
760℃、Moが2620℃、Wが3410℃である。
また、導体材料の選択に際しては、この他、抵抗率、材
料コスト、セラミック材料に対する反応性なども考慮さ
れる。
【0004】上記した金属導体材料のうち、AuやPt
は優れた特性をもつが、材料コストが非常に高くなるた
め、積層セラミック部品、特に民生用途のものにはほと
んど使用されていない。
【0005】積層セラミック部品の代表的な例である積
層型チップコンデンサでは、導体材料としてAg、C
u、Ni、Pd等が用いられている。チップコンデンサ
の誘電体材料は、一般にAgの融点よりも高い温度で焼
成されるため、チップコンデンサの内部電極にAgを単
体で利用する例は少ない。また、卑金属であるCuやN
iは、酸化性雰囲気中で焼成すると酸化されて導体とし
て使用できなくなるため、還元性または中性の雰囲気中
で焼成する必要がある。このため、組み合わせるセラミ
ック材料には還元性や中性の雰囲気中で焼成しても特性
が劣化しないことが要求され、選択範囲が狭くなってし
まう。また、卑金属を用いた場合には焼成雰囲気を厳密
に制御する必要があるため、製造が難しい。このため、
コストアップを招くという問題がある。また、Pdは、
融点および焼成雰囲気の点では特に問題はないが、焼成
の際に、350℃程度で酸化により膨張し、800℃程
度で還元により収縮して急激に焼結・緻密化し、しか
も、焼結性が不十分である。このため、焼成後のPd導
体の組織はポーラスであり緻密ではない。したがって、
バルクの状態に比べて抵抗率が高くなってしまうという
問題がある。
【0006】積層セラミック部品の他の代表例として
は、多層基板が挙げられる。多層基板の内部導体には、
一般にW、Mo、Ag、Cu等が用いられている。基板
材料としてAl23 を用いる場合には、Al23
焼成温度が1600℃程度と高いため、WやMoが用い
られている。WおよびMoは、酸化を避けるために還元
性や中性の雰囲気で焼成する必要があり、しかも抵抗率
が高いという問題がある。これに対し、Al23 やS
iO2 等の酸化物骨材にガラスなどを加えた低温焼成基
板材料は、1000℃程度の焼成で十分な緻密化が可能
であるため、導体材料としてAgやCuを用いることが
可能である。しかし、Agはマイグレーションやはんだ
くわれなどの問題が指摘されており、また、基板材料等
のセラミック材料にガラス等の添加を避けたい場合に
は、使用が不可能である。そして、Cuには上記した問
題がある。
【0007】上記のように、1種の金属を導体材料とし
て用いた場合、要求される特性すべてを満足する内部導
体を実現することは極めて困難である。特に、焼成温度
が1300℃以上のセラミック材料を用いる場合には、
導体材料の選択肢が少なくなってしまう。このため、2
種以上の金属を用いて内部導体を形成することが行なわ
れている。
【0008】例えば、Agよりも融点の高い貴金属、例
えばPtやPdなどをAgに添加して、Ag単体よりも
融点を上昇させ、また、Agの活量を低下させてAgの
マイグレーション等の反応を抑制したものが用いられ
る。なかでも、Agと全率固溶し、また、材料コストを
比較的低く抑えられるPdを添加したものは、周波数の
比較的低い用途ではAg単体よりもむしろ一般的に用い
られ、Ag−Pd導体と一般に呼ばれている。Ag−P
d導体は、マイグレーション等のAgの欠点をPd添加
により改善することを目的とするため、Agを主体とし
て少量のPdを添加するかたちをとる。そして、Pdの
混合率が増加するにしたがって直流抵抗率が増加するた
め、Pd含有率は、通常、15重量%以下とされる。こ
のため、融点の大きな上昇は望めず、焼成温度は100
0℃以下に限定されてしまう。
【0009】より高温で焼成するためには、Ag−Pd
合金の融点がPdの含有率に対して単調に増加するた
め、Pd含有率を高くする必要がある。Pd含有率が高
くなると直流抵抗率は上昇するが、この値は極大値をも
つ。Ag−Pd合金の直流抵抗率はPd含有率が20重
量%程度でPd単体の直流抵抗率と等しくなり、これ以
上の含有率であるとPd単体よりも直流抵抗率が高くな
る。このため、直流抵抗率の観点からは、Pd含有率の
高いPd−Ag合金は好ましくないと考えられている。
【0010】ところで、近年、無線通信の需要が飛躍的
に増大し、それにともない、通信機器には従来よりも周
波数の高い帯域、すなわち数百MHz から数GHz 帯、ある
いはさらに高い周波数帯域での動作が要求されるように
なってきている。そして、このような高周波帯域での通
信需要に加え、無線通信機の小型化、高性能化、低価格
化の要求が高まっているため、様々な集積技術を応用し
てハイブリッドマイクロ波集積回路(HMIC)のよう
な高周波用集積部品が製造されている。最近では回路の
集積化や小型化をさらに進めるために、上記したような
積層セラミック部品製造技術を高周波回路部品の製造に
応用することが行なわれ始めている。
【0011】しかし、上記のような高周波数の電流を流
す場合、従来の材料を用いて製造された積層セラミック
部品では、高いQ値を得ることが困難であった。このた
め、積層セラミック部品におけるメリット、すなわち高
集積化や小型化を、高周波用集積部品の製造に活かすこ
とが困難であった。積層セラミック部品が高周波帯域で
高いQ値を得ることができない最大の原因は、高周波用
積層型セラミック部品のQ値が内部導体材料のQ値によ
って支配され、従来の内部導体材料ではQ値がそれほど
大きくない、すなわち高周波抵抗が大きいためである。
上述したように、従来の積層セラミック部品の内部導体
材料は、主として直流抵抗率が考慮され、高周波抵抗に
ついて考慮した文献はほとんどみられない。
【0012】従来の積層セラミック部品製造技術のメリ
ットを活かし、かつ内部導体の高周波抵抗を減少させる
ことは、高周波用積層セラミック部品を製造する上で最
も重要な課題である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酸化
性雰囲気中で1300〜1550℃の範囲内で焼成する
ことが可能で、かつ高周波帯域で高いQ値を得ることが
可能な導体材料と、この導体材料を用いた積層セラミッ
ク部品とを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)のいずれかの構成により達成される。 (1)Pdを主体とし、Agおよび/またはCuを含
み、AgおよびCuの含有率がAg:0〜15重量%、
Cu:0〜20重量%、Ag+Cu:1〜20重量%で
あり、酸化性雰囲気中で1300〜1550℃の温度範
囲で、かつ固相線または融点よりも低い温度で焼成され
る導体材料。 (2)Pdの少なくとも一部がレジネートとして含まれ
る上記(1)の導体材料。 (3)絶縁性のセラミック層間に内部導体を有し、前記
内部導体が上記(1)の導体材料を焼成したものであ
り、前記セラミック層と前記内部導体とが同時に焼成さ
れたものである積層セラミック部品。 (4)前記セラミック層が磁性材料であり、前記積層セ
ラミック部品が非可逆回路素子である上記(3)の積層
セラミック部品。 (5)200MHz 以上の周波数帯域で使用される上記
(3)または(4)の積層セラミック部品。
【0015】
【作用および効果】前述したように、Pdは1300℃
以上の高温で焼成が可能であるが、焼成時の膨張・収縮
により緻密な導体が得られないという問題がある。一
方、PdにAgを添加すると、1300℃以上の高温で
焼成可能な添加量ではPd単体よりも直流抵抗率が高く
なってしまう。
【0016】しかし、本発明者らは、高周波抵抗(通
常、200MHz 程度以上、特に750MHz 〜3GHz 程度
での抵抗率)が直流抵抗と相関せず、Pdに上記範囲内
でAgおよび/またはCuを添加した導体材料を用いれ
ば、高周波帯域における導体のQ値がPd単体を用いた
場合よりも高くなる、すなわち高周波抵抗が低くなるこ
とを見いだした。
【0017】このため、本発明の導体材料を焼成した内
部導体を有する積層セラミック部品は、高周波回路部品
に好適である。
【0018】なお、特開平5−275271号公報に
は、積層セラミックコンデンサ製造においてグリーンシ
ートの焼成温度(約1300℃)に一致させるためにA
g−Pdペーストを用いる旨が開示されている。同公報
の実施例では、重量比でAg:Pd=30:70である
Pd被覆Ag粉末を用いており、また、比較例では、A
g粉末とPd粉末との混合物を用い、重量比でAg:P
d=20:80、30:70、40:60としている
が、この混合比は本発明を外れている。また、同公報に
は高周波抵抗や高周波でのQ値についての記載はなく、
高周波での使用についての記載もない。
【0019】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0020】本発明の導体材料は、Pdを主体とし、A
gおよび/またはCuを含み、AgおよびCuの含有率
がAg:0〜15重量%、Cu:0〜20重量%、Ag
+Cu:1〜20重量%であり、好ましくはAg:0〜
10重量%、Cu:0〜10重量%、Ag+Cu:1〜
10重量%である。AgとCuとの比率は任意である
が、Cuは焼成中に酸化されることがあり、酸化される
と高周波抵抗低減効果が低くなるかなくなってしまい、
場合によっては酸化銅がセラミックスと反応することに
よって積層セラミック部品の特性が劣化するなどの問題
が生じることから、導体材料中のAg/(Ag+Cu)
を重量比で好ましくは0.8以上とし、より好ましくは
導体材料をPdおよびAgだけから構成する。このよう
な比率でAgおよび/またはCuをPdと併用した導体
材料を焼成することにより、緻密な構造で高周波抵抗が
小さい導体が得られる。導体材料中のAg+Cuの含有
率が低すぎると高周波抵抗が大きくなってしまい、Ag
+Cuの含有率が高すぎると融点が低くなって1300
℃以上の温度で焼成した場合に溶融してしまうので、所
望の形状の導体を安定して得ることができず、安定した
特性が得られなくなる。また、セラミックスとの相互作
用によりセラミックス層にクラック等が生じやすくなっ
て歩留りが低くなってしまう。導体材料中のAg含有率
が高すぎると、やはり融点が低くなりすぎる。なお、A
g+Cuの20重量%以下をAuおよびPtの少なくと
も1種で置換してもよい。
【0021】導体材料中のPdの存在形態は特に限定さ
れず、例えば、金属単体粒子、PdとAgおよび/また
はCuとの合金粒子、PdとAgおよび/またはCuと
を一体化した粒子、焼成により金属単体または合金とな
る化合物などのうちの少なくとも1種であってよい。ま
た、導体材料中のAgおよびCuの存在形態も特に限定
されず、Pdと同様に、金属単体粒子、合金粒子、他の
金属と一体化した粒子、焼成により金属単体または合金
となる化合物などの少なくとも1種であってよい。な
お、2種以上の金属を一体化した粒子とは、例えば、P
d粒子表面にAgおよび/またはCuを被覆した粒子な
どが挙げられる。
【0022】上記各存在形態のうち、本発明において特
に高い効果を示すものは、Pdの一部をPdレジネート
として含むものである。本発明で用いるPdレジネート
は特に限定されず、例えば、アルキル錯体、アリール錯
体、メタラサイクル錯体、カルベン錯体、オレフィン錯
体、アレーン錯体、η−アリル錯体、シクロペンタジエ
ニル錯体、ヒドリド錯体、カルボニル錯体等のいずれで
あってもよい。レジネートとして含まれるPdの量は、
導体材料中の全金属に対し3〜15重量%であることが
好ましい。レジネートとして含まれるPd量が少なすぎ
ると、高周波抵抗がやや高くなってしまう。一方、レジ
ネートとして含まれるPd量が多すぎると、コストアッ
プ、ペーストの印刷性の劣化、高密度の導体が得られず
高周波抵抗が高くなってしまう、などの不都合が生じや
すい。
【0023】導体材料中の金属粒子、合金粒子、一体化
粒子等の平均粒径(異方性のある時には長径)は、好ま
しくは0.5〜20μm 、より好ましくは1〜5μm で
ある。平均粒径が小さすぎると、分散性が悪くなって導
体ペースト中の導体粒子の含有量を多くすることができ
ない。一方、平均粒径が大きすぎると、スクリーン印刷
や転写法等によるパターンの形成が困難となる。また、
導体粒子の形状は特に限定されないが、一般に球状と
し、導体粒子の少なくとも一部を鱗片状としてもよい。
【0024】本発明の導体材料は、積層セラミック部品
の内部導体の形成に用いられる。積層セラミック部品
は、磁性層や誘電体層等の絶縁性セラミック層間に内部
導体を有するものであり、セラミック層と内部導体とは
同時に焼成される。
【0025】本発明の導体材料は、酸化性雰囲気中で1
300〜1550℃の温度範囲で、かつ状態図から求め
た固相線または融点よりも低い温度で焼成される。すな
わち、焼成温度が1300〜1550℃の範囲にあるセ
ラミック層と組み合わせて利用される。導体材料をその
固相線または融点よりも低い温度で焼成するのは、焼成
時の導体材料の形状安定性を保って安定した抵抗値を実
現するためである。なお、後述するサーキュレータ等の
非可逆回路素子に本発明を適用する場合、焼成温度のよ
り好ましい範囲は1350〜1550℃、さらに好まし
い範囲は1400〜1550℃である。
【0026】本発明が適用される積層セラミック部品は
特に限定されないが、例えば高周波用の共振器や非可逆
回路素子等に本発明は好適である。
【0027】本発明が適用される共振器としては、75
0kHz 〜3GHz 程度の準マイクロ波帯域で使用されるも
のが好ましい。誘電体層を有する共振器等の積層セラミ
ック部品は、誘電体グリーンシート上に印刷法や転写法
などにより内部導体パターンを形成した後、このグリー
ンシートを積層して熱プレスにて圧着し、次いで焼成し
て製造される。このようないわゆるシート法の他、誘電
体のペーストと内部導体のペーストとを交互に積層する
いわゆる印刷積層法を用いることもできる。
【0028】内部導体パターン形成に用いる内部導体ペ
ーストは、上記した導体材料と有機ビヒクルとを混練し
たものである。内部導体ペースト中の導体材料の含有量
は、好ましくは60〜95重量%、より好ましくは70
〜90重量%である。導体材料の含有量が少なすぎる
と、焼成後にパターンの一部が断線したり、抵抗やQ値
がばらついたりしてくる。一方、導体材料の含有量が多
すぎると、内部導体ペーストの粘度が高くなってパター
ン形成が困難となる。
【0029】有機ビヒクルは、バインダと溶剤とを含
む。内部導体ペーストに用いる有機ビヒクルは通常のも
のであってよく、例えば、バインダとしてはエチルセル
ロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチ
ルメタアクリレート等を用いればよく、溶剤としてはテ
ルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトー
ルアセテート、トルエン、アルコール、キシレン等を用
いればよい。また、これらの他、各種分散剤、活性剤、
可塑剤等が必要に応じて含まれていてもよい。
【0030】なお、内部導体ペースト中には、ガラスフ
リットが含まれていてもよい。ガラスフリットは、内部
導体の熱膨張係数や焼結挙動の調整、セラミック層や外
部導体との密着性向上などのために必要に応じて添加さ
れる。また、同様な目的で、微量の酸化銅が含まれてい
てもよい。内部導体中におけるガラスフリットや酸化銅
の合計含有率は、通常、10重量%以下とすることが好
ましい。ガラスフリットや酸化銅の平均粒径は特に限定
されないが、成形性等を考慮して、通常、1〜3μm 程
度とする。ただし、ガラスフリットや酸化銅の添加によ
り内部導体の抵抗が高くなってしまうので、熱膨張係数
や焼結挙動の調整が特に必要とされない場合には、これ
らは添加しない方が好ましい。
【0031】内部導体の厚さは、通常、10〜60μm
程度、好ましくは20〜50μm 程度である。
【0032】シート法や印刷法に用いる誘電体ペースト
は、誘電体材料と有機ビヒクルとを含有する。誘電体材
料としては、高周波帯域での使用に好適であって、かつ
焼成温度が前記したように1300〜1550℃であれ
ばよく、特に限定されるものではない。
【0033】誘電体材料の具体例としては、MgO−S
iO2 系、CaO−MgO−TiO2 系、BaO−Ti
2 −SnO2 系、BaO−MgO−CoO−Nb2
5 系、BaO−Nd23 −TiO2 −Bi23 −A
23 −MnO系などが挙げられる。MgO−SiO
2 系としては、2MgO・SiO2 30〜95モル%、
CaTiO3 50モル%以下、SrTiO3 60モル%
以下で、これら各酸化物の合計100モル%に対し、M
gOを0.1〜10重量%、La23 を0.1〜10
重量%添加したもの(特開昭47−21698号参
照);CaO−MgO−TiO2 系としては、MgTi
3 70〜100モル%、TiO2 0〜30モル%で、
これら各酸化物の合計100モル%に対し、CaTiO
3 を1〜9重量%添加したもの(特開昭52−1185
99号);BaO−TiO2 −SnO2 系としては、B
aO・x{(1−y)TiO2 ・ySnO2 }〔x=4
〜4.5、y=0〜0.10〕の組成を有するもの(特
公平4−32483号参照);BaO−MgO−CoO
−Nb25 系としては、BaO56.0〜63.0重
量%、CoO0.1〜11.7重量%、MgO0.1〜
6.5重量%、Nb25 31.0〜34.7重量%の
もの(特開昭61−72676号参照);BaO−Nd
23 −TiO2 −Bi23 −Al23 −MnO系
としてはBaO9〜18モル%、TiO2 65〜73モ
ル%、Nd23 14〜19モル%で、これら各酸化物
の合計100モル%に対し、Bi23 を3.0〜1
1.0重量%、Al23 を0.1〜2.0重量%、M
nOを0.1〜1.0重量%添加したもの(本出願人に
よる特願平3−327352号)である。このほか、B
aO−MgO−Ta25 系、ZrO2 −SnO2 −T
iO2 系、PbO−CaO−ZrO2 系、SrO−Zr
2 −TiO2 系、BaO−Sm23 −TiO2 系、
PbO−BaO−Nd23 −TiO2 系、およびLi
2 O−Na2 O−Sm23 −TiO2 系等も用いるこ
とができる。
【0034】BaO−MgO−Ta25 系としては、
例えばBay (Mg1-x Tax )O3 、ただし0.28
≦x≦0.39、0.98≦y≦1.00の組成式で示
されるものである。ZrO2 −SnO2 −TiO2 系と
しては、例えば(Zr1-x Snx )TiO4 、ただし
0.1≦x≦0.3の組成式で示されるものである。P
bO−CaO−ZrO2 系としては、例えば(Pb1-x
Cax )ZrO3 、ただし0.35≦x≦0.5の組成
式で示されるものである。SrO−ZrO2 −TiO2
系としては、例えばSry (Zr1-x Tix )O3 、た
だし0≦x≦0.1、0.98≦y≦1.01の組成式
で示されるものである。BaO−Sm23 −TiO2
系としては、xBaO−ySm23 −zTiO2 とし
て、0.1≦x≦0.2、0.1≦y≦0.2、0.6
≦z≦0.75のものである。PbO−BaO−Nd2
3 −TiO2 系としては、xBaO−yNd23
zTiO2 として、0.02≦x≦0.25、0.05
≦y≦0.41、0.50≦z≦0.82で、これら各
成分の合計に対し、さらにPbOを17重量%以下含有
するものである。Li2 O−Na2 O−Sm23 −T
iO2 系としては、例えば(Lix Nay Smz )Ti
3 、ただしx+y+z=1として、0.25≦x≦
0.35、0.15≦y≦0.25、0.4≦z≦0.
6の組成式で示されるものである。
【0035】また、上記の基本組成に加えて、必要に応
じ、MnO、CuO、ZnO、SnO2 、PbO、Ni
O、WO3 、SiO2 、B23 、Nb25 等を添加
してもよい。
【0036】上記の誘電体材料は、20℃における比誘
電率(ε)が6.5〜120、特に20〜120、誘電
損失(Q・f値)が3500〜225000、共振周波
数温度係数(τf)が−4.5〜+8.5ppm/℃のマイ
クロ波誘電特性を有する。なお、τfは−40℃の共振
周波数と80℃の共振周波数を結んだ直線の傾きとして
求めたものである。
【0037】上記のような酸化物骨材の平均粒径は、好
ましくは0.5〜3μm 程度である。平均粒径が小さす
ぎるとシート形成が困難となり、また大きすぎると誘電
体層の機械的強度が不十分となる。
【0038】なお、誘電体材料は、焼結性の向上等のた
めに必要に応じてガラスフリットを添加したものであっ
てよい。ガラスフリットの組成は、酸化物骨材の構成に
よって適宜決定すればよいが、例えば、BaO−Nd2
3 −TiO2 −Bi23−Al23 −MnO系の
骨材に対しては、PbOを好ましくは20〜86.5重
量%、より好ましくは30〜84重量%、B23 を好
ましくは8.5〜21重量%、より好ましくは9〜19
重量%、ZnOを好ましくは5〜50重量%、より好ま
しくは7〜43重量%含有するガラスフリットが適当で
ある。このようなガラスフリットは、さらに、Al2
3 および/またはSiO2 を含有してもよく、この場
合、Al23 を好ましくは20重量%以下、より好ま
しくは0.1〜5重量%、SiO2 を好ましくは9重量
%以下、より好ましくは2〜7重量%含有するものが適
当である。ガラスフリットの平均粒径は特に限定されな
いが、成形性等を考慮して、通常、1〜3μm 程度とす
る。
【0039】誘電体材料がガラスフリットを含む場合、
誘電体材料中における酸化物骨材の比率は、好ましくは
20〜96体積%、より好ましくは25〜95体積%で
ある。酸化物骨材の比率が高すぎると焼結性が悪化する
ことがある。また、酸化物骨材の比率が低すぎると、誘
電体層の機械的強度が不十分となる。
【0040】誘電体ペーストには、内部導体ペーストと
同様な有機ビヒクルを用いればよい。有機ビヒクルの添
加量は、誘電体材料の65〜85重量%程度とすること
が好ましい。
【0041】本発明の積層セラミック部品のうち、積層
セラミック基板を共振器とした構成例を図1に示す。図
1に示される共振器は、トリプレート線路を有する積層
セラミック基板であって、電圧制御発振器(VCO)を
構成している。そして、誘電体層201、203、20
5、207を積層一体化した積層体2を有し、少なくと
もこの積層体2の誘電体層203、205間にストリッ
プ線路3を有する。ストリップ線路の形状、寸法、数等
には特に制限がなく、目的等に応じて適宜決定すればよ
い。
【0042】誘電体層203、205間には、必要に応
じて内部導体7が形成される。この場合内部導体7は、
例えば、コイルの導体、コンデンサの電極等種々の目的
や用途に応じて所望のパターンに形成される。さらに、
誘電体層203、201間にはグランドプレーン4が、
誘電体層207下面にはグランドプレーン4′が形成さ
れている。この場合、グランドプレーン4、4′間にス
トリップ線路3を位置させて、トリプレート線路が形成
される。また、積層体2上には外部導体6が形成され、
この外部導体6と、前記ストリップ線路3、グランドプ
レーン4および内部導体7とがそれぞれスルーホール5
内の導体を介して電気的に接続される。このような共振
器は、例えば以下のようにして製造する。
【0043】まず、誘電体ペーストを用い、ドクターブ
レード法などにより誘電体グリーンシートを所定枚数作
製する。次いで、パンチングマシーンや金型プレスを用
いてグリーンシートにスルーホール5を形成し、その
後、内部導体ペーストを各グリーンシート上に、例えば
スクリーン印刷法により印刷し、所定パターンの内部導
体7、ストリップ線路3、グランドプレーン4等を形成
するとともにスルーホール5内に充填する。
【0044】次いで、各グリーンシートを重ね合わせ、
熱プレス(約40〜120℃、50〜1000kgf/cm2)
により積層体とし、必要に応じて脱バインダ処理、切断
用溝の形成等を行なう。この後、通常、空気中にて、グ
リーンシート積層体を前記の温度範囲内で焼成して一体
化し、誘電体層203、205間にストリップ線路3が
形成された共振器を得る。そして、外部導体ペーストを
スクリーン印刷法等により印刷して焼成し、外部導体6
を形成する。外部導体ペーストは、導体粉と、導体粉に
対し、0〜10重量%程度のガラスフリットや酸化物粉
と、有機ビヒクルとを混練したものである。なお、好ま
しくは、外部導体6を誘電体層201、203、20
5、207と同時焼成して形成する。次に、バラクタダ
イオードや、デカップリングキャパシタンス等の所定の
表面実装部品8を外部導体6に半田付けし、必要に応じ
絶縁被覆層を形成して、図2に示す構成の電圧制御発振
器(VCO)1を得る。
【0045】なお、以上ではシート法を用いる場合につ
いて説明したが、前述したように印刷積層法を用いても
よい。
【0046】本発明は、マイクロ波帯域などで用いられ
る無線機器、例えば携帯電話のような移動体通信機器に
使用される集積型の高周波用非可逆回路素子にも好まし
く適用できる。高周波用非可逆回路素子は、回路要素間
や信号間の干渉を防止したり、不要な信号や電力を除去
したり、異なる信号を分離したりするための素子であ
る。具体的には、アイソレータ、サーキュレータ、フェ
ーズシフタなどが挙げられる。アイソレータは、回路の
保護(増幅器間の干渉防止、反射電力からの保護)など
のために用いられ、サーキュレータは、アイソレータと
同様な回路の保護の他、入射波と反射波との分離、送受
信波の分離、信号の合成などのために用いられ、フェー
ズシフタは、アイソレータと同様な回路の保護の他、信
号の位相を変えるためなどに用いられる。非可逆回路素
子が使用される機器の小型化および低価格化に伴なっ
て、非可逆回路素子自体の小型化、広帯域化、低損失
化、低価格化が要求されている。本発明の導体材料は、
高周波帯域での損失を小さくでき、また、Auを使用し
ないので低価格化が容易である。
【0047】本発明が好ましく適用される非可逆回路素
子のうち、具体的にサーキュレータを挙げて説明する。
このサーキュレータは、磁気回転子を有する。磁気回転
子は、内部導体を有し、この内部導体と密接状態でこの
内部導体を取り囲むように一体的に焼成された絶縁性の
磁性体を有し、さらに、内部導体の一端に電気的に接続
された複数の端子電極と、印加される高周波に共振させ
るために端子電極にそれぞれ結合された複数のキャパシ
タと、磁気回転子に直流磁界を印加するための励磁用永
久磁石とを有する。この構成のサーキュレータは、特開
平6−338707号公報に例示されているものであ
る。この構成のサーキュレータでは、磁性体内に不連続
部が存在しないため磁気回転子内において高周波磁束が
連続する閉ループとなるので、反磁界が発生しない。こ
のため、小型化がはかれると共に、動作周波数帯域が広
くなる。なお、特開平6−338707号公報では、内
部導体としてAgを用い、Agの融点以上で焼成してい
るが、内部導体を溶融させると形状安定性が悪くなって
歩留りが低くなってしまう。
【0048】図3に磁気回転子20の構成を、図4に、
サーキュレータ全体の構成を示す。図示されるように、
このサーキュレータは3端子型であるため、磁気回転子
20は平面形状が正六角形となるように形成されてい
る。しかし、均等な回転磁界が発生できる構造であれ
ば、平面形状は必ずしも正六角形でなくてもよい。
【0049】図3において、10は一体的に焼成された
磁性体層を示し、この磁性体層10に取り囲まれて所定
パターンの内部導体(コイル導体)11が形成されてい
る。内部導体11は、この構成例では2層に積層された
3つのコイルパターンで構成されている。各コイルパタ
ーンの一端は、磁性体層10の1つおきの側面に設けら
れている端子電極12に電気的に接続されている。磁性
体層10の上面および下面ならびに磁性体層10の端子
電極12の設けられていない各側面には、グランド導体
13が設けられている。各コイルパターンの他端は、各
側面のグランド導体13に電気的に接続されている。
【0050】サーキュレータ全体としては、図4に示す
ように、磁気回転子20と共振用のキャパシタ21a、
21b、21cとが基板22に取り付けられている。各
キャパシタは、磁気回転子20の3つの端子電極12に
電気的に接続されている。これらのキャパシタとして
は、高周波キャパシタ、例えば本出願人が特願平3−1
38568号において提案している自己共振周波数の高
い貫通型の高周波キャパシタなどを使用することが好ま
しい。この高周波キャパシタは、グランド導体、誘電
体、内部導体、誘電体の順序で重ねてなる1単位の多層
体を少なくとも1単位重ねた上に、さらにグランド導
体、誘電体をこの順序で重ねた構造からなっている。こ
のような貫通型の動作周波数範囲の広いキャパシタを用
いることによりQ値の低下を防止することができる。な
お、端子電極とキャパシタとの接続態様は、図5の等価
回路図に示す通りである。
【0051】基板22の下側と、その上側の磁気回転子
20上とには、磁気回転子20に直流磁界14(図3参
照)を印加するための励磁用永久磁石23および24が
それぞれ取り付けられる。
【0052】次に、このような構成のサーキュレータの
製造工程について説明する。
【0053】図6の(A)に示すように、磁性体材料に
よる上部シート40、中間シート41および下部シート
42を用意する。通常、上部シート40および下部シー
ト42の厚さは0.5〜2mm程度、中間シート41の厚
さは30〜200μm 程度である。
【0054】磁性体材料には、通常、高周波用ガーネッ
ト型フェライトを用いる。高周波用ガーネット型フェラ
イトとしては、YIG(イットリウム鉄ガーネット)系
のもの、具体的にはY3 Fe512を基本組成とし、こ
れに各種元素を添加した置換型ガーネットフェライトが
好ましい。置換型ガーネットフェライトの組成を式 Y
3-xx Fe5-y1-y2I y1II y212で表わしたと
き、Yを置換する元素Aとしては、CaおよびGdの少
なくとも1種、さらに、特性改善のための微量添加剤と
してHo、DyおよびCeの少なくとも1種が好まし
い。また、Feを置換する元素BI としては、V、A
l、GeおよびGaの少なくとも1種、BIIとしては、
Sn、ZrおよびInの少なくとも1種、さらに、特性
改善のための微量添加剤としてMn、CoおよびSiの
少なくとも1種が好ましい。そして、置換量は、好まし
くは 0≦x≦1.5、 0≦y1≦1.5、 0≦y2≦0.5 である。なお、上記した特性改善のための微量添加剤の
上記式における原子比は、通常、0.1以下とする。本
発明の導体材料は、このようなガーネット型フェライト
と組み合わせた場合に特に有効である。ガーネット型フ
ェライトと内部導体との接触面積が大きいと、両者の密
着性が不十分となって剥離などが生じやすく、特に、前
記した特開平6−338707号公報に記載されている
ようにAgを溶融させて内部導体を形成した場合には密
着性が不良となりやすい。これに対し、本発明の導体材
料を用いた場合には、極めて良好な密着性が得られる。
なお、このような効果は、ガーネット型フェライトが好
ましく用いられるアイソレータやフェーズシフタ等の他
の非可逆回路素子においても同様に実現する。
【0055】磁性体材料のシートは、磁性体材料と有機
ビヒクルとを含む磁性体ペーストを用いて形成する。ペ
ースト中の有機ビヒクルの含有量は、上記した誘電体ペ
ーストなどと同等とすればよい。
【0056】中間シート41の所定位置には、このシー
トを貫通するスルーホール43a、43bおよび43c
が形成される。各スルーホール上には、その直径よりや
や大きいスルーホール導体が印刷によって形成される。
【0057】中間シート41および下部シート42の上
面には、3組のコイルパターンによる上部内部導体44
a、44bおよび44cならびに下部内部導体45a、
45bおよび45cが、内部導体ペーストの印刷によっ
て形成される。このように形成した上部シート40、中
間シート41および下部シート42を順次重ね合わせた
後、熱圧着する。これにより、中間シート41の表裏両
面に3回対称のコイルパターンが配置されることにな
り、その対称性から、3端子サーキュレータの端子間の
伝播特性が互いに一致させられる。
【0058】そして、図6の(B)に示すように積層さ
れた上部シート40、中間シート41および下部シート
42を、1300〜1550℃の範囲内で焼成する。
【0059】なお、図6の(A)および(B)では、上
部シート40、中間シート41および下部シート42を
既に正六角形状のものとして説明しているが、上述した
焼成処理の後に磁気回転子形状に切断してもよい。
【0060】通常は焼成後、図6の(C)に示すよう
に、端子電極およびグランド導体を焼き付け、さらに、
共振用のキャパシタを組み付けて、リフロー法等により
はんだ付けする。その後、励磁用永久磁石およびハウジ
ングを組み付けることにより、サーキュレータが完成す
る。
【0061】上記構成例は、3端子型のサーキュレータ
に関するものであるが、本発明はそれ以上の数の端子を
有するサーキュレータについても適用可能である。さら
に、上述した集中定数型サーキュレータ以外にも、磁気
回転子と容量回路とが一体化され端子回路に動作周波数
範囲を広げるためのインピーダンス変換器が組み込まれ
ているような分布定数型サーキュレータにも適用可能で
ある。また、このようなサーキュレータを発展させるこ
とにより、アイソレータ等の非可逆回路素子も容易に作
製できる。
【0062】上記したように本発明は、高周波帯域で使
用される各種積層セラミック部品に好適であり、例えば
共振器は、少なくとも誘電体層間にTEM線路等のスト
リップ線路を有するハイパスフィルタ、ローパスフィル
タ、バンドパスフィルタ、バンドエリミネーションフィ
ルタ等の各種フィルタ、これらのフィルタを組み合わせ
た分波フィルタ、デュプレクサ、電圧制御発振器等に応
用が可能である。このほかにも、高周波帯域で使用され
る各種積層セラミック基板、コンデンサやインダクタの
一方あるいは両方を内蔵する積層セラミック基板、さら
にはコンデンサ(C)チップ、チップインダクタ
(L)、LCチップ等の積層セラミック部品にも適用す
ることができる。
【0063】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0064】<実施例1>表1に示す共振器を以下の手
順で作製した。
【0065】Pd粉末とAg粉末とPdレジネートと有
機ビヒクルとを混練して、導体ペーストを調製した。P
d粉末の平均粒径は1.4μm 、Ag粉末の平均粒径お
よびCu粉末の平均粒径は4μm であった。Pdレジネ
ート中のPdの比率は、41.4重量%であり、{Pd
レジネート/(Pd粉末+Ag粉末またはCu粉末+P
dレジネート)}が7重量%となるように混合した。こ
の場合、レジネートとして添加したPdは、全金属成分
に対し3重量%となる。導体ペースト中の全金属成分に
対するAgまたはCuの比率を、表1に示す。ビヒクル
には、バインダとしてアクリル樹脂、溶剤としてテルピ
ネオールを用い、導体ペースト中のバインダ比率が10
重量%となるように添加した。
【0066】ガーネットフェライト(Y3 Fe4.5 Al
0.512)粉末と有機ビヒクルとを混練して、磁性体ペ
ーストを調製した。この磁性体ペーストをドクターブレ
ード法によって成形し、磁性体グリーンシートを作製し
た。この磁性体グリーンシートに上記導体ペーストをス
クリーン印刷法により印刷し、ストリップライン導体を
形成した。
【0067】次に、ストリップライン導体を形成したグ
リーンシートの上に、他のグリーンシートを積層してス
トリップライン導体を内封し、熱圧着した後、1480
℃で焼成した。得られた焼成体から、板状のチップを切
り出した。チップ端面から導体の両端が確実に露出する
ようにチップの端面を研磨し、外部導体を形成してトリ
プレート型共振器を得た。外部電極は、ガラスフリット
を含有する導体ペーストを塗布し、焼き付けることによ
り形成した。なお、ストリップライン導体の長さは、
1.9GHz で共振が生じるように設定した。
【0068】この共振器に対し、電磁石を用いて外部か
ら磁性体の飽和磁化よりも大きな直流磁場を印加しなが
ら高周波電流を入力し、反射法によって共振周波数を測
定した。得られた共振周波数fr および共振の半値幅Δ
fから、導体のQ値を求めた。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】表1から、所定量のAgやCuをPdに添
加することにより、高周波でのQ値が著しく高くなるこ
とがわかる。
【0071】<実施例2>誘電体材料とビヒクルとをボ
ールミルで混練して誘電体ペーストを調製した。誘電体
材料は、焼成後の組成が重量比で85.47MgTiO
3 −9.50TiO2 −5.03CaTiO3 となるも
のである。このペーストを用いてドクターブレード法に
より厚さ0.25mmのグリーンシートを作製した。次い
で各グリーンシートに、実施例1で用いた内部導体ペー
ストをスクリーン印刷法により印刷し、ストリップ線
路、グランドプレーンを形成した後、熱プレスにより積
層してグリーンシート積層体を得た。そして、この積層
体を脱脂後、空気中で1380℃で2時間焼成した。
【0072】次いで、所定寸法に切断後、グランドプレ
ーン用Agペーストをスクリーン印刷法により印刷し、
空気中で温度850℃で10分間焼成して共振周波数約
1.9GHz のトリプレート線路共振器を得た。寸法は1
0mm×8.6mm×2mmとした。
【0073】このようにして作製した共振器のQ値を測
定した。この結果、実施例1と同様にAg添加およびC
u添加による高周波でのQ値向上効果が認められた。
【0074】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を共振器に適用したときの構成例が示さ
れる部分断面図である。
【図2】本発明の積層セラミック部品を共振器として用
いた電圧制御発振器が示される斜視図である。
【図3】3端子サーキュレータの磁気回転子の構成を概
略的に示す一部破断斜視図である。
【図4】3端子サーキュレータの全体構成を示す分解斜
視図である。
【図5】図4の3端子サーキュレータの等価回路図であ
る。
【図6】図3の磁気回転子の製造工程の一部を説明する
図である。
【符号の説明】
1 電圧制御発振器 2 積層体 201、203、205、207 誘電体層 3 ストリップ線路 4、4′ グランドプレーン 5 スルーホール 6 外部導体 7 内部導体 8 表面実装部品 10 磁性体層 11 内部導体 12、46 端子電極 13、47 グランド導体 20 磁気回転子 21a、21b、21c キャパシタ 22 基板 23、24 励磁用永久磁石 40 上部シート 41 中間シート 42 下部シート 43a、43b、43c スルーホール 44a、44b、44c 上部内部導体 45a、45b、45c 下部内部導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 利幸 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 古林 眞 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pdを主体とし、Agおよび/またはC
    uを含み、AgおよびCuの含有率が Ag:0〜15重量%、 Cu:0〜20重量%、 Ag+Cu:1〜20重量%であり、 酸化性雰囲気中で1300〜1550℃の温度範囲で、
    かつ固相線または融点よりも低い温度で焼成される導体
    材料。
  2. 【請求項2】 Pdの少なくとも一部がレジネートとし
    て含まれる請求項1の導体材料。
  3. 【請求項3】 絶縁性のセラミック層間に内部導体を有
    し、前記内部導体が請求項1の導体材料を焼成したもの
    であり、前記セラミック層と前記内部導体とが同時に焼
    成されたものである積層セラミック部品。
  4. 【請求項4】 前記セラミック層が磁性材料であり、前
    記積層セラミック部品が非可逆回路素子である請求項3
    の積層セラミック部品。
  5. 【請求項5】 200MHz 以上の周波数帯域で使用され
    る請求項3または4の積層セラミック部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999021193A1 (fr) * 1997-10-16 1999-04-29 Tdk Corporation Pate conductrice et elements de circuit irreversibles formes par utilisation de cette pate

Cited By (2)

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WO1999021193A1 (fr) * 1997-10-16 1999-04-29 Tdk Corporation Pate conductrice et elements de circuit irreversibles formes par utilisation de cette pate
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