JP4081214B2 - 画像形成装置およびその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、像担持体を帯電部材により注入帯電し、その帯電面に形成した静電潜像をキャリアとトナーとからなる2成分現像剤により現像する電子写真方式の画像形成装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置である複写機,プリンタ,ファクシミリ等では、像担持体の表面に静電潜像を形成するのに先立って、その像担持体を色々な方法で均一に帯電させている。
その帯電方法で主流となっているのは、コロナ放電を利用したものである。しかしながら、このコロナ放電によるものは放電時に多量のオゾンが発生すると共に、4〜10kV程度の高圧電源を必要とするという欠点があった。
【0003】
また、コロナ放電による帯電方法の場合には、窒素酸化物(以下NOxと称する)などの放電生成物も生成され、それが画像形成に悪影響を与えてしまうということもあった。
すなわち、帯電動作を開始させることにより放電が発生し、それによりNOxが形成されると、そのNOxが空気中の水分と反応して硝酸が生成されると共に、金属と反応して金属硝酸塩が生成される。
【0004】
その硝酸または硝酸塩が薄い膜になって像担持体の表面に形成されると、高湿環境下では画像が流れたような異常画像になる。これは硝酸や硝酸塩が吸湿することで低抵抗となり、像担持体の表面の静電潜像が壊れてしまうためである。
【0005】
そこで、近年ではコロナ放電による帯電器に代わる帯電装置として、帯電部材を感光体等の像担持体の表面に接触させた状態で帯電を行う接触帯電式の帯電装置が実用化されてきている。
この接触帯電装置は、導電性の部材でローラ状やブラシ状や、弾性ブレード状にそれぞれ形成した帯電部材を像担持体の表面に接触させ、その状態で帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させるものであり、低オゾン化と低電力化が図れる(例えば特開昭56−144453号公報,特開平1−93762号公報等参照)。
【0006】
その接触帯電装置における帯電部材としては、特に導電性ローラ(帯電ローラ)を用いるローラ帯電方式が、帯電の安定性という点から適している。
そのローラ帯電方式では、帯電部材を構成する導電性の弾性ローラ部分を像担持体の表面に加圧当接させ、その状態で帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する。
【0007】
一方、このような電子写真方式の画像形成装置における帯電装置には、別の帯電方式として、像担持体へ電荷を直接注入する帯電方式が、例えば特開平9−244352や特開平10−171216に提案されている。
この帯電方式を採用した画像形成装置では、注入帯電方式を用いて像担持体の表面を帯電すると共に、現像と同時に現像装置が像担持体上の転写残トナーを回収(クリーニング)するクリーナレスとよばれる技術を適用している。
この画像形成装置は、像担持体上の転写残トナーを回収するのにブレード状やブラシ状等の専用のクリーニング部材により像担持体の表面を摺擦したりすることがないため、像担持体の表面を削ってしまう恐れがないという利点がある。
【0008】
このような注入帯電方式で、クリーナレスシステムを採用した画像形成装置における現像装置では、高品質の画像が得られるようにすると共に現像工程において転写残トナーを回収することができるようにするために、現像剤は帯電キャリア粒子とその帯電キャリア粒子に摩擦帯電的に付着する性質を有する帯電トナー粒子とからなる2成分現像剤を使用するのが好ましい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように2成分現像剤を使用するクリーナレスの現像装置の場合には、像担持体上の転写残トナーの現像工程での回収性や、その現像工程で同時に行う現像の特性の悪化がみられるため、耐久性に問題があった。
そこで、例えば特開平11−2941号公報では、帯電部材の磁性粒子が潤滑性樹脂粉体を含有する表面層を有し、トナーの形状係数を規定することで、経時において回収したトナーによる現像特性の悪化を防止するようにしている。
【0010】
しかしながら、経時においては現像剤を構成しているキャリアも劣化するため、それが劣化してしまうと現像特性が悪化したり、地肌汚れの度合いが増加したり、さらには転写残トナーの回収性が悪化したりする問題が生じてしまうということがあった。
【0011】
すなわち、キャリアとトナーを使用する2成分現像装置において、現像を行うとトナーは現像を繰り返す度に消費されていくため、そのトナーのキャリアに対する比率が次第に低下していくため、形成される画像の濃度は低下していく。
そこで、トナーについては消費されていく量に相当する量のフレッシュトナーを現像剤に補給していくことで、現像剤中のトナーは常に交換されていくことになる。しかしながら、キャリアは画像形成の過程において現像装置から排出されることはないので、それが経時において劣化していく。
【0012】
具体的には、現像ローラ等の現像剤担持体とドクタブレード等の現像剤層規制部材との間や、現像剤攪拌部材の撹拌時に受けるストレスにより、トナーの帯電特性を助長すべく施されたキャリア表面のコート層が削れてしまう膜けずれが起こって、それが劣化する。
【0013】
このように、キャリア表面のコート層に膜削れが生じると、そのキャリアはキャリアとしての抵抗が下がってしまうので、トナーとの接触帯電機能が損なわれる。したがって、地肌汚れなどの不良画像が発生するようになる。
そのため、従来はこのようなキャリアの劣化を考慮するため、定期的に現像ユニットを取り出して現像室内から劣化したキャリアを含む現像剤を抜き取り、新しい現像剤に交換することをサービスマン等が手作業で行っていた。
【0014】
一方、帯電部材に磁気ブラシを使用している画像形成装置では、長期使用により帯電部材のキャリアが劣化したりすると、そのキャリアが帯電磁気ブラシから離れて感光体上に付着するようになり、それが転写紙上に移って画像と共に移送されてしまい、いわゆるキャリア付着という不具合が発生しやすくなる。
【0015】
その際に、現像装置が現像と同時に転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式のものであるときには、帯電部材から感光体上に付着して画像と共に移送されたキャリアは現像装置で回収される。
そして、その帯電装置から出て現像装置で回収されるキャリアは、それが長期になると現像装置内の現像剤に対する割合が次第に増加していくため、現像特性が不安定になって画像品質が低下してしまうという問題点があった。
【0016】
一般的に、現像剤に用いられるキャリアと帯電部材に用いられるキャリアとは特性が異なるため、それらを共通化するのは難しいと言われている。
例えば、帯電部材に用いるキャリアは、そこに感光体を帯電させる機能を持たせるために抵抗値を現像剤のキャリアに比べて小さくしているので、上述したように帯電部材に用いられるキャリアが現像装置内に多く入り込むと、トナーの帯電特性が変化してしまうようになる。
【0017】
それによって、上述したような現像同時クリーニング方式の画像形成装置の場合には、帯電部材のキャリアが現像装置内に多く混入すると、現像装置内の現像剤の寿命を短くしてしまうということがあった。
【0018】
そのため、折角電荷注入方式により感光体等の像担持体を帯電し、その像担持体の表面を削ることのない現像同時クリーニング方式を用いることにより像担持体の耐久性を長くするようにしたとしても、現像装置内の現像剤の劣化によって、画像形成装置全体として高画像品質を長期間維持することはできないという問題点があった。
【0019】
そうかといって、現像剤が寿命に達する毎に現像剤の全てを交換していたのでは、画像形成装置本体の長寿命化の思想に相反してしまうことになる。ましてや感光体の寿命が長くなる分だけ現像剤交換の回数も増えるので、パーコピーコストの上昇にもなってしまうということがあった。
【0020】
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、像担持体を注入帯電し、像担持体の表面を削ることのない現像同時クリーニング方式を用いると共に2成分現像剤を使用する現像装置を備えながら、現像剤を全て交換するようなことをしなくてもそれを長期間使いこなすことができ、画像形成装置全体として長期に亘って常に安定した高品位な画像が得られるようにすることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、感光層の外周面に電荷注入層を有する表面保護層を形成した像担持体と、その像担持体に帯電部材を接触させた状態でその帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を注入帯電する帯電装置と、その帯電された像担持体上を露光して静電潜像を形成する露光装置と、その静電潜像をトナーにより現像すると共にその像担持体上に残った転写残トナーを回収する現像装置と、その現像装置によって現像されたトナー像を被転写材に転写する転写装置とを備えた電子写真方式の画像形成装置において、
上記現像装置内に供給する未使用現像剤を収納する第1容器とフレッシュトナーを収納する第2容器とが同心状に形成されて一体的に嵌め合わされ、画像形成装置本体に対して着脱可能であり、上記第1容器と第2容器はいずれも内周壁に螺旋状突起が形成され、所定の方向に回転されることによってそれぞれ収納している未使用現像剤とフレッシュトナーを排出口から排出するように構成された一体型収納容器と、
その一体型収納容器から排出された未使用現像剤とフレッシュトナーを前記現像装置に供給する搬送スクリュウを有する供給装置と、
上記現像装置から使用済み現像剤を上記一体型容器へ搬送する搬送スクリュウを有する排出装置と、
上記現像装置内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、
上記画像形成装置によるコピー動作を制御すると共に、上記トナー濃度検知手段から出力されるトナー濃度に応じた信号を入力して、上記一体型収納容器と上記供給装置の搬送スクリュウと上記排出装置の搬送スクリュウをそれぞれ回転させる各モータの回転駆動を制御し、上記現像装置への未使用現像剤とフレッシュトナーの供給および上記現像装置からの使用済み現像剤の上記一体型容器への回収を制御する制御装置とを設けている。
そして、上制御装置は、コピー動作を開始すると所定のコピー回数ごとに上記トナー濃度に応じた信号を入力して、トナー濃度が予め設定している目標濃度の制御幅の最低値を下回ったか否かを判断し、下回っていなければコピー動作を継続するが、下回っていればトナー補給の命令と未使用現像剤を供給する命令を出して上記現像装置へ未使用現像剤とフレッシュトナーを同時に補給して、その補給回数をカウントし、そのカウントした補給回数が所定回数になっていなければ再び前記トナー濃度に応じた信号を入力して、トナー濃度が予め設定している目標濃度の制御幅の最低値を下回ったか否かを判断し、下回っていなければコピー動作を継続するが、下回っていればトナー補給の命令と未使用現像剤を供給する命令を出して上記現像装置へ未使用現像剤とフレッシュトナーを同時に補給して、その補給回数をカウントする処理を繰り返し、そのカウントした補給回数が所定回数になると、上記現像装置から使用済み現像剤を上記一体型容器へ回収し、コピー動作を不可能状態にして、補給するフレッシュトナーがなくなったことを告知するトナーエンドメッセージを操作パネルに表示する処理を実行する機能を有する。
【0022】
上記表面保護層は、水素を含有するダイヤモンド炭素構造もしくは非晶質カーボン構造であると、効果的である。
また、上記帯電部材は、磁性粒子を有する磁気ブラシであるとよい。
【0023】
また、この発明による画像形成装置の制御方法は、上記のような画像形成装置において、上記制御装置によって、コピー動作を開始すると所定のコピー回数ごとに上記トナー濃度に応じた信号を入力して、トナー濃度が予め設定している目標濃度の制御幅の最低値を下回ったか否かを判断し、下回っていなければコピー動作を継続するが、下回っていればトナー補給の命令と未使用現像剤を供給する命令を出して上記現像装置へ未使用現像剤とフレッシュトナーを同時に補給して、その補給回数をカウントし、そのカウントした補給回数が所定回数になっていなければ再び上記トナー濃度に応じた信号を入力して、トナー濃度が予め設定している目標濃度の制御幅の最低値を下回ったか否かを判断し、下回っていなければコピー動作を継続するが、下回っていればトナー補給の命令と未使用現像剤を供給する命令を出して上記現像装置へ未使用現像剤とフレッシュトナーを同時に補給して、その補給回数をカウントする処理を繰り返し、そのカウントした補給回数が所定回数になると、上記現像装置から使用済み現像剤を前記一体型容器へ回収し、コピー動作を不可能状態にして、補給するフレッシュトナーがなくなったことを告知するトナーエンドメッセージを操作パネルに表示する制御を行うことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の基礎となる画像形成装置の作像部付近を示す概略構成図、図2は同じくその作像部に設けられているドラム状の感光体と帯電装置を示す概略図である。
図1に作像部を示す画像形成装置は、電子写真プロセスを利用して画像を被転写材(転写紙)7に転写する転写式のプリンタあるいは複写機の例を示している。
【0027】
この画像形成装置は、作像部に画像を形成する像担持体であるドラム状の感光体1を備えている。
その感光体1の回りには、帯電部材である磁気ブラシを感光体1に接触させた状態で電圧を印加することにより感光体1を注入帯電する磁気ブラシ帯電器である帯電装置2と、露光装置3と、感光体1上に形成された静電潜像をトナーにより現像すると共にその感光体1上に残った転写残トナーを回収する現像装置4と、その現像装置4により現像されたトナー像を被転写材7に転写する転写ローラ51を備えた転写装置5等がそれぞれ配設されている。
なお、図1で8はトナーカートリッジであり、9は定着装置である。
【0028】
感光体1は、例えば直径が30mmで、長さが340mmに形成された電荷注入帯電性・負極性・回転ドラム型の電子写真OPC感光体であり、それが矢示A方向に125mm/secのプロセススピード(周速度)で回転駆動されるようになっている。
【0029】
帯電装置2は、図2に示すように接触帯電部材である矢示B方向に125mm/secの周速度で回転する磁気ブラシローラ21を備えており、その表面に形成した磁気ブラシ部を図示のように感光体1の周面に当接させた状態で、帯電バイアス印加電源22から所定の帯電バイアスが印加されることにより感光体1の周面を表面電位−960Vに一様に電荷注入帯電処理する。
【0030】
図1に示した露光装置3は、感光体1の帯電処理された周面に対し目的とする画像情報に対応する露光La、すなわちレーザビーム走査露光、あるいは原稿画像のスリット露光等を行うことにより、感光体1の周面に露光画像情報に対応した静電潜像を形成する。
【0031】
現像装置4は、この画像形成装置では2成分接触現像方式であり、現像剤担持部材として機能して回転する現像スリーブ43を、その周面を感光体1から0.6mm離間させて配設している。その現像スリーブ43には、電源(DC電源)42から−600Vの現像バイアスが印加されるようになっている。
なお、この現像装置4は、トナーにマイナストナーを用いる。
【0032】
また、その現像装置4は、現像ケーシング46に現像剤供給口11を形成し、そこにキャリアを含む未使用現像剤10を収納した収納容器31を取り付け、その現像剤供給口11に設けた現像剤供給ローラ33を回転させたときに、収納容器31内の未使用現像剤10が現像ケーシング46内に供給されるようにしている。
また、現像ケーシング46の底部には現像剤排出口12を形成し、そこに現像ケーシング46内からシャッタ14を通して排出される現像剤を回収する回収容器32を設けている。
【0033】
そして、この現像装置では、その現像ケーシング46に形成した現像剤供給口11と現像剤供給ローラ33と現像剤排出口12とシャッタ14が、キャリアを含む未使用現像剤10を現像装置4内に供給すると共にその現像装置4内の現像剤をその現像装置4の外へ排出して現像装置4内の現像剤を交換する現像剤給排手段として機能する。
【0034】
転写装置5は、前述したように回転自在な転写ローラ51を備えており、その転写ローラ51に電源52からトナーと逆極性の所定の転写バイアスが、感光体1と転写ローラ51とが被転写材7を挾持搬送している間に印加される。
その転写ローラ51としては、例えば抵抗が5×107 Ωで、ローラの直径が16mmの導電性スポンジローラを使用し、そこに15μAの定電流制御によってDC電圧を印加して、被転写材7の裏面側をトナーと逆極性に帯電することにより、感光体1上のトナー像を被転写材7の表面(図1で上側の面)に静電転写を行なう。
【0035】
この画像形成装置は、作像動作を開始させると感光体1が図1の矢示A方向に回転し、その周面が帯電装置2により一様に帯電される。そして、その帯電面に、所定のタイミングで露光装置3から照射される露光Laにより書き込みが行われ、そこに静電潜像が形成される。
その潜像は、感光体1が矢示A方向に回転することにより現像装置4の位置まで移動されると、そこで現像ローラ41の現像スリーブ43によりトナーが付着されてトナー像(顕像)となる。
【0036】
一方、図示しない給紙装置から被転写材7が給紙され、それがレジストローラ対6で一旦停止されて、その被転写材7の先端と感光体1上の画像の先端とが一致する正確なタイミングで、感光体1と転写装置5の転写ローラ51との間の接触ニップ部へ搬送され、そこで感光体1と転写ローラ51とにより挾持されて、図1で左方へ搬送されていく。
その際、感光体1上のトナー像が被転写材7に転写される。
【0037】
その被転写材7は、感光体1から分離されて定着装置9へ搬送され、そこでトナー像が定着され、その後は装置本体の外部に設けられている排紙トレイ等に排出されるが、裏面にも画像を形成する両面画像形成モードが選択されているときには、図示しない再給紙手段により再び作像部に向けて再給紙される。
なお、感光体1上に残った転写残トナーは、現像装置4により回収されてクリーニングされる。
【0038】
次に、感光体1について、図2を参照して詳しく説明する。
図2に一例を示す感光体1は、機能分離型の感光感光体であり、同図にはその構成を模式的に示している。
その感光体1は、導電性基体1aの上に複数の各層が積層された構成になっている。すなわち、導電性基体1aの上に電荷発生層1bが、その上に電荷輸送層(電荷保持層)1cが、さらにその上に電荷注入層を有する表面保護層である表面層1dがそれぞれ積層されている。
そして、その電荷発生層1bと電荷輸送層1cとで感光層を構成している。なお、その感光層は、単層型であっても積層型であってもよい。
【0039】
この画像形成装置では、上述したような構成の感光体1の表面層1dの体積抵抗率を1011Ω・cm以下とし、その感光体1の周面に静電潜像を形成するのに先立って、帯電装置2の磁気ブラシ部を回転する感光体1の表面層1dに接触させ、磁気ブラシローラ21に電圧を印加することにより感光体1の表面を均一に帯電させるようにしている。
【0040】
このように、体積抵抗率の低い表面層1dを有する感光体1を用い、電圧が印加された磁気ブラシローラ21の磁気ブラシ部をその表面層1dに接触させることにより、磁気ブラシローラ21への印加電圧が低くても、感光体1の表面をそこに静電潜像を形成するのに必要な電位まで帯電させることができる。
その際、感光体1は主として電荷注入によって帯電されるが、その際に帯電装置2の磁気ブラシローラ21への印加電圧は低いので、帯電装置2と感光体1との間でほとんど放電は発生しない。したがって、オゾンの発生を効果的に抑えることができ、実質的にオゾンの発生を抑制することができる。
【0041】
感光体1は、上述したように導電性基体1aの上に複数の各層を積層した構成になっているが、その導電性基体1aとしては、導電体を使用するか、あるいは導電処理をした絶縁体を使用する。
例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、金(Au)などの金属や、それらの合金を使用する。
【0042】
あるいは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)等の金属あるいはIn2O3、酸化スズ(SnO2)等の導電材料の薄膜を形成したものや、導電処理をした紙等も使用することができる。
【0043】
また、その導電性基体1aの形状は、特に制約はない。したがって、ドラム状の他に、板状やベルト状のものを使用するようにしてもよい。
なお、その導電性基体1a上に、感光層(電荷発生層1bと電荷輸送層1cとからなる)との接着性の向上及び、モアレのなどの防止を目的とした下引き層を設けるようにしてもよい。
【0044】
電荷発生層1bは、電荷発生物質を主成分とする層であり、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。
その電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。電荷発生層を形成する方法には、例えば真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが挙げられる。
【0045】
前者の真空薄膜作製法には、真空蒸着法,グロー放電重合法,イオンプレーティング法,スパッタリング法,反応性スパッタリング法,CVD法等が用いられ、そのいずれの方法を用いても、上述した無機系材料や有機系材料を良好に形成することができる。
【0046】
また、後述のキャスティング法により電荷発生層を形成するには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共に、テトラヒドロフラン,シクロヘキサノン,ジオキサン,ジクロロエタン,ブタノン等の溶媒を用いてボールミル,アトライタ,サンドミル等により分散し、その分散液を適度に希釈して塗布することにより形成することができる。
このようにして形成する電荷発生層1bの膜厚は、0.01〜5μm 程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0047】
電荷輸送層1cは、帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層1bで発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。したがって、帯電電荷を保持させる目的があることから、電気抵抗が高いことが要求される。
また、この電荷輸送層1cは、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得るため、誘電率が小さく、且つ電荷移動性がよいことが要求される。
【0048】
電荷輸送層1cは、これらの要件を満足させるため、電荷輸送物質、及び必要に応じて用いられるバインダー樹脂より構成される。
すなわち、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、それを形成しようとする場所に塗布して乾燥させることにより形成する。
また、必要に応じて上述した電荷輸送物質やバインダー樹脂以外に、可塑剤,酸化防止剤,レベリング剤等を適量添加したりする。
【0049】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度が適当である。
また、その電荷輸送層の中に、ゴム,プラスチック,油脂類などに用いられる他の酸化防止剤や可塑剤を添加していてもかまわない。あるいは、その電荷輸送層の中に、レベリング剤を添加するようにしてもよい。
【0050】
そのレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル,メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量はバインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部が適当である。
【0051】
なお、感光体1の感光層は、次に説明するように単層構成にしてもよい。
すなわち、感光体1の感光層をキャスティング法で単層感光層に形成する場合には、電荷発生物質と低分子ならびに高分子電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成する。
その電荷発生物質ならびに電荷輸送物質としては、積層型の感光層の説明の際に前述した各材料を用いることができる。
【0052】
また、必要に応じて可塑剤を添加するようにしてもよい。さらに、必要に応じて用いることのできるバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層の説明の際に挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層の説明の際に挙げたバインダー樹脂を混合して用いるようにしてもよい。なお、単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
そして、このようにして形成した感光層の上に、表面層(表面保護層)1dを更に形成する。
【0053】
その表面層1dは、例えば次のような材料で形成する。
すなわち、表面層1dは、複写機の場合には複写枚数50万枚程度の使用に耐え得る耐摩耗性及び機械的強度を併せ持つように、樹脂の中に抵抗制御剤を分散し塗布したもので形成する。あるいは、a−C、a−Si:Nなど気相製膜法で形成してもよい。
【0054】
次に、樹脂中に抵抗制御剤を分散させて表面層1dを形成する場合について説明する。
表面層1dのバインダー樹脂としては、可視光に対して実質上透明であって、電圧絶縁性,強度,接着性に優れたものが望ましい。
具体的には、例えばポリスチレン,MMA,n−BMA,ポリアミド、ポリエスタル,ポリウレタン,ポリカーボネート,ポリビニルホルマール,シリコーン樹脂,ポリビニルアセタール,ポリビニルブチラール,エチルセルロース,メラミン樹脂及びそれらの共重合体や混合物等を用いる。
【0055】
また、それらの樹脂の中に分散させる抵抗制御剤としては、例えば脂肪酸塩類,高級アルコール類,硫酸エステル類,脂肪酸アミン類,第4級アンモニウム塩類,アルキルピリジウム塩類,ポリオキシエチレンアルキルエーテル類,ポリオキシエチレンアルキルエステル類,ソルビタンアルキルエステル類,イミダゾリン誘導体等のアニオン系、カチオン系、又はノニオン系有機電解質が挙げられる。
【0056】
あるいは、金(Au),銀(Ag),銅(Cu),ニッケル(Ni),アルミニウム(Al)等の金属や、ZnO、TiO2 、SnO2 、In2O3 、Sb2O3 含有SnO2 、In2O3 含有SnO2 等の金属酸化物、さらにはMgF2、CaF2、BiF2、AlF2、SnF2、SnF4、TiF4等の金属フッ化物も挙げられる。
【0057】
さらにまた、その抵抗制御剤としては、テトラインプロピルチタネート,テトラノルマルブチルチタネート,チタンアセチルアセトネート,チタンラクテートエチルエステル等の有機チタン化合物及びそれらの混合物等も挙げられる。
なお、表面層1dの中には、接着性や平滑性等を向上させる目的で種々添加剤を加えるようにしてもよい。
【0058】
一方、気相製膜法で表面層1dを形成する場合には、膜を炭素や珪素を主成分とする気相製膜法で高硬度の膜を作製する。その膜は、炭素、珪素を含有するガスやターゲットを用いて、プラズマCVD法,グロー放電分解法,光CVD法、スパッタリング法等により、製膜する。
【0059】
なお、その膜には、抵抗や光透過率の制御を目的として、炭素,珪素以外のドーピング元素を添加していてもよい。特に、その製膜法は限定されるものではないが、表面層として良好な特性を有する膜を形成する方法として、プラズマCVD法でありながらスパッタ効果を伴わせつつ製膜させる方法(特開昭58−49609号公報に記載有り)等が知られている。
そのプラズマCVD法を利用した表面層の製膜法では、支持体を特に加熱する必要がなく、約150℃以下の低温で被膜を形成できるため、耐熱性の低い有機系感光層上に表面層を形成する際にも、何ら支障がないというメリットがある。
【0060】
なお、表面層1dの膜厚は10μm以下が好ましく、樹脂に抵抗制御剤を添加したものは強度の点から2〜6μmがより好ましい。また、a−c、a−Si;N等の膜強度の高いものは、膜厚を0.5〜2μmにすることが好ましい。
また、表面層1dの体積抵抗率は、前述したように1011Ω・cm以下に設定するが、その抵抗率が低すぎると、感光体1に形成される静電潜像が乱される恐れがあるので、この点について注意する必要がある。
【0061】
また、表面層1dは、水素を含有するダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造にしてもよい。
そして、その表面層1dは、好ましくはSP3軌道を有するダイアモンドと類似のC−C結合を有する方が望ましい。なお、この表面層1dは、SP2軌道を有するグラファイトと類似の構造を持つ膜でも構わないし、更に非晶質性のものであってもよい。
【0062】
その表面層1dの添加物元素は、窒素,フッ素,硼素,リン,塩素,臭素及び沃素が含有されていることが望ましい。また。その表面層1dの体積抵抗率は、109〜1012Ω・cm であることが望ましい。
その表面層1dの膜厚は、0.5〜5μm であることが望ましい。また、その表面層1dは、ヌープ硬度が400kg/mm2 以上であることが望ましく、光透過率も露光される光の波長に対して、50%以上であることが望ましい。
【0063】
この表面層1dを作製するときには、炭化水素ガス(メタン、エタン、エチレン、アセチレン等)を主材料として、H2、アルゴン(Ar)等のキャリアガスを用いる。更に、添加物元素を供給するガスとしては、減圧下で気化できるもの、加熱することにより気化できるガスを使用する。
【0064】
例えば、窒素を供給するガスとしてNH3 、N2 等を用い、フッ素を供給するガスとしてC2F6、CH3F 等を用い、硼素を供給するガスとしてはB2H6等を用い、リンを供給するガスとしてはPH3 等を用い、塩素を供給するガスとしてはCH3Cl、CH2Cl2、CHCl3、CCl4等を用い、臭素を供給するガスとしてはCH3Br等を用い、沃素を供給するガスとしては、CH3I等を用いることができる。
【0065】
また、添加物元素を複数供給するガスとしては、NF3、BCl3、BBr、BF3、PF3、PCl3 等を用いる。上記のようなガスを用い、プラズマCVD法、グロー放電分解法、光CVD法などやグラファイト等をターゲットとしたスパッタリング法等により表面層1dを形成する。
特にその製膜法は限定されるものではないが、表面層1dとして良好な特性を有する炭素を主成分とする膜を形成する方法として、プラズマCVD法でありながらスパッタ効果を伴わせつつ製膜させる方法(特開昭58−49609号公報参照)等が知られている。
【0066】
プラズマCVD法を利用した炭素を主成分とする表面層の製膜法では、支持体を特に加熱する必要がなく、約150℃以下の低温で被膜を形成できるため、耐熱性の低い有機系感光層上に保護層を形成する際にも、何ら支障がないというメリットがある。
【0067】
このように、感光体1の最表層には、電荷注入層の機能を有する表面層1dを形成する。その電荷注入層は、いわゆるコンデンサの電極的役割を果たすものであり、その電極に対して導電性の接触帯電部材である帯電装置2の磁気ブラシローラ21に形成する磁気ブラシの部分を当接させ、そこに電圧を印加すると、感光体1の表面を電荷注入帯電することができる。
【0068】
したがって、このような電荷注入層を設けていない場合には、感光体1の表面には電極となりうるものがないので、十分な電荷注入ができない。
ところが、この感光体1のように、電荷注入層を感光層の表面に設けることにより、その電荷注入層の下側に位置する感光層面に均一なチャージシートを形成することができる。
【0069】
なお、電荷注入層は、帯電装置2により印加された電荷を速やかに感光層の表層に移動させ、均一なチャージシートを形成する特性が要求される。
その均一なチャージシートを形成させるためには、電荷注入層及び接触式の帯電装置2の双方が均一な接触性を有すると共に、それらのニップ、接触抵抗及び各部材の体積固有抵抗等が適正なものである必要がある。
また、表面層1dは、電荷注入層以外の部分の体積抵抗率を、電荷注入層の体積抵抗率と同等もしくは同等以下にするとよい。そうすれば、表面層1dの耐摩耗性及び画像特性が向上すると共に、より良好な注入帯電ができる。
【0070】
次に、帯電装置2について詳しく説明する。
図2に示した磁気ブラシ式の帯電装置2は、磁気ブラシローラ(非磁性スリーブ)21と、その磁気ブラシローラ21に内包したマグネットロール23と、磁気ブラシローラ21上に磁気拘束された帯電キャリア24とによって構成されている。
【0071】
この帯電装置2の磁気ブラシの磁力の強さは、磁気ブラシローラ21の表面において400〜1500ガウス、好ましくは600〜1300ガウスであり、そうすることにより、磁気ブラシ内から磁性トナーの良好な吐き出しができる。
また、この帯電装置2に用いるマグネットロール23の磁極は、2極以上であることが好ましい。
【0072】
この帯電装置2のマグネットロール23の磁極の位置は、好ましくは帯電装置2の中心(磁気ブラシローラ21の中心)と感光体1の中心(ドラム中心)を結ぶ位置から、帯電装置2の中心から感光体1の回転方向に20°までの範囲にする。
そして、そのマグネットロール23の磁極の位置は、より好ましくは帯電装置2の中心(磁気ブラシローラ21の中心)と感光体1の中心(ドラム中心)を結ぶ位置から、帯電装置2の中心から感光体ドラムの回転方向の10°までの範囲に磁極のピークが向くように設定するのがよい。そうすることにより、磁気ブラシ内部からの磁性トナーの良好な吐き出しができる。
【0073】
帯電装置2は、感光体1に磁気ブラシローラ21と感光体1の表面との距離が0.6mm になるよう、磁気ブラシローラ21の長手方向の端部を面板部材(非図示)によって支持し、マグネットロール23を固定したまま磁気ブラシローラ21を感光体1と同方向(図2において矢示B方向)に回転させるようにしている。
そして、帯電時には磁気ブラシローラ21に、帯電バイアス印加電源22から所望の電圧を印加することで電荷注入層として機能する表面層1dに電荷を注入し、感光体1の表面を最終的に磁気ブラシと同電位に帯電(充電)する。
【0074】
帯電キャリア24は、フェライト,マグネタイトの如き導電性金属の単一、あるいは混晶の種々の材料が使用可能である。そして、一度焼結した帯電キャリアを還元又は酸化処理し、後述する抵抗値に調節したものである。
帯電キャリア24は、導電性及び磁性を有する微粒子をバインダーポリマーと混練し、粒状に成型することによって得られた導電性及び磁性を有する微粒子がバインダーポリマー中に分散された粒子や、上記の導電性磁性粒子を更に樹脂でコートする構成にしてもよい。
そのときは、コートした樹脂層の抵抗をカーボンの如き導電剤の含有量を調整することで、帯電キャリア24の全体の抵抗調整を行う。
【0075】
なお、この帯電装置2では、帯電キャリア24の平均粒径は、1〜100μm(好ましくは5〜50μm)のものが使用可能であり、その粒径のものは帯電性と粒子の保持の両立という点で優れている。
また、その帯電キャリア24の体積抵抗値は、1010Ωcm以下のものを使用するが、好ましくは、106〜109Ωcmのものを使用するとよい。
【0076】
すなわち、帯電キャリア24の体積抵抗値が1010Ωcmを超えると、帯電に必要な電流を流すことができなくなるため、帯電不良が生じて画質が劣化する。
また、この実施の形態では、帯電キャリア24の体積抵抗値は、底面積228mm2 の筒状の容器に帯電キャリア24を2g充填して加圧し、上下から100Vの電圧を印加して、この系に流れる電流から算出して正規化したもので定義した。
なお、磁気ブラシの構成は、磁気ブラシローラ21を用いずに、直接マグネットロール23に帯電キャリア24を担持させて帯電を行うようにすることも可能である。
【0077】
次に、感光体1の電荷輸送層1c(電荷保持層)の帯電電位を計算により求める数式について説明する。
各諸元を次のように定めると、図2に示すように、帯電装置2の感光体1に対する接触部の接触幅(ニップ幅)Wの部分における感光体1の電荷輸送層1cの電圧e2 は数1のようになる。
なお、図3はその等価回路を示しており、Sはスイッチである。
【0078】
v :感光体1の表面の線速度
V1:帯電装置2への印加電圧
T1:表面層1dの厚さ
C1:表面層1dの静電容量(比誘電率ε1)
G1:表面層1dの導電率(=W/(R・T1))
C2:電荷輸送層1c(電荷保持層)の静電容量
e2:電荷輸送層1cの電圧
t :帯電装置2の接触時間(最大W/v)
R :表面層1dの体積抵抗率
【0079】
【数1】
【0080】
ここで、帯電装置2から離れた感光体1の部分においては、図3に示した等価回路における抵抗G1 、すなわち表面層1dを通過した電荷のみが、電荷輸送層1cの電位に寄与するものと考えられるので、その電荷量をQとすると、電荷量Qは数2で求められる。
また、その帯電電位をe′2とすると、e′2は数3で求められる。
【0081】
【数2】
【0082】
【数3】
e′2=Q/C2=(1+C1/C2)e2−(C1/C2)V1
【0083】
ところで、感光体1の実用的な電位は−300から−1000V程度である。したがって、帯電電位e′2を、そのような電位にするためには、各諸元数値を表1の例1又は例2のように定めればよい。
【0084】
【表1】
【0085】
すなわち、例1に示したように、感光体1の表面層1dの体積抵抗率Rを1010Ωcmにすれば、帯電装置2を介しての電荷注入だけで、感光体1を帯電装置2への印加電圧(−1000V)とほぼ同等の−960Vに帯電させることができ、それによって感光体1の表面に所望の静電潜像を確実に形成することができる。
【0086】
また、例2では、表面層1dの体積抵抗率Rを1011Ωcmにした結果、感光体1の帯電電位は−270Vとなり、実用電位の下限値である−300Vには若干不足するが、その不足分の帯電電位については帯電装置2の感光体1に対する接触部の接触幅Wを広げることで補うことができるので、充分に使用可能である。
【0087】
いずれにしても、1011Ωcm以下、好ましくは1010Ωcm以下の表面層1dを有する感光体を用いることにより、帯電装置2に比較的低い電圧、例えば−1000V(表1)程度の電圧を印加するだけで、感光体を必要とされる電位にまで帯電させることができる。
したがって、従来のコロナ放電による帯電方法のように、大量のオゾンが発生するようなこともないし、高圧電源も必要としない。
【0088】
このように、この実施の形態による帯電装置2では、図2に示した磁気ブラシローラ21に印加する電圧の値が低いので、ほとんど又は全く放電は発生せず、それによってオゾンの発生を一層効果的に抑えることができる。そして、帯電装置2に交流電圧を印加する必要もない。
【0089】
次に、現像装置4について、詳しく説明する。
図1に示すように、現像装置4に設けられている現像剤を担持する現像ローラ41は、感光体1に近接するように配置されており、両者の対向部分に現像領域が形成されるようになっている。
現像ローラ41は、アルミニウム,真鍮,ステンレス,導電性樹脂などの非磁性体を円筒状に形成してなる現像スリーブ43を備えており、図示を省略している回転駆動機構により矢示C方向に回転されるようになっている。
【0090】
現像スリーブ43は、スリーブ径が16mmに形成されており、その現像スリーブ43の線速度は312.5mm/sec に設定されている。
なお、感光体1は、ドラム径が30mmに形成されており、そのドラムの線速度は125mm/secに設定されている。
したがって感光体1のドラム線速度に対する現像スリーブ43のスリーブ線速度比は2.5 になっている。
【0091】
また、感光体1と現像スリーブ43との間隔である現像ギャップは0.6mm に設定されている。なお、その現像ギャップは、現像剤粒径の30倍以下に設定するとよい。それよりも現像ギャップが広いと、画像濃度が十分でない画像になる。
また、上述したスリーブ線速比は1.1 以上であれば十分な画像濃度を得ることができる。
【0092】
現像スリーブ43内には、図4に示すように、その現像スリーブ43の外面上に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁石ローラ体44が固定状態で設けられている。
そして、現像剤を構成するキャリアは、磁石ローラ体44から発せられる磁力線に沿うようにして現像スリーブ43上にチェーン状に穂立ちされると共に、そのチェーン状に穂立ちされたキャリアに対して帯電トナーが付着されて磁気ブラシが構成されるようになっている。
【0093】
その磁気ブラシは、現像スリーブ43の回転移動に伴って、その現像スリーブ43の回転方向(矢示C方向)に移送される。
磁石ローラ体44は、複数の磁極を備えている。すなわち、現像領域部分に現像剤を穂立ちさせる現像主磁極P1と、現像スリーブ43上に現像剤を汲み上げるための磁極P5と、現像スリーブ43上に現像剤を汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送させる磁極P6と、現像後の領域で現像剤を搬送させる磁極P2及びP3を備えている。
【0094】
これら各磁極P1,P5,P6,P2及びP3は、現像スリーブ43の半径方向に向けてそれぞれ配置されている。
この磁石ローラ体44は、6極の磁石によって構成されているが、現像剤の汲み上げ性や黒ベタ画像追従性を向上させるために、P3極からドクタブレード45の間に磁極を更に増やして8極以上で構成するようにしてもよい。
【0095】
なお、この実施の形態では、現像ローラ41上で85mT以上の磁力を有する磁石を用いているが、60mT以上の磁力を有すれば、キャリア付着などの異常画像の発生が無いことも既に確認している。
実際に現像に寄与する磁極は主磁力である磁極P1であり、その磁極P1により感光体1上の潜像をトナー像に現像する。
【0096】
現像領域に対して、現像剤の搬送方向(図4で反時計回り方向)上流側には、現像剤によるチェーン穂の穂高さ、すなわち現像剤の量を規制する前述したドクタブレード45が設置されている。
そして、このドクタブレード45と現像スリーブ43の外面との間隔であるドクタギャップを0.6mm に設定している。
【0097】
さらに、現像ローラ41の後方には、図1に示したように現像ケーシング46内の現像剤を撹拌しながらその現像剤を現像ローラ41側に汲み上げる前スクリュウ47が設けられている。
また、現像ケーシング46内には、その長手方向の前後に開口部を持つ仕切り板48を境にして、後スクリュウ49も設けられている。
【0098】
さらに、現像ケーシング46の後端部には、新規トナーを蓄えたトナーカートリッジ8が着脱自在に装着されている。そのトナーカートリッジ8により供給されるトナーは後スクリュウ49に供給され、それが後スクリュウ49の回転により、図1で奥側に搬送され、現像剤と混合撹拌される。
【0099】
その混合撹拌された現像剤は、仕切り板48の開口部より前スクリュウ47に供給される。さらに、その前スクリュウ47に供給された現像剤は、前スクリュウ47の回転により図1で手前側に搬送される。
このとき、現像ローラ41に磁界によって現像剤が供給され、その現像剤が現像スリーブ43上で搬送される。
【0100】
すなわち、現像ローラ41に、現像ケーシング46内に蓄えられた現像剤が撹拌・帯電された上で磁極P5(図4)により汲み上げられる。その現像ローラ41の現像スリーブ43上に汲み上げられた現像剤は、磁極P6により現像領域まで搬送され、現像主極P1によって現像領域部分に現像剤が穂立ちされる。
そして、残った現像剤は、図1で手前側に搬送され、仕切り板48の開口部より後スクリュウ49に供給され循環する。
【0101】
次に、キャリアを含む未使用現像剤10を現像装置4内に供給すると共にその現像装置4内の現像剤をその現像装置4の外へ排出して現像装置4内の現像剤を交換する現像剤給排手段について説明する。
図1に示した現像装置4には、前述したようにトナーとキャリアとからなる未使用現像剤10を収容した収納容器31を着脱自在に取り付けている。
この収納容器31内には、未使用現像剤10を1回の交換量だけ収容してもよいし、スペース的に許される場合には数回分又は装置本体の寿命に相当する分の交換回数に相当する量だけの未使用現像剤10を収容するようにしてもよい。
【0102】
また、現像ケーシング46の現像剤排出口12に着脱自在取り付けられる回収容器32も、現像剤排出口12から排出される現像剤を1回の交換量だけ収容できる大きさに形成してもよいし、数回分又は装置本体の寿命に相当する分の交換回数に相当する量だけの現像剤を収容することができる大きさにしてもよい。
【0103】
なお、回収容器32の収容容量を、数回分の使用済み現像剤を収容できる大きさにする場合には、その回収容器32と収納容器31の交換時期を合わせることができるようにするため、その回収容器32の大きさは収納容器31に収納する未使用現像剤10の収容容量に対応させることが望ましい。
【0104】
そして、収納容器31から現像ケーシング46への未使用現像剤10の供給は、前述したように収納容器出口付近に設けている現像剤供給ローラ33を回転させることにより行う。
また、現像ケーシング46から回収容器32への使用済み現像剤の排出は、図1に示した矢示E方向に開閉自在なシャッタ14を開くことにより行う。そして、そのシャッタ14の開放時間を一定の時間にすることで、使用済み現像剤の排出量(回収量)を一定にすることができる。
【0105】
このように、この画像形成装置は、装置本体の空きスペースに収納容器31と回収容器32を設けると共に、その収納容器31と回収容器32を使用して現像装置4内の現像剤を交換する現像剤給排手段を設けているので、現像装置4の現像ケーシング46内に未使用現像剤10を所定量供給すると共に、その現像ケーシング46内の使用済み現像剤の一部を回収容器32へ自動的に排出することができる。したがって、現像ケーシング46内の現像剤が寿命に達する度にその全ての現像剤を作業者が手作業で交換するようなことをしなくても済む分だけ手間が省ける。
【0106】
また、劣化した現像剤のまま現像を続けてしまうようなこともないので、現像剤の劣化による画像不良の発生も防止できる。
したがって、この画像形成装置は、現像装置4が転写残トナーを回収するクリーニング装置としても機能することにより、感光体1の表面をブレード状のクリーニング部材で摺擦することによって傷つけるようなことがないため、感光体1が長寿命化すると共に、人手により現像剤を交換することなしに長期間に亘って現像剤を使用し続けることができる。そのため、画像形成装置本体としての長寿命化が図れ、長期に亘って高画質を維持することができる。
【0107】
図5はこの発明による画像形成装置の一実施形態を示す図1と同様な概略構成図であり、図1と対応する部分には同一の符号を付してある。
この画像形成装置である複写機は、供給する未使用現像剤10を収納する供給現像剤収納容器である第1容器61と、未使用のフレッシュトナー20を収納するフレッシュトナー収納容器である第2容器62とを一体型収納容器60として一体的に構成し、その第1容器61内の未使用現像剤10を搬送スクリュウ79を有する供給装置63により現像ケーシング46′内へ供給し、その現像ケーシング46′内から排出される使用済み現像剤を搬送スクリュウ69を有する排出装置64により、空になった後の第1容器61内に回収するようにしている。
【0108】
その一体型収納容器60は、図6に示すように、環状シリンダの形状をした回収容器も兼ねる第1容器61と、その第1容器61と同心状に形成された第2容器62とを嵌め合わせることによって一体に構成されており、それが画像形成装置本体に対して着脱可能に取り付けられている。
【0109】
その第2容器62は、図7に示すように、第1容器61の中央に形成された空間部65に差し込まれる突出部66を有しており、その突出部66の側面には第1容器61に形成している内側凹部67に係合する隆起部68が形成されている。そして、第1容器61の空間部65に第2容器62の突出部66を差し込むと、第1容器61の内側凹部67に第2容器62の隆起部68が図6に示したように係合することにより、第1容器61と第2容器62が一体の一体型収納容器60となる。
【0110】
その一体型収納容器60は、第1容器61と第2容器62が一体で矢示G(図8)及びそれと逆の矢示J(図9)の方向に回転され、第1容器61の容器内周面には螺旋状突起55が、第2容器62の容器内周面には螺旋状突起56がそれぞれ形成されている。
したがって、この一体型収納容器60は、第1容器61内にトナーとキャリアからなる未使用現像剤10を図8に示すように収納すると共に、第2容器62内に未使用のフレッシュトナー20を収納した状態で矢示G方向に回転させると、第1容器61内の未使用現像剤10と第2容器62内のフレッシュトナー20が、それぞれ図示のように図で左方へ移動する。
【0111】
なお、第1容器61には、中に収納した未使用現像剤10を容器外に確実に排出するために、その容器の太径部から細径部へ移行する容器くびれ部の段差領域に、未使用現像剤10を搬出する際の螺旋状流れに合致する形状のすくい壁71を形成している。
【0112】
同様に、第2容器62にも、収納したトナーを搬出する際の螺旋状流れに合致する形状のすくい壁72を形成している。
その第1容器61と第2容器62のそれぞれ排出口には、中央部分に掴み部74を形成した共通蓋73が最初に嵌められており、その共通蓋73は一体型収納容器60が現像装置4に装着される際に、例えば自動チャック70を用いて取り外されるようになっている。
【0113】
次に、図5の画像形成装置におけるトナーの補給及び現像剤の交換における動作について説明する。
前述したように、図8に示した一体型収納容器60の第1容器61には、最初の段階で未使用現像剤10が所定量充填されている。また第2容器62には、フレッシュトナー20が充填されている。
【0114】
そして、その第1容器61に充填する未使用現像剤10の所定量とは、例えば1回に交換する現像剤の量であり、現像装置4内で使用される現像剤の量や、第2容器62内のトナー量との比率、現像剤自体の劣化の進行度等を考慮して決定するものであり、例えば、現像装置内で使用される全現像剤量の10%(重量%)程度である。なお、第1容器61内に充填する未使用現像剤10は、従来サービスマン等が現像剤を交換する際に使用する現像剤と同一のものである。
【0115】
一体型収納容器60は、第2容器62内に充填されているフレッシュトナー20を補給するときには、それが図示しない駆動源により図8で矢示G方向に回転される。
すると、図6で説明した第2容器62の内周壁に形成されている螺旋状突起56の働きにより、図8に示したようにフレッシュトナー20が第2容器62内を同図で左方に移動し、それが図5に示す排出口75から第2容器62の外に供給される。
【0116】
その際、図6に示したように第1容器61の内周壁にも螺旋状突起56と同一方向の螺旋状突起55が形成されているので、図8に示すように第1容器61内に充填されている未使用現像剤10も排出口76から外に排出(供給)される。
すなわち、未使用現像剤10の供給が、トナーの補給動作と同時に行われる。
【0117】
その一体型収納容器60の排出口76から供給された未使用現像剤10及び排出口75から補給されたフレッシュトナー20は、いずれも図5に示した補給ガイド77により搬送パイプ78内に排出される。そして、その未使用現像剤10と補給されたフレッシュトナー20は、搬送パイプ78内の搬送スクリュウ79により現像装置4の上蓋部に形成している受入口80から現像装置4の現像ケーシング46′内に放出される。
【0118】
一方、現像装置4内で使用されることにより劣化した現像剤は、図5で現像装置4の後側(図で奥側)に配置されている排出装置64により一体型収納容器60の第1容器61内に回収される。
すなわち、上述したように未使用現像剤10が現像ケーシング46′内に供給されると、その現像ケーシング46′内の現像剤の上面の高さが上昇する。そして前スクリュウ47と後スクリュウ49とが回転して撹拌動作が行われると、その現像剤の上端面はさらに波打つ状態になる。
【0119】
それにより、現像ケーシング46′内の現像剤の一部が排出口81から外にこぼれ落ちる。そのこぼれ落ちた使用済み現像剤は、回収時期になると搬送パイプ内に搬送スクリュウ69を回転可能に設けた排出装置64により、回収ガイド83を介して一体型収納容器60へと搬送される。
【0120】
その際、回収現像剤が最終的に一体型収納容器60内に収容されやすくするため、排出口81からこぼれ出た回収現像剤を排出装置64により一旦持ち上げて、ホッパー状の回収ガイド83内を自重によって滑り落ちるようにして一体型収納容器60の第1容器61内に、図9に示すように流れ込むようにしている。
【0121】
その第1容器61内に流れ込んだ回収現像剤10′は、そのとき図9の矢示J方向(供給時と逆方向)に回転している第1容器61の螺旋状突起55の働きにより、同図で右方の底部側へ導かれていく。
なお、回収ガイド83は、図5に示した垂直回転軸84(中心線のみ図示)を中心に回動可能に支持されており、図8に示したように共通蓋73を着脱する際には、その共通蓋73の移動範囲から退避させることができるようになっている。
【0122】
ところで、図5に示した画像形成装置は、現像装置4の現像ケーシング46′内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段であるトナー濃度センサ85と、そのトナー濃度センサ85が検知したトナー濃度に応じて前述した現像剤給排手段として機能する供給装置63と排出装置64とによる現像剤の交換を制御する制御装置90とを備えている。
【0123】
その制御装置90は、各種判断及び処理機能を有する中央処理装置(CPU)と、各処理プログラム及び固定データを格納したROMと、処理データを格納するデータメモリであるRAMと、入出力回路(I/O)とからなるマイクロコンピュータを備えている。
【0124】
この制御装置90は、画像形成装置全体の制御、すなわち作像動作や給紙動作等のコピー動作を行う各部の駆動を制御する他に、トナー濃度センサ85から出力されるトナー濃度に応じた信号を入力し、それにより一体型収納容器60を回転させるモータ86と、排出装置64の搬送スクリュウ69を回転させるモータ87と、供給装置63を構成する搬送パイプ78内の搬送スクリュウ79を回転させるモータ88とに、それらを駆動させる信号を所定のタイミングでそれぞれ出力する。
【0125】
図10はその制御装置90が行うトナー補給及び現像剤交換の処理を示すフロー図である。
画像形成装置本体に設けられている電源がオンになると、制御装置90は図10の処理をスタートさせる。
まず、コピースタートキーが押された後にコピー動作が開始されたか否かを続いて判断し、次のステップでコピー回数が、予め設定した所定の回数に達したか否かを判断し、それが所定のコピー回数になれば次のステップでトナー濃度センサ85が検知した現像剤のトナー濃度に対応する信号を入力する。
【0126】
次のステップでは、そのトナー濃度が、予め設定している目標濃度の制御幅の最低値Tc min を下回ったか否かを判断する。
すなわち、コピー動作が繰り返し行われるとトナーは次第に消費されていくため、現像装置4内の現像剤のトナー濃度は徐々に低下していく。したがって、そのトナー濃度が目標濃度の制御幅の最低値Tc min を下回ったか否かをトナー濃度センサ85からの検知信号により判断する。
【0127】
そして、トナー濃度が上記最低値Tc min を下回っていなければコピースタートキーがオンであるか否かの判断に戻るが、最低値Tc min を下回っていれば次のステップでトナー補給の命令を出すと共に、未使用現像剤を供給する命令を出す。
すなわち、図5で説明したモータ86を駆動させて一体型収納容器60を図8の矢示G方向に回転させて、第1容器61内から未使用現像剤10を供給すると共に、第2容器62からフレッシュトナー20を同時に補給する。
【0128】
そして、次のステップで、そのトナー補給動作の補給回数をカウントする。
次のステップでは、上記トナー補給動作が連続してある設定回数であるP回のカウント値になったか否かを判断し、まだP回カウントしていなければトナー濃度検知のステップに戻って、それ以降の処理及び判断を繰返し行い、トナー補給回数をP回連続してカウントすると、次のステップへ進んで使用済み現像剤を回収するサブルーチンを実行する。
【0129】
すなわち、第2容器62からトナーの補給が繰り返されると、第2容器62の中にはフレッシュトナー20の残量が少なくなっていくため、やがてはトナー補給動作を行っても、現像ケーシング46′内の現像剤が目標トナー濃度に回復しなくなる。
そこで、トナー補給の動作を繰り返す度にカウントを行って、そのトナー補給動作を連続してP回カウントした時点で、現像装置内の使用済み現像剤の回収モードに入るようにして、現像剤の回収時期を一体型収納容器60の取り替え時期と一致させる。
【0130】
次のステップでは、現像剤の回収動作が完了したので、その後のコピー動作を不可能な状態にし、次のステップで補給するフレッシュトナーがなくなったことを告知するトナーエンドのメッセージを操作パネルに表示し、このルーチンの処理を終了する。
それにより、オペレータは操作パネルを見て補給するフレッシュトナーがなくなったことを知ることができるので、フレッシュトナーと未使用現像剤が共に充填された新しい一体型収納容器60に付け替えれば、フレッシュトナーと未使用現像剤の交換作業を同時に行なうことができる。
【0131】
なお、第2容器62内のトナーエンドの判断は、上述した例のようにトナー濃度センサ85によるトナー補給回数が所定回数(P回)を数えたときに第2容器62内のトナーエンドと判断するようにしてもよいが、固有のエンドセンサを設けることにより、そのトナーエンドを検知するようにしてもよい。
また、使用済み現像剤の回収動作中は、コピー動作を停止するようにしてもよいが、キャリア回収量に影響はないので、コピー可能な状態にしてもよい。
【0132】
なお、未使用現像剤の現像装置4への供給速度は、効率的な現像剤交換と現像装置内での現像剤容量の早期の安定化のために、トナー排出速度よりも速ければ速いほど望ましい。そうすれば供給した未使用現像剤を現像装置4内で長期間使用することができるからである。
また、現像剤の回収は、第2容器62内のフレッシュトナーがなくなってから行うので、第2容器62内のフレッシュトナーがなくなる前に第1容器61内の未使用現像剤を完全に供給し終えておく必要がある。
【0133】
なお、現像剤の供給を速くする手段としては、トナーの流動性よりも高い流動性の現像剤を用いるようにしたり、第1容器61の底部側にも傾斜をもたせたり、螺旋状突起55のピッチの送りを広くしたり、突起の傾斜を強めたりするようにすればよい。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、次に記載する効果を奏する。
請求項1の画像形成装置によれば、像担持体に帯電部材を接触させた状態でその像担持体を電荷注入によって帯電するので、低電力で均一な帯電ができると共に、コロナ放電による帯電の場合に比べてオゾンや窒素酸化物の発生を抑えることができる。
したがって、オゾンの発生に伴う像担持体の感光層破壊による不均一帯電を防止することができると共に、像担持体上の窒素酸化物による画像低下を抑えることができるため、高品位の画像を経時に亘って持続することができる。
【0135】
そして、このように像担持体に帯電部材を接触させた状態で帯電を行う帯電装置であっても、像担持体は感光層の外周面に表面保護層を形成していて、しかも現像装置は像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像すると共にその像担持体上の転写残トナーを回収するので、専用のクリーニング装置を必要としないことにより装置全体を小型にできながら像担持体の表面削れを防止できるため、長期に亘って均一で安定した画像形成を行うことができる。
【0136】
さらに、現像装置内のトナー濃度が目標濃度の制御幅の最低値を下回ると、一体型収納容器内に収納されている未使用現像剤とフレッシュトナーを自動的に現像装置内に補給し、その補給動作を設定回数繰り返してもトナー濃度が上記最低値を下回る場合には、現像装置内の使用済み現像剤を一体型収納容器に回収することができるため、現像装置内の現像剤が寿命に達する度にその全ての現像剤を交換する作業を行わなくて済む分だけ手間が省ける。
また、劣化した現像剤のまま現像を続けてしまうようなこともなくなるので、現像剤の劣化による画像不良の発生も防止できる。
したがって、像担持体が長寿命化すると共に、現像剤を人手により交換することなしに長期間に亘って現像剤を使用し続けることができるため、画像形成装置全体としての長寿命化が図れ、高画質を維持することができる。
さらに、現像装置内に供給する未使用現像剤を収納する第1の容器とフレッシュトナーを収納する第2の容器とを同心状に形成して一体的に嵌め合わせた一体型収納容器を画像形成装置本体に対して着脱可能に設けたので、現像装置から回収した使用済み現像剤を上記一体型収納容器内に収容することにより、1度の容器交換で使用済み現像剤の回収とフレッシュトナーの補充とを同時に行うことができるため、効率的な作業ができると共に収納容器の省スペース化が図れるため装置を小型化できる。
また、現像装置内への未使用現像剤の供給とフレッシュトナーを補給する動作とを同時に行うので、現像剤供給の制御の簡素化が図れる。また、ユーザーが現像剤の現像装置内への供給とフレッシュトナーの現像装置内へ補給時期を気にすることなしに現像剤交換を行なうことができるので、ユーザーメンテナンス化に供することができる。
【0137】
請求項2の画像形成装置によれば、像担持体の表面保護層を、水素を含有するダイヤモンド炭素構造もしくは非晶質カーボン構造にすることによって、像担持体の表面の耐摩耗性及び画像特性が向上すると共に、良好な注入帯電が可能になる。
【0138】
請求項3の画像形成装置によれば、帯電部材は磁性粒子を有する磁気ブラシであるので、安定した像担持体の帯電特性が得られ、且つ経時において帯電キャリアが像担持体上への付着することがあったとしても、その帯電キャリアは画像に付着することなしに現像装置において回収され、その現像装置内の現像剤は未使用の現像剤に交換されるので、現像装置内の現像剤に混入した帯電キャリアによる画像欠陥を防止することができる。
【0139】
請求項4の画像形成装置の制御方法によっても、請求項1の画像形成装置と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の基礎となる画像形成装置の作像部付近を示す概略構成図である。
【図2】同じくその作像部に設けられているドラム状の感光体と帯電装置を示す概略図である。
【図3】図1の画像形成装置の帯電系の等価回路を示す電気回路図である。
【図4】図1の画像形成装置が有する現像装置に設けられている磁石ローラ体を説明するための概略図である。
【図5】 この発明による画像形成装置の一実施形態を示す図1と同様な概略構成図である。
【図6】同じくその画像形成装置に設けられる第1容器と第2容器とからなる一体型収納容器を示す縦断面図である。
【図7】同じくその一体型収納容器を第1容器と第2容器とに分離した状態を示す縦断面図である。
【図8】同じくその一体型収納容器から未使用現像剤とフレッシュトナーがそれぞれ供給される様子を示す縦断面図である。
【図9】同じくその一体型収納容器から未使用現像剤とフレッシュトナーを全て供給した後に第1容器に使用済み現像剤を回収する様子を示す縦断面図である。
【図10】図5の制御装置90が行うトナー補給及び現像剤交換の処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
1:感光体(像担持体) 1b:電荷発生層(感光層)
1c:電荷輸送層(感光層)
1d:表面層(表面保護層) 2:帯電装置
4:現像装置 5:転写装置
14:シャッタ 20:フレッシュトナー
21:磁気ブラシローラ(帯電部材)
33:現像剤供給ローラ
60:収納容器(一体型収納容器)
61:第1容器(現像剤収納容器)
62:第2容器(フレッシュトナー収納容器)
63:供給装置 64:排出装置
85:トナー濃度センサ(トナー濃度検知手段)
90:制御装置
Claims (4)
- 感光層の外周面に電荷注入層を有する表面保護層を形成した像担持体と、該像担持体に帯電部材を接触させた状態でその帯電部材に電圧を印加することにより前記像担持体を注入帯電する帯電装置と、該帯電装置によって帯電された前記像担持体上を露光して静電潜像を形成する露光装置と、その静電潜像をトナーにより現像すると共に該像担持体上に残った転写残トナーを回収する現像装置と、該現像装置によって現像されたトナー像を被転写材に転写する転写装置とを備えた電子写真方式の画像形成装置において、
前記現像装置内に供給する未使用現像剤を収納する第1容器とフレッシュトナーを収納する第2容器とが同心状に形成されて一体的に嵌め合わされ、画像形成装置本体に対して着脱可能であり、前記第1容器と第2容器はいずれも内周壁に螺旋状突起が形成され、所定の方向に回転されることによってそれぞれ収納している未使用現像剤とフレッシュトナーを排出口から排出するように構成された一体型収納容器と、
該一体型収納容器から排出された未使用現像剤とフレッシュトナーを前記現像装置に供給する搬送スクリュウを有する供給装置と、
前記現像装置から使用済み現像剤を前記一体型容器へ搬送する搬送スクリュウを有する排出装置と、
前記現像装置内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、
前記画像形成装置によるコピー動作を制御すると共に、前記トナー濃度検知手段から出力されるトナー濃度に応じた信号を入力して、前記一体型収納容器と前記供給装置の搬送スクリュウと前記排出装置の搬送スクリュウをそれぞれ回転させる各モータの回転駆動を制御し、前記現像装置への未使用現像剤とフレッシュトナーの供給および前記現像装置からの使用済み現像剤の前記一体型容器への回収を制御する制御装置とを設け、
該制御装置は、コピー動作を開始すると所定のコピー回数ごとに前記トナー濃度に応じた信号を入力して、トナー濃度が予め設定している目標濃度の制御幅の最低値を下回ったか否かを判断し、下回っていなければコピー動作を継続するが、下回っていればトナー補給の命令と未使用現像剤を供給する命令を出して前記現像装置へ未使用現像剤とフレッシュトナーを同時に補給して、その補給回数をカウントし、そのカウントした補給回数が所定回数になっていなければ再び前記トナー濃度に応じた信号を入力して、トナー濃度が予め設定している目標濃度の制御幅の最低値を下回ったか否かを判断し、下回っていなければコピー動作を継続するが、下回っていればトナー補給の命令と未使用現像剤を供給する命令を出して前記現像装置へ未使用現像剤とフレッシュトナーを同時に補給して、その補給回数をカウントする処理を繰り返し、そのカウントした補給回数が所定回数になると、前記現像装置から使用済み現像剤を前記一体型容器へ回収し、コピー動作を不可能状態にして、補給するフレッシュトナーがなくなったことを告知するトナーエンドメッセージを操作パネルに表示する処理を実行する機能を有する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記表面保護層は、水素を含有するダイヤモンド炭素構造もしくは非晶質カーボン構造であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材は、磁性粒子を有する磁気ブラシであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
- 感光層の外周面に電荷注入層を有する表面保護層を形成した像担持体と、該像担持体に帯電部材を接触させた状態でその帯電部材に電圧を印加することにより前記像担持体を注入帯電する帯電装置と、該帯電装置によって帯電された前記像担持体上を露光して静電潜像を形成する露光装置と、その静電潜像をトナーにより現像すると共に該像担持体上に残った転写残トナーを回収する現像装置と、該現像装置によって現像されたトナー像を被転写材に転写する転写装置とを備えてコピー動作が可能であり、
前記現像装置内に供給する未使用現像剤を収納する第1容器とフレッシュトナーを収納する第2容器とが同心状に形成されて一体的に嵌め合わされ、画像形成装置本体に対して着脱可能であり、前記第1容器と第2容器はいずれも内周壁に螺旋状突起が形成され、所 定の方向に回転されることによってそれぞれ収納している未使用現像剤とフレッシュトナーを排出口から排出するように構成された一体型収納容器と、
該一体型収納容器から排出された未使用現像剤とフレッシュトナーを前記現像装置に供給する搬送スクリュウを有する供給装置と、
前記現像装置から使用済み現像剤を前記一体型容器へ搬送する搬送スクリュウを有する排出装置と、
前記現像装置内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、
前記コピー動作を制御すると共に、前記トナー濃度検知手段から出力されるトナー濃度に応じた信号を入力して、前記一体型収納容器と前記供給装置の搬送スクリュウと前記排出装置の搬送スクリュウをそれぞれ回転させる各モータの回転駆動を制御し、前記現像装置への未使用現像剤とフレッシュトナーの供給および前記現像装置からの使用済み現像剤の前記一体型容器への回収を制御する制御装置とを設けた電子写真方式の画像形成装置において、
前記制御装置によって、コピー動作を開始すると所定のコピー回数ごとに前記トナー濃度に応じた信号を入力して、トナー濃度が予め設定している目標濃度の制御幅の最低値を下回ったか否かを判断し、下回っていなければコピー動作を継続するが、下回っていればトナー補給の命令と未使用現像剤を供給する命令を出して前記現像装置へ未使用現像剤とフレッシュトナーを同時に補給して、その補給回数をカウントし、そのカウントした補給回数が所定回数になっていなければ再び前記トナー濃度に応じた信号を入力して、トナー濃度が予め設定している目標濃度の制御幅の最低値を下回ったか否かを判断し、下回っていなければコピー動作を継続するが、下回っていればトナー補給の命令と未使用現像剤を供給する命令を出して前記現像装置へ未使用現像剤とフレッシュトナーを同時に補給して、その補給回数をカウントする処理を繰り返し、そのカウントした補給回数が所定回数になると、前記現像装置から使用済み現像剤を前記一体型容器へ回収し、コピー動作を不可能状態にして、補給するフレッシュトナーがなくなったことを告知するトナーエンドメッセージを操作パネルに表示する制御を行うことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
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