JP4080313B2 - 電磁接触器のコイル駆動回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電磁接触器のコイル駆動回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁コイルの通電によって鉄心とそれにつながる可動接点を駆動し、固定接点と接離させることにより、単相電源または三相電源と負荷機器間の電路を開閉する電磁接触器に用いられるコイル駆動回路としては、従来、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1〜6)。
【0003】
特許文献1では、電磁石を励磁する操作コイルと、パルス信号によりオン、オフされて前記操作コイルに電源電圧を供給するスイッチング素子と、前記電源電圧を検出する電圧検出回路と、この電圧検出回路の検出電圧に応じた投入用レベル信号を出力し設定時間後にその検出電圧に基づいて投入用レベル信号よりも高い保持用レベル信号を出力するゲイン回路と、三角波を発生する基準波発生回路と、この基準波発生回路の三角波と前記ゲイン回路の投入用レベル信号とを比較して一定周期の投入用パルス信号を出力し設定時間後に前記三角波と保持用レベル信号とを比較して前記投入用パルス信号よりもデューティ比の小さな保持用パルス信号を出力する比較回路と、この比較回路の投入用パルス信号及び保持用パルス信号を前記スイッチング素子に供給するパルス出力回路とを備えた電磁石のコイル駆動装置が開示されている。
【0004】
すなわち、この特許文献1では、電磁石の鉄心ギャップが大きい閉路制御時では大きな吸引力が必要であるので、大きな電流でコイルを励磁する一方、鉄心が吸着状態となり鉄心ギャップのない保持制御時では比較的小さな電流でコイルを励磁しても保持が可能であるので、できるだけコイル電流を少なくして電力消費を低減する技術が示されている。
【0005】
また、特許文献2では、電源スイッチの開閉に応じてコイルが導通制御される電磁石装置において、電磁石のコイルに直列に接続した第1のスイッチング素子と、該第1のスイッチング素子に並列接続したフライホイールダイオードとで構成した回路に直列に第2のスイッチング素子を接続し、さらに、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子と直列回路を構成するとともに、第2のスイッチング素子のベースと接続されるパルス制御回路を設け、前記第1のスイッチング素子は電源スイッチの閉の期間は常時オン状態を保ち、電源スイッチが開でオフ状態となり、第2のスイッチング素子は電源スイッチの閉とともに電磁石の吸着に必要な所定の電流となるように、パルス信号により導通制御を行うようにした電磁石装置のコイル駆動回路が開示されている。
【0006】
すなわち、この特許文献2では、電磁石の鉄心が吸着保持されているときにパルス電圧をコイルに印加し、パルス電圧のオフ期間にコイル内に蓄積された残留磁気エネルギーをフライホイール回路で回生させることで、少ない電力で鉄心吸着保持を実現させ、電源電圧が遮断されると、そのフライホイール回路を遮断する手段を持たせることにより、鉄心の解離を速動化させる技術が示されている。
【0007】
また、特許文献3では、電磁石の巻線に直列接続した主電流制御素子を具備し、上記主電流制御素子は上記巻線を介して「吸引」電流を通過せしめるスイッチとして初めは動作し、そして次いで上記電流を上の低い「保持」レベルに制限する電流リミッタとして動作するものであり、そしてダイオードおよび/またはスイッチング素子を接続せしめられたキャパシタを具備し、該キャパシタは「吸引」から「保持」に切り換えられて反対電荷を得る期間およびスイッチ・オフのとき該キャパシタを上記巻線にまたがって接続するものであり、その結果キャパシタは巻線に放電することができて主電流制御素子がスイッチ・オフされて後コア内に保持された渦電流に対向した向きの電磁力を供給するものであり、その結果キャパシタは巻線内に放電して主電流制御素子がスイッチ・オフされた後において渦電流の磁化力の方向とは異なる逆の方向の磁化力を与えるようにした電磁石を制御するための回路が開示されている。
【0008】
すなわち、この特許文献3では、電磁石の保持状態から解離状態とするときの電磁石の解離時間を短縮するために、コンデンサをコイルに並列に接続し電磁石オフ後のコイル電流をコンデンサに蓄え、その電荷を逆方向に放電させることにより、電磁石に逆方向の磁化力を印加して電磁石の解離時間を低減する技術が示されている。
【0009】
また、特許文献4では、電磁継電器のコイルに電流を印加する駆動回路と、コンデンサおよび抵抗からなる積分回路を具え切換信号を出力する切換信号発生回路と、該切換信号によってコイルに印加する電流を切り換える切換回路とを有し、電磁継電器を動作させる信号が入力されてから該積分回路の時定数で定まる任意の時間だけ該コイルに定格電流を印加し、それ以降は該コイルに印加する電流を減少せしめるように構成した電磁継電器駆動回路が開示されている。
【0010】
すなわち、この特許文献4では、電磁継電器の駆動時にコイルに印加する電圧をコンデンサと抵抗による積分回路により積分して、積分回路の時定数による時間経過後印加電圧を低減してコイル駆動の電力を低減する技術が示されている。なお、ここでの積分回路は電磁継電器への印加電圧を任意に設定したコンデンサ、抵抗により積分するものであり、電磁継電器のコイルの動作を検出するものでなく、コイルへの印加電圧からの時間を設定するための時限回路となっている。
【0011】
また、特許文献5では、電源投入開始時の電源電圧が判定値を越えたときに操作コイルに励磁電流を流すスイッチ手段と、前記励磁電流の検出手段と、該検出手段の検出値が判定値を越えたときに動作開始する、電源電圧の大きさに逆比例した動作設定時間のタイマー回路と、該タイマー回路の動作設定時間経過後に前記スイッチ手段を制御して前記操作コイルに保持動作電流を流す手段とを具えた電磁石装置が開示されている。
【0012】
すなわち、この特許文献5では、(1)電源印加時の衝撃を低減するために電源投入から保持状態への切替時間を、印加電圧が高いときは切替時間を短くし、印加電圧が低下すると切替時間を長くするように電圧と切替時間とを逆比例させて制御する技術と、(2)電磁開閉器のコイルを保持動作に切りかえるタイミングを決定するために、コイルのインピーダンスを測定し、インピーダンスが増加して電磁石が吸引したときにコイルを保持状態に制御する技術と、(3)コイルインピーダンス測定のためにコイル駆動用とは別のコイルに高周波電圧を印加するための高周波電源を用意し、この高周波電圧によりコイルに流れる電流を測定してその高周波電流の変化からコイルのインピーダンスを測定する技術とが示されている。
【0013】
また、特許文献6では、鉄芯に巻装したコイルへの通電時にアマチュアと鉄芯との間に吸引力を作用させる電磁石装置の駆動に用いられ、トリガパルスが入力されると一定時間は始動用の比較的大きな始動電流をコイルに通電する始動状態と、上記一定時間の経過後に鉄芯とアマチュアとの吸引状態を保持するのに必要な保持電流をコイルに通電する保持状態とが選択される通電制御部を備えた電磁石駆動装置において、電源の投入を検出する入力電圧検出部と、コイルに通電される電流を検出する電流検出部と、電磁石装置が吸引状態から非吸引状態に移行する際のコイルの通電電流の変化によって再トリガパルスを発生する再トリガパルス発生部と、入力電圧検出部により電源投入が検出されるか再トリガパルス発生部から再トリガパルスが発生すると通電制御部へのトリガパルスを出力するトリガパルス発生部とを具備した電磁石駆動装置が開示されている。
【0014】
すなわち、この特許文献6では、コイル電流の検出回路を備え、閉路状態の電磁石鉄心が開路したときに発生するコイル電流の増加により、コイル制御を開路制御に切り替え、電磁石を開路させる技術が示されている。この技術では、鉄心の解離状態でのインダクタンス低下によるコイル電流の直流成分の増加を検出しているが、コイル電流は、電源電圧の変動、コイルインピダンスのばらつきなどにより変化する。したがって、電流検出方式によるものは、これらの条件の変化による検出誤差が発生する。
【0015】
【特許文献1】
特開平1−132108号公報(3頁〜6頁、第1図〜第5図)
【特許文献2】
特開昭62−244109号公報(2頁〜3頁、第1図〜第6図)
【特許文献3】
特開昭57−78114号公報(2頁〜4頁、第1図〜第2図)
【特許文献4】
特開昭62−35424号公報(2頁〜3頁、第1図〜第3図)
【特許文献5】
特開平5−101925号公報(0008〜0010、図1〜図3)
【特許文献6】
特開平7−85758号公報(0016〜0020、図1〜図3)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電磁接触器のコイル駆動回路には、次のような問題がある。上記のように、電磁接触器がオフ状態からオン状態に変化する閉路動作時に大きなコイル電流を流して可動鉄心を解離状態から吸着状態に移行させ、その吸着状態となったときにコイル電流を低減するように切り替えている。そして、制御動作の切替方法として、可動鉄心の吸着状態を検出する位置センサを用いる方法と、可動鉄心の吸着までの時間に合わせて設定したタイマを用いる方法とが採用されている。
【0017】
しかし、位置センサを用いる方法では、動作は確実であるが鉄心位置検出のセンサが別に必要となる。また、可動鉄心の吸着までの時間は、電源電圧の変動、周囲温度やコイル温度の変化によるコイル抵抗の変動、電磁接触器の動作機構部の抵抗変化によって変動するので、タイマを用いる方法では、最適な切り替えタイミングを得ることが困難である。すなわち、タイマを用いる方法では、これらの最悪条件でも鉄心吸着後に確実に制御動作の切り替えが行われるように設定する必要があるので、制御動作切り替え用のタイマ時限は、鉄心の吸着時間よりも長く設定することになる。その結果、コイル制御回路素子には閉路制御時に大きな電流が鉄心の吸着時間以上の時間流れることになるので、鉄心の吸着位置検出による制御動作の切り替えに比べて回路素子の定格が大きなものとなる。
【0018】
また、電磁接触器の閉路制御では、印加する電源電圧によって電磁石の駆動力が決定されるので、電源電圧が高いときは、閉路制御時のコイル吸引力が大きくなり、鉄心吸着時の鉄心衝突速度が大きくなる。そのため、吸着時に大きな衝撃が発生し、電磁接触器の機械的寿命が低下する。この問題を解決するため、従来では、印加する電源電圧の調整によってコイルの吸引力を低減することが一般的に行われている。しかし、閉路制御時および保持制御時でのコイル電流は、コイル抵抗値のばらつき、コイル温度の上昇によるコイル抵抗の変化など電源電圧以外の変動要因による影響を受けるので、従来では、十分な効果が得られていないのが実状である。
【0019】
さらに、閉路制御時や保持制御時に故障等によって正常に動作しなかったときに備え、外部に、電磁接触器の動作異常を検出して警報等を出力する検出器を用意しなければならず、回路構成が複雑化する。
【0020】
加えて、閉路制御時と保持制御時でのコイル電流をオン・オフ制御して電流調整を行う場合、スイッチング周期に対応してコイルに発生する電磁力の変動周期が可聴周波数帯にあると、保持制御時に鉄心のうなり音が聞こえる。これを避けるため、コイル電流制御用のスイッチング素子のスイッチング周波数には、可聴周波数帯を超える周波数(例えば20kHz)が用いられる。しかし、従来では、閉路制御時と保持制御時とで同一のスイッチング周波数を用いているので、閉路制御時では、流れる大きな電流を高速にスイッチングする結果、スイッチング損失が大きくなり、またノイズの発生も増大する。
【0021】
さらにまた、通常、可動鉄心と固定鉄心の磁気回路では、コイル電流をオフしたときに鉄心素材の磁気特性による磁束が残るので、磁気回路を遮断する磁気ギャップまたは磁気スペーサを備えないと、可動鉄心が吸着状態となる現象が発生する。特に、直流電流での励磁コイルでは、この影響が大きく磁気スペーサが必要となる。
【0022】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、位置センサやタイマを用いることなく可動鉄心の吸着状態を確実に検出して閉路制御から保持制御への切り替えが実施できる電磁接触器のコイル駆動回路を得ることを目的とする。
【0023】
また、この発明は、コイル抵抗値のばらつき、コイル温度上昇によるコイル抵抗の変化など電源電圧以外の変動要因による影響を受けることなく、安定的に吸着力の低減制御が実施できる電磁接触器のコイル駆動回路を得ることを目的とする。
【0024】
また、この発明は、閉路制御時や保持制御時において動作異常を自動的に検出し、適切な措置・動作が実施できる電磁接触器のコイル駆動回路を得ることを目的とする。
【0025】
また、この発明は、スイッチング損失が低減でき、ノイズの発生も抑制することができる電磁接触器のコイル駆動回路を得ることを目的とする。
【0026】
また、この発明は、コイル電流をオフしたときに、可動鉄心が吸着状態となるのを防止し、解離させることができる電磁接触器のコイル駆動回路を得ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる電磁接触器のコイル駆動回路は、電磁接触器の可動鉄心を駆動する操作コイルに電源電圧をスイッチングして印加するスイッチング素子のオン・オフ時間比率を、閉路制御時では大きくし、保持制御時では小さくするように制御する電磁接触器のコイル駆動回路において、前記閉路制御時において前記操作コイルを流れるコイル電流の交流成分を検出する交流成分検出回路、または、コイル電流を積分する積分回路と、前記検出されたコイル電流の交流成分が前記可動鉄心の吸着を示す判定値以下に低下したこと、または前記積分回路の積分値が前記可動鉄心の吸着を示す判定値を超えたことに応答して前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記保持制御用の比率に切り替える、または、前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記閉路制御用の比率よりも小さい比率に変更して制御し、その後、前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記保持制御用の比率に切り替える制御回路とを備えたことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、操作コイルを流れるコイル電流に常時重畳されている交流成分、または、コイル電流の積分値によって可動鉄心の吸着状態を検出し、コイル電流を閉路電流から保持電流に切り替えることができる。したがって、鉄心位置を検出するセンサを備えることなく、また電源電圧変動や温度変化などの影響を受けるタイマを用いることなく、確実に鉄心吸着後にコイル電流を切り替えることができ、電磁接触器の確実な動作が実現できる。さらに、操作コイルを流れるコイル電流に常時重畳されている交流成分、または、コイル電流の積分値によって可動鉄心の吸着手前の状態を検出し、コイル電流を閉路電流から吸着力低減制御用の電流に切り替え、その後、保持電流に切り替えることができる。したがって、コイル抵抗値のばらつき、コイル温度上昇によるコイル抵抗の変化など電源電圧以外の変動要因による影響を受けることなく、安定的に吸着力の低減制御を実施して確実に鉄心の衝突速度が低減できるので、安価に長命化を図ることができ、小型で経済的な電磁接触器が実現できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電磁接触器のコイル駆動回路の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。図1において、電磁接触器の電源12は、三相交流電源または単相交流電源である。この電源12には、運転スイッチ13を介して整流回路14が接続されている。運転スイッチ13は、当該電磁接触器をオン状態とオフ状態に制御する外部からの切替信号によって制御される。整流回路14は、電源12の形式に応じた組合せによる整流用のダイオードで構成され、以下の各回路に交流電圧を整流した直流電圧を供給するようになっている。
【0031】
整流回路14の一方の出力電極(正極)と他方の出力電極(負極)との間には、電圧検出回路15と制御回路16とがそれぞれ接続されている。電圧検出回路15は、印加電圧を検出し、制御回路16に出力するようになっている。また、整流回路14の両出力電極間には、電磁接触器の操作コイル19と電流検出抵抗器R1とスイッチング素子TR1とが直列に配置されている。すなわち、整流回路14の一方の出力電極(正極)には、操作コイル19の一端が接続され、操作コイル19の他端には、電流検出抵抗器R1の一端が接続されている。電流検出抵抗器R1の他端には、スイッチング素子TR1の一方の信号電極が接続されている。スイッチング素子TR1の他方の信号電極には、整流回路14の他方の出力電極(負極)が接続されている。
【0032】
そして、操作コイル19の他端と電流検出抵抗器R1の一端との接続端は、コイル電流処理回路17の一方の入力端に接続され、電流検出抵抗器R1の他端とスイッチング素子TR1の一方の信号電極との接続端は、コイル電流処理回路17の他方の入力端に接続されている。また、スイッチング素子TR1の制御電極は、パルス発生回路18の出力端に接続されている。コイル電流処理回路17の出力(コイル電流の交流成分)は、制御回路16に入力され、制御回路16の出力(運転信号、投入信号、保持信号)は、パルス発生回路18に入力されている。
【0033】
また、操作コイル19と電流検出抵抗器R1の直列回路には、還流回路を構成するダイオードD1とホトカプラ20との直列回路と、充放電回路を構成するサイリスタSCRとコンデンサC1との直列回路とがそれぞれ並列に接続されている。
【0034】
すなわち、還流回路では、操作コイル19の一端にダイオードD1のカソードが接続され、ダイオードD1のアノードにホトカプラ20のホトトランジスタのエミッタ電極が接続され、そのホトトランジスタのコレクタ電極に電流検出抵抗器R1の他端が接続されている。ホトカプラ20の発光ダイオードには、制御回路16の出力(運転信号)が与えられている。
【0035】
また、充放電回路では、操作コイル19の一端にサイリスタSCRのアノードが接続され、サイリスタSCRのカソードにコンデンサC1の一方の電極が接続され、コンデンサC1の他方の電極に電流検出抵抗器R1の他端が接続されている。そして、ダイオードD1のアノードとホトカプラ20のホトトランジスタのエミッタ電極との接続端と、サイリスタSCRのカソードとコンデンサC1の一方の電極との接続端とは直接接続されている。また、サイリスタSCRのゲート電極とコンデンサC1の他方の電極との間には、電流制限抵抗器R2とツェナーダイオードで構成されるトリガ回路ZDとが直列に接続されている。
【0036】
ここで、操作コイル19は、電磁接触器において、供給されるコイル電流に応じて可動鉄心を駆動するコイルである。この明細書でいうコイル駆動回路は、この操作コイル19に供給するコイル電流を適切に制御する回路である。コイル駆動回路は、一般には、可動鉄心を固定鉄心に吸着させるように操作コイル19を駆動するが、この実施の形態では、後述するように、解離する方向にも駆動できるようになっている。なお、可動鉄心を固定鉄心に吸着させるようにする制御は閉路制御と称され、その後の吸着状態を維持する制御は保持制御と称され、可動鉄心を固定鉄心から解離する制御は開路制御と称されている。
【0037】
スイッチング素子TR1は、パルス発生回路18からのオン・オフ信号によって整流回路14の出力直流電圧、つまり、電源12から印加される電源電圧をスイッチングするようになっている。これによって、操作コイル19にコイル電流が流れる。コイル電流の大きさは、電源電圧と操作コイル19の抵抗値およびインダクタンス値とスイッチング素子TR1のオン時間とによって決まる。電流検出抵抗器R1は、操作コイル19に流れるコイル電流を検出し、コイル電流処理回路17に出力する。
【0038】
コイル電流処理回路17は、この実施の形態1では、交流成分検出回路を主な要素として構成され、電流検出抵抗器R1が検出したコイル電流から交流成分を検出し、制御回路16に出力するようになっている。図2は、図1に示すコイル電流処理回路17が備える交流成分検出回路の構成例を示す回路図である。この交流成分検出回路は、例えば図2に示すように、電流検出抵抗器R1が検出したコイル電流の交流成分を通過させる結合コンデンサC2,C3と、結合コンデンサC2,C3からの電流信号を電圧信号に変換する検出抵抗器R3と、検出抵抗器R3の両端に現れる電圧信号を増幅し、制御回路16に出力する増幅器25とで構成することができる。
【0039】
制御回路16は、時限回路を備え、電圧検出回路15の検出信号とコイル電流処理回路17から入力されるコイル電流の交流成分とに基づき、パルス発生回路18とホトカプラ20に対する運転信号と、パルス発生回路18に対する投入信号および保持信号とをそれぞれ発生するようになっている。具体的には、制御回路16は、電圧検出回路15が電磁接触器の動作可能電圧を超える電圧を検出したとき、運転信号と投入信号とをそれぞれ“H”レベルにする。その後、コイル電流処理回路17から入力されるコイル電流の交流成分を監視し、時限回路による適切なタイミングで投入信号を“L”レベルにし、保持信号を“H”レベルにすることを行う。また、電圧検出回路15が電磁接触器の動作可能な電圧を検出できないときは、誤動作を防止するため全ての出力を“L”レベルにするようになっている。
【0040】
パルス発生回路18は、制御回路16からの運転信号が“H”レベルであるときに、投入信号が“H”レベルである期間内、スイッチング素子TR1に閉路制御用のオン・オフ信号を出力し、保持信号が“H”レベルである期間内、スイッチング素子TR1に保持制御用のオン・オフ信号を出力する。この実施の形態では、閉路制御用のオン・オフ信号のオン時間比率は、保持制御用のオン・オフ信号のオン時間比率よりも大きくなるようにしている。
【0041】
還流回路では、運転信号が“H”レベルである期間内、ホトカプラ20がオン動作を行い、スイッチング素子TR1のオフ動作期間において操作コイル19の端子間に電流通路を形成するようになっている。ダイオードD1は、ホトカプラ20への逆電圧印加を阻止するために設けてある。
【0042】
スイッチング素子TR1のオフ動作期間では、操作コイル19のインダクタンス成分によるコイル電流が、電流検出抵抗器R1→ホトカプラ20→ダイオードD1→操作コイル19と減少しながら還流する。このときのコイル電流の減少程度は、操作コイル19の抵抗値およびインダクタンス値とスイッチング素子TR1のオフ時間とによって決まる。なお、還流回路にコイル電流が流れる動作期間ではコンデンサC1への充電動作は行われない。
【0043】
充放電回路の詳細は、後述するが、運転信号が“L”レベルとなり、ホトカプラ20がオフ動作を行うと、コンデンサC1への充電が行われ、判定値に達するとトリガ回路ZDが作動してサイリスタSCRをオン動作させ、コンデンサC1→電流検出抵抗器R1→操作コイル19→サイリスタSCR→コンデンサC1なる放電路を形成するようになっている。
【0044】
次に、図1〜図4を参照して、閉路制御から保持制御への切替動作について説明する。なお、図3は、電磁接触器の可動鉄心の解離距離とコイルインダクタンスとの関係を説明する特性図である。図4は、図1に示すコイル駆動回路において、閉路制御から保持制御への切り替えをコイル電流の交流成分が判定値となった以降の所定時限後に実施する場合のコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を説明する波形図である。
【0045】
運転スイッチ13が任意のタイミングでオンすると、電源12の電圧が電磁接触器のコイル駆動回路に印加される。この電圧は、整流回路14にて整流され直流電圧となり、電圧検出回路15にてその電圧値が判定される。電圧検出回路15が電磁接触器の動作可能な電圧以上の電圧を検出すると、制御回路16は、運転信号をパルス発生回路18とホトカプラ20とに出力すると同時に、電磁接触器を閉路するコイル電流を操作コイル19に供給するために、投入信号をパルス発生回路18に出力する。なお、電圧検出回路15が検出した直流電圧が電磁接触器の動作可能な電圧に達しないときは、制御回路16は、誤動作を防止するため、パルス発生回路18とホトカプラ20とに信号を出力しない。
【0046】
パルス発生回路18は、投入信号を受けて閉路制御用のパルス信号を生成し、スイッチング素子TR1にオン・オフ動作を行わせる。また、その後、制御回路16から保持信号が入力されると、パルス発生回路18は、保持制御用のパルス信号を生成し、スイッチング素子TR1にオン・オフ動作を行わせる。
【0047】
ここで、電磁接触器の閉路制御時には、可動鉄心と固定鉄心は離れた位置にあり、鉄心間に空間が存在する状態で可動鉄心を吸引することになる。この状態では、操作コイル19の磁気回路に鉄心間の空間部(非磁性体)が存在するので、操作コイル19で発生した磁界が有効に使用されない。そのため、可動鉄心を動作させる吸引力を発生させるためには、操作コイル19に大きな電流を流すことが必要である。一方、電磁接触器が閉路し可動鉄心と固定鉄心が吸着状態になると、操作コイル19の磁気回路には、非磁性体部分がないので操作コイル19で発生する磁界は有効に利用される。そのため、鉄心の吸着状態を保持する保持制御時では、操作コイル19には閉路させるための電流よりも小さな電流を流せば良い。
【0048】
そこで、パルス発生回路18では、スイッチング素子TR1のオン時間とオフ時間の比率を、投入信号による閉路制御時ではオン時間の比率を大きくしてコイル電流を大きくし、保持信号による保持制御時ではオン時間の比率を小さくしてコイル電流を低減するようにしている。そして、制御回路16では、鉄心吸着状態となるまで投入信号を出力し、鉄心吸着状態となると投入信号に代えて保持信号を出力するが、この切替制御をコイル電流処理回路17からのコイル電流の交流成分に基づき行うようにしている。このコイル電流の交流成分には、操作コイル19のインダクタンス成分の変動が反映されている。
【0049】
操作コイル19のインダクタンスは、可動鉄心と固定鉄心との解離距離によって決定される。すなわち、鉄心が吸着状態では、操作コイル19の磁気回路が全て強磁性体で構成されるので、コイル通過磁束量が鉄心の解離状態に比べて増加し、操作コイル19のインダクタンスが大きくなる。一方、鉄心が解離状態にあるときは、操作コイル19の磁気回路は、一部が非磁性体によって構成されるので、コイル通過磁束量が鉄心吸着状態よりも小さくなり、操作コイル19のインダクタンスは鉄心吸着時よりも小さくなる。
【0050】
したがって、図3に示すように、コイルインダクタンスは、吸着状態に至らない状態までは、ある低い値で推移するが、吸着を開始して鉄心解離距離がゼロに近くなると急激に増加し、鉄心解離距離がゼロの完全な吸着状態では最大値になる。このように、操作コイル19のインダクタンスは、可動鉄心と固定鉄心間の距離の変化に応じて変化する関係にあり、しかも、吸着状態に近づくと増大する。一方、コイル電流には、スイッチング素子TR1のオン・オフ動作によって常時交流成分(高周波成分)が重畳されている。この交流成分は、操作コイル19のインダクタンス値とスイッチング素子TR1のオン・オフ周期および時間比率とによって決定されるが、インダクタンス値が大きいときは交流成分は抑制され小さくなる。
【0051】
要するに、この実施の形態1では、閉路制御から保持制御への切り替えは、例えば図4に示すように行われる。図4において、コイル電圧(1)は、スイッチング素子TR1が整流回路14の出力直流電圧をオン・オフ制御したものである。閉路制御時31では、オン時間31aが長く、オフ時間31bが短い。保持制御時32では、オン時間32aが短く、オフ時間32bが長い。このように、オン時間とオフ時間の比率は、閉路制御時31では大きく、保持制御時32では小さくなっている。
【0052】
その結果、図4(2)のコイル電流に示すように、操作コイル19には、閉路制御時31では大きなコイル電流が流れ、保持制御32では小さなコイル電流が流れる。そして、閉路制御時31において、コイル電流処理回路17は、図2に示した交流成分検出回路によって電流検出抵抗器R1が検出したコイル電流から直流成分および低周成分をカットして交流成分(3)を抽出する。
【0053】
制御回路16では、コイル電流処理回路17が抽出したコイル電流の交流成分(3)を監視し、その大きさが低下して可動鉄心の吸着状態を示す判定値に到達すると、時限回路を起動し、鉄心衝突時の機械的衝撃や、電磁接触器のオン動作時に起こる電源電圧変動の影響がなくなるまでの所定時限34の経過後に保持信号を出力し、保持制御32への切り替えを実施する。なお、コイル電流の交流成分が低下し、可動鉄心の吸着状態を示す判定値に到達すると、時限回路を用いずに、直ちにコイル電流の切り替えを実施してよい場合もある。
【0054】
このように、実施の形態1によれば、コイル電流に常時発生している高周波成分を直接抽出し、その交流成分の大きさからコイルインピーダンスの変化を検出し、鉄心の吸引状態を判定するようにしたので、特別の装置を用いて操作コイルのインダクタンスを測定し鉄心の吸着状態を検出する従来方式(特許文献5)に比較して容易に鉄心の吸着状態を判定することができる。
【0055】
また、鉄心位置を検出する位置センサを用いることなく、電源電圧変動や温度変化等の外部環境の変動の影響を受けるタイマを用いることなく、確実にコイル電流を鉄心吸着後に切り替えることができるので、電磁接触器の確実な動作が実現でき、小型の経済的な電磁接触器が実現できる。
【0056】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。なお、図5では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には、同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
【0057】
図5に示すように、実施の形態2では、図1に示した構成において、制御回路16に代えて、制御回路35が設けられている。制御回路35は、閉路制御時において、コイル電流処理回路17からのコイル電流の交流成分が第1判定値以下に低下するまでは、パルス発生器18に、実施の形態1にて説明した閉路制御時用のオン・オフ信号を出力させるが、第1判定値からそれよりも低い第2判定値以下に低下するまでの間、パルス発生器18に、閉路制御時用のオン・オフ信号よりもオン時間比率を下げた吸引力低減制御用のオン・オフ信号を出力させ、その後、保持制御用のオン・オフ信号を出力させる制御を行うようになっている。
【0058】
以下、図6を参照して、実施の形態2によるコイル駆動回路の動作を説明する。図6は、図5に示すコイル駆動回路において、閉路制御においてコイル電流の交流成分が第1判定値および第2判定値となる期間内に吸引力低減制御を実施した後に閉路制御から保持制御への切り替えを実施する場合のコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を説明する波形図である。
【0059】
図6において、閉路制御時31では、スイッチング素子TR1は、当初は、実施の形態1(図4)と同様に、長いオン時間31aと短いオフ時間31bによって制御されるが、コイル電流の交流成分の大きさが、第1判定値以下となり、可動鉄心が固定鉄心との衝突位置よりも前の位置にあることが判定されると、それよりも低い第2判定値以下に低下するまでの間、吸引力低減制御33が行われる。
【0060】
吸引力低減制御33では、スイッチング素子TR1は、オン時間31aよりも短く保持制御時32のオン時間32aよりは長いオン時間33aと、オフ時間31bよりは長く保持制御時32のオフ時間32bよりは短いオフ時間33bとによってオン・オフ駆動される。その結果、第1判定値から第2判定値までの間に行われる吸引力低減制御時33では、コイル電流が減少する減少期間36が形成される。これによって、操作コイル19の吸引力は、閉路制御31の開始時に比べて低減され、可動鉄心の吸引速度が低減する。この状態で保持制御32への切り替えが行われる。
【0061】
したがって、電磁接触器の閉路制御では、スイッチング素子TR1のオン・オフ制御を一定にする閉路条件にて操作コイル19を駆動すると、鉄心吸着時の可動鉄心の速度が大きく、大きな衝撃力により寿命を低下させることになるが、実施の形態2によれば、可動鉄心が固定鉄心に衝突する前に、操作コイルの吸引力を低減し鉄心衝突時の速度を低減することができるので、電磁接触器の長寿命化が図れる。
【0062】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。なお、図7では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には、同一の符号が付されている。ここでは、この実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
【0063】
図7に示すように、実施の形態3では、図1に示した構成において、制御回路16に代えて、制御回路38が設けられ、コイル電流処理回路17に代えて、コイル電流処理回路39が設けられている。コイル電流処理回路39は、コイル電流を積分する積分回路を主な要素として構成されている。
【0064】
制御回路38は、時限回路を備え、コイル電流処理回路39から入力されるコイル電流の積分値を監視し、判定値に到達までは、パルス発生器18に、実施の形態1にて説明した閉路制御時用のオン・オフ信号を出力させるが、判定値を超えると、時限回路による所定期間内、パルス発生器18に、閉路制御時用のオン・オフ信号よりもオン時間比率を下げた吸引力低減制御用のオン・オフ信号を出力させ、その後、保持制御のオン・オフ信号を出力させる制御を行うようになっている。
【0065】
以下、図8を参照して、実施の形態2によるコイル駆動回路の動作を説明する。図8は、図7に示すコイル駆動回路において、閉路制御から保持制御への切り替えをコイル電流の積分値が判定値となった以降の所定時限後に実施する場合のコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を説明する波形図である。
【0066】
図8において、閉路制御時31では、スイッチング素子TR1は、当初は、実施の形態1(図4)と同様に、長いオン時間31aと短いオフ時間31bによって制御されるが、コイル電流の積分値が判定値41を超えると、可動鉄心が固定鉄心との衝突位置よりも前の位置にあることが判定され、所定時限42が経過するまでの間、吸引力低減制御33が行われる。
【0067】
吸引力低減制御33では、スイッチング素子TR1は、オン時間31aよりも短く保持制御時32のオン時間32aよりは長いオン時間33aと、オフ時間31bよりは長く保持制御時32のオフ時間32bよりは短いオフ時間33bとによってオン・オフ駆動される。その結果、所定時限42の間実施される吸引力低減制御時33では、コイル電流が減少する。これによって、操作コイル19の吸引力は、閉路制御31の開始時に比べて低減するので、可動鉄心の吸引速度が低減する。この状態で保持制御への切り替えが行われる。
【0068】
上記のように電磁接触器の閉路制御では、一定の閉路条件にて操作コイル19を駆動すると、鉄心吸着時の可動鉄心の速度が大きく、閉路時の大きな衝撃力により寿命を低下させることになるが、電源電圧の変動や周囲温度変化の影響によって操作コイル19の鉄心駆動力が変動する。これに対し、この実施の形態3では、コイル電流を積分することで操作コイル19の鉄心駆動力の変動が影響しないようにしたので、可動鉄心が固定鉄心に当たる前の位置を的確に判定して低減吸引力状態で可動鉄心を吸着させることができ、周囲環境の変化によらず一定の条件で可動鉄心を吸引することができる。
【0069】
したがって、実施の形態3によれば、実施の形態2と同様に、可動鉄心が固定鉄心に衝突する前に、操作コイルの吸引力を低減し鉄心衝突時の速度を低減することができるので、電磁接触器の長寿命化が図れる。
【0070】
なお、実施の形態3では、コイル電流の積分値が判定値を超えたとき、吸引力低減制御を行うようにしたが、コイル電流の積分値が判定値を超えたとき、保持制御への切り替えを行うようにしてもよい。制御精度は、実施の形態1よりも若干劣るが同様の作用効果が得られる。
【0071】
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態4である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。なお、図9では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には、同一の符号が付されている。ここでは、この実施の形態4に関わる部分を中心に説明する。
【0072】
図9に示すように、実施の形態4では、図1に示した構成において、制御回路16に代えて、制御回路44が設けられ、コイル電流処理回路17に代えて、コイル電流処理回路45が設けられている。コイル電流処理回路45は、コイル電流を積分する積分回路とコイル電流から交流成分を抽出する交流成分検出回路とを主な要素として構成されている。
【0073】
制御回路44は、コイル電流処理回路45から入力されるコイル電流の積分値および交流成分を監視し、積分値が判定値に到達までは、パルス発生器18に、実施の形態1にて説明した閉路制御時用のオン・オフ信号を出力させるが、積分値が判定値を超えると、交流成分が判定値以下に低下するまでの所定期間内、パルス発生器18に、閉路制御時用のオン・オフ信号よりもオン時間比率を下げた吸引力低減制御用のオン・オフ信号を出力させ、その後、保持制御のオン・オフ信号を出力させる制御を行うようになっている。
【0074】
以下、図10を参照して、実施の形態2によるコイル駆動回路の動作を説明する。図10は、図9に示すコイル駆動回路において、閉路制御においてコイル電流の積分値が判定値となったときからコイル電流の交流成分が判定値となる期間内に吸引力低減制御を実施した後に閉路制御から保持制御への切り替えを実施する場合のコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を説明する波形図である。
【0075】
図10において、閉路制御時31では、スイッチング素子TR1は、当初は、実施の形態1(図4)と同様に、長いオン時間31aと短いオフ時間31bによって制御されるが、コイル電流の積分値が判定値41を超えると、可動鉄心が固定鉄心との衝突位置よりも前の位置にあることが判定され、コイル電流の交流成分が判定値以下に低下し鉄心が吸着したと判定できるまでの所定期間内、吸引力低減制御33が行われる。
【0076】
吸引力低減制御33では、スイッチング素子TR1は、オン時間31aよりも短く保持制御時32のオン時間32aよりは長いオン時間33aと、オフ時間31bよりは長く保持制御時32のオフ時間32bよりは短いオフ時間33bとによってオン・オフ駆動される。その結果、吸引力低減制御時33では、コイル電流が減少する。これによって、操作コイル19の吸引力は、閉路制御31の開始時に比べて低減するので、可動鉄心の吸引速度が低減する。この状態で保持制御への切り替えが行われる。
【0077】
したがって、実施の形態4によれば、実施の形態2,3と同様に、可動鉄心が固定鉄心に衝突する前に、操作コイルの吸引力を低減し鉄心衝突時の速度を低減することができるので、電磁接触器の長寿命化が図れる。
【0078】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5では、コイル電流の交流成分を利用して異常動作を検出する場合が示されている。したがって、この実施の形態5は、実施の形態1(図1)、実施の形態2(図5)、および実施の形態4(図9)に示したコイル駆動回路において実施される。以下、図11〜図13を参照して説明する。
【0079】
図11は、この発明の実施の形態5である電磁接触器のコイル駆動回路において実施される異常検出動作(その1)を説明するコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を示す波形図である。
【0080】
図11において、コイル電圧(1)は、閉路制御時31におけるものである。なんらかの原因で吸着しないオン動作不良が起こると、コイル電流(2)は、この閉路制御31の期間内、増大することが起こる。上記のように、制御回路では、コイル電流の交流成分(3)の変化を監視している。
【0081】
そこで、閉路制御31の動作時間に相当する所定の判定時間47の経過後もコイル電流の交流成分(3)が判定値に低下しないことを検出すると、制御回路は、電磁接触器がオン動作をしない異常であると判定し、パルス発生回路に対しスイッチング素子のオン・オフ制御を停止させる指示を出す。その結果、コイル電流は、還流回路を減衰しながら還流し、消滅し、可動鉄心を解離させる開路制御49が行えるようになる。
【0082】
このように、コイル電流の交流成分の閉路制御時における所定時間内での減衰状態を判定することにより、閉路制御時に電磁接触器の故障による鉄心の吸着動作不具合が検出でき、直ちに開路制御に移行できるので、閉路制御時に流す大きな電流を継続してコイルに通電することがなく、コイル焼損等の事故が防止できる。このとき、電磁接触器の異常として警報出力が可能であるので、適切な措置を迅速に採ることが可能となる。
【0083】
図12は、この発明の実施の形態5である電磁接触器のコイル駆動回路において実施される異常検出動作(その2)を説明するコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を示す波形図である。
【0084】
図12において、コイル電圧(1)は、保持制御時32におけるものである。なんらかの原因で鉄心が解離する動作不良が起こると、コイル電流(2)は、この保持動作期間内で変動することが起こる。上記のように、制御回路では、コイル電流の交流成分(3)の変化を監視している。
【0085】
そこで、保持制御時32にコイル電流の交流成分(3)が判定値よりも大きくなるのを検出すると、制御回路は、電磁接触器がオン動作異常であると判定し、パルス発生回路に対しスイッチング素子のオン・オフ制御を停止させる指示を出す。その結果、コイル電流は、還流回路を減衰しながら還流し、消滅し、可動鉄心を解離させる開路制御51が行えるようになる。
【0086】
このように、コイル電流の交流成分の保持制御時における増加状態を判定することにより、保持制御時に鉄心が解離してしまい正しく電磁接触器がオン状態にならない異常が検出できる。このとき、電磁接触器の異常として警報出力が可能であるので、適切な措置を迅速に採ることが可能となる。
【0087】
図13は、この発明の実施の形態5である電磁接触器のコイル駆動回路において実施される異常検出動作(その3)を説明するコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を示す波形図である。
【0088】
図13において、操作コイルに保持制御時32の電圧(1)が印加されている場合に、なんらかの原因で鉄心が解離する動作不良が起こると、コイル電流(2)は、この保持動作期間内で変動することが起こる。上記のように、制御回路では、コイル電流の交流成分(3)の変化を監視している。
【0089】
そこで、保持制御時32にコイル電流の交流成分(3)が判定値よりも大きくなるのを検出すると、制御回路は、電磁接触器がオン動作をしない異常であると判定し、パルス発生回路に対しスイッチング素子のオン・オフ制御を閉路制御用に切り替えさせる指示を出す。
【0090】
その結果、操作コイルに閉路制御時55のコイル電圧(1)が印加され、コイル電流(2)が増大し、可動鉄心を吸着させる制御が行われ、電磁接触器を異常状態から本来のオン状態に回復する動作が行われる。したがって、外部からの特別な回復動作が不要となり、制御システムが簡易化できる。
【0091】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6では、閉路制御時において実施されるノイズ低減動作が示されている。この実施の形態6は、実施の形態1(図1)、実施の形態2(図5)、実施の形態3(図7)、および実施の形態4(図9)に示したコイル駆動回路において実施される。以下、図14〜図16を参照して説明する。
【0092】
図14は、この発明の実施の形態6である電磁接触器のコイル駆動回路において実施されるノイズ低減動作を説明する図(コイル電圧とコイル電流の関係を示す波形図)である。図15は、図14に示すノイズ低減動作が必要となる背景を説明する図(閉路制御時と保持制御時におけるコイル電圧とコイル電流の関係を示す波形図)である。図16は、図14に示すノイズ低減動作が必要となる背景を説明する図(閉路制御時と保持制御時においてスイッチング素子で生ずる電力損失を説明する図)である。
【0093】
まず、図15と図16を参照してノイズ低減動作が必要となる背景を説明する。図15では、閉路制御時61でのオン・オフ制御のオン時間比率を保持制御時62でのオン・オフ制御のオン時間比率よりも大きくした場合のコイル電圧(1)とコイル電流(2)の関係が示されている。閉路制御時61では、オン時間61aが長く、オフ時間61bが短い。保持制御時62では、オン時間62aが短く、オフ時間62bが長い。
【0094】
また、図16では、図15に示した制御状態での、コイル電圧(1)、スイッチング素子TR1の両端間電圧(2)、スイッチング素子TR1を流れる電流(3)、スイッチング素子TR1で生ずる電力損失(4)の関係が示されている。
【0095】
電磁接触器のコイル電流をオン・オフ制御して電流調整を行う場合には、コイル電流は、スイッチング周期に応じて変動するので、操作コイルに発生する電磁力も変動している。この電磁力の変動が可聴周波数帯にあると、電磁接触器の保持制御時に鉄心のうなり音が聞こえる。このためコイル電流のオン・オフ制御周波数は、可聴周波数帯を超える20kHz程度とする必要がある。
【0096】
一方、コイル電流をオン・オフ制御するスイッチング素子TR1では、定常損失とスイッチング損失とからなる電力損失が発生する(図16(4))。ここに、定常損失は、通常のオン状態におけるスイッチング素子TR1の電流と両端間電圧との積で決まる損失である。また、スイッチング損失は、オン・オフ動作(開閉動作)によって発生するもので、開閉電流値と開閉時の電圧と電流開閉速度と電流開閉周波数とによって決まる損失である。そして、1開閉動作当たりスイッチング損失は、スイッチング素子TR1の通電電流がゼロに低下するまでの時間内における電流値と、スイッチング素子TR1の両端間電圧がゼロから印加電圧になるまでの時間内における電圧との積で表される。
【0097】
したがって、使用電流が大きい、使用電圧が高い、スイッチング時間が長い、単位時間当たりのスイッチング回数が多い状況では、電力損失が増加することになる。すなわち、操作コイルの閉路制御時では、大きな電磁吸引力が必要であるので、コイル電流は保持制御時に比べ大きな電流が流れている。しかも、スイッチング周波数は20kHzと極めて高いので、大電流負荷での高周波スイッチング動作によってノイズの発生量が増加するのに加えて、スイッチング損失が増加する。その結果、発生するノイズの低減にはサージ吸収器の追加が必要となり、スイッチング損失の増加にはそれに耐え得るようにスイッチング素子の容量を高める必要がある。
【0098】
そこで、この実施の形態6では、これらの問題を解決するために、コイル電流が大きい閉路制御時には、保持制御時よりもスイッチング周期を大きくし、スイッチング周波数を低減する制御を行うようにしている。具体的には、保持制御時では、コイル電流は、可動鉄心を吸着状態に保つことができる最低レベルで良いので、スイッチング周波数は、うなり音として聞こえない程度の高い周波数(例えば20kHz)とする。一方、閉路制御は短期間で終わるので、うなり音が聞こえても実使用上は問題がないことから、閉路制御時のスイッチング周波数は、可聴周波数帯に下げるようにする。
【0099】
図14では、コイル電流が大きい閉路制御時での具体的な制御例が示されている。図14に示すように、閉路制御時65では、スイッチング素子TR1のオン・オフ制御周期がコイル電流値に比例するよう制御される。すなわち、閉路制御時65では、コイル電流(2)の増加に伴い、コイル電圧(1)に示すように、スイッチング素子TR1のオン・オフ制御周期が、周期66a,66b,66c,66d,66eと増大するように制御される。これにより、大電流負荷での高周波スイッチング動作によるノイズ発生量の増加とスイッチング損失の増加とを防ぐことができる。
【0100】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7では、保持制御から開路制御に移行する場合に逆電流を流す動作例(その1)が示されている。この実施の形態7は、実施の形態1(図1)、実施の形態2(図5)、実施の形態3(図7)、および実施の形態4(図9)に示したコイル駆動回路において実施される。
【0101】
以下、図1と図17を参照して説明する。図17は、この発明の実施の形態7である電磁接触器のコイル駆動回路において実施される開路制御を説明する図(コイル電圧、コイル電流、運転信号、コンデンサ端子電圧との関係を示す波形図)である。
【0102】
保持制御時71では、スイッチング素子TR1は、短いオン時間71aと長いオフ時間71bとによるオン・オフ制御が行われ(図17(1))、操作コイル19を流れるコイル電流は保持電流に保たれている(図17(2))。このとき、還流回路では、ホトカプラ20は“H”レベルの運転信号が供給され(図17(3))、オン動作状態にあるので、スイッチング素子TR1のオフ動作時でのコイル電流が電流検出抵抗器R1→ホトカプラ20→ダイオードD1→操作コイル19と還流し、保持動作が維持される。ホトカプラ20がオン動作しているので、ホトカプラ20に並列接続されるコンデンサC1にはコイル電流は流れず、充電されない。なお、この動作は、閉路制御時にも行われている。
【0103】
電磁接触器をオフするため運転スイッチ13がオフされると、電圧検出回路15は、電源電圧が無くなったことを検出し制御回路16に停止指令を出す。制御回路16は、パルス発生回路18への保持信号を“L”レベルにし、同時にパルス発生回路18とホトカプラ20への運転信号を“L”レベルにする(図17(3))。
【0104】
これによってパルス発生回路18は、スイッチング素子TR1のオン・オフ制御が停止し、スイッチング素子TR1をオフ状態にする。また、ホトカプラ20はオフ状態になる。その結果、操作コイル19に蓄積された磁気エネルギーによる電流が減衰しながら電流検出抵抗器R1→コンデンサC1→ダイオードD1→操作コイル19と流れ、図17(4)に示すようにコンデンサC1の充電76が行われ、コンデンサの端子電圧がピーク電圧77に向かって上昇する。
【0105】
そして、コンデンサC1の端子電圧がトリガ回路ZDを構成するツェナーダイオードのオン動作電圧(例えばピーク電圧77)に到達すると、トリガ回路ZDが作動してサイリスタSCRをオン動作させ、コンデンサC1→電流検出抵抗器R1→操作コイル19→サイリスタSCR→コンデンサC1なる放電路が形成される。この放電時78に操作コイル19を流れるコイル電流は、保持制御時71での電流の向きとは逆向きの電流74であるので、可動鉄心には、保持制御時71とは逆向きの磁界が掛かることになる。
【0106】
その結果、開路制御時72では、保持制御時71での残留磁束を打ち消す、ないしは低減させることができるので、残留磁束による鉄心吸着状態の発生を速やかに解消することができ、確実に鉄心を解離することができる。なお、この逆方向の磁界を印加する時間は、オフ時のコイル電流値、コイルインピーダンス値およびコンデンサ容量値によって決まるので、それらを電磁接触器の開路制御特性に合わせて設定することになる。
【0107】
このように、実施の形態7によれば、開路制御時に別のエネルギーを供給することなく自己のコイルエネルギーを使用して、吸着状態の鉄心に逆方向の磁界を発生させることができるので、電磁接触器が磁気ギャップの無い鉄心構造で、残留磁気の大きな鉄心材料を使用し、鉄心吸着状態での保持動作当たりの保持力発生を主に鉄心材料の残留磁束によって行い、コイル電流による吸引力の比率を低減させるようにしている場合でも、また使用中に鉄心部の磨耗等により磁気ギャップが無くなった場合でも、電磁接触器のオフ時に確実に鉄心解離を行うことができる。したがって、保持制御時のコイル駆動電流を低減した省エネルギー形の電磁接触器を実現することができる。
【0108】
なお、実施の形態7では、コンデンサの端子電圧が判定値(例えばピーク電圧)に達したときに逆向きのコイル電流を流す放電路を形成するようにしたが、保持制御時のコイル電流がゼロとなったときから所定時間経過後に逆向きのコイル電流を流す放電路を形成するようにしてもよい。これは、保持制御から開路制御に移行する場合に逆電流を流す動作例(その2)である。
【0109】
実施の形態8.
図18は、この発明の実施の形態8である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。この発明の実施の形態8では、保持制御から開路制御に移行する場合に逆電流を流す動作例(その3)が示されている。なお、図18では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には、同一の符号が付されている。ここでは、この実施の形態8に関わる部分を中心に説明する。
【0110】
図18に示すように、この実施の形態8では、図1に示した構成において、サイリスタSCRに代えて、トランジスタTR2が設けられている。すなわち、トランジスタTR2のエミッタ電極は操作コイル19の一端に接続され、コレクタ電極はコンデンサC1の一方の電極に接続されている。そして、このトランジスタTR2のオン動作時間を制御する放電制御回路80が追加されている。放電制御回路80は、電圧検出回路80aと定電流制御回路80bとで構成されている。
【0111】
電圧検出回路80aは、コンデンサC1に並列に接続され、コンデンサC1の端子電圧を検出し、定電流制御回路80bに対し起動信号を出力するとともに、定電流制御を行わせる制御信号を出力する。定電流制御回路80bの出力端は、電流制限抵抗器R2を介してトランジスタTR2のベース電極に接続されている。定電流制御回路80bは、電圧検出回路80aの指示に従いトランジスタTR2に放電電流を一定時間、定電流化させる動作を行うようになっている。
【0112】
次に、図19を参照して、この実施の形態8にて実施される保持制御から開路制御に移行する場合に逆電流を流す動作について説明する。なお、図19は、図18に示すコイル駆動回路において実施される開路制御を説明する図(コイル電流とコンデンサ端子電圧との関係を示す波形図)である。
【0113】
実施の形態7(図17)にて説明したように、パルス発生回路18がスイッチング素子TR1のオン・オフ制御を停止し、また、ホトカプラ20がオフ状態になると、操作コイル19に蓄積された磁気エネルギーによる電流が減衰しながら電流検出抵抗器R1→コンデンサC1→ダイオードD1→操作コイル19と流れ、図19(2)に示すようにコンデンサC1の充電83が行われ、コンデンサの端子電圧がピーク電圧84に向かって上昇する。
【0114】
放電制御回路80では、電圧検出回路80aがコンデンサC1の端子電圧がピーク電圧84に到達したことを検出すると、定電流制御回路80bに対し起動信号を出力する。これによって、定電流制御回路80bがトランジスタTR2をオン駆動し、コンデンサC1→電流検出抵抗器R1→操作コイル19→トランジスタTR2→コンデンサC1なる放電路が形成される。
【0115】
このとき、定電流制御回路80bは、電圧検出回路80aから放電電流の大きさを制限させる制御信号が入力されるので、その制御信号に従ってトランジスタTR2に供給するベースバイアスを制御する。その結果、コンデンサC1の端子電圧は、図19(2)に示すように、ピーク電圧84からある電圧まで急降下した後の一定期間、その電圧を維持するように制御される。つまり、図19(1)に示すように、操作コイル19に流す逆向きのコイル電流81の持続時間が実施の形態7で説明した逆向きの電流74の通電時間よりも長くなるように放電電流が制御される。したがって、定電流制御回路80bとトランジスタTR2は、全体として定電流回路を構成していることになる。
【0116】
このように、実施の形態8によれば、コンデンサの放電時に鉄心を解離させるために必要な最低限度の電流に制限して放電させ、操作コイルに流す逆電流の通電時間を実施の形態7よりも長くすることができるので、鉄心に印加され逆方向磁界の印加時間が長くなり、より確実に鉄心の解離を行うことができる。したがって、磁気ギャップの無い鉄心構造や使用中に鉄心部の磨耗等により磁気ギャップが無くなった場合でも一層確実に鉄心を解離することができるようになる。
【0117】
なお、実施の形態7,8では、実施の形態1〜6に準じて、操作コイルに電源電圧をスイッチングして印加するスイッチング素子のオン・オフ時間比率を、閉路制御時では大きくし、保持制御時では小さくするように制御する電磁接触器のコイル駆動回路への適用例を示したが、この発明は、これに限定されるものではない。すなわち、実施の形態7,8で説明した開路制御時の充放電制御は、スイッチング素子のオン・オフ時間比率を変更しない方式においても、同様に適用することができることは言うまでもない。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、電磁接触器の可動鉄心を駆動する操作コイルに電源電圧をスイッチングして印加するスイッチング素子のオン・オフ時間比率を、閉路制御時では大きくし、保持制御時では小さくするように制御する電磁接触器のコイル駆動回路において、操作コイルを流れるコイル電流に常時重畳されている交流成分、または、コイル電流の積分値によって可動鉄心の吸着状態を検出し、コイル電流を閉路電流から保持電流に切り替えることができる。したがって、鉄心位置を検出するセンサを備えることなく、また電源電圧変動や温度変化などの影響を受けるタイマを用いることなく、確実に鉄心吸着後にコイル電流を切り替えることができ、電磁接触器の確実な動作が実現できる。
【0119】
さらに、操作コイルを流れるコイル電流に常時重畳されている交流成分、または、コイル電流の積分値によって可動鉄心の吸着手前の状態を検出し、コイル電流を閉路電流から吸着力低減制御用の電流に切り替え、その後、保持電流に切り替えることができる。したがって、コイル抵抗値のばらつき、コイル温度上昇によるコイル抵抗の変化など電源電圧以外の変動要因による影響を受けることなく、安定的に吸着力の低減制御を実施して確実に鉄心の衝突速度が低減できるので、安価に長命化を図ることができ、小型で経済的な電磁接触器が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。
【図2】 図1に示すコイル電流処理回路が備える交流成分検出回路の構成例を示す回路図である。
【図3】 電磁接触器の可動鉄心の解離距離とコイルインダクタンスとの関係を説明する特性図である。
【図4】 図1に示すコイル駆動回路において、閉路制御から保持制御への切り替えをコイル電流の交流成分が判定値となった以降の所定時限後に実施する場合のコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を説明する波形図である。
【図5】 この発明の実施の形態2である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。
【図6】 図5に示すコイル駆動回路において、閉路制御においてコイル電流の交流成分が第1判定値および第2判定値となる期間内に吸引力低減制御を実施した後に閉路制御から保持制御への切り替えを実施する場合のコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を説明する波形図である。
【図7】 この発明の実施の形態3である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。
【図8】 図7に示すコイル駆動回路において、閉路制御から保持制御への切り替えをコイル電流の積分値が判定値となった以降の所定時限後に実施する場合のコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を説明する波形図である。
【図9】 この発明の実施の形態4である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。
【図10】 図9に示すコイル駆動回路において、閉路制御においてコイル電流の積分値が判定値となったときからコイル電流の交流成分が判定値となる期間内に吸引力低減制御を実施した後に閉路制御から保持制御への切り替えを実施する場合のコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を説明する波形図である。
【図11】 この発明の実施の形態5である電磁接触器のコイル駆動回路において実施される異常検出動作(その1)を説明するコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を示す波形図である。
【図12】 この発明の実施の形態5である電磁接触器のコイル駆動回路において実施される異常検出動作(その2)を説明するコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を示す波形図である。
【図13】 この発明の実施の形態5である電磁接触器のコイル駆動回路において実施される異常検出動作(その3)を説明するコイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を示す波形図である。
【図14】 この発明の実施の形態6である電磁接触器のコイル駆動回路において実施されるノイズ低減動作を説明する図(コイル電圧、コイル電流、コイル電流の交流成分との関係を示す波形図)である。
【図15】 図14に示すノイズ低減動作が必要となる背景を説明する図(閉路制御時と保持制御時におけるコイル電圧とコイル電流の関係を示す波形図)である。
【図16】 図14に示すノイズ低減動作が必要となる背景を説明する図(閉路制御時と保持制御時においてスイッチング素子で生ずる電力損失を説明する図)である。
【図17】 この発明の実施の形態7である電磁接触器のコイル駆動回路において実施される開路制御を説明する図(コイル電圧、コイル電流、運転信号、コンデンサの端子電圧との関係を示す波形図)である。
【図18】 この発明の実施の形態8である電磁接触器のコイル駆動回路の構成を示す回路図である。
【図19】 図18に示すコイル駆動回路において実施される開路制御を説明する図(コイル電流とコンデンサ端子電圧との関係を示す波形図)である。
【符号の説明】
12 電磁接触器の電源、13 運転スイッチ、14 整流回路、15 電圧検出回路、16,35,38,44 制御回路、17,39,45 コイル電流処理回路、18 パルス発生回路、19 操作コイル、20 ホトカプラ(開閉素子)、25 増幅器、80 放電制御回路、80a 電圧検出回路、80b 定電流制御回路、R1 電流検出抵抗器、D1 ダイオード、TR1 スイッチング素子、SCR サイリスタ(開閉素子)、R2 電流制限抵抗器、ZD トリガ回路、TR2 トランジスタ。

Claims (7)

  1. 電磁接触器の可動鉄心を駆動する操作コイルに電源電圧をスイッチングして印加するスイッチング素子のオン・オフ時間比率を、閉路制御時では大きくし、保持制御時では小さくするように制御する電磁接触器のコイル駆動回路において、
    前記閉路制御時において前記操作コイルを流れるコイル電流の交流成分を検出する交流成分検出回路と、
    前記検出されたコイル電流の交流成分が前記可動鉄心の吸着を示す判定値以下に低下したことに応答して前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記保持制御用の比率に切り替える制御回路と、
    を備えたことを特徴とする電磁接触器のコイル駆動回路。
  2. 前記制御回路は、
    前記検出されたコイル電流の交流成分が前記可動鉄心の吸着間近の状態を示す第1判定値以下に低下したときから前記第1判定値よりも小さい前記可動鉄心の吸着を示す第2判定値以下に低下するまでの期間内、前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記閉路制御用の比率よりも小さい比率に変更して制御し、その後、前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記保持制御用の比率に切り替える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器のコイル駆動回路。
  3. 電磁接触器の可動鉄心を駆動する操作コイルに電源電圧をスイッチングして印加するスイッチング素子のオン・オフ時間比率を閉路制御時では大きくし、保持制御時では小さくするように制御する電磁接触器のコイル駆動回路において、
    前記閉路制御時において前記操作コイルを流れるコイル電流の交流成分を検出する交流成分検出回路と、
    前記操作コイルを流れるコイル電流を積分する積分回路と、
    前記積分回路の積分値が前記可動鉄心の吸着間近の状態を示す判定値に到達したときから前記検出されたコイル電流の交流成分が前記可動鉄心の吸着を示す判定値以下に低下するまでの期間内、前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記閉路制御用の比率よりも小さい比率に変更して制御し、その後、前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記保持制御用の比率に切り替える制御回路と、
    を備えたことを特徴とする電磁接触器のコイル駆動回路。
  4. 前記制御回路は、
    前記閉路制御時において、前記検出されたコイル電流の交流成分が監視期間経過後も判定値以下に低下しないとき、異常信号を外部に出力するとともに、前記スイッチング素子のオン・オフ駆動制御を停止する
    ことを特徴とする請求項1,2,3のいずれか一つに記載の電磁接触器のコイル駆動回路。
  5. 前記制御回路は、
    前記保持制御時において、前記検出されたコイル電流の交流成分が判定値を超えたとき、異常信号を外部に出力するとともに、前記スイッチング素子のオン・オフ駆動制御を停止する
    ことを特徴とする請求項1,2,3のいずれか一つに記載の電磁接触器のコイル駆動回路。
  6. 前記制御回路は、
    前記保持制御時において、前記検出されたコイル電流の交流成分が判定値を超えたとき、前記スイッチング素子のオン・オフ時間比率を前記閉路制御用の比率に切り替える
    ことを特徴とする請求項1,2,のいずれか一つに記載の電磁接触器のコイル駆動回路。
  7. 前記制御回路は、
    前記スイッチング素子のオン・オフ制御周期を閉路制御時の方が保持制御時よりも長くなるように制御する
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の電磁接触器のコイル駆動回路。
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