JP4078801B2 - 電磁継電器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁継電器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁継電器として、ベースに形成した端子孔に接触片の端子部を圧入して底面より突出させ、この圧入部分にベースの底面側から接着剤を注入して固定するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記ベースからの端子部の突出位置は、実装するプリント基板等の関係を考慮しているため、殆どの場合、中心から側方にずれている。つまり、接点開閉位置に対してアンバランスな位置に端子部が形成されている。このため、前記接着剤が硬化する際の収縮により端子部に応力が作用すると、接触片が位置ずれし、接点間距離等の動作特性に直接悪影響を及ぼす恐れがある。
【0004】
そこで、本発明は、ベースの端子孔に端子部を接着剤によって適切に固定することのできる電磁継電器を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
上面から圧入凹部を形成され、該圧入凹部から下面に貫通する端子孔を穿設されたベースと、
該ベースの圧入凹部に圧入される圧入部と、
該圧入部から上方に延設され、先端に接点を設けられる接点部と、
前記圧入部の一方の側縁部から下方に延設され、前記ベースの端子孔を貫通する端子部と、
を有する接触片と、
を備え、
前記ベースの下面側から端子孔に接着剤を注入して端子部を固定するようにした電磁継電器において、
前記接触片の圧入部は
前記一方の側縁部とは反対側に位置する他方の側縁部に形成される補助端子部と、
前記端子部及び前記補助端子部に対して内側に位置する圧入突部と、
を備え、
前記ベースの圧入凹部に、前記補助端子部が挿通する補助端子孔を穿設したものである。
【0006】
この構成により、ベースの下面から端子孔のみならず、補助端子孔に接着剤を注入すれば、端子部のみならず補助端子部をもベースに固定することができる。したがって、ベースを薄肉としても、接触片を強固かつバランスよく固定することが可能となる。
【0007】
前記可動接触片が圧入される圧入凹部は、内面に3列の突条を備えるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0009】
図1及び図2は、本実施形態に係る電磁継電器を示す。この電磁継電器は、電磁石1を励磁・消磁することにより、可動鉄片2及びカード3を介して接点開閉機構4を駆動するようにした構成で、これらはケース5によって被覆されている。
【0010】
電磁石1は、図3に示すように、鉄心6にスプール7を介してコイル8を巻回したものである。鉄心6は円柱状のフェライトからなり、その下端部には略L字形のヨーク9の一端部がかしめ固定されている。ヨーク9の他端部は鉄心6上端の吸引部6a側方に延在する支持部10となっている。スプール7は合成樹脂材料を略筒状に形成したものである。スプール7の上端部にはドーナツ状の鍔部11が形成されている。スプール7の下端部は側方に延設されてベース部12となっている。ベース部12は、底面部13とその上面内側の台座部14とで構成されている。そして、ベース部12には、前記ヨーク9が貫通する矩形孔15と、コイル端子16が圧入されるコイル端子孔17と、後述する可動接触片30及び固定接触片31が圧入される圧入凹部18a及び18bとがそれぞれ形成されている。各圧入凹部18a,18bの両端部には、図4に示すように、端子孔19及び補助端子孔20がそれぞれ穿設されている。また圧入凹部18aには、3列で突条が形成され、固定接触片31に比べて薄肉の可動接触片30であっても適切に圧入できるようになっている。また、前記ベース部12(底面部13)の下面には、例えば、図4(a)又は(b)に示すように、隣接する2つの端子孔19を連通する凹部21がそれぞれ形成されている。この凹部21は、各端子孔19に接着剤を同時に充填するために使用される。また、ベース部12(台座部14)の上面略中央部には幅方向に断面略円弧状の溝部22が形成され、その近傍には係止溝23(係止溝23の内面にも、前記圧入凹部18aと同様な突条が形成されている。)が設けられている。さらに、台座部14の両側面中央部及び両端面2箇所には係合突部24がそれぞれ形成されている。コイル8は、その両端部が前記ベース部12に圧入したコイル端子16の上端部にそれぞれ巻回されている。なお、前記ベース部12の下面4側縁中央部にはスタンドオフ12aがそれぞれ突設され、プリント基板等に実装した際に、プリント基板とベース部12の底面との間に隙間を確保できるようになっている。
【0011】
可動鉄片2は、図3に示すように、フェライト等の磁性板材を所定角度で折曲したもので、前記ヨーク9の支持部10に回動自在に支持されている。可動鉄片2の屈曲部分には開口部25が形成され、そこには、ヨーク9の支持部近傍に固定した板バネ26が係止されている。また可動鉄片2の一端部には、先端に向かうに従って徐々に薄くなる凹状の押圧部27が形成されている。
【0012】
カード3は、図3に示すように、合成樹脂材料を略矩形板状に成形したもので、下端部には両側に突出する円柱状の支軸28が設けられている。またカード3の上方側両面には第1及び第2突起29a及び29bがそれぞれ形成されている。図5に示すように、第1突起29aが前記可動鉄片2の押圧部27に当接し、第2突起29bが後述する可動接触片30に当接する。
【0013】
接点開閉機構4は、図6及び図7に示すように、ベースに所定間隔で対向配設した可動接触片30と固定接触片31とからなる。可動接触片30の上端部は、略く字形に屈曲し、その下方側には可動接点32がかしめ固定されている。可動接触片30の下端側にはベース部12の圧入凹部18aに圧入される圧入部33がそれぞれ形成されている。圧入部33の両側にはプレス等により一対の圧入突部34が形成されている。各圧入突部34の近傍縁部からは端子部35と補助端子部36とが下方に向かって延設されている。図8に示すように、端子部35は前記ベース部12の端子孔19を貫通し、補助端子部36は補助端子孔20に位置する。固定接触片31は、上端部に前記可動接点32に接離可能に対向する固定接点37がかしめ固定されている。また下端部は前記可動接触片30と同様、圧入部38と端子部39及び補助端子部40で構成されており、圧入部33には一対の圧入突部41が形成されている。
【0014】
ケース5は、図1及び図9に示すように、下面が開口する略箱形状で、両側壁の下方側には前記電磁石1のベース部12の係合突部24が係合する係合孔42が穿設されている。また、図9に示すように、ケース5の天井面から下方に向かって延設部43が形成されている。延設部43の先端は二股に分かれ、一方は前記カード3の支軸28がベース部12の溝部22から脱落することを防止する押え部44、他方は前記ベース部12の係止溝23に係止される係止部45となっている。なお、前記延設部43の基部には、可動鉄片2の屈曲部分に沿うと共に、先端面に前記板バネ26の先端部が圧接するガイド部46が形成され、可動鉄片2の位置ずれを防止すると共にベース部12へのケース5の装着状態を良好なものとしている。
【0015】
続いて、前記電磁継電器の組立方法について説明する。
【0016】
まず、ベース部12に形成したコイル端子孔17にコイル端子16を圧入し、スプール7を介してコイル8を巻回する。そして、ヨーク9に設けた板バネ26を開口部25より挿入し、鉄心6の下端部にヨーク9の一端部をかしめ固定する。これにより電磁石1を完成する。続いて、コイル8の両端部をコイル端子16にそれぞれ巻回する。また、電磁石1のベース部12に形成した端子孔19及び20に可動接触片30及び固定接触片31を圧入し、各端子部35を下面より突出させる。その後、ヨーク9の上端部10と板バネ26との間に可動鉄片2を配置し、回動自在に支持する。
【0017】
次いで、前記ベース部12の溝部22にカード3の支軸28を配置し、第1突起29aを可動鉄片2の押圧部27に当接させ、第2突起を可動接触片30に当接させる。これにより、可動接触片30の弾性力がカード3を介して可動鉄片2に作用し、可動鉄片2は、一端部が鉄心6の吸引部6aから離間して位置規制される。また押圧部27は、先端に向かうに従って徐々に薄くなる凹状に形成されているため、電磁石1の励磁前であっても、第1突起29aすなわちカード3の上方移動が阻止される。
【0018】
ここで、電磁石1を励磁して動作特性を検査する。この場合、可動鉄片2が回動すると、押圧部27によってカード3の第1突起29aが押圧されるが、押圧部27が前述のような形状となっているため、カード3をベース部12側に向かって押えるような力が作用する。したがって、カード3の支軸28がベースの溝部22から脱落する等、位置ずれが起こることがなく、動作特性の検査を適切に行うことができる。
【0019】
検査が終了すれば、ベース部12にケース5を被せ、台座部14の係合突部24をケース5の係合孔42に係合し、ベース部12の底面をシールすることにより電磁継電器を完成する。この場合、カード3の支軸28等にシール剤が侵入することがない。また、ケース5に形成した延設部43の押え部44がカード3の支軸28がベースの溝部22から脱落することを確実に防止する。また、延設部43自身は、係止部45が係止溝23に係止されることにより位置ずれを防止される。
【0020】
次に、前記電磁継電器の動作を説明する。
【0021】
コイル8に通電しない電磁石1が無励磁の状態では、可動接触片30は、それ自身の弾性力により直立し、可動接点32は固定接点37に所定間隔で対向する。また可動接触片30の弾性力によりカード3を介して可動鉄片2がヨーク9の支持部10を中心として、図1中時計回り方向に回動し、一端部が鉄心6の吸引部6aから離間する。
【0022】
ここで、コイル8に通電して電磁石1を励磁すると、鉄心6の吸引部6aに可動鉄片2の一端部が吸引され、可動鉄片2はヨーク9の支持部10を支点として図1中反時計回り方向に回動する。これにより、可動鉄片2の押圧部27によって第1突起29aを押圧されたカード3が、ベース部12の溝部22に配設した支軸28を中心として図1中時計回り方向に回動する。カード3は、可動鉄片2の押圧部27によってベース部12側に押圧されながら回動し、しかもその支軸28はケース5に形成した押え部44によってベースの溝部22からの位置ずれを確実に阻止される。したがって、電磁石1の励磁によりカード3はスムーズに回動し、第2突起29bによって可動接触片30を弾性変形させて可動接点32を固定接点37に閉成する。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、接触片に補助端子部を形成すると共にベースに補助端子孔を穿設するようにしたので、接着剤により接触片をバランス良くかつ強固にベースに固定することができ、所望の動作特性を確実に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る電磁継電器の正面断面図である。
【図2】 図1のケースを除いた状態での斜視図である。
【図3】 図2の分解斜視図である。
【図4】 図2の底面図の例を示す。
【図5】 図1のカード近傍部分を示す拡大断面図である。
【図6】 図1の可動接触片を示す斜視図(a)及び正面図(b)である。
【図7】 図1の固定接触片を示す斜視図(a)及び正面図(b)である。
【図8】 図2の側面断面図である。
【図9】 図1のケースの部分破断斜視図である。
【符号の説明】
1…電磁石
2…可動鉄片
3…カード
4…接点開閉機構
5…ケース
7…スプール
9…ヨーク
12…ベース部
13…底面部
14…台座部
18a,18b…第1,第2圧入凹部
19…端子孔
20…補助端子孔
21…凹部
22…溝部
27…押圧部
28…支軸
29a,29b…第1,第2突起
30…可動接触片
31…固定接触片
32…可動接点
33,38…圧入部
34,41…圧入突部
35,39…端子部
36,40…補助端子部
37…固定接点

Claims (2)

  1. 上面から圧入凹部を形成され、該圧入凹部から下面に貫通する端子孔を穿設されたベースと、
    該ベースの圧入凹部に圧入される圧入部と、
    該圧入部から上方に延設され、先端に接点を設けられる接点部と、
    前記圧入部の一方の側縁部から下方に延設され、前記ベースの端子孔を貫通する端子部と、
    を有する接触片と、
    を備え、
    前記ベースの下面側から端子孔に接着剤を注入して端子部を固定するようにした電磁継電器において、
    前記接触片の圧入部は
    前記一方の側縁部とは反対側に位置する他方の側縁部に形成される補助端子部と、
    前記端子部及び前記補助端子部に対して内側に位置する圧入突部と、
    を備え、
    前記ベースの圧入凹部に、前記補助端子部が挿通する補助端子孔を穿設したことを特徴とする電磁継電器。
  2. 前記可動接触片が圧入される圧入凹部は、内面に3列の突条を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電磁継電器。
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