JP4077963B2 - 放熱シート - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、伝熱性と難燃性に優れて電気機器や電子機器等の発熱体の放熱処理に好適な放熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気機器や電子機器等の発熱体の放熱処理に用いる放熱シートとしては、酸化アルミニウムや窒化硼素の粉末を含有するシリコーンゴムシート又はポリイミド(アミド)フィルムの表面に薄層の粘着剤層又はシリコーンゴム組成物を設けたものが知られていた(特開昭56−161699号公報、特公平2−24383号公報)。
【0003】
放熱シートは通例、発熱体と放熱フィン等のヒートシンクの間に介在させる方式で用いられる。従って、伝熱による良好な放熱処理には発熱体とヒートシンクの双方に良好に密着することが要求される。しかしながら、従来の放熱シートでは、基材に薄層の粘着剤層を設けたものにおいても密着不良が発生する問題点があった。特に、トランジスタの如く凹凸等の変形が大きい発熱体の場合に密着不良が発生し易い。隙間等が介在した密着不良は、伝熱効率を大きく低下させ、放熱シートの能力が充分に発揮されずに放熱効率に乏しくなる。
【0004】
一方、放熱シートには、発熱体と接することより前記の伝熱性と共に、安全性等の点より蓄熱による温度上昇に耐える難燃性が望まれ、その難燃レベルとしてUL−94燃焼試験におけるV−0レベルの難燃性が要求されることも多い。しかしながら、前記した従来の放熱シートにあっては、難燃性に劣り、難燃剤を加えても窒化硼素等の熱伝導性粉末と併用して伝熱性と難燃性をバランスさせる必要のあることから、UL−94燃焼試験におけるV−0レベルの難燃性を達成することが困難な問題点があった。
【0005】
【発明の技術的課題】
本発明は、発熱体とヒートシンクの双方に対する密着性に優れて発熱体がトランジスタ等の凹凸変形が大きい場合などにも密着不良を生じにくく、放熱シートが具備する本来の伝熱能力の発揮性に優れると共に、難燃性も容易に付与できて伝熱性と難燃性の両方に優れる放熱シートを得ることを課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】
本発明は、熱伝導性で平均粒径が相違する2種以上の充填剤を少なくとも含有し、押圧により塑性変形する粘性層を少なくとも有してなり、前記相違する平均粒径の比が1:4〜12であると共に、前記充填剤が難燃剤兼用の金属水酸化物からなり、かつ前記粘性層がイソブチレン系又はブテン系の合成ゴムからなることを特徴とする放熱シートを提供するものである。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、充填剤を平均粒径相違の組合せで用いたことにより単一平均粒径物を用いた系よりも、同一配合量では粘性層を低粘度化できてその熱伝導性も向上でき、また加工性や粘着密着性にも優れている。その結果、良好な加工性や粘着密着性を達成しつつ充填剤配合量を更に増量できて熱伝導率により優れる放熱シートを得ることができる。
【0008】
前記の結果、粘性層の塑性変形を介してトランジスタの如き凹凸等の変形が大きい発熱体の場合にも、発熱体とヒートシンクの双方に対して広い面積で良好に密着して密着不良が生じにくく、放熱シートが具備する本来の伝熱能力の発揮性に優れて高い伝熱効率を示し、放熱効率に優れる放熱シートを得ることができる。また充填剤に難燃剤兼用物を用いたことで、伝熱剤と難燃剤が別体であるためにそれらの配合量を調節して伝熱性と難燃性をバランスさせる必要を回避でき、伝熱難燃兼用の充填剤の配合量を調節することで容易に難燃性も付与できて伝熱性と難燃性の両方に優れる放熱シートを容易に得ることができる。これは、伝熱性と難燃性に優れる伝熱難燃兼用の充填剤の使用と、前記した塑性変形性の粘性層との組合せに基づく。
【0009】
すなわち伝熱難燃兼用の充填剤は、酸化アルミニウムや窒化硼素等の難燃化作用に乏しい熱伝導性粉末に比べて熱伝導率に劣り、そのため従来の放熱シートに当該充填剤を用いた場合には熱抵抗値が上昇するが、本発明にては塑性変形性の粘性層を介した上記の広面積良密着性が前記の熱伝導率低下による熱抵抗値の上昇を補償し、かつ伝熱難燃兼用の充填剤が良好な難燃作用を示して伝熱性と難燃性の両方に優れる特性を発揮する。その結果、UL−94燃焼試験におけるV−0レベルの難燃性も容易に達成することができる。
【0010】
【発明の実施形態】
本発明による放熱シートは、熱伝導性で平均粒径が相違する2種以上の充填剤を少なくとも含有し、押圧により塑性変形する粘性層を少なくとも有してなり、前記相違する平均粒径の比が1:4〜12であると共に、前記充填剤が難燃剤兼用の金属水酸化物からなり、かつ前記粘性層がイソブチレン系又はブテン系の合成ゴムからなるものである。その例を図1に示した。1が粘性層そのものからなる放熱シートである。
【0011】
粘性層の押圧による塑性変形性は、凹凸等の形状変化が大きい被着体の場合にも塑性変形により広い面積で良好に密着して、優れた熱抵抗値を発揮させることを目的とする。その粘性層は、押圧により流動して塑性変形性を示すイソブチレン系又はブテン系の合成ゴムを用いて形成され、必要に応じて、分子量等の調節で塑性変形性を示す組成とした他のゴム系や樹脂系のポリマーなどが用いられる。
【0012】
粘性層は、絶縁性や難燃性、耐熱性や耐腐食性などに優れることが好ましい。かかる点より、例えば天然ゴムやシリコーンゴム、ポリイソブチレンやポリブテン、スチレンブタジエンゴムやニトリルゴム、クロロプレンゴムやブチルゴム、EPM、EPDMの如きエチレンプロピレン系ゴムやアクリル系ゴム等のゴム系ポリマー、ポリオレフィン系やポリエステル系、ポリスチレン系やポリウレタン系の如きエラストマー系ポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体や軟質ポリ塩化ビニル等の弾性に優れた合成樹脂などが好ましく用いられる。
【0013】
前記したポリ塩化ビニルの如く本質的には硬質系のポリマーであっても、可塑剤や柔軟剤等の適宜な配合剤との組合せで粘性ないし押圧流動性をもたせた状態で本発明においては粘性層の形成に用いうる。なおゴム系ポリマーの場合には、加硫処理しない未加硫の状態とすることが塑性変形性などの点より好ましい。
【0014】
前記性能等の点より、粘性層の形成に特に好ましく用いうるイソブチレン系又はブテン系の合成ゴム以外の材料としては、例えばブチル系やフッ素系、シリコーン系やエチレンプロピレン系等の合成ゴム、あるいは天然ゴムやポリブタジエンなどがあげられる。ゴム系や樹脂系のポリマー等の前記した材料は、1種又は2種以上を用いうる。
【0015】
粘性層には、少なくとも熱伝導性の充填剤が配合され、その充填剤には平均粒径の相違するものが2種又は3種以上の組合せで用いられ、かつ少なくとも難燃剤兼用の金属水酸化物が用いられる。これにより、最密充填方式等にて高い配合量を達成でき伝熱性と難燃性に優れる放熱シートとすることができる。
【0016】
用いる充填剤の形態について特に限定はないが、一般には球状のものが用いられる。その場合、粒径が大きいほど多量配合が容易であるが、密着力の低下原因となる表面の凹凸化を招きやすい難点もある。かかる多量配合と密着力の低下防止を考慮した点よりは、平均粒径が0.1〜100μm、就中0.3〜50μm、特に0.5〜20μmの球状粒子を用いることが好ましい。
【0017】
相違させる平均粒径の比は、最密充填配置に可及的に近づける点、すなわち配合量の増大をはかる点などより1:4〜12とされ、特に1:4〜10が好ましい。なお平均粒径相違の3種以上の充填剤を用いる場合も、平均粒径が次に大きいものとの2種の関係において前記の平均粒径比が達成されていることが好ましい。
【0018】
平均粒径相違の充填剤の使用割合は、その粒径相違物の配置設計などに基づいて適宜に決定しうる。一般には高熱伝導率化などの点より大きい平均粒径物を多く用いて可及的に最密充填配置に近づけることが有利であることなどより、大きい平均粒径物100重量部に対し次に大きい平均粒径物100重量部以下、就中5〜80重量部、特に10〜60重量部の使用割合とされる。
【0019】
なお平均粒径物の大きいものより小さいものを多く用いることを制限するものではなく、例えば小さい平均粒径物100重量部に対して95重量部以下、就中5〜80重量部、特に10〜60重量部の使用割合で次に大きい平均粒径物を用いることもできる。
【0020】
上記において金属水酸化物からなる伝熱難燃兼用の充填剤以外の必要に応じての熱伝導性の充填剤(以下「良熱伝導性の充填剤」という。)としては、適宜なものを用いることができ、特に限定はない。従って例えば窒化硼素や窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどの公知の熱伝導性粉末のいずれも用いうる。
【0021】
前記の伝熱難燃兼用の充填剤を用いることにより、伝熱剤と難燃剤が別体であるためにそれらの配合量を調節して伝熱性と難燃性をバランスさせる必要を回避でき、伝熱難燃兼用の充填剤の配合量を調節することで伝熱性と難燃性の両方に優れる放熱シートを容易に形成することができる。
【0022】
伝熱難燃兼用の充填剤としては、熱伝導性と難燃性付与性の両立性や非腐食性などの点より、例えば水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物が用られる。金属水酸化物は、絶縁性にも優れる利点なども有する。
【0023】
粘性層の塑性変形性は、小さい力による良密着性や放熱シートの取扱性などの点より、非押圧時には流動せずにその形状を維持し、押圧で流動して塑性変形する程度が好ましく、従来の粘着剤からなる粘着層の粘性に準じた程度の粘性状態が好ましい。
【0024】
ちなみにフローテスターによる60℃での測定に基づいて(ノズル径1.0mm、ノズル長1.0mm、荷重40kg)、1×104〜1×107ポイズ、就中5×105〜5×106ポイズ、特に1×105〜1×106ポイズの粘度を示す状態としたものが好ましい。
【0025】
従って伝熱難燃兼用の充填剤を含めた良熱伝導性の充填剤の配合量は、充填剤の形状や平均粒径の組合せ、表面処理の有無、あるいはベースとなる粘性物質の粘度などにより、また熱伝導性ないしそれと難燃化作用の両立性や小さい力による塑性変形性ないし良密着性などの点より、前記した目的とする粘度に基づいて適宜に決定することができる。本発明にては充填剤を最密充填配置した粘性層を形成することも可能である。
【0026】
また放熱シートの良好な取扱性や伝熱性等を維持しつつ、UL−94燃焼試験におけるV−0レベルの難燃性を達成する点などよりは、伝熱難燃兼用の充填剤(難燃剤)又はその他の難燃剤を含めた合計量に基づいて、45容積%以上、就中50〜85容量%、特に55〜75容量%の難燃剤を含有する組成の粘性層とすることが好ましい。伝熱難燃兼用の充填剤ないし本発明による良熱伝導性の充填剤のみを使用した場合には、前記の如く最密充填配置することもできる。
【0027】
なお本発明においては、同じ平均粒径のものとして又は異なる平均粒径の組合せとして1種又は2種以上の良熱伝導性の充填剤ないし伝熱難燃兼用の充填剤を用いることができる。また例えば燐化合物や有機ハロゲン化物、三酸化アンチモンや白金ないし白金化合物などの適宜な公知難燃剤を必要に応じ併用して粘性層に配合することもできる。その場合、併用物の平均粒径については上記に準じうる。
【0028】
さらに粘性層の形成に際しては、その形成材に例えば低分子量ポリエチレンや酸化亜鉛、プロセスオイルやステアリン酸、カーボンブラックや老化(酸化)防止剤等の加工助剤や特性改良剤などの適宜な添加剤を必要に応じて配合することもできる。
【0029】
粘性層の形成は、例えばセパレータ上に粘性層形成材を塗工する方式、押出成形方式にて粘性層形成材をシート状に成形する方式などの適宜な方式で行うことができる。また粘性層は、例えば重ね塗り方式や多層押出成形方式などにより同種又は異種の2層以上の粘性層の重畳層として形成することもできる。
【0030】
粘性層の厚さは、使用目的などに応じて適宜に決定することができる。塑性変形による被着体への広面積良密着性や薄型化などの点よりは、0.1〜10mm、就中0.3〜5mm、特に0.5〜3mmの厚さが好ましい。
【0031】
本発明による放熱シートは、図1に例示の如く前記した粘性層1そのものからなっていてもよいし、図2や図3に例示した如く粘性層1,3を弾性基材2の片面又は両面に付設したものとすることもできる。上記した粘性層の塑性変形による発熱体とヒートシンクの双方に対する広面積良密着による放熱効率の向上等の点よりは、変形拘束力を受けにくい粘性層のみの放熱シートが有利である。
【0032】
一方、前記の弾性基材は、粘性層の保持を目的とし、弾性基材を用いることでその弾性変形に基づいて、上記した粘性層の塑性変形による被着体への広面積良密着性が大きく低下することを防止でき、広面積良密着性が確保される。従って粘性層と弾性基材の組合せることで、粘性層の塑性変形性を充分に維持しつつ、弾性基材に基づく例えば容易な再剥離性の付与による発熱体又はヒートシンクのリサイクルの達成や、放熱シートの形状安定性ないし自己支持性の向上などを達成できる新たな利点を具備させることができる。
【0033】
弾性基材は、弾性を示す適宜な材料にて形成することができる。ちなみにその例としては、上記の粘性層で例示したゴム系ポリマーや合成樹脂などがあげられる。柔軟性や難燃性、耐熱性や耐腐食性、絶縁性や耐汚染性などに優れる弾性基材が好ましい。
【0034】
弾性基材の形成には、1種又は2種以上のゴム系ポリマーや合成樹脂等を用いうる。その際、ゴム系ポリマーを用いる場合には、弾性や形状の維持性などの点より加硫ゴムとすることが好ましい。また合成樹脂、就中、熱可塑性樹脂を用いる場合には、耐熱性の向上などの点より電子線照射等の適宜な方式で部分架橋させることが好ましい。
【0035】
前記したゴム系ポリマーの加硫処理には、硫黄系や樹脂系等の適宜な加硫剤を用いうるが、耐腐食性等の点より過酸化物系加硫剤が好ましく用いうる。ちなみにその過酸化物系加硫剤としては、ジ−t−ブチルパーオキシドやジクミルパーオキシド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼンなどが代表例としてあげられるが、本発明にてはこれに限定されず、公知の過酸化物系加硫剤のいずれも用いうる。
【0036】
また前記の加硫処理に際しては、例えばトリアリルイソシアヌレートやエチレングリコールアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートやN,N'−m−フェニレンビスマレイミドなどの適宜な加硫助剤を併用することもできる。
【0037】
弾性基材を用いる場合、粘性層の伝熱性等を充分に発揮させて放熱効率に優れるシート等とすることを目的に、本発明においてはその弾性基材にも少なくとも良熱伝導性の充填剤が配合され、難燃性も付与する場合には伝熱難燃兼用の充填剤が必要に応じ他の難燃剤と共に配合される。
【0038】
前記の良熱伝導性の充填剤や伝熱難燃兼用の充填剤、さらにはその他の難燃剤としては、上記した粘性層の場合に準じることができ、従ってその伝熱難燃兼用の充填剤としては水酸化アルミニウムが好ましく用いうる。また用いる充填剤等の平均粒径についても必要に応じて上記に準じることができる。なお弾性基材の場合にも、伝熱難燃兼用の充填剤は、シリコーン成分不含有の非シリコーン系のものからなる場合に特に有利性を発揮する。
【0039】
前記した充填剤等の配合量については、粘性層の場合に準じうるが、放熱シートの良好な取扱性や伝熱性等を維持しつつ、UL−94燃焼試験におけるV−0レベルの難燃性を達成する点などよりは、伝熱難燃兼用の充填剤(難燃剤)又はその他の難燃剤を含めた合計量に基づいて、50重量%以上、就中60〜80重量%、特に65〜75重量%の難燃剤を含有する組成の弾性基材とすることが好ましい。
【0040】
弾性基材の形成は、例えばカレンダー加工方式や押出成形方式等の適宜な方式でシート状物を得ることにより行うことができる。その場合、加硫ゴムシートは、カレンダー加工方式等で形成した未加硫ゴムシートを加熱処理する方式などの、配合の加硫剤に応じた適宜な加硫処理を施すことにより得ることができる。なお弾性基材の形成に際しても、上記した粘性層の場合に準じて加工助剤や特性改良剤などの適宜な添加剤を配合することができる。
【0041】
弾性基材の厚さは、使用目的等に応じて適宜に決定でき、粘性層より薄くてもよいし、厚くてもよい。粘性層の塑性変形による被着体への広面積良密着性などの点よりは、粘性層と同厚以下、就中、粘性層の1/1.1〜1/5倍厚、特に1/2〜1/3倍厚の弾性基材とすることが好ましい。
【0042】
前記の点や薄型化などの点より、弾性基材の一般的な厚さは、0.1〜3mm、就中0.2〜2mm、特に0.3〜1mmとされる。なお薄型化の点よりは、放熱シート全体の厚さを10mm以下、就中5mm以下、特に1〜3mmとすることが好ましい。
【0043】
弾性基材上への粘性層の付設は、例えば弾性基材上に粘性層形成材を塗工する方式や、セパレータ上に塗工形成した粘性層を弾性基材上に移着する方式、二層又は三層の多層押出成形方式等により弾性基材と粘性層を有するラミネート体を同時形成する方式などの適宜な方式で行うことができる。
【0044】
本発明による放熱シートは、例えば電気部品や電子部品等の発熱体と放熱フィン等のヒートシンクの間に介在させる方式等の如く、各種の発熱体とヒートシンクを放熱シートを介し圧接する方式などの適宜な方式で用いることができる。その場合、放熱シートの適用面については特に限定はないが、粘性層を弾性基材の片面のみに設けたものの場合には、発熱体とヒートシンクにおける凹凸の大きい面に粘性層を接着することが好ましい。
【0045】
【実施例】
実施例1
高分子量ポリイソブチレン75部(重量部、以下同じ)、低分子量ポリイソブチレン40部、ポリブテン50部、プロセスオイル15部、カーボンブラック2部、ステアリン酸0.5部及び水酸化アルミニウム粉末500部を混練してなる組成物をベント式押出機を介し厚さ1.0mmのシートに成形し、その粘性層からなる放熱シートを得た。なお前記の水酸化アルミニウム粉末としては、平均粒径が1μmのもの1部に対し8μmのもの3部の割合で用いた。
【0046】
実施例2
水酸化アルミニウム粉末として、平均粒径が1μmのもの1部に対し8μmのもの1部の割合で用いたほかは実施例1に準じて放熱シートを得た。
【0047】
実施例3
水酸化アルミニウム粉末として、平均粒径が1μmのもの3部に対し8μmのもの1部の割合で用いたほかは実施例1に準じて放熱シートを得た。
【0048】
実施例4
水酸化アルミニウム粉末の使用量を600部としたほかは実施例1に準じて放熱シートを得た。
【0049】
比較例1
水酸化アルミニウム粉末として、平均粒径が1μmのもの単独で500部用いたほかは実施例1に準じて放熱シートを得た。
【0050】
比較例2
水酸化アルミニウム粉末として、平均粒径が8μmのもの単独で500部用いたほかは実施例1に準じて放熱シートを得た。
【0051】
比較例3
水酸化アルミニウム粉末として、平均粒径が1μmのもの単独で550部用いたほかは実施例1に準じて放熱シートを得た。
【0052】
評価試験
実施例、比較例で得た放熱シートについて下記の特性を調べた。
粘度
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500)により60℃での粘度を測定した(ノズル径1.0mm、ノズル長1.0mm、荷重40kg)。
【0053】
粘着力
JIS Z 0237に準拠して90度剥離による接着力を調べた。
【0054】
熱伝導率
シートの厚方向について、レーザーフラッシュ法(理学電気社製、熱定数測定装置LF/TCM−FA8510B)により、30℃にて調べた。
【0055】
難燃性(Vレベル)
UL−94燃焼試験法に準拠して難燃性としてのVレベルを調べた。
【0056】
前記の結果を次表に示した。
【0057】
表における実施例1〜3と比較例1,2との対比より、同量の充填剤でも粒径相違の組合せとすることで粘度を低下でき、良好な粘着力を維持して熱伝導率を向上できることがわかる。また実施例の1と4との対比より、大きい平均粒径物を多く用いた構成で充填剤配合量の20%増量を達成しつつ、良好な粘着力及び比較例よりも低い粘度を実現して熱伝導率を大きく向上できることがわかる。
【0058】
前記に対し比較例3より、粒径同一系では充填剤配合量が実施例4より少ないにも拘わらず粘度の上昇が大きく、かつ熱伝導率の向上の程度が小さいことがわかる。なお粘度は、シート等への加工性に関係し、比較例3では実施例4に準じて充填剤配合量を600部とした場合にはシートへの成形が困難であった。
【0059】
以上より、異径充填剤の組合せとすることで加工性、粘着力ないし密着力、伝熱性に優れる放熱シートの得られることがわかる。また大きい粒子間の隙間に小さい粒子を配置する最密充填方式が加工性、粘着力、伝熱性の向上に大きく寄与することがわかる。なお難燃性の点では、伝熱難燃兼用の充填剤を用いることで実施例等の配合割合にて、UL−94におけるV−0レベルの高度な難燃性も容易に達成できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の説明図
【図2】他の実施例の説明図
【図3】さらに他の実施例の説明図
【符号の説明】
1,3:粘性層 2:弾性基材
Claims (3)
- 熱伝導性で平均粒径が相違する2種以上の充填剤を少なくとも含有し、押圧により塑性変形する粘性層を少なくとも有してなり、前記相違する平均粒径の比が1:4〜12であると共に、前記充填剤が難燃剤兼用の金属水酸化物からなり、かつ前記粘性層がイソブチレン系又はブテン系の合成ゴムからなることを特徴とする放熱シート。
- 請求項1において、充填剤を最密充填方式で含有させてなる放熱シート。
- 請求項1又は2において、充填剤が水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムである放熱シート。
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