JP4077040B2 - 改良された封止ライナを有する容器クロージャ - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、封止ライナを有する容器用クロージャに関する。さらに詳しくは、本発明は、改善された取外しトルクおよび炭酸飽和保持性を有する容器用封止ライナ用の組成物に関する。
発明の背景
多くの液体製品は、何らかの種類のクロージャで封止する必要のある開口部を有する容器に入れる。たとえば、炭酸飲料を入れるボトルは、通常は取外し可能なクロージャを有し、このクロージャはボトルの加圧された内容物に必要とされる封止を提供しなければならない。当技術分野において、金属クロージャが周知であるが、成型プラスチッククロージャは市場で広範囲に商業的成功を納めている。
多くのクロージャにおいては、外部クロージャカップまたはクロージャシェルに封止ライナを含むことが望ましい。容器用の封止ライナは当分野の技術者に周知であり、通常は、外部カップを製造する物質に比べて硬質でない(すなわち、より柔軟な)物質から形成される。この封止ライナは、容器と外部クロージャカップとの間にシールを形成する。好ましくは、クロージャによって形成されるこのシールは、加圧ガスを含めて容器の内容物が、容器からこぼれる、または放出するのを防ぐ。さらに、クロージャは容器内容物が汚染されるのを防ぐ。
満足できる封止ライナは、消費者が容易にクロージャを取外しできるために許容される取外しトルク、ならびに封止された容器が温度、圧力、湿度変化など種々の環境ストレスにさらされたときの満足できる性能を提供する必要がある。封止された容器は、さらに、機械的衝撃に耐えられなければならない。
発明の概要
本発明は、エチレンと酢酸ビニル(EVA)のコポリマー、イオノマー、および滑剤パッケージを含む容器用封止ライナを提供する。このライナ組成物には追加的に着色剤を混合することができる。EVAの特性と、イオノマー樹脂の剛性と、多成分滑剤添加物の存在との適切な組合わせが、優れた低い取外しトルクおよび炭酸飽和保持性を有するキャップライナ樹脂を提供する。
この配合物は、配合物中のEVAおよびイオノマーの総重量に基づく重量パーセントで、好ましくは約85から約95重量パーセント(wt%)のEVAと、約5から約15重量%のイオノマーとを含む。好ましくは2種の脂肪酸、特に重量で50:50に配合したエルクアミドおよびN、N’−エチレンビスオレアミド(EBO)を含む滑剤パッケージは、EVAおよびイオノマー配合物の総重量100部あたり約0.3から約2部存在することが好ましい。
EVAは、好ましくはVA正味含量が約15から約22重量%であり、VA正味含量とはEVA中のVAの%に配合物中のEVA樹脂の重量パーセントを掛けたものである。EVAは、ASTM D−1238の条件Eに従って測定したメルトインデックス(MI)が約0.7から約500dg/分でよく、もっとも好ましくは約20から約40dg/分である。
イオノマーは、好ましくは剛性の、部分的に中和されたエチレンα、βエチレン系不飽和カルボン酸コポリマー、すなわちASTM D−790に従って測定した曲げ弾性率が、約40,000psi(約275.8MPa)以上、さらに好ましくは約55,000psi(約379.2MPa)以上のものである。
発明の詳細な説明
本発明は、優れた低い取外しトルクおよび優れた炭酸飽和保持性を有するクロージャ用封止ライナを提供する。このライナは、エチレン酢酸ビニルコポリマー、イオノマー、および滑剤パッケージを含む。
本発明のクロージャは、ライナの使用が望ましい当技術分野で周知のいかなるクロージャでもよく、プラスチックまたは金属クロージャ、および王冠を含む。好ましくは、クロージャはプラスチッククロージャである。このクロージャが封止する容器も、たとえば、ガラスやプラスチック容器など、当技術分野の技術者に周知の容器から選択できる。
本発明によれば、本発明のクロージャは、封止ライナを備えた外部プラスチックカップまたはシェルを含み、この封止ライナはシェル内部の定位置に圧縮成形してもよく、あるいは当分野の技術者に周知の他の方法によってシェルに導入してもよい。圧縮成形された封止ライナを備えた典型的なプラスチッククロージャは、米国特許第4,984,703号および第4,497,765号を参照されたく、それらの開示を参照により本明細書の一部とする。
クロージャ用の典型的なライナは円形面であり、様々な直径を有することができる。一般に、ライナは約25mmから約50mmの範囲の直径を有し、28、38、および43mmが好ましい。
さらに、ライナの厚みも様々でよい。ライナの厚みは一様でもよく、あるいはライナの異なる部分で異なる厚みを有してもよい。たとえば、ライナの中央部よりも、周辺部のほうが厚いライナもある。ライナ中央部の好ましい厚みは約0.011インチ(約0.2794mm)である。
本発明のライナは、エチレンと酢酸ビニル(EVA)のコポリマーと、イオノマーと、滑剤パッケージとの配合物を含む。本明細書で、用語「コポリマー」は、ブロックコポリマー、ランダム交互コポリマー、およびグラフトコポリマーを含む。
配合物は、配合物中のEVAおよびイオノマーの総重量に基づく重量パーセントで、好ましくは約85から約95重量パーセント(さらに好ましくは約87から約93重量パーセント、あるいは約90重量パーセント)のEVA、および約5から約15重量%(さらに好ましくは約7から約13重量%、あるいは約10重量%)のイオノマーを含む。滑剤パッケージは、好ましくは2成分滑剤パッケージであり、EVAおよびイオノマー配合物の総重量100部あたり好ましくは約0.3から約2部(好ましくは約1部)存在する。滑剤パッケージの2成分は、好ましくは重量比50:50の配合で存在するが、10:90から90:10の比率で存在してもよい。
EVA
EVAは、好ましくはVA正味含量が約15から約22(さらに好ましくは約16から約18)重量%であり、VA正味含量とはEVA中のVAの%に配合物中のEVA樹脂の重量パーセントを掛けたものである。EVAは、ASTM D−1238の条件Eに従って測定したメルトインデックス(MI)が約0.7から約500dg/分であるものでよい。好ましくは、EVAコポリマーのMIは約2.0から150の範囲であり、さらに好ましくは約20から約40の範囲である。2種以上のEVAコポリマーの混合物をライナ組成物に用いてもよい。たとえば、コポリマーは異なる分子量を有し、かつ/または異なる量の酢酸ビニルを含有することができる。
さらに、EVAコポリマーはコポリマーの熱安定性を向上するように作用可能な抗酸化剤を含んでもよい。
イオノマー
本発明のイオノマーは、イオン性金属化合物、たとえば元素周期表のI、II、III、IV−AおよびVIII族の一価、二価および/または三価金属の化合物で、側酸基、たとえばカルボン酸基、スルホン酸基、および/またはホスホン酸基を含むコポリマーを中和することによって一般的に製造されるイオン的に架橋された熱可塑性樹脂である。
好ましいイオノマー樹脂は、少なくとも1つのα−オレフィン、および少なくとも1つのエチレン系不飽和カルボン酸および/または無水物のコポリマーから誘導される。適したα−オレフィンには、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、3−メチルブテンなどが含まれる。適したカルボン酸および無水物には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などが含まれる。前述のコポリマーは、有利には約0.2から約25モルパーセント、好ましくは約0.5から約15モルパーセントのカルボン酸基を含む。
このようなコポリマーの詳しい例には、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン−イタコン酸コポリマー、エチレン−マレイン酸水素メチルコポリマー、エチレン−マレイン酸コポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリレートコポリマー、エチレン−メタクリル酸−エタクリレートコポリマー、エチレン−イタコン酸−メタクリレートコポリマー、エチレン−イタコン酸−メタクリレートコポリマー、エチレンマレイン酸水素メチル−エチルアクリレートコポリマー、エチレンメタクリル酸−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸−ビニルアルコールコポリマー、エチレンアクリル酸−一酸化炭素コポリマー、エチレン−プロピレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリル酸−アクリロニトリルコポリマー、エチレン−フマル酸ビニルメチルエーテルコポリマー、エチレン−塩化ビニル−アクリル酸コポリマー、エチレン−塩化ビニリデン−アクリル酸コポリマー、エチレン−塩化ビニリデン−アクリル酸コポリマー、エチレン−フッ化ビニル−メタクリル酸コポリマー、およびエチレンクロロトリフルオロエチレン−メタクリル酸コポリマーが含まれる。
コポリマーは、また、重合の後、イオン架橋の前に、後に続くイオン架橋を妨げない変性ポリマーとなるように、種々の反応によってさらに変性されてもよい。オレフィン酸コポリマーのハロゲン化はこのような変性ポリマーの一例である。
好ましいイオノマーは、前述のコポリマーと、存在する酸基の少なくとも約5重量%、好ましくは約20から約80重量%を中和するために十分な量の金属イオンとの反応によって得る。適する一価金属イオンには、Na+、K+、Li+、Cs+、Rb+、Hg+、およびCu+が含まれる。適する二価イオンには、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Cu2+、Cd2+、Hg2+、Sn2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、およびZn2+が含まれる。適する三価金属イオンには、Al3+およびY3+が含まれる。本明細書で用いられるコポリマーの中和に適した好ましい金属は、アルカリ金属、特に、たとえばナトリウム、リチウム、およびカリウムのカチオン、ならびにアルカリ土類金属の特にたとえばカルシウム、マグネシウム、および亜鉛のカチオンである。さらに、1種またはそれ以上のイオノマーを本発明に用いてもよいと考えられる。好ましいイオノマーには、中和前に約9から約20%の酸基を含み、約5から約80重量%の酸基がアルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオンによって中和される、α−オレフィン、特にエチレンのα、βエチレン系不飽和カルボン酸、特にアクリル酸およびメタクリル酸のコポリマーが含まれる。好ましいカチオンは亜鉛およびナトリウムである。特に好ましくは、約15%の酸が部分的中和されたナトリウム塩であるエチレンとメタクリル酸のコポリマーである。
イオノマーは、好ましくは剛性のイオノマーで、すなわちASTM D−790に従って測定したとき、曲げ弾性率が約40,000psi(約275.8MPa)以上、さらに好ましくは約55,000psi(約379.2MPa)以上である。
滑剤パッケージ
本発明の滑剤パッケージは、好ましくは、第一脂肪酸アミドからなるグループから選択した1つ以上の脂肪酸アミドと、ビス脂肪酸アミドからなるグループから選択した1つ以上の脂肪酸アミドとの配合物を含む。参照することによってその開示内容を本明細書に併合するものとする米国特許第5,306,542号は、そのような種々の配合物を教示している。好ましい配合物は、エルクアミドおよびN、N’−エチレンビスオレアミド(EBO)を含む。ポリマー配合物に添加される前述の配合物の総量は、EVA/イオノマー配合物100部あたり、好ましくは0.3〜2部(好ましくは約1%)である。
これら2種の脂肪酸アミドの比率は、好ましくは重量で50:50であるが、10:90から90:10の範囲でもよい。
他の成分
本発明の封止ライナ組成物は、さらに、当分野の技術者に周知である他の種々の成分を含んでもよい。着色剤は、このライナ組成物に含有されてよい他の物質の例である。適した着色剤の例には、TiO2およびカーボンブラックの配合によって提供される灰色着色剤ならびにフタロシアニンブルーが含まれるが、これに制限されるものではない。
配合物製造およびライナ形成の一般的プロトコル
ライナ組成物は、種々の樹脂のペレットを添加剤とともに容器内で混合し、次に混合物中でペレットが確実に一様分布となり、ならびにペレット基材全体にわたって粉末添加剤が一様分布となるようにタンブル混合することによって、製造する。このペレットおよび添加剤のドライブレンドを次に直径30ミリメートル(mm)のスクリューを有する二軸スクリュー押出機の供給ホッパに供給する。この押出機によって、ペレットおよび添加剤混合物を溶融し、典型的には温度華氏300度(約149℃)から350度(約177℃)で、均一な混合物に完全に溶融配合する。樹脂溶融物を次にストランドダイから押し出し、水槽で冷却し、ストランド脱水および乾燥工程を経て、削ってペレットとする。前述のとおり配合したペレットを、たとえば実施例で用いたAlcoa Closure Systems International、Inc.製のHC−17のような機器で、プラスチックポリプロピレンシェルの内部に、ライナに圧縮成形する。
裏打ちしたプラスチックキャップの取外しトルクおよび炭酸飽和保持試験の一般的プロトコル
A.飲料キャップの取外しトルク試験の説明
この試験の目的は、炭酸飲料のボトルからプラスチックキャップを取り外す容易さあるいは難しさの正確な尺度を提供することである。本試験の厳密な詳細は、Alcoa Closure Systems International Co.で用いられている出版物「Application Technical Bulletin」に出ている。典型的な試験装置には、Secure Pak Torque Meter、Alcoa201シングルヘッドキャッパー、Alcoa Magneticキャッピングヘッド、Alcoaキャッピングチャックが含まれる。
試験キャップおよび対照キャップは、この試験によって同時に試験する。これら両種のキャップを同一の機械で成形し、裏打ちする。対照キャップは、試験実施の直前に実施する。典型的には、それぞれの試験期間内に、8個の試験クロージャと8個の対照クロージャを用いる。
製造され裏打ちされたクロージャを、4.0+/−0.1volの炭酸(CO2)ガスで加圧されている水または他の飲料の入ったガラスまたはPET容器に適用する。クロージャは、特定のトルクレベル、典型的にはAlcoa201キャッピングマシンを用いて、静止トルク126インチ−ポンド(インチ・ポンド)(約13.83kg・cm)、頂部負荷50ポンド(約22.68kg)、および毎分回転数(rpm)340で適用する。
キャップをした試験容器を、華氏100度(約38℃)に置き、取外しトルクを測定する前に周囲条件まで冷却する。華氏100度(約38℃)でのエージング期間は、典型である7日間までの時間内において多様でよい。容器はまた最大72時間までの時間、華氏40度(約4℃)の低温でエージングしてもよい。これらの容器は華氏40度(約4℃)で試験し、結果は低温取外しトルク値として報告される。
取外しトルクの試験中、容器は8つごとのグループで評価する。それぞれのボトルを、取外しトルク計に据え、試験中にボトルが滑るのを防ぐために、ボトルを試験固定具に締付ける。トルク計指示針を「0」の位置に合わせ、クロージャを確実に掴み、作業者はゆっくりとした連続的な動きで、クロージャを反時計回りに回転し、ライナをボトルの口から外す。ライナがボトルの口から離れる時点のトルクを試験用紙に記録する。すべての容器を試験した後、作業者は集めた値の、平均値、標準偏差、範囲を算出する。2つの計算値の間に違いがあるかどうかを決定するために、統計的「T」検定を用いてもよい。3つ以上のクロージャの間に違いがあるかどうかを決定するために、「変量分析(Analysis of Variants)」検定を用いてもよい。
B.炭酸飽和保持試験の説明
この試験の目的は、パッケージを高温に露出したとき、プラスチッククロージャが炭酸飽和を保持する能力を測定することである。試験装置には、42℃(華氏108度)および50℃(華氏122度)を維持できるサーモスタット制御の環境チャンバ、Zahm&Nagel Carbonation Tester、ヘッドスペース圧とCO2容量との炭酸飽和チャートが含まれる。
この試験のエージング時間は、飲料容器が貯蔵される地理的な地域で予想される気候条件によって異なってよい。気温が穏やかな地域用の試験には、無作為に選択した12本の炭酸飲料容器を、42℃(華氏108度)の環境チャンバで16時間エージングすることが含まれる。次に、エージングした容器をチャンバから取り出し、24時間かけて室温条件に戻す。次に、飲料上部のヘッドスペースでCO2がより平衡状態となるように振とうした後、ヘッドスペース圧を測定することによって炭酸飽和保持を評価する。本試験のこの部分に関する厳密な詳細は、インディアナ州クロフォーズビルのAlcoa Closure Systems International Co.のPP−L−024に明示される分析方法に含まれる。温度が非常に高く、炭酸飲料の保管および輸送が高温度で行われる地域用の場合、試験は多少異なる。この試験方法では、容器がPETの場合には72のサンプルを試験し、あるいは容器がガラスの場合には48のサンプルをテストする。PET容器は、42℃(華氏108度)で14日間、環境チャンバでエージングする。容器がガラスの場合には、50℃(華氏122度)で7日間エージングする。PET容器は、0、1、3、7、10、14日の間隔で試験する。ガラス容器は、0、1、3、7日の間隔で試験する。それぞれの間隔で、温度、圧力、結果として生じる炭酸のデータを記録する。
実施例
次に述べる実施例は、本発明の特定の実施形態を説明するためのものであって、請求の範囲を含めて、本明細書の範囲をいかなる方法においても制限することを意図するものではない。
実施例1
本発明によるライナ組成物を、ライナ組成物全量の約90重量%のEVAコポリマーと、エチレンおよび11重量%のメタクリル酸コポリマーの37%中和ナトリウム塩であり、約10dg/分のMIを有する、約10重量%のイオノマーとを混合することによって製造した。EVAコポリマーは、約25dg/分のメルトインデックスを有し、約28重量%の酢酸ビニルを含有した。さらに、(EVA/イオノマーライナ組成物の重量を基にして)約40ppmの着色剤(フタロシアニンブルー)を加え、(EVA/イオノマーライナ組成物の重量を基にして)100当たり約1部の滑剤(エルクアミド)を組成物に加えた。これらの成分を二軸スリュー押出機で溶融ブレンドすることによって十分に混合し、前述のとおりペレットとした。
上述の組成物は、優れたペレット安定性を備え、前述の方法によって低温の華氏約350度(177℃)で、クロージャの封止ライナとして十分に圧縮成形されることがわかった。次に前述のプロトコルに従って、このライナの低温取外しトルク試験した。この対照ライナサンプルの測定値は、取外しトルク20.6インチ・ポンド(約20.73kg・cm)であった。取外しトルクの望ましいレベルは17インチ・ポンド(約19.59kg・cm)未満である。
実施例2
実施例1のライナ組成物を用いたが、ただしこの組成物は滑剤エルクアミドの代わりに、1pphの代替滑剤(エチレンビスオレアミド)(EBO)を含有した。このライナ物質を含む裏打ちしたキャップを製造し、低温取外しトルクを試験したところ、目標値である約17インチ・ポンド(約19.59kg・cm)よりはるかに高い、26.3インチ・ポンド(約30.30kg・cm)の平均値を有することがわかった。
実施例3
実施例1のライナ組成物を用いたが、ただし最終配合物は、総濃度1pphで、50%のエルクアミドと50%のエチレンビスオレアミドからなる混合滑剤を含有した。このライナ物質を含む裏打ちしたキャップを製造し、低温取外しトルクを試験したところ、17.9インチ・ポンド(約20.62kg・cm)の平均値を有することがわかった。このように、これら2種の滑剤の組合わせを含む樹脂配合物は、低温取外しトルク値の減少に関して、どちらの成分を単独で用いるよりも、優れた滑剤であることがわかった。
実施例4
この実施例は、硬度値が高く、メルトフロー値が比較的高いEVA樹脂と、高い剛性値を有するイオノマーSURLYN(登録商標)と、前記実施例3で述べた改良された滑剤パッケージとの組合せからなる配合物が、低温取外しトルク値が低い優れた特性および非常に高い高温炭酸飽和保持性を提供することを教示するものであり、表1を参照されたい。
本発明によるライナ組成物を、約90重量%のEVAポリマーと、エチレンおよび15%のメタクリル酸コポリマーの59%中和ナトリウム塩で、約0.9dg/分のMIを有する約10重量%のイオノマーとを混合することによって製造した。このイオノマー樹脂は、割線弾性率試験によって測定したとき60〜70kpsi(約413.7〜482.7MPa)という非常に高い剛性値を有した。EVAコポリマーは約30dg/分という比較的高いメルトインデックスを有し、約18重量%の酢酸ビニルを含有した。このコポリマーは、また、88という高いショアA硬度値を有した。さらに、この配合物は、実施例3において前述した50重量%のエルクアミドと50重量%のEBOとからなる混合滑剤を、1pph含有した。さらに、この配合物は、実施例1で前述したフタロシアニンブルー青色着色剤を、約40ppm含有した。これらの成分を、前述のとおり、二軸スクリュー押出機で溶融配合することによって、十分に混合し、ペレットとした。
この組成物は、優れたペレット安定性を備え、前述の方法によって低温の華氏約350度(177℃)で、クロージャの封止ライナとして十分に圧縮成形されることがわかった。次に、前述のプロトコルに従って、このライナの低温取外しトルク試験したところ、目標最大値の17インチ・ポンド(約19.59kg・cm)よりもはるかに低い、平均12.45インチ・ポンド(約14.34kg・cm)という優れた低い値を有することがわかった。さらに、これらのライナは、高温(42℃)で7日間エージングした時の炭酸飽和保持力を試験したが、CO2目標値4.0volに対して、CO2平均が3.86volであることがわかった。データに関しては表1を参照されたい。
実施例5
この実施例は、たとえば8dg/分という低いメルトフロー値を有するより硬質のEVA樹脂と、たとえば架橋EVA樹脂のようなゴム状物質と、実施例3に述べた改良された滑剤との配合組合わせが、最適の冷温取外しトルクおよび炭酸飽和保持性を示さなかったことを、教示する。この配合物は、実施例4に述べた、剛性イオノマー成分およびメルトフロー値の高い硬質EVA樹脂を含有しなかった。
約12%の酢酸ビニルを含み、8dg/分のメルトフロー値を有する約90重量%のEVAポリマーを混合することによって、ライナ組成物を製造した。この樹脂のショアA硬度は93であった。この配合物に約10重量%のゴム状架橋EVA樹脂を加えた。このゴム状EVAは、約40%の酢酸ビニルを含み、メルトフロー値3dg/分を有した。さらに、この配合物は、実施例3に述べた約1pphの改良された滑剤ならびに、約40ppmの青色着色剤を含有した。これらの成分を前述のとおり、二軸スクリュー押出機で溶融配合することによって十分に混合し、ペレットとした。この配合物は封止ライナとして十分に圧縮成形された。この配合物の低温取外しトルク値は、平均で約14.0インチ・ポンド(約16.13kg・cm)であり、炭酸飽和保持値は平均で4.17volであった。低温取外しトルク値が高いために、この配合物は実施例4に述べた配合物ほど好ましくなかった。
実施例6
この実施例は、硬度が高いがメルトフローの比較的低いEVA樹脂と硬度が高くメルトフローの高いEVA樹脂、およびゴム状架橋EVA樹脂、さらには改良された滑剤パッケージとからなるより硬質の配合物が、低温取外しトルクおよび炭酸保持値において最良の優れた改善を提供しなかったことを、教示する。この配合物は、実施例3に前述の改良された滑剤を含有した。この配合物には、高い弾性率を有するイオノマー成分は存在しなかった。
約9%のVAを含み、メルトフロー値8dg/分を有する約80重量%のEVAコポリマーを溶融配合することによって、ライナ組成物を製造した。このEVA樹脂のショアA硬度値は約95であった。この配合物は、また、約18%のVAを含み、30dg/分という高いメルトフロー値を有する第二のEVAを約10重量%、約40重量%のVAを含み、メルトフロー値3dg/分を有する架橋ゴム状EVAを約10重量%含有した。さらに、この配合物は、実施例3に前述した約1pphの改良された滑剤、ならびに約40ppmの青色着色剤を含有した。これらの成分を前述のとおり、二軸スクリュー押出機で溶融配合することによって十分に混合し、ペレットとした。この配合物は、ショアA硬度値が約93で、封止ライナに十分に圧縮成形された。この配合物の低温取外しトルク値は平均で約14.25インチ・ポンド(約16.42kg・cm)であり、炭酸保持値は平均で3.32volであった。低温取外しトルク値が高く、炭酸飽和保持値が低いため、この配合物は実施例4に述べた配合物ほど好ましくなかった。
実施例7
この実施例は、高いメルトフロー値を有する軟質EVAと、低いメルトフロー値を有する硬質EVAと、高い弾性率を有するイオノマー樹脂と、改良された新規の滑剤パッケージとからなるより軟質の配合物が、最良の取外しトルクおよび炭酸飽和保持性を示さなかったことを、教示する。この配合物はメルトフロー値の高い硬質EVAを含まなかった。
ライナ組成物を、約28重量%のVAを含み、約25dg/分のメルトフロー値を有する約80重量%のEVAコポリマーと、約9重量%のVAを含み、約7dg/分のメルトフロー値を有する別のEVA樹脂約10重量%、および実施例4において用いたイオノマー樹脂約10重量%、実施例3で前述した改良された滑剤約1pphとを混合することによって、溶融配合した。この配合物はまた約40ppmの青色着色剤を含有した。この配合物のショアA硬度値は84であった。これらの成分を前述のとおり、二軸スクリュー押出機で溶融配合することによって十分に混合し、ペレットとした。この配合物は封止ライナに十分に圧縮成形された。この配合物の低温取外しトルク値は平均で14.65インチ・ポンド(約16.88kg・cm)であり、炭酸飽和保持値は平均で3.74volであった。低温取外しトルク値が高く、炭酸飽和保持値が低いため、この配合物は実施例4に述べた配合物ほど好ましくなかった。
Figure 0004077040

Claims (8)

  1. エチレン酢酸ビニルコポリマーおよびイオノマーの総量に基づく重量パーセントで)85から95重量パーセントのエチレン酢酸ビニルコポリマーと、
    5から15重量パーセント、ASTM D-790に従って測定した曲げ弾性率が少なくとも40,000psi(約275.8MPa)であるイオノマーと、
    エチレン酢酸ビニルコポリマーおよびイオノマーの総重量100部あたり0.3から2重量部の、第一脂肪酸アミドからなるグループから選択された1つ以上の脂肪酸アミドとビス脂肪酸アミドからなるグループから選択された1つ以上の脂肪酸アミドとの配合物であって、第一脂肪酸アミドとビス脂肪酸アミドとの比率が10:90から90:10である配合物を含む滑剤パッケージと
    を含み、
    前記酢酸ビニルの正味含量が15から22%であり、正味含量がエチレン酢酸ビニルコポリマー/イオノマー配合物中のエチレン酢酸ビニルコポリマーの重量パーセントにエチレン酢酸ビニルコポリマー中の酢酸ビニルのパーセントを掛けたものに等しく、
    4.0±0.1体積%の二酸化炭素ガスで加圧された容器について、華氏40度(約4℃)で測定されるクロージャの取外しトルクが17インチ−ポンド(約19.59kg・cm)未満である
    ことを特徴とするクロージャ用封止ライナ。
  2. 前記エチレン酢酸ビニルコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーおよびイオノマーの総量の、87から93重量パーセントであり、前記イオノマーが7から13重量パーセントであることを特徴とする請求項1に記載の封止ライナ。
  3. 前記エチレン酢酸ビニルコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーおよびイオノマーの総量の90重量パーセントであり、前記イオノマーが10重量パーセントであることを特徴とする請求項2に記載の封止ライナ。
  4. 前記酢酸ビニルの正味含量が16から18パーセントであることを特徴とする請求項1、2、または3のいずれかに記載の封止ライナ。
  5. 前記イオノマーが少なくとも55,000psi(約379.2MPa)のASTM D-790に従って測定した曲げ弾性率を有することを特徴とする請求項4に記載の封止ライナ。
  6. 前記イオノマーが、一価、二価、または三価の金属カチオンによって部分的に中和された、少なくとも1つのα−オレフィンと、少なくとも1つのα、βエチレン系不飽和カルボン酸あるいは酸無水物とのコポリマーを含むことを特徴とする請求項1、2、または3のいずれかに記載の封止ライナ。
  7. 前記コポリマーが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンによって5から80重量パーセントが中和された、9から20%の酸基を含むことを特徴とする請求項6に記載の封止ライナ。
  8. 前記イオノマーが、エチレンと、亜鉛カチオンまたはナトリウムカチオンで中和されたメタクリル酸のコポリマーであることを特徴とする請求項7に記載の封止ライナ。
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