〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について説明する。本実施の形態にかかる放送波送信装置は、放送波受信装置に対して送信する、例えば、ミリ波やマイクロ波等の放送波(変換放送波)の送信方向を調整することができる構成を有している。また、本実施の形態にかかる放送波受信システムは、上記放送波送信装置および放送波受信装置を含む構成である。
図3は、本実施の形態にかかる放送波受信システムの概略の構成を示す正面図である。なお、図3では、上記放送波受信システムを家屋に設置している構成について説明しているが、設置場所については特に限定されるものではない。
本実施の形態にかかる放送波受信システムは、図3に示すように、ミリ波帯送信装置(放送波送信装置)1、ミリ波帯受信装置(放送波受信装置)2および平面反射板(反射手段)3を備えている。
上記ミリ波帯送信装置1は、外部から放送波を受信するとともに、受信した放送波をミリ波帯の周波数に変換する。なお、以下の説明では、ミリ波帯に周波数が変換された放送波を変換放送波として説明する。そして、上記ミリ波帯送信装置1は、ミリ波帯受信装置2に対して変換放送波を送信する。上記ミリ波帯送信装置1の詳細な構成・構造については後述する。
上記ミリ波帯受信装置2は、上記ミリ波帯送信装置1から送信された変換放送波を受信するものである。また、上記ミリ波帯受信装置2は、受信した変換放送波を放送波に逆変換する構成を備えていてもよい。
上記平面反射板3は、ミリ波帯送信装置1から送信された変換放送波を反射させるものである。上記平面反射板3は、反射面が平面であることにより、反射される変換放送波を拡散せずに反射することができる。このため、反射される変換放送波の電力レベルを損なうことなく伝送経路を形成することができる。従って、ミリ波帯送信装置1のアンテナの指向性を強めることとなり、ミリ波帯受信装置2へ変換放送波を送る場合には、伝搬距離を長くすることができたり、壁等の障害物を通過させることができたりする。
そして、ミリ波帯送信装置1はTVアンテナ端子10に直接接続及び設置されている。ミリ波帯送信装置1が有するアンテナ(送信手段)の変換放送波(以下、電波と称する)発信面の方向は、発信された電波が平面反射板3へ伝搬されるように調整・固定されている。具体的には、図3に示すように、ミリ波帯送信装置1が家屋の壁の床近傍に取り付けられている場合には、当該ミリ波帯送信装置1のアンテナの電波発信面の方向は鉛直方向上向き(重力の方向に対して反対方向)、かつ、平面反射板3の方向に調整・固定されている。平面反射板3は電波の経路上、かつ天井近くの高さに、ミリ波帯受信装置2の伝搬経路を含むように適当な角度に調整して設置されている。ミリ波帯受信装置2のアンテナの電波受信面の方向は、平面反射板3の方向へ角度を調節して設置されている。
次に、上記本実施の形態にかかる放送波受信システムにおいて、外部から送信されてきた放送波をミリ波帯受信装置2に送信する流れについて説明する。TVアンテナ端子10から出力された例えば、CS・BSや地上波TV放送の信号は、ミリ波帯送信装置1にてミリ波帯の周波数を有する信号に周波数変換される。そのミリ波帯の周波数を有する信号は、ミリ波帯送信装置1のアンテナ面より電波として送信される。その送信された電波は、平面反射板3により反射された後、ミリ波帯受信装置2のアンテナ面にて受信される。ミリ波帯受信装置2で受けたミリ波帯の電波は、元のCS・BSや地上波TV放送の信号の周波数帯に復調される。この復調された信号は映像チューナ11に入力され、CS・BSや地上波TV放送の映像を視聴することができる。
図1は、本実施の形態にかかるミリ波帯送信装置1の概略の構成を示す上面図である。また、図2は、上記ミリ波帯送信装置1の概略の構成を示す側面図である。ここで、本実施の形態にかかるミリ波帯送信装置1の詳細な構成について図1、2を参照して説明する。
上記ミリ波帯送信装置1は、アンテナ(送信手段)64、回転・固定部(調整手段)66および入力端子40を備えている。また、上記アンテナ64は、変換回路(周波数変換手段)(図示せず)を備えている。
また、ミリ波帯送信装置1への電力供給は電源コード45により行われる。そして、TVアンテナ端子と接続されている例えば衛星パラボラアンテナへの電源供給は、ミリ波帯送信装置1からコネクタ(取得手段)44、映像コネクタ43を介して供給されるようになっている。
上記アンテナ64は、電波を外部に送信するものである。より具体的には、上記アンテナ64は、ミリ波帯受信装置2および/または平面反射板3に電波を送信するものである。そして、上記アンテナ64は、平面形状をしており、その面全体から電波を送信するようになっている。
上記変換回路は、入力端子40を介して取得した放送波を変換放送波に、放送波の周波数を周波数変換するものである。この変換回路の詳細については後述する。
入力端子40は、例えば、TVアンテナ端子10と接続され、外部から送信された放送波を取得するものである。より詳細には、入力端子40には、コネクタ(取得手段)44が設けられており、当該コネクタ44は、信号ケーブル等を介することなく、直接、TVアンテナ端子10の映像コネクタ43に取り付けられるようになっている。また、コネクタ44は、上記アンテナ64のアンテナ面を略鉛直方向上向きになるように、映像コネクタ43に取り付けられている。なお、コネクタ44に繋がる入力端子40の中には同軸線路が通されており、映像信号や音信号を伝送する構成になっている。
本実施の形態にかかるミリ波帯送信装置1には、回転・固定部66が設けられている。これにより、ミリ波帯送信装置1の設置位置を固定した状態においても、電波を送信する送信手段であるアンテナのアンテナ面の方向(電波の送信方向)を調整することができる。以下に、回転・固定部66の詳細について説明する。
回転・固定部66は、水平回転軸60、水平つまみ62、垂直回転軸63および垂直つまみ61を備えている。
水平回転軸60は、図1に示すように、アンテナ64を、入力端子40の軸方向に回転させるものである。そして、水平つまみ62は、水平回転軸60による回転を開放する、または、止めるものである。具体的には、水平つまみ62を緩めることで、水平回転軸60を中心とした回転が開放され、アンテナ面を、水平回転軸60を中心に±180°回転させることが可能となる。水平つまみ62を閉めることにより、水平回転軸60を中心とした回転が固定される。回転が±180°までに制限されている理由は、同軸線路を捻り過ぎることで、線路を切断しないようにするためである。
垂直回転軸63は、図2に示すように、アンテナ64を、入力端子40の軸に対して垂直方向に回転させるものである。そして、垂直つまみ61は、垂直回転軸63による回転を開放する、または、止めるものである。具体的には、垂直つまみ61を緩めることで、垂直回転軸63を中心とした回転が開放され、アンテナ面を、垂直回転軸63を中心に約±180°回転させることができる。垂直つまみ61を閉めることにより、その回転が固定される。
つまり、水平回転軸60と垂直回転軸63により、ほぼ全方向へアンテナ面を調整することが可能となる。すなわち、映像コネクタ43とコネクタ44を接続した状態で、入力端子40の回転・固定部66により、アンテナ面の方向を適切な方向へ調整することができる。
このような構成とすることで、ミリ波帯送信装置1とコネクタ44の間にアンテナ方向を調整するための調整手段である水平回転軸60と垂直回転軸63とを備えるために、壁への設置位置や設置方法を考える必要が無く、設置が容易に行える。つまり、ミリ波帯送信装置1の設置後であっても、アンテナ64のアンテナ面の方向を調整することが可能であるため、ミリ波帯受信装置2に電波を送信(無線伝送)する際に、例えば、反射伝送および直接伝送の切り替えを簡単に行うことができる。さらに、ミリ波帯送信装置1を障害物が多くなる家屋の低い場所等に設置した場合でも、好適に電波を送信することができるので、例えば、ミリ波帯送信装置1を家屋の高い場所に設けて家屋の床付近低い場所にあるTVアンテナ端子から当該ミリ波帯送信装置1まで電源コードや信号ケーブルなどを伸ばす構成と比べて、より簡単で使い勝手の良い放送波受信システムの構築が可能となる。
なお、上記の説明では、電波を送信するアンテナ64の方向を調整する調整手段として、回転・固定部66を用いる構成について説明している。しかしながら、調整手段としては、上記に限定されるものではなく、ミリ波帯送信装置1全体を動かすことなく、アンテナ64の電波送信方向(アンテナ面の方向)を調整することができる構成であればよい。
具体的には、例えば、回転・固定部66の代わりにモータ等の駆動源を用いてアンテナ64の電波送信方向を調整してもよい。また、モータ等の駆動源でアンテナ64の電波送信方向を調整することができる構成とする場合には、例えば、TVやビデオ等のリモコンや携帯電話等で、アンテナ64の電波送信方向(回転方向)を無線遠隔で調整することができる構成とすることがより好ましい。
入力端子40の構造としては、例えば、図4に示すように、入力端子40の形状が略L字型の支柱である構成であってもよい。形状が略L字型の入力端子70の場合には、コネクタ44から信号ケーブルを介さず直接映像コネクタ43に取り付けるよう構成されている。コネクタ44を有する入力端子70の中には同軸線路が通されており、映像信号や音信号を伝送する構成になっている。入力端子70はL字型に固定されており、ミリ波帯送信装置1を支えるのに十分な強度を持っている。入力端子70とミリ波帯送信装置1との間には、回転・固定部67が備えられており、ミリ波帯送信装置1のアンテナ面の方向を適切な方向へ調整することができる。そして、ミリ波帯送信装置1への電力供給は電源コード45により行われる。また、TVアンテナ端子10と接続されている衛星パラボラアンテナへの電源供給は、ミリ波帯送信装置1からコネクタ44、映像コネクタ43を介して供給される。
このように、L字型の支柱からなる入力端子70を用いることにより、例えば、ミリ波帯送信装置1を家屋の壁に取り付けた際に、壁からの突出する部分が少なくなる。したがって、家具等の配置に影響を与えない。また、突出した部分を少なくすることができるので、ミリ波帯送信装置1自体の障害物としての影響が少なくなり、整然とした家屋内部の外観を保つことができる。また、図4の構成において、入力端子70の形状を変えることにより、アンテナ64の鉛直方向上向きの長さを可変にすることも可能である。このようにすることで、ミリ波帯送信装置1の鉛直上向き方向の高さを調整することができ、例えば、障害物がより少ない家屋の上部付近にアンテナ64を設置した場合には、ミリ波帯送信装置1と、ミリ波帯受信装置2と間の伝送経路をより簡単に確立することができる。
また、ミリ波帯送信装置1の他の構成としては、図5に示すように、アンテナ64と入力端子40とが、同軸ケーブル102を介して接続されている構成としてもよい。この場合には、アンテナ64は、回転・固定部66に取り付けられており、アンテナ64の電波送信方向を簡単に調整することができる。上記同軸ケーブル102の長さは特に限定されるものではないが、例えば、図5の説明では、1m程度のケーブルを用いている。つまり、上記の構成とすることにより、人が立った状態あるいは座った状態の高さよりも高い位置にアンテナ64を壁または柱に設置することができるので、ミリ波帯送信装置1の取り付けやアンテナ64の電波送信方向の調整等が容易になる。
以上のように、本実施の形態にかかるミリ波帯送信装置1は、外部から受信した放送波を、ミリ波帯受信装置2の受信用信号である変換放送波に変換して無線伝送するアンテナ64と、上記変換放送波の送信方向および/またはアンテナ64の位置を調整する回転・固定部66とを備える構成である。
上記構成のミリ波帯送信装置1によれば、ミリ波帯送信装置1と入力端子40との間にアンテナ方向を調整するための回転・固定部66を備えるため、TVアンテナ端子10に入力端子40を直接接続するだけで、ミリ波帯送信装置1を壁に設置することができ、設置した後であってもアンテナ方向を調整することが可能であるため、電波の反射伝送や直接伝送も行うことができる。また、ミリ波帯送信装置1の設置位置が床近くの低い場所である場合であっても容易にアンテナ面の方向を調整することができるので、例えば、低い位置から天井近くの高い設置位置まで電源コードや信号ケーブルなどを伸ばしてミリ波帯送信装置1を設置しなくても、良好に電波の送信を行うことができる。つまり、ミリ波帯送信装置1の設置作業を簡単に行うことができで、使い勝手の良いミリ波帯送信装置1を提供することができる。
また、TVアンテナ端子10および電源用コンセント付近にミリ波帯送信装置1を設置でき、ミリ波帯送信装置1からの電波が天井方向へ発信されるため、例えば、TVアンテナ端子10の付近に障害物12のような電波を遮蔽する遮蔽物があっても、電波を送信することができる。なお、電波の受信可能な範囲内であれば、ミリ波帯受信装置2の移動や、複数のミリ波帯受信装置2による受信も可能である。
以下に、ミリ波帯送信装置1が備えている放送波を電波(変換放送波)に周波数変換する変換回路およびミリ波帯受信装置2が備えている上記電波を元の放送波に変換する変換回路の構成について説明する。
図6は、ミリ波帯送信装置1、ミリ波帯受信装置2の回路構成を示す回路図である。ミリ波帯送信装置1は、周波数ミキサ31、APDPミキサ32、BPF(バンドパスフィルタ)101、増幅器33、基準信号源36、局部発振器37、合成回路38により構成される。ミリ波帯受信装置2は増幅器34、周波数ミキサ(2端子系ミキサ)35、BPF101により構成される。
ここで、ミリ波帯送信装置1、ミリ波帯受信装置2の回路の動作について説明する。ミリ波帯送信装置1に入力されたCS・BSや地上波TV等の放送信号(470MHz〜2.1GHz)は、周波数ミキサ31で基準信号源36より出力される3.47GHzの信号を用いて、周波数アップコンバートされ、4.0〜5.0GHz帯の送信側中間周波数放送信号に周波数変換される。そして、BPF101を経た送信側中間周波数放送信号は、合成回路38で、基準信号源36から出力された3.47GHzの基準信号と合成され、3.47GHzの送信側基準信号と4.0〜5.0GHz帯の送信側中間周波数放送信号を含んだ送信側中間多重信号が生成される。この送信側中間多重信号はAPDPミキサ(アンチパラレルダイオード型ミキサ)32により、局部発振器37より出力される27.76GHzの信号を2逓倍した55.52GHzの信号と周波数が混合される形となり、59.0GHzの無線基準信号と59.5GHz〜61.1GHz帯の無線放送信号とを含んだ無線多重信号へと周波数アップコンバートされる。この59.5GHz〜61.1GHz帯の無線多重信号は、増幅器33により増幅された後、ミリ波帯送信装置1が有するアンテナ64のアンテナ面から送信され、ミリ波帯受信装置2が有する受信アンテナ100のアンテナ面まで無線伝送される。
ミリ波帯受信装置2にて受信されたミリ波帯の信号は、無線多重波信号を増幅器34にて増幅し、BPF101にて濾波された後、2端子型の周波数ミキサ35にて、無線多重波信号中に含まれている基準信号59.0GHzにより、59.5GHz〜61.1GHz帯の無線放送信号が周波数ダウンコンバートされ、元の送信側の放送信号であるCS・BSや地上波TVの信号(470MHz〜2.1GHz)が再生される。ここで周波数ミキサ35は、通常使われている3端子ミキサとは異なり、局部発振ポートとRFポートを共通にした2端子系の周波数ミキサで構成され、出力側は周波数変換されたIF周波数出力となる。なお、マイクロ波トランジスタ等で2端子系ミキサを構成した場合には、トランジスタの利得を利用して周波数変換損等も小さくすることが可能でありより好ましい。
図7は、ミリ波帯送信装置1、ミリ波帯受信装置2の他の回路構成を示す回路図である。なお、説明の便宜上、上記図6にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
図7に示すミリ波帯受信装置2は、受信アンテナ100でミリ波帯送信装置1からのミリ波無線多重信号を受信し、増幅器34で増幅した後、無線多重波信号のみをBPF101で濾波し、局部発振器3からの局部発振信号により周波数ミキサ32により、中間周波数帯(例えば3GHz〜5GHz帯)に、一端、周波数ダウンコンバートする(第1の周波数ダウンコンバート)。ここでは上記無線基準信号と無線放送信号で構成される無線多重波信号は、第1の周波数ダウンコンバートにより受信側中間周波数基準信号と受信側中間周波数放送信号で構成される受信側中間周波数多重信号が生成される。該受信側中間周波数多重信号は、上記送信側中間周波数多重信号と異なった周波数帯であっても構わない。
その後、受信側中間周波数多重信号は増幅され、BPF101で、受信側中間周波数多重信号のみを濾波され、周波数ミキサ(2端子系ミキサ)35で、受信側中間周波数基準信号により受信側中間周波数放送信号は、周波数ダウンコンバート(第2の周波数ダウンコンバート)され、送信側の放送信号である元のCS・BSや地上波TVの信号(470MHz〜2.1GHz)が再生される。
図6に示す回路構成と図7に示す回路構成とは、ミリ波帯受信装置2の、2端子系の周波数ミキサ35による周波数ダウンコンバートが、直接受信したミリ波帯周波数で行うか、一端周波数をより低い周波数帯へ周波数ダウンコンバートして行うかの部分が異なっている。一端周波数ダウンコンバート(第1の周波数ダウンコンバート)して、より低い周波数になるように周波数ミキサ35で第2の周波数コンバートを行う方が、受信側中間周多重信号の状態のままで、中間周波数増幅器105において増幅できるため、第1の周波数ダウンコンバートでの変換利得を大きくした状態で、より低い周波数帯で2端子系ミキサによる第2の周波数ダウンコンバートを行うことができる。このため、トータルの受信側の周波数変換利得を大きくすることができるとともに、雑音指数を低減することが可能である。加えて、中間周波数帯のBPF101でも、必要としている受信側中間周波数多重信号のみを濾波するため、帯域外の妨害信号に対しても抑圧能力は高くなる。
なお、送信側中間放送信号に送信側基準信号を付加するのは、放送信号(放送波)と基準信号の周波数・位相関係を一定の関係に保つためである。これにより、下記2つの動作が可能となる。
(1)基準信号と放送信号とを併せた状態で周波数アップコンバートおよび伝送を行い、受信側では周波数アップコンバートされた基準信号を用いて同時に伝送された放送信号のダウンコンバートを行うことにより送信側から入力された放送信号を再生することが可能になる。
(2)送信側で無線伝送された無線多重波信号中の基準信号と放送信号とは互いに位相同期(コヒレンシーを有)しており、無線伝送しているどの区間でも、放送信号と基準信号との位相関係は一定の関係を有しており、後述する受信ダイバシティが可能となる。
本実施の形態にかかるミリ波帯送信装置1およびミリ波帯受信装置2では、それぞれ回路部(回路構成)とアンテナとが一体で構成されている。回路部とアンテナを一体化することにより、ミリ波帯において特に顕著となる伝送線路やコネクタでの電力の劣化を低減することができる。また、できるだけ伝送経路の中で低周波数へ周波数変換し、低い周波数で信号処理する構成することがより好ましい。
アンテナの指向性は±5〜10°である。これは、一般家庭においては、反射板3の大きさは縦横1m以下、床から天井の高さも2.5m程度が適当であり、この反射板3の大きさから、アンテナの指向性は±5〜10°が適当である。そして、指向性を絞ったほうが電波の強度が大きくなり、伝搬特性も良好になるため、反射板3として反射面が平面である構成がより好ましい。
反射板として、反射面が平面である平面反射板3を用いることにより、当該平面反射板3で反射する際に電波の拡散を防止することができるので、電波が反射した後も電波の強度を保つことができる。従って、電波を受信可能な範囲内において電波の強度が保たれるため、安定した送受信経路が確保できる。
また、例えば、図8に示すように、TVアンテナ端子10とミリ波帯送信装置1との間に、分波器42を取り付けることで、放送信号(映像信号)を2つに分けることも可能となる。この放送信号を2つに分けることで、例えば、TVアンテナ端子10の付近にTV等の映像機器を置き、離れた他の映像機器にミリ波無線伝送するといったことが可能となる。さらに、分波器42は映像信号を2つに分ける役割のほかに、電源コード45により衛星パラボラアンテナとミリ波帯送信装置1への電源供給が行うことができる。なお、電源供給については、TV等の映像機器等から衛星パラボラアンテナやミリ波帯送信装置1に対して供給するようにしてもよい。
また、反射板を構成する材料としては、ミリ波帯での反射率が良い、ステンレス、銅等の金属製の材料が含まれていることがより好ましい。また、反射板の表面状態は滑らかである方が電波の反射効率が良いためより好ましい。さらに、例えば、見栄えを良くする目的等で、反射板の反射面へ、紙、プラスチック等の水分を含まない材料である絵画やポスター模様等を貼りつけることや、覆い隠すなどした場合であっても、電波の強度には殆ど影響は与えない。また、上記説明では、平面反射板3を用いる構成について説明している。しかしながら、平面反射板3の代わりに、例えば、天井や壁、蛍光灯等の証明器具であっても、十分電波を反射可能であり、無線伝送可能である。
また、電波の伝搬経路に反射物を設置することなく、ミリ波帯送信装置1の回転・固定部66によって、ミリ波帯送信装置1およびミリ波帯受信装置2のアンテナ面を互いに対面させるように調節することで、見通し内で直接電波の無線伝送を行うことも可能である。
また、上記説明では、ミリ波の周波数帯に変換する構成について説明しているが、壁や天井等で電波の反射が顕著となる周波数帯、例えば、マイクロ波帯(3GHz〜300GHz)、テラヘルツ帯でも有効であることは言うまでもない。つまり、本発明にかかる放送波送信装置および放送波受信システムは、ミリ波帯のみに適用されるものではなく、あらゆる電波の送受信に適用できる。より具体的には、電波が直進性を有している電波、例えば、3GHz〜300GHzの範囲内の周波数帯の電波を送受信する構成であることがより好ましい。
また、上記の説明では、アンテナ64が変換回路を備えている構成について説明している。しかしながら、アンテナ64と変換回路とは別体で設けられていてもよく、例えば、アンテナ64と変換回路との間に回転・固定部が設けられていてもよい。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
図9は、本実施の形態にかかる他の放送波受信システムの概略の構成を示す正面図である。本実施の形態にかかる放送波受信システムでは、図9に示すように、CD・DVD等のプレーヤー・コントローラである音響装置13がミリ波帯送信装置1を備えており、当該ミリ波帯送信装置1から無線伝送された信号がスピーカ部である音声再生装置14a、14bによって再生される構成である。より詳細には、ミリ波帯送信装置1から無線伝送された信号は、曲面反射板4によって反射されて音声再生装置14a、14bが備えるミリ波帯受信装置2a、2bに入力されるようになっている。また、音声再生装置14a、14bは、それぞれミリ波帯受信装置2a、2bを備える構成となっている。
ここで、上記構成の放送波受信システムにおける動作について説明する。音響装置13が有するオーディオ変調器から出力された放送信号は、ミリ波帯送信装置1にてミリ波帯に周波数が変換される。そしてミリ波帯に周波数変換された信号(変換放送波)は、ミリ波帯送信装置1が有するアンテナ64のアンテナ面より電波として送信される。その電波は、曲面反射板4により反射された後、ミリ波帯受信装置2aおよびミリ波帯受信装置2bが有する受信アンテナ100のアンテナ面にて受信される。ミリ波帯受信装置2aおよび2bにて受信されたミリ波帯の電波は、送信側からの放送信号を再生するために、オーディオ伝送用復調器へ入力される。そして入力された電波は、オーディオ復調器にて送信側から送信された放送信号に復調された後、デジタル信号処理が行われ、音声再生装置14aおよび14bに入力される。
図10は、ミリ波帯送信装置1が取り付けられた音響装置13の構成を示す正面図である。
ミリ波帯送信装置1は、図10に示すように、音響装置13のオーディオ端子54と接続されている。そして、ミリ波帯送信装置1が有するアンテナ64のアンテナ面の方向は、ほぼ鉛直方向上向きになるように設定されている。オーディオ端子54は音響装置13の後面に備え付けてあり、例えば音声信号をASK変調やFM変調などといった単純な方式で変調したオーディオ信号を出力する。ミリ波帯送信装置1は、オーディオ端子54とケーブルを介さずに直接接続されている。なお、ミリ波帯送信装置1は、図1または図2に示す構成と同様であり、上記アンテナ面を前後左右への調整を可能とする回転・固定部66(67)を有しており、鉛直方向以外にも自由に当該アンテナ面の向き(角度)を調整することができる。また、ミリ波帯送信装置1の電力は、音響装置13のオーディオ端子54を介して供給されるようになっている。なお、上記音響装置13には、コンセント53から電源コード52を介して電力が供給されている。
上記のように、オーディオ端子54とミリ波帯送信装置1とを接続する構成とすることにより、換言すれば、音響装置13にミリ波帯送信装置1を取り付けることにより、ミリ波帯送信装置1を目立たせることが無い上、ミリ波帯送信装置1から天井方向へ電波を容易に送信することができる。つまり、家具などによる遮蔽物の影響を無くした音声伝送経路を確保することが可能となる。
また、本実施の形態にかかる放送波受信システムでは、図9に示すように、反射面が曲面である曲面反射板4を用いている。この曲面反射板4の反射面を適当な曲率とすることで、電波を拡散させることができ、受信可能範囲が部屋全体といった広範囲での電波の受信が可能となる。従って、例えば、ミリ波帯受信装置2を頻繁に大幅に移動させて使用する場合や、複数の受信装置を移動させて使用する場合等に有効である。
また、ミリ波帯の電波は、その周波数帯幅が非常に広いために、ベースバンドで帯域圧縮・伸張等のデジタル信号処理を行う必要がなく、当該信号処理における時間の遅延が生じない。従って、AVシステム等で音声同士や映像同士、または、映像と音声等の全体のタイミングを一定にするという処理を行わなくてもタイミングを一致させることができるので、無線伝送系を含んだAVシステム等の電子機器の構成を簡略化できる。つまり、このような構成とすることで、例えば5.1ch信号伝送システム等での電波を複数のスピーカへ無線伝送する場合であっても、フロントスピーカとリアスピーカとの遅延や、映像とリアスピーカとの間のタイミングの不一致が無くなり、使い勝手の良い音響システムを構築することができる。
また、上記の構成とすることにより、ミリ波帯送信装置1が有するアンテナ64のアンテナ面の方向を簡単に調整することが可能であるので、例えば、図11に示すように、予め設けられた曲面反射板4に対して電波を照射することが可能である。つまり、上記構成とすることにより、反射板の設置位置を厳密に設定する必要がなく、より簡単に、電波を効率よく伝送することができる。なお、上記放送波受信システムを家屋に配置する場合、例えば、上記天井を構成する材料が、例えば石膏ボード等であれば、反射板無しでも電波を無線伝送することができる。このように、天井や壁の材料、または、ミリ波帯送信装置1とミリ波帯受信装置2との2つのアンテナのアンテナ面を互いに対向させて直接電波を送受信する場合には、反射板は設けなくてもよい。
なお、本実施の形態では、音響装置を用いた例についてオーディオ伝送について説明しているが、伝送する情報については特に限定されるものではない。例えば、変調器・復調器を映像・音声(AV)の変調・復調機能を有する場合には、上記構成とすることにより、好適に電波の無線伝送を行うことが可能である。また、例えば、ホームシアタータシステムや、ビデオカメラとビデオレコーダとの間等のAV機器間でのAV伝送や、パーソナルコンピュータ間の電子機器間同士での、データ伝送に対しても有効であることはいうまでもない。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1および2にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
図12は、本実施の形態にかかるさらに他の放送波受信システムの概略の構成を示す上面図である。図13は、本実施の形態にかかるさらに他の放送波受信システムの概略の構成を示す正面図である。本実施の形態は、複数の反射板を用いて、同時に複数の互いに異なる方向へ電波を送信し、複数のミリ波帯受信装置2に無線伝送する構成である。本実施の形態にかかる放送波受信システムは、図12、13に示すように、2つの音声再生装置14a、14bにそれぞれミリ波帯受信装置2a、2bが取り付けられている。また、2つの平面反射板3a、3bが設けられており、平面反射板3aを反射した電波は直進してミリ波帯受信装置2aに、平面反射板3bを反射した電波は直進してミリ波帯受信装置2bに、無線伝送されるように配置されている。また、音響装置13に取り付けられたミリ波帯送信装置1から送信された電波が2つの平面反射板3a、3bに放射されるように配置されている。
ここで、上記構成の放送波受信システムにおける動作について説明する。音響装置13のオーディオ端子54から出力された音声信号は、ミリ波帯送信装置1にてミリ波帯に周波数変換される。そして、ミリ波帯に周波数変換された信号は、ミリ波帯送信装置1のアンテナ面より電波として放射さる。その電波は平面反射板3a、3bにより、2方向へ反射された後、平面反射板3aで反射された電波はミリ波帯受信装置2aに、平面反射板3bで反射された電波はミリ波帯受信装置2bのアンテナ面にて、それぞれ受信される。ミリ波帯受信装置2aおよび2bで受信したミリ波帯の周波数の電波は、元の音声信号の周波数帯に周波数が逆変換された後、復調機能を有した音声再生装置14aおよび14bに入力される。
上記の構成とすることで、1つのミリ波帯送信装置1で、複数の無線伝送経路を構築することができる。つまり、互いに反射面の向きが異なる複数の反射板に対して、同時に電波を照射することで、互いに異なる方向に電波を反射させることが可能となるため、1つのミリ波帯送信装置1から複数のミリ波帯受信装置2へ、少ない損失で安定した無線伝送を行うことができる。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1〜3にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
図14は、本実施の形態にかかるさらに他の放送波受信システムの概略の構成を示す正面図である。本実施の形態にかかる放送波受信システムは、複数の反射板を用いて電波を反射させてミリ波帯受信装置2に無線伝送を行う構成である。より詳細には、TVアンテナ端子10からの放送波を分波器42にて分波し、一方は直接映像チューナ11aへ出力するとともに、他方は、ミリ波帯送信装置1を用いてミリ波帯の周波数の電波に変換した後、ミリ波帯受信装置2に無線伝送するようになっている。そして無線伝送された電波は、ミリ波帯受信装置2にて元の放送波に周波数が逆変換された後に映像チューナ11bに入力されるようになっている。
ここで、上記構成の放送波受信システムにおける動作について説明する。TVアンテナ端子10から出力されたCS・BSや地上波TV放送の信号(放送波)は、分波器16によって2つに分波される。1つは映像チューナ11aへ入力される。そして、もう1つはミリ波帯送信装置1へ入力され、ミリ波帯送信装置1にてミリ波帯に周波数変換される。ミリ波帯に周波数変換された信号は、ミリ波帯送信装置1が有するアンテナ64のアンテナ面より電波として放射される。その電波は平面反射板6により反射された後、壁17を通過して、平面反射板7で再び反射された後、ミリ波帯受信装置2のアンテナ面にて受信される。ミリ波帯受信装置2で受けたミリ波帯の電波は、元のCS・BSや地上波TV放送の信号の周波数帯に周波数変換され、映像チューナ11bに入力される。
このように受信側をほぼ固定させ、反射板を2枚使用することにより、反射を2段階行うことで、伝送経路を確保する構成である。本構成とすることで、例えば、上記放送波受信システムを家屋内で使用する場合には、壁・天井伝いに電波を無線伝送することができるので、生活空間内における人等の遮蔽物によって電波の無線伝送が妨害されることを防止することができる。また、例えば、平面反射板を用いて電波の無線伝送を行う場合には、電波を拡散させることがない。また、平面反射板を用いることにより、伝送経路を直線的に構築することが可能となる。また、平面反射板を用いることにより、無線伝送の際に電波の減衰を防止することができるので、例えば、壁17のような部屋間の壁がある場合であっても、電波を送信することができ、容易に伝送経路を構築することができる。
〔実施の形態5〕
本発明のさらに他の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1〜4にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
図5は、本実施の形態にかかる他のミリ波帯送信装置1の概略の構成を示す正面図である。本実施の形態にかかるミリ波帯送信装置1は、図5に示すように、アンテナ64と、入力端子40のコネクタ44とが同軸ケーブル102を介して接続されている構成である。そして、上記アンテナ64には、回転・固定部66が取り付けられており、ミリ波帯送信装置1全体を動かすことなく、アンテナ面の方向のみを調整することができる。
図15は、本実施の形態にかかるさらに他の放送波受信システムの概略の構成を示す正面図である。本実施の形態にかかる放送波受信システムは、図15に示すように、ミリ波帯送信装置1から送信される電波は、天井方向に向かって無線伝送され、天井150で反射され、ミリ波帯受信装置2a、2bに入力されるようになっている。そして、ミリ波帯受信装置2a、2bには、ミリ波帯送信装置1から送信されてくる電波が、それぞれ経路Aと経路Bとの互いに異なる経路を介して無線伝送される構成となっている。
上記ミリ波帯送信装置1から送信され、互いに異なった経路でミリ波帯受信装置2a、2bに入力される信号は、当該ミリ波帯受信装置2a、2bでそれぞれ周波数が変換される。このとき、上記ミリ波帯受信装置2a、2bからの出力は、そのまま長さの等しいケーブルを経て合成回路に入力される同相合成することが可能である。
換言すると本実施の形態では、図16または図17に示したような回路構成となっており、1つのミリ波帯送信装置1から送信された電波は、同じ回路構成を有する2つのミリ波帯受信装置2a、2bに入力される。そして、ミリ波帯受信装置2a、2bにて受信した電波は、図16または図17に示すような回路を経て、それぞれ2端子系の周波数ミキサ35から出力される。そして、2つのミリ波帯受信装置2a、2bから出力された信号は、それぞれ、同じ電気長を有する出力線107a、107bで出力された後、合成回路38で合成される。そして、合成出力はTVチューナまたはAV伝送用復調器151に入力されるようになっている。
ミリ波帯受信装置2a、2bにおいて、受信アンテナ100a、100bで受信された受信無線多重波信号は、周波数は同じであるが、経路A及び経路Bというように、無線伝送距離が異なっている。ここで、ミリ波帯受信装置2aの受信アンテナ100aに対する、ミリ波帯受信装置2bの受信アンテナ100bにおける伝搬距離の違いを入力位相角の差:Δθとして表現する。
ここでミリ波帯送信装置1からの送信時間をtとする。ミリ波帯送信装置1側において、基準信号(fLO1)による周波数アップコンバートおよび局部発振信号(fLO2)による周波数アップコンバートでは、上側波を所望帯として使用した場合について説明する。ここで放送信号をfIFaとして示す。また、受信側局部発振周波数をfLO3として表現する。このとき、それぞれのミリ波帯受信装置2a、2bへ入力される無線多重波信号の位相情報は下記のようになる。なお、以下の説明では、ミリ波帯受信装置2a、2bは、図17に示す回路を備える場合について説明する。
ミリ波帯受信装置2aの受信アンテナ100aへの入力位相:
基準信号: 2π(fLO1+fLO2)t
無線信号(上側波): 2π(fLO1+fLO2+fIFa)t
そして、ミリ波帯受信装置2a側での第1の周波数ダウンコンバートによって位相情報は下記のように変化する、ここでミリ波帯受信装置2aの第1の周波数ダウンコンバートに用いる局部発振器37の周波数をfLO3a、位相情報をθrxaとする。
ミリ波帯受信装置2aの第1の周波数ダウンコンバートに伴う入力位相角の変化:
基準信号: 2π(fLO1+fLO2−fLO3a)t−θrxa
無線信号(上側波):2π(fLO1+fLO2+fIFa−fLO3a)t−θrxa
さらにミリ波帯受信装置2a側での第2の周波数ダウンコンバートでは、上記、受信側中間周波数基準信号を局部発振源として、受信側中間周波数放送信号を周波数変換するため、中間周波数多重信号は下記のように第2の周波数ダウンコンバートされることにより、
[2π(fLO1+fLO2+fIFa−fLO3a)t−θrxa]−[2π(fLO1+fLO2−fLO3a)t−θrxa]=fIFa
となり、ミリ波帯受信装置2aの出力部106aではfIFaが得られる。
一方、ミリ波帯受信装置2b側での位相角の変化は、上記ミリ波帯受信装置2bとミリ波帯受信装置2aとの伝送距離の差分をθ1とした場合には、下記のように位相角が変化する。
ミリ波帯受信装置2bの受信アンテナ100bへの入力位相:
基準信号: 2π(fLO1+fLO2)t+θ1
無線信号(上側波):2π(fLO1+fLO2+fIFa)t+θ1
さらに、第1の周波数ダウンコンバートによって位相情報は下記のように変化する、ここで、ミリ波帯受信装置2bの第1の周波数ダウンコンバートに用いる局部発振器37の周波数をfLO3b、位相情をθrxbとする。
ミリ波帯受信装置2bにおける第1の周波数ダウンコンバートに伴う入力位相角の変化:
基準信号: 2π(fLO1+fLO2−fLO3a)t+θ1−θrxb
無線信号波(上側波):2π(fLO1+fLO2+fIFa−fLO3b)t+θ1−θrxb
さらに第2の周波数ダウンコンバートでは、フィルタで抽出された基準信号を局部発振源として、中間周波数の無線信号を周波数ダウンコンバートする。ここでミリ波帯受信装置2bの第1の周波数ダウンコンバート後の基準信号入力位相角の変化は、
2π(fLO1+fLO2−fLO3b)t+θ1−θrxb
となるため、第2の周波数ダウンコンバートにおける中間周波数信号の上側波は、下記のように表現することができる。
無線信号(上側波):
[2π(fLO1+fLO2+fIFa−fLO3b)t+θ1−θrxb]−[2π(fLO1+fLO2−fLO3b)t+θ1 −θrxb]=fIFa
となり、受信側出力部106bではfIFaが得られ、ミリ波帯受信装置2bによる出力位相は、ミリ波帯受信装置2aの出力位相と同位相出力が得られる。
従って、ミリ波帯受信装置2a、2bの出力部106a、106bからの出力を互いに同じ長さの出力線107a、107bを経た後合成回路38にて合成することによって、簡単に同相合成することができる。従って、受信出力レベルを増大することができ、かつ、空間ダイバシティ効果も合わせて得ることが可能となる。
このことは、本実施の形態にかかるミリ波帯受信装置2a、2bでは、複数台のミリ波帯受信装置2への入力される無線多重波信号(電波)の無線伝送路の長さが異なる場合であっても、異なるミリ波帯受信装置からの出力を簡単に同相合成することができる。つまり、ミリ波帯受信装置2の中間周波数帯の段階、換言すると、基準信号波で周波数ダウンコンバートする段階において、ミリ波帯受信装置2側での中間周波数基準信号と中間周波数信号とにおいては、伝送距離に関し、同じ位相情報が含まれている。つまり、第2の周波数ダウンコンバートにおいて、上記基準信号で上記中間周波数信号をダウンコンバートする際、周波数変換された信号には、無線伝送区間の距離情報はキャンセルされてしまうため、上記複数台のミリ波帯受信装置2からの出力線の長さが同じであれば、同相合成を行うことができる。これにより、受信出力を増大させることができ、結果的に受信側で、第2の周波数ダウンコンバートを行う際の周波数変換効率(受信感度)を高くすることができ、伝送距離を拡大することができる。
さらに、例えば、複数のミリ波帯受信装置2中のいくつかのアンテナ部分が、人体・物体等で遮られた場合であっても、少なくとも1つのミリ波帯受信装置2がミリ波帯送信装置1から、遮蔽されることなく信号受けていれば、所望の信号を受信することができ、空間ダイバシティ効果も容易に得ることができる。
なお、本実施の形態にかかる放送波受信システムは、例えば、図18に示すように、TVやパソコン等の映像チューナ11を有するフラットパネルディスプレイ部の両側に、少なくとも1波長(1・λ)以上、距離をおいて複数のミリ波帯受信装置2を設置することによっても、効率的なダイバシティを得ることができる。例えば、上記フラットパネルディスプレイ部のサイズを15インチ以上の大きさにしてその両側にミリ波帯受信装置2を設置することによって、人体・物体等でミリ波帯送信装置1から送信されてきる電波を受信するミリ波帯受信装置2のうちの一方が遮られたとしても、少なくとも1つのミリ波帯受信装置2が遮られることを防止することができる。このため、ミリ波帯送信装置1から送信されてきる電波を連続的に受信することができ、リアルタイムで、映像や・データ等を取得することができる。
また、例えば、図15に示すように2個のミリ波帯受信装置2a、2bを用いてダイバシティが得られる構成とすることによって、複数の反射点からの信号を受信できるため、図3の構成に比べて、反射ポイントの認識が容易になり、容易に電波を受信することが可能である。
また、本発明においては、例えば、図19に示すように、ミリ波帯送信装置1が備える回転・固定部66を用いて、電波の反射による伝送のみならず直接伝送も可能である。図19に示す構成では、ミリ波帯送信装置1からの電波を2個のミリ波帯受信装置2a、2bを用いて2方向から受信しており、ミリ波帯受信装置2を適当な間隔、例えば、図18、図19に示すように、ミリ波帯受信装置2a、2bをフラットパネルディスプレイ部に適当な(人体の幅以上の)間隔で、設置することにより、人の移動による電波の無線伝送が遮蔽されることを回避することができる。
また、図20に示すように、ミリ波帯送信装置1の設置位置が低い場合には、ミリ波帯送信装置1から送信された電波が床を反射してミリ波帯受信装置2に入射する場合がある。このように、複数のミリ波帯受信装置2のうちの1つが反射信号を受信する場合であっても、直接波、反射波を同時に、それぞれのミリ波帯受信装置2a、2bで受信して同位相で合成することが可能である。つまり、複数のミリ波帯受信装置2にてミリ波帯送信装置1からの電波を受信することにより、良好な受信特性を得ることが可能となる。
さらに、図21に示すように、ミリ波帯送信装置1をメイン映像チューナ11等の電子機器の上に設置して、当該ミリ波帯送信装置1からサブ映像チューナ11等へミリ波帯の電波を無線伝送する構成とした場合であっても上記と同様な効果が得られる。
また、本実施の形態にかかる放送波受信システムは、例えば、図22示すように、オーディオへの無線伝送にも適用することが可能である。より具体的には、音響装置13に取り付けられたミリ波帯送信装置1から送信された電波を2つのミリ波帯受信装置2a、2bが受信し、当該ミリ波帯受信装置2a、2bからの出力線107a、107bを、合成回路38で合成し、その合成出力を、各スピーカに内蔵されているAV伝送用復調器に出力するようにしてもよい。
以上のように、本発明に係るミリ波帯送信装置1は、外部から受信した放送波を、ミリ波帯受信装置2の受信用信号である変換放送波に周波数変換する回路(変換回路)と、上記電波を上記ミリ波帯受信装置2に対して無線伝送するアンテナ64と、上記アンテナ64から無線伝送する電波の送信方向および/またはアンテナ64の位置を調整する回転・固定部66を備える構成である。
例えば、ミリ波やマイクロ波等の3GHz〜300GHzの範囲内の周波数帯である上記電波は、その周波数帯のために直進する性質がある。また、上記電波は、例えば、人や壁等に当たると吸収されたり反射したりする特性がある。従って、電波の送信方向および/またはアンテナ64の位置によっては、上記電波を受信するミリ波帯受信装置2が当該電波を正常に受信することができない場合がある。上記の構成によれば、電波の送信方向および/またはアンテナ64の位置を調整する回転・固定部66を備えている。これにより、例えば、ミリ波帯送信装置1を固定して設置した場合であっても、電波の送信方向を簡単に調整することができる。従って、アンテナ64から送信された電波がミリ波帯受信装置2に適切に送信されるように調整することができる。なお、上記放送波とは、例えば、TVやラジオ、音楽、通信等の電波を示している。
本発明に係るミリ波帯送信装置1は、上記放送波を取得するコネクタ4を備えており、上記回転・固定部66は、上記アンテナ64とコネクタ4との間に設けられている構成がより好ましい。
上記の構成とすることにより、上記コネクタ4を固定した場合であっても、上記アンテナ64の位置および/または向きを調整することができる。
本発明に係るミリ波帯送信装置1は、上記回転・固定部66は、アンテナ64を回転させる回転部を備える構成としてもよい。
上記回転部とは、アンテナ64内部の或る一点および/または当該或る一点を通る軸を中心に上記アンテナ64を回転させるものであってもよく、また、アンテナ64外部の或る一点および/または当該或る一点を通る軸を中心に上記アンテナ64を回転させるものであってもよい。つまり、上記回転部は、アンテナ64自体を回転させるものであってもよく、アンテナ64全体を回転させるものであってもよい。また、回転部は、複数個設けられていてもよい。
上記の構成によれば、上記回転・固定部66は回転部を備えているので、アンテナ64を回転させることにより、アンテナ64の位置および/または向きを調整することができる。
本発明に係るミリ波帯送信装置1は、上記回転・固定部66には、アンテナ64の位置およびアンテナ64から送信する電波の送信方向を変動させる駆動源が備えられており、上記駆動源は、外部からの命令に基づいて動作するものである構成がより好ましい。
上記の構成によれば、外部からの命令に基づいてアンテナ64の位置および/または電波の送信方向を調整できる駆動源を駆動させることができるので、遠隔操作によって電波の送信方向の調整を行うことができる。
本発明に係るミリ波帯送信装置1は、上記回路(変換回路)は、放送波を電波に変換する際に、基準信号を付加して変換するものである構成がより好ましい。より詳細には、上記回路には基準信号を付加する基準信号源(基準信号付加手段)36が備えられていることがより好ましい。
上記の構成によれば、回路(変換回路)は、基準信号を付加して放送波を電波に変換している。つまり、上記構成とすることで、ミリ波帯送信装置1は、放送波(放送信号)と基準信号とを送信するようになっている。これにより、例えば、複数のミリ波帯受信装置2で上記電波を受信した場合でも、当該電波には基準信号が付加されているので、上記複数のミリ波帯受信装置2からの出力を同相(位相を同じ)とすることができる。
つまり、上記構成のミリ波帯送信装置1とすることにより、ミリ波帯にアップコンバートされ、無線伝送された基準信号と放送信号(放送波)とを、受信したミリ波帯受信装置2が当該基準信号を用いて上記放送信号をダウンコンバートすることで元の放送波を得ることができる。つまり、ミリ波帯送信装置1から送信する電波の変調方式に関係なく、ミリ波帯受信装置2は、上記電波をダウンコンバートすることができる。
さらに、放送信号と同時に無線伝送された基準信号で、放送信号をダウンコンバートするミリ波帯受信装置2を複数台有する場合には、当該複数台のミリ波帯受信装置2から出力される信号は同相合成することが可能となる。これは、ミリ波帯送信装置1側の基準信号と放送信号との位相関係がミリ波帯送信装置1側ですでに決まっているため、ミリ波帯受信装置2で、受信した電波を周波数変換する際に、当該電波中の基準信号を用いて、上記放送信号をダウンコンバートすることで、ミリ波帯受信装置2からの信号は全て同位相となる。そして、そのまま電気長の等しいケーブル等で各ミリ波帯受信装置2からの出力を合成することにより同相での出力の合成が可能となる。このことは、例えば、ミリ波帯送信装置1側がTVアンテナ端子10周辺の低い位置にとりつけられており、複数のミリ波帯受信装置2が、それぞれ異なった経路からの電波を受信した場合でも、ミリ波帯受信装置2からの出力は同相合成することができるので、ミリ波帯受信装置2の受信アンテナに入射してくるマルチパスの影響を軽減することが可能である。また、ミリ波帯送信装置1を低い位置に設置したことによる人による遮蔽の影響も、該複数のミリ波帯受信装置2を、例えば人体の幅だけ離して設置することにより、人による電波の遮蔽の影響を軽減することができる。
本発明に係るミリ波帯送信装置1は、上記放送波を取得するコネクタ4を備えており、上記コネクタ4と、上記アンテナ64とは、略L字状の支柱を介して接続されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、コネクタ4と上記アンテナ64とを略L字状の支柱を介して接続することにより、例えば、上記ミリ波帯送信装置1を家屋の壁に設置した場合であっても、壁から突出する部分をより少なくすることができる。これにより、家屋内での家具等の他の物の配置や人等の通行の邪魔にならないようにミリ波帯送信装置1を設置することができる。
本発明に係るミリ波帯送信装置1は、上記放送波を取得するコネクタ4を備えており、上記コネクタ4と、上記アンテナ64とは、ケーブルを介して接続されている構成がより好ましい。
上記の構成によれば、上記コネクタ4と上記アンテナ64とをケーブルを介して接続するようになっているので、アンテナ64の設置位置の自由度をより高くすることができる。つまり、例えば、上記ミリ波帯送信装置1を家屋の床付近に設けられた端子に接続する場合であっても、アンテナ64のみを家屋内天井付近に設置することが可能となる。このようにアンテナ64を天井付近に設置することで、電波の無線伝送を遮る障害物等の影響をより少なくすることができるので、良好に電波の無線伝送を可能になる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記ミリ波帯送信装置1と、上記ミリ波帯送信装置1から無線伝送されてくる電波を受信するミリ波帯受信装置2とを備える構成である。
上記の構成によれば、アンテナ64から無線伝送する電波の送信方向および/またはアンテナ64の位置を調整する回転・固定部66を備えたミリ波帯送信装置1を用いることにより、良好に電波を送受信することができる放送波受信システムを提供することができる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記ミリ波帯送信装置1とミリ波帯受信装置2とは、上記複数の筐体からなる音響装置13等の電子機器の互いに異なる筐体に取り付けられている構成がより好ましい。
上記音響装置13等の電子機器とは、例えば、音響装置および/または映像装置等を示している。上記の構成によれば、複数の筐体からなる音響装置13等の電子機器の互いに異なる筐体に上記ミリ波帯送信装置1とミリ波帯受信装置2とを取り付けている。これにより、複数の筐体間での信号の遅延を引き起こすことなく、信号(電波)の送受信を行うことができる。従って、例えば、5.1ch信号伝送システム等での複数のスピーカへ電波を無線伝送する場合、フロントスピーカとリアスピーカとの遅延や、映像とリアスピーカとの間のタイミングの不一致等を防止することができる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記ミリ波帯送信装置1は、直線偏波の電波を送信するものである構成がより好ましい。また、本発明に係る放送波受信システムは、上記ミリ波帯送信装置1およびミリ波帯受信装置2において、直線偏波を受信するアンテナ一体型ミリ波帯送信装置1およびミリ波帯受信装置2であってもよい。
上記の構成によれば、電波の伝搬モードを直線偏波とすることで、反射により電波の偏波が変化しないために、例えば、壁や反射板等による放送波受信に当該電波が入射するまでの反射の回数に関係なく放送波受信システムを構成することができる。
本発明に係る放送波受信システムは、ミリ波帯送信装置1から送信された電波を反射する平面反射板3および/または曲面反射板4を備える構成がより好ましい。
上記の構成によれば、平面反射板3および/または曲面反射板4を用いて電波を反射させることにより、例えば、ミリ波帯送信装置1とミリ波帯受信装置2との間に遮蔽物等があり、直接波の伝送ができない場合であっても、良好に電波の送受信を行うことができる。
また、平面反射板3および/または曲面反射板4を設けることにより、ミリ波帯送信装置1から送信される電波を天井や壁方向へ発信することができる、家具や人などによる遮蔽物の影響が少ない経路を確保することができる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記平面反射板3および/または曲面反射板4は、平面反射板3である構成であってもよい。
上記の構成によれば、平面反射板3を用いている。上記平面反射板3を用いることで、反射される電波は拡散されないため、反射される電波の電力レベルを損なわずに無線伝送を行うことが可能となる。従って、ミリ波帯送信装置1のアンテナ(アンテナ64)の指向性を強めることとなり、固定しているミリ波帯受信装置2へ電波を送信する場合等には、無線伝送距離を長くすることや、壁等の障害物を通過させることが容易となる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記平面反射板3および/または曲面反射板4は、曲面反射板4である構成であってもよい。
上記の構成によれば、曲面反射板4を用いている。そして、適当な曲率の曲面反射板4を用いることで、電波(電波)を拡散させることができ、例えば、部屋全体といった広範囲での電波の送受信が可能となる。よって、例えば、ミリ波帯受信装置2を頻繁に移動させる場合であっても使い勝手がよく、また、複数のミリ波帯受信装置2に電波を受信させる場合に適している。
本発明に係る放送波受信システムは、上記ミリ波帯受信装置2、ミリ波帯送信装置1、および、平面反射板3および/または曲面反射板4は、ミリ波帯送信装置1から送信された電波が、平面反射板3および/または曲面反射板4によって反射されてミリ波帯受信装置2に送信されるように配置されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、電波を反射させて、ミリ波帯受信装置2が受信するような構成とすることにより、より一層、上記電波を遮蔽する遮蔽物を避けた無線伝送の伝送経路を構築することが可能となる。また、複数の平面反射板3および/または曲面反射板4を用いて、上記電波を複数回反射させて、送受信する構成とすることにより、より一層遮蔽物を避けた無線伝送の伝送経路を構築することが可能となる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記ミリ波帯送信装置1は、円偏波の電波を送信するものであり、上記ミリ波帯受信装置2、ミリ波帯送信装置1、および、平面反射板3および/または曲面反射板4は、ミリ波帯送信装置1から送信された電波が、平面反射板3および/または曲面反射板4によって偶数回反射されてミリ波帯受信装置2に送信されるように配置されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、電波を偶数回反射させて無線伝送を行うことにより、円偏波の方向が送信する際と同じ順方向となるため、円偏波での無線伝送が可能となる。
本発明に係る放送波受信システムは、1つのミリ波帯送信装置1から複数のミリ波帯受信装置2に上記電波が送信される構成であってもよい。具体的には、ミリ波帯送信装置1から送信された電波が、壁や天井または平面反射板3または曲面反射板4等の反射媒体にて反射されて、2つ以上のミリ波帯受信装置2へ伝送されるようにしてもよい。
本発明に係る放送波受信システムは、上記平面反射板3および/または曲面反射板4の表面は、当該平面反射板3および/または曲面反射板4を構成する材料とは異なり、かつ、電波の反射を妨げない材料で覆われている構成であってもよい。
上記の構成によれば、平面反射板3および/または曲面反射板4の表面を上記材料で覆うことにより、より一層外観性に優れた平面反射板3および/または曲面反射板4とすることができる。なお、上記材料としては、水分を含んでいない材料であることがより好ましい。また、例えば、平面反射板3または曲面反射板4を天井等に設置する場合、絵画などにより上記反射板を覆い隠すことにより、当該反射板が部屋に設けられているという違和感を軽減させることができる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記電波には、基準信号が含まれており、ミリ波帯受信装置2は、基準信号を用いて電波を放送波に変換する構成がより好ましい。
上記の構成によれば、ミリ波帯受信装置2は、基準信号を用いて電波を放送波に変換することにより、送信元と同じ位相の放送波を得ることができる。
本発明に係る放送波受信システムは、ミリ波帯受信装置2が、上記ミリ波帯送信装置1から送信された電波を受信し、上記電波中に含まれている基準信号を用いて電波中に含まれている放送信号を周波数ダウンコンバートするようになっていてもよい。
上記構成のミリ波帯受信装置2によれば、ミリ波帯増幅器を通過したあとのミリ波受信段階または、1度別の周波数へ周波数変換した中間周波数段階で、無線伝送された基準信号と放送信号において、放送信号を該基準信号で周波数変換することにより、雑音成分の少ない純度の高い状態でミリ波帯送信装置1側が受信した放送信号を再生成することができる。また、送信側の上記中間周波数から送信無線周波数であるミリ波帯に周波数アップコンバートに用いた局部発振器の周波数変動や位相雑音の影響をキャンセルすることができる。また、送信側の入力信号波はいかなる放送信号でも無線伝送可能なため、例えば、衛星放送波や地上放送波の複数の混在した放送信号に対しても純度の高い状態でミリ波帯送信装置1側が受信した放送信号を再生成することができる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記ミリ波帯受信装置2は、複数個設けられており、各ミリ波帯受信装置2によって変換された放送波の出力を合成する合成回路38が設けられている構成がより好ましい。
上記の構成によれば、合成回路38が設けられているので、受信出力を増大させることができる。これにより、ミリ波帯受信装置2側の周波数変換効率を高めて無線伝送距離を拡大できることができる。また、複数個のミリ波帯受信装置2のうちの一部のアンテナが人体・物体等で遮られた場合であっても、少なくとも1つのミリ波帯受信装置2がミリ波帯送信装置1から、電波を受信することができればよく、空間ダイバシティ効果を得ることができる。
本発明に係る放送波受信システムは、上記ミリ波帯受信装置2は、複数個設けられており、各ミリ波帯受信装置2の距離が、少なくとも無線伝送する電波の波長の整数倍以上離れている構成であることがより好ましい。
上記の構成によれば、各ミリ波帯受信装置2の距離が、少なくとも無線伝送する電波の波長(λ)の整数倍以上離れているように配置することにより、全てのミリ波帯受信装置2が電波を受信することができないことを回避することができる。
そして、本発明にかかる構成とすることにより、TVアンテナ端子や電源用コンセントといった、床から20cm〜1m程度の低い場所に設置することができ、反射伝送またはダイバシティ受信を行なうことによって、一般家庭の家具や人等の遮蔽物の影響を避けることができる。加えて、送信装置のもつ回転・固定手段により容易に、伝送ルートを切り替えることが可能となり、室内の状況に応じて、容易に無線経路を確保することが可能となる。
また、音響装置から音声再生装置への無線伝送を、一般家庭の家具や人等の遮蔽物の影響を避けた容易にかつ使い勝手の良い、簡易なシステムで音声の遅延のない、ミリ波帯無線伝送システムを提供することができる。
また、平面アンテナを2枚以上組み合わせることで、電波強度を保ちつつ複数のミリ波帯受信装置への良質な品質の伝送経路を確立することができる。
なお、上記の説明では、ミリ波帯の電波を送受信する放送波受信システムについて説明しているが、例えば、マイクロ波帯の電波を送受信するようになっていてもよい。
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。