JP3883424B2 - ミリ波帯無線送信装置およびミリ波帯無線受信装置およびミリ波帯無線通信システム - Google Patents

ミリ波帯無線送信装置およびミリ波帯無線受信装置およびミリ波帯無線通信システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、テレビジョン(以下、TVという)信号受信システムおよびLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)システム等に使用されるミリ波帯無線送信装置およびミリ波帯無線受信装置およびミリ波帯無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の第1のミリ波帯無線通信システムとしては、特開平11−313020号公報に記載されたTV信号受信システムに用いられるものがある。このTV信号受信システムは、図7に示すように、ミリ波帯送信器735と、複数のミリ波帯受信器745と、上記複数のミリ波帯受信器745に接続された複数のTV等の携帯機器750とを備えている。上記ミリ波帯送信器735と複数のミリ波帯受信器745でミリ波帯無線通信システムを構成している。
【0003】
上記構成のTV信号受信システムにおいて、屋内のアンテナ端子700からTV信号がミリ波帯送信機735に入力され、ミリ波帯に周波数アップコンバートされてアンテナ704から無線信号波711が送信される。上記送信された無線信号波711は、ミリ波帯受信機745のアンテナ112により受信され、周波数ダウンコンバートされて、屋内にある複数の携帯機器750に入力される。このTV信号受信システムでは、地上波TV放送や衛星放送等の複数の放送波を取り扱う。上記TV受信システムでは、1つの屋内や部屋では、基本的には1つのTV信号線700には、1つのミリ波帯送信機735が配置され、複数のミリ波帯受信機745で受信する構成となっている。
【0004】
また、従来の第2のミリ波帯無線通信システムとしては、1998年7月にリアライズ社から出版された「ミリ波技術の基礎と応用」の269頁〜272頁に記載されたものがある。図8はこのミリ波帯無線通信システムの基地局用/端末局用のアンテナの構成を示す平面図である。図8に示すように、アンテナ801は4角錐状のピラミッド形状部802を有し、ピラミッド形状部802の各面のアンテナ部分は、マイクロストリップパッチアンテナを用いたアレーアンテナ803で構成されている。上記アレーアンテナ803の低仰角方向のアンテナ利得方向を改善するために、各面を鉛直軸から30度傾斜させたピラミッド構造となっている。上記アンテナ801の給電線路804は、各MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit:モノリシック・マイクロ波・集積回路)増幅器805に接続された後、上記給電線路804は、最終的には分配器806を介して一本の給電線路804cにまとめられダウンコンバータ(D/C)840または(アップコンバータ(U/C)830)に接続される構成となっている。図8では図示してはいないが、使用方法として、送信器,受信器夫々に上記アンテナ801が用いられ、アンテナ制御部があり、送信・受信各々最適なアンテナの組み合わせになるようにCPUにより制御され、送信アンテナ4面、受信アンテナ4面の16通りの組み合わせの中から最適な組み合わせが選択される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の第1のミリ波帯無線通信システムでは、ミリ波帯におけるアンテナ指向性が強く、そのアンテナ指向性を生かして、十分な無線伝送距離を確保することが一般的である。しかしながら、アンテナ指向性が強すぎると、部屋のどの場所でも受信できるとは限らず、ミリ波帯送信機735のアンテナ104とミリ波帯受信機745のアンテナ112とが、直線上に配置されるようにアンテナの方向を調整することが必要となる。
【0006】
また、上記従来の第2のミリ波帯無線通信システムでは、アンテナ801は、4面のピラミッド形状となっており、各アレーアンテナ803の方位角や仰角の制御はできず、かつ、上記4面のアレーアンテナ803が1つの給電線路805bに対して、ダウンコンバータ840(またはアップコンバータ830)が接続される構成となっている。このため、アンテナ給電線路804,804a,804b,804cは長い経路長(マイクロストリップ線路)と線路を分配する分配器806を有しており、その結果、ミリ波帯での給電線路の損失は大きくなってしまうと共に、給電線路自体がアンテナとして動作し、著しく性能が劣化するという問題がある。
【0007】
また、上記4面のアレーアンテナ803は、例えば、送信だけを考えても4面の中から、最適な送信電力,受信電力を選択するため、別にPHS(Personal Handiphone System:パーソナル・ハンディホン・システム)を用いた制御回線が必要であり、ミリ波アンテナ部分を含めて複雑な制御が必要になるという問題がある。
【0008】
加えて、各アレーアンテナ803は、ピラミッドの1面(台形状)中に形成されるために、アレー化するための素子数が制限され(高々4素子程度)、アレーアンテナ803の利得を大きくすることができないため、156Mbpsの伝送レートでカバーエリアが最大10m程度であり、実用上、屋内(ビル内、オフィス等)で十分な伝送距離がとれないという問題がある。
【0009】
そこで、この発明の目的は、ミリ波帯において広い無線伝送エリアが得られ、低損失でかつ十分な伝送距離が確保できるミリ波帯無線送信装置およびミリ波帯無線受信装置およびミリ波帯無線通信システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明のミリ波帯無線送信装置は、
アンテナと送信部が一体化された複数のミリ波送信手段を備えたミリ波帯無線送信装置であって、
上記複数のミリ波送信手段の夫々は、上記送信部により入力信号波をミリ波帯に周波数アップコンバートして、その周波数アップコンバートされたミリ波帯の同一無線信号波を上記アンテナを介して1または2以上の受信側の装置に送信すると共に、
上記複数のミリ波送信手段の各アンテナの方位角または仰角の少なくとも一方が異なるように上記各アンテナを配置することによって、上記無線信号波のアンテナ放射パターンを広げていることを特徴としている。
【0011】
上記構成のミリ波帯無線送信装置によれば、アンテナ指向性が強くかつ伝送損失の大きいミリ波帯の無線伝送では、アンテナと送信部が一体化された複数のミリ波送信手段の各アンテナの方位角または仰角の少なくとも一方をそのアンテナの放射パターンが広い範囲をカバーするように設定することにより、ミリ波帯での無線伝送エリアを広くすることができる。例えば、各アンテナの方位角が異なるように配置することによって、水平方向に無線伝送エリアを広げる一方、各アンテナの仰角が異なるように配置することによって、上下方向に無線伝送エリアを広げる。なお、各アンテナの方位角と仰角を適宜設定することによって、水平方向かつ上下方向に無線伝送エリアを広げてもよい。また、上記複数のミリ波送信手段においてアンテナと送信部が一体化されているので、アンテナと送信部との間を接続する給電線路を短くして伝送損失を小さくできると共に、給電線路部からの放射を無くすことができ、送信電力を向上できる。
【0012】
また、一実施形態のミリ波帯無線送信装置は、上記ミリ波送信手段が屋内または移動体内に配置されたことを特徴としている。
【0013】
上記実施形態のミリ波帯無線送信装置によれば、TV放送用の電波が遮蔽される場所でかつ多人数が集まる公共空間である屋内や移動体(自動車,電車等)内で上記ミリ波送信手段を配置することによって、例えば、上記ミリ波帯送信手段によりTV信号波をミリ波帯の無線信号波として送信して、TV受信手段を有するノートパソコン、情報携帯機器、携帯電話、ビデオカメラ、カーナビゲーション、DVDプレーヤとの携帯機器により、無線でTV情報等を選局・受信することができる。
【0014】
また、一実施形態のミリ波帯無線送信装置は、上記ミリ波送信手段から送信されるミリ波帯の無線信号波は、周波数分割された複数の周波数帯に夫々異なるチャンネルが割り当てられていることを特徴としている。
【0015】
上記実施形態のミリ波帯無線送信装置によれば、周波数分割された複数の周波数帯に異なるチャンネルが夫々割り当てられたミリ波帯の無線信号波を上記ミリ波送信手段から送信することによって、例えば、多チャンネルのTV放送波や複数の無線LAN信号波を、各個人の携帯機器に配信することが可能となり、多くの利用者が1度に多くチャンネルの中から所望のTV映像・音声情報、データ放送等およびインターネットからの情報を受信することが可能となる。
【0016】
また、一実施形態のミリ波帯無線送信装置は、上記ミリ波送信手段が、ビデオ映像信号と音声信号を変調して、テレビジョン放送波の空チャンネルに多重化したテレビジョン信号波を周波数変換することによりミリ波帯の無線信号波として送信することを特徴としている。
【0017】
上記実施形態のミリ波帯無線送信装置によれば、ビデオ映像信号と音声信号を変調して、その地域のテレビジョン放送波の空チャンネルに多重化したテレビジョン信号波を上記ミリ波送信手段が周波数変換してミリ波帯の無線信号波として送信することによって、例えばその空チャンネルを用いて、このミリ波帯無線送信装置が設置された病院や駅の案内情報等をミリ波無線伝送するような利用も可能である。
【0018】
また、一実施形態のミリ波帯無線送信装置は、上記ミリ波送信手段に用いられる周波数アップコンバータが、アンチパラレルダイオード型の周波数変換器であることを特徴としている。
【0019】
上記実施形態のミリ波帯無線送信装置によれば、上記ミリ波送信手段に用いられる周波数アップコンバータにアンチパラレルダイオード型の周波数変換器を用いることによって、周波数アップコンバータからの漏れ信号(局部発振波)を抑圧できる。
【0020】
また、一実施形態のミリ波帯無線送信装置は、上記周波数アップコンバータ用の局部発振器の基準信号源として温度補償型水晶発振器を用いたことを特徴としている。
【0021】
上記実施形態のミリ波帯無線送信装置によれば、上記周波数アップコンバータ用の局部発振器の基準信号源として温度補償型水晶発振器を用いることによって、受信側の周波数アップコンバータ用の局部発振器の基準信号源として、この送信側の温度補償型水晶発振器の周波数安定度のレベルと実質的に同等の温度補償型水晶発振器を用いた場合、送信側と受信側で局部発振周波数の安定した同期がとれるので、周波数安定度の優れた受信映像特性を得ることが可能となる。
【0022】
また、この発明のミリ波帯無線受信装置は、上記ミリ波帯無線送信装置から送信された無線信号波を受信するミリ波帯無線受信装置であって、アンテナと受信部が一体化されたミリ波受信手段を備えたことを特徴としている。
【0023】
上記構成のミリ波帯無線受信装置によれば、アンテナと受信部が一体化されたミリ波受信手段で受信するので、アンテナと受信部との間を接続する給電線路を短くでき、伝送損失を小さくできる。したがって、ミリ波帯において無線伝送エリアが広くかつ送信電力の大きい上記ミリ波無線送信装置から送信された無線信号波を、受信性能の良好なミリ波帯無線受信装置で受信することができる。
【0024】
また、一実施形態のミリ波帯無線受信装置は、上記アンテナに受信されるミリ波帯の無線信号波が、周波数分割された複数の周波数帯に夫々異なるチャンネルが割り当てられているとき、上記ミリ波受信手段により上記無線信号波を周波数変換して得られた信号波の複数の周波数帯に割り当てられたチャネルの少なくとも1つを選択することを特徴としている。
【0025】
上記実施形態のミリ波帯無線受信装置によれば、上記アンテナに受信されるミリ波帯の無線信号波が、周波数分割された複数の周波数帯に夫々異なるチャンネルが割り当てられているとき、上記ミリ波受信手段により上記無線信号波を周波数変換して得られた信号波の複数の周波数帯に割り当てられたチャネルの少なくとも1つを選択する。したがって、例えば、多チャンネルのTV放送波や複数の無線LAN信号波を、各個人の携帯機器に配信することが可能となり、多くの利用者が1度に多くチャンネルの中から所望のTV映像・音声情報、データ放送等およびインターネットからの情報を受信することが可能となる。
【0026】
また、一実施形態のミリ波帯無線受信装置は、上記ミリ波受信手段に用いられる周波数ダウンコンバータが、アンチパラレルダイオード型の周波数変換器であることを特徴としている。
【0027】
上記実施形態のミリ波帯無線受信装置によれば、上記ミリ波受信手段に用いられるミリ波帯の周波数ダウンコンバータにアンチパラレルダイオード型の周波数変換器を用いることによって、周波数ダウンコンバータからの漏れ信号(局部発振波)を抑圧できる。
【0028】
また、一実施形態のミリ波帯無線受信装置は、上記周波数ダウンコンバータ用の局部発振器の基準信号源として温度補償型水晶発振器を用いたことを特徴としている。
【0029】
上記実施形態のミリ波帯無線受信装置によれば、上記周波数ダウンコンバータ用の局部発振器の基準信号源として温度補償型水晶発振器を用いることによって、送信側の周波数アップコンバータ用の局部発振器の基準信号源として、この受信側の温度補償型水晶発振器の周波数安定度のレベルと実質的に同等の温度補償型水晶発振器を用いた場合、送信側と受信側で局部発振周波数の安定した同期がとれるので、周波数安定度の優れた受信映像特性を得ることが可能となる。
【0030】
また、この発明のミリ波帯無線通信システムは、上記ミリ波帯無線送信装置と、上記ミリ波帯無線受信装置を夫々備えた複数の電子機器とを備えたことを特徴としている。
【0031】
上記構成のミリ波帯無線通信システムによれば、ミリ波帯において広い無線伝送エリアが得られ、低損失でかつ十分な伝送距離が確保できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のミリ波帯無線送信装置およびミリ波帯無線受信装置およびミリ波帯無線通信システムを図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態のミリ波帯無線通信システムとしてのTV信号無線システムの構成図であり、20はTVアンテナ、100は屋内アンテナ端子、35a,35b,35cはミリ波送信手段としてのミリ波帯送信機、45a,45b,45cはミリ波受信手段としてのミリ波帯受信機、50a,50b,50cはTV受信機能を有する携帯機器である。上記ミリ波帯送信機35a,35b,35cは、ミリ波帯アップコンバータ30と送信アンテナ104を有し、ミリ波帯送信機35a,35b,35cでミリ波帯無線送信装置を構成している。また、上記ミリ波帯受信機45a,45b,45cは、受信アンテナ112とミリ波帯ダウンコンバータ40を有し、ミリ波帯受信機45a,45b,45c夫々がミリ波帯無線受信装置である。
【0034】
図1に示すように、TVアンテナ20により受信されたUHF帯・VHF帯のTV信号波である入力信号波108aは、アンテナ端子100を介してミリ波帯送信機35a,35b,35cのミリ波帯アップコンバータ30に夫々入力される。そして、その入力信号波108aは、ミリ波帯アップコンバータ30によりミリ波帯に周波数アップコンバートされた後、各送信アンテナ104から無線信号波111が送信される。
【0035】
一方、上記ミリ波帯受信機45a,45b,45cの各送信アンテナ104より送信されたミリ波帯の無線信号波111は、ミリ波帯受信機45a,45b,45cの各受信アンテナ112により受信される。そして、上記ミリ波帯受信機45a,45b,45cのミリ波帯ダウンコンバータ40によりミリ波帯信号から通常の入力信号波(UHF帯・VHF帯の信号波)108bに周波数ダウンコンバートされる。そうして、上記周波数ダウンコンバートされた入力信号波108bは通常のTV信号波に変換され、携帯機器50a,50b,50cのTV受信器(図示せず)のチューナにより必要とするTV放送波を選局し、TV映像をディスプレイにより表示すると共に、TV音声をスピーカにより再生する。
【0036】
また、図2は、駅,病院および空港の待合室等の屋内空間90において、この発明のTV信号無線システムを用いた場合の平面図である。なお、図2において、91は格子状に配置された複数の椅子である。
【0037】
図2に示すように、3台のミリ波帯送信機35a,35b,35c(以下まとめて送信ブロック36という)が部屋の上部(壁面)に配置されている。一方、受信側は、ミリ波帯受信機45(図1では45a,45b,45c)とTV受信機能を有する携帯機器50(図1では50a,50b,50c)とを備えた電子機器60で受信する構成である。
【0038】
上記TV信号無線システムは、VHF・UHF帯のTV放送波をそのままミリ波帯に周波数アップコンバージョンし、各ミリ波帯受信機45に配信しているため、各端末中のTVチューナにより、その地域で使われている放送波と同じチャンネルを選局して受像することが可能となる。ここで、指向性アンテナと一体化された3台のミリ波帯送信機35a,35b,35cは、夫々異なった方位・仰角で無線信号波111が放射され、ミリ波帯受信機45と携帯機器50とを備えた複数の電子機器60で受信される。これにより、3台のアンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a,35b,35c(送信ブロック36)により、より多くのミリ波帯受信機45と携帯機器50とを備えた電子機器60に対して無線伝送することが可能となる。
【0039】
図3はアンテナ一体化された3台のミリ波帯送信機35a,35b,35c(送信ブロック36)の配線と配置について示している。図3に示すように、TVアンテナ20(図1に示す)からの入力信号波108aは、アンテナ端子100で3分配され、夫々のミリ波帯送信機35a,35b,35cに入力される。上記ミリ波帯送信機35a,35b,35cからの無線信号波のアンテナ面からの放射方向を矢印200で示している。ここで、ミリ波帯送信機35aの平面アンテナ面の2軸方向を夫々Xa,Ya(Xaは水平軸、Yaは垂直軸)とし、法線方向をZaとすると共に、ミリ波帯送信機35bの平面アンテナ面の2軸方向を夫々Xb,Ybとし、法線方向をZbとする。このとき、上記ミリ波帯送信機35aにおけるXa−Ya平面面とミリ波帯送信機35bにおけるXb−Ya平面とのなす角つまり方位角の差をθとし、ミリ波帯送信機35bにおけるYa軸とYb軸とのなす角つまり仰角をφとしたとき、夫々のアンテナ402(図4に示す)の放射パターンが、各方向に均等に広がるように上記方位角θと仰角φに適当な角度をもたせて、各ミリ波帯送信機35a,35bが配置される(ミリ波帯送信機35cについても同様)。上記方位角θと仰角φに適当な角度の値は、アンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a,35b,35cのアンテナ放射パターンや、無線伝送エリア(サービスエリア)に依存し、上記ミリ波帯送信機35a,35b,35cの配置に関しては、主に定性的、場合によっては定量的に決定される。上記のように、ミリ波帯送信機においては、複数のアンテナ一体化された送信機を配置することにより、無線伝送エリアが広く、かつ、小型・軽量の送信機の配置が可能となる。
【0040】
また、図4はアンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a,35b,35c(送信ブロック36)の詳細配置図を示している。アンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a,35b,35cは支柱401で支えられ、かつ、回転体400を有しており、夫々のミリ波帯送信機35a,35b,35cは、φ方向(φa,φb,φc)およびθ方向(θa,θb,θc)に回転させることが可能である。
【0041】
このように、上記TV信号無線システムでは、送信アンテナ104と送信部(ミリ波帯アップコンバータ30を含む)が一体化された複数のミリ波帯送信機35a.35b,35cにおいて送信アンテナ104が異なった方位角(θa,θb,θ)または異なった仰角(φa,φb,φc)で夫々配置することによって、ミリ波帯において広い無線伝送エリアが得られ、低損失でかつ十分な伝送距離が確保することができる。
【0042】
また、上記送信アンテナ104の放射方向を夫々変えた複数のミリ波帯送信機35a.35b,35cを屋内空間の一点に配置しているため、1つの送信部から複数のアンテナを介して送信するよりも送信パワーを大きくすることができる。
【0043】
また、上記ミリ波帯送信機35a.35b,35cは、送信アンテナ104と送信部(ミリ波帯アップコンバータ30を含む)が一体化されているため、送信アンテナ104とミリ波帯アップコンバータ30との間の給電線路の損失を小さくできると共に、給電線路部からの放射を無くすことができる。また、アンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a.35b,35c自体が、図3,図4に示すように、独立に2軸方向(φ方向,θ方向)に回転可能なため、自由に伝送エリアを設定することが可能である。
【0044】
また、上記ミリ波帯受信機45a.45b,45cは、受信アンテナ112と受信部(ミリ波帯ダウンコンバータ40を含む)が一体化されているため、受信アンテナ112とミリ波帯ダウンコンバータ40との間の給電線路の損失を小さくできる。
【0045】
さらに、アンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a.35b,35cは、図4に示すように、長方形面にマイクロストリップパッチアンテナ402が形成されるため、平面上に効率良く多くのパッチアンテナを配置することが可能となり、アンテナ自体の利得を大きくとることができ、伝送距離を大きくすることができる。
【0046】
また、図2に示す屋内空間90において、TVアンテナ線が接続された複数のミリ波帯送信機35a.35b,35cと、ミリ波帯ダウンコンバート機能を有するミリ波帯受信機45a.45b,45cを用いてTV信号無線システムを構築することによって、ミリ波帯送信機35a.35b,35cとミリ波帯受信機45a.45b,45cとの間のアンテナの位置合わせをする必要がなくなる。
【0047】
ここで、上記携帯機器50として、TV受信手段を有するノートパソコン、情報携帯機器、携帯電話、ビデオカメラ、カーナビゲーション、DVDプレーヤ等を用いることによって、ディスプレイ動画表示機能を利用して、TV映像・音声を受像することが可能となる。
【0048】
さらに、上記ミリ波帯送信機35a.35b,35cがビルディング内や地下街等の屋内または自動車,電車等の移動体内部に配置されることによって、これまで電波が遮蔽される屋内や移動体内部でも、各個人が携帯機器によりTV情報を選局・受信することができる。
【0049】
また、地上波放送波、衛星放送波、ケーブルTV、FM放送等の信号波をミリ波帯に周波数アップコンバートすることにより広帯域を有するミリ波帯を利用して無線伝送するため、多くの情報の中から、個人に合ったTV映像・音声情報、データ放送等を携帯機器で選局・受信することが可能となる。
【0050】
この第1実施形態では、ミリ波送信手段としての3台のミリ波帯送信機35a,35b,35cを用いたが、ミリ波送信手段は3台に限らず、2台または4台以上でもよい。
【0051】
さらに、図2において、屋内空間90がホールやドーム球場等の広い空間である場合は、複数の送信ブロック36が、屋内空間90の天井や高所に配置されても構わない。ただし、この場合は、送信ブロック36同士の干渉等の影響が無視できるように、伝送エリアを考慮する必要がある。上記送信ブロック36においては、使用するアンテナ一体化送信機の数と配置方向により、円形〜楕円形の受信エリア(1つのセル)となるため、上記屋内空間90において、円形または楕円形のセル配置(図示せず)としても構わない。
【0052】
なお、上記携帯機器50は、地上波放送用のTVアンテナも有しており、屋外では、TV放送用アンテナで受信可能なことは言うまでもない。
【0053】
上記第1実施形態では、入力信号波108aがVHF・UHF帯のTV放送波で示したが、衛星放送波の中間信号(IF)波、ケーブルTV信号波、FM放送等の信号波または無線LAN等の信号波(例えば2.4GHz帯や5GHz帯の無線信号波または中間[IF]信号波)であっても構わない。
【0054】
また、上記第1実施形態では、TV放送波である入力信号波108aを3分配して、3台のミリ波帯送信機35a,35b,35cとも同じTV放送波を入力したが、ミリ波帯送信機35aはTV放送波、ミリ波帯送信機35bは衛星放送波、ミリ波帯送信機35cは無線LANの信号波(無線信号波,中間周波数信号波)を、夫々の入力信号波としてもよい。
【0055】
(第2実施形態)
図5にこの発明の第2実施形態のミリ波帯無線通信システムとしての無線LANシステムの構成図であり、301はLAN回線、302はリピータ/ハブ、303a,303b,…,303zは無線LAN装置、304は周波数配列器、35a,35b,35cはミリ波送信手段としてのミリ波帯送信機、45a,45b,45cはミリ波受信手段としてのミリ波帯受信機、305a,305b,305cは周波数逆配列器、306a,306b,306cは無線LAN装置、50a,50b,50cはTV受信機能を有する携帯機器である。上記ミリ波帯送信機35a,35b,35cは、ミリ波帯アップコンバータ30と送信アンテナ104を有し、ミリ波帯送信機35a,35b,35cと周波数配列器304でミリ波帯無線送信装置を構成している。また、上記ミリ波帯受信機45a,45b,45cは、受信アンテナ112とミリ波帯ダウンコンバータ40を有している。上記ミリ波帯受信機45aと周波数逆配列器305aでミリ波帯無線受信装置を構成し、ミリ波帯受信機45bと周波数逆配列器305bでミリ波帯無線受信装置を構成し、ミリ波帯受信機45cと周波数逆配列器305cでミリ波帯無線受信装置を構成している。
【0056】
この第2実施形態の無線LANシステムでは、無線LAN回線の信号を入力信号波108aとして使用する場合について述べる。下り回線をミリ波帯で受信し、とくに長い時間占有するストリーム系の連続データは、チャンネル不足しやすい。とくに、2.4GHz帯や5GHz帯の周波数帯の場合、多くの人数で使用することが困難であるが、ミリ波帯を用いることによってチャンネル数を増加させることが可能であり、多くの利用者が夫々チャンネルを占有することが可能となる。ただし、この場合は、入力信号側108aで、予めミリ波帯に周波数アップコンバートして利用できるように、複数の無線LAN装置303a,303b,…,303zからの信号(無線信号または中間周波信号)を、周波数再配列器304により、周波数配列しておく必要がある。上記周波数配列された入力信号波108aは、3分配され、夫々アンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a,35b,35cによりミリ波帯に周波数アップコンバートして無線伝送する。
【0057】
一方、受信側では、アンテナ一体化されたミリ波帯受信機45a,45b,45cにより受信され、周波数アップコンバートされた入力信号波108bは夫々、周波数逆配列器305により、もとの無線LAN周波数の信号(無線周波信号またはIF信号)に周波数逆配列され、夫々無線LAN装置306a,306b,…,306zに接続されて、信号処理されて携帯機器50a,50b,50cに接続される。ここでは、夫々、3つのミリ波帯受信機45a,45b,45cおよび、3つの周波数逆配列器305a,305b.305cと3つの無線LAN装置306a,306b,306cを独立に用いたが、1つのミリ波帯受信機45aと周波数逆配列器306aにより無線LAN信号を生成し、一台からの周波数逆配列信号を各無線LAN装置306a,306b,306cに接続しても構わない。
【0058】
上記第2実施形態のシステム構成することにより、多チャンネルのTV放送波や複数の無線LAN信号波を、各個人の携帯機器に配信することが可能となり、多くの利用者が1度に多くチャンネルの中から、個人に合ったTV映像・音声情報、データ放送等、インターネットからの情報を携帯機器で選局・受信することが可能となる。
【0059】
このように、上記無線LANシステムでは、第1実施形態のTV信号無線システムと同様に、送信アンテナ104と送信部(ミリ波帯アップコンバータ30を含む)が一体化された複数のミリ波帯送信機35a.35b,35cの送信アンテナ104が異なった方位角(θa,θb,θ)または異なった仰角(φa,φb,φc)で夫々配置されたTV信号無線システムを構成することによって、ミリ波帯において広い無線伝送エリアが得られ、低損失でかつ十分な伝送距離が確保することができる。
【0060】
また、上記送信アンテナ104の放射方向を夫々変えた複数のミリ波帯送信機35a.35b,35cを屋内空間の一点に配置しているため、1つの送信部から複数のアンテナを介して送信するよりも送信パワーを大きくすることができる。
【0061】
また、上記ミリ波帯送信機35a.35b,35cが送信アンテナ104と送信部(ミリ波帯アップコンバータ30を含む)が一体化されているため、送信アンテナ104とミリ波帯アップコンバータ30との間の給電線路の損失を小さくできると共に、給電線路部からの放射を無くすことが可能である。また、アンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a.35b,35c自体が、図3,図4に示すように、独立に2軸方向(φ方向,θ方向)に回転可能なため、自由に伝送エリアを設定することが可能である。
【0062】
また、上記ミリ波帯受信機45a.45b,45cが受信アンテナ112と受信部(ミリ波帯ダウンコンバータ40を含む)が一体化されているため、受信アンテナ112とミリ波帯ダウンコンバータ40との間の給電線路の損失を小さくできる。
【0063】
さらに、アンテナ一体化されたミリ波帯送信機35a.35b,35cは、図4に示すように、長方形面にマイクロストリップパッチアンテナ402が形成されるため、平面上に効率良く多くのパッチアンテナを配置することが可能となり、アンテナ自体の利得を大きくとることができ、伝送距離を大きくすることができる。
【0064】
また、屋内空間において、複数のミリ波帯送信機35a.35b,35cと、ミリ波帯ダウンコンバート機能を有するミリ波帯受信機45a.45b,45cを用いて無線LANシステムを構築することによって、ミリ波帯送信機35a.35b,35cとミリ波帯受信機45a.45b,45cとの間のアンテナの位置合わせをする必要がなくなる。
【0065】
ここで、上記携帯機器50として、TV受信手段を有するノートパソコン、情報携帯機器、携帯電話、ビデオカメラ、カーナビゲーション、DVDプレーヤ等を用いることによって、ディスプレイ動画表示機能を利用して、TV映像・音声を受像することが可能となる。
【0066】
さらに、上記ミリ波帯送信機35a.35b,35cがビルディング内や地下街等の屋内または自動車,電車等の移動体内部に配置されることによって、これまで電波が遮蔽される屋内や移動体内部でも、各個人が携帯機器によりTV映像・音声情報、データ放送等の情報を選局・受信することができる。
【0067】
また、無線LAN装置の無線(またはIF)信号をミリ波帯に周波数アップコンバートすることにより広帯域を有するミリ波帯を利用して無線伝送するため、多くの情報の中から、個人に合ったTV映像・音声情報、データ放送等の情報を携帯機器で選局・受信することが可能となる。
【0068】
この第2実施形態では、図2に示すように、送信ブロック36を屋内空間90の上部に配置したが、天井や照明器具に配置しても構わない。
【0069】
また、上記第2実施形態では、公共空間の待合室の例に無線LANシステムを構築することで説明したが、自動車や電車等の移動体内部でもシステム構築可能であることは言うまでもない。
【0070】
さらに、上記ミリ波帯の送信ブロック36には、TV放送のみならず、その地域で使われていない空チャンネルにその場所オリジナルのビデオ映像をTV信号用変調器で変調し、上記送信ブロック36に多重化して、ミリ波帯受信機45で受信し、携帯機器50a,50b,50cで、空チャンネルを用いて、その場用のオリジナルな情報を受信するような構成も可能である。例えば病院や駅の待合室等で使用するのであれば、その病院や駅の案内情報等をビデオ映像化し、図5に示すミリ波帯無線通信システムの構成でミリ波無線伝送するような利用も可能である。
【0071】
図6は上記第1,第2実施形態のミリ波帯無線通信システムに用いられるミリ波帯送信機35とミリ波帯受信器45の構成を示している。ここでは、第1実施形態のTV信号無線システム(図1に示す)における動作について説明する。
【0072】
上記ミリ波帯送信機35では、TVアンテナ20(図1に示す)により受信された入力信号波108aが屋内のアンテナ端子100(図1に示す)を介して入力端子11に入力され、バンドパスフィルタ12により入力信号波108aのみが濾波され、増幅器13により所定のレベルに増幅する。そうして、増幅された入力信号波108aを第1の周波数ミキサ14により周波数アップコンバートし、バンドパスフィルタ15により所望波のみを取り出し、取り出された上記所望波は、増幅器16により増幅され、リミッタ17によりレベルが制限された後、第2の周波数ミキサ28により周波数アップコンバートされる。そして、フィルタ26により所望波のみを取り出し、送信用増幅器27により増幅した後、アンテナ104より無線信号波111を送信する。
【0073】
一方、上記ミリ波帯受信器45では、受信アンテナ112により受信された無線信号波111は、受信用増幅器47により増幅された後、所望の信号波のみをフィルタ46により取り出す。そして、取り出された所望の信号波を周波数ミキサ48により周波数ダウンコンバートし、ダウンコンバートされた信号波をローパスフィルタ51に通過させた後、増幅器51により増幅する。そうして、増幅された入力信号波108bは、通常のアンテナ線からのTV信号波と同じ形式となっており、携帯機器50a,50b,50c中のTV受信機能により選局・受像する。
【0074】
この発明のミリ波帯無線通信システムを説明するために、送信側の周波数アップコンバートと受信側の周波数ダウンコンバートによる周波数の関係について説明する。図7において、ミリ波帯送信機35に入力されるTV信号波の周波数をfTVとし、第1の局部発振信号波の周波数をfLO1とすれば、第1の周波数変換における中間周波数fIFは、第1のフィルタ19で上側側波帯を選択すれば、
fIF = fTV+fLO1 …………………… (式1)
となる。さらに第2の周波数変換におけるミリ波周波数fRFとし、第2の局部発振信号波fLO2とし、第2のフィルタ26で上側側波帯を選択すれば
fRF = fIF+fLO2
= fTV+(fLO1+fLO2) ……………… (式2)
となる。
【0075】
次に、受信側において、受信した無線信号波(周波数fRF)に対して、フィルタ46で上側側波帯を帯域通過させて、ダウンコンバートされた周波数はfTVであることから、無線信号波の周波数fRFは、
fRF = fLO3+fTV …………………… (式3)
となる。したがって、受信側の局部発振周波数fLO3は、
fLO3 = fLO1+fLO2 ………………… (式4)
となる。これから受信側の局部発振周波数fLO3は、送信側の局部発振周波数fLO1とfLO2の和として設定することになり、周波数安定度をΔとして表現すれば、
ΔfLO3 = ΔfLO1+ΔfLO2 …………… (式5)
となる。受信側の局部発振器の周波数安定度ΔfLO3に対して、送信側では、周波数安定度2つの局部発振器の周波数安定度の和となるため、受信側の局部発振器の周波数安定度ΔfLO3と送信側の2つの局部発振器の周波数安定度の和(ΔfLO1+ΔfLO2)が同等になることが必要である。そのためには、送信側の局部発振器を位相同期発振器(PLO(Phase Locked Oscillator)発振器)とし、PLOの基準信号源の温度補償型水晶発振器TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)19aで第1の局部発振器18と第2の局部発振器25を動作させることにより2つの局部発振器は同期するため、送信側の周波数安定度のレベルを実質的に受信側局部発振器の周波数安定度ΔfLO3のレベルと同等にすることが可能となる。
【0076】
なお、ここでは、TV信号波(特にVHF帯・UHF帯)は、周波数範囲がfTV=90MHz〜770MHzの範囲にあるため、送信側を2段階で周波数アップコンバートし、この第1,第2実施形態では、不要波となる下側側波帯信号波(周波数fLO2−fTV)と局部発振信号(周波数fLO2)の漏れを除去するために、送信側で中間周波数帯に一旦周波数アップコンバートし、中間周波数信号(周波数fIF=fLO1+fTV)を生成し、バンドパスフィルタ15で除去したあと、もう一度周波数アップコンバートして、ミリ波帯に上昇させる。これによって、周波数ミキサ28で周波数変換時に生ずる下側側波帯の周波数fLO2−fIFと局部発振周波数fLO2が、上側側波帯周波数帯の周波数fRFと大きく離れてくるため、バンドパスフィルタ26で、これら不要波を除去することが容易にできる。さらに、周波数アップコンバート・周波数ダウンコンバート時に生ずる送信側周波数ミキサ28,受信側周波数ミキサ48には、局部発振波のもれをさらに小さくするためにアンチパラレルダイオード型のバランスド型周波数ミキサを使用し、局部発振周波数fLO2,fLO3のRF側への漏れ信号を抑圧している。
【0077】
加えて、ミリ波帯に周波数アップコンバートおよび周波数ダウンコンバートするときに用いる局部発振器の周波数安定度を高めるために、送信側,受信側ともに局部発振器を位相同期発振器(PLO)とし、送信側の第1,第2の発振器15,25および受信側の第3の局部発振器55の基準発振器として温度補償型水晶発振器(TCXO)19a,19bを使用する。
【0078】
さらに、第2の周波数変換時に、送信側で完全に除去できなかった微少な下側側波帯の信号波[周波数fLO2−(fLO1±fTV)]が雑音成分となるが、受信側では、無線信号波の周波数fRFからTV信号波の周波数fTVに1回で周波数変換しているため、受信側の周波数変換時の下側側波帯周波数[周波数fLO3−(±fTV)]と重なることがなく、最終的に周波数ダウンコンバートされた入力信号波108bのfTV成分には、下側側波帯[周波数fLO2−(fLO1±fTV)]の雑音成分は含まれず、良好な受信映像特性を得ることができる。
【0079】
このように、送信側では2回の周波数変換によりTV信号波からミリ波帯信号波に周波数変換し、受信側で1回の周波数変換でミリ波帯信号波からTV信号波に周波数変換することと、周波数変換器にアンチパラレルダイオードペア型のバランスドミキサを使用することによって、雑音の少ないクリアな受信映像特性を得ることができる。さらに、局部発振器18,25および55に位相同期発振器(PLO)と温度補償型水晶発振器19a,19bを使用し、送信側では、2つの局部発振器18,25で1つの温度補償型水晶発振器19aを共有化して同期させているために、周波数安定度の優れた受信映像特性を得ることが可能となる。
【0080】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明のミリ波帯無線送信装置およびミリ波帯無線受信装置およびミリ波帯無線通信システムによれば、例えば、屋内のTVアンテナ線または無線LANが接続される回線(または無線LANが接続されているネットワーク回線)は、各TV受信手段を有する端末と接続するところで無線化され、ミリ波帯送信機/ミリ波帯受信器間のアンテナの精密な位置合わせをしなければならないという課題を解決することができ、かつ広い範囲で無線伝送を行うことができる。したがって、屋内等のTV放送用の電波が遮蔽される場所で、かつ、多人数が集まる公共空間では、TV受信手段を有するノートパソコン、情報携帯機器、携帯電話、ビデオカメラ、カーナビゲーション、DVDプレーヤ等によって、多チャンネルの中から、無線でTV情報等を選局・受信することができる。また、これまでチャンネル数に制限のあった無線LAN信号も、ミリ波帯を用いることによりチャンネル数を大幅に増やすことができる。
【0081】
さらに、地上波放送波、衛星放送波、ケーブルTV、FM放送等の信号波の無線伝送に、広い帯域を利用できるミリ波帯を使用して無線伝送するため、多くの情報中から複数の人がTV映像,音声情報およびデータ放送等の情報を電子機器を用いて選局・受信することができる。
【0082】
また、送信側と受信側の両方で局部発振器に位相同期発振器と温度補償型水晶発振器を使用し、送信側では2つの局部発振器で1つの温度補償型水晶発振器を共有化して同期させているために、周波数安定度の優れた受信映像特性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の第1実施形態のミリ波帯無線送信装置を用いたTV信号無線システムの構成図である。
【図2】 図2は上記TV信号無線システムを屋内空間で用いた場合の平面図である。
【図3】 図3は上記TV信号無線システムのミリ波帯送信機の配線と配置を説明する概略図である。
【図4】 図4は上記TV信号無線システムのミリ波帯送信機の配線と配置を説明する詳細配置図である。
【図5】 図5はこの発明の第2実施形態のミリ波帯無線送信装置を用いた無線LANシステムの構成図である。
【図6】 図6は上記第1,第2実施形態のミリ波帯送信機とミリ波帯受信器の構成図である。
【図7】 図7は従来のTV信号受信システムの構成図である。
【図8】 図8は従来のミリ波アンテナの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
14…第1の周波数ミキサ、
18…第1の局部発振器、
19a,19b…温度補償型水晶発振器、
20…TVアンテナ、
25…第2の局部発振器、
26…バンドパスフィルタ、
27…送信用増幅器、
28…第2の周波数ミキサ、
30…ミリ波帯アップコンバータ、
35…ミリ波帯送信機、
35a,35b,35c…ミリ波帯送信器、
36…送信ブロック、
40…ミリ波帯ダウンコンバータ、
45…ミリ波帯受信機、
46…バンドパスフィルタ、
47…受信用増幅器、
48…周波数ミキサ、
50…携帯機器、
55…第3の局部発振器、
60…電子機器、
70…電波の送信方向、
90…屋内空間、
91…椅子、
100…アンテナ端子、
104…送信アンテナ、
108a、108b…入力信号波、
111…無線信号波、
112…受信アンテナ、
200…放射方向を示す矢印、
300…LAN回線、
302…リピータ/ハブ、
303a,303b〜303z,306a,306b306c…無線LAN装置、
304…周波数配列器、
305a,305b,305c…周波数逆配列器、
400…回転体、
401…支柱、
402…マイクロストリップパッチアンテナ。

Claims (11)

  1. アンテナと送信部が一体化された複数のミリ波送信手段を備えたミリ波帯無線送信装置であって、
    上記複数のミリ波送信手段の夫々は、上記送信部により入力信号波をミリ波帯に周波数アップコンバートして、その周波数アップコンバートされたミリ波帯の同一無線信号波を上記アンテナを介して1または2以上の受信側の装置に送信すると共に、
    上記複数のミリ波送信手段の各アンテナの方位角または仰角の少なくとも一方が異なるように上記各アンテナを配置することによって、上記無線信号波のアンテナ放射パターンを広げていることを特徴とするミリ波帯無線送信装置。
  2. 請求項1に記載のミリ波帯無線送信装置において、
    上記ミリ波送信手段が屋内または移動体内に配置されたことを特徴とするミリ波帯無線送信装置。
  3. 請求項1または2に記載のミリ波帯無線送信装置において、
    上記ミリ波送信手段から送信されるミリ波帯の無線信号波は、周波数分割された複数の周波数帯に夫々異なるチャンネルが割り当てられていることを特徴とするミリ波帯無線送信装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載のミリ波帯無線送信装置において、
    上記ミリ波送信手段は、ビデオ映像信号と音声信号を変調して、テレビジョン放送波の空チャンネルに多重化したテレビジョン信号波を周波数変換することによりミリ波帯の無線信号波として送信することを特徴とするミリ波帯無線送信装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載のミリ波帯無線送信装置において、
    上記ミリ波送信手段に用いられる周波数アップコンバータは、アンチパラレルダイオード型の周波数変換器であることを特徴とするミリ波帯無線送信装置。
  6. 請求項5に記載のミリ波帯無線送信装置において、
    上記周波数アップコンバータ用の局部発振器の基準信号源として温度補償型水晶発振器を用いたことを特徴とするミリ波帯無線送信装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つに記載のミリ波帯無線送信装置から送信された無線信号波を受信するミリ波帯無線受信装置であって、
    アンテナと受信部が一体化されたミリ波受信手段を備えたことを特徴とするミリ波帯無線受信装置。
  8. 請求項7に記載のミリ波帯無線受信装置において、
    上記アンテナに受信されるミリ波帯の無線信号波が、周波数分割された複数の周波数帯に夫々異なるチャンネルが割り当てられているとき、上記ミリ波受信手段により上記無線信号波を周波数変換して得られた信号波の複数の周波数帯に割り当てられたチャネルの少なくとも1つを選択することを特徴とするミリ波帯無線受信装置。
  9. 請求項7または8に記載のミリ波帯無線受信装置において、
    上記ミリ波受信手段に用いられる周波数ダウンコンバータは、アンチパラレルダイオード型の周波数変換器であることを特徴とするミリ波帯無線受信装置。
  10. 請求項9に記載のミリ波帯無線受信装置において、
    上記周波数ダウンコンバータ用の局部発振器の基準信号源として温度補償型水晶発振器を用いたことを特徴とするミリ波帯無線受信装置。
  11. 請求項1乃至6に記載のいずれか1つのミリ波帯無線送信装置と、請求項7乃至10に記載のいずれか1つのミリ波帯無線受信装置を夫々備えた複数の電子機器とを備えたことを特徴とするミリ波帯無線通信システム。
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