近年、映像・音声ケーブルは、アナログ信号から、1ギガビット〜数ギガビットを越す超高速デジタル信号に替わりつつある。ここで、デジタル信号をケーブルにより伝送する場合、ケーブルの大きな屈折・屈曲やコネクタの接触不良等により所定以上の誤りが生ずると、映像が全く映らない、音声が聞こえない等の映像・音声障害が生じてしまう。
また、超高速デジタル信号の伝送のために、特許文献1のように無線LANを使用したとしても、伝送速度の上限が数十Mbpsから数百Mbpsのオーダーであるため、リアルタイム伝送に耐えうるものではなかった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、TV受像機および周辺機器の設置が容易であり、超高速デジタル信号の伝送であっても、リアルタイムの伝送が可能なテレビジョンシステムが実現することにある。
本発明に係るテレビジョンシステムは、上記課題を解決するために、TV受像機と当該TV受像機用の映像音声信号を生成する周辺機器とを備え、当該TV受像機と当該周辺機器との間で、上記映像音声信号を変調した無線信号による伝送を行うテレビジョンシステムであって、上記無線信号は、ミリ波信号であり、上記周辺機器は、第1送信アンテナと第2送信アンテナとを有する無線送信装置に接続され、当該無線送信装置は、上記映像音声信号を上記ミリ波信号に変調して、上記第1送信アンテナおよび上記第2送信アンテナより当該ミリ波信号を送信し、上記TV受像機は、第1受信アンテナと第2受信アンテナとを有する無線受信装置に接続され、当該無線受信装置は、上記ミリ波信号を上記第1受信アンテナおよび上記第2受信アンテナにて受信して、当該ミリ波信号を映像音声信号に復調し、上記第2送信アンテナの送信方向は、上記第1送信アンテナの送信方向と異なり、上記第2受信アンテナの受信方向は、上記第1受信アンテナの受信方向と異なり、上記第1送信アンテナと上記第1受信アンテナとが対向して配置可能であり、上記第2送信アンテナと上記第2受信アンテナとが対向して配置可能であることを特徴としている。
上記の構成によれば、TV受像機と周辺機器との伝送が無線信号によって行われるので、配線ケーブルが不要となり、TV受像機および周辺機器の設置が容易になる。また、配線ケーブルへの埃の付着、配線ケーブルの屈折・屈曲やコネクタの接触不良等による映像・音声の劣化といった、配線ケーブルを使用した場合に生ずる問題を回避できる。さらに、無線信号がミリ波信号であるため、無線伝送帯域幅が広くなり、数ギガビット程度の超高速伝送が可能となる。
また、無線送信装置において、映像音声信号をミリ波信号に変調して、第1送信アンテナより送信し、無線受信装置において、当該ミリ波信号を第1受信アンテナにて受信して映像音声信号に復調する。ここで、ミリ波信号を送受信するアンテナは、指向性が高いが、第1送信アンテナと上記第1受信アンテナとが対向して配置可能であるので、良好な伝送が可能となる。
さらに、ミリ波信号を送受信するアンテナは、指向性が高いため、送信アンテナと受信アンテナとがアンテナの指向方向から外れないように配置する必要がある。ここで、上記の構成によれば、さらに、無線送信装置は第2送信アンテナを備え、無線受信装置は第2受信アンテナを備え、第2送信アンテナと第2受信アンテナとが対向して配置可能である。これにより、第1送信アンテナと第1受信アンテナとの送受信に加え、第2送信アンテナと第2受信アンテナとの送受信も可能となる。このため、周辺機器をTV受像機の異なる2方向に配置できる。
このように、TV受像機および周辺機器の設置が容易であり、超高速デジタル信号の伝送であっても、リアルタイムの伝送が可能なテレビジョンシステムが実現できるという効果を奏する。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記第1送信アンテナは略鉛直方向の無線信号を送信し、上記第1受信アンテナは略鉛直方向の無線信号を受信し、上記第2送信アンテナは略水平方向の無線信号を送信し、上記第2受信アンテナは略水平方向の無線信号を受信することが好ましい。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線送信装置は、上記周辺機器と一体化され、上記無線受信装置は、上記TV受像機と一体化されていることが好ましい。
上記の構成によれば、無線送信装置および無線受信装置のためのスペースを設ける必要がなくなり、TV受像機および周辺機器の設置がさらに容易になる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記第1送信アンテナは、上記周辺機器の筐体の上面に設けられ、上記第1受信アンテナは、上記TV受像機の本体の下面に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、TV受像機が周辺機器の上方に配置される場合に、好適である。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記周辺機器は、上記TV受像機が載置されるラック内に設置されてもよい。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記ラック内を仕切るプレートは透明であることが好ましい。
上記の構成によれば、プレートが透明であるため、ミリ波信号はプレートを透過することができる。したがって、TV受像機と周辺機器との間にプレートが存在しても支障なく無線伝送を行うことができ、配置の自由度を向上させることができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記第2送信アンテナは、上記周辺機器の筐体の側面に設けられ、上記第2受信アンテナは、上記TV受像機の本体の前面に設けられてもよい。
上記の構成によれば、TV受像機と周辺機器とが、略鉛直方向だけでなく略水平方向にも配置可能となる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線送信装置は、上記第1送信アンテナによる送信と、上記第2送信アンテナによる送信とを切替え可能であることが好ましい。
上記の構成によれば、TV受像機および周辺機器の配置関係に合わせて、無線信号の送信方向を変化させることができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線送信装置は、上記映像音声信号をミリ波信号に変調する第1変調器と、上記第1変調器からのミリ波信号を増幅して、上記第1送信アンテナに増幅したミリ波信号を出力する第1送信アンプと、上記第1変調器からのミリ波信号を増幅して、上記第2送信アンテナに増幅したミリ波信号を出力する第2送信アンプと、上記第1送信アンプおよび上記第2送信アンプのDCバイアスのON/OFFを制御する送信アンテナ切替部とを備えることが好ましい。
上記の構成によれば、送信アンテナ切替部が、第1送信アンプおよび第2送信アンプのDCバイアスのON/OFFを制御することにより、第1変調器にて変調されたミリ波信号を第1送信アンテナに出力するか第2送信アンテナに出力するかの選択が行われる。これにより、第1送信アンテナによる送信と、第2送信アンテナによる送信とを切替えることができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線送信装置は、上記映像音声信号をミリ波信号に変調する第2変調器および第3変調器と、上記第2変調器からのミリ波信号を増幅して、上記第1送信アンテナに増幅したミリ波信号を出力する第3送信アンプと、上記第3変調器からのミリ波信号を増幅して、上記第2送信アンテナに増幅したミリ波信号を出力する第4送信アンプと、上記映像音声信号を上記第2変調器および上記第3変調器のいずれに入力するかを選択する第1低周波切替部とを備えることがさらに好ましい。
上記の構成によれば、第1低周波切替部において、映像音声信号を第2変調器および第3変調器のいずれに入力するかの選択が行われる。第2変調器が選択された場合、映像音声信号は第2変調器にてミリ波信号に変調され、第3送信アンプにて増幅され、第1送信アンテナより送信される。第3変調器が選択された場合、映像音声信号は第3変調器にてミリ波信号に変調され、第4送信アンプにて増幅され、第2送信アンテナより送信される。すなわち、第1低周波切替部によって、第1送信アンテナによる送信と、第2送信アンテナによる送信との切替が行われる。さらに、第1低周波切替部は、第2変調器または第3変調器にて変調される前の低周波の映像音声信号を切替えるので、切替えによる損失が少ない。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線受信装置は、上記第1受信アンテナによる受信と、上記第2アンテナによる受信とを切替可能であることが好ましい。
上記の構成によれば、TV受像機および周辺機器の配置関係に合わせて、TV受像機の受信方向を変化させることができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線受信装置は、上記第1受信アンテナによって受信されたミリ波信号を増幅する第1受信アンプと、上記第2受信アンテナによって受信されたミリ波信号を増幅する第2受信アンプと、上記第1受信アンプによって増幅されたミリ波信号と上記第2受信アンプによって増幅されたミリ波信号とを映像音声信号に復調する第1復調器と、上記第1受信アンプおよび上記第2受信アンプのDCバイアスのON/OFFを制御する受信アンテナ切替部とを備えることが好ましい。
上記の構成によれば、受信アンテナ切替部が、第1受信アンプおよび第2受信アンプのDCバイアスのON/OFFを制御することにより、第1受信アンテナによって受信されたミリ波信号と第2受信アンテナによって受信されたミリ波信号とのいずれを、第1復調器に出力するかの選択が行われる。これにより、第1受信アンテナによる受信と、上記第2アンテナによる受信とを切替えることができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線受信装置は、上記第1受信アンテナによって受信されたミリ波信号を増幅する第1受信アンプと、上記第2受信アンテナによって受信されたミリ波信号を増幅する第2受信アンプと、上記第1受信アンプによって増幅されたミリ波信号を映像音声信号に復調する第2復調器と、上記第2受信アンプによって増幅されたミリ波信号を映像音声信号に復調する第3復調器と、上記第2復調器からの映像音声信号と上記第3復調器からの映像音声信号とのいずれを上記TV受像機に出力するかを選択する第2低周波切替部とを備えることがさらに好ましい。
上記の構成によれば、第2低周波切替部によって、第2復調器からの映像音声信号と第3復調器からの映像音声信号とのいずれをTV受像機に出力するかの選択が行われる。第2復調器からの映像音声信号をTV受像機に出力する場合、第2復調器は、第1受信アンテナによって受信されたミリ波信号を増幅する第1受信アンプからのミリ波信号を映像音声信号に復調するので、第1受信アンテナによって受信されたミリ波信号から復調された映像音声信号がTV受像機に出力されることとなる。第3復調器からの映像音声信号をTV受像機に出力する場合、第3復調器は、第2受信アンテナによって受信されたミリ波信号を増幅する第2受信アンプからのミリ波信号を映像音声信号に復調するので、第2受信アンテナによって受信されたミリ波信号から復調された映像音声信号がTV受像機に出力されることとなる。すなわち、第2低周波切替部によって、第1受信アンテナによる受信と、第2アンテナによる受信との切替が行われる。さらに、第2低周波切替部は、第2復調器または第3復調器によって復調された低周波の映像音声信号を切替えるので、切替えによる損失が少ない。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記周辺機器は、異なる2つの映像音声信号を生成する信号生成部を備え、上記無線送信装置は、上記2つの映像音声信号を1つの広帯域映像音声信号に合成する信号合成器を備え、上記無線受信装置は、上記広帯域映像音声信号を2つの映像音声信号に分配する信号分配器を備え、上記TV受信機は、上記信号分配器にて分配された2つの映像音声信号を合成する信号合成部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、異なる2つの周波数伝送路を用いて、周辺機器からTV受像機への無線伝送が行われる。2つの映像音声信号を信号合成器にて1つの広帯域映像音声信号に合成することで、有線ケーブルと同等以上の帯域幅を確保することができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記信号生成部は、異なる2つのチャンネルの映像音声信号を生成して上記無線送信装置に出力する同時信号発生部と、高精細映像モードの映像音声信号を生成する高精細映像信号発生部と、高精細映像モードの映像音声信号を2つの信号に分配する信号分配部とを備え、上記TV受信機は、上記信号合成部が上記2つのチャンネルの映像音声信号を合成する第1受信モードと上記信号合成部が上記信号分配部によって分配された2つの信号を合成する第2受信モードとの切替えを行う受信モード切替部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、異なる2つの映像音声信号は、同時信号発生部から出力される2つのチャンネルの映像音声信号、または、高精細映像モードの映像音声信号を信号分配部で分割した2つの信号であり、そのいずれの場合であるかによって、TV受信機側では、受信モード切替部が、信号合成部における第1受信モードと第2受信モードとの切替えを行うことができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線送信装置は、上記映像音声信号をミリ波周波数帯のキャリアにて変調し、上記無線受信装置は、上記ミリ波信号をミリ波周波数帯で復調することが好ましい。
特に、無線信号がギガビットのデジタルハイビジョン信号の場合、伝送信号の周波数帯域幅は、1.5GHz〜数GHzの帯域幅を有するため、5GHz〜10GHz前後の中間周波数帯では、比帯域幅(伝送数周波数帯域/キャリア周波数)が狭く、変調するのは困難である。ここで、上記の構成によれば、映像音声信号は、無線周波数帯であるミリ波帯で直接変調・直接復調され、キャリアの周波数をミリ波周波数と同じく高くできるため、大きな比帯域幅を確保でき、容易なハードウエア構成とすることができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記無線送信装置は、上記周辺機器からの上記映像音声信号を中間周波数帯信号にて第1の変調信号に変調する第1変調器と、当該第1の変調信号をミリ波周波数帯のキャリアにて第2の変調信号である上記ミリ波信号に再度変調する第2変調器と、上記無線受信装置は、上記ミリ波信号を、ミリ波周波数帯で中間周波数帯の第1の復調信号に復調する第1復調器と、当該第1の復調信号を中間周波数帯で第2の復調信号である映像音声信号に再度復調する第2復調器とを備えることが好ましい。
上記構成によれば、中間周波数段階とミリ波段階で、夫々2度の変調と復調が行われるため、無線伝送信号であるミリ波信号は、雑音耐性が向上し、良好な品質の信号を伝送することができる。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記第2変調器は、ASK変調器であり、上記第1復調器は、ASK復調器であることが好ましい。
上記の構成によれば、ASK変調・復調は、周波数ミキサ内部での搬送信号(局部発振信号でもよい)によるON・OFF動作であり、両側波帯による周波数アップコンバート・周波数ダウンコンバートと等価である。このように、両側波帯を用いることによって、雑音耐力は3dB向上程度する。
本発明に係るテレビジョンシステムでは、上記第1変調器は、OFDM変調器であり、上記第2復調器は、OFDM復調器であることが好ましい。
上記の構成によれば、上記OFDM変調・復調により、マルチパス反射や遅延信号に対して強固な無線信号が生成できる。
本発明に係るテレビジョンシステムは、以上のように、TV受像機と当該TV受像機用の映像音声信号を生成する周辺機器とを備え、当該TV受像機と当該周辺機器との間で、上記映像音声信号を変調した無線信号による伝送を行うテレビジョンシステムであって、上記無線信号は、ミリ波信号であり、上記周辺機器は、第1送信アンテナと第2送信アンテナとを有する無線送信装置に接続され、当該無線送信装置は、上記映像音声信号を上記ミリ波信号に変調して、上記第1送信アンテナおよび上記第2送信アンテナより当該ミリ波信号を送信し、上記TV受像機は、第1受信アンテナと第2受信アンテナとを有する無線受信装置に接続され、当該無線受信装置は、上記ミリ波信号を上記第1受信アンテナおよび上記第2受信アンテナにて受信して、当該ミリ波信号を映像音声信号に復調し、上記第2送信アンテナの送信方向は、上記第1送信アンテナの送信方向と異なり、上記第2受信アンテナの受信方向は、上記第1受信アンテナの受信方向と異なり、上記第1送信アンテナと上記第1受信アンテナとが対向して配置可能であり、上記第2送信アンテナと上記第2受信アンテナとが対向して配置可能であるので、TV受像機および周辺機器の設置が容易であり、超高速デジタル信号の伝送であっても、リアルタイムの伝送が可能なテレビジョンシステムが実現できるという効果を奏する。
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について図1ないし図8に基づいて説明すると以下の通りである。
図1は、本実施形態に係るテレビジョンシステム100を示す概略図である。テレビジョンシステム100は、TV受像機1、周辺機器2およびラック3を有している。周辺機器2は、TV受像機1の映像音声信号を出力するDVD装置やデジタル放送受信用チューナー等である。ラック3の上面は、周辺機器2を設置するためのプレート3aを有している。ラック3の上面に、TV受像機1が載置される。
さらに、TV受像機1の本体には無線受信装置10が内蔵され、周辺機器2には無線送信装置20が内蔵されている。無線送信装置20から無線信号S1が送信され、無線受信装置10が当該無線信号S1を受信することにより、TV受像機1と周辺機器2との間の映像・音声信号の無線伝送がなされる。
ここで、無線信号S1は、ミリ波信号である。すなわち、TV受像機1と周辺機器2との通信は、ミリ波無線によって行われる。このため、TV受像機1と周辺機器2との間をケーブル配線する必要がなく、TV受像機1および周辺機器2の配置が容易となる。
図2(a)は、本実施形態におけるTV受像機1および周辺機器2の配置を示す側面図であり、図2(b)および(c)は、それぞれ無線送信装置20および無線受信装置10を示す概略図である。
図2(a)に示すように、TV受像機1の無線受信装置10と周辺機器2の無線送信装置20とは、略対向する位置に設けられる。具体的には、無線送信装置20は、無線信号S1の送信方向が鉛直上向き方向となるように、周辺機器2の上面2aに埋設されている。一方、無線受信装置10は、無線信号S1の受信方向が鉛直下向き方向となるように、TV受像機1のディスプレイ下側の下面1aに埋設されている。
図2(b)に示すように、無線送信装置20は、上面にアンテナ21を有しており、アンテナ21から無線信号S1が送信される。一方、図2(c)に示すように、無線受信装置10は、下面にアンテナ11を有しており、アンテナ11によって無線信号S1が受信される。これにより、アンテナ11は、TV受像機1の本体の下面1aに位置し、アンテナ21は、周辺機器2の上面2aに位置することになり、アンテナ11とアンテナ21とが対向して配置される。
なお、無線信号S1は、ある程度のビーム幅を有しているため、双方の無線受信装置10、20のアンテナ11、21の信号の送信方向は、ビーム範囲内であれば、多少ずれていてもよい。
このように、TV受像機1と周辺機器2とを無線信号S1で接続する構成にすることによって、従来のようにTV受像機と周辺機器とを有線ケーブルで接続する場合と比較して、煩わしいケーブル配線が不要となり、さらに、周辺機器2をラック3内の所定の場所に置くだけで、TV受像機1との接続をすることができるという利点がある。
さらに、無線信号S1がミリ波無線であることにより、無線伝送帯域幅が広くなり、数ギガビット程度の伝送が可能となる。これにより、ハイビジョン信号を非圧縮かつ殆ど遅延なく(マイクロ秒オーダーの遅延)、リアルタイムで伝送することができる。そのため、周辺機器のリモコン操作においても、TV画面との遅延が無いため、TV画面見ながらスムーズな操作が可能となる。
続いて、無線送信装置20および無線受信装置10の構成について、詳細に説明する。
図3は、無線送信装置20の構成を示すブロック図である。無線送信装置20は、周辺機器2で生成されるTV受像機用の映像音声信号をミリ波の無線信号S1に変調して、アンテナ21から送信する。より具体的には、無線送信装置20は、アンテナ21の他、並列直列変換器22、LPF(ローパスフィルタ)23、2つの増幅器24・28、変調器25、周波数マルチプライア26およびバンドパスフィルタ27を備えている。
周辺機器2からの映像音声のデジタル信号は、並列直列変換器22において、シリアルデジタル信号に変換され、LPF23において、帯域制限される。LPF23からの信号は、増幅器24において適度に増幅され、変調器25に入力される。一方、周波数マルチプライア26では、正弦波である局部発振信号(fLO)が、N逓倍(Nは2以上の自然数)される。本実施形態では、信号fLOは例えば6逓倍される。周波数マルチプライア26においてN逓倍された信号fLOは、変調器25にキャリアとして入力され変調される。当該変調されたキャリアは、バンドパスフィルタ27において帯域制限されたあと、増幅器28で適度なレベルまで増幅され、アンテナ21から無線信号S1として送信される。
変調器25は、例えば、スイッチで構成されるASK変調器や周波数混合器である。変調器25における変調は、スイッチの場合はASK変調であってもよく、また、ミキサにより両側サイドバンドの信号としてアップコンバートされてもよい。
図4に示すように、アンテナ21から送信されたミリ波の無線信号S1は、キャリアfLOを中心に変調信号fRF1信号として配置される。
図5は、無線受信装置10の構成を示すブロック図である。無線受信装置10は、無線送信装置20からの無線信号S1をアンテナ11にて受信し、映像音声信号に復調してTV受像機1に出力する。無線受信装置10は、アンテナ11の他、(低雑音)増幅器12、バンドパスフィルタ13、復調器14、増幅器15、LPF(ローパスフィルタ)16および直列並列変換器17を備えている。
アンテナ11にて受信された無線信号S1は、増幅器12で増幅される。該増幅された信号は、バンドパスフィルタ13で帯域制限され、復調器14で復調される。なお、一例として、復調器14がASK変調器である場合は、包絡線検波による復調であってもよい。また、復調器14が両側波帯への周波数ダウンコンバータである場合は、2端子ミキサによる周波数ダウンコンバートであってもよく、この場合、キャリアfLOにより、変調波fRF1が、周波数ダウンコンバートされる。
復調器14で復調された信号は、一旦増幅器15でレベル調整され、LPF16で帯域制限されて波形整形され、シリアルデジタル信号が復元される。なお、LPF16には、誤り訂正回路等が含まれることが望ましい。該復元されたシリアルデジタル信号は、直列並列変換器17においてパラレルデジタル信号へ変換される。当該パラレルデジタル信号はTV受像機1のHDMI入力端子(図示せず)へ入力される。
このようにして、図3に示す送信側の周辺機器2からのデジタル信号が、映像音声信号としてTV受像機1から出力される。尚、HDMIの制御信号等で、双方向性もたせる場合は、上記アンテナ11、21の異なった偏波信号を利用して伝送してもよい。また、伝送レートが低くてもよい場合、無線信号S1は、2.4GHz帯のISMバンドの無線信号や、400MHz帯の微弱無線信号であってもよい。
無線受信装置10のアンテナ11および無線送信装置20のアンテナ21は、指向性アンテナである。ここで、例えば、指向性アンテナが1次放射アンテナの場合、マイクロストリップパッチアンテナが用いられる。また、指向性アンテナが2次放射アンテナの場合、レンズアンテナやホーン型アンテナが用いられる。このような構成において、2次放射アンテナの直径や高さを変えることによって、容易にアンテナのビーム幅を調整することができる。
図2(a)に示すように、アンテナ11、21の指向性に合わせて、無線受信装置10および無線送信装置20を対向させるように、ラック3の所定の位置に設けることで、無線伝送することができる。
なお、図1に示すように、周辺機器2がTV受像機1が載置されるラック3内に設置される場合、アンテナ11とアンテナ21との伝送距離は、数十cmから2m程度となる。このように、アンテナ11とアンテナ21とを近距離に配置し、局所的な無線伝送を行うことにより、周波数の繰り返し利用が可能となる。したがって、映像・音声障害を生じることなく、超高速デジタル信号の伝送を行うことができる。さらに、ラック3中の異なった位置に別の周辺機器を配置したり、TV受像機1に無線受信装置10を複数設けてもよい。これにより、複数の無線伝送ができる。
また、無線信号S1は、ミリ波信号であるため、ラック3のプレート3aが有色または無色の透明なガラス板、プラスチック、アクリル板等である場合、図6に示すように、TV受像機1と周辺機器2との間にプレート3aが存在していてもよい。これにより、テレビジョンシステム100における、配置の自由度が向上する。
なお、図3および図5に示す無線送信装置20および無線受信装置10では、送信側の無線送信装置20で、シリアルデジタル信号自体をLPF23を介して、変調器25においてミリ波帯で直接変調し、受信側の無線受信装置10で、復調器14で無線信号S1を直接復調して、デジタルベースバンド信号を生成する構成であるが、これに限定されない。以下、映像音声信号が2段階に変調・復調される本実施形態の変形例を、図7および図8に基づいて説明する。
図7は、無線送信装置20aの構成を示すブロック図であり、図8は、無線受信装置10aの構成を示すブロック図である。無線送信装置20aは、図3に示す無線送信装置20において、並列直列変換器22の代わりに、OFDM変調器22aを設け、さらに、OFDM変調器22aとLPF23との間に、デジタルアナログコンバータ(DAC)29をさらに設けた構成である。これにより、周辺機器2からのデジタル信号は、OFDM変調器22aにより、OFDM変調され、DAC29でアナログ信号に変換されて第1の変調信号となる。当該第1の変調信号は、増幅器24にて増幅され、変調器25で再度変調されて第2の変調信号となる。
無線受信装置10aは、図5に示す無線受信装置10において、直列並列変換器17の代わりにアナログデジタルコンバータ(ADC)17aを設け、さらに、OFDM復調器18を設けた構成である。これにより、アンテナ11において受信された無線信号S1は、ミリ波周波数帯で復調器14にて復調されて、第1の復調信号である中間周波数信号を生成する。さらに、当該第1の復調信号は、LPF16で、不要波を除去して帯域制限された後、OFDM復調器18で、再度復調されて第2の復調信号となり、TV受像機1へ入力される。ここで、符号化処理やエラー訂正、波形整形等を行う複合化回路については、省略したが、適宜OFDM変調器22aやOFDM復調器18における段階で処理される。
このような構成においては、中間周波数段階とミリ波段階で、夫々2度の変調と復調が行われるため、無線伝送信号は、雑音耐性が向上し、良好な品質の信号を伝送することができる。とくに、ベースバンドから中間周波数段階の第1の変調・第2の復調では、デジタル回路によるOFDM変調・復調が好ましい。また、中間周波数信号からミリ波帯での第2の変調・第1の復調においては、ASK変調・復調が好ましい。
ここではASK変調・復調は、周波数ミキサ内部での搬送信号(局部発振信号でもよい)によるON・OFF動作であり、両側波帯による周波数アップコンバート・周波数ダウンコンバートと等価である。両側波帯を用いることによって、雑音耐力は3dB程度向上する。
加えて、上記OFDM変調・復調により、マルチパス反射や遅延信号に対して強固な無線信号となる。
なお、本実施形態では、周辺機器2がTV受像機1の下方に設置される構成であったが、逆に、周辺機器2がTV受像機1の上方に設置される構成であってもよい。その場合、アンテナ21は、周辺機器2の下面に設けられ、アンテナ11は、TV受像機1の上面に設けられる。
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について、図9ないし図12に基づいて説明すると以下の通りである。上記第1の実施形態では、TV受像機と記録再生装置とが、略鉛直方向に無線伝送を行っていたが、本実施形態では、TV受像機と記録再生装置とが、さらに略水平方向にも無線伝送を行う構成について説明する。
図9は、本実施形態に係るテレビジョンシステム200の構成を示す概略図である。テレビジョンシステム200は、TV受像機1、周辺機器2、ラック3およびラック3bを有している。ラック3bは、TV受像機1が載置されるラック3から離れた場所に設置されており、周辺機器2は、ラック3b内に設置される。これにより、TV受像機1と周辺機器2とが、略水平方向に位置している。なお、周辺機器2は、ラック3b内に設置される代わりに、台などの上に設置されてもよい。
また、TV受像機1の本体には無線受信装置110が内蔵され、周辺機器2には無線送信装置120が内蔵されている。無線送信装置120からは、略鉛直方向に無線信号S1に送信されるのみならず、さらに略水平方向に無線信号S2が送信される。無線受信装置110は、当該無線信号S1、S2を受信する。これにより、TV受像機1と周辺機器2との間の略鉛直方向・略水平方向の無線伝送がなされる。
図10(a)は、本実施形態におけるTV受像機1および周辺機器2の配置を示す側面図であり、図10(b)および(c)は、それぞれ無線送信装置120および無線受信装置110を示す概略図である。
図10(a)に示すように、TV受像機1の無線受信装置110と周辺機器2の無線送信装置120とは、略対向する位置に設けられる。具体的には、無線送信装置120は、無線信号S2の送信方向が略水平方向となるように、周辺機器2の上面2aおよび側面2bに埋設されている。一方、無線受信装置110は、無線信号S2の受信方向が略水平方向となるように、TV受像機1のディスプレイ下側の下面1aおよび前面1bに埋設されている。
ここで、無線信号S1は、指向性の高い信号であるので、20m程度の伝送距離であっても、TV受像機と周辺機器との間に障害物がない限り、効率よく無線伝送を行うことができる。したがって、病院や空港の待合室のような場所で、TV受像機を高い位置に設置し、TV受像機から略水平方向に離れた場所に周辺機器を設置してもよい。
本実施形態では、無線送信装置120は、第1の実施形態に係る無線送信装置20と同様、鉛直上向き方向の無線信号S1も送信可能である。また、無線受信装置110は、第1の実施形態に係る無線受信装置10と同様、無線信号S1も受信可能である。
なお、無線送信装置120は、略水平方向の無線信号S2のみ送信し、無線受信装置110も、略水平方向の無線信号S2のみ受信可能であってもよい。
図10(b)に示すように、無線送信装置120は、上面に無線信号S1を送信するアンテナ21を有するとともに、側面にアンテナ121を有しており、アンテナ121から無線信号S2が送信される。一方、図10(c)に示すように、無線受信装置110は、下面に無線信号S1を受信するアンテナ11を有するとともに、側面にアンテナ111を有しており、アンテナ111によって無線信号S2が受信される。これにより、アンテナ111は、TV受像機1の本体の前面1bに位置し、アンテナ121は、周辺機器2の側面2bに位置することになり、アンテナ111とアンテナ121とが対向して配置される。
無線信号S2の送信方向は、図10(a)に示すように、周辺機器2の下面に設けられるスタンド2cによって調整される。これにより、アンテナ111とアンテナ121とが、それぞれのアンテナの指向性の範囲内で対向するように配置することができる。
本実施形態では、TV受像機1および周辺機器2の配置関係に合わせて、周辺機器2からの無線信号の送信方向と、TV受像機1での無線信号の受信方向とを切替えることができる。続いて、無線送信装置120および無線受信装置110の構成について、詳細に説明する。
図11は、無線送信装置120の構成を示すブロック図である。無線送信装置120は、図3に示す無線送信装置20において、さらに、アンテナ121、2つの送信アンプ122a、122b、およびアンテナ切替部123を備える構成である。アンテナ21は、送信アンプ122aと一体化され、アンテナ121は、送信アンプ122bと一体化されている。アンテナ切替部123は、送信アンプ122a、122bのDCバイアスのON/OFFを切替えることができる。これにより、必要に応じて使用する側のアンテナの送信アンプのDCバイアスをON、使用しない側のアンテナの送信アンプのDCバイアスをOFFにする。
図12は、無線受信装置110の構成を示すブロック図である。無線受信装置110は、図5に示す無線受信装置10において、さらに、アンテナ111、2つの受信(低雑音)アンプ112a、112b、およびアンテナ切替部113を備える構成である。アンテナ11は、受信アンプ112aと一体化され、アンテナ111は、受信アンプ112bと一体化されている。アンテナ切替部113は、受信アンプ112a、112bのDCバイアスのON/OFFを切替えることができる。これにより、必要に応じて受信する側のアンテナの送信アンプのDCバイアスをON、受信しない側のアンテナの送信アンプのDCバイアスをOFFにする。
これにより、図1に示すように、TV受像機1と周辺機器2とが上下になるように配置する場合、無線送信装置120では、アンテナ切替部123によってアンテナ21を選択し、無線受信装置110では、アンテナ切替部113によってアンテナ11を選択する。この場合、第1の実施形態に係るテレビジョンシステム100と略同様の無線伝送が行われる。
これに対し、図9に示すように、TV受像機1と周辺機器2とが略並行になるように配置する場合、無線送信装置120では、アンテナ切替部123によってアンテナ121を選択し、無線受信装置110では、アンテナ切替部113によってアンテナ111を選択する。
なお、図11および図12の構成では、アンテナ21、121および送信アンプ122a、122b、並びに、アンテナ11、111および受信アンプ112a、112bが、それぞれ一体化している構成であったが、これに限らない。例えば、1台のTV受像機1の下方および前方に周辺機器2を1台ずつ配置する場合、アンテナ21およびアンテナ121を直接接続し、同時に2方向へ無線信号S1、S2を送信する構成としてもよい。また、1台の周辺機器2の上方および前方にTV受像機1を1台ずつ配置する場合、アンテナ11およびアンテナ111を直接接続し、同時に2方向からの無線信号S1、S2を受信する構成としてもよい。
さらに、無線送信装置120のアンテナ切替部123の制御は、周辺機器2のリモコンやTV受像機1等から行ってもよい。また、無線受信装置110のアンテナ切替部113の制御は、TV受像機1のリモコンや周辺機器2等から行ってもよい。
〔実施形態3〕
本発明の第3の実施形態について、図13ないし図15に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、第2の実施形態と同様、TV受像機と記録再生装置とが、略鉛直方向と略水平方向との両方に無線伝送を行う構成である。
図13(a)は、本実施形態におけるTV受像機1および周辺機器2の配置を示す側面図である。本実施形態では、TV受像機1の本体には無線受信装置210が内蔵され、周辺機器2には無線送信装置220が内蔵されている。無線送信装置220から無線信号S1,S2が送信され、無線受信装置210が当該無線信号S1,S2を受信することにより、TV受像機1と周辺機器2との間の映像・音声信号の無線伝送がなされる。
図13(b)および(c)は、それぞれ無線送信装置220および無線受信装置210を示す概略図である。
図13(b)に示すように、無線送信装置220は、上面に無線信号S1を送信するアンテナ21を有し、側面に無線信号S2を送信するアンテナ221を有している。一方、図13(c)に示すように、無線受信装置210は、下面に無線信号S1を受信するアンテナ11を有し、側面に無線信号S2を受信するアンテナ211を有している。これにより、無線受信装置210および無線送信装置220をTV受像機1および周辺機器2にそれぞれ内蔵した場合、アンテナ11、211は、TV受像機の本体の下面1a、前面1bにそれぞれ配置され、アンテナ21、221は、周辺機器2の上面2a、側面2bにそれぞれ配置される。
本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、TV受像機1および周辺機器2の配置関係に合わせて、周辺機器2からの無線信号の送信方向と、TV受像機1での無線信号の受信方向とを切替えることができる。続いて、無線送信装置220および無線受信装置210の構成について、詳細に説明する。
図14は、無線送信装置220の構成を示すブロック図である。無線送信装置220は、図3に示す無線送信装置20において、アンテナ221、低周波スイッチ223をさらに備え、また、増幅器24、変調器25a、周波数マルチプライア26、バンドパスフィルタ27および増幅器28で構成される系統と、増幅器24、変調器25b、周波数マルチプライア26、バンドパスフィルタ27および増幅器28で構成される系統とをそれぞれ2つ備える構成である。すなわち、無線送信装置220は、増幅器24・28、変調器25a、周波数マルチプライア26およびバンドパスフィルタ27から構成される送信部222a、および増幅器24・28、変調器25b、周波数マルチプライア26およびバンドパスフィルタ27から構成される送信部222bの2つの送信部を備えており、送信部222aはアンテナ21に接続され、送信部222bはアンテナ221に接続されている。低周波スイッチ223は、送信部222a・222bの両方に接続されており、使用する側のアンテナに接続される送信部を選択する。これにより、低周波スイッチ223によって、アンテナ21による送信とアンテナ221による送信との切替えが行われる。
図15は、無線受信装置210の構成を示すブロック図である。無線受信装置210は、図5に示す無線受信装置10において、アンテナ211、低周波スイッチ213をさらに備え、また、増幅器12、バンドパスフィルタ13、復調器14aおよび増幅器15からなる系統と、増幅器12、バンドパスフィルタ13、復調器14bおよび増幅器15からなる系統とをそれぞれ2つ備える構成である。すなわち、無線受信装置210は、増幅器12、バンドパスフィルタ13、復調器14aおよび増幅器15から構成される受信部212a、および増幅器12、バンドパスフィルタ13、復調器14bおよび増幅器15から構成される受信部212bを備えており、受信部212aはアンテナ11に接続され、受信部212bはアンテナ211に接続されている。低周波スイッチ213は、受信部212a・212bの両方に接続されており、受信する側のアンテナに接続される受信部を選択する。これにより、低周波スイッチ213によって、アンテナ11による受信とアンテナ211による受信との切替えが行われる。
このように、本実施形態は、第2の実施形態と同様、2つの送信アンテナ・受信アンテナを切替える構成である。続いて、本実施形態と第2の実施形態との相違点を説明する。
第2の実施形態に係る無線送信装置120(図11参照)では、増幅器28からのミリ波信号をアンテナ21・121に切替える構成である。同様に、第2の実施形態に係る無線受信装置110(図12参照)では、アンテナ11によるミリ波受信とアンテナ111によるミリ波受信とを切替える構成である。このように、高周波のミリ波信号を切替える構成であるため、切替えによる損失が大きく、効率が低下してしまう。また、無線送信装置120において、送信アンプ122a・122bの代わりに高周波スイッチを設け、無線受信装置110において、受信アンプ112a・112bの代わりに高周波スイッチを設ける構成では、高周波スイッチの配線が多くなり、効率低下を招く。
これに対し、本実施形態に係る無線送信装置220では、変調器25a・25bにて変調される前の低周波信号を低周波スイッチ223によって切替える構成である。同様に、本実施形態に係る無線受信装置210では、復調器14a・14bにて復調された後の低周波信号を低周波スイッチ213によって切替える構成である。このように、低周波信号を切替える構成であるので、切替による損失が少なく、効率の高い信号の送受信が可能となる。
なお、一例として、アンテナ21・221および送信部222a・222bの回路構成、並びにアンテナ11・211および受信部212a・212bの回路構成は、積層したLTCC(Low Temperature Cofired Ceramic)回路基板において、表面層にマイクロストリップパッチアンテナを構成し、内層にアンテナ給電回路やグランド層を構成し、裏面にICやチップ部品が実装されることにより構成される。
〔実施形態4〕
本発明の第4の実施形態について、図16ないし図18に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態は、無線信号の伝送帯域幅を拡大化する構成であり、図7および図8に示す2段階変調・復調の応用例である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同様、略鉛直方向での無線伝送(図1参照)を行う構成を例に説明する。
図16は、本実施形態に係る周辺機器102および無線送信装置320の構成を示すブロック図である。周辺機器102には、信号生成部40が設けられており、信号生成部40は、同時信号生成部41および高精細映像信号生成部42の2つの信号発生源および信号分配部43が設けられている。
同時信号生成部41は、第1のチャンネルおよび第2のチャンネルの2ch分の映像音声情報を有する2つのデジタル信号を発生する。各チャンネルのデジタル信号は、1.5ギガビットである。
一方、高精細映像信号生成部42は、当該2ch分の映像・音声のデジタル情報帯域幅で、高精細映像モードのデジタル信号を発生する。高精細映像モードのデジタル信号は、3ギガビットであり、信号分配部43において、1.5ギガビットの2つのデジタル信号に分配される。
無線送信装置320は、図7に示す無線送信装置20aにおいて、OFDM変調器22b、DAC(デジタルアナログコンバータ)29a、LPF・BPF部23aおよび信号合成器321をさらに備える構成である。2ch分のデジタル信号を送信する場合、同時信号生成部41からの第1のチャンネル・第2のチャンネルの2つのデジタル信号が、OFDM変調器22a・22bにそれぞれ出力される。また、高精細映像モードのデジタル信号を送信する場合、信号分配部43からの2つのデジタル信号が、OFDM変調器22a・22bにそれぞれ出力される。
OFDM変調器22a、DAC29およびLPF23から構成される系列は、信号fIF1を発生する。具体的には、OFDM変調器22aに入力されたデジタル信号はOFDM変調され、DAC29においてアナログ変換される。DAC29からのアナログ信号は、LPF23において帯域制限された信号fIF1に変換され、信号合成器321に出力される。
また、OFDM変調器22b、DAC29aおよびLPF・BPF部23aから構成される系列は、信号fIF1とは周波数の異なる信号fIF2を発生する。具体的には、OFDM変調器22bに入力されたデジタル信号はFDM変調され、DAC29aにおいてアナログ変換される。DAC29aからのアナログ信号は、LPF・BPF部23aにおいて、帯域制限され、中間周波数帯へアップコンバートされて中間周波数の信号fIF2に変換されて、信号合成器321に出力される。
信号fIF1と信号fIF2とは、信号合成器321において周波数軸上に配列される。当該周波数軸上に配列された信号は、増幅器24で増幅され、変調器25に出力される。一方、マルチプライア26では、局部発振信号fLOがN逓倍(Nは2以上の自然数、一例としてN=3)される。マルチプライア26からの信号は、キャリアfLO1としてミリ波帯で変調器25により変調される。
ここで、変調器25は、一例としてASK変調器であってもよく、また、単純な周波数アップコンバータであっても構わない。変調器25がASK変調器の場合は、キャリアfLO1を中心に信号fRF1、fRF2の両側波信号が生成される。同様に、変調器25がアップコンバータの場合も、両側波帯の信号が生成されるが、バンドパスフィルタ27で信号fRF1、fRF2の一方を除去してもよい。すなわち、キャリアfLO1と信号fRF1、fRF2のいずれかが存在すればよい。また、LPF・BPF部23aは、IQミキサで構成し、アップコンバートされてもよい。
変調器25により変調された信号は、バンドパスフィルタ27において帯域制限され、増幅器28において増幅されて無線信号S3となり、アンテナ21から送信される。
図17に示すように、アンテナ21から送信されたミリ波の無線信号S3は、キャリアfLOを中心に変調信号fRF1、fRF2として配置される。
続いて、受信側の無線受信装置310について説明する。
図18は、本実施形態に係るTV受像機101および無線受信装置310の構成を示すブロック図である。無線受信装置310は、図8に示す無線受信装置10aにおいて、OFDM復調器18a、ADC(アナログデジタルコンバータ)17b、BPF・LPF16aおよび信号分配器311をさらに備える構成である。
一方、TV受像機101には、信号受信部30が設けられており、信号受信部30には、信号合成部31および受信モード切替部32が設けられている。信号合成部31は、OFDM復調器18・18aからの2つのデジタル信号を合成する。受信モード切替部32は、2ch分のデジタル信号を受信する第1受信モードと、高精細映像モードのデジタル信号を受信する第2受信モードとを切替える機能を有する。
図16に示すアンテナ21から送信された無線信号S3は、図18に示すアンテナ11で受信され、低雑音増幅器12で増幅された後、帯域制限され復調器14で復調され、復調信号が生成される。ここで、復調器14は、送信側の無線送信装置320の変調器25(図16参照)がASK変調器の場合は、包絡線検波し、変調器25が周波数アップコンバータの場合は、キャリアfLO1にて信号fRF1、fRF2を周波数ダウンコンバートする。
上記復調信号は、信号分配器311において信号分配されて2系列の信号が生成される。このうち一方の信号は、LPF16により帯域制限されて信号fIF3となる。信号fIF3は、ADC17aでデジタル信号に変換され、OFDM復調器18によりOFDM復調される。他方の信号はBPF・周波数変換・LPF16aで帯域制限と周波数ダウンコンバートがなされ、信号fIF4となる。fIF4は、ADC17bでデジタル信号に変換され、OFDM復調器18aによりOFDM復調される。
ここで、LPF16およびBPF・LPF部16aを、IQミキサで構成し、信号分配器311からの2系列の信号をダウンコンバートする構成であってもよい。なお、符号化処理やエラー訂正、波形整形等を行う複合化回路については、省略したが、適宜OFDM復調器18・18aにおける段階で処理される。
OFDM復調器18・18aにおいて、復調された2系列の信号は、TV受像機101の信号合成部31にて合成され、1つの広帯域映像音声信号が生成される。このように、2ch分の映像音声信号を同時に伝送したり、また、高精細映像のデジタル信号を2つのデジタル信号に分配して伝送することができる。さらに、TV受像機101側において、受信モード切替部32によって、2ch分の伝送モードと高精細映像の受信モードとを適宜選択することができる。
以上のように、本実施形態に係る無線送信装置320および無線受信装置310では、有線ケーブルと同等以上の帯域幅を確保することができ、特に、数ギガビットの超高速信号の伝送に好適に適用できる。また、無線通信であるため、有線の配線ケーブルのように、ケーブルの大きな屈折・屈曲、やコネクタの接触不良等で、デジタル伝送信号の誤りが生ずることがなく、映像が映らない・音声が出ない等の障害が生じてしまうこともない。
なお、本実施形態では、第1の実施形態と同様、略鉛直方向での無線伝送を行う構成であったが、これに限らず、略鉛直方向・略水平方向・斜めからの無線伝送を行う構成であってもよく、さらには、複数の送受信方向を切替え可能な構成であってもよい。
尚、該TV受像機は、壁掛けTV,ディスプレイ等であっても構わない。
〔実施形態の総括〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。