JP4075357B2 - 4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾール及びその製造法 - Google Patents

4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾール及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬等の中間体として有用な新規な4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾール及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールは、医農薬などの中間体として重要である。例えば、米国特許4596597号公報では、類縁の4−エチル−5−イソプロポキシカルボニル−1,2,3−トリアゾール及び5−エチル−4−カルボキシル−1,2,3−トリアゾールがトリアゾール系殺虫剤の中間体として使用されている。しかしながら、本発明の置換様式(前記式(1))の4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールは、新規化合物であり、これまでにその製造法はまったく知られておらず、その応用面においてなんら開示されていなかった。
従来の4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールの製造法としては、例えば、前記、米国特許4596597号公報に、ケトアセテート化合物とアジド化合物を反応させて1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸化合物を合成する方法が記載されている。また、J.Heterocycl.Chem.,13,589頁(1976)に、テトロール酸メチルとトリメチルシリルアジドを反応させて5−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステルを合成する方法が記載されている。さらにTetrahedron.Lett.,1,7頁(1974)には、α,β−不飽和ニトロカルボン酸エチルエステルおよびナトリウムアジドから5−置換−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステルを合成する方法が記載されている。
しかし、これらのアジ化物を用いる方法では、アジ化物が爆発性を持つため、安全性が問題であり、合成、分離、精製が複雑となる上、製造の管理は容易でなく、製造方法として好ましくない。このように従来技術では安全性等にも問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、医農薬の中間体等として幅広い用途が期待される新規な4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾール、及び同化合物の安全かつ簡便な製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、医農薬の中間体等として幅広い用途が期待される新規な4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾール及びその製造法を見出し、本発明を完成した。
【0005】
第1の発明は、次式(1)で示される4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールに関するものである。
【0006】
【化7】
Figure 0004075357
〔式中、R1及びRは前記と同様である。〕
【0007】
第2の発明は、次式(2)で示される3−ハロ−2−ヒドラゾノ−1−ヒドロキシイミノプロパン誘導体を脱水剤と反応させることを特徴とする
【0008】
【化8】
Figure 0004075357
〔式中、R1、X及びRは前記と同様である。〕
次式(1a)で示される4−置換−5−ハロアルキル−1,2,3−トリアゾールの製造法。
【0009】
【化9】
Figure 0004075357
〔式中、R1及びXは前記と同様である。〕
【0010】
第3の発明は、次式(1a)で示される4−置換−5−ハロアルキル−1,2,3−トリアゾールと
【0011】
【化10】
Figure 0004075357
〔式中、R1及びXは前記と同様である。〕
次式(3)で示される求核剤を反応させることを特徴とする
【0012】
【化11】
Figure 0004075357
〔式中、R 'は前記と同様である。〕
次式(1b)で示される4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールの製造に関するものである。
【0013】
【化12】
Figure 0004075357
〔式中、R1及びR 'は前記と同様である。〕
【0014】
【発明の実施形態】
本発明における化合物(1)、(1a)、(1b)及び原料化合物である化合物(2)、(3)における置換基は以下の通りである。
【0015】
1としては、COOR基(但し、Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。)、CONR基(但し、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜4個の低級アルキル基を表す。)又はシアノ基が挙げられる。
COOR基のRとしては、水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜4個の低級アルキル基が挙げられるが、好ましくは水素原子、メチル基、又はエチル基である。
CONR基のR及びRとしては、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜4個などの低級アルキル基が挙げられるが、好ましくはメチル基である。
1として特に好ましい置換基は、COOH基、COOMe基、COOEt基、CONMe又はシアノ基である。
【0016】
はハロゲン原子、炭素原子数1〜4個の低級アルキルチオ基、NR基(但し、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜4個の低級アルキル基を表す。)、炭素原子数1〜4個の低級アルキコキシ基、置換ピペリジル基又は置換ピペラジニル基を表す。
【0017】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を挙げる事が出来るが、塩素原子が好ましい。炭素原子数1〜4個の低級アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基が挙げられるが、特にメチルチオ基が好ましい。
NR基のR及びRとしては、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜4個の低級アルキル基が挙げられるが、特にメチル基が好ましい。
【0018】
炭素原子数1〜4個の低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基が挙げられるが、特にメトキシ基が好ましい。
置換ピペリジル基の置換基としては特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられるが、2位置換が好ましく、特に2位エチル置換が好ましい。
【0019】
置換ピペラジニル基の置換基としては特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4の低級アルキル基、又は置換フェニル基が挙げられる。この置換フェニル基の置換基としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素などのハロゲン原子、又は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられるが、4位ハロゲン原子置換のフェニル基が好ましく、特に4位フッ素置換のフェニル基が好ましい。
【0020】
'は炭素原子数1〜4個の低級アルキルチオ基、NR基(但し、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。)、炭素原子数1〜4個の低級アルコキシ基、置換ピペリジル基、置換ピペラジニル基を表す。
'で表されるこれら置換基は、前記Rにおける同置換基と同様である。Xとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。好ましくは塩素原子である。
【0021】
は脱離基を表わす。脱離基としては、化合物(2)が閉環反応し化合物(1a)を生成する反応において脱離する基であれば特に限定されず、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基などの炭素原子数2〜5個のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などの炭素原子数2〜5個の低級アルコキシカルボニル基、メタンスルフォニル、エタンスルフォニル、n−プロパンスルフォニル基、イソプロパンスルフォニル基、n−ブタンスルフォニル基、イソブタンスルフォニル基、t−ブタンスルフォニル基などの炭素原子数1〜4個の低級アルキルスルフォニル基、ベンゼンスルフォニル基、p−トルエンスルフォニル基などの置換又は非置換のベンゼンスルフォニル基などが挙げられるが、好ましくは炭素原子数2〜5個のアシル基であり、特にアセチル基が好ましい。
【0022】
なお、本発明の4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールは、1、2又は3位の窒素原子のいずれに水素原子が付くかよって、異性体が存在するが、これらの異性体も含まれる。
【0023】
(化合物(1a)の製造法)
上記式(1)で示される4−置換−5−ハロアルキル−1,2,3−トリアゾールにおいてRがハロゲン原子である化合物(1a)は、化合物(2)を溶媒中もしくは無溶媒で脱水剤と反応させることによって製造する事が出来る。
【0024】
本反応で用いられる化合物(2)は、以下に示すように、3−ハロ−2−オキソ−1−ヒドロキシイミノプロパン誘導体(化合物(4))と、ヒドラジン誘導体(化合物(5))を無溶媒もしくは溶媒中、必要により酸の存在下、反応させることによって製造することができる。
【化13】
Figure 0004075357
〔式中、R1、X及びRは前記と同様である。〕
【0025】
化合物(4)は、例えばJ.Org.Chem.,47,116(1982)に記載の方法等に準じて、対応するアセト酢酸誘導体をニトロソ化することによって製造することができる。
化合物(5)は、市販のものを使用できる。
【0026】
化合物(2)の合成で用いる溶媒としては、この反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの塩素化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族エステル類、水及びそれらの混合溶媒などを挙げることができる。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調整するが、化合物(4)に対して0〜100g、好ましくは0〜50gである。
【0027】
化合物(2)の製造に用いる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸類、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸類、酢酸、プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸類であり、特に好ましくは酢酸である。
酸の使用量は化合物(4)1molに対し、0.005〜20molである。
【0028】
反応温度は、使用する溶媒の沸点以下で行う限り特に限定されないが、通常−30〜110℃であり、好ましくは−20〜60℃である。反応圧力は加圧又は減圧状態でも良く特に制限されないが、大気圧が好ましい。反応時間は、前記の溶媒の使用量、温度によって変化するが、通常0.5〜24時間である。
生成した化合物(2)は、常法(カラムクロマトグラフィー、再結晶など)にて分離、精製して得ることができる。
【0029】
化合物(1a)は、前記方法で得られた化合物(2)を脱水剤と反応させて製造することができる。
脱水剤としては特に限定されず、無水酢酸、無水プロピオン酸などの酸無水物、又は塩化チオニルなどのチオニルハライドなどを挙げる事ができるが、好ましくは塩化チオニルである。
脱水剤の使用量は、化合物(2)1molに対して、0.2〜50molであり、好ましくは0.5〜10molである。
【0030】
本反応では無溶媒でも良いが、溶媒を使用しても良い。溶媒としては、本反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの塩素化炭化水素類、アセトン、メチルイソプロピルケトンなどの脂肪族ケトン類、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロイオン酸エチルなどの脂肪族エステル類、水及びそれらの混合溶媒などを挙げることができるが、好ましくは塩素化炭化水素類であり、特に好ましくは1,2−ジクロロエタンである。
溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節されるが、3−ハロ−2−オキソ−1−ヒドロキシイミノプロパン誘導体1gに対して、好ましくは0〜100g、特に好ましくは0〜50gである。
【0031】
反応温度は使用する溶媒の沸点以下で行う限り特に限定されないが、通常0〜150℃であり、好ましくは20〜120℃である。反応圧力は加圧又は減圧状態でも良く特に制限されないが、大気圧が好ましい。反応時間は、前記濃度、温度によって変化するが、通常0.5〜24時間で行うことができる。
生成した化合物(1a)は、常法(カラムクロマトグラフィー、再結晶など)にて分離、精製して単離することができる。
【0032】
単離後、H−NMRスペクトル分析及び赤外線吸収スペクトル分析にて化合物(2)のトリアゾール環の窒素原子上にアシル基などの脱離基Rが残っていることが確認された場合(以下、この化合物を化合物(6)と称する。)、低級脂肪族アルコールと反応させる事により、この脱離基Rを除く事が出来る。
【0033】
【化14】
Figure 0004075357
〔式中、R、R及びXは前記と同義である。〕
【0034】
低級脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルコールを挙げることができ、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール(各異性体を含む)であり、特に好ましくはメタノール、又はエタノールである。
【0035】
低級脂肪族アルコールの使用量は、化合物(6)1gに対して、好ましくは0.01〜100mlであり、特に好ましくは0.1〜50mlである。
【0036】
反応温度は、通常、−20〜150℃であり、好ましくは0〜80℃である。本反応は発熱反応であるので、反応温度を調節しながら、低級脂肪族アルコールを滴下して反応を進行させることが好ましい。
【0037】
反応時間は、通常0.5分〜8時間であり、好ましくは1分〜4時間である。
生成した化合物(1a)は、常法(カラムクロマトグラフィー、再結晶など)にて分離、精製して単離することができる。
【0038】
(化合物(1b)の製造法)
上記式(1)で示される4、5−ジ置換1,2,3−トリアゾールにおいてRがハロゲン原子以外の置換基である化合物(1b)は、化合物(1a)と上記式(3)で示される求核剤を溶媒中もしくは無溶媒で反応させることによって製造することが出来る。
【0039】
求核剤としては、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールなどの炭素原子数1〜4個のチオール類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどの炭素原子数1〜4個の低級アルキル基を有する第2アミン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素原子数1〜4個のアルコール類、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜4個の低級アルキル基などを置換基として有するピペリジン、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素などのハロゲン原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4の低級アルキル基で置換された置換フェニル基などを置換基として有するピペラジンなどが挙げられる。求核剤の使用量は、化合物(1a)1molに対して、0.8〜50molであり、好ましくは0.9〜10molである。
【0040】
溶媒としては、本反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの塩素化炭化水素類、アセトン、メチルイソプロピルケトンなどの脂肪族ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロイオン酸エチルなどの脂肪族エステル類、水及びそれらの混合溶媒などを挙げることができるが、特に好ましくは水又はテトラヒドロフランである。
溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節されるが、化合物(1a)1gに対して、好ましくは0〜100g、特に好ましくは0〜50gである。
【0041】
本反応を促進するために、塩基を加えても良い。
塩基としては、無機塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物類、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩類など、有機塩基としてはトリエチルアミンなどの第3アミンなどが挙げられる。好ましくはアルカリ金属の炭酸塩類であり、更に好ましくは炭酸水素ナトリウムである。
これら塩基の使用量は化合物(1a)1molに対して、0〜10molであり、好ましくは0〜3molである。
【0042】
反応温度は使用する溶媒の沸点以下で行う限り特に限定されないが、通常−20〜110℃で行うことができる。反応圧力は加圧又は減圧状態でも良く特に制限されないが、大気圧が好ましい。反応時間は、前記の溶媒の使用量、温度によって変化するが、通常0.1〜24時間である。
生成した化合物(1b)は、常法(カラムクロマトグラフィー、再結晶など)にて分離、精製して得ることができる。
【0043】
【実施例】
実施例1 5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステルの合成
3−(アセチルヒドラゾノ)−4−クロロ−2−ヒドロキシイミノブタン酸エチルエステル3g(12mmol)をジクロロエタン15mlに懸濁し、室温で攪拌しながら、塩化チオニル2.45g(20mmol)を加えた。1時間加熱還流した後、氷冷し、メタノール2mlを加え、10分攪拌した。
溶媒を減圧下で留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(Micro Sphere Gel D−150−60 A、展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1)にて精製し、オレンジ色固体である目的物2g(収率88%)を得た。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m.p. 81〜83℃
m/z(CI) 190(MH),144
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:1.45(3H,t),4.48(2H,q),4.95(2H,s),12.35(1H,brs)
【0044】
実施例2 5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニトリルの合成
3−(アセチルヒドラゾノ)−4−クロロ−2−ヒドロキシイミノブチロニトリル0.5g(2.5mmol)をジクロロエタン2.5mlに懸濁し、室温で攪拌しながら、塩化チオニル0.5g(4.2mmol)を加えた。30分加熱還流した後、氷冷し、メタノール0.3mlを加え、10分攪拌した。
溶媒を減圧下留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(Micro Sphere Gel D−150−60 A、展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=3/1)にて精製した。得られた淡褐色油状物にn−ヘキサンを注ぎ結晶化させ、ベージュ色粉末結晶である目的物0.28g(収率80%)を濾取した。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m.p. 75〜78℃
m/z(CI) 143(MH),109
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:4.76(2H,s),15.7(1H,brs)
【0045】
実施例4 5−ジメチルアミノメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステルの合成
5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステル0.5g(2.6mmol)をジメチルアミン−THF溶液(2mol/l)4mlに加え、3時間攪拌、さらにジメチルアミン−THF溶液(2mol/l)1mlを加え、1時間30分攪拌した。
反応液に炭酸水素ナトリウム0.22g(2.62mmol)を加え、1時間攪拌した後、溶媒を減圧下で留去し、残渣にクロロホルムを加え、不溶物を濾去した。クロロホルムを減圧下で留去した後、得られた褐色油状物をカラムクロマトグラフィ(Micro Sphere Gel D−150−60 A、展開溶媒:メタノール)にて精製し、白色粉末である目的物0.29g(56%)を得た。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m.p. 128〜132℃
m/z(CI) 199(MH),169
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:1.41(3H,t),2.60(6H,s),4.24(2H,s),4.40(2H,q),6.70(1H,brs)
【0046】
実施例5 5−メチルチオメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステルの合成
5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステル0.8g(4.2mmol)をTHF5mlに溶解し、メチルメルカプタンナトリウム塩(15重量%水溶液)2.5mlを徐々に加えた。1時間攪拌した後、メチルメルカプタンナトリウム塩(15重量%水溶液)0.5mlを加え、30分攪拌、さらにメチルメルカプタンナトリウム塩(15重量%水溶液)2mlを加え、30分攪拌した。
2N塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。溶媒を減圧下で留去し、析出した固体をn−ヘキサンで洗浄し、微黄色固体である目的物0.4g(収率47%)を濾取した。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m.p. 122〜124℃
m/z(CI) 202(MH),155
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:1.42(3H,t),2.11(3H,s),4.06(2H,s),4.47(2H,q)
【0047】
実施例6 5−ジメチルアミノメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニトリル塩酸塩の合成
5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニトリル0.3g(2.1mmol)をジメチルアミン水溶液(50%)4mlに加え、50分攪拌した。
この反応液にイソプロパノールを加え、水とイソプロパノールの共沸によって反応液中の水を留去し、褐色固溶体である粗目的物0.56gを得た。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m/z(EI) 151(M),150,108
m/z(CI) 152(MH),117
【0048】
実施例7 5−(2−エチルピペリジン−1−イルメチル)−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステルの合成
5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステル0.3g(1.6mmol)をTHF1mlに溶解し、2−エチルピペリジン0.4g(3.5mmol)を加えた。2時間室温攪拌した後、さらに、2−エチルピペリジン0.15g(1.3mmol)を加え、1時間攪拌した。
反応終了後、溶媒を減圧下で留去し、カラムクロマトグラフィ(Micro Sphere Gel D−150−60 A、展開溶媒:酢酸エチル/エタノール=1/4)にて精製し、黄土色固体である目的物0.09g(収率21%)を得た。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m/z(CI) 267(MH),237,84
【0049】
実施例8 5−[4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イルメチル)−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステルの合成
5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステル0.5g(2.6mmol)、炭酸水素ナトリウム0.2g(2.4mmol)をTHF3mlに懸濁し、氷冷下4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン0.5g(2.7mmol)を徐々に加えた。12時間室温にて攪拌した後、2日間、室温にて放置した。
反応終了後、酢酸エチル20mlを加え、不溶物を濾去した。濾液の溶媒を減圧下で留去し、カラムクロマトグラフィ(Micro Sphere Gel D−150−60 A、展開溶媒:酢酸エチル/エタノール=30/1)にて精製し、目的物0.28g(収率36%)を得た。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m/z(CI) 334(MH
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:1.43(3H,t),2.77(4H,t),3.16(4H,t),4.05(2H,s),4.42(2H,q),6.88(2H,d),6.95(2H,d)
【0050】
実施例9 5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸の合成
5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステル1.0g(5.3mmol)を混酸(濃塩酸2ml+濃硫酸2滴)に加え、3時間加熱還流を行った。
反応液を室温まで冷却し氷中に注入した。しばらく攪拌した後、酢酸エチルを加え分液した。
酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過した。得られた濾液を減圧下で溶媒を留去し、得られた褐色油状物をカラムクロマトグラフィ(Micro Sphere Gel D−150−60 A、展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=1/1〜0/1)で精製し、白色粉末である目的物0.45g(収率53%)を得た。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m.p. 197〜198℃
m/z(CI) 162(MH),126
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:4.95(2H,s),15.0(1H,brs)
【0051】
実施例10 5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸−N,N−ジメチルアミドの合成
5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸0.2g(1.2mmol)を酢酸エチル5mlに溶解し、氷水にて冷却した。この溶液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)0.23g(1.2mmol)を加え、しばらく攪拌した後、ジメチルアミン−テトラヒドロフラン溶液(2mol/l)1mlを加え、2時間攪拌した。水を加えた後、酢酸エチルにて抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥した。該溶液を濾過し、得られた濾液の溶媒を減圧下で留去し、白色固体である目的物0.1g(収率53%)を得た。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m/z(CI) 189(MH),153
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:3.16(3H,s),3.33(3H,s),4.93(2H,s),12.5(1H,brs)
【0052】
実施例11 5−メトキシメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸−N,N−ジメチルアミドの合成
5−クロロメチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸−N,N−ジメチルアミド0.1g(0.53mmol)をメタノール2mlに溶解し、室温下、ジメチルアミン−テトラヒドロフラン溶液(2mol/l)を数滴加え、2時間攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧下で留去した後、得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(アルミナB AktI 、展開溶媒:酢酸エチル/エタノール=1/1)にて精製し、目的物0.02g(収率19%)を得た。
得られた目的物の物性は以下の通りであった。
m/z(CI) 185(MH),169,153
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:3.13(3H,s),3.48(6H,s),4.89(2H,s),12.5(1H,brs)
【0053】
参考例1 4−クロロ−3−アセチルヒドラゾノ−2−ヒドロキシイミノブタン酸エチル(化合物(2))の合成
4−クロロ−3−オキソ−2−ヒドロキシイミノブタン酸エチル0.5g(2.6mmol)、アセトヒドラジド0.19g(2.6mmol)及び酢酸0.1mlをトルエン5mlに溶解し、4時間室温にて攪拌した。
析出した結晶を濾取した後、少量のトルエン及びn−ヘキサンで洗浄し、目的物0.44g(収率68.2%)を得た。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、安全かつ簡便な製造方法で、医薬、農薬の中間体として幅広い用途が期待される新規4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールを提供することができる。

Claims (5)

  1. 次式(1)で示される4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾール。
    Figure 0004075357
    〔式中、RはCOOR基(但し、Rは、水素原子、若しくは、低級アルキル基を表す。)、CONR基(但し、R及びRは、それぞれ独立して低級アルキル基を表す。)又はシアノ基を表わし、Rはハロゲン原子、低級アルキルチオ基、NR基(但し、R及びRは、それぞれ独立して低級アルキル基を表す。)、低級アルコキシ基、置換ピペリジル基、又は置換ピペラジニル基を表す。〕
  2. 次式(2)
    Figure 0004075357
    〔式中、Rは前記と同様であり、Xはハロゲン原子を表し、Rは脱離基を表す。〕で示される3−ハロ−2−ヒドラゾノ−1−ヒドロキシイミノプロパン誘導体を脱水剤と反応させることを特徴とする次式(1a)
    Figure 0004075357
    〔式中、R1及びXは前記と同様である。〕で示される4,5−ジ置換−5−ハロアルキル−1,2,3−トリアゾールの製造法。
  3. 次式(1a)
    Figure 0004075357
    〔式中、R1及びXは前記と同様である。〕で示される4−置換−5−ハロアルキル−1,2,3−トリアゾールと次式(3)
    Figure 0004075357
    〔式中、R 'は低級アルキルチオ基、NR基(但し、R及びRは、それぞれ独立して低級アルキル基を表す。)、低級アルコキシ基、置換ピペリジル基、置換ピペラジニル基を表す。〕で示される求核剤を反応させることを特徴とする次式(1b)
    Figure 0004075357
    〔式中、R1及びR 'は前記と同様である。〕で示される4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールの製造法。
  4. 脱離基が、アシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルフォニル基、又は置換又は非置換のベンゼンスルフォニル基である請求項2記載の4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールの製造法。
  5. 脱水剤が、酸無水物又はチオニルハライドである請求項2記載の4,5−ジ置換−1,2,3−トリアゾールの製造法。
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