JP4074966B2 - 塩酸エホニジピン製剤の製造法 - Google Patents

塩酸エホニジピン製剤の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血圧降下作用を有する1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−(5,5−ジメチル−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル)−4−(3−ニトロフェニル)−3−ピリジンカルボン酸 2−[ベンジル(フェニル)アミノ]エチルエステル・塩酸塩−エタノール溶媒和物(1:1)(以下塩酸エホニジピンという)の新規な固体分散体の製造法及び該固体分散体を含有する経口製剤に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
【化1】
Figure 0004074966
で表される1,4−ジヒドロピリジン−5−ホスホン酸誘導体であり、カルシウム拮抗作用により血管拡張作用、血圧降下作用を有する循環器官用医薬として有用な化合物である。
【0003】
塩酸エホニジピンは、難溶性薬物のため吸収性が悪く、吸収性を高める方策として、原薬粒子の微粒化と濡れや分散性の改善、固体分散体化などによる原薬の溶解性を改善する方法がある。特に注目される方法は、薬物の非晶質化法による固体分散体を製造する方法である。固体分散体とは、薬物を担体中に単分子状態で分散させたもので、薬物が完全に非晶質化した状態で保持された分散体を示す。一般に非晶質形は、結晶形に比較して、高エネルギー状態にあり、高い吸収性が期待されるものである。
【0004】
塩酸エホニジピンの固体分散体の製造法としては、塩酸エホニジピンとヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(以下HPMC−ASという)を有機溶媒に溶解し、得られた溶液を減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等により溶媒を除去し、粉末状・粒状物質として、又は、粒状の賦形剤を核として、これに流動層コーティング法、遠心流動コーティング法、パンコーティング法等によって噴霧被覆するか、あるいは溶液を賦形剤に添加・練合した後乾燥し、顆粒状物質とすることによって得られることが知られている(特開平2−49728号公報、米国特許第4983593号公報、欧州特許第344603号公報)。
【0005】
これらの特許に記載の方法は、塩酸エホニジピンの溶解性・吸収性を改善させる方法としては優れた方法ではあるが、大量の有機溶媒を使用することから、製造コストが高く、又薬剤への残存溶媒が懸念される場合もあるなど解決すべき課題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この従来法の課題を克服すべく、鋭意検討した結果、塩酸エホニジピンとHPMC−ASの混合物を、85〜140℃での加熱処理後若しくは0〜140℃でのメカノケミカル処理を行うA工程の後、水を含む溶液への浸漬処理、水を含む溶液による含浸処理、若しくは水蒸気含有気体による接触処理をするB工程を行うか、又は上記混合物を100〜140℃で高圧下加熱水蒸気処理を行うことを特徴とする塩酸エホニジピン含有固体分散体の製造法を見出した。
また、A工程の加熱処理において、塩酸エホニジピンとHPMC−ASの混合物を、80〜160℃で高周波加熱を用いることによりB工程を必要としない固体分散体の製造方法を見出した。
【0007】
【発明の実施の形態】
A工程の加熱処理は、塩酸エホニジピンが分解劣化しない温度を上限とする温度範囲、例えば85℃〜140℃、好ましくは85℃〜120℃、さらに好ましくは、90℃〜120℃で、20分〜120分、好ましくは、20分〜90分実施するのが良い。さらに、上記の混合物に熱安定化剤を添加することにより、85℃〜160℃で加熱することができる。
【0008】
加熱方法としては、通常のヒーター加熱、スチーム加熱のみならず、赤外線加熱や遠赤外線加熱も使用できる。
【0009】
A工程の加熱処理として高周波加熱を用いる場合、例えば80℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、さらに好ましくは、90℃〜130℃で、1分〜60分、好ましくは、5分〜20分実施するのが良い。さらに、上記の混合物に熱安定化剤を添加することにより、80℃〜180℃で加熱することができる。
メカノケミカル処理の場合、塩酸エホニジピンが分解劣化しない温度を上限とする温度範囲、例えば0〜140℃、好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは、15〜60℃で、上記の加熱処理と同一エネルギー条件での機械エネルギー処理として、通常1ないし120分、好ましくは3分ないし90分が品質コントロール、均一性、省エネルギーの面から好ましい。このメカノケミカル処理の場合、局部的温度上昇を避けるべく配慮する必要がある。又、外部からの加熱を特に必要としない。さらに、熱安定化剤を添加することにより、0℃〜160℃で処理することができる。
【0010】
B工程の、水を含む溶液への浸漬処理、水を含む溶液による含浸処理、又は水蒸気含有気体による接触処理の方法により、固体分散体表面の濡れ性が向上しただけではなく、吸収性がさらに優れた固体分散体を製造することができる。これは、この方法により、塩酸エホニジピンの非晶質体とHPMC−ASの分子運動を大きくさせることにより、ミクロ分散性を高めることができ、局在化している塩酸エホニジピンの非晶質体を非局在化させることが可能になるからである。
【0011】
上述の方法で使用される水を含む溶液とは、水そのものか、無機物、界面活性体、エタノール等の有機溶媒等の水溶液を指す。水蒸気含有気体とは、エタノール等の有機溶媒蒸気、空気、酸素、水素及び/又は窒素等を含有する水蒸気を指す。
【0012】
非晶質化のための加熱処理若しくはメカノケミカル処理を含むA工程の後、ミクロ分散化のための水を含む溶液への浸漬処理、水を含む溶液による含浸処理、又は水蒸気含有気体による接触処理を含むB工程の2段階の処理の替わりに、塩酸エホニジピンとHPMC−ASの混合物を100〜140℃で、高圧下加熱水蒸気処理することによって、非晶質化工程であるA工程とミクロ分散化工程であるB工程を同時に処理することもできる。
【0013】
一方、A工程で高周波加熱を用いる場合は、高周波が直接、水分子を振動させる事により、加熱処理による塩酸エホニジピンの非晶質化と同時に、局在化している塩酸エホニジピンの非晶質体を非局在化させミクロ分散性を高めることにより、B工程を用いなくても非晶質体の安定性や吸収性を高めることができる。
【0014】
また、固体分散体の製造の際、熱安定剤を添加することにより、さらに製造時の安定性を高めることもできる。さらに本発明の固体分散体を用いて塩酸エホニジピンの経口製剤を製造することができる。
【0015】
本発明に用いるHPMC−ASは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの酢酸及びモノコハク酸の混合エステルであり、一例として、信越AQOAT(商品名;信越化学工業株式会社製)がある。
【0016】
本発明に用いるHPMC−ASの置換基組成の範囲は、セルロースのグルコース残基1個当たりにおけるサクシノイル基が置換している水酸基数の平均値(サクシノイルDS値)として0.1〜0.4が好ましい。
【0017】
又、HMPC−ASは、1重量部の塩酸エホニジピンに対して1〜7重量部、特に3〜5重量部を配合することにより好ましい結果が得られる。
【0018】
本発明での熱安定剤としては、加熱又はメカノケミカル処理することにより塩酸エホニジピン又はHPMC−ASが分解劣化することを防ぐことが可能な添加物であり、例えば、レシチン、ケファリン等のリン脂質;グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル等のフェノール系化合物;ヒドロキノン等のキノン化合物;トコフェロール類;アルカノールアミン;ソルビトール;グリセリン;アジピン酸;クエン酸;アスコルビン酸類;リン酸;尿素;亜硫酸ナトリウム;亜硫酸水素ナトリウム;アミノ酸類;アミノエチルスルホン酸;グリチルリチン酸;酒石酸;コハク酸;フマル酸;マクロゴール類;マルトース;マルトール;マンニトール及びメグルミン等が挙げられる。
好ましい熱安定剤としては、リン脂質、没食子酸プロピル、トコフェロール類、アスコルビン酸類、尿素、アミノ酸類、グリチルリチン酸、酒石酸、コハク酸、マルトール及びマンニトール等が挙げられる。
さらに好ましい熱安定剤としては、尿素が挙げられる。
【0019】
本発明に用いる熱安定剤は、1重量部の塩酸エホニジピンに対して、0.1〜3重量部、特に0.3〜1.5重量部、さらに好ましくは、0.3〜1重量部を配合することにより、優れた結果を得られる。
【0020】
以下、本発明の塩酸エホニジピン含有固体分散体の製造工程を詳細に説明する。
A工程
本発明の固体分散体の前駆体である非晶質化物は、塩酸エホニジピンとHMPC−ASの混合物を、好ましくは塩酸エホニジピン、HMPC−AS及び熱安定剤の混合物を、湿式又は乾式にて造粒(混合)し、造粒と同時に又はその後、加熱処理するか、又は加熱処理と同一のエネルギー条件のメカノケミカル処理をすることにより得られる。
【0021】
造粒(混合)方法は、常用のものであって、例えば、万能混合機、流動造粒装置、ダッシュミル、湿式造粒機、乾式造粒機等が用いられる。得られる粒状物の性状は、簡単に粉砕される性状のものであって、その粒径は通常、0.05〜3mmである。又上述のように造粒時に加熱処理を行ってもよい。又、造粒後、棚式乾燥機、流動層乾燥機、ジャイロ乾燥機、粉体乾燥機等の中で加熱処理を行ってもよい。
【0022】
加熱方法としては、通常のヒーター加熱、スチーム加熱のみならず、赤外線加熱や遠赤外線加熱も使用できる。
【0023】
塩酸エホニジピンの結晶性を非晶質にするための加熱処理は、塩酸エホニジピンが分解劣化しない温度を上限とする温度範囲、例えば85℃〜140℃、好ましくは85℃〜120℃、さらに好ましくは、90℃〜120℃で、20分〜120分、好ましくは、20分〜90分実施するのが良い。また、熱安定化剤を添加することにより、塩酸エホニジピン又はHPMC−ASが分解劣化することを防ぐことができ、より広い温度範囲、例えば85℃〜160℃で処理することが可能になる。
【0024】
加熱処理として高周波加熱を用いる場合、例えば80℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、さらに好ましくは90℃〜130℃で、1分〜60分、好ましくは5分〜20分実施するのが良い。さらに、上記の混合物に熱安定剤を添加することにより、80℃〜180℃で加熱することができる。
【0025】
加えるエネルギーとしては、加熱処理の熱のみならず、圧縮、剪断、摩擦等の機械エネルギーによるメカノケミカル処理でも、非晶質化は可能である。例えば、前述必須成分を加熱せずに、ボールミル粉砕、遊星ミル処理、圧縮プレス処理、剪断ロール処理、ニーダー等の処理等のメカノケミカル処理のみによっても非晶質化は可能である。この方法によれば、加熱による分解物の発生を抑制し易いメリットもある。
【0026】
メカノケミカル処理の場合、塩酸エホニジピンが分解劣化しない温度を上限とする温度範囲、例えば0〜140℃、好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは、15〜60℃で、上記の加熱処理と同一エネルギー条件での機械エネルギー処理として、通常1ないし120分、好ましくは3分ないし90分が品質コントロール、均一性、省エネルギーの面から好ましい。このメカノケミカル処理の場合、局部的温度上昇を避けるべく配慮する必要がある。又、外部からの加熱を特に必要としない。また、熱安定化剤を添加することにより、塩酸エホニジピン又はHPMC−ASが分解劣化することを防ぐことができ、より広い温度範囲、例えば0℃〜160℃で処理することが可能になる。
又、加熱処理及びメカノケミカル処理を組み合わせて実施することも可能である。
【0027】
B工程
このように製造された塩酸エホニジピンの非晶質体の腸管からの吸収性をさらに高めるため、得られた非晶質体を、そのまま又は粉砕した後、水を含む溶液に浸漬するか、水を含む溶液で含浸処理するか又は水蒸気含有気体で接触処理し、必要に応じて乾燥を行うのが良い。
【0028】
上述の、水を含む溶液への浸漬処理、水を含む溶液による含浸処理、又は水蒸気含有気体による接触処理の方法により、固体分散体表面の濡れ性が向上しただけではなく、吸収性がさらに優れた固体分散体を製造することができる。これは、この方法により、塩酸エホニジピンの非晶質体と非晶質安定剤の分子運動を大きくさせることにより、ミクロ分散性が高めることができ、局在化している塩酸エホニジピンの非晶質体を非局在化させることが可能になるからである。
【0029】
上述の方法で使用される水を含む溶液とは、水そのものか、無機物、界面活性体、エタノール等の有機溶媒等の水溶液を指す。水蒸気含有気体とは、エタノール等の有機溶媒蒸気、空気、酸素、水素及び/又は窒素等を含有する水蒸気を指す。
【0030】
水を含む溶液の必要量は、塩酸エホニジピン1重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。
【0031】
水蒸気含有気体の場合、高圧下処理でも可能であるが、通常は、装置面から常圧での接触処理を行い、接触処理は40℃〜95℃の温度で、相対湿度として50〜100%が好ましく、接触時間は30分〜120分が好ましい。
【0032】
上記のミクロ分散性を高めた後の、必要に応じて行う乾燥は、温度が、60℃〜110℃、特に70〜90℃が好ましく、乾燥時間が、15分〜180分、特に30分〜90分が好ましい。又、乾燥しないでそのまま固体分散体とすることも可能である。
【0033】
非晶質化のための加熱処理若しくはメカノケミカル処理を含むA工程の後、ミクロ分散化のための水を含む溶液への浸漬処理、水を含む溶液による含浸処理、又は水蒸気含有気体による接触処理を含むB工程の2段階の処理の替わりに、高圧下加熱水蒸気処理することによって、非晶質化工程であるA工程とミクロ分散化工程であるB工程を同時に処理することもできる。
【0034】
高圧下加熱水蒸気処理とは、例えばオートクレーブ、スチーム滅菌器等の圧力容器を用いて、100℃以上、1気圧以上の高温高圧水蒸気中に放置することを意味する。
【0035】
温度は、100℃〜140℃で、その際の圧力は、1〜3.7kg/cm2、好ましくは100℃〜120℃で、圧力は1〜2kg/cm2である。
【0036】
A工程での加熱方法としては、前記の通常の方法のみならず、高周波加熱も使用できる。高周波加熱としては、高周波誘電加熱、高周波誘導加熱、プラズマ加熱等のいずれでもよいが、特に高周波誘電加熱が好ましい。
【0037】
周波数帯は加熱する被加熱体に依存して選択することが可能で、特にマイクロ波帯を用いるマイクロ波加熱が好ましい。マイクロ波加熱の使用周波数は、電波法でISM(Industrial, Scientific and Medical)周波数として割り当てられている4周波数、すなわち915、2450、5800、22125MHzを使用することができる。一般的には、915又は2450MHzの周波数を使用できる。
【0038】
マイクロ波加熱の方法については、オーブン方式(電子レンジ方式、コンベア式)、導波管方式のいづれでも被加熱体の形状により選択することができる。
コンベア式とは、混合物をベルトの上の乗せ、マイクロ波の照射してある層内を通過させることで連続的に加熱できる装置で、大量生産に適しており、一例として、ミクロ電子製の連続式マイクロ波加熱装置がある。
【0039】
高周波加熱では、被加熱体への加熱温度制御を、高周波の出力、処理時間若しくは被加熱体の厚みにより、又は加熱時に被加熱体に水を添加することにより制御することができる。さらに、コンベア式のマイクロ波加熱では、ベルトの供給速度により制御することができる。供給速度としては、0.1〜500cm/分、特に2〜50cm/分が好ましい。
【0040】
水の添加量を最適化することにより制御が容易にできる。水の添加量としては、例えば、2450MHz周波数加熱で、塩酸エホニジピン1重量部に対し0.1〜10重量部、特に0.3〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部が好ましい。
【0041】
A工程において高周波加熱を行うことによって得られる固体分散体は、B工程の処理を行わなくても、通常の加熱若しくはメカノケミカル処理を行うA工程とそれに続くB工程処理又は高圧下加熱水蒸気処理により得られる固体分散体と同等の吸収性を有する固体分散体が得られる。
【0042】
本発明の非晶質化方法においては、必須成分以外の成分として、界面活性剤、防腐剤等を配合して非晶質化することも可能である。又、熱安定剤については、1成分でも、2成分以上配合しても、非晶質化することが可能である。
【0043】
本発明の非晶質化法により得られた塩酸エホニジピンの固体分散体に対し、そのまま又は粉砕した後、水、界面活性剤水溶液又はエタノール等の有機溶媒を噴霧又は溶液状態で処理し、再乾燥することにより固体分散体の表面特性、濡れ性等を改良することも可能である。
【0044】
本発明の非晶質化法により得られる固体分散体の製造方法及び固体分散体を含有する経口製剤においては、上記必須成分以外に、製剤分野で一般に用いられる賦形剤(例えば、結晶セルロース、乳糖等)、崩壊剤、滑沢剤及び/又は着色剤を適宜添加することもできる。
【0045】
経口製剤としては、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、細粒剤、散剤、錠剤、トローチ剤及び舌下錠等を挙げることができる。
これら経口製剤は、本発明の塩酸エホニジピンを1日当たりの投与量として5〜80mgを含有する。
【0046】
【実施例】
本発明の必須成分の必要性及び本発明の製造工程について、以下実施例を用いて説明する。本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
試験方法
塩酸エホニジピンの粉末X線回折測定を行い、回折角度2θとそれぞれの強度を非晶質化前後でプロットして、回帰直線にて近似してその傾きをもって結晶化度とする。
【0047】
実施例1
塩酸エホニジピン60g、HPMC−AS180g、尿素30g及び水30gを加えて、万能混合機を用い湿式造粒した。湿式造粒物を棚式乾燥機にて120℃、1時間加熱し、さらに80℃、90%RHの恒温恒湿機にて40分間水蒸気接触することにより、固体分散体を得た。この固体分散体は粉末X線測定により非晶質であることが確認された。この固体分散体に結晶セルロース等を加え、常法により、乾燥造粒後、打錠して1錠中塩酸エホニジピンを20mg含有する固形錠剤を得た。本固形錠剤を用いたイヌにおける吸収性は、優れたものであった。
【0048】
実施例2
塩酸エホニジピン60g、HPMC−AS180g及び水30gを加えて、万能混合機を用い湿式造粒した。湿式造粒物を棚式乾燥機にて95℃、2時間加熱し、さらに85℃、90%RHの恒温恒湿機にて60分間水蒸気接触することにより、固体分散体を得た。この固体分散体は粉末X線測定により実施例1で得られたものと同等の非晶質であることが確認された。
【0049】
実施例3
塩酸エホニジピン3g、HPMC−AS6g及び尿素1.5gの混合物を高速遊星ミルを用い、室温(15−25℃)で、100Gにて3分間、メカノケミカル処理した後、粉砕し水を1.5g加え90℃で30分間加熱し固体分散体を得た。粉末X線測定の結果、結晶性ピークは認められなかった。
【0050】
実施例4
塩酸エホニジピン60g、HPMC−AS180g、尿素30g及び水30gを加えて、万能混合機を用い湿式造粒した。湿式造粒物をマイクロ波加熱機(2450MHz,500W)を用い、4分間マイクロ波加熱を行い、固体分散体を得た。その時の最終温度は130℃であった。
粉末X線測定の結果、結晶性ピークは認められなかった。
【0051】
比較例1
実施例1の棚式乾燥機での加熱処理を80℃、1時間に代えたのみで、他は全く同一条件にて固体分散体を得た。この固体分散体の結晶化度は、70%であり、非晶質化は不十分であった。
【0052】
比較例2
実施例1で、80℃、90%RHの恒温恒湿器にての40分間水蒸気接触のみを実施せず、全く同一に個体分散体を製造し、固形錠剤を得た。
固体分散体は、粉末X線測定にて非晶質であったが、イヌにおける吸収性は、AUC(血中濃度−時間曲線下面積)で実施例1の1/3程度であった。
【0053】
実施例5
実施例1と同一条件にて得られた塩酸エホニジピン含有固体分散体を粉砕、篩過(60メッシュ)し、60メッシュ篩過した乳糖及びトウモロコシデンプンと混合し、40メッシュ篩過して、散剤1g中、塩酸エホニジピンを40mg含有する散剤を得た。
【0054】
実施例6
塩酸エホニジピン60g、HPMC−AS180g、尿素30g及び水30gを加えて万能混合機を用い湿式造粒した。マイクロ波加熱機(2450MHz、1500W)を用い、3分間加熱を行い、固体分散体を得た。この時の最終温度は130℃であった。この固体分散体は粉末X線測定により非晶質であることが確認された。
【0055】
この固体分散体を用い、常法により固形錠剤を得た。本固形錠剤を用いてイヌで吸収実験を実施したところ実用的に充分な吸収性が得られた。
【0056】
実施例7
塩酸エホニジピン5g、HPMC−AS25g及び水15gを混合し、マイクロ波加熱機(2450MHz、500W)を用い、2分間でマイクロ波加熱を行ない、固体分散体を得た。その時の最終温度は80℃であった。この固体分散体は、粉末X線測定により非晶質であることが確認された。
【0057】
比較例3
実施例6のマイクロ波乾燥機での加熱処理をヒーター加熱80℃、1時間に代えたのみで、他は全く同一条件にて固体分散体を得た。この固体分散体の結晶化度は、70%であり、非晶質化は不十分であった。
【0058】
実施例8
実施例6と同一条件にて得られた塩酸エホニジピンの固体分散体を粉砕、篩過(60メッシュ)し、60メッシュ篩過した乳糖及びトウモロコシデンプンと混合し、40メッシュ篩過して、散剤1g中、塩酸エホニジピンを40mg含有する散剤を得た。
【0059】
実施例9
塩酸エホニジピン400g、HPMC−AS1200g、尿素200g及び水2700gを混合し、マイクロ波連続加熱機(ミクロ電子製、2450MHz、1500W、照射層150cm、厚み4mm、幅8cm、ベルトスピード10cm/分)を用いてマイクロ波連続加熱を行ない、固体分散体を得た。その時の最終温度は102℃であった。この固体分散体は、粉末X線測定により非晶質であることが確認された。
この固体分散体を用い、常法により固形錠剤を得た。本固形錠剤を用いてイヌで吸収実験を実施したところ実用的に充分な吸収性が得られた。
【0060】
【発明の効果】
本発明は塩酸エホニジピン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートそして場合によっては熱安定剤を添加した混合物を、85〜140℃での加熱処理後若しくは0〜140℃でのメカノケミカル処理を行うA工程の後、水を含む溶液への浸漬処理、水を含む溶液による含浸処理、若しくは水蒸気含有気体による接触処理を含むB工程を行うか、又は上記混合物を100〜140℃で高圧下加熱水蒸気処理を行うことにより非晶質化状態の固体分散体として腸管吸収性の高い塩酸エホニジピンの固体分散体を得ることができる。また、上記のA工程において高周波加熱を用いることにより、B工程を用いず非晶質化状態の固体分散体として腸管吸収性の高い塩酸エホニジピンの固体分散体を得ることができる。この製造法は有機溶媒の使用を必要としないという、製造上の顕著な利点を備えている。

Claims (5)

  1. 1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−(5,5−ジメチル−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル)−4−(3−ニトロフェニル)−3−ピリジンカルボン酸 2−[ベンジル(フェニル)アミノ]エチルエステル・塩酸塩−エタノール溶媒和物(1:1)(以下塩酸エホニジピンという)とヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの混合物を、85〜140℃での加熱処理後若しくは0〜140℃でのメカノケミカル処理を行うA工程の後、水を含む溶液への浸漬処理、水を含む溶液による含浸処理、若しくは水蒸気含有気体による接触処理をするB工程を行うか、又は上記混合物を100〜140℃で高圧下加熱水蒸気処理を行うことを特徴とする塩酸エホニジピン含有固体分散体の製造法。
  2. 塩酸エホニジピン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び熱安定剤の混合物を、85〜160℃での加熱処理後若しくは0〜160℃でのメカノケミカル処理のA工程の後、水を含む溶液への浸漬処理、水を含む溶液による含浸処理、若しくは水蒸気含有気体による接触処理をするB工程を行うか、又は上記混合物を100〜160℃で高圧下加熱水蒸気処理を行うことを特徴とする塩酸エホニジピン含有固体分散体の製造法。
  3. 塩酸エホニジピンとヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの混合物を、80〜160℃で高周波加熱することを特徴とする塩酸エホニジピンの固体分散体を製造する方法。
  4. 塩酸エホニジピンとヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び熱安定剤の混合物を、80〜180℃で高周波加熱することを特徴とする塩酸エホニジピンの固体分散体を製造する方法。
  5. 熱安定剤が尿素である請求項2又は請求項4の製造方法。
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