JP4074071B2 - 有機化合物の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機化合物の処理方法に関し、特に、ビール製造工程から排出されるモルトフィードやその脱水廃水、あるいは下水処理場において発生する有機性汚泥などの有機化合物を、亜臨界水または超臨界水中で分解する、有機化合物の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代社会においては、多種多様な有機性廃棄物が排出されている。これを有効に再資源化する手法の一つとして、液体状態の高温高圧水である亜臨界水や、温度約374℃以上、圧力約22.1MPa以上の水である超臨界水の存在下において、貴金属やニッケルを含有する触媒を用いて分解し、メタンや水素を含む燃料ガスへ転換することが提案されている。
【0003】
例えば、特表平8−501115号公報においては、ルテニウム、ロジウム、ニッケルなどを含有する触媒を用い、亜臨界水中でクレゾール等の被処理物を処理してメタンを主成分とするガスを得る方法を提案している。また、特開2000−290659号公報においては、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、ニッケルなどを含有する触媒を用い、予め可溶化処理した厨芥、汚泥、木質系バイオマス等の被処理物を亜臨界水や超臨界水中で処理してメタン化する方法を提案している。
【0004】
しかしながら、これら貴金属やニッケルを担持した触媒を用いて亜臨界水や超臨界水中で種々の有機化合物を処理する方法では、被処理物の種類によっては燃料ガスへの転換率が低かったり、あるいは経時的に触媒活性が大きく低下するといった問題点があった。この傾向は被処理物の分子量が大きい場合に特に顕著であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、亜臨界水や超臨界水中で公知の貴金属担持触媒やニッケル担持触媒を用いて有機化合物を被処理物として分解した場合、被処理物の種類によっては燃料ガスへの転換率が低かったり、あるいは経時的に触媒活性が大きく低下するといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みて為されたものであり、特に比較的高分子量の有機化合物を被処理物とした際に、燃料ガスへの高い転換率を長期間にわたって維持可能な処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
そこで本発明は、分解処理容器内に有機化合物及び水を含む被処理物を導入して、130℃以上374℃未満の温度かつ少なくとも一部の水が液体状態である圧力、または374℃以上の温度かつ22.1MPa以上の圧力にまで加圧及び加熱し、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ニッケル及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含む担持活物質と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含む添加剤とを含んだ触媒とを用いて、前記被処理物を水熱分解処理する分解処理工程を具備し、主にメタン、水素及び二酸化炭素を含むガスを生成させることを特徴とする有機化合物の処理方法を提供する。
また、前記触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含む添加剤を1.5重量%以上含んだ触媒であることが好ましい。
また300℃以上374℃未満の温度かつ少なくとも一部の水が液体状態である圧力、374℃以上の温度かつ22.1MPa以上の圧力にまで加圧及び加熱することが好ましい。
また、有機化合物及び水を含む被処理物にアルカリ又は酸を添加して分解処理容器内に導入することが好ましい。
【0008】
本発明においては、有機化合物が窒素原子を含有する場合に、分解処理工程によって生じた、主にメタン、水素及び二酸化炭素を含む難水溶性成分及びアンモニアを含む生成物を、難水溶性成分をガス化した難水溶性ガスとアンモニアとに分離する分離工程と、難水溶性ガスとアンモニアと酸化剤ガスとを固体状の酸化触媒が充填された酸化処理容器内に注入してアンモニアを分解する工程と、をさらに具備し、窒素ガス及び水を生成させても良い。
【0009】
また本発明においては、触媒が担体として、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、ケイ素及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含み、担体のジルコニウム、チタン、アルミニウム、ケイ素の重量が、触媒の全重量に対して10重量%以上であっても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機化合物処理装置の基本構成を示す図である。
【0013】
まず、被処理物(出発状態では、有機化合物と水とを含む混合物)は、高圧ポンプ1により加圧され、熱交換器2及び加熱炉3で約130℃以上の温度に加熱されてから、触媒と接触させて主にメタン、水素及び二酸化炭素を含むガスを生成させる、分解処理工程が施される。
【0014】
この触媒は、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含み、担持活物質としてルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ニッケル及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を担持する触媒であり、以下では水熱分解用触媒と呼ぶ。また、この分解処理工程を水熱分解処理工程と呼び、この水熱分解用触媒を充填した分解処理容器を水熱分解処理容器4と呼ぶ。
【0015】
なお、本実施形態では、被処理物中の有機化合物は、窒素原子を含有するものであっても良いし、窒素原子を含有するものでなくても良い。有機化合物が窒素原子を含有する場合には、水熱分解処理によって有害物であるアンモニアが生成する可能性があるが、生成したアンモニアは、従来の方法若しくは第2の実施形態に示す方法により分解処理すれば良い。
【0016】
被処理物は高圧ポンプ1により水熱分解処理容器4に加圧された状態で搬送される。この搬送中に被処理物は熱交換器2および加熱炉3を通過し、水熱分解処理容器4に至るまでの間に約130℃以上に加熱される。有機化合物が固体状の場合、予め破砕機や粉砕機を用いて高圧ポンプ1による搬送が可能になる程度の大きさまで粉砕しておいてもよい。
【0017】
加熱する際の温度は、水熱分解用触媒の分解活性が認められ始める温度である約130℃以上とすることが好ましい。また、被処理物が熱可塑性樹脂であり、溶融押出機を用いて連続供給を行った場合にも水熱分解処理を可能とするために、熱可塑性樹脂の一般的な融点である約130℃以上とすることが好ましい。また、より好ましい温度は、約300℃〜500℃の範囲内である。加熱温度が約300℃に満たないと水熱分解反応が進まなくなる恐れがあり、加熱温度が約500℃を超えると水熱分解処理容器4の耐圧性が低下する可能性があり実用的でない。
【0018】
また、高圧ポンプ1により加圧する際の圧力は、加熱温度が約130℃から水の臨界温度である約374℃未満の場合は、少なくともその温度における水の飽和蒸気圧以上であり、水熱分解処理容器4内に搬送される被処理物中に含まれる水が、全て気化することなしに少なくとも一部が液体状態である圧力、つまり亜臨界水が存在するような圧力まで昇圧することが好ましい。被処理物中の水を全て気化させる場合は、水の蒸発熱に相当する多大なエネルギーを外部から加える必要があり、エネルギーの浪費につながる。加熱温度が約374℃以上の場合は、水の臨界圧力である約22.1MPa以上の圧力、つまり超臨界水が存在する圧力であることが好ましい。図1に示す系の圧力は全て、高圧ポンプ1及び圧力制御弁8により調節する。
【0019】
縦型に設置された水熱分解処理容器4の内部には、粉末状、ハニカム状などの有機化合物の水熱分解用触媒が充填されており、その間隙を被処理物が容器内を上向きに搬送される。被処理物中の有機化合物は加熱された水中で水熱分解用触媒の作用により分解し、メタン、水素および二酸化炭素を主に生成する。
【0020】
被処理物の搬送方向は特に限定されるものではなく、下向きでもよい。また、水熱分解処理容器4を横型に設置し、被処理物を水平方向に搬送することも可能である。
【0021】
被処理物の供給量に対する水熱分解処理容器4の容積は、固定床の場合には、液空間速度(LHSV)が約1〜60hr−1になるようにする事が好ましい。
【0022】
また、有機化合物は水熱分解処理容器4に至るまでの間に熱分解および加水分解によって低分子化し得るが、加水分解を促進するために予めアルカリや酸を被処理物に添加しておいてもよい。添加するアルカリとしては有機アルカリと無機アルカリの双方を用いることが可能であるが、水熱分解処理容器4において処理対象物である有機化合物と共に分解し、中和等の後処理を施す必要がないことから有機アルカリがより好ましい。同様の理由から添加する酸は有機酸がより好ましい。
【0023】
水熱分解処理容器4の手前においてこのような低分子化が生じることにより、水熱分解用触媒表面での炭素質析出が抑制され、触媒活性が許容範囲内に維持される期間がより長くなる。
【0024】
水熱分解処理工程を施した被処理物は、熱交換器2を経て降温された後、更に冷却器5によって冷却され、気液分離器6に搬送され、次に気液分離工程を施される。
【0025】
気液分離器6では、圧力コントローラー7により制御される圧力制御弁8と、液面コントローラー9により制御され、気液分離器6の液面位を調節するための液面制御弁10とを調整することで、主にメタン、水素および二酸化炭素からなる気体成分は気液分離器6の上部から放出され、液体の水は下部から放流される。
【0026】
気体成分の一部は加熱炉3の燃料として使用され、一部はガスホルダー11に貯蔵されてガスエンジンや燃料電池等の既知の手段による発電に用いられる。必要ならば、圧力スイング法、吸収法、膜分離法などの手法によって気体成分からメタンや水素を分離し、単位体積あたりの発熱量を高めてもよい。この分離に際しては、気体成分が大気圧にまで減圧されていない加圧状態で分離装置に導入することが好ましい。
【0027】
本実施形態では、水熱分解処理容器内に、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含み、担持活物質としてルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ニッケル及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を担持する水熱分解用触媒を充填し、これにより被処理物を水熱分解する。そして、この水熱分解用触媒を用いることにより、被処理物を長期間にわたって、高い転換率で主にメタン、水素及び二酸化炭素を含むガスに転換することが可能となる。
【0028】
水熱分解用触媒の担持活物質としては、特にニッケル、ルテニウム及びロジウムを含むことが好ましい。担持活物質としてニッケルを含む場合には、ニッケルの重量を、水熱分解用触媒の全重量に対して約10重量%以上約80重量%以下とすることが好ましい。約10重量%未満では高転換率、高耐久性等の効果が小さく、約80重量%より多いと担体の表面積が過度に減少してしまうためである。また、担持活物質としてルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金を含む場合には、これらの重量を水熱分解用触媒の全重量に対して約0.1重量%以上約10重量%以下とすることが好ましい。約0.1重量%未満では高転換率、高耐久性等の効果が小さく、約10重量%より多いとコストがかかり好ましくないためである。
【0029】
水熱分解用触媒に含まれる添加剤としては、アルカリ金属では、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられ、アルカリ土類金属では、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げられる。また、希土類金属では、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられる。これらの中でも、特にマグネシウム、カルシウム、イットリウム、ランタン、セリウムが好ましく用いられる。
【0030】
これら、水熱分解用触媒に含まれる添加剤の含有形態は限定されるものではない。例えば、含浸法、沈殿法などの常法に従って、水熱分解用触媒の担体表面に担持したり、あるいはマグネシア安定化ジルコニアやカルシア安定化ジルコニアやイットリア安定化ジルコニアなどの安定化ジルコニア、MgZrO3やCaZrO3などのジルコネート、MgTiO3やCaTiO3などのチタネート、MgTi0.5Zr0.5O3やCaTi0.5Zr0.5O3などのチタネートジルコネート、MgAl2O4やCaAl2O4などのスピネルのように、共沈法やゾルゲル法などを用いて担体構成成分として担体中に組み込んでもよい。このようにして添加剤を組み込んだ担体の表面上に、更に添加剤を担持することもまた可能である。
【0031】
添加剤の含有量は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属の重量が、触媒の全重量に対して約0.1重量%以上であると、水熱分解の反応速度が増大すると共に炭素質の生成が抑制される効果が大きくなるために好ましい。
【0032】
また、水熱分解用触媒は、担体としてジルコニウム、チタン、アルミニウム、ケイ素及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、これは公知のジルコニア、チタニア、アルミナ及びシリカ等を用いることが出来る。これらは単独で使用しても良いし、チタニア−ジルコニアのような2元系や、3元系の複合酸化物として用いてもよい。また、上記のように、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属を構成成分として組み込むことも可能であり、限定されるものではない。水熱分解用触媒の担体中にジルコニウム、チタン、アルミニウム及びケイ素が含まれる場合には、アルカリ金属、アルカリ土類金属や希土類金属の酸化物のみで構成される担体を有する水熱分解用触媒よりも、高温高圧水中における耐久性が向上するという効果がある。
【0033】
水熱分解用触媒の担体中の、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、ケイ素の含有量は、触媒の全重量に対して約10重量%以上であることが、高温高圧水中における耐久性を維持するために好ましい。
【0034】
水熱分解用触媒の形状は特に限定されず、粉末状、球状、ペレット状、ハニカム状など、一般に使用されている各種の形状を用いることが可能である。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図2を用いて説明する。
【0036】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る有機化合物処理装置の基本構成を示す図である。第2の実施形態は、有機化合物中に窒素原子が含まれる被処理物を処理する場合であるか、あるいは出発状態の被処理物には窒素原子を含まなくても、水熱分解処理を行う前に、低分子化を促進するために窒素原子含有有機物を添加した場合に適用され得るものである。
【0037】
本実施形態において、被処理物に水熱分解処理を施すまでの工程は、第1の実施形態と同じであるので、説明を省く。この場合、被処理物は、水熱分解処理工程を施す際には窒素原子を含んでいる。また、水熱分解用触媒は同様のものを用いれば良い。
【0038】
被処理物中に窒素原子が含まれる場合、水熱分解処理容器4において被処理物を水熱分解処理する際に、メタンや水素と共に有害物であるアンモニアが生成する可能性がある。
【0039】
例えば被処理物中の有機化合物がフェニルアラニンC9H11O2Nである場合、下記式(1)の反応が生じ、メタン、水素および二酸化炭素に加えてアンモニアが生成する。
【0040】
C9H11O2N+xH2O → (-0.5x+8)CH4+(2x-12)H2+(0.5x+1)CO2+NH3 …(1)
[(1)式中、xは6以上16以下]
本実施形態においては、この後の工程によって、有害なアンモニアを無害な窒素に転換する。
【0041】
水熱分解処理工程を施した被処理物には、これに液体状態の水が含まれない場合は、引続き分離工程が施される。
【0042】
分離工程においては、被処理物は冷却器12によって水の臨界温度未満に冷却処理される。この冷却処理によって、被処理物は気液2相を含む状態に分離され、難水溶性成分であるメタンと水素は主に気相に分布し、易水溶性成分であるアンモニアは主に液相に分布するようになる。なお、冷却処理には冷却器12を必ずしも使用する必要はなく、被処理物を自然冷却することで分離してもよい。
【0043】
また、水熱分解処理工程を施した被処理物に液体状態の水が含まれる場合は、分離工程を施さなくても、難水溶性成分であるメタンと水素は主に気相に分布し、易水溶性成分であるアンモニアは主に液相に分布している。すなわち、水熱分解処理工程と分離工程が同時に行われることになる。
【0044】
分離工程を施された被処理物は、続いて酸化処理工程に供される。
【0045】
酸化処理工程に供される被処理物は、酸化処理容器13へ搬送される。縦型に設置された酸化処理容器13の内部には、固体状態の酸化触媒が充填されており、被処理物と高圧コンプレッサーなどの酸化剤ガス供給手段14から供給される酸化剤ガス(例えば空気等)が、容器内を上向きに搬送される。ここで、酸化触媒の働きにより、アンモニアは酸化剤ガスと反応して窒素ガスが生成する。
【0046】
被処理物と酸化剤ガスの搬送方向は特に限定されるものではなく、下向きでもよい。また、酸化処理容器13を横型に設置し、被処理物と酸化剤ガスを水平方向に搬送することも可能である。
【0047】
被処理物の供給量に対する酸化処理容器13の容積は、液空間速度(LHSV)を約1〜60hr−1とすることが好ましい。
【0048】
酸化触媒は、アンモニアを酸素存在下で酸化して、窒素に転換可能なものであれば特に限定されずに使用することができる。例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ニッケル、マンガン、バナジウムおよびこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を、ジルコニア、チタニア、アルミナ、シリカ、これらの複合酸化物等の既知の担体に担持したものを使用することができる。
【0049】
酸化触媒の形状は、球状やペレット状などの粒径約1〜20mmの粒子、または貫通孔の相当直径が約2〜20mmで開口率が約40〜80%の範囲内にあるハニカムであることが好ましい。
【0050】
図3は、本実施形態において、粒子状またはハニカム状の酸化触媒81が充填された酸化処理容器13内での被処理物および酸化剤ガスの様子を示す断面図である。
【0051】
酸化処理容器13内では、固相である酸化触媒81と、酸化剤ガスおよび難水溶性成分が主に分布する気相82と、易水溶性成分であるアンモニアが主に分布する液相83が存在している。
【0052】
酸化触媒81表面は液相83に接して濡れており、その一方で難水溶性成分であるメタンと水素の大部分は気相82中に気泡として存在している。酸化触媒は、アンモニアだけでなくメタンや水素も酸化する能力があるが、酸化触媒81表面に液相が選択的に付着しているため、アンモニアに比べてメタンや水素は触媒表面に到達しづらく、酸化分解反応が進行しにくい。また、塩基性を示す溶解アンモニアは触媒表面の酸点に吸着するので、その意味では中性のメタンや水素よりも反応面で有利である。
【0053】
これらの理由から、メタンや水素の酸化よりもアンモニアの酸化の方が優先的に生じ、被処理物に含まれる被酸化性物質の全てを窒素、二酸化炭素、水等に転換するのに必要な理論酸素量に比べて大幅に少ない量の酸素を用いて有害物質であるアンモニアを無害な窒素ガスに転換し、同時にメタンや水素を含む燃料ガスを回収することが可能になる。
【0054】
酸化処理工程は、約100℃以上、水の臨界温度未満の温度域で行うことが望ましい。約100℃未満の温度では、酸化反応が進まない恐れがあり、水の臨界温度以上の温度域では、難水溶性成分とアンモニアが均一相中に存在するために、アンモニアの酸化が優先的に生じないという問題が生じる。
【0055】
酸化処理工程において、酸化処理容器13に注入される酸化剤ガスとしては、空気、純酸素、酸素富化空気などを用いることができ、また、アンモニアの全てを窒素および水に転換するのに必要な理論酸素量の約1.0〜3.0倍、好ましくは約1.0〜1.5倍の酸素を含む酸化剤ガスを使用すればよい。理論酸素量は下記式(2)により算出される。
【0056】
NH3+0.75O2 → 0.5N2+1.5H2O …(2)
なお、酸化剤ガスは、被処理物と混合する部位においてガス状であればよく、液体酸素を高圧ポンプにより供給し、加熱して気化させた後に被処理物と混合してもよい。
【0057】
また、酸化剤ガスは、酸化処理容器13の入口においてその全量を注入してもよいが、硝酸や亜硝酸といった副生成物の生成を抑制するために、これを流れ方向に分割して注入してもよい。
【0058】
酸化処理容器13内においては、酸化触媒(固相)、気相、液相の3相が存在していることが必要である。そして、分離工程後の被処理物の温度と、処理圧力とを制御することによって、分離工程直後のみならず、酸化剤ガスを注入した後においても、酸化処理容器13内の流れ方向全ての部位において、水が全て気化することなしに少なくとも一部は液相を保つようにする。
【0059】
酸化処理工程を施した被処理物は、熱交換器2を経て降温された後、更に冷却器5によって冷却され、気液分離器6に搬送されて、気液分離工程を施される。
【0060】
気液分離器6では、圧力コントローラー7により制御される圧力制御弁8と、液面コントローラー9により制御され、気液分離器6の液面位を調節するための液面制御弁10とを調整することで、主にメタン、水素、二酸化炭素、および窒素からなる気体成分は気液分離器6の上部から放出され、液体の水は下部から放流される。
【0061】
気体成分の一部は加熱炉3の燃料として使用され、一部はガスホルダー11に貯蔵されてガスエンジンや燃料電池等の既知の手段による発電に用いられる。必要ならば、圧力スイング法、吸収法、膜分離法などの手法によって気体成分からメタンや水素を分離し、単位体積あたりの発熱量を高めてもよい。この分離に際しては、気体成分が大気圧にまで減圧されていない加圧状態で分離装置に導入することが好ましい。
【0062】
なお、被処理物が酸化剤ガスと混合する直前の被処理物の温度が、圧力制御弁の耐熱温度以下である場合は、圧力制御弁と、これを制御する圧力コントローラーを、ここに追加設置してもよい。この圧力制御弁による減圧により、酸化剤ガス供給手段14による酸化剤ガスの注入圧力を、減圧された系内の圧力にまで低下させることが可能になり、運転コストが更に削減される。
【0063】
その場合、高圧ポンプ1からこの圧力制御弁に至るまでの系内の圧力はこの圧力制御弁により調節され、それ以降の圧力制御弁8に至るまでの系内の圧力は圧力制御弁8により調節される。
【0064】
本実施形態においても、水熱分解処理容器内に、第1の実施形態と同様な水熱分解用触媒を充填し、これにより被処理物を水熱分解する。そして、この水熱分解用触媒を用いることにより、被処理物を長期間にわたって、高い転換率で主にメタン、水素及び二酸化炭素を含むガスに転換することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態は、有機化合物中に窒素原子が含まれる被処理物を処理する場合、あるいは出発状態の被処理物には窒素原子を含まなくても、水熱分解処理を行う前に、低分子化を促進するために窒素原子含有有機物を添加する場合等、水熱分解処理を行う時点で窒素原子を含む場合には適用可能である。つまり、水熱分解処理を行う際に、被処理物が窒素原子を含むと、生成物として、メタンや水素と共にアンモニアが発生する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、被処理物に対して、水熱分解処理工程の後に分離工程、酸化処理工程を施すことによりアンモニアを分解して窒素ガスとすることが出来るものである。
【0066】
【実施例】
(実施例1〜3、比較例1)
カラマツ樹皮(乾燥物基準で、C:約51wt%、H:約6wt%、O:約39wt%)を粉砕したものを水と混合し、固形物濃度を約7.5wt%として、図1に示すような第1の実施形態の方法を用いてこれを被処理物として処理を行った。
【0067】
処理条件としては、被処理物の流量を約100kg/hr、水熱分解処理容器4の温度を約350℃、圧力を約25MPa、液空間速度(LHSV)を約6hr−1とした。
【0068】
このような処理条件で約200時間処理した時の結果と、使用した水熱分解用触媒の種類を表1に示す。なお、以下では全て、水熱分解用触媒の担持活物質の重量及び添加剤の重量は、水熱分解用触媒の全重量に対する割合を、金属元素換算で示す。また、炭素基準のガス化率は、気液分離器6から排出されるガスの組成と流量を調べ、その中に含まれる炭素原子の、処理前の被処理物中に含まれる炭素原子に対する比率から算出した。
【0069】
【表1】
表1から分かるように、実施例1〜3においては、夫々97.8%、99.5%、96.0%と高いガス化率が長期間維持されているのに比べ、比較例1においては、19.9%とガス化率は低い。これは、実施例1〜3では、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの化合物を担持した水熱分解用触媒を用いているのに比べ、比較例1では、これらの添加剤をいずれも含有しない水熱分解用触媒を用いているためである。
【0070】
(実施例4〜6、比較例2)
次に、実施例1〜3、比較例1と同様のカラマツ樹皮を用いた被処理物を、図1に示すような第1の実施形態の方法を用いて処理した。
【0071】
処理条件としては、被処理物の流量を約100kg/hr、水熱分解処理容器4の温度を約400℃、圧力を約30MPa、液空間速度(LHSV)を約10hr−1とした。
【0072】
このような処理条件で約200時間処理した時の結果と、使用した水熱分解用触媒の種類を表2に示す。
【0073】
【表2】
表2から分かるように、実施例4〜6においては、夫々96.0%、97.3%、95.5%と高いガス化率が長期間維持されているのに比べ、比較例2においては、23.1%とガス化率は低い。これは、実施例4〜6では、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの化合物を担持した水熱分解用触媒を用いているのに比べ、比較例2では、これらの添加剤をいずれも含有しない水熱分解用触媒を用いているためである。
【0074】
(実施例7〜12)
次に、実施例1〜6、比較例1〜2と同様のカラマツ樹皮を用いた被処理物を、図1に示すような第1の実施形態の方法を用いて処理した。
【0075】
処理条件としては、被処理物の流量を約100kg/hr、水熱分解処理容器4の温度を約350℃、圧力を約25MPa、液空間速度(LHSV)を約6hr−1とした。
【0076】
このような処理条件で約200時間処理した時の結果と、使用した水熱分解用触媒の種類を表3に示す。
【0077】
【表3】
表3から分かるように、実施例7〜12においては、夫々99.5%、96.3%、89.1%、81.3%、76.8%、70.0%と高いガス化率が長期間維持されている。
【0078】
また、アルカリ土類金属のみで構成される担体を有する水熱分解用触媒同士を比較すると、貴金属であるルテニウムを担持した方がニッケルを担持した場合よりガス化率が高いことがわかる。さらに、ルテニウムを担持した水熱分解用触媒同士を比較すると、ジルコニアを担体とする水熱分解用触媒の方が、アルカリ土類金属のみで構成される担体を有する水熱分解用触媒よりもガス化率が高いことがわかる。
【0079】
(実施例13〜15)
次に、 A重油(C:約86wt%、H:約13wt%)を水と混合し、濃度を約10wt%としたものを被処理物として、図1に示すような第1の実施形態の方法を用いて処理を行った。
【0080】
処理条件としては、被処理物の流量を約200kg/hr、水熱分解処理容器4の温度を約325℃、圧力を約20MPa、液空間速度(LHSV)を約4hr−1とした。
【0081】
このような処理条件で約200時間処理した時の結果と、使用した水熱分解用触媒の種類を表4に示す。実施例13〜15において、水熱分解用触媒はいずれも安定化ジルコニアを担体として用いており、担体中には夫々、20mol%のMgO、20mol%のCaO、10mol%のY2O3を添加剤として添加している。
【0082】
【表4】
表4から分かるように、実施例13〜15においては、夫々98.8%、96.3%、95.6%と高いガス化率が長期間維持されている。これは実施例13〜15では、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの化合物を、水熱分解用触媒の担体中に含むからである。
【0083】
(実施例16〜19)
次に、実施例13〜15と同様のA重油を用いた被処理物を、図1に示すような第1の実施形態の方法を用いて処理した。
【0084】
処理条件としては、被処理物の流量を約200kg/hr、水熱分解処理容器4の温度を約450℃、圧力を約25MPa、液空間速度(LHSV)を約6hr−1とした。
【0085】
このような処理条件で約200時間処理した時の結果と、使用した水熱分解用触媒の種類を表5に示す。
【0086】
【表5】
表5から分かるように、実施例16〜19においては、夫々95.1%、94.9%、96.7%、95.2%と高いガス化率が長期間維持されている。これは実施例16〜19では、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの化合物を、水熱分解用触媒の担体中に含むからである。
【0087】
(実施例20〜23)
次に、実施例13〜19と同様のA重油を用いた被処理物を、図1に示すような第1の実施形態の方法を用いて処理した。
【0088】
処理条件としては、被処理物の流量を約200kg/hr、水熱分解処理容器4の温度を約400℃、圧力を約30MPa、液空間速度(LHSV)を約12hr−1とした。
【0089】
このような処理条件で約200時間処理した時の結果と、使用した水熱分解用触媒の種類を表6に示す。実施例20、21では、水熱分解用触媒はいずれも2元系複合酸化物であるチタニア−ジルコニアを担体として用い、実施例22、23では、水熱分解用触媒はいずれも2元系複合酸化物であるチタネートジルコネートを担体として用いている。
【0090】
【表6】
表6から分かるように、実施例20〜23においては、夫々99.1%、97.4%、97.7%、96.8%と高いガス化率が長期間維持されている。これは実施例20、21では、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの化合物を、水熱分解用触媒の担体上に担持し、実施例22、23では、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの化合物を、水熱分解用触媒の担体中に含むからである。
【0091】
(実施例24〜27、比較例3)
次に、実施例13〜23と同様のA重油を用いた被処理物を、図1に示すような第1の実施形態の方法を用いて処理した。
【0092】
処理条件としては、被処理物の流量を約500kg/hr、水熱分解処理容器4の温度を約350℃、圧力を約30MPa、液空間速度(LHSV)を約22hr−1とした。
【0093】
このような処理条件で約20時間処理した時の結果と、約200時間処理した時の結果、使用した水熱分解用触媒の種類を表7に示す。
【0094】
【表7】
表7から分かるように、約20時間処理した時には、実施例24〜27においては、夫々98.6%、99.1%、94.8%、95.3%と高いガス化率であるのに比べ、比較例3においては、82.7%とガス化率は低い。さらに、約200時間処理した時には、実施例24〜27においては、夫々90.9%、91.0%、94.7%、94.2%と高いガス化率が長期間維持されているのに比べ、比較例3においては、40.4%とガス化率が大きく低下し、触媒活性が低下していることがわかる。
【0095】
これは、実施例24〜27では、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの化合物を担持した水熱分解用触媒を用いているのに比べ、比較例3では、これらの添加剤をいずれも含有しない水熱分解用触媒を用いているためである。
【0096】
また、実施例24、25のように、ナトリウムやカリウムといったアルカリ金属を添加した場合と、実施例26、27のように、マグネシウムやカルシウムといったアルカリ土類金属を添加した場合を比較すると、20時間処理におけるガス化率は前者の方が高く、200時間処理におけるガス化率は後者の方が高い。
【0097】
つまり、アルカリ金属含有触媒は、特に初期段階の活性に優れ、アルカリ土類含有触媒は、特に耐久性に優れるということが分かる。
【0098】
(実施例28〜31、比較例4)
次に、実施例13〜27と同様のA重油を用いた被処理物を、図1に示すような第1の実施形態の方法を用いて処理した。
【0099】
処理条件としては、被処理物の流量を約500kg/hr、水熱分解処理容器4の温度を約400℃、圧力を約30MPa、液空間速度(LHSV)を約22hr−1とした。
【0100】
このような処理条件で約20時間処理した時の結果と、約200時間処理した時の結果、使用した水熱分解用触媒の種類を表8に示す。
【0101】
【表8】
表8から分かるように、約20時間処理した時には、実施例28〜31においては、夫々99.7%、99.9%、96.0%、96.5%と高いガス化率であるのに比べ、比較例4においては、85.8%とガス化率は低い。さらに、約200時間処理した時には、実施例28〜31においては、夫々92.5%、92.6%、95.6%、95.2%と高いガス化率が長期間維持されているのに比べ、比較例4においては、43.1%とガス化率が大きく低下し、触媒活性が低下していることがわかる。
【0102】
これは、実施例28〜31では、添加剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの化合物を担持した水熱分解用触媒を用いているのに比べ、比較例4では、これらの添加剤をいずれも含有しない水熱分解用触媒を用いているためである。
【0103】
また、実施例28、29のように、ナトリウムやカリウムといったアルカリ金属を添加した場合と、実施例30、31のように、マグネシウムやカルシウムといったアルカリ土類金属を添加した場合を比較すると、20時間処理におけるガス化率は前者の方が高く、200時間処理におけるガス化率は後者の方が高い。
【0104】
つまり、アルカリ金属含有触媒は、特に初期段階の活性に優れ、アルカリ土類含有触媒は、特に耐久性に優れるということが分かる。
【0105】
(実施例32〜34)
次に、モルトフィード(乾燥物基準で、C:約49wt%、H:約7wt%、O:約35wt%、N:約6wt%)を粉砕したものを水と混合し、固形物濃度を約10wt%に調整したものを被処理物として、図2に示すような第2の実施形態の方法を用いて処理を行った。これを、実施例32とする。
【0106】
また、実施例33として、TOCが約9300mg/Lであり、T−Nが約530mg/Lである性状の、モルトフィード脱水廃水を、図2に示すような第
2の実施形態の方法を用いて処理を行う。ここで、TOCは全有機炭素を、T−Nは全窒素を示す。
【0107】
また、固形物濃度が約5wt%である下水汚泥(乾燥物基準で、C:約39wt%、H:約6wt%、O:約18wt%、N:約6wt%)を被処理物として、図2に示すような第2の実施形態の方法を用いて処理を行った。これを、実施例34とする。
【0108】
実施例32〜34の処理条件、水熱分解用触媒及び酸化触媒の種類を表9に示す。実施例34では、2元系複合酸化物であるチタニア−ジルコニアを担体として用い、添加剤を担持している。また、実施例32、33では、いずれも添加剤を組み込んだ安定化ジルコニアを担体として用い、さらに添加剤をその上に担持している。
【0109】
【表9】
いずれの場合においても、酸化剤としては酸素濃度約90vol%の酸素富化空気を用い、被処理物中の窒素原子が水熱分解処理容器4において全てアンモニアに転換した場合に、酸化処理容器13においてそれを全て窒素ガスに転換するのに必要な理論酸素量の約1.3倍当量を注入した。
【0110】
また、実施例32の酸化処理容器13においては、ここまで搬送されてきた被処理物と酸素富化空気とを処理容器上部から下向流として供給し、実施例33および実施例34においては、処理容器下部から上向流として供給した。
【0111】
このような条件で約200時間処理した時の結果を表10に示す。なお、気相成分の分析の結果、アンモニアおよび窒素酸化物濃度は検出限界(約1ppm)以下であった。
【0112】
【表10】
表10から分かるように、気液分離器6から排出されるガスにはメタン等が含まれており、これを燃料ガスとして利用することが可能である。
【0113】
一方、被処理物中の有機物全てを完全に酸化するのに必要な理論酸素量に対し、それぞれの実施例で用いた酸素量は、実施例32では約8.5%、実施例33では約4.1%、実施例34では約10.4%と、十分に低い値が得られた。また、実施例32〜34において、液相中のTOC濃度、T−N濃度共に十分に低い値が得られ、良好な水質を得ることが出来た。
【0114】
このように、高圧酸化剤ガスの供給量が大幅に削減されたにも関わらず、燃料ガスと同時に水質良好な処理水を得ることが可能であることが示された。
【0115】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、燃料ガスへの高い転換率を長期間にわたって維持可能な、有機化合物の処理方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の有機化合物の処理装置を示す図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態の有機化合物の処理装置を示す図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態に係る、酸化処理容器内での被処理物及び酸化剤ガスの様子を示す断面図である。
【符号の説明】
1…高圧ポンプ
2…熱交換器
3…加熱炉
4…水熱分解処理容器
5、12…冷却器
6…気液分離器
7…圧力コントローラー
8…圧力制御弁
9…液面コントローラー
10…液面制御弁
11…ガスホルダー
13…酸化処理容器
14…酸化剤ガス供給手段
Claims (6)
- 分解処理容器内に有機化合物及び水を含む被処理物を導入して、
130℃以上374℃未満の温度かつ少なくとも一部の水が液体状態である圧力、または374℃以上の温度かつ22.1MPa以上の圧力にまで加圧及び加熱し、
ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ニッケル及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含む担持活物質と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含む添加剤とを含んだ触媒とを用いて、前記被処理物を水熱分解処理する分解処理工程を具備し、
主にメタン、水素及び二酸化炭素を含むガスを生成させることを特徴とする有機化合物の処理方法。 - 前記触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含む添加剤を1.5重量%以上含んだ触媒であることを特徴とする請求項1記載の有機化合物の処理方法。
- 300℃以上374℃未満の温度かつ少なくとも一部の水が液体状態である圧力、374℃以上の温度かつ22.1MPa以上の圧力にまで加圧及び加熱することを特徴とする請求項1または請求項2記載の有機化合物の処理方法。
- 有機化合物及び水を含む被処理物にアルカリ又は酸を添加して分解処理容器内に導入することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機化合物の処理方法。
- 前記有機化合物が窒素原子を含有する場合に、
前記分解処理工程によって生じた、主にメタン、水素及び二酸化炭素を含む難水溶性成分及びアンモニアを含む生成物を、
前記難水溶性成分をガス化した難水溶性ガスとアンモニアとに分離する分離工程と、
前記難水溶性ガスとアンモニアと酸化剤ガスとを固体状の酸化触媒が充填された酸化処理容器内に注入してアンモニアを分解する工程と、をさらに具備し、
窒素ガス及び水を生成させること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機化合物の処理方法。 - 前記触媒が担体として、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、ケイ素及びこれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記担体のジルコニウム、チタン、アルミニウム、ケイ素の重量が、前記触媒の全重量に対して10重量%以上であること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機化合物の処理方法。
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